説明

光多重化器及びその製造方法、光情報多重化記録装置及び方法、光情報多重化再生装置及び方法

【課題】光学系の整列誤差、製造費用などを最小化でき、記録装置または再生装置の全体大きさを小型化する。
【解決手段】光情報記録装置において、光源(400)と、上記光源から提供された光を分割するビームスプリッタ(410)と、上記ビームスプリッタから分割された光にデータを載せて信号光を作成する信号光光学系(430,440、441)と、上記ビームスプリッタから分割された他の1つの光を参照光として光情報格納媒体に案内する参照光光学系(460、470、480)とともに、光多重化器(100)を設ける。光多重化器は、上記参照光を所定平面上に沿った異なる角度へ多重化するとともに上記平面から外れる角度へ多重化するため、回折格子が形成された複数の透過部を備え、記録時に回転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光情報多重化及び処理装置に関するものであり、より詳しくは回折格子を用いて光を多重化する光多重化器及びその製造方法、光多重化器を用いた光情報記録装置及び記録方法、光多重化器を用いた光情報再生装置及び再生方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光学的なデータ処理装置はDVD、HD-DVD、ブルーレイディスク(BD)、近接場光情報処理装置、ホログラフィック光情報処理装置などがある。
【0003】
ホログラフィック光情報処理装置は、光変調された信号光と、該信号光と交差して格納媒体に干渉縞を作る参照光とを、格納媒体に照射してデータを格納する。また、データの再生には、参照光を格納媒体の干渉縞に照射し、このとき干渉縞によって生じる回折によって格納媒体に入力されたデータを出力する。
【0004】
ホログラフィック光情報処理装置は、記録容量を増大させるために参照光を1つの光点(beam spot)に異なる角度で照射して多重にデータを格納することができる。また、多重化されたデータは、再生の際、参照光を異なる角度に照射することによって出力される。即ち、ホログラフィック光情報処理装置は、1つの光点に多層化、重畳させてデータ入力と出力とが可能な超大容量データ処理装置である。
【0005】
ホログラフィック光情報処理装置のような光情報処理装置では、光を多重化する装置または方法が用いられる。光を多重化させる方法としては、角度多重化、位相コード多重化、波長多重化などの方法がある。ここで、角度多重化方法は参照光の入射角度を変化させて多重化することであり、位相コード多重化は空間的に位相を変調して多重化することであり、波長多重化は波長可変レーザを用いて波長変化によって多重化することである。
【0006】
光の多重化方法に対する先行技術は、韓国公開特許公報第2005-0102748号、“ホログラフィック情報の記録/再生装置”に開示されている(特許文献)。上記韓国公開特許で言及している通り、データ格納のために2種類以上の多重化方法を採用してホログラフィック光情報を格納することができると言及している。代表的な複合多重化方法は、平面内多重化(In-plane Multiplexing)と平面外多重化(Out-of-plane Multiplexing)とを共に用いる。しかしながら、上記韓国公開特許では複合多重化のための従来の方法が、通常多数の回転ミラーのような複雑な構成と制御系統とが必要であり、且つ装置の大きさが大きくなると開示または暗示している。
【0007】
上記韓国公開特許で提示する、改善された複合多重化方法は、2つのウェッジプリズム(wedge prism)を重なって用い、また格納媒体を回転させて複合多重化を達成すると開示している。また、このためにウェッジプリズムは別途の制御系統を用いて回転と光軸方向への移動とが行われて複合多重化を施すと開示している。上記韓国公開特許は別途の空間に2つの回転ミラーを用いて複合多重化する場合より光学系統の全体大きさは減らすことができると主張している。しかしながら、ウェッジプリズムを回転させるか或いは移動させるべきであるので、多重化のための光学制御が必ず2重的に行われるべきであり、比較的価格が高い2つのウェッジプリズムを用いるべきである。
【特許文献1】韓国公開特許公報第2005-0102748号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前述した問題点を解決するためのものであり、本発明の目的は、回折格子を用いた光多重化器及びその製造方法を提供するためのことである。本発明の他の目的は、回折格子が形成された光多重化器を用いて多重化光情報を記録する光情報記録装置と再生装置並びに記録方法と再生方法とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による光多重化器は、光が透過する複数の光透過部が備えられた基板と、上記複数の光透過部各々に形成され、上記複数の光透過部に入射された光を光透過部ごとに異なる角度で回折させる回折格子とを備える。
【0010】
本発明による光多重化器の製造方法は、第1透過性光反応体に第1光と共に第1角度に第2光を入射し、上記透過性光反応体に第1回折格子を形成し、上記第2光を第1角度と異なる第2角度で第2透過性光反応体に第1光と共に入射し、第2回折格子を形成する。より概念的には、基板等に形成された複数の光透過部に対し、所定の角度で第1光を入射させるとともに、第2光をそれぞれ異なる角度で入射させ、また、上記所定の角度とは異なる角度で第1光を入射させることにより、回折格子を形成する。
【0011】
本発明による光情報記録装置は、光源と、上記光源から提供された光を分割するビームスプリッタと、上記ビームスプリッタから分割された光にデータを載せて信号光を作成する信号光光学系と、上記ビームスプリッタから分割された他の1つの光を参照光として光情報格納媒体に案内する参照光光学系と、上記参照光を、所定平面上に沿った異なる角度へ多重化するとともに、上記平面から外れる角度へ多重化し、上記光情報格納媒体に案内する光多重化器を備える。
【0012】
本発明による光情報記録方法は、光源から照射された光を分離して1つの光を参照光とし、他の1つの光にデータを載せて信号光を発生させ、上記参照光を、回折格子が形成された光透過部に入射させ、上記光透過部を移動させることにより、複数の角度へ多重化し、多重化された上記参照光と上記信号光とを光情報格納媒体に入射させて光情報を上記光情報格納媒体に記録する。
【0013】
本発明による光情報再生装置は、光源と、上記光源から発生した光を光情報が多重格納された光情報格納媒体に進行させる光学系と、上記光を所定平面に沿った角度と上記平面から外れる角度に多重化して上記光情報格納媒体に案内する光多重化器と、上記多重化された上記光によって上記光情報格納媒体で再生される光情報を検出する検出器とを備える。
【0014】
本発明による光情報再生方法は、光を回折格子が形成された光透過部に入射させ、上記光透過部を回転させて上記回折格子で異なる角度の光を生成し、生成された上記光を、光情報が多重に記録された光情報格納媒体に入射し、上記光情報格納媒体に格納された上記光情報を、上記光が入射された角度別に情報再生し、上記情報再生された光を検出する。
【発明の効果】
【0015】
本発明による光多重化器、光情報記録装置及び方法と、光情報再生装置及び方法は、光情報の所定平面に沿った異なる角度で多重化するとともに、平面から外れる角度へ多重化することを1つの基板で施すため、ミラーの制御のための複雑なサーボ制御系統が大幅単純化されることができ、また光学系統の構成も単純化できるので、光学系の整列誤差、製造費用などを最小化でき、記録装置または再生装置の全体大きさを小型化できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下では、前述したように構成された本発明の実施形態による光多重化機器、光情報記録装置と光情報再生装置に対して説明する。以下の実施形態の説明では、光多重化器、該光多重化器を用いた光情報再生装置、及び光多重化器を用いた光情報記録装置に対する実施形態を区分して各々説明するようにする。本発明における光多重化器とは、入射された光を所定の平面内(以下では、横方向間という)且つ平面外(以下では、縦方向間という)に多様に角度を変えるようにするためのものをいう。
【0017】
<光多重化器に対する実施形態>
図1は、本発明の実施形態による光多重化器を示す斜視図であり、図2は本発明の実施形態による光多重化器の光透過部を展開して示す部分断面図である。図1と図2に示されているように、本発明の実施形態による光多重化器(100)は円状のディスク形態からなる基板(110)を備える。しかしながら、基板(110)の形態はディスク形態外の多様な形態で形成されることができる。基板(110)の中央には連結ホール(120)が形成される。連結ホール(120)は、基板(110)に回転力を提供するサーボモータ(未図示)と結合される。従って、基板(110)はサーボモータによって回転する。基板(110)の材質は光を反射または/及び吸収する材質であれば良い。
【0018】
基板(110)の周囲には、可能な等間隔で配置された、第1光透過部(130a) 、第2光透過部(130b)、....、第n光透過部(130n)(nは光透過部のカウンティングされた数)のように、複数の光透過部(130)が形成される。本実施形態において、光透過部(130)の形状は矩形形態であるが、他の実施形態として、弧状で形成でき、あるいは円または楕円などの形状で形成されることができる。このような光透過部(130)は基板(110)の周囲に沿って配置されることが望ましい。
【0019】
光透過部(130)は、基板(110)を貫通した貫通孔(131)と該貫通孔(131)に埋め込まれた光透過性反応体で構成される。また、光透過性反応体(感光体)には回折格子が形成される。該回折格子は、球面波と平面波とが入射されて形成されたホログラフィック干渉縞である。透過性反応体はフォトポリマー(132)を使用することができる。フォトポリマー(132)は、デュポン社の製品名“HRR-660”、“OmniDex-706”、またはAprilis社の製品名“ULSH-500”またはポリメチルメタクリレート(PMMA)などが用いられることができる。またはニオブ酸リチウム単結晶などの強誘電体結晶が用いられることもできる。
【0020】
複数の光透過部(130)が、既に言及した通り、設けられている。光透過部(130)の数は、多重化しようとする光の平面上の角度の数に対応するものと言える。光透過部(130)の選択された第1光透過部(130a)は“θ1”の角度への多重化のためのものであり、第2光透過部(130b)は“θ2”の角度への多重化のためのものであり、引続いて、第n光透過部(130n)は“θn”の角度に多重化のためのものである。ここで。“n”は、既に言及した通り、カウンティングされた最後の光透過部(130)を示す。各々の光透過部(130)は、入射した光を定められた角度へ光の向きに変える。光透過部(130)から放射される光の角度は、互いに異なる。
【0021】
従って、基板(110)を移動させて光の入射されるターゲットの光透過部(130)を変えることにより、光の多重化が施される。この多重化処理は、2次元平面上で角度が変更される横方向間(図3におけるX-Z平面上のZ軸方向)多重化処理である。本発明の実施形態において、提示しようとする多重化方法は、横方向間と縦方向間とに多重化が施される複合多重化である。縦方向間多重化は、本発明の実施形態における多重化器に他の構成要素を追加することなく光透過部(130)の位置制御により達成される。
【0022】
図3と図4は、本発明の実施形態による光多重化器の縦方向間多重化動作を説明するための図面である。図3と図4に示されているように、光の多重化のために光多重化器(100)の光透過部(130)に入射される光は、回折格子を作る際に入射された波長と同じ球面波である。従って、回折格子は、球面波と平面波の干渉によって生じる干渉縞として形成される。光透過部(130)に入射される球面波の入射位置が変わると、光透過部(130)は、“Y軸方向”に応じた縦方向間に沿って入射位置変更前とは異なった角度へ光の向きを変える。光透過部(130)に備えられたフォトポリマー(132)の位置を縦方向間に多様に変えることで、変更された位置に対応する縦方向間に多重化された光が光透過部(130)から放出される。
【0023】
本発明の実施形態では、縦方向間多重化のために球面波の光源位置を変えない。もちろん、球面波の光源位置を変えても本発明の技術的思想の達成が可能である。しかしながら、より効率的な方法は基板(110)を回転させることによって達成できる。即ち、本発明の実施形態において、光多重化器(100)は縦方向間多重化のために基板(110)を回転させる。図3に示されているように、該当光透過部(130)に球面波が入射される位置の範囲以内で基板(110)が上に動く場合、回折格子から放出される光は、元来の光と異なる角度をもち、位置変更前の横方向間多重化において規定される平面からの角度として表される。従って、同一光透過部(130)で、縦方向間に沿って異なる角度の光が生成される(図3参照)。
【0024】
従って、本発明の実施形態による光多重化器(100)は、横方向間多重化のために複数の光透過部(130)に球面波を入射し、また、各光透過部(130)の位置をわずかに変更して縦方向間に多重化された光を発生させる。
【0025】
以下では、前述したように構成された本発明の実施形態による光多重化器の製造方法に対して説明するようにする。図2は、本発明の実施形態による光多重化器の光透過部を展開して示す部分断面図であり、図5は、本発明の実施形態による光多重化器の製造方法を示す方法順序図である。図2と図5とに示されているように、フォトポリマー(132)が埋め込まれて形成された第1光透過部(130a)を光の入射位置に位置決めさせる。そして、第1光透過部(130a)に対し、固定された角度で球面波(第1光)を入射させる。同時に、最初に設定された角度(第1角度)である “θ1”の角度に平面波(第2光)を入射させる。すると、第1光透過部(130)には最初に設定された角度“θ1”に基づいた干渉縞が形成される(S100)。
【0026】
次に、基板(110)を回転させて第2光透過部(130b)を光の入射位置に位置させる。また、第2光透過部(130b)に第1光透過部(130a)に入射された角と同一な固定された角度で球面波を入射させ、同時に二番目に設定された角度である“θ2”で平面波(第2光)を入射させる。これによって、第2光透過部(130b)には第2に設定された角度である“θ2”に基づいた干渉縞が形成される(S200)。
【0027】
様々な角度の平面波に対して同じような作業を遂行し、最後に、光透過部である第n番目光透過部(130n)に“θn”の角度で光を入射させる。すると、第n光透過部(130n)には第n番目に設定された角度である“θn”に基づいた干渉縞が形成される。その結果、n個の光透過部(130)にはn個の異なる角度に基づいたホログラフィック回折格子が形成される。該n個の角度は、光情報を記録および再生する際に実行される横方向間角度多重化の数になる。多重化できる角度である“θ”は“0゜<θ<180゜”範囲以内で選択されることができ、平面波の入射距離、光透過部(130)の面積または幅等によって決定されることができる。平面波の角度変更はガルバノミラーのような回転ミラーによって遂行することができる。
【0028】
既に言及した通り、横方向間角度多重化は、“n”個の光透過部(130)に入射角度を変更することなく球面波を入射させることによって施される。縦方向間角度多重化では、各光透過部(130)に対し、定められた角度だけ位置移動させた後、球面波を入射することによって多重化が施される。
【0029】
前述した実施形態と異なって角度変更の対象を球面波にすることができる。球面波の角度を変更する場合、既に言及した実施形態と異なる形態の角度多重化が施された回折格子が形成されることができる。即ち、角度多重化のための入力光は、その形態と種類、または波長、位相、角度などを本発明の実施形態において一部変形して適用すれば、より多様な角度多重化がなされた光多重化器の製造が可能である。しかしながら、このような変形された実施形態は、基本的な技術的思想として本発明の技術的概念を採用すべきである。
【0030】
一方、基板は、他の実施形態により具現されることができる。以下では、2つの他の実施形態を説明する。しかしながら、実施形態はより多様であり、言及した実施形態外に変形された形態が提示されることができる。以下の説明で、光透過部の材質形状、及び該光透過部に形成された回折格子の形成と動作などは前述した実施形態を参照して理解することができるので、反復的な説明は省略する。理解と区分の便宜のために、以下の各々の実施形態には各々異なる符号を使用するようにする。
【0031】
図6は、本発明の他の実施形態による光多重化器の構成と動作状態を説明するための図面である。図6に示されているように、光多重化器(200)の基板(210)は長手方向に延びるバー形状で形成される。また、複数の光透過部(220)が、バーの長手方向に互いに間隔をあけて形成される。
【0032】
バー形状の基板(210)の上部にはラック(210a)が形成される。該ラック(210a)にはピニオン(230)が歯合される。ピニオン(230)は正逆駆動モータ(240)と連結されている。従って、正逆駆動モータ(240)を正逆回転させれば、基板(210)の移動が行われる。正逆駆動モータ(240)をステップ制御すれば、各々の光透過部(220)に対する位置制御が可能である。該基板(210)は別途のガイド部材(未図示)によって直線移動が案内されることができる。また、基板(210)の移動のための他の実施形態として、電磁気力を用いたリニア駆動体(未図示)を採用でき、その他の多様な方法が採用できる。
【0033】
図7は、本発明の他の実施形態による光多重化器の構成と動作状態を説明するための図面である。図7に示されているように、光多重化器(300)の基板(310)はベルト形態で形成される。ベルト形態の該基板(310)は2つのリール(340)、(350)の間で巻かれている。基板(310)を形成するベルトは可撓性樹脂材質で製作されることができる。
【0034】
光透過部(320)は、基板(310)の軌道方向に沿って複数個が互いに離隔されて形成される。また、2つのリール(340)、(350)のうちいずれか1つには正逆駆動モータ(360)が結合されており、光が入射される位置に基板(310)を移動させて位置させるための位置調整ガイド(330)が設けられている。従って、正逆駆動モータ(360)を正逆回転させれば、基板(310)の移動が行われる。また、正逆駆動モータ(360)をステップ制御すれば各々の光透過部(320)に対する位置制御が可能である。
【0035】
以上のような本発明の実施形態による光多重化器は、ホログラフィックデータ格納部に光情報を3次元的に多重記録し、また情報再生するために用いることができる。また、ホログラフィック分光計等でも構成を一部変形して採用が可能であり、その他のホログラフィック3次元映像装置の場合にも構成の一部を変形して採用が可能である。
【0036】
以下では、前述した光多重化器を用いた光情報記録装置と再生装置とに対する実施形態を分けて説明する。以下の実施形態において、光多重化器に対する構成と動作とは、前述した光多重化器に対する最初の実施形態と製造方法とを参照して理解することができ、他の実施形態の光多重化器を採用することができる。もちろん、このときには実施形態の構成一部が変形することができる。以下の実施形態では光多重化器の細部的構成に対する反復的な説明は省略する。
【0037】
<光情報記録装置に対する実施形態>
以下では、本発明の他の実施形態による光情報記録装置に対して説明する。図8は本発明の実施形態による多重化光情報記録装置を示す構成図である。図8に示されているように、光情報記録装置は光情報の記録を遂行することができる。しかしながら、信号光の遮断により光情報の再生も可能な光情報記録再生装置になり得る。本発明の実施形態による光情報記録装置は光源(400)を備える。光源(400)は所定波長の光を発生させる。該光は優れたコヒーレントを有するレーザであることができる。また、光情報記録装置は光源(400)で発振した光を分割するためにビームスプリッタ(410)を備える。該ビームスプリッタ(410)は光を2方向に分割するためにビームスプリッタ面(410a)を有する。
【0038】
ビームスプリッタ(410)で分割された1つの光は直進する。該光は、変調された光情報が載せられて、信号光になる。信号光が進行する方向に別途のシャッタ(未図示)を設けて、信号光の進行を制御する。信号光の経路に光検出器(未図示)を設ければ本実施形態の光情報記録装置は光情報再生機能を遂行できるようになる。
【0039】
信号光の光経路にはレンズ系(420)が備えられる。レンズ系(420)の後には信号光用偏光ビームスプリッタ(430)が設けられる。該信号光用偏光ビームスプリッタ(430)に進行した信号光は、既に言及したビームスプリッタ(410)から分割されたP偏光である。従って、信号光は進行方向に信号光用ビームスプリッタ(430)を直進して通過する。
【0040】
信号光用偏光ビームスプリッタ(430)を通過したP偏光の経路には空間光変調器(SLM)(440)が備えられる。空間光変調器(440)は、所望の2進データをピクセル単位に変調させる。即ち、空間光変調器(440)は各画素毎に光の透過状態と遮断状態とを選択することによって出射光の強度を空間的に変調して情報を光学的にP偏光に載せる。
【0041】
空間光変調器(440)は、能動マトリクスの代表的なTFT LCD、受動マトリクスのSTNLCD、強誘電性LCD、高分子分散(PD)LCD、プラズマ駆動型(PA)LCDまたはデジタルマイクロミラー(DMD)などが採択されることができる。
【0042】
該空間光変調器(440)を経た信号光は、光学的な情報を有する信号光になる。また、空間光変調器(440)は信号光が入射された方向の反対方向に信号光を反射させる。このとき、信号光はP偏光からS偏光に変わらなければならないので、反射型偏光板(441)が共に備えられる。
【0043】
反射された信号光は、再び信号光用ビームスプリッタ(430)に入射される。信号光用偏光ビームスプリッタ(430)は信号光がS偏光であるので、信号光を偏光ビームスプリッタ面(430a)で反射させる。信号光用偏光ビームスプリッタ(430)で反射された信号光を案内する対物レンズ(450)が信号光の進行経路上に設けられる。対物レンズ(450)を透過した光進行方向には光情報格納媒体(490)が所定角度に傾斜するように位置する。
【0044】
光情報格納媒体(490)は透明な材質である。光情報格納媒体(490)はフォトポリマーの一種が採択されることができる。フォトポリマーは、例えば、デュポン社の製品名“HRR-660”またはApilis社の製品名“ULSH-500”、またはポリメチルメタクリレート(PMMA)などが用いられることができる。また、その他の種類のフォトポリマーが採択されることができる。光情報格納媒体(490)はディスク形態で形成されることができる。
【0045】
一方、最初光源(400)から入射された光を偏光させるビームスプリッタ(410)から他の方向に分割された光は参照光になる。該参照光はビームスプリッタ(410)を経た後、反射ミラー(460)を経て格納媒体(490)側に進行する。該参照光は平面波である。従って、参照光を球面波に変えるために別途の波面変更用レンズ(470)が設けられる。波面変更用レンズ(470)を経た参照光は球面波になって進行する。球面波を発生させるために波面変更用レンズ(470)外の他の手段が採用されることができる。
【0046】
また、光情報格納媒体(490)の前には、参照光が透過する光多重化器(100)が設けられる。該光多重化器(100)は既に前述したような本発明の実施形態による光多重化器(100)が採用される。また、光多重化器(100)を設定された制御速度に回転させるためにサーボモータ(未図示)が設けられる。従って、光多重化器(100)を経た光は横方向間と縦方向間とに複合多重化されて光情報格納媒体(490)に進行する。
【0047】
以下では、本発明の望ましい実施形態による光情報記録方法に対して説明する。図9は本発明の望ましい実施形態による多重化光情報記録方法を説明するための順序図である。
図9に示されているように光源(400)から照射された光を分離して1つの光を参照光とし、他の1つの光にデータを載せて信号光を発生させる(S400)。
【0048】
参照光を、波面変更用レンズを通過させて球面波に変える。球面波に変えた参照光は既に言及した光多重化器(100)に入射される。このとき、光多重化器(100)は光を多重化するために回転する。光多重化過程は既に言及したので、具体的な説明は省略する。参照光が光多重化器(100)に入射されれば、以後、光は横方向間と縦方向間とに多重化された多数の平面波を発生させる(S410)。多重化された参照光と信号光とは、光情報格納媒体(490)に入射される。また、入射された参照光と信号光とによって信号光の光情報が光情報格納媒体(490)に多重化されながら記録される(S420)。
【0049】
<光情報再生装置に対する実施形態>
図10は本発明の望ましい実施形態による光情報再生装置を示している。図10に示されているように本発明の実施形態による光情報再生装置は光源(500)を備える。光源(500)は所定波長の参照光を発生させる。光源(500)で発振した光を球面波に変えるための波面変更用レンズ(510)が備えられる。球面波を発生させるために波面変更用レンズ(510)外の他の手段が採用されることができる。例えば、光源として用いられることができるレーザ発振器に球面波発生体を一体で構成できる。
【0050】
参照光の光経路のうちレンズ(510)の後には光多重化器(100)が備えられる。光多重化器(100)は既に言及した実施形態による光多重化器が採用できる。該光多重化器(100)は設定された制御速度に回転が可能になるようにサーボモータ(未図示)と結合されている。従って、光多重化器(100)を経た光は横方向間と縦方向間とに複合多重化される。また、光多重化器(100)を経た光は平面波である。光多重化器(100)の後には多重化された光を光情報格納媒体に案内するレンズ系(520)が備えられる。
【0051】
レンズ系(520)を経た参照光は、光情報が格納された光情報格納媒体(530)に入射される。該光情報格納媒体(530)には多重化された光情報が記録されている。光情報格納媒体(530)に対する詳細な説明は前述した光情報記録装置に対する実施形態の説明を参照する。
【0052】
光情報格納媒体(530)に参照光が入射されれば光情報格納媒体(530)から再生光が発生する。再生光の進行方向には対物レンズ(540)と光多重検出器(550)とが設けられる。該光多重検出器(550)はCCD、CMOSまたはその他の光検出が可能な光学素子であることができる。これに伴い光情報格納媒体(530)に格納された光は検出器(550)を経て多重検出される。
【0053】
以下では、本発明の望ましい実施形態による光情報再生方法に対して説明する。図11は本発明の望ましい実施形態による多重化光情報再生方法を説明するための順序図である。図11に示されているように光源(500)から提供された光を光情報格納媒体(530)に向かって進行させる。該光は球面波である。球面波は光多重化器(100)を経て横方向間および縦方向間の角度で多重化された参照光になる(S500)。
【0054】
また、光多重化器(100)を経た光はレンズ系(520)を経て光情報格納媒体(530)に入射される(S510)。このときの光多重化器(100)の動作は既に言及したので説明を省略する。多重化された参照光が光情報格納媒体(530)に入射されると、多重記録された光情報が入射角度に従うように連続再生される。また、光情報は検出器(550)で検出され(S520)、該検出器(550)で検出された光は以後データに復元される。
【0055】
前述したような本発明の実施形態による光多重化器、光情報記録装置及び方法、光情報再生装置及び方法で他の付加的な機能を有する構成要素が追加されるか、あるいは他の構成要素に交替して実施でき、各々の光多重化器に対する実施形態を交替適用できる。しかしながら、変形された他の実施形態が本発明の必須構成要素を含み、また本発明の実施形態による光多重化器を用いて光情報を記録または再生を別途にするか、あるいは記録と再生とを共にするようにすることであれば、全て本発明の技術的範疇に含まれるとみることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施形態による光多重化器を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態による光多重化器の光透過部を展開して示す部分断面図である。
【図3】本発明の実施形態による光多重化器の縦方向間多重化動作を説明するための図面である。
【図4】本発明の実施形態による光多重化器の縦方向間多重化動作を説明するための図面である。
【図5】本発明の実施形態による光多重化器の製造方法を示す方法順序図である。
【図6】本発明の他の実施形態による光多重化器の構成と動作状態を説明するための図面である。
【図7】本発明の他の1つの実施形態による光多重化器の構成と動作状態を説明するための図面である。
【図8】本発明の実施形態による多重化光情報記録装置を示す構成図である。
【図9】本発明の実施形態による多重化光情報記録方法を説明するための順序図である。
【図10】本発明の実施形態による多重化光情報再生装置を示す構成図である。
【図11】本発明の実施形態による多重化光情報再生方法を説明するための示す順序図である。
【符号の説明】
【0057】
100、200、300 光多重化器
110、210、310 基板
120 締結ホール
130、220 光透過部
131 貫通孔
132 フォトポリマー
230 ピニオン
240、360 正逆駆動モータ
340、350 リール
400、500 光源
410 ビームスプリッタ
420 レンズ系
430 信号光用偏光ビームスプリッタ
440 空間光変調器
441 反射型偏光板
450、540 対物レンズ
460 反射ミラー
470、510 波面変更用レンズ
490、530 光情報格納媒体
550 光多重検出器










【特許請求の範囲】
【請求項1】
光が透過する複数の光透過部が備えられた基板と、
上記複数の光透過部各々に形成され、上記複数の光透過部に入射された光を光透過部ごとに異なる角度で回折させる回折格子と
を備えたことを特徴とする光多重化器。
【請求項2】
請求項1に記載の光多重化器において、
上記回折格子は、上記光透過部に埋め込まれたフォトポリマーに形成されたホログラフィック干渉縞であることを特徴とする光多重化器。
【請求項3】
請求項2に記載の光多重化器において、
上記回折格子は、球面波と平面波との入射によって形成されたことを特徴とする光多重化器。
【請求項4】
請求項3に記載の光多重化器において、
上記平面波は、各々の上記光透過部に異なる角度に入射され、上記回折格子を形成したことを特徴とする光多重化器。
【請求項5】
請求項1に記載の光多重化器において、
上記基板は、ディスク形態で形成され、上記複数の光透過部は上記基板の周囲に沿って互いに離隔されて形成されたことを特徴とする光多重化器。
【請求項6】
請求項1に記載の光多重化器において、
上記基板は、バー状に形成され、上記複数の光透過部は上記基板の長手方向に沿って互いに離隔されて形成されたことを特徴とする光多重化器。
【請求項7】
請求項1に記載の光多重化器において、
上記基板は、ベルト形態で形成され、上記複数の光透過部は上記ベルトの軌道方向に沿って互いに離隔されて形成されたことを特徴とする光多重化器。
【請求項8】
第1透過性光反応体に第1光と共に第1角度で第2光を入射させ、上記透過性光反応体に第1回折格子を形成し、
上記第2光を第1角度と異なる第2角度で第2透過性光反応体に第1光と共に入射させ、第2回折格子を形成することを特徴とする光多重化器製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の光多重化器製造方法において、
上記第1光は球面波であり、上記第2光は平面波であることを特徴とする光多重化器製造方法。
【請求項10】
請求項8に記載の光多重化器製造方法において、
上記第1透過性光反応体と上記第2透過性光反応体とは1つの基板に共に備えられることを特徴とする光多重化器製造方法。
【請求項11】
請求項8に記載の光多重化器製造方法において、
上記第1角度と上記第2角度は所定平面上で異なる角度であり、各光透過部に対し、上記第1光を、上記平面から外れる所定角度で入射させることを特徴とする光多重化器製造方法。
【請求項12】
光源と、
上記光源から提供された光を分割するビームスプリッタと、
上記ビームスプリッタから分割された光にデータを載せて信号光を作成する信号光光学系と、
上記ビームスプリッタから分割された他の1つの光を参照光として光情報格納媒体に案内する参照光光学系と、
上記参照光を、所定平面上に沿った異なる角度へ多重化するとともに、上記平面から外れる角度へ多重化し、上記光情報格納媒体に案内する光多重化器と
を備えることを特徴とする光情報記録装置。
【請求項13】
請求項12に記載の光情報記録装置において、
上記参照光は球面波であることを特徴とする光情報記録装置。
【請求項14】
請求項13に記載の光情報記録装置において、
上記光多重化器は、外部動力によって回転し、上記光が透過する多数の光透過部が設けられた基板と、上記光透過部に形成され、上記光透過部に入射された光を回折させる回折格子とを含むことを特徴とする光情報記録装置。
【請求項15】
請求項14に記載の光情報記録装置において、
各々の上記光透過部は各々の上記光透過部に入射された各々の上記球面波を上記平面上において各々異なる角度を有する平面波に変えることを特徴とする光情報記録装置。
【請求項16】
請求項15に記載の光情報記録装置において、
上記光透過部は、上記光透過部が上記平面に対して外れる位置へ移動されると、上記球面波を、上記平面から外れる異なった角度の方向へ進行する平面波へ変えることを特徴とする光情報記録装置。
【請求項17】
光源から照射された光を分離して1つの光を参照光とし、他の1つの光にデータを載せて信号光を発生させ、
上記参照光を、回折格子が形成された光透過部に入射させ、上記光透過部を移動させることにより、複数の角度へ多重化し、
多重化された上記参照光と上記信号光とを光情報格納媒体に入射させて光情報を上記光情報格納媒体に記録することを特徴とする光情報記録方法。
【請求項18】
請求項17の記載の光情報記録方法において、
上記参照光は、レンズによって球面波で上記光透過部に入射されることを特徴とする光情報記録方法。
【請求項19】
請求項17の記載の光情報記録方法において、
上記参照光は、所定平面上に沿った異なる角度と上記平面から外れる異なる角度に多重化されて上記光情報格納媒体に入射されることを特徴とする光情報記録方法。
【請求項20】
光源と、
上記光源から発生した光を光情報が多重格納された光情報格納媒体に進行させる光学系と、
上記光を、所定平面に沿った角度と上記平面から外れる角度に多重化して上記光情報格納媒体に案内する光多重化器と、
上記多重化された上記光によって上記光情報格納媒体で再生される光情報を検出する検出器と
を備えることを特徴とする光情報再生装置。
【請求項21】
請求項20に記載の光情報再生装置において、
上記光多重化器は、外部動力によって回転し、上記光が透過する複数の光透過部が設けられた基板と、上記光透過部に形成され、上記光透過部に入射された光をそれぞれ異なった角度で回折させる回折格子とを含むことを特徴とする光情報再生装置。
【請求項22】
請求項21に記載の光情報再生装置において、
上記光は球面波で上記光多重化器へ入射され、上記光多重化器から平面波が放出されることを特徴とする光情報再生装置。
【請求項23】
請求項22に記載の光情報再生装置において、
上記光透過部は、上記光透過部が上記平面から外れる位置へ位置移動すると、上記平面から外れた異なる角度に進行する平面波を生成することを特徴とする光情報再生装置。
【請求項24】
光を、回折格子が形成された光透過部に入射させ、上記光透過部を回転させて上記回折格子で異なる角度の光を生成し、
生成された上記光を、光情報が多重に記録された光情報格納媒体に入射し、上記光情報格納媒体に格納された上記光情報を、上記光が入射された角度別に情報再生し、
上記情報再生された光を検出することを特徴とする光情報再生方法。
【請求項25】
請求項24に記載の光情報再生方法において、
上記回折格子に入射される光は球面波であり、上記回折格子から生成される光は平面波であることを特徴とする光情報再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−172807(P2007−172807A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−196593(P2006−196593)
【出願日】平成18年7月19日(2006.7.19)
【出願人】(502442290)株式会社大宇エレクトロニクス (27)
【氏名又は名称原語表記】Daewoo Electronics Corporation
【住所又は居所原語表記】686,Ahyeon−dong,mapo−gu,Seoul,Rep.of Korea
【Fターム(参考)】