説明

光呼吸の低減と光合成の炭素固定率の増大方法

【課題】 光呼吸は光合成の明反応で生じるATPとNADPHの一部を無駄に消費しているので、光呼吸は全く物質生産には貢献しない。光呼吸は光合成による生産性を低減させている。光呼吸を低減し、光合成による炭素固定率を増大させる効果的な方法はない。
【解決手段】 現在の地球大気組成と区分される空間内の大気組成を、低い酸素、高い二酸化炭素状態を作り出し、光呼吸を低減し、光合成による炭素固定率を増大させる。低い酸素、高い二酸化炭素状態を作り出す方法として、区分された空間内で、メタンガス等の炭化水素を燃焼(酸化)させる。酸素が消費され二酸化炭素が発生する等がある。これにより低い酸素、高い二酸化炭素状態を作り出すことにより光呼吸を低減し、光合成による炭素固定率を増大させ植物の物質生産を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光呼吸の低減と光合成の炭素固定率の増大方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光呼吸とは植物が光照射下において通常の呼吸(酸化的リン酸化)と異なる方法で酸素を消費し二酸化炭素を生成することである。
【0003】
光呼吸は、低酸素下では二酸化炭素の放出は減少し、光呼吸は減少する。また高い二酸化炭素下では光合成による炭素固定の効率が良くなる。
【0004】
なお本発明に関する公知技術として次の非特許文献2を、挙げることが出来る。
【0005】
【非特許文献】 「フリー百科事典ウィキペディア」リブロース1,5ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ オキシゲナーゼ反応 httm://ja.wikipedia.org/wiki/
【非特許文献】 「学研学習辞典デターベース」二酸化炭素濃度と光合成量 httm://db.gakken.co.jp/jiten/ka/127020.htm
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
光呼吸は光合成の明反応で生じるATPとNADPHの一部を無駄に消費しているので、光呼吸は全く物質生産には貢献しない。C3植物は特に顕著で光合成は20%〜50%程度も阻害されているといわれる。光呼吸は光合成による生産性を低減させている。
【0007】
植物は古生代(シルル紀)に、地球大気組成の酸素が減少する中で誕生し、古生代に低い酸素(推定2%)、高い二酸化炭素(推定0.2%)下で最大の生物量となった。その後の地球環境の変化により、現在の大気組成は高い酸素(21%)、低い二酸化炭素(0.04%)下にある。なぜ光呼吸が存在するのか、進化の歴史上において、地球環境の変化(白亜紀からの高い酸素組成)に対応する何らかの必要性があり、生物学的な意味があるという考え方もある。光呼吸を必要とする現在の大気組成は、必ずしも植物の好適環境ではない。
【問題を解決する為の手段】
【0008】
上述の課題を解決する為、本発明は、現在の地球大気組成と区分される空間内の大気組成を植物が誕生し大繁茂した古生代の大気組成である低い酸素、高い二酸化炭素状態を作り出し、光呼吸を低減し、光合成による炭素固定率を増大させる。
【0009】
古生代の大気組成である低い酸素、高い二酸化炭素状態を作り出す方法として、現在の地球大気組成と区分された空間内で炭化水素等を燃焼(酸化)させる。例えばメタンガス(CH)を燃焼(酸化)させると酸素(O)が消費され二酸化炭素(CO)が発生する。これにより低い酸素、高い二酸化炭素状態を作り出す。
【0010】
【化1】

【0011】
メタンガス等の炭化水素は石油、天然ガス等の地下資源や有機物のメタン生成菌等による発酵による。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本発明によれば、低い酸素、高い二酸化炭素状態の大気組成において、光呼吸の低減、光合成の炭素固定の増大が見られる。それにより植物の物質生産量が増える。またメタンガスを二酸化炭素に変換し、植物に固定することにより、温暖化ガスの低減ともなる。
【発明を実施する為の最良の形態】
【0013】
本発明は、現在の地球大気組成と区分された空間である低い酸素、高い二酸化炭素状態を作り出すことにより上述の効果を発揮させる方法であり、様々な形態が考えられる。メタンガス等の炭化水素を様々な燃焼(酸化)方法、器具を用いる方法等がある。
【産業上の利用分野】
【0014】
施設園芸などの農業分野での利用が考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の光呼吸を低減し、光合成による炭素固定率を増大させる方法であって、その為に植物の生育空間を低い酸素、高い二酸化炭素状態とすることを特徴とする光呼吸の低減と光合成の炭素固定率の増大方法。
【請求項2】
現在の地球大気組成と区分される空間内の大気組成を低い酸素、高い二酸化炭素状態の植物生育空間をメタンガス等の炭化水素を燃焼(酸化)させることにより作り出す。メタンガスの燃焼(酸化)は酸素が消費され二酸化炭素が発生する。これにより低い酸素、高い二酸化炭素状態を作り出す事を特徴とする請求項1記載の光呼吸の低減と光合成の炭素固定率の増大方法。
【請求項3】
現在の地球大気組成と区分される空間内の大気組成を低い酸素、高い二酸化炭素状態とする為に、区分される空間内に二酸化炭素を発生または、注入し、酸素を消費、排出する事を特徴とする請求項2記載の光呼吸の低減と光合成の炭素固定率の増大方法。
【請求項4】
メタンガス等の炭化水素は石油、天然ガス等の地下資源や有機物のメタン生成菌等による発酵による。またメタンガスを二酸化炭素に変換し、植物に固定することにより、温暖化ガスの低減ともなる事を特徴とする請求項3記載の光呼吸の低減と光合成の炭素固定率の増大方法。

【公開番号】特開2009−82120(P2009−82120A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−280964(P2007−280964)
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【出願人】(507018447)
【出願人】(507018436)
【Fターム(参考)】