説明

光学シート、バックライトユニット、および液晶表示装置

【課題】輝度向上効果とムラ隠蔽性の効果を併せ持つ光学シートを提供する。
【解決手段】本発明に係る光学シートは、光透過性を有するベースフィルム2と、ベースフィルム2の一面に形成され、ベースフィルム2に垂直な一断面の形状が略台形である複数の単位レンズ3と、単位レンズ3の頂面4に形成され、光を拡散および反射させる拡散層5と、を備える。これにより、ムラ隠蔽性および輝度向上の双方の効果を高い水準で備えた光学シートを得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置等のバックライトユニットに用いられる光学シートと、該バックライトユニット、および液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、携帯電話、PDA端末、デジタルカメラ、テレビ、パーソナルコンピュータ用ディスプレイ、デジタルフォトフレームなどの幅広い分野で利用されている。液晶表示装置は、液晶パネルとその背面のバックライトユニットとを備える表示装置であり、このバックライトユニットからの光を液晶パネルに供給することにより、画像を表示する。このバックライトユニットとしては、エッジライト型と直下型の2つが一般的に用いられている。
【0003】
エッジライト型のバックライトユニットは、側面に線状光源である冷陰極管または点状光源であるLEDが配置された導光板と、反射シートや拡散シート等の光学シートからなる。該側面から導光板に入射した光は、導光板の2つの主面である出光面と反射面との間で全反射しながら伝播し、反射面に形成されている光散乱を促す白色ドットにあたると出光面から出射する。導光板は、このような原理により、導光板の出光面全体で略均一な照度分布を有する光を出光するものである。ここで導光板の出光面から反射面の白色ドットが輝度ムラとして観測されると好ましくないので、導光板の出光面と液晶表示パネルとの間には光学シートを使用することが通常である。エッジライト型のバックライトユニットは、液晶表示装置の薄型化に適する。
【0004】
直下型のバックライトユニットは、液晶パネルの直下に配置された光源と、反射シートや拡散シート等の光学シートからなる。画面内に十分な輝度を得られるよう、光源として冷陰極管やLEDを複数用いるために、出光面における光源と重畳する領域(光源の上部に相当する領域)と光源と重畳しない領域(光源間の上部に相当する領域)との間には、輝度の差(輝度ムラ)が生じる。このような輝度ムラを解消するために、光源と液晶表示パネルとの間には、光学シートを使用することが必須である。直下型のバックライトユニットは、光の利用効率を高くできる。
【0005】
上述したエッジライト型バックライトユニットにおける導光板の反射面の白色ドットによる輝度ムラの解消、および直下型のバックライトユニットにおける複数の光源に対する位置の違いによる輝度ムラの解消には、輝度ムラ隠蔽性(以下、単に「ムラ隠蔽性」ともいう。)の高い光学シート、例えばビーズコート光拡散シート等を複数枚重ねて用いる必要がある。
【0006】
しかしながら、ムラ隠蔽性の高いシートは光の透過率が低く輝度低下を招くことが多い。近年、液晶表示技術の発達による画像の高精細化や、消費電力低減のために限られた光を効率良く利用する方法が模索されており、輝度低下は好ましくない。
【0007】
上記の背景より、ムラ隠蔽性および輝度向上2つの効果を併せ持つ光学部材が求められている。
【0008】
例えば特許文献1には、光入射面または光出射面の少なくとも一方に周期的且つマトリクス状に配置されたマイクロレンズアレイが形成され、マイクロレンズアレイが形成された方の面のマイクロレンズが形成されていない平面部は中心線算術平均粗さRaが0.1μm以上2μm以下で表される表面粗さを有する光学素子が開示されている。
【0009】
また、特許文献2には、表面に頂角50〜150度の線状プリズム形状が賦型され、該プリズム面に表面粗さ(Ra)が0.2〜20μmである微細な凹凸が設けられている拡散板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−223192号公報
【特許文献2】特開2008−242002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1には、集光性を示すマイクロレンズと、光拡散性を示す特定の表面粗さを有する平面部という、形状の異なる2つの領域を有する光学素子が記載されている。しかしながら、マイクロレンズの集光効果はプリズムと比較して小さく、十分な輝度向上効果は示さない。さらに、ムラ隠蔽性を向上させるためにマイクロレンズ間の平面部の割合を増やすと輝度は低下する。
【0012】
また、特許文献2に記載のように、プリズム全面に微細凹凸が形成されている場合は、その微細凹凸により集光に適切な角度を有するプリズム斜面が減少し、集光効果が減少してしまう。
【0013】
このように、従来の技術では、ムラ隠蔽性および輝度向上の双方の効果を同時に得ることは極めて困難であった。
【0014】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、ムラ隠蔽性および輝度向上の双方の効果を高い水準で得ることができる光学シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の光学シートは、光透過性を有するベースフィルムと、前記ベースフィルムの一面に形成され、前記ベースフィルムの前記一面に垂直な一断面の形状が略台形である複数の単位レンズと、前記単位レンズの頂面に形成された拡散層と、を備えることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、集光に適した斜面と、光を拡散および反射させる拡散層と、を有することにより、ムラ隠蔽性および輝度向上の双方の効果を高い水準で得ることができる。
【0017】
本発明の光学シートにおいて、前記複数の単位レンズが、特定の方向に延在する角柱形状を有する互いに平行な複数の光透過性部材からなっても良い。また、前記単位レンズが、略錐台形状を有する光透過性部材からなっても良い。
【0018】
本発明の光学シートにおいて、前記ベースフィルムの前記一面に垂直な方向からの平面視において、前記拡散層の占める面積が前記ベースフィルム全体の面積の5%以上70%以下であっても良い。
【0019】
この構成によれば、高いムラ隠蔽性の効果と輝度向上の効果とのバランスをとることができる。
【0020】
本発明の光学シートにおいて、前記単位レンズの傾斜角度が15°以上60°以下であっても良い。また、本発明の光学シートにおいて、前記拡散層の550nmにおける反射率が3%以上15%以下であっても良い。
【0021】
この構成によれば、輝度向上の効果を十分に高めることができる。
【0022】
本発明の光学シートにおいて、前記拡散層の拡散角度が0.1度以上150度以下であっても良い。
【0023】
この構成によれば、ムラ隠蔽性を十分に高めることができる。
【0024】
本発明の光学シートにおいて、前記拡散層の表面に凹凸構造を有していても良い。また、本発明の光学シートにおいて、前記凹凸構造が干渉露光によるスペックルパタンを用いて形成された凹凸構造であっても良い。また、本発明の光学シートにおいて、前記単位レンズと前記拡散層とは一体に設けられても良い。
【0025】
本発明のバックライトユニットは、上記光学シートを具備することを特徴とする。また、本発明の液晶表示装置は、上記バックライトユニットを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明の光学シートは、ムラ隠蔽性および輝度向上の双方の効果を高い水準で得ることができるものであり、バックライトユニットの輝度ムラを抑制しながら高い輝度をもたらすことを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施の形態に係る光学シートの一実施形態の断面模式図である。
【図2】実施の形態に係る光学シートの実施形態の平面模式図である。なお、(a)、(b)は、単位レンズが、断面形状が略台形の角柱形状である場合であり、(c)は、単位レンズが、紙面に鉛直方向から見た形状が四角形の略四角錐台形状である場合であり、(d)、(e)、(f)は、単位レンズが、紙面に鉛直方向から見た形状が円形の略円錐台形状である場合である。
【図3】拡散角度の定義を説明するための説明図である。
【図4】実施の形態に係る光学シートの一例の表面形状を示す顕微鏡写真(300倍)である。
【図5】実施の形態に係る光学シートの他の実施形態の断面模式図である。
【図6】実施の形態に係る光学シートの作製方法を示す断面模式図である。
【図7】実施の形態に係る光学シートの作製方法を示す断面模式図である。
【図8】実施の形態に係る直下型バックライトユニットの構成例を示す図である。
【図9】実施の形態に係るエッジライト型バックライトユニットの構成例を示す図である。
【図10】実施の形態に係る液晶表示装置の断面模式図である。
【図11】実施例1、2、および比較例4の単位レンズ1つあたりの断面形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
特許文献1のように、集光性を示す領域と、光拡散性を示す領域とを分離して設ける場合には、集光性を示す領域を通過した光と、光拡散性を示す領域を通過した光とが独立することになるため、ムラ隠蔽性を高めるためには集光性の領域を小さくし、また、集光性を高めるためには光拡散性を示す領域を小さくしなくてはならない。つまり、ムラ隠蔽性の向上と輝度の向上とはトレードオフの関係となり、一方を高めれば他方が低下してしまうことになる。また、特許文献2のように、同じ領域内に集光性を示す構造と光拡散性を示す構造とを作り込んだとしても、集光性を示す構造全体に光拡散性を示す構造が作り込まれている場合には、集光に適切な構造の割合が減少し、集光性が低下してしまう。
【0029】
本発明者らはこの点に着目し、光拡散性のみならず、輝度向上効果も合わせ持つような拡散層を設けることで、ムラ隠蔽性および輝度向上の双方の効果を高い水準で得られることを見出した。そして、集光に適切な角度を有する斜面と、光を拡散および適度に反射させる拡散層(拡散領域)と、を近接して有する構造を案出した。このような構造では、斜面によって適切な集光が実現され、輝度向上効果が得られるだけでなく、拡散層によっても光が適度に反射および拡散するために、さらなる輝度向上およびムラ隠蔽性向上効果が得られる。拡散層により輝度向上の効果が得られるのは、拡散層が適度な反射率を有することにより、拡散層で反射された光が再び斜面で集光されるためである。すなわち、本発明の骨子は、ベースフィルム上に、集光性を示す領域としての斜面と、光拡散性および反射性を示す領域としての拡散層とを有することで、斜面において適切に集光されることで得られる輝度向上効果と、集光されなかった光が拡散層で反射され、再度単位レンズの斜面から集光されることで得られる輝度向上効果と、反射されなかった光が適度に拡散されることでムラを隠蔽する効果とを併せ持つ光学シートを提供しようとするものである。なお、拡散層とレンズとの境界は明確でなくとも良く、拡散層とレンズとは一体であっても良い。以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0030】
図1は、本発明の一態様(以下「本実施形態」ともいう。)の光学シート1を光入射面(光出射面)に垂直な断面から見た場合の断面模式図である。また、図2は、本実施形態の光学シート1を、単位レンズ3を有する主面の真上(主面に垂直な方向)から見た場合の平面模式図である。ここで、図1は、例えば、図2(a)や図2(c)、図2(d)などのA−A´における断面に相当する。
【0031】
図1および図2から分かるように、本実施形態の光学シート1は、光透過性を有するベースフィルム2と、ベースフィルム2の一面に形成され、少なくともベースフィルム2に垂直な一方向の断面形状が略台形である複数の単位レンズ3と、単位レンズ3の頂面4に形成され、光源からの光を拡散および反射させる拡散層5とを備える。
【0032】
単位レンズ3は、所定の角度を有する斜面7と、平面とを有する光透過性の部材であり、樹脂、ガラス等の材料からなる。単位レンズ3は、その斜面において光を屈折させ、集光を行う機能を有する。
【0033】
単位レンズ3において、輝度を向上させるという観点から、傾斜角度(単位レンズの底面から頂面までの高さをhとするときに、底面からh/2の高さにおける斜面角度を意味するものとする。すなわち、本明細書において、傾斜角度は斜面角度に含まれる。)は、15°以上60°以下であることが好ましい。傾斜角度は、より好ましくは20°以上50°以下、さらに好ましくは20°以上45°以下である。
【0034】
なお、ここでは傾斜角度として、(株)小坂研究所製の微細形状測定機ET4000を用いて測定した値を用いる。測定条件は、例えば、Xピッチ3μm、Yピッチ3μm、Z倍率2000倍である。このような測定において得られた高さデータと測定ピッチから、三角関数を用いて傾斜角度を算出する。ただし、傾斜角度の測定方法はこれに限定されない。
【0035】
拡散層5は、例えば、表面付近に多数の微細凹凸構造を有する層である(図1参照)。なお、拡散層5は、適切な光の拡散および反射が実現できるものであれば、微細凹凸構造を有することに限られない。例えば、微細粒子を光拡散剤として含む層を拡散層5として用いても良い。
【0036】
拡散層5の反射率は、輝度向上効果を高めるという観点から、波長が550nmの光の反射率が3%以上15%以下であることが好ましい。より好ましくは10%以下である。上記反射率は、光学シート1において、拡散層が形成された面とは逆の面において、当該面に垂直から5°傾いた方向から光を入射した場合(すなわち、基材面への入射角が5°の場合)の550nmの波長における鏡面反射率を指す。上記反射率は例えば、(株)島津製作所のMPC−2200を用いて測定できる。ただし、反射率の測定方法はこれに限定されない。
【0037】
なお、単位レンズ3と拡散層5の両方が存在する状態では、拡散層5の反射率を正確に測定することは困難である。このため、ここでは、単位レンズ3を有しないベースフィルム2上に同条件で形成した拡散層5の反射率を、光学シート1における拡散層5の反射率と定義する。
【0038】
拡散層5の拡散角度は、ムラ隠蔽性を高めるという観点から、0.1°以上150°以下であることが好ましい。より好ましくは15°以上である。なお、微細凹凸構造を有する拡散層5においては、拡散角度は、微細凹凸構造の高低差、凹凸の間隔などによって制御することができる。
【0039】
拡散層5としては、測定方向によらず、ほぼ同じ拡散角度が得られる等方拡散層と、測定方向によって、拡散角度が異なる異方拡散層のいずれを用いることもできる。異方拡散層とは、例えば、直交する2つの方向で拡散角度を測定した場合に、拡散角度が異なるような拡散層5である。また、拡散層5の拡散角度はシート面内の測定位置ごとに異なっていても良い。
【0040】
本明細書に記載の拡散角度とは、透過拡散光の出射角度をx軸、強度をy軸とした透過光強度の出射角度に対する分布における強度がピーク強度の半分となる出射角度(半値角)の間隔(FWHM:Full Width Half Maximum)ことであり、図3(a)で示される。拡散角度は、例えばPhoton(株)社製のGoniometric Radiometers Real−Time Far−Field Angular Profiles Model LD8900(以下「LD8900」という。)を用いて、図3(b)に示すように、拡散層5に対して法線方向から入射した光の透過光強度の出射角度分布を測定することによって求めることが出来る。
【0041】
なお、単位レンズ3と拡散層5の両方が存在する状態では、拡散層5の拡散角度を正確に測定することは困難である。このため、ここでは、単位レンズ3を有しないベースフィルム2上に同条件で形成した拡散層5の拡散角度を、光学シート1における拡散層5の拡散角度と定義する。
【0042】
ベースフィルム2は、樹脂、ガラス等の材料からなる光透過性の基材であり、特に、基材単体での光透過率が75%以上であることが好ましい。なお、ベースフィルム2の材質等については、目的とする光を好適に透過することができるものであれば特に限定されない。
【0043】
以上のような構成の光学シート1により、ムラ隠蔽性および輝度向上の双方の効果を高い水準で得ることができる。
【0044】
なお、ここでは、単位レンズ3と拡散層5が別体である光学シート1について示しているが、本発明はこれに限定されない。単位レンズ3と拡散層5は一体であっても良い。この場合、単位レンズ3の頂面4に拡散領域が設けられることになる。なお、ここでは、「別体」とは、単位レンズ3と拡散層5との境界が明確であることを意味し、「一体」とは、単位レンズ3と拡散層5との境界が明確には存在しないことを意味するものとする。
【0045】
次に、本実施形態の光学シート1の平面パタンについて、図2を参照して説明する。図2には、平面パタン形状を分かりやすく示すために、頂面4と、底線または底面6と、その間の斜面7を示している。なお、底線または底面6は、レンズの高さが最も低くなる点を結んだ線または面である。単位レンズ3は、特に集光するべき光の方向が一方向に限られている場合には、特定の方向に延在する角柱形状を有する互いに平行な複数の光透過性部材であることが好ましい(図2(a)、(b))。単位レンズ3をこのような形状とすることにより、特定方向以外の光を集光せずに光の視野角を維持することができるためである。または、集光方向が限定されない場合には、互いに間隔をおいて点在する略錐台形状を有する光透過性部材であることが好ましい(図2(c)、(d)、(e)、(f))。単位レンズ3の形状を互いに間隔をおいて点在する略錐台形状とすることにより、斜面が等方的に存在することになり、いずれの方向の光も集光できるためである。
【0046】
ここで、図2(a)の光学シート1には、紙面上下方向に長く、紙面左右方向の幅が略等しい角柱形状の光透過性部材でなる単位レンズ3が複数用いられている。また、図2(a)の光学シート1では、複数の単位レンズ3が互いに略平行に延在している。一方、図2(b)の光学シート1には、紙面上下方向に長く、紙面左右方向の幅が異なる角柱形状の光透過性部材でなる単位レンズ3が複数用いられている。なお、図2(b)の光学シート1でも、複数の単位レンズ3が互いに略平行に延在している。
【0047】
また、図2(c)の光学シート1には、角錐台形状の光透過性部材でなる単位レンズ3が複数用いられている。一方、図2(d)、図2(e)、図2(f)の光学シート1には、円錐台形状の光透過性部材でなる単位レンズ3が複数用いられている。
【0048】
なお、図2(a)、図2(c)、および図2(d)の光学シート1では、複数の単位レンズ3の大きさ(平面視における幅、径)や、単位レンズ3同士の間隔は略等しくなっている。一方で、図2(b)、図2(e)、および図2(f)の光学シート1では、複数の単位レンズ3の大きさ(平面視における幅、径)や、単位レンズ3同士の間隔は異なっている。
【0049】
本実施形態の光学シート1において、単位レンズ3は、規則的に並んだ状態(図2(a)、(c)、(d)、(e))、および配置の規則性が低い状態(図2(b)、(f))のいずれでも良い。また、単位レンズ3の大きさ(平面視における幅、径)は、面内で不均一であっても良い(図2(b)、(e)、(f))。ただし、高いムラ隠蔽性の効果と輝度向上の効果とのバランスをとるために、光学シート1直上(ベースフィルム2の一主面に垂直な方向)から平面視した時に、単位レンズ3の頂面4に形成されている拡散層5の占める面積が、ベースフィルム2全体(光学シート1全体)の5%以上70%以下であることが好ましい。単位レンズ3の高さは15〜150μmが好ましく、ピッチ(単位レンズ同士の間隔)は40〜500μmが好ましい。
【0050】
図4は、実際に作製した光学シート1の顕微鏡写真である。図4では、ベースフィルム2の一主面に垂直な断面形状が図1に相当し、ベースフィルム2の一主面に垂直な方向からの平面視が図2(d)に相当する光学シート1を示している。このように、ベースフィルム2の一面に垂直な一方向の断面形状が略台形である複数の単位レンズと、単位レンズの頂面に形成され、光源からの光を拡散させる拡散層と、を備えることにより高いムラ隠蔽性を確保しつつ、輝度向上の効果を高めることができる。
【0051】
図5は、別の態様の光学シート1を光入射面(光出射面)に垂直な断面から見た場合の断面模式図である。ここで示すように、単位レンズ3の斜面は、必ずしも平面(すなわち、その断面が直線)である必要はなく、曲面(すなわち、その断面が曲線)であっても良い(図5(b)、(c)、(e)、(f))。ただし、より高い輝度を得るためには、単位レンズの斜面を成す斜面角度(θ(0)〜θ(N))が15°以上60°以下(好ましくは20°以上50°以下、より好ましくは20°以上45°以下)の範囲に入る斜面領域が広いことが好ましい。すなわち、上記範囲内の斜面角度を有する斜面の面積が広いことが好ましい。
【0052】
また、単位レンズ3の頂面4も、必ずしも平面である必要はなく、曲面(すなわち、その断面が曲線)であっても良い(図5(d))。この場合、拡散層5の表面もわずかに湾曲した曲面となる。ここで、わずかに湾曲した曲面とは、光ベースフィルム2の一主面に対して接線が±10°以内の角度を有する曲面を指す。上記角度は、例えば、(株)小坂研究所製の微細形状測定機ET4000等を用いて触針で斜面の表面形状を測定し、得られた高さデータと測定ピッチより三角関数を用いて算出できる。
【0053】
具体的には、図5(a)では、単位レンズ3の斜面が平面になっており、単位レンズ3の頂面4も平面である。図5(b)では、単位レンズ3の斜面が所定の曲率を有する曲面となっており、曲率中心は単位レンズ3の外側に存在する。つまり、単位レンズ3は、斜面角度が裾の部分で小さく、先端部分で大きくなっている。なお、図5(b)において、頂面4は平面である。
【0054】
図5(c)では、単位レンズ3の斜面が所定の曲率を有する曲面となっており、曲率中心は単位レンズ3の内側に存在する。つまり、単位レンズ3は、斜面角度が裾の部分で大きく、先端部分で小さくなっている。なお、図5(c)において、頂面4は平面である。図5(d)では、単位レンズ3の斜面が平面になっている。一方で、頂面4は所定の曲率を有する曲面(わずかに湾曲した曲面)となっており、曲率中心は単位レンズ3の内側に存在する。また、拡散層5の表面も、同様に、所定の曲率を有する曲面(わずかに湾曲した曲面)となっている。
【0055】
なお、図5(a)、図5(b)、図5(c)、図5(d)では、拡散層5として、微細粒子を光拡散剤として含む樹脂からなる層を用いる場合について示しているが、微細凹凸を有する層を用いる場合も同様である。
【0056】
図5(e)では、単位レンズ3の斜面が所定の曲率を有する曲面となっており、曲率中心は単位レンズ3の外側に存在する。つまり、単位レンズ3は、斜面角度が裾の部分で小さく、先端部分で大きくなっている。また、頂面4は平面である。図5(f)における単位レンズ3の形状は、図5(e)と同様である。図5(e)と図5(f)の相違点は、拡散層5が備える微細凹凸構造のパタンである。すなわち、図5(e)では微細凹凸構造のパタンがシート面内で略等しいのに対して、図5(f)では微細凹凸構造のパタンがシート面内で異なっている。図5(f)に示すように、微細凹凸構造のパタンをシート面内で異ならせることで、シート面内における拡散角度を異ならせることができる。
【0057】
なお、図5(e)および図5(f)では、拡散層5として、微細凹凸を有する層を用いる場合について示しているが、微細粒子を光拡散剤として含む樹脂からなる層を用いる場合も同様である。
【0058】
本明細書において、略台形の表現には、図5(a)〜図5(f)に示される単位レンズ3の断面形状が含まれるものとする。すなわち、単位レンズ3は、斜面や頂面4が曲面であるものを含む。
【0059】
拡散層5は、以下のような方法によって得ることができる。例えば、微細粒子を光拡散剤として含む樹脂からなる拡散層を基材に積層した積層体を作製し、該積層体を加工して単位レンズ形状を形成することで単位レンズ頂面の光拡散性が得られる。微細粒子は、基材とは異なる屈折率を有することが望ましい。この場合、単位レンズの頂面は平坦な形状になる。
【0060】
あるいは、基材の表面に凹凸構造を有する拡散層を形成し、加工して単位レンズ形状を形成することで単位レンズ頂面に光拡散性を付与しても良い。
【0061】
このように、基材の表面に凹凸構造を設けて拡散層としたほうが、基材への形状転写のみで本実施形態の光学シート1が作製可能であるため、より好ましい。
【0062】
凹凸構造とは、例えば、表面に複数の凹部又は凸部が設けられた構造である。凹部又は凸部の形状は、略円錐状、略球状、略楕円体状、略レンチキュラーレンズ状、略放物面状、又はこれらの逆形状のいずれでもよく、各凹部又は凸部は、規則的に配列していても、不規則に配列していてもよい。また、凹部又は凸部間は連続的な曲面でつながっていてもよい。さらに、不規則な凹凸が連続的な曲面でつながっているランダム構造も、好ましく用いることができる。このランダム構造は、感光性材料を露光・現像することによって得られる微細な3次元構造であることが好ましい。特に、コヒーレントな光が拡散板を通過した後の空間に干渉によって発生するスペックルパタンを用いて感光性材料を露光・現像することによって得られる微細な3次元構造(以下では、この3次元構造のことも「スペックルパタン」という場合がある。)であることが好ましい。
【0063】
凹凸構造は、均一な出光やモアレ抑制等の観点から、高さ及びピッチの少なくとも片方の規則性が低いことが好ましい。凹凸構造の具体的なサイズとしては、平均値としてピッチが1〜100μmであることが好ましく、1〜50μmであることがより好ましく、アスペクト比は0.5〜3であることが好ましい。ピッチは、凸部同士の間隔として定義される。アスペクト比は、凸部高さと、凸部高さの1/2の位置における凸部の幅との比(高さ/幅)で定義される。ここで、凸部とは、形状の平均高さよりも高い部分を指す。
【0064】
スペックルパタンを拡散層5とする光学シート1は、たとえば、以下のような方法を用いることで作製出来る。
【0065】
まず、シート状基材の片方の表面全面にスペックルパタンを有する拡散層用サブマスタ型8aを作製する(図6(a))。スペックルパタンによる不均一な凹凸構造の形成方法については、特表2003−525472号公報(国際公開第01/065469号)の方法に準拠した方法を適用できる。
【0066】
上記スペックルパタンは、例えば、所定の光源と、当該光源から投射された光の光路に設けられたサイズ及び形状可変の開口を備えたマスクと、光源から投射された光により生ずるスペックルパタンを記録するためのプレートと、マスクとプレートの間に光源の光を拡散する拡散板とを用い、マスクの開口のサイズ及び形状、拡散板の拡散性、および各構成部材間の距離を変化させることにより形成することができる。
【0067】
このようにして得られたスペックルパタンは、プレート上に塗布された感光性樹脂又はフォトレジストに記録されるので、これを現像してスペックルパタンに由来する凹凸が形成された拡散層用サブマスタ型8aが得られる。この拡散層用サブマスタ型8aに電鋳等の方法で金属を被着させることにより、スペックルパタンに由来する不均一な凹凸形状を有する型9aを製造できる(図6(b))。
【0068】
この型9aを用いて、所定の透明フィルム上に、例えば紫外線硬化樹脂を用いてスペックルパタンに由来する不均一な凹凸構造が形成された拡散層を形成することができる。以下では、拡散層を形成した上記所定の透明フィルムを拡散層パタン付きフィルム8bという(図6(c))。
【0069】
続いて、得られた拡散層パタン付きフィルム8bの一部を機械加工にて切削除去し、複製型8cを形成する(図6(d))。複製型8cは、錐台形状の単位レンズからなるパタンが残るように加工されている。その後、特表2003−525472号公報(国際公開第01/065469号)の方法に準拠した方法で、複製型8cに電鋳等の方法で金属を被着させることによりマスタ型9bを製造する(図7(a))。
【0070】
このマスタ型9bを、例えば、紫外線硬化樹脂を塗布したベースフィルム2と重畳させて押圧し、紫外線硬化樹脂を硬化さることで、本実施形態の光学シート1が作製できる(図7(b))。なお、上記凹凸構造は、光学シートの入射面、出射面のいずれか一方または両方に設けることができるが、輝度向上の観点から、主たる凹凸構造は出射面にあることが好ましく、入射面側は平滑面となっていることがより好ましい。なお、一般に、光学シート1を積層する場合等に、傷つき防止のため、光学特性に大きな影響を与えない範囲で、入射面に極微量のビーズを塗布する場合がある。このような場合も平滑面に含まれるものとする。
【0071】
次に、上述した本実施形態の光学シート1を用いたバックライトユニットについて説明する。図8及び図9は、本実施形態に係るバックライトユニットの概略構成を示す図である。
【0072】
本実施形態のバックライトユニットは本実施形態の光学シート15を有する。バックライトユニットは、画像の表示面に対して、直下に光源11、12が配列された直下型(図8)や、導光板10と導光板10の側面に配置された光源12を有するエッジライト型(図9)の、いずれも好適に用いることが出来る。本実施形態の光学シート15は、凹凸形成面側を出光面として配設することが好ましい。また、光源11、12の下方には、光を反射させるための反射シート13が使用されることが好ましい。バックライトユニットは、上記構成を有していれば、さらに、他の光学シート、拡散シート等を配設しても良く、例えば、光源11、12と本実施形態の光学シート15との間に拡散板14を設けた構成(図8)や、光学シート15の上にプリズムシート17および反射型偏光シート18を載せた構成(図9(b))とすることができる。光源としては、冷陰極管(CCFL)などの線光源11や、LED(発光ダイオード)、レーザーなどの点光源12を用いることができる。
【0073】
拡散板14は、光を拡散させることのできるものであれば、様々なものを用いることができる。例えばポリスチレン、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー等に、光を拡散させる効果がある有機ポリマーや無機微粒子を添加したものを用いることができる。これらの拡散板14は、光を拡散させ、下部光源の光を均一化させる効果がある。また、拡散板14は、表面に凹凸形状が形成されていても良い。これらには、必要に応じて、有機ポリマーや無機微粒子を添加したものを用いることができる。また、2成分以上の樹脂を混合し、延伸してシート状とした拡散板14も用いることができる。
【0074】
導光板10は、メタクリル酸メチル樹脂などのアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、またはシクロオレフィン系樹脂等の一定の屈折率を有する透明な樹脂材料を基材とする平板状の部材である。導光板10は、反射ドット、凹凸形状等の反射部を有することで、光入射面(側端面の1つまたは複数)から入射した光を該側端面と略直交する光出射面から出射させる機能を有する。反射部としては、白色インクで反射ドットを印刷したシルク印刷方式、スタンパーを用いたインジェクション成形により基材表面に凹凸をつけた成型方式、基材と反射板をドット状の粘着材で貼り付けた粘着ドット方式、溝加工によるドット方式等で反射ドットを作製したものなどが好ましく用いられる。また、導光板10の側端面の形状はテーパー型や長方形型などである。本発明に用いられる導光板10は、一枚板からなる導光板でも良いし、複数のブロック導光板からなる導光板でも良い。
【0075】
反射シート13は、光を反射させることのできるものであれば、様々なものを用いることができる。例えば、ポリエステル、ポリカーボネート等の樹脂を発泡させて内部に微細な空気の粒を入れシート状としたもの、2成分以上の樹脂を混合してシート状としたもの、屈折率の異なる樹脂層を積層したシート等を用いることができる。また、反射シート13は、表面に凹凸形状が形成されていても良い。これらには、必要に応じて、表面に無機微粒子などを添加したものを用いることができる。
【0076】
表面賦形型拡散シートとしては、アクリル系樹脂の球状ビーズがポリエステル系樹脂、トリアセチルセルロース、或いはポリカーボネート等のシート上に塗布されたシートを用いることができる。また、表面賦形型拡散シートとしては、紫外線硬化樹脂による微細な凹凸構造がポリエステル系樹脂、トリアセチルセルロース、或いはポリカーボネート等のシート上に転写されたシートを用いることができる。このような表面賦形型拡散シートは、光を拡散させ均一化させる効果とともに、拡散板14で拡散された光を集光する機能を有する。これらの表面賦形型拡散シートと、本実施形態の光学シート15とを組み合わせて使用することにより、輝度むらを軽減し、光源ユニットの薄型化や光源数の削減を実現することができる。
【0077】
プリズムシート17としては、表面に、断面形状が略三角形状、略台形状、略楕円状であるプリズム条列がアレイ状に配列しているような光学シートを用いることができる。断面形状の頂点を丸めた形状としたものも、耐擦傷性向上などの観点から、好ましく用いることができる。これらのプリズムシートとしては、紫外線硬化樹脂によるプリズム条列がポリエステル系樹脂、トリアセチルセルロース、又はポリカーボネート等の基材シート上に転写された形態として用いることができる。このようなプリズムシート17は再帰反射性を示すため、入射光を正面へ集光する機能を有する。このプリズムシートと、本発明の光学シート15とを組み合わせて使用することにより、輝度むらを軽減し、光源ユニットの薄型化や光源数の削減を実現することができる。
【0078】
反射型偏光シート18としては、自然光又は偏光から直線偏光を分離する機能を有するシートを用いることができる。直線偏光を分離するシートとしては、例えば、軸方向で直交する直線偏光の一方を透過し、他方を反射するフィルム等が挙げられる。反射型偏光シートとしては、具体的には、複屈折位相差の大きい樹脂(ポリカーボネート、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等)と、複屈折位相差の小さい樹脂(シクロオレフィンポリマー等)とを交互に多層積層し一軸延伸して得られるシートや、複屈折性のポリエステル樹脂を数百層積層した構造からなるシート(DBEF、3M(株)製)等を用いることができる。
【0079】
これらのバックライトユニットは、液晶表示パネルと組合せることにより、液晶表示装置として用いることができる。
【0080】
次に、上述した本実施形態のバックライトユニットを用いた液晶表示装置について説明する。
【0081】
図10は、エッジライト型のバックライトユニットを用いた場合の液晶表示装置の断面図である。本実施形態のバックライトユニットを用いた液晶表示装置は、面光源装置の光の透過を調整することによって表示をする液晶表示パネル118と、液晶表示パネルの背面に配置された前述のバックライトユニットを有する。当該液晶表示装置において、バックライトユニットはバックライトシャーシ119に格納されている。また、バックライトユニットの導光板10は、白色ドット113を有している。液晶表示パネル118は、液晶層と、これを挟む2枚のガラス板1181と、ガラス板1181の表裏に設けられた偏光板1182で構成されている。
【0082】
本実施の形態のバックライトユニットは、輝度ムラの抑制と高い輝度とを兼ね備える。このため、本実施の形態のバックライトユニットを液晶表示装置に用いることで、液晶表示装置の表示の均一性(輝度の均一性)を確保しつつ、液晶表示装置の輝度を高めることができる。
【0083】
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例および比較例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
【0084】
本実施例では、図11に示す斜面形状を有する光学シートを用いたバックライトユニットの特性を評価した。すなわち、本実施例の光学シートは、単位レンズのピッチが250μm、高さが40μm、傾斜角度が40°、光学シート直上から平面視した時の頂面の占める割合が45%の単位レンズの頂面に、スペックル由来の凹凸構造を有する拡散角度(FWHM)が30°の拡散層が形成されたものである。すなわち、光学シート直上から平面視した時の、拡散層の全体に占める面積の割合は45%である。また、このとき、拡散層5の550nmにおける反射率は6%である。なお、スペックル由来の凹凸構造は、単位レンズの寸法に比して十分に小さいため、図11にはほとんど表れていない。
【0085】
なお、本実施例の光学シートにおける単位レンズのピッチ・高さ・斜面角度は、(株)小坂研究所製の微細形状測定機ET4000で測定した。また、上記光学シート直上から平面視した時の、拡散層の全体に占める面積の割合は、顕微鏡写真を撮影して算出した。本実施例に示される拡散角度は、微細な凹凸構造を有する面から入光させ、LD8900で測定した角度である。例えば、5°と示す場合には、どの方向のFWHMも、5°である等方性の光学シートであることを表す。また、30×10°と示す場合には、拡散角度が最小となる方向の拡散角度が10°であり、拡散角度が最大となる方向の拡散角度が30°である異方性の光学シートであることを表す。また、反射率は微細な凹凸構造を有する面の裏面に5°の入射角で入光させた場合の鏡面反射率をMPC−2200で測定した反射率である。各パラメータを表1に示す。
【0086】
[輝度向上]
図9(b)に示すように、導光板10の下に反射シート13を配置し、導光板10の上に光学シート15として本実施例の光学シートを配置し、その上にプリズムシート17及び反射型偏光シート18を、順次配置し、本実施例の輝度評価用のバックライトユニットを構成した。なお、光学シート以外の光学部材、すなわち白色LED、反射シート13、導光板10、プリズムシート17、反射型偏光シート18については、それぞれSONY社製のKDL−32EX700に使用されているものを用いた。
【0087】
コニカミノルタセンシング社製の2次元色彩輝度計(CA−2000)を上記バックライトユニットから75cm離して設置し、バックライトユニットの中心部、直径35mmの円内で測定した平均の値を輝度とした。本実施例の輝度と、後述する比較例1の輝度と、から、輝度の変化率(%)を算出し、輝度向上を表す指標として表1に示す。
【0088】
[ムラ隠蔽性]
図9(a)に示すように導光板10の下に反射シート13を配置し、導光板10の上に光学シート15として本実施例の光学シートを配置し、実施例のムラ隠蔽性評価用のバックライトユニットを構成した。なお、光学シート以外の光学部材、すなわち白色LED、反射シート13、導光板10については、それぞれSONY社製のKDL−32EX700に使用されているものを用いた。導光板10の白色ドットで形成された反射ドットが視認できない状態を○、ドットが視認できる状態を×として目視でムラ隠蔽性の評価を行った結果を表1に示す。
【0089】
(実施例2)
本実施例では、実施例1における光学シートに代えて、シート直上から平面視した時に、拡散層の占める面積が全体の45%、スペックル由来の凹凸構造を有する拡散層の拡散角度(FWHM)が60×1°、反射率が8%である光学シートを、拡散層がLED列と平行な方向に光を拡散させるように配置したバックライトユニットを用いて特性を評価した。光学シートの他のパラメータは、実施例1と同様である。すなわち、単位レンズの断面形状は図11に示す斜面形状を有する。各パラメータの測定方法および評価方法は実施例1と同様である。測定結果及び評価結果を表1に示す。
【0090】
(比較例1)
本比較例では、実施例1又は実施例2における光学シートに代えて、等方性拡散シートであるTDF−127(東レ社製)を同位置に配置したバックライトユニットを用いて特性を評価した。評価方法は実施例1と同様である。評価結果を表1に示す。
【0091】
(比較例2)
本比較例では、実施例1又は実施例2における光学シートに代えて、FWHMが30°、反射率6%の等方性拡散シートを同位置に配置したバックライトユニットを用いて特性を評価した。各パラメータの測定方法および評価方法は実施例1と同様である。測定結果及び評価結果を表1に示す。
【0092】
(比較例3)
本比較例では、実施例1又は実施例2における光学シートに代えて、FWHM60×1°、反射率8%の異方性拡散シートを同位置に、LED列と平行な方向に光を拡散させるように配置したバックライトユニットを用いて特性を評価した。各パラメータの測定方法および評価方法は実施例1と同様である。測定結果及び評価結果を表1に示す。
【0093】
(比較例4)
本比較例では、実施例1又は実施例2における光学シートに代えて、シート直上から平面視した時に、頂面の占める面積が全体の45%、単位レンズの断面形状が図11に示す斜面形状であり、頂面に拡散層を有さない光学シートを同位置に配置したバックライトユニットを用いて特性を評価した。各パラメータの測定方法および評価方法は実施例1と同様である。測定結果及び評価結果を表1に示す。
【0094】
【表1】

【0095】
表1に示すように、拡散層と集光機能を有する斜面とを融合させた実施例1及び実施例2の光学シートは、集光斜面を持たない比較例1〜3の拡散シートと比較して輝度向上効果が高く、集光機能を有する斜面は有するが拡散層を持たない比較例4の光学シートと比較してムラ隠蔽性が高く、輝度も高い。実施例1及び実施例2の光学シートでは、集光に適した斜面を有し、さらに集光されなかった光も反射を経て再度集光されることで輝度向上効果が高い水準で得られ、拡散層により適度に光が拡散されるためにムラ隠蔽性が高い水準で得られるためである。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明の光学シートは、各種表示装置のバックライトに好適に用いられる。
【符号の説明】
【0097】
1 光学シート
2 ベースフィルム
3 単位レンズ
4 頂面
5 拡散層
6 底線または底面
7 斜面
10 導光板
11 線状光源
12 点状光源
13 反射シート
14 拡散板
15 光学シート
17 プリズムシート
18 反射型偏光シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性を有するベースフィルムと、
前記ベースフィルムの一面に形成され、前記ベースフィルムの前記一面に垂直な一断面の形状が略台形である複数の単位レンズと、
前記単位レンズの頂面に形成され、前記単位レンズで集光された光を拡散させる拡散層と、を備えることを特徴とする光学シート。
【請求項2】
前記複数の単位レンズが、特定の方向に延在する角柱形状を有する互いに平行な複数の光透過性部材からなることを特徴とする請求項1に記載の光学シート。
【請求項3】
前記単位レンズが、略錐台形状を有する光透過性部材からなることを特徴とする請求項1に記載の光学シート。
【請求項4】
前記ベースフィルムの前記一面に垂直な方向からの平面視において、前記拡散層の占める面積が前記ベースフィルム全体の面積の5%以上70%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一に記載の光学シート。
【請求項5】
前記単位レンズの傾斜角度が15°以上60°以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一に記載の光学シート。
【請求項6】
前記拡散層の550nmにおける反射率が3%以上15%以下であることを特徴とする請求項1〜5いずれか一に記載の光学シート。
【請求項7】
前記拡散層の拡散角度が0.1度以上150度以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一に記載の光学シート。
【請求項8】
前記拡散層の表面に凹凸構造を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一に記載の光学シート。
【請求項9】
前記凹凸構造が干渉露光によるスペックルパタンを用いて形成された凹凸構造であることを特徴とする請求項8に記載の光学シート。
【請求項10】
前記単位レンズと前記拡散層とは一体に設けられたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一に記載の光学シート。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一に記載の光学シートを具備するバックライトユニット。
【請求項12】
請求項11に記載のバックライトユニットを具備する液晶表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−103290(P2012−103290A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249042(P2010−249042)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000000033)旭化成株式会社 (901)
【Fターム(参考)】