光変調器

【課題】駆動電圧が低く、高速で変調が可能な光変調器を提供する。
【解決手段】光導波路3が形成された基板1と進行波電極4とを有し、進行波電極が、高周波電気信号の印加により光の位相が変調される相互作用部と、コネクタを介し外部回路から高周波電気信号を印加する入力用フィードスルー部と相互作用部を伝搬した高周波電気信号を出力する出力用フィードスルー部を具備し、動作ビットレートの約20〜30%の周波数範囲における少なくとも一点の周波数で、パワー反射率の包絡線が−10〜−15dBにあり、動作ビットレートの約40〜70%の周波数範囲内にパワー反射率の包絡線の一次微分が零で二次微分が正となる極小点を持ち、極小点におけるパワー反射率が−15dB以下となるよう、コネクタもしくは外部回路よりも低く、かつ部分的に相互作用部よりも低い特性インピーダンスを有するインピーダンス変換部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は駆動電圧が低く、かつ高速で変調が可能な光変調器の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
リチウムナイオベート(LiNbO)のように電界を印加することにより屈折率が変化する、いわゆる電気光学効果を有する基板(以下、リチウムナイオベート基板をLN基板と略す)に光導波路と進行波電極を形成した進行波電極型リチウムナイオベート光変調器(以下、LN光変調器と略す)は、その優れたチャーピング特性から2.5Gbit/s、10Gbit/sの大容量光伝送システムに適用されている。最近はさらに40Gbit/sの超大容量光伝送システムにも適用が検討されており、キーデバイスとして期待されている。
【0003】
[第1の従来技術]
このLN光変調器にはz−カット基板を使用するタイプとx−カット基板(あるいはy−カット基板)を使用するタイプがある。ここでは、第1の従来技術としてx−カットLN基板とコプレーナウェーブガイド(CPW)進行波電極を使用したx−カット基板LN光変調器をとり上げ、その斜視図を図10に示す。図11は図10のA−A'における断面図である。なお、以下の議論はz−カット基板でも同様に成り立つ。
【0004】
図中、1はx−カットLN基板、2は1.3μm、あるいは1.55μmなど光通信において使用する波長領域では透明な200nmから1μm程度の厚みのSiOバッファ層、3はx−カットLN基板1にTiを蒸着後、1050℃で約10時間熱拡散して形成した光導波路であり、光は光入射用端面30から光導波路3に入射させる。なお、この光導波路3はマッハツェンダ干渉系(あるいは、マッハツェンダ光導波路)を構成しており、3a、3bは電気信号と光が相互作用する部位(相互作用部と言う)における光導波路(あるいは、相互作用光導波路)、つまりマッハツェンダ光導波路の2本のアームである。CPW進行波電極4は中心導体4a、接地導体4b、4cからなっている。また、図11においてSは中心導体4aの幅で6μmから20μm程度であり、一般には10μm前後が使用されている。一方、Wは中心導体4aと接地導体4b、4cの間のギャップ(あるいはCPWのギャップ)である。
【0005】
この第1の従来技術では、中心導体4aと接地導体4b、4c間にバイアス電圧(通常はDCバイアス電圧)と高周波電気信号(マイクロ波、あるいはRF電気信号とも言う)を重畳して印加する。また、SiOバッファ層2は高周波電気信号の等価屈折率n(あるいは、マイクロ波等価屈折率n)を相互作用光導波路3a、3bを伝搬する光の実効屈折率nに近づけることにより、光変調帯域を拡大するという重要な働きをしている。
【0006】
次に、このように構成されるLN光変調器の動作について説明する。このLN光変調器を動作させるには、中心導体4aと接地導体4b、4c間にDCバイアス電圧と高周波電気信号とを印加する必要がある。
【0007】
図12に示す電圧−光出力特性はある状態でのLN光変調器の電圧−光出力特性であり、Vはその際のDCバイアス電圧である。この図12に示すように、通常、DCバイアス電圧Vは光出力特性の山と底の中点に設定される。
【0008】
図13には半波長電圧Vπと相互作用部の長さLとの積Vπ・LとCPWのギャップWとの関係を示す。なお、CPWのギャップWとしては、現状20μm〜30μm程度が使用されている。CPWのギャップWを狭くすると、相互作用光導波路3a、3bを伝搬する光と相互作用する高周波電界強度が大きくなる。従って、この図に示すように、CPWのギャップWを狭くすると、この積Vπ・Lは小さくなる。そして、この積Vπ・Lが低いほど駆動電圧が低いLN光変調器を実現できる。10Gbps以上の速度でLN光変調器を駆動する際の駆動電圧は5〜6V程度が実用上の限界であり、さらに少しでも駆動電圧が低いことが望まれる。よって駆動電圧の観点からは、CPWのギャップWは狭いことが望ましい。
【0009】
図14には高周波電気信号のマイクロ波の等価屈折率nとCPWのギャップWとの関係を示す。図には相互作用光導波路3a、3bを伝搬する光の等価屈折率n(n≒2.2)も示している。
【0010】
CPWのギャップWが狭くなると中心導体4aと接地導体4b、4cの間に生成された高周波電気信号は比誘電率が4程度と低いSiOバッファ層2を多く感じるので、マイクロ波等価屈折率nを低減することができる(なお、x−カットLN基板1の比誘電率は35程度である)。
【0011】
一般に、マイクロ波等価屈折率nは光の等価屈折率nよりも大きく、LN光変調器を高速・広帯域で動作する際の大きな制限要因となっている。そのためLN光変調器を10Gbps以上の高速で駆動するには、マイクロ波等価屈折率nを光の等価屈折率nに近づけることが不可欠となる。この観点からもCPWのギャップWは狭いことが望ましい。
【0012】
以上のように、駆動電圧を低減するとともにマイクロ波等価屈折率nを光の等価屈折率nに近づけるという観点からはCPWのギャップWは狭いことが望ましいことがわかったが、第1の従来技術においてCPWのギャップWを15μm以下に狭くした際に生じる問題点について以下に記す。
【0013】
図15は中心導体4aと接地導体4b、4cからなるCPW進行波電極4の特性インピーダンスZ(以下の図17におけるZに対応)についてCPWギャップWを変数として示す。CPWギャップWを狭くすると、特性インピーダンスZが30Ωあるいはそれ以下と著しく低くなり、ほぼ50Ω系の外部信号源との間にインピーダンス不整合を生じてしまう。つまり、高周波電気信号のパワー反射率(いわゆるS11)が劣化するという問題が生じる。
【0014】
次に、このことについてさらに詳しく考察する。図10に示したx−カット基板LN光変調器を構成する中心導体4aと接地導体4b、4cからなるCPW進行波電極4の上面図を図16に示す。
【0015】
ここで、Iは不図示の外部信号源からの高周波電気信号をCPW進行波電極4に印加するための不図示のコネクタの芯線(あるいは金リボンや金ワイヤー)を接続する入力用フィードスルー部、IIは入力用フィードスルー部Iと相互作用部IIIとの接続部(あるいは入力側接続部)、IIIは電気信号と光が相互作用する相互作用部、IVは出力用フィードスルー部Vと相互作用部IIIとの接続部(あるいは出力側接続部)である。出力用フィードスルー部Vは不図示のコネクタの芯線(あるいは金リボンや金ワイヤー)もしくは終端抵抗に接続される。
【0016】
なお、入力用フィードスルー部Iの中心導体において高周波電気信号を給電する部位を給電部とし、また、出力用フィードスルーの中心導体において高周波電気信号を取り出す部位を出力部と呼ぶ。
【0017】
図17には図10に示したx−カット基板LN光変調器の等価回路を示す。ここで、5と6は外部回路に対応し、5は電気的ドライバなどの外部信号源、6は外部信号源の特性インピーダンスR(あるいは、負荷抵抗、出力インピーダンス、インピーダンスと呼ばれる)を表す。また、7〜11は入力用フィードスルー部Iから出力用フィードスルー部Vまでの等価的な線路に各々対応する。具体的には、7は入力用フィードスルー部I、8は入力側接続部II、9は相互作用部III、10は出力側接続部IV、11は出力用フィードスルー部Vの線路を各々表す。また、12は終端抵抗である。
【0018】
さらに、Z〜Zは入力用フィードスルー部Iから出力用フィードスルー部Vまでの特性インピーダンスであり、具体的には、Zは入力用フィードスルー部I(あるいは線路7)、Zは入力側接続部II(あるいは線路8)、Zは相互作用部III(あるいは線路9)、Zは出力側接続部IV(あるいは線路10)、Zは出力用フィードスルー部V(あるいは線路11)の特性インピーダンスに対応している。また、Zは終端抵抗12の抵抗値である。
【0019】
次に、図10から図17に示した第1の従来技術のx−カット基板LN光変調器について、インピーダンス不整合と変調帯域の観点からの問題点について考察する。
【0020】
図17において、Zinは外部信号源5とRである負荷抵抗6(あるいは、出力インピーダンス、特性インピーダンス、あるいはインピーダンスをとする)からx−カット基板LN光変調器を見た入力インピーダンスとなる。つまり、Zinは入力用フィードスルー部Iの特性インピーダンスZ、入力側接続部IIの特性インピーダンスZ、相互作用部IIIの特性インピーダンスZ、出力側接続部IVの特性インピーダンスZ、出力用フィードスルー部Vの特性インピーダンスZ、及び終端抵抗12の抵抗値Zを、各部の長さと各部を伝搬する電気信号の等価屈折率を考慮した伝送線路の縦続接続の考え方で合成した特性インピーダンスと言える。図中の13は外部信号源5や負荷抵抗6と入力用フィードスルー部Iとの境界を表す。
【0021】
駆動電圧を下げ、マイクロ波等価屈折率nを光の等価屈折率nに近づけるためにCPWギャップWを15μm以下と狭くした場合を考察する。この場合、相互作用部IIIの特性インピーダンスZは30Ωあるいはそれ以下と低くなる。
【0022】
さて、第1の従来技術では、その他の線路7、8、10、11の特性インピーダンス、つまり入力用フィードスルー部Iの特性インピーダンスZ、入力側接続部IIの特性インピーダンスZ、出力側接続部IVの特性インピーダンスZ、出力用フィードスルー部Vの特性インピーダンスZ、及び終端抵抗12の抵抗値Zは全て相互作用部IIIの特性インピーダンスZと等しくしていた(つまり、Z=Z=Z=Z=Z=Z)。
【0023】
その結果、外部信号源5の負荷抵抗6からx−カット基板LN光変調器を見た入力インピーダンスZinの実部Re(Zin)は図18の実線で示すようにほとんど周波数fに依存せず、相互作用部IIIの特性インピーダンスZと一致し、30Ωもしくはそれ以下と低かった。
【0024】
それに伴い、光の変調指数(パワー変調指数)|m|は入力インピーダンスZinと外部信号源5の負荷抵抗6の特性インピーダンスR(あるいは負荷抵抗、出力インピーダンス、あるいはインピーダンス)とのインピーダンス不整合のために、図19に示すように、周波数fとともに急速に劣化し3dB光変調帯域として10GHzを確保することが極めて困難であった。
【0025】
なお、Z=Z=Z=Z=Z=Zと仮定すると、Zin(この場合には、Zin=Z)が30Ωになると高周波電気信号のパワー反射率(S11)は図20に示すように約−12dBと高く(悪く)なってしまう。ここで、高周波電気信号のパワー反射率(S11)は次の式で与えられる。
11=|(R−Zin)/(R+Zin)| (1)
また、反射された高周波電気信号は外部信号源5へ戻り、外部信号源5から出力される電気信号に重畳されるので、変調された光パルスのジッタ2psを越えてしまう。このように光パルスのジッタが増加すると実際の光伝送において誤り率が高く(悪く)なるので、光パルスのジッタとしては2ps以下と小さくすることが望ましい。
【0026】
[第2の従来技術]
第1の従来技術における外部信号源5の特性インピーダンスRと相互作用部IIIの特性インピーダンスZとのインピーダンス不整合を改善するための技術として、以下において特許文献1に提案された第2の従来技術について説明する。ここで、図10から図20に示した第1の従来技術と同一番号は同一機能部に対応しているため、ここでは同一番号を持つ機能部の説明を省略する。
【0027】
図21に第2の従来技術に使用するCPW進行波電極4の上面図を示す。第2の従来技術においても第1の従来技術と同様に、Iは入力用フィードスルー部、IIは入力側接続部、IIIは相互作用部、IVは出力側接続部、及びVは出力用フィードスルー部である。出力用フィードスルー部Vは不図示のコネクタ芯線(あるいは金リボンや金ワイヤー)もしくは終端抵抗に接続されるのも同じである。これらの第1の従来技術と同じ構成に加えて、図21に示す第2の従来技術には長さLのインピーダンス変換部VIが付加されている。
【0028】
図21の相互作用部IIIのB−B'におけるx−カット基板LN光変調器としての断面図を図22に示す。図11に示した第1の従来技術と同様に、図22に示す第2の従来技術でもCPWのギャップWを15μm程度以下と極めて狭く設定した場合を想定する。CPWのギャップWをこのように狭くすると、前述のように駆動電圧を低減できるとともに高周波電気信号のマイクロ波等価屈折率nを相互作用光導波路3a、3bを伝搬する光の等価屈折率nに近づけることができるという利点はあるものの、相互作用部IIIの特性インピーダンスZは30Ωかそれ以下となる。
【0029】
またインピーダンス変換部VIのC−C'におけるx−カット基板LN光変調器としての断面図を図23に示す。インピーダンス変換部VIにおけるCPWのギャップW'は50μm程度と相互作用部IIIにおけるCPWのギャップWよりも広く設定される。
【0030】
図24には第2の従来技術の等価回路を示す。図17に示した第1の従来技術と同じく、Zは入力用フィードスルー部I(あるいは線路7)、Zは入力側接続部II(あるいは線路8)、Zは相互作用部III(あるいは線路9)、Zは出力側接続部IV(あるいは線路10)、Zは出力用フィードスルー部V(あるいは線路11)の特性インピーダンスであるが、第2の従来技術には特性インピーダンスZのインピーダンス変換部VI(あるいは線路14)が付加されている。
【0031】
図24中の13は外部信号源5の負荷抵抗6(出力インピーダンス、特性インピーダンス、あるいはインピーダンスをRとする)と入力用フィードスルー部Iとの境界を表す。図24においてZin'は外部信号源5と外部信号源5の負荷抵抗6から第2の従来技術のx−カット基板LN光変調器を見た入力インピーダンスである。
【0032】
つまり、Zin'は入力用フィードスルー部Iの特性インピーダンスZ、インピーダンス変換部VIの特性インピーダンスZ、入力側接続部IIの特性インピーダンスZ、相互作用部IIIの特性インピーダンスZ、出力側接続部IVの特性インピーダンスZ、出力用フィードスルー部Vの特性インピーダンスZ、及び終端抵抗12の抵抗値Zを伝送線路の縦続接続の考え方で合成した特性インピーダンスと言える。
【0033】
前述のように、第2の従来技術においてはCPWギャップWを15μm以下と狭くしたので、相互作用部IIIの特性インピーダンスZは30Ωあるいはそれ以下と低くなっている。
【0034】
次に、インピーダンス変換部VIの作用について考察する。簡単のために、入力側接続部IIの特性インピーダンスZ、相互作用部IIIの特性インピーダンスZ、出力側接続部IVの特性インピーダンスZ、出力用フィードスルー部Vの特性インピーダンスZ、及び終端抵抗12のZについて、Z=Z=Z=Z=Zが成り立っているとする。但し、入力側接続部IIと出力側接続部IVはそれらの長さが短いので、特性インピーダンスZ、Zが合成部III'の特性インピーダンスZ'に与える影響は小さい。
【0035】
この場合の等価回路を図25に示す。ここで、Z、Z、Z、Z、Zを合成して形成した合成部III'を表す伝送線路15の特性インピーダンスをZ'とした。また、図21に記した特性インピーダンスがZであるインピーダンス変換部VIの長さを図25にもLとして示している。
【0036】
ここで、入力用フィードスルー部Iの特性インピーダンスZを外部信号源5の負荷抵抗6の特性インピーダンスRと同じ50Ωとする。
【0037】
伝送線路の縦続接続の理論からよく知られているように、インピーダンス変換部VIの特性インピーダンスZと長さL
=(Z・Z')1/2 (2)
= λ/4 (3)
と設定した場合には入力用フィードスルー部I(Z)と合成部III'(Z')との間にインピーダンス整合が成り立ち、電気的反射は無くなる。ZとZ'の相乗平均で表されたZを整合インピーダンスと呼ぶ。なお、議論を簡単にするために、出力側接続部IVと出力用フィードスルー部Vを無視することがある。この場合には、(2)式において合成部III'の特性インピーダンスZ'の代わりに相互作用部IIIの特性インピーダンスZで置き換えれば良い。
【0038】
なお、λは外部信号源5からの高周波電気信号がインピーダンス変換部VIのLN基板を伝搬する際の波長であり、LN基板を伝搬する電磁波の波長という意味で管内波長と呼ばれる。具体的には、高周波電気信号の真空中での波長をλとし、高周波電気信号がLN基板を伝搬する際の等価屈折率をn'とするとλは
λ=λ/n' (4)
として与えられる。
【0039】
次に、Z=R=50Ω、Z'=30Ωとした場合の電気的パワー反射率S11の周波数fに対する依存性について計算した例を図26に示す。ここで、インピーダンス変換部VIの特性インピーダンスZは38.7Ωとなる。また、インピーダンス変換部VIの長さLはその等価屈折率n'を2.5として6mmとなる。なお、相互作用部IIIとインピーダンス変換部VIにおける各々の中心導体の幅SとS'は同じとした。
【0040】
図26からわかるように、(2)式と(3)式を満足するようにインピーダンス変換部VIを設計すると、5GHz、10GHz、15GHz、20GHzなどの特定の周波数において、S11を−50dB以下とでき、電気的なパワー反射をほぼ完全になくすことができる(なお、実際の実験において、ケーブルの接続部などからの電気的な接続などによりS11は負の無限大になることはないが、この第2の従来技術では(2)式と(3)式の条件を満たすものとする)。
【0041】
以上述べたように、この第2の従来技術では(2)式と(3)式を満たす特定の周波数(ここでは、5GHz、10GHz、15GHz、20GHzなど)においては、高周波電気信号の電気的な反射をほぼ完全になくすことができるが、通常、パワー反射率S11としては−50dB、あるいはそれ以下といった極めて小さな値は必要ではない。
【0042】
なお、一般にパワー反射率S11としては−12dBから−15dB程度あれば良いといわれているが、光伝送における光パルスのジッタを(例えば2ps以下に)低減するには、−15dB〜−20dB程度までにパワー反射率S11を抑圧する必要がある(換言すると、パワー反射率S11を−15dB程度以下にすれば、光パルスのジッタとして充分小さな値を実現できる)。
【0043】
逆に、図26から明らかなように、7.5GHz、12.5GHz、17.5GHzにおいては、電気的パワー反射率S11はその包絡線(図26中の破線)である−12dBのレベルまで劣化してしまい、第1の従来技術が持つレベルの悪い反射特性となってしまい、ジッタの観点からも不利となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0044】
【特許文献1】特開2005−37547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0045】
以上のように、入力側や出力側のフィードスルー部や相互作用部などのCPW進行波電極を構成する各部が全て同じ特性インピーダンスであった第1の従来技術に係る光変調器では、駆動電圧を低減するとともに、マイクロ波等価屈折率を光の等価屈折率に近づけるために、バッファ層を薄くしたり、CPW進行波電極のギャップを狭くすると、外部回路とのインピーダンス不整合が生じ、その結果、電気的パワー反射率の周波数特性が悪くなるとともに、変調周波数に対して光変調帯域が急速に劣化するという問題があった。また、反射された高周波電気信号は外部信号源へ戻るので、最終的に変調された光パルスのジッタを増加させるという深刻な問題もあった。つまり、駆動電圧を低減すると、必然的に特性インピーダンスが低下するので、それに伴い電気的パワー反射率が悪化し、光パルスのジッタが増加する。その結果、これまでは駆動電圧を下げることと光パルスのジッタを抑圧することの両立は困難であった。そして先に述べた(2)式と(3)式を満たすインピーダンス変換部を設ける第2の従来技術では、特定の周波数において、電気的な反射をほぼ無視できるほどに、電気的パワー反射率を極めて小さくできるものの、他の周波数においては第1の従来技術のレベルにまで電気的な反射特性が劣化するので、光変調帯域と特に光パルスのジッタの観点から極めて不利であった。
【課題を解決するための手段】
【0046】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1の光変調器は、電気光学効果を有する基板と、該基板に形成された光を導波するための光導波路と、前記基板の一方の面側に形成され、前記光の位相を変調する高周波電気信号を印加するための中心導体及び接地導体からなる進行波電極とを有し、前記進行波電極が、前記高周波電気信号を印加することにより前記光の位相が変調される領域である相互作用部と、コネクタの芯線が接続され、当該コネクタを介して外部回路から前記相互作用部に前記高周波電気信号を印加するための入力用フィードスルー部と、前記相互作用部を通過して伝搬してくる前記高周波電気信号を出力するための出力用フィードスルー部とを具備し、動作ビットレートの約20%から約30%の間の周波数範囲における少なくとも一点の周波数で、パワー反射率の包絡線が−10dBから−15dBの間にある光変調器であって、前記動作ビットレートの約40%から約70%の間の周波数範囲内に前記パワー反射率の包絡線の一次微分が零で二次微分が正となる極小点を持ち、該極小点におけるパワー反射率が−15dB以下となるように、前記コネクタもしくは前記外部回路の特性インピーダンスよりも低い特性インピーダンスを有し、かつ部分的に前記相互作用部の特性インピーダンスよりも低い特性インピーダンスを有するインピーダンス変換部にして、前記コネクタの芯線が接続された前記入力用フィードスルー部もその一部を成す当該インピーダンス変換部を備え、前記インピーダンス変換部の少なくとも一部が、前記相互作用部の特性インピーダンスと前記入力用フィードスルー部の特性インピーダンスとの相乗平均、前記相互作用部の特性インピーダンスと前記入力用フィードスルー部に電気的に接続されるべきコネクタの特性インピーダンスとの相乗平均、もしくは前記相互作用部の特性インピーダンスと前記外部回路の特性インピーダンスとの相乗平均と異なる特性インピーダンスを有し、前記コネクタの芯線が接続された前記入力用フィードスルー部の実効的な特性インピーダンスは、前記コネクタの芯線が接続されていない場合における前記入力用フィードスルー部の特性インピーダンスよりも小さいことを特徴とする。
【0047】
本発明の請求項2の光変調器は、約2GHzから3.7GHzの間の周波数範囲内における少なくとも1点における前記パワー反射率が−10dBから−15dBの間にあり、約4GHzから9GHzの周波数範囲内に前記極小点を具備することを特徴とする。
【0048】
本発明の請求項3の光変調器は、約5GHzから8GHzの間の周波数範囲内における少なくとも1点における前記パワー反射率が−10dBから−15dBの間にあり、約10GHzから18GHzの周波数範囲内に前記極小点を具備することを特徴とする。
【0049】
本発明の請求項4の光変調器は、約9GHzから13GHzの間の周波数範囲内における少なくとも1点における前記パワー反射率が−10dBから−15dBの間にあり、約17GHzから30GHzの周波数範囲内に前記極小点を具備することを特徴とする。
【0050】
本発明の請求項5の光変調器は、約11GHzから16GHzの間の周波数範囲内における少なくとも1点における前記パワー反射率が−10dBから−15dBの間にあり、約22GHzから38GHzの周波数範囲内に前記極小点を具備することを特徴とする。
【0051】
本発明の請求項6の光変調器は、約22GHzから33GHzの間の周波数範囲内における少なくとも1点における前記パワー反射率が−10dBから−15dBの間にあり、約44GHzから77GHzの周波数範囲内に前記極小点を具備することを特徴とする。
【0052】
本発明の請求項7の光変調器は、前記外部回路から前記入力用フィードスルー部に印加された前記高周波電気信号が残留反射を生じつつ、かつ前記インピーダンス変換部が無い場合と比較して電気的反射が小さくなって、前記相互作用部に伝搬することを特徴とする。
【0053】
本発明の請求項8の光変調器は、前記出力用フィードスルー部の特性インピーダンスが前記相互作用部の特性インピーダンスとほぼ同じであることを特徴とする。
【0054】
本発明の請求項9の光変調器は、前記インピーダンス変換部が前記進行波電極の一部に形成されていることを特徴とする。
【0055】
本発明の請求項10の光変調器は、前記インピーダンス変換部が、前記相互作用部と前記入力用フィードスルー部の間の前記進行波電極であることを特徴とする。
【0056】
本発明の請求項11の光変調器は、前記コネクタの芯線を接続した前記入力用フィードスルー部が、前記相互作用部の特性インピーダンスと前記入力用フィードスルー部の特性インピーダンスとの相乗平均、前記相互作用部の特性インピーダンスと前記入力用フィードスルー部に電気的に接続されるべきコネクタの特性インピーダンスとの相乗平均、もしくは前記相互作用部の特性インピーダンスと前記外部回路の特性インピーダンスとの相乗平均と異なる特性インピーダンスを有することを特徴とする。
【0057】
本発明の請求項12の光変調器は、前記基板がリチウムナイオベートであることを特徴とする。
【0058】
本発明の請求項13の光変調器は、前記基板が半導体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0059】
本発明では、動作ビットレートの約20%から約30%の間の周波数範囲における少なくとも一点の周波数で、パワー反射率の包絡線が−10dBから−15dBの間にあるように光変調器の構造を設定することにより駆動電圧を低減した光変調器において、少なくとも一部が外部回路もしくはコネクタの特性インピーダンスよりも低く、かつ少なくとも一部が相互作用部の特性インピーダンスよりも高いインピーダンス変換部を備えさせる。換言すると、意図的にインピーダンス整合の条件を壊し、残留反射を生じさせている。つまり、本発明ではインピーダンス変換部の特性インピーダンスに前述の相乗平均の値を用いていない。また動作ビットレートの約40%から約70%の間の周波数範囲内にパワー反射率の包絡線が−15dB以下の谷(あるいは、パワー反射率の包絡線の一次微分が零で二次微分が正となる極小点)を有するように構造を決定するので、ある特定の、もしくは周期的に特定の周波数においてのみ著しく電気的反射が改善されるわけではなく、必要な周波数帯域において外部回路に戻る電気的な反射が小さくなる。従って、駆動電圧を低減したまま、光変調帯域を広くできる。本発明を適用することにより、駆動電圧が低く、かつ光パルスのジッタが小さいという従来実現が困難であった相反する特性を実現できるという優れた効果がある。そして、本発明は基本周波数がビットレートの半分である(例えば変調のビットレートが11.3Gbit/sの場合には基本周波数がビットレートの半分の5.65GHzとなる)NRZ型の光パルスを利用する伝送方式に適用する光変調器に特に効果的である。また本発明はx−カットLN基板のみでなく、z−カットLN基板などその他の基板にも適用可能であるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1の実施形態における進行波電極についての上面図
【図2】本発明の第1の実施形態に係る光変調器の等価回路図
【図3】本発明の第1の実施形態に係る光変調器の等価回路図
【図4】本発明の第1の実施形態の特性を説明する図
【図5】本発明の第1の実施形態の特性を説明する図
【図6】本発明の第1の実施形態の特性を説明する図
【図7】本発明の第2の実施形態における進行波電極についての上面図
【図8】本発明の第3の実施形態における進行波電極についての上面図
【図9】本発明の第4の実施形態における進行波電極についての上面図
【図10】第1の従来技術に係る光変調器の斜視図
【図11】図10のA−A'線における断面図
【図12】第1の従来技術に係る光変調器の動作を説明する図
【図13】第1の従来技術に係る光変調器のVπ・LとWの関係を説明する図
【図14】第1の従来技術に係る光変調器のnとWの関係を説明する図
【図15】第1の従来技術に係る光変調器のZとWの関係を説明する図
【図16】第1の従来技術の進行波電極についての上面図
【図17】第1の従来技術に係る光変調器の等価回路図
【図18】第1の従来技術に係る光変調器のZinとfの関係を説明する図
【図19】第1の従来技術に係る光変調器の|m|とfの関係を説明する図
【図20】第1の従来技術に係る光変調器のS11とfの関係を説明する図
【図21】第2の従来技術に係る進行波電極についての上面図
【図22】図21のB−B'線における断面図
【図23】図21のC−C'線における断面図
【図24】第2の従来技術に係る光変調器の等価回路図
【図25】第2の従来技術に係る光変調器の等価回路図
【図26】第2の従来技術に係る光変調器のS11とfの関係を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下、本発明の実施形態について説明するが、図10から図26に示した従来技術と同一番号は同一機能部に対応しているため、ここでは同一番号を持つ機能部の説明を省略する。
【0062】
[第1の実施形態]
図1に本発明の実施形態に使用する中心導体4a、接地導体4b、4cからなるCPW進行波電極4の上面図を示す。この第1の実施形態においても第1の従来技術や第2の従来技術と同様に、Iは入力用フィードスルー部であり、不図示のコネクタの芯線に接続される。またこの不図示のコネクタの芯線は外部回路である不図示のドライバに接続される。IIIは相互作用部、IVは出力側接続部、及びVは出力用フィードスルー部である。出力用フィードスルー部Vが不図示のコネクタの芯線(あるいは金リボンや金ワイヤー)もしくは終端抵抗に接続されるのも同じである。VIIはインピーダンス変換部である。ここで、図2に図1の等価回路を示す。なお、図2には示していないが、図1の相互作用部IIIの特性インピーダンスをZとする。図2においてZin''は外部信号源5と外部信号源5の負荷抵抗6から本実施形態のx−カット基板LN光変調器を見た入力インピーダンスである。
【0063】
本実施形態においても駆動電圧を低減するために、相互作用部IIIの特性インピーダンスZ(あるいは、第2の従来技術と同様に合成部III'の特性インピーダンスZ')を30Ω程度に低減している。そして、本発明の目的はこの低駆動電圧性と、電気的反射特性の改善、即ち外部信号源へ戻る電気的反射波を抑圧することによる光パルスのジッタの改善に重きを置いている。
【0064】
この本発明の第1の実施形態は第2の従来技術と同様に線路16からなり、特性インピーダンスZを有するインピーダンス変換部VIIを有している。ここで、注意すべきことは、第2の従来技術ではインピーダンス変換部VIの特性インピーダンスZは入力用フィードスルー部Iの特性インピーダンスZと、相互作用部IIIの特性インピーダンスZとの相乗平均であり、またインピーダンス変換部VIの長さLは高周波電気信号のビットレートに対する管内波長をλとしてλ/4と設定しているが、この本実施形態ではそうなっていない。
【0065】
つまり、インピーダンス変換領域VIIの特性インピーダンスZは入力用フィードスルー部Iの特性インピーダンスZと相互作用部IIIの特性インピーダンスZとの相乗平均でもないし、入力用フィードスルー部Iの特性インピーダンスZと、相互作用部IIIと出力用フィードスルー部Vなどとの合成部III'の特性インピーダンスZ'との相乗平均でもない。またインピーダンス変換部VIIの長さLが高周波電気信号のビットレートの管内波長をλとしてλ/4である必要はない。
【0066】
これらのことは、入力用フィードスルー部Iとインピーダンス変換部VIIをまとめてインピーダンス変換部と考えた場合も同じである。その場合の等価回路を図3に示す。ここで、VII'は入力用フィードスルー部Iとインピーダンス変換部VIIの合成部である。ここで、合成部VII'の特性インピーダンスをZとすると、特性インピーダンスZは、コネクタの特性インピーダンス(あるいは外部信号源5の特性インピーダンスR)と相互作用部IIIの特性インピーダンスZとの相乗平均でもないし、コネクタの特性インピーダンス(あるいは外部信号源5の特性インピーダンスR)と合成部III'の特性インピーダンスZ'との相乗平均でもない。勿論、この場合でもインピーダンス変換部VIIの長さLはおろか、入力用フィードスルー部Iの長さとインピーダンス変換部VIIの長さLの和が高周波電気信号のビットレートの周波数(例えば、高周波電気信号のビットレートが10Gbit/sの場合には10GHz)における管内波長をλとしてλ/4である必要はない。
【0067】
ここで、さらに詳しく考察する。まず、上において述べたように本発明ではインピーダンス変換部VIIの特性インピーダンスZは、第2の従来技術と異なり、入力用フィードスルー部Iの特性インピーダンスZと相互作用部IIIの特性インピーダンスZとの相乗平均でもないし、また入力用フィードスルー部Iの特性インピーダンスZと、相互作用部IIIと出力用フィードスルー部Vなどとの合成部III'の特性インピーダンスZ'との相乗平均でもない。
【0068】
それどころか、上において述べたように、本発明では入力用フィードスルー部Iもインピーダンス変換部の一部として機能させることもできるので、入力用フィードスルー部Iの特性インピーダンスZをインピーダンス変換部VIIの特性インピーダンスZに等しくしておいても良い。
【0069】
というのは、実際には入力用フィードスルー部Iには不図示のコネクタの芯線(以下、省略するが、金リボンや金ワイヤーなどが接続されることもある)が接続されており、この不図示のコネクタの芯線はその直径が100〜300μmと大きな(あるいは厚い)導体であるので、これを接続することにより入力用フィードスルー部Iの特性インピーダンスを大きく低下させる効果がある。
【0070】
従って、入力用フィードスルー部Iの実効的な特性インピーダンスZ(正確には、コネクタの芯線の導体によるインピーダンス低下の影響を受けた入力用フィードスルー部Iの実効的な特性インピーダンスであり、コネクタの芯線を考慮しない場合のZよりも低いのでZと区別するためにZ'とすべきではあるが、ここでは簡単のためにZと記載する)はインピーダンス変換部VIIの特性インピーダンスZよりも低くなる。
【0071】
その結果、例え、インピーダンス変換部VIIの特性インピーダンスZと入力用フィードスルー部Iの特性インピーダンスZを、不図示のコネクタの特性インピーダンス(あるいは外部信号源の特性インピーダンスR)と相互作用部IIIの特性インピーダンスZとの相乗平均、もしくは不図示のコネクタの特性インピーダンス(あるいは外部信号源の特性インピーダンスR)と、相互作用部IIIと出力用フィードスルー部Vなどとの合成部III'の特性インピーダンスZ'との相乗平均としても、不図示のコネクタの芯線などを接続した入力用フィードスルー部Iの特性インピーダンスZ(以下、省略するが、前述のように接続したコネクタの芯線のために、低くなった実効的な特性インピーダンスを指す)はこれらの相乗平均の値よりもかなり低くなっている。
【0072】
そのため、インピーダンス変換の機能を有する部位全体(つまり、入力用フィードスルー部Iとインピーダンス変換部VIIの合成部VII')について考えると、合成部VII'の特性インピーダンスZは上記の相乗平均の値にはなっておらず、より低い値となっている。換言すると、入力用フィードスルー部Iは、インピーダンス変換の機能を有する部位全体VII'(あるいは合成部VII')の特性インピーダンスZを前述の相乗平均からずらす効果を持ち、残留反射を生じつつ広い周波数帯域におけるインピーダンス変換を実現するインピーダンス変換を実現する。
【0073】
つまり、コネクタの芯線を接続することにより、故意に入力用フィードスルーの特性インピーダンスを小さくし、インピーダンス変換の機能を有する部位全体VII'(入力用フィードスルー部Iとインピーダンス変換部VIIの合成部VII')の特性インピーダンスが上述の相乗平均にならないようにすることにより、残留反射を生じさせ、結果的にインピーダンス変換の機能を実現できる周波数を広帯域化している。
【0074】
さらには、入力用フィードスルー部Iの特性インピーダンスZをコネクタ(あるいは、外部信号源の特性インピーダンスR)と同じほぼ50Ωとし、インピーダンス変換部VIIの特性インピーダンスZを、入力用フィードスルー部Iの特性インピーダンスZと相互作用部IIIの特性インピーダンスZ(もしくは相互作用部IIIと出力用フィードスルー部Vなどとの合成部III'の特性インピーダンスZ')との相乗平均とした場合について考える。
【0075】
これまで説明したように、不図示のコネクタの芯線を接続した入力用フィードスルー部Iの特性インピーダンスZは実際には著しく低下する。従って、インピーダンス変換部VIIの特性インピーダンスZは、相互作用部IIIの特性インピーダンスZ(もしくは相互作用部IIIと出力用フィードスルー部Vなどとの合成部III'の特性インピーダンスZ')と、接続されたコネクタの芯線のために実際にはかなり低くなった入力用フィードスルー部Iの特性インピーダンスZとの相乗平均と等しくはならず、この相乗平均より高くなる。
【0076】
このようにして、最終的にインピーダンス変換部VIIの特性インピーダンスZを、コネクタの芯線を接続した入力用フィードスルー部Iの特性インピーダンスZと相互作用部IIIの特性インピーダンスZ(もしくは相互作用部IIIと出力用フィードスルー部Vなどとの合成部III'の特性インピーダンスZ')との相乗平均からずらした結果、残留反射が生じ、結果的にインピーダンス変換機能の周波数を広帯域化することができる。つまり、入力用フィードスルー部Iはインピーダンス変換の周波数を広帯域化するためのインピーダンス変換部の一部として動作することになる。
【0077】
本発明では入力用フィードスルー部Iとインピーダンス変換部VIIとを区別して呼んではいるが、これまで説明したように入力用フィードスルー部Iもインピーダンス変換機能を有しており、入力用フィードスルー部Iとインピーダンス変換部VIIの部位全体として、インピーダンス変換部を構成している。そして、この部位全体として前述の相乗平均が成り立たないように設定している。
【0078】
つまり、コネクタの芯線を接続していない状態での入力用フィードスルー部Iの特性インピーダンスZがインピーダンス変換部VIIの特性インピーダンスZに等しい場合でも、あるいは等しくない場合でも、インピーダンス変換部VIIの特性インピーダンスZを最初から上記の相乗平均からずらしても良いし、コネクタの芯線を接続することにより入力用フィードスルー部Iの特性インピーダンスZを低くした結果、インピーダンス変換部VIIの特性インピーダンスZが上記の相乗平均からずれても良い。さらに、コネクタの芯線を接続することにより、入力用フィードスルー部Iとインピーダンス変換部VIIの全体からなるインピーダンス変換機能を有する部位全体の特性インピーダンスを上記の相乗平均からずらしても良いことは言うまでもない。本発明ではこのようにして、インピーダンス変換の機能を有する部位の特性インピーダンスを上記の相乗平均からずらすことにより、残留反射を生じつつ、インピーダンス変換機能の周波数の広帯域化を図っている。そして、これらの考え方は本発明の全ての実施形態に当てはまる。
【0079】
また、本発明においてはインピーダンス変換部VIIの長さLは高周波電気信号のビットレートにおける管内波長(例えば、高周波電気信号のビットレートが10Gbit/sであれば10GHzにおける管内波長)をλとして第2の従来技術のようにλ/4とする必要はない。つまり、本発明では入力用フィードスルー部Iもインピーダンス変換部の一部であるから、あえてインピーダンス変換部の長さをあげるとするとインピーダンス変換部VIIと入力用フィードスルー部Iの電気的な長さの和となる。
【0080】
但し、そもそも前述の相乗平均の考え方を用いていないので、インピーダンス変換部VIIと入力用フィードスルー部Iの電気的な長さの和を高周波電気信号のビットレートの管内波長をλとしてλ/4とする必要もない。なお、この電気的な長さの和はこのλ/4よりも長い方が好ましいようである。
【0081】
さて、本実施形態においては駆動電圧を低減するために、相互作用部IIIの特性インピーダンスZ(あるいは、出力用フィードスルー部Vは相互作用部IIIとほぼ同じ特性インピーダンスを有するとし、出力用フィードスルー部Vと相互作用部IIIとの合成部III'の特性インピーダンスZ'は相互作用部IIIの特性インピーダンスZと同じとする)を30Ω程度に低減している。この場合のパワー反射率S11(厳密にはパワー反射率S11の包絡線)を図4に示す。図からわかるように、11.3Gbit/sのビットレートの20%から30%の周波数帯内の3GHz付近において−12dB程度の残留反射を持つパワー反射率S11の特性となっている。このように、本発明の光変調器では、ビットレートの20%から30%にあたる周波数帯内の少なくとも1点において、パワー反射率S11は−10dBから−15dBの間にある。そして、ビットレートの周波数の40%から70%にあたる周波数帯域内にパワー反射率が−15dB以下の極小値がある。
【0082】
なお、出力用フィードスルー部Vと相互作用部IIIとをほぼ同じ特性インピーダンスとするために、図1からわかるように出力用フィードスルー部Vにおける中心導体を非線形テーパ形状とし、また中心導体と接地導体の間に設けたギャップの形状も非線形とした。そして、このような出力用フィードスルー部Vの非線形形状は本発明の全ての実施形態について適用可能である。但し、非線形形状が好適であるという意味であり、本発明の効果を発揮できる最重要事項というわけではない。
【0083】
本実施形態では、(2)式や(3)式が成り立っていないので、図26に示した第2の従来技術のような特定の周波数において電気的なパワー反射率S11が極めて良くなることはない。しかしながら、11.3Gbit/sの伝送速度について図4に示すように、11.3Gbit/sのパルスの基本周波数である5.6GHzの領域において電気的パワー反射率S11が−15dB以下であり、かつある程度の幅の周波数帯域において充分なパワー反射率特性S11となっている(なお、厳密には、図4のS11はパワー反射率の包絡線であり、ここではそれをパワー反射率と呼んでいる)。この時、パワー反射率S11の包絡線が谷となる(つまり、パワー反射率S11の包絡線の一次微分がゼロで、二次微分が正となる極小値を与える)周波数Fcが重要となる。
【0084】
図5には11.3Gbit/sの伝送速度の場合について、図4におけるパワー反射率S11の極小点(あるいはパワー反射率S11の包絡線の谷)Fcを変数にした場合の光パルスが有するジッタを示している。図からわかるように、パワー反射率S11の極小点Fcが伝送速度(11.3Gbit/s)の40%から70%の間の周波数帯にあり、そのパワー反射率S11の絶対値が−15dB以下であれば、ジッタは伝送時のエラーがほとんど増加しない2ps以下の値となっている。また、図6には光変調指数の周波数依存性を示している。図からわかるように、本発明を適用することにより、光変調帯域も改善できた。
【0085】
このように、駆動電圧を低く保ったまま(この結果、約2GHzから約3GHzの周波数の領域において、パワー反射率S11が−10dBから−15dBの間と悪くなってしまうが、NRZ型の変調形式の場合にはこの領域における周波数スペクトルは小さい)、光パルスのジッタを低減できる、あるいは光変調帯域を広くできるなど、光変調器としての高性能化を図ることが可能となる。なお、このビットレートの20%から30%、あるいはビットレートの40%から70%という値は10Gbit/sや11.3Gbit/s以外のその他の各種ビットレート、例えば12.5Gbit/s、25Gbit/s、43Gbit/s、50Gbit/s、100Gbit/sでも成り立つ。
【0086】
なお、20%から30%という値は、ビットレートが10Gbit/sから12.5Gbit/sの場合は約2GHzから3.7GHzに、ビットレートが25Gbit/sの場合は約5GHzから8GHzに、ビットレートが43Gbit/sの場合は約9GHzから13GHzに、ビットレートが54Gbit/sの場合は約11GHzから16GHzに、ビットレートが110Gbit/sの場合は約22GHzから33GHzに対応する。
【0087】
そして、40%から70%という値は、ビットレートが10Gbit/sから12.5Gbit/sの場合は約4GHzから9GHzに、ビットレートが25Gbit/sの場合は約10GHzから18GHzに、ビットレートが43Gbit/sの場合は約17GHzから30GHzに、ビットレートが54Gbit/sの場合は約22GHzから38GHzに、ビットレートが110Gbit/sの場合は約44GHzから77GHzに対応する。
【0088】
なお、本発明ではパワー反射率S11の極小点Fcが伝送速度(例えば10Gbit/sや11.3Gbit/sなど)の40%から70%の間に存在することが重要であるが、これは第1の従来技術はおろか第2の従来技術の考え方でも実現できない。
【0089】
つまり、これを実現するには、コネクタの芯線を接続することによる入力フィードスルー部Iの特性インピーダンスZの低下を考慮することが好適である。インピーダンス変換部VIIの特性インピーダンスZのみならず、入力用フィードスルー部Iもインピーダンス変換部と考えて、入力用フィードスルー部Iとインピーダンス変換部VIIとの合成部VII'の特性インピーダンスZを、外部信号源5の特性インピーダンスR(あるいは、負荷抵抗、出力インピーダンス、インピーダンスと呼ばれ、一般に、不図示のコネクタの特性インピーダンスと等しいことが望ましい)と、相互作用部IIIの特性インピーダンスZや、不図示の相互作用部IIIと不図示の出力フィードスルー部などとの合成部III'の特性インピーダンスZ'との相乗平均と異ならしめることが効果的である。
【0090】
また、本発明ではインピーダンス変換部VII(ここで、入力用フィードスルー部Iもインピーダンス変換部としても良い)は一段構成としたが、本発明ではパワー反射率S11の極小点Fcが伝送速度(例えば10Gbit/sや11.3Gbit/sなど)の40%から70%の間に存在し、その極小値Fにおけるパワー反射率S11が−15dB以下となるように設定することが重要であり、これにより変調帯域を改善するとともに特に光パルスのジッタを低減することが特徴であるので、一段構成でなくても2段、あるいは3段以上の多段構成でも良いことは言うまでもない。
【0091】
なお、コネクタの特性インピーダンスは一般に50Ωであり、相互作用部IIIの特性インピーダンスZや合成部III'の特性インピーダンスZ'は30Ωであるので、これらの相乗平均は38.7Ωとなる。残留反射を生じつつ、インピーダンス変換機能を発揮できる周波数を広帯域化するという本発明の効果を発揮するためには、インピーダンス変換部VIIの特性インピーダンスZの値をこの相乗平均の値と異ならしめると効果的である。そこで、入力用フィードスルー部Iとインピーダンス変換部VIIは44Ω(なお、33Ωなどでも良い)とした。
【0092】
但し、入力用フィードスルー部Iには不図示のコネクタの芯線が固定されており、この不図示のコネクタの芯線は直径が100〜300μm程度の大きな(あるいは厚い)導体で構成されている。そのため、不図示のコネクタの芯線を考慮した入力用フィードスルー部Iの特性インピーダンスは29Ω(なお、インピーダンス変換部VIIが33Ωの時は、不図示のコネクタの芯線を考慮した入力用フィードスルー部Iの特性インピーダンスは25Ωに設定した)とますます前述の相乗平均の値と大きく異なっている。
【0093】
ここで、入力用フィードスルー部Iの特性インピーダンスZとインピーダンス変換部VIIの特性インピーダンスZとを前述の相乗平均である38.7Ωとした場合について考察する。入力用フィードスルー部Iには不図示のコネクタの芯線が接続されているために、その実効的な特性インピーダンスZはインピーダンス変換部VIIの特性インピーダンスZ(38.7Ω)よりも実際には大幅に(10Ω前後も)低くなる。その結果、入力用フィードスルー部Iの特性インピーダンスZ(正確には、入力用フィードスルー部Iのコネクタの芯線のために低くなった実効的な特性インピーダンスZとも言える)とインピーダンス変換部VIIからなるインピーダンス変換の部位全体VII'としての特性インピーダンスZは先の相乗平均(38.7Ω)よりも低い値となる。そして、さらにはこの低くなった実効的な特性インピーダンスZは相互作用部IIIの特性インピーダンスZ(あるいは、合成部の特性インピーダンスZ'で、ここでは約30Ω)よりも低い場合がある。
【0094】
このように、入力用フィードスルー部Iとインピーダンス変換部VIIからなるインピーダンス変換の部位全体VII'としての特性インピーダンスZを前述の相乗平均からずらすことにより、残留反射を生じつつ、インピーダンス変換機能を発揮できる周波数を広帯域化するという本発明の効果を発揮することが可能となる。
なお、光パルスのジッタを2ps以下とするには、インピーダンス変換部VIIの特性インピーダンスZや入力用フィードスルー部Iの特性インピーダンスZを前述の相乗平均から2Ω(好適には3Ω)以上離した方が良い。また、入力用フィードスルー部Iの特性インピーダンスZについてはコネクタの芯線を接続することにより、結果的にその値を小さくすることが有効である。そしてこれらのことは本発明の全ての実施形態について言える。
【0095】
そして、不図示のコネクタと相互作用部IIIの間に部分的に相互作用部IIIの特性インピーダンス(あるいは、相互作用部IIIを含む合成部の特性インピーダンスZ')の値よりも低い部分があっても良いし、逆に好都合であると言える。なぜなら、本発明における重要な点はパワー反射率S11の包絡線の極小点Fcがビットレート(例えば10Gbit/sや11.3Gbit/s、25Gbit/s、50Gbit/s、100Gbit/sなど)の周波数(例えば10GHzや11.3GHz、25GHz、50GHz、100GHzなど)の40%から70%の間に存在し、かつその極小点Fcにおけるパワー反射率S11が−15dB以下となるように、設定することであり、この考え方は第2の従来技術には開示されておらず、また第2の従来技術の考え方では決して実現できない。つまり、(2)式や(3)式が成り立たない条件でしか実現できないからである。
【0096】
さらに、本発明ではインピーダンス変換部の特性インピーダンスに前述の相乗平均の値を用いないので、残留反射を完全に抑圧しようとする第2の従来技術の考え方と全く異なり、意図的に広い周波数領域において残留反射を生じさせつつ、かつ必要なレベルにまでその残留反射の値を抑圧するとも言える。
【0097】
[第2の実施形態]
図7に本発明の第2の実施形態に使用するCPW進行波電極4の上面図を示す。本実施形態において、IXは第1インピーダンス変換部、Xは第2インピーダンス変換部、XIは第3インピーダンス変換部である。ここで、第1インピーダンス変換部IX、第2インピーダンス変換部X、第3インピーダンス変換部XIの特性インピーダンスの全てが前述の相乗平均と異なっていても良いし、例えば第2インピーダンス変換部Xの特性インピーダンスを前述の相乗平均とし、第1インピーダンス変換部IXの特性インピーダンスをその相乗平均よりも高く、第3インピーダンス変換部XIの特性インピーダンスをその相乗平均よりも低くしても良い。また、この組み合わせに関わらず、第1インピーダンス変換部IX、第2インピーダンス変換部X、第3インピーダンス変換部XIの特性インピーダンスについて各種組み合わせても良いし、どれか二つが相乗平均となっていても良い。なお、本実施形態と含め、本発明では、不図示のコネクタ芯線を入力用フィードスルー部Iに接続することにより、この部分の特性インピーダンスが大幅に低下することを利用するのも前述の相乗平均からずらすという観点から有効である。
【0098】
[第3の実施形態]
図8に本発明の第3の実施形態に使用するCPW進行波電極4の上面図を示す。本実施形態において、XIIは第1インピーダンス変換部、XIIIは第2インピーダンス変換部である。本実施形態の場合には、インピーダンス変換部XII、XIIIを相互作用部IIIに対して一旦逆方向に折り返して形成することにより、相互作用部IIIの長さを充分長く確保している。なお、この考え方は本発明の第2の実施形態を含め、その他の実施形態にも適用可能である。
【0099】
[第4の実施形態]
図9に本発明の第4の実施形態に使用する中心導体4a、接地導体4b、4cからなるCPW進行波電極4の上面図を示す。本実施形態において、XIVは第1インピーダンス変換部、XVは第2インピーダンス変換部である。本実施形態では図8に示した第3の実施形態と同様に、第1インピーダンス変換部XIVと第2インピーダンス変換部XVを相互作用部IIIに対して一旦逆方向に折り返して形成しているが、相互作用部の始点から光入射用端面までの基板の長手方向における距離を、高周波電気信号の給電部から光入射用端面までの前記基板の長手方向における距離よりも短くすることにより、図8に示した第3の実施形態よりも相互作用部IIIの長さを長く確保している。ここで、光導波路3については、本発明と第1の従来技術と同じなので、光入射用端面については第1の従来技術として紹介した図10に30として記している。さらに、相互作用部IIIの終点から出力用フィードスルー部Vも折り返しても良く、このことは本発明の全ての実施形態について言える。この第4の実施形態に記した相互作用長を長くする考え方は、インピーダンス変換部が2段の場合に限らず、1段、3段あるいはそれ以上であっても良く、本発明の全ての実施形態に適用可能である。そして、本実施形態においても不図示のコネクタ芯線を入力用フィードスルー部Iに接続することにより、この部分の特性インピーダンスが大幅に低下することを利用するのが前述の相乗平均からずらすという観点から有効である。
【0100】
[各実施形態について]
なお、以上においては、進行波電極としてはCPW電極を例にとり説明したが、非対称コプレーナストリップ(ACPS)や対称コプレーナストリップ(CPS)などの各種進行波電極、あるいは集中定数型の電極でも良いことは言うまでもない。また、光導波路としてはマッハツェンダ型光導波路の他に、方向性結合器や直線など、その他の光導波路でも良いことは言うまでもない。LN光変調器としてリッジ構造でも良いことはいうまでもない。
【0101】
また、以上においてコネクタとは一般に使用される同軸タイプのみならず、パッケージ筐体に設けられた平たいマイクロストリップタイプなど、外部回路からパッケージ内の光変調器に高周波電気信号を供給するあらゆるタイプの電気的接続を指している。
【0102】
なお、以上において説明した本発明の実施形態では、インピーダンス変換部の少なくとも一部が相互作用光導波路にほぼ平行な構造として説明したが、ほぼ平行であること自体はインピーダンス変換とは無関係である。従って、インピーダンス変換部の少なくとも一部が相互作用光導波路に斜めあるいは垂直に配置されていても良いことは言うまでもない。
【0103】
以上の本発明の実施形態で説明したインピーダンス変換部の特性インピーダンスの値については、本明細書で述べた数値はあくまで例であり、その他の値でも良いことは言うまでもない。
【0104】
以上の実施形態においては、x−カット、y−カットもしくはz−カットの面方位、即ち、基板表面(カット面)に対して垂直な方向に結晶のx軸、y軸もしくはz軸を持つ基板でも良いし、以上に述べた各実施形態での面方位を主たる面方位とし、これらに他の面方位が副たる面方位として混在しても良いし、LN基板のみでなく、リチウムタンタレートなどその他の基板でも良いことは言うまでもない。
【0105】
以上の説明においては、インピーダンス変換部はLN光変調器のフィードスルー部と相互作用部の間、即ちLN光変調器のチップ上に形成されていたが、インピーダンス変換部を、アルミナ基板やLN基板など別体の基板に形成してそれとLN光変調器を接続しても同じ効果を得ることができる。
【0106】
さらには半導体基板上に形成する進行波電極型の電界吸収光変調器など進行波電極を使用する各種の光デバイスに本発明は使用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0107】
以上のように、本発明に係る光変調器は、RF変調性能について大幅に改善することができるという効果を有し、高速で駆動電圧が低い光変調器として有用である。
【符号の説明】
【0108】
1:x−カットLN基板(基板、LN基板)
2:SiOバッファ層(バッファ層)
3:光導波路
3a、3b:相互作用部の光導波路(光導波路)
4:進行波電極
4a:中心導体
4b、4c:接地導体
5:外部信号源
6:負荷抵抗
7:入力用フィードスルー部Iを表す線路
8:入力側接続部IIを表す線路
9:相互作用部IIIを表す線路
10:出力側接続部IVを表す線路
11:出力用フィードスルー部Vを表す線路
12:終端抵抗
13:外部信号源及び負荷抵抗と入力用フィードスルー部Iとの境界
14:インピーダンス変換部VIを表す線路
15:相互作用部IIIを含んで合成した線路
16:インピーダンス変換部VIIを表す線路
17:入力用フィードスルー部Iと入力インピーダンス変換部VIIを合成したインピーダンス変換部を表す線路
30:光入射用端面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学効果を有する基板と、該基板に形成された光を導波するための光導波路と、前記基板の一方の面側に形成され、前記光の位相を変調する高周波電気信号を印加するための中心導体及び接地導体からなる進行波電極とを有し、前記進行波電極が、前記高周波電気信号を印加することにより前記光の位相が変調される領域である相互作用部と、コネクタの芯線が接続され、当該コネクタを介して外部回路から前記相互作用部に前記高周波電気信号を印加するための入力用フィードスルー部と、前記相互作用部を通過して伝搬してくる前記高周波電気信号を出力するための出力用フィードスルー部とを具備し、動作ビットレートの約20%から約30%の間の周波数範囲における少なくとも一点の周波数で、パワー反射率の包絡線が−10dBから−15dBの間にある光変調器であって、
前記動作ビットレートの約40%から約70%の間の周波数範囲内に前記パワー反射率の包絡線の一次微分が零で二次微分が正となる極小点を持ち、該極小点におけるパワー反射率が−15dB以下となるように、前記コネクタもしくは前記外部回路の特性インピーダンスよりも低い特性インピーダンスを有し、かつ部分的に前記相互作用部の特性インピーダンスよりも低い特性インピーダンスを有するインピーダンス変換部にして、前記コネクタの芯線が接続された前記入力用フィードスルー部もその一部を成す当該インピーダンス変換部を備え、
前記インピーダンス変換部の少なくとも一部が、前記相互作用部の特性インピーダンスと前記入力用フィードスルー部の特性インピーダンスとの相乗平均、前記相互作用部の特性インピーダンスと前記入力用フィードスルー部に電気的に接続されるべきコネクタの特性インピーダンスとの相乗平均、もしくは前記相互作用部の特性インピーダンスと前記外部回路の特性インピーダンスとの相乗平均と異なる特性インピーダンスを有し、
前記コネクタの芯線が接続された前記入力用フィードスルー部の実効的な特性インピーダンスは、前記コネクタの芯線が接続されていない場合における前記入力用フィードスルー部の特性インピーダンスよりも小さいことを特徴とする光変調器。
【請求項2】
約2GHzから3.7GHzの間の周波数範囲内における少なくとも1点における前記パワー反射率が−10dBから−15dBの間にあり、約4GHzから9GHzの周波数範囲内に前記極小点を具備することを特徴とする請求項1に記載の光変調器。
【請求項3】
約5GHzから8GHzの間の周波数範囲内における少なくとも1点における前記パワー反射率が−10dBから−15dBの間にあり、約10GHzから18GHzの周波数範囲内に前記極小点を具備することを特徴とする請求項1に記載の光変調器。
【請求項4】
約9GHzから13GHzの間の周波数範囲内における少なくとも1点における前記パワー反射率が−10dBから−15dBの間にあり、約17GHzから30GHzの周波数範囲内に前記極小点を具備することを特徴とする請求項1に記載の光変調器。
【請求項5】
約11GHzから16GHzの間の周波数範囲内における少なくとも1点における前記パワー反射率が−10dBから−15dBの間にあり、約22GHzから38GHzの周波数範囲内に前記極小点を具備することを特徴とする請求項1に記載の光変調器。
【請求項6】
約22GHzから33GHzの間の周波数範囲内における少なくとも1点における前記パワー反射率が−10dBから−15dBの間にあり、約44GHzから77GHzの周波数範囲内に前記極小点を具備することを特徴とする請求項1に記載の光変調器。
【請求項7】
前記外部回路から前記入力用フィードスルー部に印加された前記高周波電気信号が残留反射を生じつつ、かつ前記インピーダンス変換部が無い場合と比較して電気的反射が小さくなって、前記相互作用部に伝搬することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一つに記載の光変調器。
【請求項8】
前記出力用フィードスルー部の特性インピーダンスが前記相互作用部の特性インピーダンスとほぼ同じであることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一つに記載の光変調器。
【請求項9】
前記インピーダンス変換部が前記進行波電極の一部に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一つに記載の光変調器。
【請求項10】
前記インピーダンス変換部が、前記相互作用部と前記入力用フィードスルー部の間の前記進行波電極であることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一つに記載の光変調器。
【請求項11】
前記コネクタの芯線を接続した前記入力用フィードスルー部が、前記相互作用部の特性インピーダンスと前記入力用フィードスルー部の特性インピーダンスとの相乗平均、前記相互作用部の特性インピーダンスと前記入力用フィードスルー部に電気的に接続されるべきコネクタの特性インピーダンスとの相乗平均、もしくは前記相互作用部の特性インピーダンスと前記外部回路の特性インピーダンスとの相乗平均と異なる特性インピーダンスを有することを特徴とする請求項1に記載の光変調器。
【請求項12】
前記基板がリチウムナイオベートであることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか一つに記載の光変調器。
【請求項13】
前記基板が半導体であることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか一つに記載の光変調器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2013−101414(P2013−101414A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−46613(P2013−46613)
【出願日】平成25年3月8日(2013.3.8)
【分割の表示】特願2007−329036(P2007−329036)の分割
【原出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【Fターム(参考)】