説明

光伝送モジュール及び通信装置用ケージ

【課題】光伝送モジュールから生じる電磁妨害波の放射を十分に低減することを目的とする。
【解決手段】光伝送モジュールは、光電気デバイス18と、光電気デバイス18を収納するハウジング22と、ハウジング22に電気的に接続するようにハウジング22の外側に突出して設けられた電気的接続片24と、電磁波を電磁波以外のエネルギーに変換することで電磁波を吸収する電磁波吸収部材32と、を有し、電気的接続片24は、ハウジング22との取付部26よりもケージ10への挿し込み方向とは反対方向の位置に、ハウジング22から間隔をあけて浮いた状態のフローティング部28を有し、電磁波吸収部材32は、ハウジング22とフローティング部28との間に少なくとも一部が配置され、フローティング部28は、ハウジング22がケージ10に挿入されたときに、ケージ10の内側に電気的に接続するように接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送モジュール及び通信装置用ケージに関する。
【背景技術】
【0002】
光伝送モジュールは、装置間や局間の通信に広く使用され、場合によっては、一つの装置内で複数の光伝送モジュールが使用されることもある。光伝送モジュールの使用において、モジュールによって生成される電磁妨害波(EMI)の量が問題となることがある。デジタル電子機器に対する、電磁妨害波の量は、米国では連邦通信委員会(FCC)のような機関によって規制され、ヨーロッパでは国際無線障害特別委員会(CISPR)のような機関によって規制されている。光伝送モジュールは、一つの装置において、複数個で使用されることもあるため、EMI放射量を制限値内とするためには、光伝送モジュールからのEMI放射は最小限に抑える必要がある。
【0003】
光伝送モジュールからのEMI放射量を低減するための、従来の解決法としては、光伝送モジュールの周りに、バネ指を備えた金属カラーを配置するものがあった。あるいは、光伝送モジュールを収納するケージの内側に、バネ指を備えた金属カラーを配置することが知られている。いずれの構造でも、光伝送モジュールとこれが挿入されるケージとを金属カラーで電気的に接続するようになっている。特に、特許文献1には、光伝送モジュールとケージの間の空間を金属カラーで密閉し、導電性ガスケットで金属カラーと光伝送モジュールの間の空間を埋めて、ケージ、金属カラー、および、光伝送モジュールの電気的接続を強化することで、EMI放射量を低減することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7928324号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、光伝送モジュールとケージの間の空間を金属カラーや導電性ガスケットで密閉することは実際には困難であり、金属カラーや導電性ガスケットでは十分にEMI放射量を低減できない場合があった。
【0006】
本発明は、光伝送モジュールから生じる電磁妨害波の放射を十分に低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る光伝送モジュールは、通信装置のケージに挿し込んでプラグ接続可能な光伝送モジュールであって、光エネルギー及び電気エネルギーの一方を他方に変換する光電気デバイスと、前記光電気デバイスを収納するハウジングと、前記ハウジングに電気的に接続するように前記ハウジングの外側に突出して設けられた電気的接続片と、電磁波を前記電磁波以外のエネルギーに変換することで前記電磁波を吸収する電磁波吸収部材と、を有し、前記電気的接続片は、前記ハウジングに電気的に接続された取付部と、前記ハウジングから間隔をあけて浮いた状態のフローティング部を備え、前記電磁波吸収部材は、前記ハウジングと前記フローティング部との間に少なくとも一部が配置され、前記フローティング部は、前記ハウジングが前記ケージに挿入されたときに、前記ケージの内側に少なくとも一部が電気的に接続するように接触することを特徴とする。本発明によれば、ハウジングとケージとの間の空間を電気的接続片で塞ぐようになっているが、電磁波の漏洩を防ぎきることができない。そこで、電磁波吸収部材を設けることで、外部への電磁波を吸収するようになっている。電磁波吸収部材は、ハウジングとフローティング部の間に少なくとも一部が配置されるので、効率的に電磁波を吸収することができる。
【0008】
(2)(1)に記載された光伝送モジュールにおいて、前記電気的接続片は、隣同士に隙間をあけて配列された複数の指状片からなり、それぞれの前記指状片が、前記ハウジングとの前記取付部及び前記フローティング部を有し、前記電気的接続片は、前記光伝送モジュールが前記ケージに挿入された際に、前記ケージの開口部近傍に配置されるように前記ハウジングに取付けられたことを特徴としてもよい。
【0009】
(3)(1)又は(2)に記載された光伝送モジュールにおいて、前記電磁波吸収部材は、前記電気的接続片の前記フローティング部の、前記ハウジングとの前記取付部に隣接する部分との対向を避けて設けられていることを特徴としてもよい。
【0010】
(4)(1)から(3)のいずれか1項に記載された光伝送モジュールにおいて、前記電磁波吸収部材は、シート状であり、前記電気的接続片の前記フローティング部の前記ハウジングと対向する第1対向面及び/若しくは前記ハウジングの前記フローティング部と対向する第2対向面に貼り付けられていることを特徴としてもよい。
【0011】
(5)(1)から(4)のいずれか1項に記載された光伝送モジュールにおいて、前記電気的接続片は、前記ハウジングの前記ケージへの挿し込み方向に延びる軸を囲む方向に、前記ハウジングの外面の全辺にわたって設けられていることを特徴としてもよい。
【0012】
(6)(5)に記載された光伝送モジュールにおいて、前記電磁波吸収部材は、前記軸を囲む方向に、前記ハウジングの外面の全辺にわたって切れ目なく設けられていることを特徴としてもよい。
【0013】
(7)本発明に係る通信装置用ケージは、光伝送モジュールを挿し込んでプラグ接続するための通信装置用ケージであって、開口を有して中空の本体と、前記本体の内側に突出して設けられた電気的接続片と、電磁波を前記電磁波以外のエネルギーに変換することで前記電磁波を吸収する電磁波吸収部材と、を有し、前記電気的接続片は、前記本体に電気的に接続された取付部と、前記本体から間隔をあけて浮いた状態のフローティング部を有し、前記電磁波吸収部材は、前記本体と前記フローティング部との間に少なくとも一部が配置され、前記フローティング部は、前記光伝送モジュールが前記本体に挿入されたときに、前記光伝送モジュールの外側に少なくとも一部が電気的に接続するように接触することを特徴とする。本発明によれば、光伝送モジュールと本体との間の空間を電気的接続片で塞ぐようになっているが、電磁波の漏洩を防ぎきることができない。そこで、電磁波吸収部材を設けることで、外部への電磁波を吸収するようになっている。電磁波吸収部材は、本体とフローティング部の間に少なくとも一部が配置されるので、効率的に電磁波を吸収することができる。
【0014】
(8)(7)に記載された通信装置用ケージにおいて、前記電気的接続片は、隣同士に隙間をあけて配列された複数の指状片からなり、それぞれの前記指状片が、前記本体との前記取付部及び前記フローティング部を有し、前記電気的接続片は、前記本体の開口部近傍に配置されていることを特徴としてもよい。
【0015】
(9)(7)又は(8)に記載された通信装置用ケージにおいて、前記電磁波吸収部材は、前記電気的接続片の前記フローティング部の、前記本体との前記取付部に隣接する部分との対向を避けて設けられていることを特徴としてもよい。
【0016】
(10)(7)から(9)のいずれか1項に記載された通信装置用ケージにおいて、前記電磁波吸収部材は、シート状であり、前記電気的接続片の前記フローティング部の前記本体と対向する第1対向面及び/若しくは前記本体の前記フローティング部と対向する第2対向面に貼り付けられていることを特徴としてもよい。
【0017】
(11)(7)から(10)のいずれか1項に記載された通信装置用ケージにおいて、前記電気的接続片は、前記本体の前記光伝送モジュールへの挿し込み方向に延びる軸を囲む方向に、前記本体の内面の全辺にわたって設けられていることを特徴としてもよい。
【0018】
(12)(11)に記載された通信装置用ケージにおいて、前記電磁波吸収部材は、前記軸を囲む方向に、前記本体の内面の全辺にわたって切れ目なく設けられていることを特徴としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光伝送モジュールが装着された通信装置を示す概略図である。
【図2】図1に示す光伝送モジュールを通信装置から取り外して示す概略図である。
【図3】第1の実施形態に係る光伝送モジュールの具体例を示す斜視図である。
【図4】第1の実施形態の変形例に係る光伝送モジュールを示す概略図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る通信装置用ケージを備えた通信装置を、光伝送モジュールが装着された状態で示す概略図である。
【図6】第2の実施形態に係る通信装置用ケージの具体例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0021】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る光伝送モジュールが装着された通信装置を示す概略図である。図2は、図1に示す光伝送モジュールを通信装置から取り外して示す概略図である。図3は、第1の実施形態に係る光伝送モジュールの具体例を示す斜視図である。
【0022】
図3に示す光伝送モジュールは、SFP+(Small Form-Factor Pluggable Plus)タイプであるが、本発明は、CFP(C Form-Factor Pluggable)タイプの光伝送モジュールにも適用することができる。また、本発明を適用することができる光伝送モジュールはケージに挿抜する光モジュールであれば、これらに限らない。
【0023】
光伝送モジュールは、通信装置のケージ10に挿し込んでプラグ接続可能(プラガブル)になっている。通信装置は、筺体12に複数(多数)のケージ10を備えている。ケージ10は、開口を有して中空になっている。ケージ10は、金属などの導電体からなり、グランド電位に接続されている。特に限定されないが、ここでは1つのケージ10は、1つの光伝送モジュールを収納するようになっている。光送信モジュールの挿し込み方向において、ケージ10の奥には電気コネクタ14が配置されている。電気コネクタ14は、配線基板16に固定されるとともに電気的に接続されている。なお、ケージ10はアレイ状、またはマトリックス状に形成されており、複数の光伝送モジュールを収納するタイプもある。
【0024】
光伝送モジュールは、光電気デバイス18を有する。光電気デバイス18は、光エネルギー及び電気エネルギーの一方を他方に変換するようになっている。また光電気デバイス18は、図1の左側から図示しない光コネクタと接続される光レセプタクルに収納されている。より具体的にはTOSA(Transmitter Optical SubAssembly) やROSA(Receiver Optical SubAssembly)である。さらに、光伝送モジュールは、配線基板20を有し、光電気デバイス18は配線基板20に電気的に接続されている。配線基板20は、図示しない端子を有しており、通信装置の電気コネクタ14に挿し込まれて電気的な接続を図るようになっている。
【0025】
光伝送モジュールは、ハウジング22を有する。ハウジング22は、光電気デバイス18及び配線基板20などを収納する。ハウジング22は、金属などの導電体からなる。ハウジング22の内側には、光電気デバイス18及び配線基板20などの電磁波を発生させる部品が収納されているが、ほとんどは導電性のハウジング22によって遮蔽されている。しかし電気コネクタ14との接続部等のハウジング22の開口部より、電磁波は外部に放射される。この電磁波の一部は、ハウジング22とケージ10の隙間を伝わって、空間的にケージ10の開口部に向かって伝播される。さらにこの電磁波の一部は、電磁誘導効果によりハウジング22の表面に誘導電流を発生させ、さらにこの誘導電流によりハウジング22の外側には電磁波が発生し、ここからケージ10の開口部に向かって伝播するものもある。
【0026】
ハウジング22には電気的接続片24が設けられている。詳しくは、電気的接続片24は、ハウジング22の外側に突出して設けられている。電気的接続片24は、ハウジング22との取付部26を有する。電気的接続片24がハウジング22と一体的になっているのであれば、取付部26は、ハウジング22から突出する根元の部分である。また電気的接続片24は、伝送モジュールがケージ10に挿入された際に、ケージ10の開口部近傍に配置されるようにハウジング22に取付けられている。電気的接続片24は、導電体からなり、ハウジング22に電気的に接続する。電気的接続片24は弾力性(バネ性)を有する材料からなる。電気的接続片24は、フローティング部28を有する。この実施例ではフローティング部28は、ハウジング22との取付部26よりもケージ10への挿し込み方向(図1で右方向)とは反対方向の位置(図1で左側)にある。フローティング部28は、ハウジング22から間隔をあけて浮いている。なお、挿抜に障害がないように工夫されていれば、フローティング部28が取付部26よりもケージ10への挿し込み方向の位置(図1で右側)にあっても良い。さらに電気的接続片24は一般的には、金属カラー、(EMI)フィンガー等と呼ばれることがある。
【0027】
ハウジング22がケージ10に挿入されたときに、フローティング部28の少なくとも一部は、ケージ10の内側に電気的に接続するように接触する。特に、フローティング部28は、その弾力性(バネ性)によって、ケージ10に押圧するように接触する。
【0028】
図3に示すように、電気的接続片24は、隣同士に隙間をあけて配列された複数の指状片30からなる。電気的接続片24を複数の指状片30に分離することで、電気的接続片24をケージ10に十分に接触させることができる。指状片30は、弾力性を確保するための長さを有する。隣同士の指状片30の隙間は微細なものであり、ハウジングから放射された電磁波が隙間を通過する量はごく微量であり無視できる。指状片30が、ハウジング22との取付部26及びフローティング部28を有する。電気的接続片24は、ハウジング22のケージ10への挿し込み方向に延びる軸を囲む方向に、ハウジング22の外面の4辺にわたって設けられている。
【0029】
電気的接続片24によって、ハウジング22とケージ10が電気的に接続されるので、ハウジング22を流れる誘導電流は電気的接続片24に流れる。また、電気的接続片24によって、ハウジング22とケージ10の間の隙間がふさがれるが、隙間を完全にふさぐことは困難である。特に、隣同士の指状片30の間には隙間が形成される。隙間からの電磁波の漏れは十分低減されたものであるが、ハウジング22から電気的接続片24に流れる誘導電流や、ハウジング22の外側に発生した電磁波によって電気的接続片24に発生する誘導電流によって、電気的接続片24から電磁波が生じる。つまり、電気的接続片24によって、ハウジング22とケージ10の間に電磁波を閉じ込めているのもかかわらず、その外側に向けて、電気的接続片24から電磁波が放射される。
【0030】
そこで、光伝送モジュールは、電磁波吸収部材32を有するようになっている。電磁波吸収部材32は、電磁波を電磁波以外のエネルギー(例えば熱)に変換することで電磁波を吸収する。電磁波吸収部材32は、たとえば、樹脂、ゴム又は繊維に、フェライト粉末などの誘電体、あるいは、カーボン粉末などの磁性体、などの、電磁波損失材料を分散、あるいは、被着させたものであってもよい。電磁波吸収部材32は、シート状である。
【0031】
電磁波吸収部材32の少なくとも一部は、ハウジング22とフローティング部28との間に位置する。この位置に配置することで、電磁波吸収部材32は、効率的に電磁波を吸収することができる。
【0032】
電磁波吸収部材32は、電気的接続片24のフローティング部28の、ハウジング22との取付部26に隣接する部分との対向を避けて設けられている。これにより、電磁波吸収部材32が、フローティング部28の弾性変形を妨げないようになっている。
【0033】
電磁波吸収部材32は、第2対向面36(ハウジング22のフローティング部28と対向する面)に貼り付けられ、第1対向面34(フローティング部28のハウジング22と対向する面)から間隔をあけて配置されている。電磁波吸収部材32は、軸を囲む方向に、ハウジング22の外面で、ケージ10にハウジング22を固定するための機構部品を避けて設けられている。なお、本実施形態では電磁波吸収部材32を第2対向面36に貼り付けているが、第1対向面34に貼り付けても同様の効果が得られる。また可能であれば、第1対向面34および第2対向面36の両方に電磁波吸収部材32を設けても良い。さらに、本実施形態では、電磁波吸収部材32はケージ10にハウジング22を固定するための機構部品を避けて設けられているが、切れ目なくハウジング22の外面の全周にわたって設けられても良い。
【0034】
本実施形態によれば、ハウジング22とケージ10との間の空間を電気的接続片24で塞ぐようになっているが、電磁波が再放射されることは避けられない。そこで、電磁波吸収部材32を電磁波が再放射される部位近傍に設けることで、再放射された電磁波を効果的に吸収するようになっている。
【0035】
本構造の適用のより、ケージ開口部から外部へのEMI放射量は適用前に比べ、約8分の1まで低減した。
【0036】
図2に示す光伝送モジュールのフローティング部28は、ケージ10から取り外した状態で、外方向に拡がるように、取付部26から斜めに延びている。詳しくは、フローティング部28は、1つ又は複数の平坦面を有している。また、フローティング部28の先端(取付部26とは反対側の端部)は、最もハウジング22から離れるようになっている場合もあるし、アーチを描くようにハウジング22側に寄っていても良い。
【0037】
図4は、図2の光伝送モジュールの電気的接続片の変形例を示す概略図である。図4に示す光伝送モジュールのフローティング部128は、取付部126から凸面を描くように延びている。詳しくは、フローティング部128は、取付部126から曲面を描いてハウジング122から離れるように延び、再び、曲面を描いてハウジング122に近づくように延びる。したがって、フローティング部128の中間部が、最もハウジング122から離れるようになっている。
【0038】
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態に係る通信装置用ケージを備えた通信装置を、光伝送モジュールが装着された状態で示す概略図である。通信装置用ケージは、光伝送モジュールが挿し込まれて、通信装置とプラグ接続可能にするためのものである。
【0039】
本実施形態に係る通信装置の詳細は、ケージの構造を除いて、第1の実施形態で説明した通りである。また、本実施形態に係る光伝送モジュールの詳細は、電気的接続片及び電磁波吸収部材を有していない点を除いて、第1の実施形態で説明した通りである。
【0040】
また、本実施形態では、第1の実施形態で説明した電気的接続片及び電磁波吸収部材を通信装置用ケージに設けてある。この違いを考慮した上で、電気的接続片224及び電磁波吸収部材232は、第1の実施形態で説明した内容が該当する。
【0041】
通信装置用ケージの本体238は、開口を有して中空になっている。通信装置用ケージは、電気的接続片224を有する。電気的接続片224は、本体238の内側で開口部近傍に突出して設けられている。電気的接続片224は、本体238との取付部226を有する。電気的接続片224が本体238と一体的になっているのであれば、取付部226は、本体238から突出する根元の部分である。電気的接続片224は、本体238に電気的に接続する。電気的接続片224は、本体238から間隔をあけて浮いた状態のフローティング部228を有する。この実施例では、フローティング部228は、本体238との取付部226よりも光伝送モジュールの挿し込み方向とは反対方向の位置にある。なお、光伝送モジュールの挿抜に障害がないように工夫されていれば、フローティング部228が取付部226よりも挿し込み方向の位置(図5で右側)にあっても良い。
【0042】
電気的接続片224は、隣同士に隙間をあけて配列された複数の指状片230からなる。指状片230が、本体238との取付部226及びフローティング部228を有する。電気的接続片224は、本体238の光伝送モジュールへの挿し込み方向に延びる軸を囲む方向に、本体238の内面の全周にわたって設けられている。なお、電気的接続片224は本体228に光伝送モジュールを固定するための機構部品を避けて設けられていても良い。
【0043】
通信装置用ケージは、電磁波吸収部材232を有する。電磁波吸収部材232は、電磁波を電磁波以外のエネルギー(例えば熱)に変換することで電磁波を吸収する。電磁波吸収部材232は、シート状である。電磁波吸収部材232の少なくとも一部は、本体238とフローティング部228との間に位置する。電磁波吸収部材232は、フローティング部228の、本体238との取付部226に隣接する部分との対向を避けて設けられている。
【0044】
電磁波吸収部材232は、第2対向面236(本体238のフローティング部228と対向する面)に貼り付けられ、第1対向面234(電気的接続片224のフローティング部228の本体238と対向する面)から間隔をあけて配置されている。なお、本実施形態では電磁波吸収部材232を第2対向面236に貼り付けているが、第1対向面234に貼り付けても同様の効果が得られる。さらに可能であれば、第1対向面234および第2対向面236の両方に電磁波吸収部材232を設けても良い。電磁波吸収部材232は、軸を囲む方向に、本体238の内面の全周にわたって切れ目なく設けられている。なお、電磁波吸収部材232は、本体228に光伝送モジュールを固定するための機構部品を避けるように設けられていても良い。
【0045】
光伝送モジュールが本体238に挿入されたときに、フローティング部228は少なくとも一部が、光伝送モジュールの外側に電気的に接続するように接触する。
【0046】
本実施形態によれば、光伝送モジュールと本体238との間の空間を電気的接続片224で塞ぐようになっているが、電磁波が再放射されることは避けられない。そこで、電磁波吸収部材232を電磁波が再放射される部位近傍に設けることで、再放射された電磁波を吸収するようになっている。電磁波吸収部材232は、本体238とフローティング部228の間に少なくとも一部が配置されるので、効率的に電磁波を吸収することができる。詳しい作用効果は、第1の実施形態で説明した通りであるため、説明を省略する。
【0047】
図6は、第2の実施形態に係る通信装置用ケージの具体例を示す斜視図である。図6に示す通信装置用ケージは、XFP(10 Gigabit Small Form Factor Pluggable)タイプの光伝送モジュールに対応するものである。通信装置用ケージの上にはヒートシンク240が載せられ、ストッパ242でヒートシンク240の外れ止めがなされている。通信装置用ケージに光伝送モジュールを装着すると、ヒートシンク240が光伝送モジュールに接触するようになっている。
【0048】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0049】
10 ケージ、12 筺体、14 電気コネクタ、16 配線基板、18 光電気デバイス、20 配線基板、22 ハウジング、24 電気的接続片、26 取付部、28 フローティング部、30 指状片、32 電磁波吸収部材、34 第1対向面、36 第2対向面、37 光コネクタ、122 ハウジング、126 取付部、128 フローティング部、224 電気的接続片、226 取付部、228 フローティング部、230 指状片、232 電磁波吸収部材、234 第1対向面、236 第2対向面、238 本体、240 ヒートシンク、242 ストッパ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置のケージに挿し込んでプラグ接続可能な光伝送モジュールであって、
光エネルギー及び電気エネルギーの一方を他方に変換する光電気デバイスと、
前記光電気デバイスを収納するハウジングと、
前記ハウジングに電気的に接続するように前記ハウジングの外側に突出して設けられた電気的接続片と、
電磁波を前記電磁波以外のエネルギーに変換することで前記電磁波を吸収する電磁波吸収部材と、
を有し、
前記電気的接続片は、前記ハウジングに電気的に接続された取付部と、前記ハウジングから間隔をあけて浮いた状態のフローティング部を備え、
前記電磁波吸収部材は、前記ハウジングと前記フローティング部との間に少なくとも一部が配置され、
前記フローティング部は、前記ハウジングが前記ケージに挿入されたときに、前記ケージの内側に少なくとも一部が電気的に接続するように接触することを特徴とする光伝送モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載された光伝送モジュールにおいて、
前記電気的接続片は、隣同士に隙間をあけて配列された複数の指状片からなり、それぞれの前記指状片が、前記ハウジングとの前記取付部及び前記フローティング部を有し、前記電気的接続片は、前記光伝送モジュールが前記ケージに挿入された際に、前記ケージの開口部近傍に配置されるように前記ハウジングに取付けられたことを特徴とする光伝送モジュール。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された光伝送モジュールにおいて、
前記電磁波吸収部材は、前記電気的接続片の前記フローティング部の、前記ハウジングとの前記取付部に隣接する部分との対向を避けて設けられていることを特徴とする光伝送モジュール。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載された光伝送モジュールにおいて、
前記電磁波吸収部材は、シート状であり、前記電気的接続片の前記フローティング部の前記ハウジングと対向する第1対向面及び/若しくは前記ハウジングの前記フローティング部と対向する第2対向面に貼り付けられていることを特徴とする光伝送モジュール。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載された光伝送モジュールにおいて、
前記電気的接続片は、前記ハウジングの前記ケージへの挿し込み方向に延びる軸を囲む方向に、前記ハウジングの外面の全辺にわたって設けられていることを特徴とする光伝送モジュール。
【請求項6】
請求項5に記載された光伝送モジュールにおいて、
前記電磁波吸収部材は、前記軸を囲む方向に、前記ハウジングの外面の全辺にわたって切れ目なく設けられていることを特徴とする光伝送モジュール。
【請求項7】
光伝送モジュールを挿し込んでプラグ接続するための通信装置用ケージであって、
開口を有して中空の本体と、
前記本体の内側に突出して設けられた電気的接続片と、
電磁波を前記電磁波以外のエネルギーに変換することで前記電磁波を吸収する電磁波吸収部材と、
を有し、
前記電気的接続片は、前記本体に電気的に接続された取付部と、前記本体から間隔をあけて浮いた状態のフローティング部を有し、
前記電磁波吸収部材は、前記本体と前記フローティング部との間に少なくとも一部が配置され、
前記フローティング部は、前記光伝送モジュールが前記本体に挿入されたときに、前記光伝送モジュールの外側に少なくとも一部が電気的に接続するように接触することを特徴とする通信装置用ケージ。
【請求項8】
請求項7に記載された通信装置用ケージにおいて、
前記電気的接続片は、隣同士に隙間をあけて配列された複数の指状片からなり、それぞれの前記指状片が、前記本体との前記取付部及び前記フローティング部を有し、前記電気的接続片は、前記本体の開口部近傍に配置されていることを特徴とする通信装置用ケージ。
【請求項9】
請求項7又は8に記載された通信装置用ケージにおいて、
前記電磁波吸収部材は、前記電気的接続片の前記フローティング部の、前記本体との前記取付部に隣接する部分との対向を避けて設けられていることを特徴とする通信装置用ケージ。
【請求項10】
請求項7から9のいずれか1項に記載された通信装置用ケージにおいて、
前記電磁波吸収部材は、シート状であり、前記電気的接続片の前記フローティング部の前記本体と対向する第1対向面及び/若しくは前記本体の前記フローティング部と対向する第2対向面に貼り付けられていることを特徴とする通信装置用ケージ。
【請求項11】
請求項7から10のいずれか1項に記載された通信装置用ケージにおいて、
前記電気的接続片は、前記本体の前記光伝送モジュールへの挿し込み方向に延びる軸を囲む方向に、前記本体の内面の全辺にわたって設けられていることを特徴とする通信装置用ケージ。
【請求項12】
請求項11に記載された通信装置用ケージにおいて、
前記電磁波吸収部材は、前記軸を囲む方向に、前記本体の内面の全辺にわたって切れ目なく設けられていることを特徴とする通信装置用ケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−69883(P2013−69883A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207571(P2011−207571)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(301005371)日本オクラロ株式会社 (311)
【Fターム(参考)】