説明

光再生装置、光再生方法及び光記録再生装置

【課題】マーカー位置を高精度で検出できる2次元受光素子を提供する。マーカー位置に基づいて検出画像の幾何補正を行い、正確迅速に記録情報データを再生できる光記録再生装置を提供する。
【解決手段】空間変調パターンに位置検出用マーカーを含めて物体光を生成し、記録媒体に記録する。記録媒体からの検出光からは、2次元センサ16aにより記録情報データとマーカーデータとが検出される。2次元センサのマーカー検出領域52とデータ検出領域51の単位受光素子面積を異ならせることにより、マーカー位置の検出精度を向上させる。また、検出されたマーカーデータのビット長を情報データのビット長より長くすることによっても、マーカー位置の検出精度を向上させる。さらに、検出されたマーカーデータを情報データより先に出力することにより、マーカー位置検出処理や幾何補正などの処理を早期に開始することが可能となり、記録情報の再生を迅速に行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報の記録及び再生を行うために2次元画像による変調光を受光する2次元受光素子、及びそれを用いた光記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録すべき情報を干渉縞としてホログラフィック記録媒体(以下、単に「記録媒体」とも呼ぶ。)に記録するホログラム記録技術が知られている。1つの方法では、記録すべき情報により光源からの光を空間変調して物体光を生成し、その物体光と参照光を記録媒体に照射する。物体光と参照光は記録媒体上で干渉縞を形成し、その干渉縞が記録媒体の記録層に記録される。一方、再生時には、記録媒体に記録された干渉縞に参照光のみを照射し、記録媒体からの検出光を2次元センサにより検出して記録情報を再生する。
【0003】
ホログラム記録において、光源からの光を空間変調器により変調する際、記録情報に対応する画像パターンに加えて、位置検出用のマーカーを空間変調パターンに含める手法が知られている。情報の再生時には、ホログラム記録媒体からの検出光からマーカー位置を検出し、検出されたマーカー位置に基づいて記録情報に対応するデータ画像の幾何補正を行う。これにより、光学系の誤差、ホログラム記録媒体の収縮その他に起因する2次元センサ上の検出画像の位置ずれを補正することができる。
【0004】
上述のように、位置検出用のマーカーを用いたホログラム記録再生装置の例が特許文献1及び2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−16374号公報
【特許文献2】特開2000−122012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、マーカー位置に基づいて検出画像の幾何補正を行い、正確かつ迅速に記録情報データを再生することが可能な光再生装置、光再生方法及び光記録再生装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、光再生装置であって、記録情報に対応する記録情報画像パターンとマーカーとを含む空間変調パターンに応じて光変調された検出光を受光する2次元受光素子と、前記検出光のうち前記記録情報画像パターンに対応する成分を受光して検出情報データを出力し、前記検出光のうち前記マーカーに対応する成分を受光して検出マーカーデータを出力する検出手段と、前記検出情報データ及び前記検出マーカーデータに基づいて前記記録情報を再生する再生手段と、を備え、前記検出手段は、前記検出情報データより前記検出マーカーデータを先に出力することを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、光再生方法であって、記録情報に対応する記録情報画像パターンとマーカーとを含む空間変調パターンに応じて光変調された検出光を、2次元受光素子により受光する工程と、前記検出光のうち前記マーカーに対応する成分を受光して検出マーカーデータを出力する工程と、前記検出マーカーデータの出力後に、前記検出光のうち前記記録情報画像パターンに対応する成分を受光して検出情報データを出力する工程と、前記検出情報データ及び前記検出マーカーデータに基づいて前記記録情報を再生する工程と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、光記録再生装置であって、記録媒体に記録情報を記録情報画像パターンとして記録する記録手段と、前記記録情報に対応する記録情報画像パターンとマーカーとを含む空間変調パターンに応じて光変調された検出光を受光する2次元受光素子と、前記検出光のうち前記記録情報画像パターンに対応する成分を受光して検出情報データを出力し、前記検出光のうち前記マーカーに対応する成分を受光して検出マーカーデータを出力する検出手段と、前記検出情報データ及び前記検出マーカーデータに基づいて前記記録情報を再生する再生手段と、を備え、前記検出手段は、前記検出情報データより前記検出マーカーデータを先に出力することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例に係るホログラム記録再生装置の光学系の構成を示す。
【図2】記録情報の2次元デジタル変調方式の一例を示す。
【図3】実施例に係るホログラム記録再生装置の信号処理系の概略構成を示すブロック図である。
【図4】空間変調器上に表示されたマーカーの例を示す。
【図5】実施例に係る2次元センサの第1の例の平面図である。
【図6】実施例に係る2次元センサの第2の例の平面図である。
【図7】実施例に係る2次元センサの第3の例の平面図である。
【図8】実施例に係る2次元センサの第4の例の平面図である。
【図9】実施例に係る2次元センサのさらに他の例の平面図である。
【図10】2次元センサ及びデータ検出部の構成の一例を示すブロック図である。
【図11】データ検出部内の演算部の構成を示す回路図である。
【図12】データ検出部内のメモリに対するデータ記憶例を示す。
【図13】2次元センサ及びデータ検出部の構成の他の例を示すブロック図である。
【図14】データ検出処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の好適な実施形態では、光再生装置は、記録情報に対応する記録情報画像パターンとマーカーとを含む空間変調パターンに応じて光変調された検出光を受光する2次元受光素子と、前記検出光のうち前記記録情報画像パターンに対応する成分を受光して検出情報データを出力し、前記検出光のうち前記マーカーに対応する成分を受光して検出マーカーデータを出力する検出手段と、前記検出情報データ及び前記検出マーカーデータに基づいて前記記録情報を再生する再生手段と、を備え、前記検出手段は、前記検出情報データより前記検出マーカーデータを先に出力する。
【0012】
また、同様の観点による実施形態によれば、光再生方法は、記録情報に対応する記録情報画像パターンとマーカーとを含む空間変調パターンに応じて光変調された検出光を、2次元受光素子により受光する工程と、前記検出光のうち前記マーカーに対応する成分を受光して検出マーカーデータを出力する工程と、前記検出マーカーデータの出力後に、前記検出光のうち前記記録情報画像パターンに対応する成分を受光して検出情報データを出力する工程と、前記検出情報データ及び前記検出マーカーデータに基づいて前記記録情報を再生する工程と、を備える。
【0013】
上記の光再生装置及び方法によれば、2次元受光素子は、記録情報画像パターン及びマーカーを含む空間変調パターンにより光変調された検出光を受光する。検出光から、記録情報画像パターンに対応する検出情報データが出力され、マーカーに対応する検出マーカーデータが出力される。ここで、検出マーカーデータは検出情報データより先に出力される。よって、検出マーカーデータを利用して直ぐにマーカー位置検出処理を開始することができ、その後の情報データの再生処理を迅速に行うことができる。
【0014】
上記の光再生装置の一態様では、前記2次元受光素子は、前記検出光のうちマーカーに対応する成分を受光する複数のマーカー検出領域を有し、前記検出手段は、前記複数のマーカー検出領域から出力される受光信号をA/D変換するA/D変換器を前記複数のマーカー検出領域毎に有する。この態様では、複数のA/D変換器は各マーカー検出領域から出力される受信信号を並列処理するので、処理時間を短縮することができる。
【0015】
上記の光再生装置の他の一態様では、前記2次元受光素子は、前記検出光のうちマーカーに対応する成分を受光する複数のマーカー検出領域を有し、前記検出手段は、前記複数のマーカー検出領域から出力される受光信号を順にA/D変換する1つのA/D変換器を有する。この態様では、複数のマーカー検出領域から出力される受光信号を1つのA/D変換器で処理することができる。
【0016】
本発明の他の好適な実施形態では、光記録再生装置は、記録媒体に記録情報を記録情報画像パターンとして記録する記録手段と、前記記録情報に対応する記録情報画像パターンとマーカーとを含む空間変調パターンに応じて光変調された検出光を受光する2次元受光素子と、前記検出光のうち前記記録情報画像パターンに対応する成分を受光して検出情報データを出力し、前記検出光のうち前記マーカーに対応する成分を受光して検出マーカーデータを出力する検出手段と、前記検出情報データ及び前記検出マーカーデータに基づいて前記記録情報を再生する再生手段と、を備え、前記検出手段は、前記検出情報データより前記検出マーカーデータを先に出力する。
【0017】
上記の光記録再生装置によれば、2次元受光素子は、記録情報画像パターン及びマーカーを含む空間変調パターンにより光変調された検出光を受光する。検出光から、記録情報画像パターンに対応する検出情報データが出力され、マーカーに対応する検出マーカーデータが出力される。ここで、検出マーカーデータは検出情報データより先に出力される。よって、検出マーカーデータを利用して直ぐにマーカー位置検出処理を開始することができ、その後の情報データの再生処理を迅速に行うことができる。
【実施例】
【0018】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて説明する。
【0019】
(記録再生装置)
図1に本発明の実施例に係るホログラム記録再生装置のピックアップ内に配置される光学系の構成を示す。図1において、ピックアップ10は、情報の記録、再生のためのレーザ光を生成する記録再生用レーザ11と、フォーカスサーボ制御のための赤色レーザ光を生成するサーボ用レーザ21とを備える。
【0020】
情報記録時においては、記録再生用レーザ11から出射した光ビームLoは、レンズ12及び13により構成されるビームエキスパンダによりビーム径が拡大され、空間変調器14に入力される。空間変調器14は、例えば液晶素子により構成することができ、格子状に配置された複数の画素を有する。
【0021】
空間変調器14は、記録すべき信号を2次元デジタル変調して得られる白画素と黒画素のパターンを表示し、そのパターンにより光ビームを空間変調する。空間変調器14による2次元デジタル変調の一例を図2に示す。この例では、図2(a)に示すように、デジタルの入力情報データ、即ち記録媒体1に記録すべき情報データの「0」と「1」をそれぞれ白画素と黒画素の組み合わせにより表現する。上下方向に白画素、黒画素を並べた配列が入力情報データ「0」に対応し、上下方向に黒画素、白画素を並べた配列が入力情報データ「1」に対応する。この例は、1ビットの入力情報データを2ビット(2画素)の2次元変調データに変換するので、1:2差分変調と呼ばれる。
【0022】
この変調方式により、入力情報データ「00101101」を2次元デジタル変換して得られる2次元変調データが図2(b)に出力変調データとして示されている。即ち、この白画素と黒画素により構成される変調画像パターンが出力変調データとして空間変調器14上に表示される。空間変調器14に入射した光ビームLoは、空間変調画像パターンの白画素部分では透過し、黒画素部分では遮断されるため、空間変調器14からは空間変調画像パターンにより光学的に変調された光ビームLoが出射する。なお、上記の例は空間変調の一例であり、本発明の適用は上記の変調方式に限定されるものではない。例えば2ビットの入力情報データを4ビットの2次元変調データに変換する、いわゆる2:4変調方式など、入力情報データを2次元の変調画像パターンに変換し、空間変調器を駆動して光束を空間変調することができれば、いかなる2次元デジタル変調方式を用いてもよい。
【0023】
空間変調器14により空間変調された光ビームLoはハーフミラー15及びダイクロイックミラー17を通過し、対物レンズ18により集光されてホログラフィック記録媒体1に照射される。ダイクロイックミラー17は波長選択性を有し、記録再生用レーザ11からの光ビームLoを透過するが、サーボ用レーザ21からの光ビームLsは反射する性質を有する。
【0024】
記録媒体1の背後(対物レンズ18と反対側)にはミラー19が設けられており、対物レンズ18により集光された光ビームLoは記録媒体1を透過した後、ミラー19により反射されて再度記録媒体内に入射する。従って、対物レンズ18から直接入射した光ビームと、ミラー19により反射された入射した光ビームとは記録媒体1内で干渉縞を形成し、これが記録媒体1に記録される。
【0025】
ミラー19により反射されて記録媒体1に入射した光ビームLoはダイクロイックミラー17を通過し、ハーフミラー15により反射されて2次元センサ16により受光される。2次元センサ16は例えばCCDアレイやCMOSセンサなどとすることができ、入射光量に応じた電気信号を出力する。
【0026】
一方、情報再生時においては、空間変調器14は無変調状態(即ち、全光透過状態)に制御される。よって、記録再生用レーザ11から出射された光ビームLoは空間変調器14により変調されることなく、ハーフミラー15、ダイクロイックミラー17、対物レンズ18を通り、記録媒体1に照射される。この光が再生用参照光となる。記録媒体1内では、再生用参照光と記録媒体1に記録された干渉縞により検出光が発生し、これが対物レンズ18及びダイクロイックミラー17を通過し、ハーフミラー15で反射されて2次元センサ16に入射する。こうして、2次元センサ16上には記録時に空間変調器14により生成された白黒画素の空間変調画像パターンが結像され、このパターンを検出することにより記録情報に対応する再生情報データが得られる。
【0027】
一方、サーボ用レーザ21から出射した光ビームLs(以下、「サーボ用ビーム」と呼ぶ。)は、ハーフミラー22を通過し、ミラー23により反射され、さらにダイクロイックミラー17により反射されて対物レンズ18へ入射する。対物レンズ18は記録再生用レーザ11からの光ビームとともに、サーボ用ビームLsを記録媒体1に集光する。サーボ用ビームは記録媒体1の裏面に設けられた反射層で反射され、さらにダイクロイックミラー17、ミラー23及びハーフミラー22で反射される。そして、サーボ用ビームLsには、シリンドリカルレンズ24により焦点位置からのずれ量に応じた非点収差が発生し、4分割フォトディテクタ25により受光される。4分割フォトディテクタ25は受光量に応じた電気信号を出力するので、4分割フォトディテクタ25で生じた非点収差の量を検出することにより、焦点位置からのずれ量を示すフォーカスエラーが得られる。
【0028】
次に、本実施例のホログラム記録再生装置における信号処理系について説明する。図3は、ホログラム記録再生装置の信号処理系の概略構成を示すブロック図である。
【0029】
ホログラム記録再生装置の信号処理系は、大別して、記録した情報を再生して再生情報データを出力する再生系と、フォーカスサーボ、トラッキングサーボ、スピンドルサーボなどのサーボ制御を行うサーボ系とに分けられる。図3には、再生系の概略構成と、サーボ系の概略構成とが示されている。図3においては、データ検出部37及びデータ復調部38が再生系を構成している。また、I−V変換器31、エラー信号生成部32、加算器33及び制御回路34がサーボ系を構成している。なお、このサーボ系には、トラッキングサーボ、フォーカスサーボなどが含まれる。
【0030】
図3において、記録媒体1はディスク形状であり、スピンドルモータ6によりその回転が制御される。スピンドルモータ6により回転制御された記録媒体1に対して、ピックアップ10から記録用及び再生用の光ビームLoが照射される。ピックアック10は図1に例示した光学系を備えている。図1に示すように、ピックアップ10内では、記録再生用レーザ11から出射された光ビームが記録媒体1に照射され、記録媒体1からの検出光が2次元センサ16により受光される。2次元センサ16からの出力データは再生系で処理される。また、サーボ用レーザ21から出射された光ビームLsも記録媒体1に照射され、その戻り光ビームが4分割フォトディテクタ25により受光される。4分割フォトディテクタ25からの出力データはサーボ系で処理される。
【0031】
まず、再生系の動作について説明する。図3において、ピックアップ10内の2次元センサ16は、受光光量に対応する2次元の画像信号(以下、「検出画像信号Sdet」と呼ぶ。)を出力する。
【0032】
データ検出部37は、2次元センサ16から出力されるアナログの検出画像信号Sdetに基づいて、マーカーに対応するマーカー検出画像データ及び情報データに対応する情報検出画像データを生成し、データ復調部38へ供給する。マーカーとは、記録媒体1に記録された情報の1単位(1ページ)を識別するための情報であり、通常は所定の形状の画像部分として構成される。マーカーは、情報の記録時に記録情報に付加されて記録媒体1に記録される。再生時には、マーカーを検出することにより、記録情報の1単位(1ページ)を特定し、その1ページ内に含まれている記録情報を再生する。
【0033】
具体的には、マーカーは空間変調器14に表示される空間変調画像パターンに付加される。図4に、マーカーを含む空間変調画像パターンの例を示す。図4の例では、空間変調器14の表示領域内の略中央に空間変調画像パターン50が表示されている。また、空間変調画像パターン50の外側であって、空間変調器14の表示領域内の四隅にT字型のマーカー42が表示されている。空間変調器14は、図示しない記録信号処理系から受け取った記録情報を前述のように空間変調して空間変調画像パターン50を生成し、図4に示すように空間変調器14の表示領域内に表示する。さらに、空間変調器14は、予め決められているマーカー42を表示領域の所定位置に表示する。こうして、図4に模式的に示すように、空間変調画像パターン50とマーカー42とを含む表示画像40が空間変調器14の表示領域に表示される。
【0034】
データ復調部38は、マーカー検出画像データに基づいてマーカー位置を検出する。マーカー位置の検出は、テンプレートマッチングにより行われる。テンプレートマッチングとは、マーカー検出画像データと、マーカーを構成する画像データとのマッチングを行い、マーカー検出画像データ内におけるマーカー位置を検出する方法であるが、その方法自体は既知であるので詳細な説明は省略する。
【0035】
そして、データ復調部38は、検出されたマーカー位置に基づいて、例えばアフィン変換などの手法により、情報検出画像データの幾何補正を行う。幾何補正とは、情報記録時と再生時における画素位置のずれを補正することをいう。記録時には空間変調器14から記録媒体1へ、再生時には記録媒体1から2次元センサ16へ光学系を通じて画像が転写されることになる。記録時と再生時とで、光学系の倍率違いやひずみ、媒体の収縮など生じるため、記録時における空間変調器14上の画素と再生時における2次元センサ16上の画素の位置を完全に一致させることは不可能に近い。このため、記録情報の1ページ毎に、マーカー位置を基準として幾何補正が行われる。即ち、空間変調器14上における本来のマーカー42の位置と、検出画像データに基づいて検出されたマーカー42の位置とのずれに基づいて、空間変調画像パターン50に含まれる各画素位置を補正した検出情報画像データDdetを生成する。検出画像データDdetは、記録時に記録情報に基づいて生成され空間変調器14に表示された空間変調画像パターンに応じた「0」、「1」のデジタル値を有している。
【0036】
こうして、データ復調部38は、幾何補正後の検出情報画像データに対して、記録時に空間変調器14において適用した2次元デジタル変調方式に対応する復調方式でデータ復調を行い、記録データに対応する再生情報データDrを出力する。なお、再生情報データDrは、その後、誤り訂正、デインターリーブ、デスクランブルなどを含む後処理が施される。
【0037】
一方、サーボ系においては、4分割フォトディテクタ25からの出力電流をI−V変換器31が出力電圧に変換し、エラー信号生成部32が既知の方法によりトラッキングエラー信号及びフォーカスエラー信号などのエラー信号Seを生成する。加算器33はエラー信号を所定の基準信号Srefと比較され、その比較結果に基づいて制御回路34が制御信号Scを生成してピックアップ10に供給する。ピックアップ10内の図示しないアクチュエータなどは、制御信号Scに基づいて記録媒体1に対する対物レンズ18のトラッキング方向及びフォーカス方向における相対的位置を制御する。こうして、トラッキングサーボ、フォーカスサーボなどが実行される。
【0038】
(2次元センサ)
次に、2次元受光素子としての2次元センサについて説明する。
【0039】
まず、2次元センサの第1の例について説明する。図5に第1の例による2次元センサ16aの平面図を示す。図5(a)に示す2次元センサ16aは、CCD又はCMOSセンサなどにより構成され、中央に配置されたデータ検出領域51と、四隅近傍に配置された4つのマーカー検出領域52とを有する。データ検出領域51は、再生時における記録媒体1からの検出光のうち、図4に示す空間変調画像パターン50に対応する成分を受光し、情報データに対応する検出情報信号(アナログ信号)を出力する。一方、マーカー検出領域52の各々は、再生時における記録媒体1からの検出光のうち、図4に示す各マーカー42に対応する成分を受光し、検出マーカー信号(アナログ信号)を出力する。なお、検出情報信号及び検出マーカー信号は、いずれも後段のデータ検出器37によりデジタルの検出情報データ及び検出マーカーデータに変換されるが、その詳細は後述する。
【0040】
データ検出領域51及びマーカー検出領域52は、いずれも図中の縦横方向に配列された複数の単位受光素子により構成されている。ここで、第1の例による2次元センサ16aで、マーカー検出領域52を構成する単位受光素子の面積は、データ検出領域を構成する単位受光素子の面積より小さいことを特徴とする。図5(b)はマーカー検出領域52及びデータ検出領域51の一部の拡大図である。図示のように、マーカー検出領域52を構成する単位受光素子52aの面積は、データ検出領域51を構成する単位受光素子51aの面積より小さい。
【0041】
このように、マーカー検出領域52の単位受光素子52aの面積を小さくすることにより、マーカー検出領域52の空間分解能を増加させることができる。即ち、データ検出領域51に比べて、マーカー検出領域51の空間分解能が大きくなる。これにより、マーカー位置の検出精度を向上させることができる。既に述べたように、マーカー42は記録媒体1からの検出光を2次元センサ16上の適正な位置に配置するための基準として使用されるので、マーカー位置の検出精度によって、記録媒体1に記録された情報データの再生精度が影響を受ける。よって、本例では、マーカー検出領域52の単位受光素子52aの面積をデータ検出領域51の単位受光素子51aの面積より小さく構成することにより、マーカー位置の検出精度を向上させている。
【0042】
また、第1の例による2次元センサ16aでは、データ検出領域51とマーカー検出領域52とを空間的に分離して設けているので、検出情報信号と検出マーカー信号とを容易に分離して生成することができるという利点がある。
【0043】
なお、上記の2次元センサ16の実際の構成としては、図5(b)に示すように、2次元センサ16の受光面上に物理的に面積の異なる単位受光素子を形成してもよい。また、その代わりに、マーカー検出領域52の単位受光素子52aより小さい単位受光素子面積(即ち2次元センサの物理的な最小単位素子面積)を有する2次元センサを使用し、それら複数の単位受光素子をグループ化してマーカー検出領域52の単位受光素子52a及びデータ検出領域51の単位受光素子51aを構成することとしてもよい。例えば、2次元センサの最小単位素子を4個でマーカー検出領域52の単位受光素子52aを構成し、2次元センサの最小単位素子16個でデータ検出領域51の単位受光素子51aを構成することができる。この方法によれば、特殊な素子構成の2次元センサを製作しなくても、通常の2次元センサの光電変換の単位を変えることにより、図5(a)に示すような単位受光素子面積の異なる領域を構成することができる。
【0044】
次に、2次元センサの第2の例について説明する。図6は第2の例による2次元センサ16bの平面図を示す。図5(a)に示す2次元センサ16aは、データ検出領域51とマーカー検出領域52とが分離しているタイプであったが、図6に示す2次元センサ16bはデータ検出領域51の内部(四隅)にマーカー検出領域52が設けられたタイプである。この例でも、マーカー検出領域52内の単位受光素子の面積は、データ検出領域51内の単位受光素子の面積よりも小さい。よって、図5(a)に示す例と同様に、マーカー位置の検出精度を向上させることができる。
【0045】
また、第2の例による2次元センサ16bでは、データ検出領域51とマーカー検出領域52とを隣接させて設けているので、2次元センサ16bの受光素子全体のサイズを小型化することができるという利点がある。
【0046】
次に、2次元センサの第3の例について説明する。図7に、第3の例による2次元センサ16cの平面図を示す。上記の第1及び第2の例による2次元センサ16a及び16bでは、マーカー検出領域52内の単位受光素子52aの面積は、データ検出領域51内の単位受光素子51aの面積より小さく構成されている。第3の例では、これと逆に、マーカー検出領域52内の単位受光素子52aの面積は、データ検出領域51内の単位受光素子51aの面積より大きく構成されている。その様子が、図7(b)に模式的に示されている。
【0047】
上記の第1及び第2の例では、マーカー検出領域52内の単位受光素子52aの面積を小さくして空間分解能を上げることにより、マーカー位置の検出精度を向上させている。この手法は、2次元センサの受光面に対して、記録媒体1からの検出光が一様にかつ十分な光量で照射されている場合には有効である。しかし、検出光が一様にかつ十分に2次元センサの受光面に照射されていない場合には、マーカー検出領域52の単位受光素子52aの面積を小さくすると、必要なS/N比が確保できなくなり、逆にマーカー位置の検出精度が低下してしまう。
【0048】
第3の例による2次元センサ16cはそのような場合に好適である。第3の例による2次元センサ16cでは、マーカー検出領域52内の単位受光素子52aの面積をデータ検出領域51内の単位受光素子51aの面積より大きくしているので、その分単位受光素子52a当たりの受光量を増加させることができ、S/N比を確保できる。その結果、マーカー位置検出精度を向上させることができる。
【0049】
また、第3の例による2次元センサ16cでは、第1の例による2次元センサ16aと同様に、データ検出領域51とマーカー検出領域52とを空間的に分離して設けているので、検出情報信号と検出マーカー信号とを容易に分離して生成することができるという利点がある。
【0050】
次に、2次元センサの第4の例について説明する。図8に、第4の例による2次元センサ16dの平面図を示す。この2次元センサ16dは、第3の例による2次元センサ16cと同様に、マーカー検出領域52内の単位受光素子52aの面積は、データ検出領域51内の単位受光素子51aの面積より大きく構成されている。その結果、マーカー検出領域52におけるS/N比を確保することができ、その結果マーカー位置の検出精度を向上させることができる。
【0051】
また、第4の例による2次元センサ16dでは、第2の例による2次元センサ16bと同様に、データ検出領域51とマーカー検出領域52とを隣接させて設けているので、2次元センサ16dの受光素子全体のサイズを小型化することができるという利点がある。 図9(a)〜(c)に2次元センサ16の他の構成例を示す。上記の第1乃至第4の例では、データ検出領域51の四隅近傍にマーカー検出領域52を設けているが、本発明の適用はこれには限定されない。例えば図9(a)に示す2次元センサ16eのように、略正方形のデータ検出領域51の対角位置にある2つの隅にマーカー検出領域52を設けてもよい。なお、図9(a)の例では、データ検出領域51の左上と右下にマーカー検出領域52を設けているが、もう一つの対角位置、即ちデータ検出領域51の左下と右上にマーカー検出領域52を設けてもよい。また、図9(a)の例では、第1の例と同様にマーカー検出領域52をデータ検出領域51と分離させているが、第2の例と同様にマーカー検出領域52をデータ検出領域52に近接させて設けてもよい。
【0052】
図9(b)に示す2次元センサ16fは、マーカー検出領域52を、データ検出領域51の四隅ではなく、4辺の略中点近傍に設けた例である。なお、図9(b)の例では、マーカー検出領域52をデータ検出領域51と分離させているが、マーカー検出領域52をデータ検出領域52に近接させて設けてもよい。
【0053】
図9(c)に示す2次元センサ16gは、マーカー検出領域52をデータ検出領域51の全周囲に枠状に設けた例である。この場合も、マーカー検出領域52はデータ検出領域51の外周に近接させてもよい。
【0054】
以上説明したように、本実施例の2次元センサでは、マーカー検出領域52とデータ検出領域51の単位受光素子の面積を異ならせているので、マーカー位置の検出精度を向上させることができる。
【0055】
(データ検出処理)
次に、2次元センサ16により生成された検出情報信号及び検出マーカー信号の処理について説明する。図10にデータ検出部37の構成を概略的に示す。データ検出部37は2次元センサ16からアナログ信号である検出画像信号Sdetを受け取り、デジタル信号である検出画像データDdetを生成してデータ復調部38へ供給する。なお、検出画像信号Sdetには検出情報信号と検出マーカー信号が含まれ、検出画像データDdetには検出情報データ及び検出マーカーデータが含まれる。
【0056】
図示のように、データ検出部37は、A/D変換器81と、演算部90と、メモリ87と、読出順序指定部92とを備える。A/D変換器81は、2次元センサ16から出力される検出画像信号Sdetをデジタル信号(デジタルデータ)に変換し、演算部90へ供給する。具体的には、A/D変換器81は、検出画像信号Sdet中の検出情報信号を検出情報データに変換し、検出画像信号Sdet中の検出マーカー信号を検出マーカーデータに変換する。演算部90は、検出情報データ及び検出マーカーデータをメモリ87に一時的に保存し、データ復調部38へ供給する。本例ではA/D変換器81は8ビットであり、メモリ87は6ビット長であるので、演算部90は8ビットの検出情報データ及び検出マーカーデータを処理してメモリ87に記憶する必要がある。読出順序指定部92は、2次元センサ16からの検出画像信号Sdetの読出順序を指定するものであるが、その詳細は後述する。
【0057】
図11に演算部90の構成を示す。演算部90は、A/D変換器81から出力される8ビットの検出情報データ及び検出マーカーデータを受け取り、検出情報データのビット長(語長)を6ビットとし、検出マーカーデータのビット長(語長)を8ビットとして処理する。即ち、検出マーカーデータのビット長を検出情報データのビット長より長くすることにより、検出マーカーデータの精度を向上させ、マーカー位置の検出精度を向上させる。
【0058】
具体的には、演算部90は、フリップフロップ(以下、「D−FF」と記す。)71〜78と、12進カウンタ82と、デコーダ83と、セレクタ84及び85とを備える。なお、D−FF71は検出情報データの処理用であり、D−FF72〜77は検出マーカーデータの処理用である。また、D−FF78はセレクタ84への切替信号を生成する。
【0059】
2次元センサ16から出力された検出画像信号SdetはA/D変換器81で8ビット量子化され、8ビットの検出情報データ及び検出マーカーデータD(7:0)として出力される。ここで、検出情報データは情報データ用のD−FF71へ供給され、検出マーカーデータはマーカーデータ用のD−FF72〜77へ入力される。なお、D−FF71はD−FF72〜77との位相調整のために挿入されている。
【0060】
D−FF72〜77は、A/D変換器81から出力された8ビットの検出マーカーデータを6ビット単位のグループに分類し、6ビット長のメモリ87に記憶する。具体的には、D−FF72と73、D−FF74と75、D−FF76と77はそれぞれペアで8ビットの検出マーカーデータD(7:0)を記憶する。A/D変換器81からの8ビットの検出マーカーデータD(7:0)のうち上位6ビットD(7:2)がD−FF72に供給され、下位2ビットD(1:0)がD−FF73に供給される。同様に、8ビットの検出マーカーデータD(7:0)のうち上位4ビットD(7:4)がD−FF74に供給され、下位4ビットD(3:0)がD−FF75に供給される。さらに検出マーカーデータD(7:0)のうち上位2ビットD(7:6)がD−FF76に供給され、下位6ビットD(5:0)がD−FF77に供給される。
【0061】
カウンタ82とカウンタ88は読出順序指定部92からのマーカー選択信号をイネーブル信号として動作し、カウンタ82は0〜2のカウント値を繰り返しカウントする。デコーダ83はそのカウント値からDEC_0、DEC_1、DEC_2の3状態の状態信号を生成し、これを各D−FF72〜77にイネーブル信号として入力する。これにより、A/D変換器81から出力される8ビットの検出マーカーデータは、6ビット単位の4つのグループに分類され、6ビット長のメモリ87に供給される。即ち、状態信号DEC_0、に対応する8ビットの検出マーカーデータは、上位6ビットがD−FF72に記憶され、下位2ビットがD−FF73に記憶される。状態信号DEC_1に対応する8ビットの検出マーカーデータは上位4ビットがD−FF74に記憶され、下位4ビットがD−FF75に記憶される。また、状態信号DEC_2に対応する8ビットの検出マーカーデータは上位2ビットがD−FF76に記憶され、下位6ビットがD−FF77に記憶される。
【0062】
上記の3状態を繰り返すことにより、検出マーカーデータは順に6ビット単位に分類される。そして、セレクタ84は上記のように分類された4組の6ビットデータを順に選択してセレクタ85へ供給する。なお、セレクタ84の切替信号はカウンタ88の出力信号の2ビットであるCNT4(1:0)を使用すればよい。D−FF78は、検出マーカーデータを記憶するD−FF72〜77との位相調整のために挿入されている。
【0063】
こうして、8ビットの検出マーカーデータは6ビット単位で順にセレクタ85に供給される。セレクタ85は、読出順序指定部92のマーカー選択信号より、検出マーカーデータの出力期間にはセレクタ84からの出力を選択しており、検出マーカーデータはメモリ87に記憶される。D−FF79は、D−FF72〜77との位相調整のために挿入されている。
【0064】
メモリ87内の検出マーカーデータの記憶状態を図12に模式的に示す。メモリ87は6ビット長であり、演算部90により6ビット単位にグループ化された検出マーカーデータは、検出マーカーデータの記憶領域90mに記憶される。
【0065】
一方、A/D変換器81から出力される8ビットの検出情報データは、上位6ビットのみがD−FF71に記憶され、下位2ビットは破棄される。検出情報データの出力期間には、セレクタ85はD−FF71の出力信号を選択するので、6ビットの検出情報データがメモリ87に供給され、図12に示す検出情報データの記憶領域90dに記憶される。
【0066】
その後、メモリ87からは検出マーカーデータ及び検出情報データがデータ復調部38へ供給される。データ復調部38は前述のように検出マーカーデータに基づいてマーカー位置検出を行う。また、検出されたマーカー位置に基づいて検出情報データの幾何補正を行い、情報データを復調して再生情報データDrとして出力する。
【0067】
以上のように、本実施例のデータ検出部37においては、検出マーカーデータのビット長を8ビットとし、検出情報データのビット長(6ビット)より語長を長くしている。これにより、検出マーカーデータの精度を上げることができ、データ復調部38で行われるマーカー位置の検出精度を向上させることができる。また、情報データの語長をマーカーデータより短くすることにより、情報データの転送速度を増加させることができる。こうして、マーカー位置の検出精度向上と情報データの転送速度向上という要求を同時に満足することが可能となる。
【0068】
次に、2次元センサ16からの検出画像信号Sdetの読出順序について説明する。先に述べたように、検出マーカーデータはマーカー位置の検出に使用され、検出されたマーカー位置に基づいて幾何補正が行われる。従って、情報データよりマーカーデータを先に読み出し、テンプレートマッチングなどの手法によりマーカー位置を早期に確定させた方が幾何補正などのその後の処理を迅速に開始することができるので好ましい。よって、本実施例では、2次元センサ16からの検出画像信号Sdetの読出順序として、まず検出マーカー信号を先に出力し、その後に検出情報信号を出力することとする。
【0069】
図10に2次元センサ16からの検出画像信号Sdetの読出順序を模式的に示す。図10において、2次元センサ16上の各受光素子に読出順序を示す数字が示されている。なお、図10に示す2次元センサ16は図6に示した2次元センサ16bと同一のタイプであり、データ検出領域51の四隅にマーカー検出領域52が設けられている。本例では、2次元センサ16の左上のマーカー検出領域52内の左上の受光素子から順に検出画像信号Sdetが出力され(読出順序1〜9)、次に右上のマーカー検出領域52内の左上の受光素子から順に検出画像信号Sdetが出力される(読出順序10〜18)。同様に、左下のマーカー検出領域52、右下のマーカー検出領域52の受光素子から検出画像信号Sdetが順に出力される(読出順序19〜36)。こうしてマーカー検出領域52から検出画像信号Sdetが出力された後、データ検出領域51内の受光素子から検出画像信号Sdetが順に出力される(読出順序37〜84)。
【0070】
2次元センサ16における読出位置の指定は、データ検出部37内の読出順序指定部92により行われる。即ち、読出順序指定部92が2次元センサ16上の受光素子の位置(アドレス)を指定する信号Sadを2次元センサ16に供給することにより、読出順序が制御される。
【0071】
図13にデータ検出部37の他の例を示す。この例では、2次元センサ16を上下左右に4分割し、各エリア毎にA/D変換器81を設けている。A/D変換までの処理を各エリア毎に並列に実行することができるので、処理時間を短縮することができる。
【0072】
図14に、本実施例によるデータ検出処理のフローチャートを示す。なお、この処理は主としてデータ検出部37及びデータ復調部38により実行される。
【0073】
まず、読出順序指定部92は2次元センサ16のマーカー検出領域52を指定し、検出マーカー信号を生成する。そして、データ検出部37はA/D変換などを行って検出マーカーデータを作成し、データ復調部38へ供給する(ステップS21)。データ復調部38は検出マーカーデータを受け取ると、マーカー位置検出処理を開始する(ステップS31)。こうして、データ検出部37による検出マーカー信号の出力と並行して、マーカー位置検出処理が実行される。
【0074】
次に、マーカー検出領域52内の受光素子から検出マーカー信号が全て出力されると(ステップS22;Yes)、読出順序指定部92は2次元センサ16のデータ検出領域51を指定し、検出情報信号を生成する。そして、データ検出部37はA/D変換などを行って検出情報データを作成し、データ復調部38へ供給する(ステップS23)。データ復調部38では、マーカー位置の検出が完了し、かつ、検出情報データの入力が開始した時点で幾何補正を開始する(ステップS32)。よって、データ検出部37からの検出情報データの出力と並行して幾何補正を行うことができる。こうして、2次元センサ16のデータ検出領域51から検出情報信号の出力が完了すると(ステップS24;Yes)、データ検出部37での処理は終了する。また、データ復調部38では、幾何補正が終了すると、幾何補正後のデータを用いて再生情報データを生成し、出力する(ステップS33)。
【0075】
このように、本実施例では、情報データよりマーカーデータを先に読み出して取得することにより、マーカー位置の検出を早期に行うことができ、幾何補正やデータ復号処理などのその後の処理を迅速に行うことが可能となる。
【0076】
(変形例)
上記の実施例では、データ検出部37において、検出マーカーデータのビット長(語長)を検出情報データのビット長より大きくすることにより、マーカー位置の検出精度を向上させているが、この手法は、2次元センサ16の構成に拘わらず適用可能である。即ち、図10にはマーカー検出領域52とデータ検出領域51の単位受光素子の面積を異ならせた2次元センサ16を図示しているが、マーカー検出領域52とデータ検出領域の単位受光素子の面積が同一の2次元センサを使用する光記録再生装置においても、上記の手法を適用することが可能である。マーカー検出領域とデータ検出領域の単位受光素子の面積が同一であっても、検出マーカーデータのビット長を検出情報データのビット長より長くすることにより、マーカー位置の検出精度を向上させることが可能である。
【0077】
また、上記の実施例では、検出画像信号の読み出しを、データ検出領域51内の受光素子より、マーカー検出領域52内の受光素子から先に行っているが、この手法も2次元センサ16の構成に拘わらず適用可能である。即ち、図10にはマーカー検出領域52とデータ検出領域51の単位受光素子の面積を異ならせた2次元センサ16を図示しているが、マーカー検出領域52とデータ検出領域の単位受光素子の面積が同一の2次元センサを使用する光記録再生装置においても、上記の手法を適用することが可能である。マーカー検出領域とデータ検出領域の単位受光素子の面積が同一であっても、マーカー検出領域から検出信号の読み出しを、データ検出領域からの読み出しより先に行うことにより、マーカー位置の検出精度を向上させることが可能である。
【0078】
また、本発明の適用は、上記実施例に記載したホログラム記録方法には限定されない。例えば、上記の実施例では、光学系において記録時の物体光と参照光を同一の光源からの光ビームを用いて生成しているが、本発明の適用はこれには限られない。例えば、物体光と参照光が別々の光束として記録媒体に照射される構成であっても本発明の適用が可能である。また、ホログラム記録媒体に限らず、記録情報を2次元画像として記録媒体に記録し、2次元画像に対応する検出光として再生を行う記録再生方式であって、位置補正のためのマーカーが情報データとともに記録される種々の光記録再生装置に対して本発明の適用が可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 ホログラフィック記録媒体
10 ピックアップ
14 空間変調器
16 2次元センサ
11 記録再生用レーザ
21 サーボ用レーザ
25 4分割フォトディテクタ
32 エラー生成部
34 制御回路
37 データ検出部
38 データ復調部
42 マーカー
51 データ検出領域
52 マーカー検出領域
81 A/D変換器
87 メモリ
90 演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録情報に対応する記録情報画像パターンとマーカーとを含む空間変調パターンに応じて光変調された検出光を受光する2次元受光素子と、
前記検出光のうち前記記録情報画像パターンに対応する成分を受光して検出情報データを出力し、前記検出光のうち前記マーカーに対応する成分を受光して検出マーカーデータを出力する検出手段と、
前記検出情報データ及び前記検出マーカーデータに基づいて前記記録情報を再生する再生手段と、を備え、
前記検出手段は、前記検出情報データより前記検出マーカーデータを先に出力することを特徴とする光再生装置。
【請求項2】
前記2次元受光素子は、前記検出光のうちマーカーに対応する成分を受光する複数のマーカー検出領域を有し、
前記検出手段は、前記複数のマーカー検出領域から出力される受光信号をA/D変換するA/D変換器を前記複数のマーカー検出領域毎に有することを特徴とする請求項1に記載の光再生装置。
【請求項3】
前記2次元受光素子は、前記検出光のうちマーカーに対応する成分を受光する複数のマーカー検出領域を有し、
前記検出手段は、前記複数のマーカー検出領域から出力される受光信号を順にA/D変換する1つのA/D変換器を有することを特徴とする請求項1に記載の光再生装置。
【請求項4】
記録情報に対応する記録情報画像パターンとマーカーとを含む空間変調パターンに応じて光変調された検出光を、2次元受光素子により受光する工程と、
前記検出光のうち前記マーカーに対応する成分を受光して検出マーカーデータを出力する工程と、
前記検出マーカーデータの出力後に、前記検出光のうち前記記録情報画像パターンに対応する成分を受光して検出情報データを出力する工程と、
前記検出情報データ及び前記検出マーカーデータに基づいて前記記録情報を再生する工程と、を備えることを特徴とする光再生方法。
【請求項5】
記録媒体に記録情報を記録情報画像パターンとして記録する記録手段と、
前記記録情報に対応する記録情報画像パターンとマーカーとを含む空間変調パターンに応じて光変調された検出光を受光する2次元受光素子と、
前記検出光のうち前記記録情報画像パターンに対応する成分を受光して検出情報データを出力し、前記検出光のうち前記マーカーに対応する成分を受光して検出マーカーデータを出力する検出手段と、
前記検出情報データ及び前記検出マーカーデータに基づいて前記記録情報を再生する再生手段と、を備え、
前記検出手段は、前記検出情報データより前記検出マーカーデータを先に出力することを特徴とする光記録再生装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2009−146564(P2009−146564A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33743(P2009−33743)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【分割の表示】特願2004−818(P2004−818)の分割
【原出願日】平成16年1月6日(2004.1.6)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】