光学的情報読取装置およびセキュリティシステム
【課題】セキュリティ性を向上させ得る光学的情報読取装置およびセキュリティシステムを提供する。
【解決手段】筐体11には、判定用順序情報を暗号化してコード化した開封用情報コードQが表示されている。また、メモリ23には、筐体11に表示される開封用情報コードQの判定用順序情報が予め記憶されている。そして、各導通部51〜56および締結状態検知回路25により検出される各ねじ41〜46の取り外し順序が、メモリ23に記憶される判定用順序情報に対応する取り外し順序(開封用順序)に一致しないとされると、メモリ23に記憶される読取情報が、消去用制御回路26により消去される。
【解決手段】筐体11には、判定用順序情報を暗号化してコード化した開封用情報コードQが表示されている。また、メモリ23には、筐体11に表示される開封用情報コードQの判定用順序情報が予め記憶されている。そして、各導通部51〜56および締結状態検知回路25により検出される各ねじ41〜46の取り外し順序が、メモリ23に記憶される判定用順序情報に対応する取り外し順序(開封用順序)に一致しないとされると、メモリ23に記憶される読取情報が、消去用制御回路26により消去される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読取情報の不正利用を防止し得る機能を有する光学的情報読取装置およびセキュリティシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光学的情報読取装置では、ユーザ情報や商品情報などの機密情報が取り扱われるため、当該装置が不正に開封された場合でも機密情報の漏洩を防止する必要がある。この対策として、装置の開封を検知した時にメモリに記憶される機密情報等を消去するなどのセキュリティ対策が実施される。一方、製品のメンテナンスのためには筐体の開封が必要であり、この開封時には上記セキュリティ対策を実施しないようにする必要がある。
【0003】
そのため、読取情報の不正利用を防止し得る機能を有する光学的情報読取装置として、下記特許文献1に示す光学的情報読取装置が知られている。この光学的情報読取装置では、筐体に締結される各ねじの締結状態を検出するとともに、検出される各ねじの取り外し順序が判定用順序に一致するか否かについて判定される。この判定用順序は、主制御回路への電力供給開始に応じてランダムに変更され、開封用情報コードが読み取られる場合に限り所定の開封用順序に変更される。そして、各ねじの取り外し順序が上記判定用順序に一致しないとの判定、すなわち、開封用情報コードが読み取られていない状態であることから筐体の不正開封であるとの判定に応じて、メモリの読取情報が消去される。
【0004】
これにより、判定用順序を知らない不正開封者による読取情報の不正使用を防止している。すなわち、不正開封者が開封用情報コードを不正に取得した場合でも、上記所定の開封用順序をも取得しなければ、読取情報を消去させることなく筐体を開封することは不可能であり、不正開封者が上記所定の開封用順序を不正に取得した場合でも、開封用情報コードをも取得しなければ、読取情報を消去させることなく筐体を開封することは不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−118041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示される光学的情報読取装置の構成では、開封用情報コードとこの開封用情報コードに対応する所定の開封用順序が紛失・流出しないようにそれぞれ管理する必要がある。さらに、量産性の高い光学的情報読取装置について、開封用順序を個別に設定しようとすると、膨大な種類の開封用情報コードと開封用順序とを用意する必要があり、製品管理に関する安全性・作業性が悪くなる場合がある。さらに、膨大な種類の開封用情報コードを管理しなければならず、情報漏洩の可能性が高くなることが想定される。特に、近年の光学的情報読取装置が使用される状況では、取り扱う機密情報が多種多様となりやすく、機密情報の漏洩を防止に関してより一層のセキュリティ性の向上が望まれる。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、セキュリティ性を向上させ得る光学的情報読取装置およびセキュリティシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、情報コードを光学的に読み取る読取手段(21,22)と、前記読取手段により読み取られた読取情報を記憶する記憶手段(23)と、第1ケース(12)および第2ケース(13)を有し両ケースが複数の締結部材(41〜46)による締結により組み付けられて前記記憶手段を収容する筐体(11)と、を備える光学的情報読取装置(10)であって、前記筐体には、前記各締結部材の取り外し順序が当該筐体の不正開封か否かを判定するための判定用順序情報を、暗号化してコード化した開封用情報コード(Q)が表示され、前記記憶手段には、前記筐体に表示される前記開封用情報コードの前記判定用順序情報が予め記憶され、前記各締結部材の締結状態を検出可能な検出手段(25,51〜56)と、前記検出手段により検出される前記各締結部材の取り外し順序が、前記記憶手段に記憶される前記判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致するか否かを判定する判定手段(21)と、前記判定手段による前記取り外し順序が前記判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致しないとの判定に応じて、前記記憶手段に記憶される前記読取情報の少なくとも一部を外部から取得不能に制御する制御手段(21,26)と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光学的情報読取装置において、前記制御手段は、前記読取情報の少なくとも一部を消去することで外部から取得不能に制御することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の光学的情報読取装置において、前記判定手段による前記取り外し順序が前記判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致しないとの判定に応じて、正常開封でない旨を開封者に報知する報知手段(24,27)を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の光学的情報読取装置において、前記制御手段は、前記報知手段による報知回数(Na)が所定回数(Nt)以上になる場合に、前記読取情報の少なくとも一部を外部から取得不能に制御することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記判定手段による前記取り外し順序が前記判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致しないとの判定に応じて、周囲に警報を発する警報手段(27)を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置(10)と、前記開封用情報コードを光学的に読み取り、前記暗号化された判定用順序情報を解読して取得する解読装置(2)と、を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のセキュリティシステムにおいて、前記開封用情報コードは、当該開封用情報コードが前記筐体に表示された前記光学的情報読取装置を特定する特定情報をコード化するとともに、連続番号(Nk)がそれぞれに付与される複数の前記判定用順序情報を暗号化してコード化することで構成され、前記解読装置では、前記開封用情報コードを読み取った回数が前記特定情報ごとに読取回数(Nb)として記憶されるとともに、前記開封用情報コードが光学的に読み取られると、この開封用情報コードから解読される前記複数の判定用順序情報のうち当該開封用情報コードの前記読取回数に一致する前記連続番号の判定用順序情報が取得され、前記記憶手段には、前記開封用情報コードから解読される前記複数の判定用順序情報が前記連続番号とともに記憶されるとともに、前記筐体の開封回数(Nc)が記憶され、前記判定手段は、前記検出手段により検出される前記各締結部材の取り外し順序が、前記記憶手段に記憶される複数の前記判定用順序情報のうち前記記憶手段に記憶される前記開封回数に一致する前記連続番号の判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致するか否かを判定することを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載のセキュリティシステムにおいて、前記開封用情報コードは、複数の前記判定用順序情報として少なくとも第1の判定用順序情報および第2の判定用順序情報を暗号化してコード化することで構成され、前記解読装置は、前記第1の判定用順序情報を解読可能であれば、前記開封用情報コードを読み取ることで前記第1の判定用順序情報を取得し、前記第2の判定用順序情報を解読可能であれば、前記開封用情報コードを読み取ることで前記第2の判定用順序情報を取得し、前記記憶手段には、前記第1の判定用順序情報および前記第2の判定用順序情報が予め記憶されるとともに、前記読取情報として第1読取情報および第2読取情報が記憶され、前記制御手段は、前記判定手段により前記取り外し順序が前記第1の判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致すると判定される場合には、前記記憶手段に記憶される前記読取情報を外部から取得不能に制御せず、前記判定手段により前記取り外し順序が前記第2の判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致するとの判定に応じて、前記記憶手段に記憶される前記第1読取情報を外部から取得不能に制御し、前記判定手段により前記取り外し順序が前記第1の判定用順序情報および前記第2の判定用順序情報のいずれかに対応する取り外し順序に一致しないとの判定に応じて、前記記憶手段に記憶される前記第1読取情報および前記第2読取情報を外部から取得不能に制御することを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明では、筐体には、上記判定用順序情報を暗号化してコード化した開封用情報コードが表示されている。また、記憶手段には、筐体に表示される開封用情報コードの判定用順序情報が予め記憶されている。そして、検出手段により検出される各締結部材の取り外し順序が上記判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致しないと判定手段により判定されると、記憶手段に記憶される読取情報の少なくとも一部が、制御手段により外部から取得不能に制御される。
【0017】
読取情報が外部から取得不能に制御されることなく筐体を開封するためには、各締結部材の取り外し順序を上記判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致させる必要がある。この判定用順序情報は、筐体に表示される開封用情報コードを解読して取得する必要があるため、開封用情報コードを解読する手段を有しない不正開封者は判定用順序情報を知ることができないので、記憶手段に記憶される読取情報の少なくとも一部が制御手段により外部から取得不能に制御されることなく筐体が開封(不正開封)されることを防止することができる。
したがって、不正開封者による読取情報の不正使用を防止して、当該光学的情報読取装置のセキュリティ性を向上させることができる。
【0018】
請求項2の発明では、制御手段は、読取情報の少なくとも一部を消去することで、外部から取得不能に制御するので、不正開封者による読取情報の不正使用を確実に防止することができる。一方、正常開封者は、筐体に表示される開封用情報コードを解読して取得した判定用順序情報に対応する取り外し順序に従い各締結部材を取り外すことで、読取情報を消去させることなく筐体を開封することができる。
【0019】
請求項3の発明では、報知手段は、判定手段による取り外し順序が上記判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致しないとの判定に応じて、正常開封でない旨を開封者に報知する。これにより、開封者が、開封用情報コードの読み取りを忘れて各締結部材を取り外す場合や、開封用情報コードを読み取ったとしても読み取った判定用順序情報に対応する取り外し順序と異なる取り外し順序で誤って各締結部材を取り外す場合には、その旨が報知される。この報知を受けて、正常開封者が、例えば、所定のキー操作等の予め設定された解除処理を実施して再度上記判定用順序情報に対応する取り外し順序で各締結部材を取り外すことにより、正常開封者による誤った取り外し順序のために、読取情報が外部から取得不能に制御されることを回避することができる。
【0020】
請求項4の発明では、制御手段は、報知手段による報知が所定回数を超える場合に、読取情報の少なくとも一部を外部から取得不能に制御する。例えば、不正開封者が上述した解除処理を知っていると、予め設定された判定用順序情報を知らなくても、各締結部材の取り外しと解除処理とを何回か繰り返すうちにこの判定用順序情報に対応する取り外し順序を探し当て、不正に筐体を開封してしまうおそれがある。そこで、このような不正開封者による読取情報の不正使用を防止するために、各締結部材の取り外しと解除処理とが繰り返し行われて判定手段による取り外し順序が判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致しないとの判定が上記所定回数を超えてなされると、不正開封とみなされて、読取情報が外部から取得不能となる制御が回避されることなく実施される。
【0021】
このため、不正開封者が上記判定用順序情報に対応する取り外し順序を探し当てることが難くなり、不正開封者による筐体の不正開封を防止でき、セキュリティ性をより向上させることができる。また、例えば正常開封者が、誤って判定用順序情報に対応する取り外し順序と異なる取り外し順序で締結部材を取り外す場合でも、判定手段による取り外し順序が判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致しないとの判定が上記所定回数を超えてなされていなければ、読取情報が外部から取得不能に制御されることを回避することができる。
【0022】
請求項5の発明では、警報手段は、判定手段による取り外し順序が判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致しないとの判定に応じて周囲に警報を発する。これにより、不正開封者が筐体を不正開封する場合には、周囲に例えば警告音等で警報されるので、不正開封者による読取情報の不正使用を防止するだけでなく、不正開封者による不正開封行為を周囲に知らせることができる。
【0023】
請求項6の発明では、セキュリティシステムは、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置と、開封用情報コードを光学的に読み取り、暗号化された判定用順序情報を解読して取得する解読装置とを備えている。これにより、光学的情報読取装置の筐体に表示される開封用情報コードを解読装置にて読み取り解読することで取得された判定用順序情報に対応する取り外し順序で各締結部材を取り外すことで、読取情報を制御手段により外部から取得不能に制御することなく筐体を開封することができる。
したがって、不正開封者による読取情報の不正使用を防止して、光学的情報読取装置を管理するセキュリティシステムのセキュリティ性を向上させることができる。
【0024】
請求項7の発明では、開封用情報コードは、当該開封用情報コードが筐体に表示された光学的情報読取装置を特定する特定情報をコード化するとともに、連続番号がそれぞれに付与される複数の判定用順序情報を暗号化してコード化することで構成される。また、解読装置では、上記読取回数が特定情報ごとに記憶されるとともに、開封用情報コードが光学的に読み取られると、この開封用情報コードから解読される複数の判定用順序情報のうち当該開封用情報コードの読取回数に一致する連続番号の判定用順序情報が取得される。また、記憶手段には、開封用情報コードから解読される複数の判定用順序情報が連続番号とともに記憶されるとともに、筐体の開封回数が記憶される。そして、判定手段は、各締結部材の取り外し順序が、記憶手段に記憶される複数の判定用順序情報のうち開封回数に一致する連続番号の判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致するか否かを判定する。
【0025】
これにより、解読装置により取得される判定用順序情報が読取回数に応じて変化するので、解読装置を用いて光学的情報読取装置の筐体を開封する作業者であっても判定用順序情報を知ることができないので、読取情報の不正使用を確実に防止することができる。
【0026】
請求項8の発明では、開封用情報コードは、複数の判定用順序情報として少なくとも第1の判定用順序情報および第2の判定用順序情報を暗号化してコード化することで構成される。また、解読装置は、第1の判定用順序情報を解読可能であれば、開封用情報コードを読み取ることで第1の判定用順序情報を取得し、第2の判定用順序情報を解読可能であれば、開封用情報コードを読み取ることで第2の判定用順序情報を取得する。また、記憶手段には、第1の判定用順序情報および第2の判定用順序情報が予め記憶されるとともに、読取情報として第1読取情報および第2読取情報が記憶される。そして、制御手段は、判定手段により取り外し順序が第1の判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致すると判定される場合には、記憶手段に記憶される読取情報を外部から取得不能に制御せず、判定手段により取り外し順序が第2の判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致するとの判定に応じて、記憶手段に記憶される第1読取情報を外部から取得不能に制御し、判定手段により取り外し順序が第1の判定用順序情報および第2の判定用順序情報のいずれかに対応する取り外し順序に一致しないとの判定に応じて、記憶手段に記憶される第1読取情報および第2読取情報を外部から取得不能に制御する。
【0027】
これにより、光学的情報読取装置にて読み取られる情報を管理する管理会社等では、第1の判定用順序情報を解読可能な解読装置を用いて光学的情報読取装置の筐体を開封することで、第1読取情報および第2読取情報の双方を制御手段により外部から取得不能に制御することなく筐体を開封することができる。また、上記管理会社等から光学的情報読取装置の修理を委託された修理会社等では、第2の判定用順序情報を解読可能な解読装置を用いて光学的情報読取装置の筐体を開封しても、第1読取情報が外部から取得不能に制御されることなり、第1読取情報の不正使用を確実に防止することができる。また、不正開封者では、そもそも解読装置を有しないので、第1読取情報および第2読取情報の双方が制御手段により外部から取得不能に制御されることなく筐体が不正開封されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1実施形態に係るセキュリティシステムを概念的に説明する説明図である。
【図2】図1の光学的情報読取装置の構成概要を示す図であり、図2(A)は背面図、図2(B)は一部断面で示す側面図である。
【図3】締結用貫通孔を挿通したねじが被締結部に締結される締結状態の導通部を示す説明図である。
【図4】光学的情報読取装置の不正開封対策処理に関する電気的構成を示すブロック図である。
【図5】解読装置の表示部に開封用順序が表示された状態を例示する説明図である。
【図6】第1実施形態における主制御回路による不正開封対策処理の流れを例示するフローチャートである。
【図7】第2実施形態における主制御回路による不正開封対策処理の流れを例示するフローチャートである。
【図8】第3実施形態において開封用情報コードを読み取ることにより取得される情報を示す説明図である。
【図9】第3実施形態における解読装置の主制御回路による判定用順序情報取得処理の流れを例示するフローチャートである。
【図10】第3実施形態における光学的情報読取装置の主制御回路による不正開封対策処理の流れを例示するフローチャートである。
【図11】第4実施形態において開封用情報コードを読み取ることにより取得される情報を示す説明図である。
【図12】第4実施形態における光学的情報読取装置の主制御回路による不正開封対策処理の流れを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係る光学的情報読取装置およびセキュリティシステムについて図を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係るセキュリティシステム1を概念的に説明する説明図である。
図1に示すセキュリティシステム1は、バーコードなどの一次元コードや二次元コード等の情報コードを光学的に読み取り所定の情報を取得する1または2以上の光学的情報読取装置10と、当該光学的情報読取装置10の背面に貼付された開封用情報コードQを光学的に読み取るための解読装置2とを備えている。
【0030】
まず、光学的情報読取装置10について図を参照して説明する。図2は、図1の光学的情報読取装置10の構成概要を示す図であり、図2(A)は背面図、図2(B)は一部断面で示す側面図である。図3は、締結用貫通孔12cを挿通したねじ41が被締結部13aに締結される締結状態の導通部51を示す説明図である。図4は、光学的情報読取装置10の不正開封対策処理に関する電気的構成を示すブロック図である。
【0031】
図2(A),(B)に示すように、光学的情報読取装置10は、裏側ケース12および表側ケース13からなる筐体11内に制御基板20等の各種電気部品と、各種電気部品の電源として機能する電池30とが収容されるように構成されている。この筐体11内の電気的構成は、公知のコードリーダ(バーコードリーダ、二次元コードリーダ等)とほぼ同様の構成とすることができる。なお、電池30は、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等の充放電可能な二次電池や、マンガン乾電池、アルカリ乾電池等の一次電池によって構成されている。
【0032】
表側ケース13の内面側には、制御基板20が固定されており、この制御基板20の電池側端部には、コネクタ等を介して電池30からの電力が供給されている。また、表側ケース13の表面には、複数の操作キー14が配置されており、各操作キー14を操作することにより、この操作に応じた所定の情報が制御基板20の主制御回路21に入力される。
【0033】
裏側ケース12には、電池30を収容可能な電池収容部12aが設けられており、当該電池収容部12aは、図2(B)に示すように、一方が箱状に開口するように形成されている。この電池収容部12aの開口部は、裏側ケース12に対して着脱可能に形成された電池蓋15によって閉塞され得る構成となっている。
【0034】
裏側ケース12および表側ケース13は、裏側ケース12に形成される6つの環状凹部12bの締結用貫通孔12cを挿通する金属製の6つのねじ41〜46により締結されて組み付けられることにより、筐体11を構成する。なお、各ねじ41〜46は、特許請求の範囲における「締結部材」の一例に相当する。
【0035】
各環状凹部12bは同じ構成であるため、ねじ41が締結される環状凹部12bを代表して説明する。
図3に示すように、環状凹部12bの底面にはねじ41のねじ部が挿通する締結用貫通孔12cが形成されている。また、環状凹部12bの底面の所定の部位には導電性塗料が塗布されており、この塗布部位12dと締結用貫通孔12cを挿通して表側ケース13の被締結部13aに締結されるねじ41とにより所定の抵抗値(以下、締結時抵抗値Rともいう)を有する導通部51が構成される。この導通部51は、被締結部13aからねじ41を取り外した非締結状態における抵抗値が締結状態における締結時抵抗値Rよりも大きくなるように構成されている。なお、ねじ42〜46が締結される各環状凹部12bもそれぞれ上述のように導通部52〜56を有するように構成されている。
【0036】
また、図2(A)に示すように、裏側ケース12の背面側には、開封用情報コードQが貼付等により表示されている。この開封用情報コードQは、各ねじ41〜46の取り外し順序が筐体11の不正開封か否かを判定するための判定用順序情報を、所定の復号鍵により復号可能に暗号化してコード化したQRコード(登録商標)として構成されている。具体的には、開封用情報コードQは、復号鍵を用いることなく情報を取得可能な公開領域と、復号鍵を用いることで暗号化された情報を復号して取得可能な非公開領域とを有するように構成されている。
【0037】
そして、公開領域には、例えば、当該開封用情報コードQが筐体11に表示された光学的情報読取装置10を特定する特定情報として機種ID情報が記録されている。また、非公開領域には、例えば、「ねじ41→44→43→45→42→46の順序で取り外す」判定用順序を特定するための判定用順序情報が記録されている。このため、解読装置2と異なる光学的情報読取装置で開封用情報コードQを読み取っても、判定用順序情報が取得されずに機種ID情報が取得されるので、復号鍵を用いることで当該開封用情報コードQから判定用順序情報を取得可能であることを秘匿できる。
【0038】
次に、光学的情報読取装置10の不正開封対策処理に関する電気的構成について、図4を用いて説明する。
図4に示すように、制御基板20には、主に、主制御回路21と、受光センサ22と、個人情報等の所定の情報が記憶されるメモリ23と、所定の情報を表示する表示部24と、各ねじ41〜46の締結状態を検知可能な締結状態検知回路25と、メモリ23の情報を消去可能な消去用制御回路26と、ブザー27とが電気的に接続されるように配置されている。
【0039】
主制御回路21は、操作キー14等の操作に応じて受光センサ22から出力される受光信号に基づいて外部の情報を読み取りこの読取情報を制御してメモリ23に記憶する情報処理に関する機能を有する。また、主制御回路21は、筐体11が不正開封されたか否かを検知するとともに不正開封時にはメモリ23に記憶される読取情報の消去等の不正開封対策処理に関する機能を有する。なお、主制御回路21は、特許請求の範囲における「読取手段、判定手段,制御手段」の一例に相当する。
【0040】
また、メモリ23は、半導体メモリ装置で、例えばRAM(DRAM、SRAM等)やROM、不揮発性メモリ等がこれに相当し、外部から読み取った情報や機密情報などの情報が記憶される。このメモリ23には、収容される筐体11に貼付された開封用情報コードQの非公開領域に記録される判定用順序情報と同じ情報が予め記憶されている。なお、メモリ23は、特許請求の範囲における「記憶手段」の一例に相当する。
【0041】
表示部24は、例えば、液晶表示器などからなり、主制御回路21によってその表示内容が制御されるように構成されている。なお、表示部24は、特許請求の範囲における「報知手段」の一例に相当する。
【0042】
締結状態検知回路25は、各導通部51〜56の抵抗値をそれぞれ検知し、導通部51〜56のいずれかの抵抗値が締結時抵抗値Rより大きく設定される所定の閾値Rtを超えると、対応するいずれかのねじ41〜46が被締結部13aから取り外された非締結状態であることを検知して、非締結状態検知信号S1〜S6のいずれかを主制御回路21に出力する。例えば、ねじ41が被締結部13aから取り外されると、非締結状態検知信号S1が主制御回路21に出力されることとなる。なお、締結状態検知回路25および各導通部51〜56は、特許請求の範囲における「検出手段」の一例に相当する。
【0043】
消去用制御回路26は、主制御回路21から出力される消去信号に基づいて、メモリ23に記憶される読取情報を消去する。なお、消去用制御回路26は、特許請求の範囲における「制御手段」の一例に相当する。
【0044】
ブザー27は、ビープ音やアラーム音を発生可能に構成されており、主制御回路21からの報知信号に応じて開封者が認識できる程度に鳴動するとともに、警告信号に応じて周囲に警告可能に鳴動する。なお、ブザー27は、特許請求の範囲における「報知手段,警報手段」の一例に相当する。
【0045】
次に、解読装置2について図を参照して説明する。図5は、解読装置2の表示部24aに開封用順序が表示された状態を例示する説明図である。
解読装置2は、通常の光学的情報読取装置とほぼ同じ構成であって、光学的情報読取装置10の特徴的構成、例えば、締結状態検知回路25および消去用制御回路26や導通部51〜56等を除き、光学的情報読取装置10と同等に構成されている。この解読装置2のメモリには、上述した復号鍵が、開封用情報コードQを読み取ったときにその非公開領域の判定用順序情報を解読して取得可能に記憶されている。
【0046】
このように構成される解読装置2は、開封用情報コードQを読み取ることで判定用順序情報を取得すると、この判定用順序情報から得られる判定用順序をメモリ23の情報を消去しないための取り外し順序(以下、開封用順序)として、図5に例示するように円内の数字を用いて、表示部24aに表示することができる。なお、解読装置2では、開封用順序を、図5に例示するように円内の数字を用いて表示部24aに表示することに限らず、例えば、単に各ねじ41〜46を示す数字とこの順序のみを、開封用順序として表示部24aに表示してもよい。
【0047】
次に、光学的情報読取装置10の主制御回路21による不正開封対策処理について説明する。図6は、本第1実施形態における主制御回路21による不正開封対策処理の流れを例示するフローチャートである。なお、以下の説明では、各ねじ41〜46が全て締結状態から説明する。
【0048】
各ねじ41〜46のいずれかが取り外されることで、非締結状態検知信号S1〜S6のいずれかが主制御回路21に入力されると、不正開封対策処理が開始され、図6のステップS101に示す判定処理にて、各ねじ41〜46の取り外し順序が、メモリ23に予め記憶される判定用順序に一致するか否かについて判定される。
【0049】
ここで、メンテナンス時など、当該光学的情報読取装置10に関して正当な権限を有する開封者(以下、正常開封者という)は、裏側ケース12の背面側に表示される開封用情報コードQを解読装置2により読み取ることで、図5に例示するように、開封用順序を取得することができる。このため、このように取得した開封用順序に従い各ねじ41〜46を順次取り外すことで、ステップS101にてYesと判定されて、後述する消去処理等が実施されることなく、筐体11を開封することができる。
【0050】
一方、不正開封者であれば、解読装置2を所有していないため、一般の光学的情報読取装置を使用して開封用情報コードQを読み取っても公開領域に記録される機種ID情報を取得するだけで、開封用順序を取得することができない。このように不正開封者は開封用順序を取得できないために、初めに外されたねじが判定用順序の1番目に設定されているねじに一致する確率は低く、仮に一致したとしても続いて外されたねじが判定用順序の2番目に設定されているねじに一致する確率はさらに低くなる。すなわち、不正開封者が6本のねじ41〜46を判定用順序に一致するように取り外すことは不可能であるから、ステップS101にてNoと判定されることとなる。
【0051】
このようにステップS101にてNoと判定されると、ステップS103に示す報知処理がなされる。この処理では、報知信号がブザー27に出力されて、ブザー27が開封者が認識できる程度に鳴動する。これにより、不正開封と判定された旨がブザー27の鳴動等により、開封者に報知される。なお、この報知処理では、ブザー27の鳴動に代えてまたはブザー27の鳴動とともに、表示部24に不正開封と判定された旨を表示してもよい。
【0052】
次に、ステップS105に示す判定処理にて、解除処理が実施されたか否かについて判定され、不正開封者であれば、解除処理を知らないことから、Noと判定されることとなる。そして、ステップS107に示す消去処理がなされて、消去信号が消去用制御回路26に出力され、この消去用制御回路26によりメモリ23に記憶される全ての読取情報が消去される。これにより、不正開封者による読取情報の不正使用を防止することができる。
【0053】
続いて、ステップS109に示す警報処理がなされて、警報信号がブザー27に出力され、ブザー27が周囲に警報を発するように鳴動する。これにより、不正開封者による読取情報の不正使用を防止するだけでなく、不正開封者による不正開封行為を周囲に知らせることができる。なお、ステップS123の処理を実行する主制御回路21は、特許請求の範囲における「警報手段」の一例に相当する。
【0054】
また、正常開封者が開封用情報コードQの読み取りを忘れて各ねじ41〜46を取り外してしまう場合や、開封用情報コードQを読み取っても誤って開封用順序と異なる取り外し順序で各ねじ41〜46を取り外してしまう場合でも、ステップS101にてNoと判定される。そして、ステップS103にて上述した報知処理がなされ、不正開封と判定された旨がブザー27の鳴動等により、正常開封者に報知される。この報知を受けて、正常開封者が、所定の操作キー14を操作する等の予め設定された所定の解除処理を実施することにより、ステップS105にてYesと判定されて、上述したステップS107以降の処理を実施することなく、ステップS101からの処理がなされる。このため、正常開封者による誤った各ねじ41〜46の取り外し作業により、読取情報の消去や警報処理が実施されることをなくすことができる。
【0055】
以上説明したように、本第1実施形態に係る光学的情報読取装置10では、筐体11には、判定用順序情報を暗号化してコード化した開封用情報コードQが表示されている。また、メモリ23には、筐体11に表示される開封用情報コードQの判定用順序情報が予め記憶されている。そして、各導通部51〜56および締結状態検知回路25により検出される各ねじ41〜46の取り外し順序が、メモリ23に記憶される判定用順序情報に対応する取り外し順序(開封用順序)に一致しないと判定されると、メモリ23に記憶される読取情報が、消去用制御回路26により消去される。
【0056】
メモリ23の読取情報を消去することなく筐体11を開封するためには、各ねじ41〜46の取り外し順序を上記判定用順序情報に対応する取り外し順序(開封用順序)に一致させる必要がある。この判定用順序情報は、筐体11に表示される開封用情報コードQを解読して取得する必要があるため、開封用情報コードQを解読する解読装置2を有しない不正開封者は判定用順序情報を知ることができないので、メモリ23に記憶される読取情報を消去させることなく筐体11が開封(不正開封)されることを防止することができる。一方、正常開封者は、筐体11に表示される開封用情報コードQを解読装置2により解読して取得した判定用順序情報に対応する取り外し順序(開封用順序)に従い各ねじ41〜46を取り外すことで、メモリ23の読取情報を消去させることなく筐体11を開封することができる。
したがって、不正開封者による読取情報の不正使用を防止して、当該光学的情報読取装置10のセキュリティ性を向上させることができる。
【0057】
また、各ねじ41〜46の取り外し順序が上記判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致しないとの判定に応じて、正常開封でない旨(不正開封と判定された旨)がブザー27の鳴動または表示部24の表示により開封者に報知される。これにより、開封者が、開封用情報コードQの読み取りを忘れて各ねじ41〜46を取り外す場合や、開封用情報コードQを読み取ったとしても読み取った判定用順序情報に対応する取り外し順序と異なる取り外し順序で誤って各ねじ41〜46を取り外す場合には、その旨が報知される。この報知を受けて、正常開封者が、所定の操作キー14を操作する等の予め設定された解除処理を実施して再度上記判定用順序情報に対応する取り外し順序で各ねじ41〜46を取り外すことにより、正常開封者による誤った取り外し順序のために、メモリ23の読取情報が消去されることを回避することができる。
【0058】
さらに、各ねじ41〜46の取り外し順序が判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致しないとの判定に応じて、ブザー27が周囲に警報を発するように鳴動する。これにより、不正開封者が筐体11を不正開封する場合には、周囲に警告音により警報されるので、不正開封者による読取情報の不正使用を防止するだけでなく、不正開封者による不正開封行為を周囲に知らせることができる。
【0059】
また、本第1実施形態に係るセキュリティシステム1は、上述した光学的情報読取装置10と、開封用情報コードQを光学的に読み取り、暗号化された判定用順序情報を解読して取得する解読装置2とを備えている。これにより、光学的情報読取装置10の筐体11に表示される開封用情報コードQを解読装置2にて読み取り解読することで取得された判定用順序情報に対応する取り外し順序で各ねじ41〜46を取り外すことで、メモリ23の読取情報を消去することなく筐体11を開封することができる。
したがって、不正開封者による読取情報の不正使用を防止して、光学的情報読取装置10を管理するセキュリティシステム1のセキュリティ性を向上させることができる。
【0060】
[第2実施形態]
次に、本第2実施形態に係る光学的情報読取装置10およびセキュリティシステム1について、図7を参照して説明する。図7は、第2実施形態における主制御回路21による不正開封対策処理の流れを例示するフローチャートである。
本第2実施形態では、上述したステップS101にて取り外し順序が判定用順序に一致しないと判定される回数が規定回数を超えてなされていると判定されると、ステップS105にて解除処理が実施されたか否かの判定がなされることなく、ステップS107にて読取情報の消去処理がなされる点が主に異なる。したがって、上述した第1実施形態の光学的情報読取装置10と実質的に同一の構成部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0061】
以下、本第2実施形態に係る主制御回路21による不正開封対策処理について図7を用いて説明する。
ねじ41〜46のいずれか1つが取り外されて不正開封対策処理が開始され、取り外されたねじの順序が判定用順序に一致しない場合には(S101でNo)、ステップS101に示す判定処理にてNoと判定される回数(取り外し順序が判定用順序に一致しないと判定される回数:以下、報知回数Naという)が、ステップS102にてインクリメント(Na=Na+1)される。
【0062】
次に、ステップS102aに示す判定処理にて、報知回数Naが規定回数Nt以上であるか否かについて判定される。ここで、規定回数Ntは、予め設定される回数であって、本第2実施形態では、Nt=2に設定されている。なお、この規定回数Ntは、特許請求の範囲に記載の「所定回数」の一例に相当し、セキュリティ性に応じて適宜変更することができる。
【0063】
そして、ステップS102aにて報知回数Naが規定回数Nt未満であると判定される場合には(S102aでNo)、正常開封者が誤って各ねじ41〜46を取り外したとみなし、上述したステップS103に示す報知処理がなされる。そして、正常開封者が、所定の解除処理を実施することで(S105でYes)、上述したステップS107以降の処理が実施されることなくステップS101からの処理がなされる。
【0064】
その後、取り外されたねじの順序が判定用順序に一致しないと再度判定されることで(S101でNo)、ステップS102aに示す判定処理にて、報知回数Naが規定回数Nt以上であると判定される場合には(S102aでYes)、不正開封者が不正に各ねじ41〜46を取り外したとみなし、上述した報知処理およびその後の判定処理がなされることなく、上述した消去処理および警報処理がなされる。
【0065】
以上説明したように、本第2実施形態に係る光学的情報読取装置10では、上記報知処理による報知回数Naが規定回数Ntを超える場合に、読取情報が消去される。例えば、不正開封者が上述した解除処理を知っていると、予め設定された判定用順序情報を知らなくても、各ねじ41〜46の取り外しと解除処理とを何回か繰り返すうちにこの判定用順序情報に対応する取り外し順序を探し当て、不正に筐体11を開封してしまうおそれがある。そこで、このような不正開封者による読取情報の不正使用を防止するために、各ねじ41〜46の取り外しと解除処理とが繰り返し行われて、取り外し順序が判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致しないとの判定回数、すなわち報知回数Naが、規定回数Ntを超えてなされると、不正開封とみなされて、メモリ23の読取情報の消去が回避されることなく実施される。
【0066】
このため、不正開封者が上記判定用順序情報に対応する取り外し順序を探し当てることが難くなり、不正開封者による筐体11の不正開封を防止でき、セキュリティ性をより向上させることができる。また、例えば正常開封者が、誤って判定用順序情報に対応する取り外し順序と異なる取り外し順序でねじ41〜46のいずれかを取り外す場合でも、報知回数Naが規定回数Ntを超えてなされていなければ、メモリ23の読取情報が消去されることを回避することができる。
【0067】
[第3実施形態]
次に、本第3実施形態に係る光学的情報読取装置10およびセキュリティシステム1について、図8〜図10を参照して説明する。図8は、第3実施形態において開封用情報コードQを読み取ることにより取得される情報を示す説明図である。図9は、第3実施形態における解読装置2の主制御回路による判定用順序情報取得処理の流れを例示するフローチャートである。図10は、第3実施形態における光学的情報読取装置10の主制御回路21による不正開封対策処理の流れを例示するフローチャートである。
【0068】
本第3実施形態では、開封用情報コードQの公開領域には機種ID情報が記録され、非公開領域には、開封番号として連続番号Nkがそれぞれに付与される複数の判定用順序情報が記録されている。具体的には、図8に例示するように、非公開領域には、開封番号1が付された判定用順序情報として「1,4,3,5,2,6」が記憶されている。この判定用順序情報は、1番目の数字がねじ41の開封順番を示し、以下、2〜6番目の数字がねじ42〜46のそれぞれの開封順番を示す。すなわち、開封番号1が付された判定用順序情報に対応する取り外し順序(開封用順序)は、「ねじ41→44→43→45→42→46」となる。また、非公開領域には、開封番号2が付された判定用順序情報「3,4,6,2,1,5」や開封番号3が付された判定用順序情報「6,1,3,4,2,5」などが記憶されている。
【0069】
また、光学的情報読取装置10のメモリ23には、収容される筐体11に貼付された開封用情報コードQの非公開領域に記録される各判定用順序情報および開封番号と同じ情報が予め記憶されている。
【0070】
次に、本第3実施形態において解読装置2にて実施される判定用順序情報取得処理について説明する。
本第3実施形態における解読装置2では、開封用情報コードQが光学的に読み取られると、判定用順序情報取得処理が実施され、読み取った開封用情報コードQから解読される複数の判定用順序情報のうち、当該開封用情報コードを読み取った回数(以下、読取回数Nbという)に一致する開封番号の判定用順序情報が取得される。
【0071】
この判定用順序情報取得処理について、図9に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。
開封用情報コードQが光学的に読み取られることで、判定用順序情報取得処理が開始されると、図9のステップS201に示す判定処理にて、読み取った開封用情報コードQの公開領域に記録される機種IDが初めて読み取った機種IDであるか否かについて判定される。そして、読み取った機種IDが初めて読み取った機種IDである場合には(S201でYes)、ステップS203にて当該機種IDに対する読取回数NbがNb=1に設定される。次に、ステップS209に示す読取回数記憶処理がなされ、上述のように設定された読取回数Nbが対応する機種IDに関連付けられてメモリに記憶される。
【0072】
一方、読み取った機種IDが初めて読み取った機種IDでない場合には(S201でNo)、ステップS205に示す読取回数読出処理がなされ、読み取った機種IDに関連付けらて上記読取回数記憶処理にてメモリに記憶された読取回数Nbが読み出される。そして、読み出された読取回数NbがステップS207にてインクリメント(Nb=Nb+1)されると、上記読取回数記憶処理がなされ、このようにインクリメントされた読取回数Nbが対応する機種IDに関連付けられてメモリに記憶される。
【0073】
ステップS203に示す処理またはステップS207に示す処理がなされて読取回数Nbがメモリに記憶されると、ステップS211に示す判定用情報選択処理がなされる。この処理では、メモリに予め記憶されている複数の判定用順序情報のうち、読取回数Nbに数字が一致する開封番号の判定用順序情報が選択される。例えば、読取回数Nb=1であれば、開封番号1の判定用順序情報が選択され、読取回数Nb=2であれば、開封番号2の判定用順序情報が選択されることとなる。すなわち、読取回数に応じて、判定用順序情報を変更することができる。
【0074】
そして、ステップS211に示す判定用順序情報表示処理がなされ、上記判定用情報選択処理にて選択された判定用順序情報が、上述した図5に例示するように、表示部24a開封用順序としてに表示される。
【0075】
次に、本第3実施形態における光学的情報読取装置10の不正開封対策処理について、図10に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。
本第3実施形態における光学的情報読取装置10では、ねじ41〜46のいずれか1つが取り外されることで不正開封対策処理が開始されると、ステップS301に示す開封回数読出処理がなされる。この処理では、後述するように筐体11が正常に開封されるごとにインクリメントされて記憶される開封回数Ncがメモリ23から読み出される。
【0076】
続いて、ステップS303に示す判定用順序設定処理がなされ、メモリ23に予め記憶されている複数の判定用順序情報のうち、上記開封回数読出処理にて読み出された開封回数Ncに数字が一致する開封番号の判定用順序情報が選択されて設定される。例えば、開封回数Nc=1であれば、開封番号1の判定用順序情報が選択されて設定され、開封回数Nc=2であれば、開封番号2の判定用順序情報が選択されて設定される。
【0077】
そして、取り外されたねじの順序が上記判定用順序設定処理にて設定された判定用順序に一致する場合には(S101でYes)、正常開封であるとして、開封回数NcがステップS305にてインクリメント(Nc=Nc+1)される。続いて、ステップS307に示す開封回数記憶処理にて、インクリメントされた開封回数Ncがメモリ23に上書きして記憶される。
【0078】
一方、取り外されたねじの順序が上記判定用順序設定処理にて設定された判定用順序に一致しない場合には(S101でNo)、上述したステップS103以降の処理がなされる。
【0079】
以上説明したように、本第3実施形態に係る光学的情報読取装置10では、開封用情報コードQは、当該開封用情報コードQが筐体11に表示された光学的情報読取装置10を特定する機種ID(特定情報)をコード化するとともに、連続番号Nkがそれぞれに付与される複数の判定用順序情報を暗号化してコード化することで構成される。また、解読装置2では、読取回数Nbが機種IDごとに記憶されるとともに、開封用情報コードQが光学的に読み取られると、この開封用情報コードQから解読される複数の判定用順序情報のうち当該開封用情報コードの読取回数Nbに一致する連続番号Nkの判定用順序情報が取得される。また、光学的情報読取装置10のメモリ23には、開封用情報コードQから解読される複数の判定用順序情報が連続番号とともに記憶されるとともに、筐体11の開封回数Ncが記憶される。そして、ステップS101に示す判定処理では、各ねじ41〜46の取り外し順序が、メモリ23に記憶される複数の判定用順序情報のうち開封回数Ncに一致する連続番号の判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致するか否かを判定する。
【0080】
これにより、解読装置2により取得される判定用順序情報が読取回数Nbに応じて変化するので、解読装置2を用いて光学的情報読取装置10の筐体11を開封する作業者であっても判定用順序情報を容易に知ることができないので、読取情報の不正使用を確実に防止することができる。
【0081】
[第4実施形態]
次に、本第4実施形態に係る光学的情報読取装置10およびセキュリティシステム1について、図11および図12を参照して説明する。図11は、第4実施形態において開封用情報コードQを読み取ることにより取得される情報を示す説明図である。図12は、第4実施形態における光学的情報読取装置10の主制御回路21による不正開封対策処理の流れを例示するフローチャートである。
【0082】
本第4実施形態では、開封用情報コードQの非公開領域は、第1の復号鍵を用いることで情報を復号して取得可能な第1非公開領域と、第2の復号鍵を用いることで情報を復号して取得可能な第2非公開領域と、から構成されている。そして、第1非公開領域には第1の判定用順序を特定するための第1の判定用順序情報が記録され、第2非公開領域には第2の判定用順序を特定するための第2の判定用順序情報が記録されている。具体的には、図11に例示するように、第1非公開領域には、第1の判定用順序情報として「4,3,2,6,1,5」が記憶されており、第2非公開領域には、第2の判定用順序情報として「6,2,4,5,3,1」が記憶されている。
【0083】
このため、解読装置2と異なる光学的情報読取装置で開封用情報コードQを読み取る場合でも、第1の判定用順序情報および第2の判定用順序情報の取得を防止できる。また、第1の復号鍵がメモリに記憶された解読装置2を有する開封者は、開封用情報コードQを読み取ることで第1の判定用順序情報を取得することができる。また、第2の復号鍵がメモリに記憶された解読装置2を有する開封者は、開封用情報コードQを読み取ることで第2の判定用順序情報を取得することができる。
【0084】
そして、光学的情報読取装置10のメモリ23には、上述した第1の判定用順序情報および第2の判定用順序情報が予め記憶されている。また、メモリ23に記憶される読取情報は、比較的重要度が高い第1読取情報と比較的重要度が低い第2読取情報とに区分けされて記憶されている。
【0085】
次に、本第4実施形態における光学的情報読取装置10の不正開封対策処理について、図12に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。
ねじ41〜46のいずれか1つが取り外されて不正開封対策処理が開始され、取り外されたねじの順序が第1の判定用順序および第2の判定用順序のいずれにも一致しない場合には(S101でNo)、上記ステップS103に示す報知処理以降の処理がなされ、解除処理が実施されない限り第1読取情報および第2読取情報が消去される。
【0086】
一方、取り外されたねじの順序が第1の判定用順序および第2の判定用順序のいずれかに一致する場合には(S101でYes)、ステップS401に示す判定処理にて、取り外されたねじの順序が第1の判定用順序に一致するか否かについて判定される。ここで、取り外されたねじの順序が第1の判定用順序に一致しない場合には(S401でNo)、ステップS403に示す第1読取情報消去処理がなされ、メモリ23に記憶される読取情報のうち第1読取情報が消去される。また、取り外されたねじの順序が第1の判定用順序に一致する場合には(S401でYes)、上記第1読取情報消去処理がなされることなく、筐体11を開封することができる。
【0087】
これにより、光学的情報読取装置10にて読み取られる情報を管理する管理会社等が、第1の判定用順序情報を解読可能な第1の復号鍵がメモリに記憶された解読装置2を用いて光学的情報読取装置10の筐体11を開封することで、第1読取情報および第2読取情報の双方を消去することなく筐体11を開封することができる。
【0088】
また、上記管理会社等から光学的情報読取装置10の修理を委託された修理会社等では、第2の判定用順序情報を解読可能な第2の復号鍵がメモリに記憶された解読装置2を用いて光学的情報読取装置10の筐体11を開封しても、ステップS401にてNoと判定されて、上記消去処理がなされて第1読取情報が消去される。これにより、修理会社等であっても第1の復号鍵がメモリに記憶された解読装置2を用いなければ第1読取情報が消去されるので、比較的重要性の高い第1読取情報の不正使用を確実に防止することができる。
【0089】
また、不正開封者では、そもそも解読装置2を有しないので、第1読取情報および第2読取情報の双方が消去されることなく筐体11が不正開封されることを防止することができる。
【0090】
なお、メモリ23の読取情報は、その重要性によって第1読取情報および第2読取情報に区分けされることに限らず、例えば、情報漏洩防止の観点など、異なる観点から第1読取情報および第2読取情報に区分けされてもよい。
【0091】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよい。
(1)上述した消去処理では、メモリ23に記憶された全ての読取情報を消去することに限らず、メモリ23に記憶された一部の読取情報を消去してもよい。また、上記消去処理に代えて、メモリ23に記憶された読取情報の少なくとも一部を外部から取得不能に制御する処理を実施するようにしてもよい。これにより、不正開封と判定された場合にはメモリ23に記憶された読取情報の取得が不能となるので、メモリ23の読取情報を消去する場合と同等の効果を得ることができる。
【0092】
(2)ブザー27に代えて、発光部や振動部を採用するとともに、上記ステップS103に示す報知処理において、発光部の発光や振動部の振動により、不正開封と判定された旨を開封者に報知してもよい。
【0093】
(3)締結状態検知回路25は、各導通部51〜56の抵抗値に基づいて各ねじ41〜46の締結状態を検知することに限らず、例えば、各ねじ41〜46が被締結部13aに締結されるときの締結力を検知可能な応力センサを被締結部13aに設けて、この応力センサからの出力信号に基づいて各ねじ41〜46の締結状態を検知してもよい。
【0094】
(4)締結状態検知回路25は、各導通部51〜56の抵抗値を検知し当該導通部51〜56の抵抗値が締結時抵抗値Rを超えると非締結状態検知信号を主制御回路21に出力することに限らず、単なる各導通部51〜56の抵抗値を検知可能なセンサとして構成されてもよい。
【0095】
(5)開封用情報コードQは、光学的情報読取装置10の背面に貼付されることで、解読装置2により読取可能に表示されることに限らず、例えば、他の位置に貼付されることで、解読装置2により読取可能に表示されてもよいし、表示部24に表示されてもよい。
【0096】
(6)開封用情報コードQは、公開領域および非公開領域を有するQRコードにより構成されることに限らず、少なくとも一部の情報を暗号化し得る情報コードから構成されてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1…セキュリティシステム
2…解読装置
10…光学的情報読取装置
11…筐体
12…裏側ケース(第1ケース)
13…表側ケース(第2ケース)
21…主制御回路(読取手段,判定手段,制御手段)
22…受光センサ(読取手段)
23…メモリ(記憶手段)
24…表示部(報知手段)
25…締結状態検知回路(検出手段)
26…消去用制御回路(制御手段)
27…ブザー(報知手段,警報手段)
41〜46…ねじ(締結部材)
51〜56…導通部(検出手段)
Na…報知回数
Nb…読取回数
Nc…開封回数
Nk…連続番号
Nt…規定回数(所定回数)
Q…開封用情報コード
【技術分野】
【0001】
本発明は、読取情報の不正利用を防止し得る機能を有する光学的情報読取装置およびセキュリティシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光学的情報読取装置では、ユーザ情報や商品情報などの機密情報が取り扱われるため、当該装置が不正に開封された場合でも機密情報の漏洩を防止する必要がある。この対策として、装置の開封を検知した時にメモリに記憶される機密情報等を消去するなどのセキュリティ対策が実施される。一方、製品のメンテナンスのためには筐体の開封が必要であり、この開封時には上記セキュリティ対策を実施しないようにする必要がある。
【0003】
そのため、読取情報の不正利用を防止し得る機能を有する光学的情報読取装置として、下記特許文献1に示す光学的情報読取装置が知られている。この光学的情報読取装置では、筐体に締結される各ねじの締結状態を検出するとともに、検出される各ねじの取り外し順序が判定用順序に一致するか否かについて判定される。この判定用順序は、主制御回路への電力供給開始に応じてランダムに変更され、開封用情報コードが読み取られる場合に限り所定の開封用順序に変更される。そして、各ねじの取り外し順序が上記判定用順序に一致しないとの判定、すなわち、開封用情報コードが読み取られていない状態であることから筐体の不正開封であるとの判定に応じて、メモリの読取情報が消去される。
【0004】
これにより、判定用順序を知らない不正開封者による読取情報の不正使用を防止している。すなわち、不正開封者が開封用情報コードを不正に取得した場合でも、上記所定の開封用順序をも取得しなければ、読取情報を消去させることなく筐体を開封することは不可能であり、不正開封者が上記所定の開封用順序を不正に取得した場合でも、開封用情報コードをも取得しなければ、読取情報を消去させることなく筐体を開封することは不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−118041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示される光学的情報読取装置の構成では、開封用情報コードとこの開封用情報コードに対応する所定の開封用順序が紛失・流出しないようにそれぞれ管理する必要がある。さらに、量産性の高い光学的情報読取装置について、開封用順序を個別に設定しようとすると、膨大な種類の開封用情報コードと開封用順序とを用意する必要があり、製品管理に関する安全性・作業性が悪くなる場合がある。さらに、膨大な種類の開封用情報コードを管理しなければならず、情報漏洩の可能性が高くなることが想定される。特に、近年の光学的情報読取装置が使用される状況では、取り扱う機密情報が多種多様となりやすく、機密情報の漏洩を防止に関してより一層のセキュリティ性の向上が望まれる。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、セキュリティ性を向上させ得る光学的情報読取装置およびセキュリティシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、情報コードを光学的に読み取る読取手段(21,22)と、前記読取手段により読み取られた読取情報を記憶する記憶手段(23)と、第1ケース(12)および第2ケース(13)を有し両ケースが複数の締結部材(41〜46)による締結により組み付けられて前記記憶手段を収容する筐体(11)と、を備える光学的情報読取装置(10)であって、前記筐体には、前記各締結部材の取り外し順序が当該筐体の不正開封か否かを判定するための判定用順序情報を、暗号化してコード化した開封用情報コード(Q)が表示され、前記記憶手段には、前記筐体に表示される前記開封用情報コードの前記判定用順序情報が予め記憶され、前記各締結部材の締結状態を検出可能な検出手段(25,51〜56)と、前記検出手段により検出される前記各締結部材の取り外し順序が、前記記憶手段に記憶される前記判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致するか否かを判定する判定手段(21)と、前記判定手段による前記取り外し順序が前記判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致しないとの判定に応じて、前記記憶手段に記憶される前記読取情報の少なくとも一部を外部から取得不能に制御する制御手段(21,26)と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光学的情報読取装置において、前記制御手段は、前記読取情報の少なくとも一部を消去することで外部から取得不能に制御することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の光学的情報読取装置において、前記判定手段による前記取り外し順序が前記判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致しないとの判定に応じて、正常開封でない旨を開封者に報知する報知手段(24,27)を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の光学的情報読取装置において、前記制御手段は、前記報知手段による報知回数(Na)が所定回数(Nt)以上になる場合に、前記読取情報の少なくとも一部を外部から取得不能に制御することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置において、前記判定手段による前記取り外し順序が前記判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致しないとの判定に応じて、周囲に警報を発する警報手段(27)を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置(10)と、前記開封用情報コードを光学的に読み取り、前記暗号化された判定用順序情報を解読して取得する解読装置(2)と、を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のセキュリティシステムにおいて、前記開封用情報コードは、当該開封用情報コードが前記筐体に表示された前記光学的情報読取装置を特定する特定情報をコード化するとともに、連続番号(Nk)がそれぞれに付与される複数の前記判定用順序情報を暗号化してコード化することで構成され、前記解読装置では、前記開封用情報コードを読み取った回数が前記特定情報ごとに読取回数(Nb)として記憶されるとともに、前記開封用情報コードが光学的に読み取られると、この開封用情報コードから解読される前記複数の判定用順序情報のうち当該開封用情報コードの前記読取回数に一致する前記連続番号の判定用順序情報が取得され、前記記憶手段には、前記開封用情報コードから解読される前記複数の判定用順序情報が前記連続番号とともに記憶されるとともに、前記筐体の開封回数(Nc)が記憶され、前記判定手段は、前記検出手段により検出される前記各締結部材の取り外し順序が、前記記憶手段に記憶される複数の前記判定用順序情報のうち前記記憶手段に記憶される前記開封回数に一致する前記連続番号の判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致するか否かを判定することを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載のセキュリティシステムにおいて、前記開封用情報コードは、複数の前記判定用順序情報として少なくとも第1の判定用順序情報および第2の判定用順序情報を暗号化してコード化することで構成され、前記解読装置は、前記第1の判定用順序情報を解読可能であれば、前記開封用情報コードを読み取ることで前記第1の判定用順序情報を取得し、前記第2の判定用順序情報を解読可能であれば、前記開封用情報コードを読み取ることで前記第2の判定用順序情報を取得し、前記記憶手段には、前記第1の判定用順序情報および前記第2の判定用順序情報が予め記憶されるとともに、前記読取情報として第1読取情報および第2読取情報が記憶され、前記制御手段は、前記判定手段により前記取り外し順序が前記第1の判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致すると判定される場合には、前記記憶手段に記憶される前記読取情報を外部から取得不能に制御せず、前記判定手段により前記取り外し順序が前記第2の判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致するとの判定に応じて、前記記憶手段に記憶される前記第1読取情報を外部から取得不能に制御し、前記判定手段により前記取り外し順序が前記第1の判定用順序情報および前記第2の判定用順序情報のいずれかに対応する取り外し順序に一致しないとの判定に応じて、前記記憶手段に記憶される前記第1読取情報および前記第2読取情報を外部から取得不能に制御することを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明では、筐体には、上記判定用順序情報を暗号化してコード化した開封用情報コードが表示されている。また、記憶手段には、筐体に表示される開封用情報コードの判定用順序情報が予め記憶されている。そして、検出手段により検出される各締結部材の取り外し順序が上記判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致しないと判定手段により判定されると、記憶手段に記憶される読取情報の少なくとも一部が、制御手段により外部から取得不能に制御される。
【0017】
読取情報が外部から取得不能に制御されることなく筐体を開封するためには、各締結部材の取り外し順序を上記判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致させる必要がある。この判定用順序情報は、筐体に表示される開封用情報コードを解読して取得する必要があるため、開封用情報コードを解読する手段を有しない不正開封者は判定用順序情報を知ることができないので、記憶手段に記憶される読取情報の少なくとも一部が制御手段により外部から取得不能に制御されることなく筐体が開封(不正開封)されることを防止することができる。
したがって、不正開封者による読取情報の不正使用を防止して、当該光学的情報読取装置のセキュリティ性を向上させることができる。
【0018】
請求項2の発明では、制御手段は、読取情報の少なくとも一部を消去することで、外部から取得不能に制御するので、不正開封者による読取情報の不正使用を確実に防止することができる。一方、正常開封者は、筐体に表示される開封用情報コードを解読して取得した判定用順序情報に対応する取り外し順序に従い各締結部材を取り外すことで、読取情報を消去させることなく筐体を開封することができる。
【0019】
請求項3の発明では、報知手段は、判定手段による取り外し順序が上記判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致しないとの判定に応じて、正常開封でない旨を開封者に報知する。これにより、開封者が、開封用情報コードの読み取りを忘れて各締結部材を取り外す場合や、開封用情報コードを読み取ったとしても読み取った判定用順序情報に対応する取り外し順序と異なる取り外し順序で誤って各締結部材を取り外す場合には、その旨が報知される。この報知を受けて、正常開封者が、例えば、所定のキー操作等の予め設定された解除処理を実施して再度上記判定用順序情報に対応する取り外し順序で各締結部材を取り外すことにより、正常開封者による誤った取り外し順序のために、読取情報が外部から取得不能に制御されることを回避することができる。
【0020】
請求項4の発明では、制御手段は、報知手段による報知が所定回数を超える場合に、読取情報の少なくとも一部を外部から取得不能に制御する。例えば、不正開封者が上述した解除処理を知っていると、予め設定された判定用順序情報を知らなくても、各締結部材の取り外しと解除処理とを何回か繰り返すうちにこの判定用順序情報に対応する取り外し順序を探し当て、不正に筐体を開封してしまうおそれがある。そこで、このような不正開封者による読取情報の不正使用を防止するために、各締結部材の取り外しと解除処理とが繰り返し行われて判定手段による取り外し順序が判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致しないとの判定が上記所定回数を超えてなされると、不正開封とみなされて、読取情報が外部から取得不能となる制御が回避されることなく実施される。
【0021】
このため、不正開封者が上記判定用順序情報に対応する取り外し順序を探し当てることが難くなり、不正開封者による筐体の不正開封を防止でき、セキュリティ性をより向上させることができる。また、例えば正常開封者が、誤って判定用順序情報に対応する取り外し順序と異なる取り外し順序で締結部材を取り外す場合でも、判定手段による取り外し順序が判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致しないとの判定が上記所定回数を超えてなされていなければ、読取情報が外部から取得不能に制御されることを回避することができる。
【0022】
請求項5の発明では、警報手段は、判定手段による取り外し順序が判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致しないとの判定に応じて周囲に警報を発する。これにより、不正開封者が筐体を不正開封する場合には、周囲に例えば警告音等で警報されるので、不正開封者による読取情報の不正使用を防止するだけでなく、不正開封者による不正開封行為を周囲に知らせることができる。
【0023】
請求項6の発明では、セキュリティシステムは、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置と、開封用情報コードを光学的に読み取り、暗号化された判定用順序情報を解読して取得する解読装置とを備えている。これにより、光学的情報読取装置の筐体に表示される開封用情報コードを解読装置にて読み取り解読することで取得された判定用順序情報に対応する取り外し順序で各締結部材を取り外すことで、読取情報を制御手段により外部から取得不能に制御することなく筐体を開封することができる。
したがって、不正開封者による読取情報の不正使用を防止して、光学的情報読取装置を管理するセキュリティシステムのセキュリティ性を向上させることができる。
【0024】
請求項7の発明では、開封用情報コードは、当該開封用情報コードが筐体に表示された光学的情報読取装置を特定する特定情報をコード化するとともに、連続番号がそれぞれに付与される複数の判定用順序情報を暗号化してコード化することで構成される。また、解読装置では、上記読取回数が特定情報ごとに記憶されるとともに、開封用情報コードが光学的に読み取られると、この開封用情報コードから解読される複数の判定用順序情報のうち当該開封用情報コードの読取回数に一致する連続番号の判定用順序情報が取得される。また、記憶手段には、開封用情報コードから解読される複数の判定用順序情報が連続番号とともに記憶されるとともに、筐体の開封回数が記憶される。そして、判定手段は、各締結部材の取り外し順序が、記憶手段に記憶される複数の判定用順序情報のうち開封回数に一致する連続番号の判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致するか否かを判定する。
【0025】
これにより、解読装置により取得される判定用順序情報が読取回数に応じて変化するので、解読装置を用いて光学的情報読取装置の筐体を開封する作業者であっても判定用順序情報を知ることができないので、読取情報の不正使用を確実に防止することができる。
【0026】
請求項8の発明では、開封用情報コードは、複数の判定用順序情報として少なくとも第1の判定用順序情報および第2の判定用順序情報を暗号化してコード化することで構成される。また、解読装置は、第1の判定用順序情報を解読可能であれば、開封用情報コードを読み取ることで第1の判定用順序情報を取得し、第2の判定用順序情報を解読可能であれば、開封用情報コードを読み取ることで第2の判定用順序情報を取得する。また、記憶手段には、第1の判定用順序情報および第2の判定用順序情報が予め記憶されるとともに、読取情報として第1読取情報および第2読取情報が記憶される。そして、制御手段は、判定手段により取り外し順序が第1の判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致すると判定される場合には、記憶手段に記憶される読取情報を外部から取得不能に制御せず、判定手段により取り外し順序が第2の判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致するとの判定に応じて、記憶手段に記憶される第1読取情報を外部から取得不能に制御し、判定手段により取り外し順序が第1の判定用順序情報および第2の判定用順序情報のいずれかに対応する取り外し順序に一致しないとの判定に応じて、記憶手段に記憶される第1読取情報および第2読取情報を外部から取得不能に制御する。
【0027】
これにより、光学的情報読取装置にて読み取られる情報を管理する管理会社等では、第1の判定用順序情報を解読可能な解読装置を用いて光学的情報読取装置の筐体を開封することで、第1読取情報および第2読取情報の双方を制御手段により外部から取得不能に制御することなく筐体を開封することができる。また、上記管理会社等から光学的情報読取装置の修理を委託された修理会社等では、第2の判定用順序情報を解読可能な解読装置を用いて光学的情報読取装置の筐体を開封しても、第1読取情報が外部から取得不能に制御されることなり、第1読取情報の不正使用を確実に防止することができる。また、不正開封者では、そもそも解読装置を有しないので、第1読取情報および第2読取情報の双方が制御手段により外部から取得不能に制御されることなく筐体が不正開封されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1実施形態に係るセキュリティシステムを概念的に説明する説明図である。
【図2】図1の光学的情報読取装置の構成概要を示す図であり、図2(A)は背面図、図2(B)は一部断面で示す側面図である。
【図3】締結用貫通孔を挿通したねじが被締結部に締結される締結状態の導通部を示す説明図である。
【図4】光学的情報読取装置の不正開封対策処理に関する電気的構成を示すブロック図である。
【図5】解読装置の表示部に開封用順序が表示された状態を例示する説明図である。
【図6】第1実施形態における主制御回路による不正開封対策処理の流れを例示するフローチャートである。
【図7】第2実施形態における主制御回路による不正開封対策処理の流れを例示するフローチャートである。
【図8】第3実施形態において開封用情報コードを読み取ることにより取得される情報を示す説明図である。
【図9】第3実施形態における解読装置の主制御回路による判定用順序情報取得処理の流れを例示するフローチャートである。
【図10】第3実施形態における光学的情報読取装置の主制御回路による不正開封対策処理の流れを例示するフローチャートである。
【図11】第4実施形態において開封用情報コードを読み取ることにより取得される情報を示す説明図である。
【図12】第4実施形態における光学的情報読取装置の主制御回路による不正開封対策処理の流れを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係る光学的情報読取装置およびセキュリティシステムについて図を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係るセキュリティシステム1を概念的に説明する説明図である。
図1に示すセキュリティシステム1は、バーコードなどの一次元コードや二次元コード等の情報コードを光学的に読み取り所定の情報を取得する1または2以上の光学的情報読取装置10と、当該光学的情報読取装置10の背面に貼付された開封用情報コードQを光学的に読み取るための解読装置2とを備えている。
【0030】
まず、光学的情報読取装置10について図を参照して説明する。図2は、図1の光学的情報読取装置10の構成概要を示す図であり、図2(A)は背面図、図2(B)は一部断面で示す側面図である。図3は、締結用貫通孔12cを挿通したねじ41が被締結部13aに締結される締結状態の導通部51を示す説明図である。図4は、光学的情報読取装置10の不正開封対策処理に関する電気的構成を示すブロック図である。
【0031】
図2(A),(B)に示すように、光学的情報読取装置10は、裏側ケース12および表側ケース13からなる筐体11内に制御基板20等の各種電気部品と、各種電気部品の電源として機能する電池30とが収容されるように構成されている。この筐体11内の電気的構成は、公知のコードリーダ(バーコードリーダ、二次元コードリーダ等)とほぼ同様の構成とすることができる。なお、電池30は、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等の充放電可能な二次電池や、マンガン乾電池、アルカリ乾電池等の一次電池によって構成されている。
【0032】
表側ケース13の内面側には、制御基板20が固定されており、この制御基板20の電池側端部には、コネクタ等を介して電池30からの電力が供給されている。また、表側ケース13の表面には、複数の操作キー14が配置されており、各操作キー14を操作することにより、この操作に応じた所定の情報が制御基板20の主制御回路21に入力される。
【0033】
裏側ケース12には、電池30を収容可能な電池収容部12aが設けられており、当該電池収容部12aは、図2(B)に示すように、一方が箱状に開口するように形成されている。この電池収容部12aの開口部は、裏側ケース12に対して着脱可能に形成された電池蓋15によって閉塞され得る構成となっている。
【0034】
裏側ケース12および表側ケース13は、裏側ケース12に形成される6つの環状凹部12bの締結用貫通孔12cを挿通する金属製の6つのねじ41〜46により締結されて組み付けられることにより、筐体11を構成する。なお、各ねじ41〜46は、特許請求の範囲における「締結部材」の一例に相当する。
【0035】
各環状凹部12bは同じ構成であるため、ねじ41が締結される環状凹部12bを代表して説明する。
図3に示すように、環状凹部12bの底面にはねじ41のねじ部が挿通する締結用貫通孔12cが形成されている。また、環状凹部12bの底面の所定の部位には導電性塗料が塗布されており、この塗布部位12dと締結用貫通孔12cを挿通して表側ケース13の被締結部13aに締結されるねじ41とにより所定の抵抗値(以下、締結時抵抗値Rともいう)を有する導通部51が構成される。この導通部51は、被締結部13aからねじ41を取り外した非締結状態における抵抗値が締結状態における締結時抵抗値Rよりも大きくなるように構成されている。なお、ねじ42〜46が締結される各環状凹部12bもそれぞれ上述のように導通部52〜56を有するように構成されている。
【0036】
また、図2(A)に示すように、裏側ケース12の背面側には、開封用情報コードQが貼付等により表示されている。この開封用情報コードQは、各ねじ41〜46の取り外し順序が筐体11の不正開封か否かを判定するための判定用順序情報を、所定の復号鍵により復号可能に暗号化してコード化したQRコード(登録商標)として構成されている。具体的には、開封用情報コードQは、復号鍵を用いることなく情報を取得可能な公開領域と、復号鍵を用いることで暗号化された情報を復号して取得可能な非公開領域とを有するように構成されている。
【0037】
そして、公開領域には、例えば、当該開封用情報コードQが筐体11に表示された光学的情報読取装置10を特定する特定情報として機種ID情報が記録されている。また、非公開領域には、例えば、「ねじ41→44→43→45→42→46の順序で取り外す」判定用順序を特定するための判定用順序情報が記録されている。このため、解読装置2と異なる光学的情報読取装置で開封用情報コードQを読み取っても、判定用順序情報が取得されずに機種ID情報が取得されるので、復号鍵を用いることで当該開封用情報コードQから判定用順序情報を取得可能であることを秘匿できる。
【0038】
次に、光学的情報読取装置10の不正開封対策処理に関する電気的構成について、図4を用いて説明する。
図4に示すように、制御基板20には、主に、主制御回路21と、受光センサ22と、個人情報等の所定の情報が記憶されるメモリ23と、所定の情報を表示する表示部24と、各ねじ41〜46の締結状態を検知可能な締結状態検知回路25と、メモリ23の情報を消去可能な消去用制御回路26と、ブザー27とが電気的に接続されるように配置されている。
【0039】
主制御回路21は、操作キー14等の操作に応じて受光センサ22から出力される受光信号に基づいて外部の情報を読み取りこの読取情報を制御してメモリ23に記憶する情報処理に関する機能を有する。また、主制御回路21は、筐体11が不正開封されたか否かを検知するとともに不正開封時にはメモリ23に記憶される読取情報の消去等の不正開封対策処理に関する機能を有する。なお、主制御回路21は、特許請求の範囲における「読取手段、判定手段,制御手段」の一例に相当する。
【0040】
また、メモリ23は、半導体メモリ装置で、例えばRAM(DRAM、SRAM等)やROM、不揮発性メモリ等がこれに相当し、外部から読み取った情報や機密情報などの情報が記憶される。このメモリ23には、収容される筐体11に貼付された開封用情報コードQの非公開領域に記録される判定用順序情報と同じ情報が予め記憶されている。なお、メモリ23は、特許請求の範囲における「記憶手段」の一例に相当する。
【0041】
表示部24は、例えば、液晶表示器などからなり、主制御回路21によってその表示内容が制御されるように構成されている。なお、表示部24は、特許請求の範囲における「報知手段」の一例に相当する。
【0042】
締結状態検知回路25は、各導通部51〜56の抵抗値をそれぞれ検知し、導通部51〜56のいずれかの抵抗値が締結時抵抗値Rより大きく設定される所定の閾値Rtを超えると、対応するいずれかのねじ41〜46が被締結部13aから取り外された非締結状態であることを検知して、非締結状態検知信号S1〜S6のいずれかを主制御回路21に出力する。例えば、ねじ41が被締結部13aから取り外されると、非締結状態検知信号S1が主制御回路21に出力されることとなる。なお、締結状態検知回路25および各導通部51〜56は、特許請求の範囲における「検出手段」の一例に相当する。
【0043】
消去用制御回路26は、主制御回路21から出力される消去信号に基づいて、メモリ23に記憶される読取情報を消去する。なお、消去用制御回路26は、特許請求の範囲における「制御手段」の一例に相当する。
【0044】
ブザー27は、ビープ音やアラーム音を発生可能に構成されており、主制御回路21からの報知信号に応じて開封者が認識できる程度に鳴動するとともに、警告信号に応じて周囲に警告可能に鳴動する。なお、ブザー27は、特許請求の範囲における「報知手段,警報手段」の一例に相当する。
【0045】
次に、解読装置2について図を参照して説明する。図5は、解読装置2の表示部24aに開封用順序が表示された状態を例示する説明図である。
解読装置2は、通常の光学的情報読取装置とほぼ同じ構成であって、光学的情報読取装置10の特徴的構成、例えば、締結状態検知回路25および消去用制御回路26や導通部51〜56等を除き、光学的情報読取装置10と同等に構成されている。この解読装置2のメモリには、上述した復号鍵が、開封用情報コードQを読み取ったときにその非公開領域の判定用順序情報を解読して取得可能に記憶されている。
【0046】
このように構成される解読装置2は、開封用情報コードQを読み取ることで判定用順序情報を取得すると、この判定用順序情報から得られる判定用順序をメモリ23の情報を消去しないための取り外し順序(以下、開封用順序)として、図5に例示するように円内の数字を用いて、表示部24aに表示することができる。なお、解読装置2では、開封用順序を、図5に例示するように円内の数字を用いて表示部24aに表示することに限らず、例えば、単に各ねじ41〜46を示す数字とこの順序のみを、開封用順序として表示部24aに表示してもよい。
【0047】
次に、光学的情報読取装置10の主制御回路21による不正開封対策処理について説明する。図6は、本第1実施形態における主制御回路21による不正開封対策処理の流れを例示するフローチャートである。なお、以下の説明では、各ねじ41〜46が全て締結状態から説明する。
【0048】
各ねじ41〜46のいずれかが取り外されることで、非締結状態検知信号S1〜S6のいずれかが主制御回路21に入力されると、不正開封対策処理が開始され、図6のステップS101に示す判定処理にて、各ねじ41〜46の取り外し順序が、メモリ23に予め記憶される判定用順序に一致するか否かについて判定される。
【0049】
ここで、メンテナンス時など、当該光学的情報読取装置10に関して正当な権限を有する開封者(以下、正常開封者という)は、裏側ケース12の背面側に表示される開封用情報コードQを解読装置2により読み取ることで、図5に例示するように、開封用順序を取得することができる。このため、このように取得した開封用順序に従い各ねじ41〜46を順次取り外すことで、ステップS101にてYesと判定されて、後述する消去処理等が実施されることなく、筐体11を開封することができる。
【0050】
一方、不正開封者であれば、解読装置2を所有していないため、一般の光学的情報読取装置を使用して開封用情報コードQを読み取っても公開領域に記録される機種ID情報を取得するだけで、開封用順序を取得することができない。このように不正開封者は開封用順序を取得できないために、初めに外されたねじが判定用順序の1番目に設定されているねじに一致する確率は低く、仮に一致したとしても続いて外されたねじが判定用順序の2番目に設定されているねじに一致する確率はさらに低くなる。すなわち、不正開封者が6本のねじ41〜46を判定用順序に一致するように取り外すことは不可能であるから、ステップS101にてNoと判定されることとなる。
【0051】
このようにステップS101にてNoと判定されると、ステップS103に示す報知処理がなされる。この処理では、報知信号がブザー27に出力されて、ブザー27が開封者が認識できる程度に鳴動する。これにより、不正開封と判定された旨がブザー27の鳴動等により、開封者に報知される。なお、この報知処理では、ブザー27の鳴動に代えてまたはブザー27の鳴動とともに、表示部24に不正開封と判定された旨を表示してもよい。
【0052】
次に、ステップS105に示す判定処理にて、解除処理が実施されたか否かについて判定され、不正開封者であれば、解除処理を知らないことから、Noと判定されることとなる。そして、ステップS107に示す消去処理がなされて、消去信号が消去用制御回路26に出力され、この消去用制御回路26によりメモリ23に記憶される全ての読取情報が消去される。これにより、不正開封者による読取情報の不正使用を防止することができる。
【0053】
続いて、ステップS109に示す警報処理がなされて、警報信号がブザー27に出力され、ブザー27が周囲に警報を発するように鳴動する。これにより、不正開封者による読取情報の不正使用を防止するだけでなく、不正開封者による不正開封行為を周囲に知らせることができる。なお、ステップS123の処理を実行する主制御回路21は、特許請求の範囲における「警報手段」の一例に相当する。
【0054】
また、正常開封者が開封用情報コードQの読み取りを忘れて各ねじ41〜46を取り外してしまう場合や、開封用情報コードQを読み取っても誤って開封用順序と異なる取り外し順序で各ねじ41〜46を取り外してしまう場合でも、ステップS101にてNoと判定される。そして、ステップS103にて上述した報知処理がなされ、不正開封と判定された旨がブザー27の鳴動等により、正常開封者に報知される。この報知を受けて、正常開封者が、所定の操作キー14を操作する等の予め設定された所定の解除処理を実施することにより、ステップS105にてYesと判定されて、上述したステップS107以降の処理を実施することなく、ステップS101からの処理がなされる。このため、正常開封者による誤った各ねじ41〜46の取り外し作業により、読取情報の消去や警報処理が実施されることをなくすことができる。
【0055】
以上説明したように、本第1実施形態に係る光学的情報読取装置10では、筐体11には、判定用順序情報を暗号化してコード化した開封用情報コードQが表示されている。また、メモリ23には、筐体11に表示される開封用情報コードQの判定用順序情報が予め記憶されている。そして、各導通部51〜56および締結状態検知回路25により検出される各ねじ41〜46の取り外し順序が、メモリ23に記憶される判定用順序情報に対応する取り外し順序(開封用順序)に一致しないと判定されると、メモリ23に記憶される読取情報が、消去用制御回路26により消去される。
【0056】
メモリ23の読取情報を消去することなく筐体11を開封するためには、各ねじ41〜46の取り外し順序を上記判定用順序情報に対応する取り外し順序(開封用順序)に一致させる必要がある。この判定用順序情報は、筐体11に表示される開封用情報コードQを解読して取得する必要があるため、開封用情報コードQを解読する解読装置2を有しない不正開封者は判定用順序情報を知ることができないので、メモリ23に記憶される読取情報を消去させることなく筐体11が開封(不正開封)されることを防止することができる。一方、正常開封者は、筐体11に表示される開封用情報コードQを解読装置2により解読して取得した判定用順序情報に対応する取り外し順序(開封用順序)に従い各ねじ41〜46を取り外すことで、メモリ23の読取情報を消去させることなく筐体11を開封することができる。
したがって、不正開封者による読取情報の不正使用を防止して、当該光学的情報読取装置10のセキュリティ性を向上させることができる。
【0057】
また、各ねじ41〜46の取り外し順序が上記判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致しないとの判定に応じて、正常開封でない旨(不正開封と判定された旨)がブザー27の鳴動または表示部24の表示により開封者に報知される。これにより、開封者が、開封用情報コードQの読み取りを忘れて各ねじ41〜46を取り外す場合や、開封用情報コードQを読み取ったとしても読み取った判定用順序情報に対応する取り外し順序と異なる取り外し順序で誤って各ねじ41〜46を取り外す場合には、その旨が報知される。この報知を受けて、正常開封者が、所定の操作キー14を操作する等の予め設定された解除処理を実施して再度上記判定用順序情報に対応する取り外し順序で各ねじ41〜46を取り外すことにより、正常開封者による誤った取り外し順序のために、メモリ23の読取情報が消去されることを回避することができる。
【0058】
さらに、各ねじ41〜46の取り外し順序が判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致しないとの判定に応じて、ブザー27が周囲に警報を発するように鳴動する。これにより、不正開封者が筐体11を不正開封する場合には、周囲に警告音により警報されるので、不正開封者による読取情報の不正使用を防止するだけでなく、不正開封者による不正開封行為を周囲に知らせることができる。
【0059】
また、本第1実施形態に係るセキュリティシステム1は、上述した光学的情報読取装置10と、開封用情報コードQを光学的に読み取り、暗号化された判定用順序情報を解読して取得する解読装置2とを備えている。これにより、光学的情報読取装置10の筐体11に表示される開封用情報コードQを解読装置2にて読み取り解読することで取得された判定用順序情報に対応する取り外し順序で各ねじ41〜46を取り外すことで、メモリ23の読取情報を消去することなく筐体11を開封することができる。
したがって、不正開封者による読取情報の不正使用を防止して、光学的情報読取装置10を管理するセキュリティシステム1のセキュリティ性を向上させることができる。
【0060】
[第2実施形態]
次に、本第2実施形態に係る光学的情報読取装置10およびセキュリティシステム1について、図7を参照して説明する。図7は、第2実施形態における主制御回路21による不正開封対策処理の流れを例示するフローチャートである。
本第2実施形態では、上述したステップS101にて取り外し順序が判定用順序に一致しないと判定される回数が規定回数を超えてなされていると判定されると、ステップS105にて解除処理が実施されたか否かの判定がなされることなく、ステップS107にて読取情報の消去処理がなされる点が主に異なる。したがって、上述した第1実施形態の光学的情報読取装置10と実質的に同一の構成部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0061】
以下、本第2実施形態に係る主制御回路21による不正開封対策処理について図7を用いて説明する。
ねじ41〜46のいずれか1つが取り外されて不正開封対策処理が開始され、取り外されたねじの順序が判定用順序に一致しない場合には(S101でNo)、ステップS101に示す判定処理にてNoと判定される回数(取り外し順序が判定用順序に一致しないと判定される回数:以下、報知回数Naという)が、ステップS102にてインクリメント(Na=Na+1)される。
【0062】
次に、ステップS102aに示す判定処理にて、報知回数Naが規定回数Nt以上であるか否かについて判定される。ここで、規定回数Ntは、予め設定される回数であって、本第2実施形態では、Nt=2に設定されている。なお、この規定回数Ntは、特許請求の範囲に記載の「所定回数」の一例に相当し、セキュリティ性に応じて適宜変更することができる。
【0063】
そして、ステップS102aにて報知回数Naが規定回数Nt未満であると判定される場合には(S102aでNo)、正常開封者が誤って各ねじ41〜46を取り外したとみなし、上述したステップS103に示す報知処理がなされる。そして、正常開封者が、所定の解除処理を実施することで(S105でYes)、上述したステップS107以降の処理が実施されることなくステップS101からの処理がなされる。
【0064】
その後、取り外されたねじの順序が判定用順序に一致しないと再度判定されることで(S101でNo)、ステップS102aに示す判定処理にて、報知回数Naが規定回数Nt以上であると判定される場合には(S102aでYes)、不正開封者が不正に各ねじ41〜46を取り外したとみなし、上述した報知処理およびその後の判定処理がなされることなく、上述した消去処理および警報処理がなされる。
【0065】
以上説明したように、本第2実施形態に係る光学的情報読取装置10では、上記報知処理による報知回数Naが規定回数Ntを超える場合に、読取情報が消去される。例えば、不正開封者が上述した解除処理を知っていると、予め設定された判定用順序情報を知らなくても、各ねじ41〜46の取り外しと解除処理とを何回か繰り返すうちにこの判定用順序情報に対応する取り外し順序を探し当て、不正に筐体11を開封してしまうおそれがある。そこで、このような不正開封者による読取情報の不正使用を防止するために、各ねじ41〜46の取り外しと解除処理とが繰り返し行われて、取り外し順序が判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致しないとの判定回数、すなわち報知回数Naが、規定回数Ntを超えてなされると、不正開封とみなされて、メモリ23の読取情報の消去が回避されることなく実施される。
【0066】
このため、不正開封者が上記判定用順序情報に対応する取り外し順序を探し当てることが難くなり、不正開封者による筐体11の不正開封を防止でき、セキュリティ性をより向上させることができる。また、例えば正常開封者が、誤って判定用順序情報に対応する取り外し順序と異なる取り外し順序でねじ41〜46のいずれかを取り外す場合でも、報知回数Naが規定回数Ntを超えてなされていなければ、メモリ23の読取情報が消去されることを回避することができる。
【0067】
[第3実施形態]
次に、本第3実施形態に係る光学的情報読取装置10およびセキュリティシステム1について、図8〜図10を参照して説明する。図8は、第3実施形態において開封用情報コードQを読み取ることにより取得される情報を示す説明図である。図9は、第3実施形態における解読装置2の主制御回路による判定用順序情報取得処理の流れを例示するフローチャートである。図10は、第3実施形態における光学的情報読取装置10の主制御回路21による不正開封対策処理の流れを例示するフローチャートである。
【0068】
本第3実施形態では、開封用情報コードQの公開領域には機種ID情報が記録され、非公開領域には、開封番号として連続番号Nkがそれぞれに付与される複数の判定用順序情報が記録されている。具体的には、図8に例示するように、非公開領域には、開封番号1が付された判定用順序情報として「1,4,3,5,2,6」が記憶されている。この判定用順序情報は、1番目の数字がねじ41の開封順番を示し、以下、2〜6番目の数字がねじ42〜46のそれぞれの開封順番を示す。すなわち、開封番号1が付された判定用順序情報に対応する取り外し順序(開封用順序)は、「ねじ41→44→43→45→42→46」となる。また、非公開領域には、開封番号2が付された判定用順序情報「3,4,6,2,1,5」や開封番号3が付された判定用順序情報「6,1,3,4,2,5」などが記憶されている。
【0069】
また、光学的情報読取装置10のメモリ23には、収容される筐体11に貼付された開封用情報コードQの非公開領域に記録される各判定用順序情報および開封番号と同じ情報が予め記憶されている。
【0070】
次に、本第3実施形態において解読装置2にて実施される判定用順序情報取得処理について説明する。
本第3実施形態における解読装置2では、開封用情報コードQが光学的に読み取られると、判定用順序情報取得処理が実施され、読み取った開封用情報コードQから解読される複数の判定用順序情報のうち、当該開封用情報コードを読み取った回数(以下、読取回数Nbという)に一致する開封番号の判定用順序情報が取得される。
【0071】
この判定用順序情報取得処理について、図9に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。
開封用情報コードQが光学的に読み取られることで、判定用順序情報取得処理が開始されると、図9のステップS201に示す判定処理にて、読み取った開封用情報コードQの公開領域に記録される機種IDが初めて読み取った機種IDであるか否かについて判定される。そして、読み取った機種IDが初めて読み取った機種IDである場合には(S201でYes)、ステップS203にて当該機種IDに対する読取回数NbがNb=1に設定される。次に、ステップS209に示す読取回数記憶処理がなされ、上述のように設定された読取回数Nbが対応する機種IDに関連付けられてメモリに記憶される。
【0072】
一方、読み取った機種IDが初めて読み取った機種IDでない場合には(S201でNo)、ステップS205に示す読取回数読出処理がなされ、読み取った機種IDに関連付けらて上記読取回数記憶処理にてメモリに記憶された読取回数Nbが読み出される。そして、読み出された読取回数NbがステップS207にてインクリメント(Nb=Nb+1)されると、上記読取回数記憶処理がなされ、このようにインクリメントされた読取回数Nbが対応する機種IDに関連付けられてメモリに記憶される。
【0073】
ステップS203に示す処理またはステップS207に示す処理がなされて読取回数Nbがメモリに記憶されると、ステップS211に示す判定用情報選択処理がなされる。この処理では、メモリに予め記憶されている複数の判定用順序情報のうち、読取回数Nbに数字が一致する開封番号の判定用順序情報が選択される。例えば、読取回数Nb=1であれば、開封番号1の判定用順序情報が選択され、読取回数Nb=2であれば、開封番号2の判定用順序情報が選択されることとなる。すなわち、読取回数に応じて、判定用順序情報を変更することができる。
【0074】
そして、ステップS211に示す判定用順序情報表示処理がなされ、上記判定用情報選択処理にて選択された判定用順序情報が、上述した図5に例示するように、表示部24a開封用順序としてに表示される。
【0075】
次に、本第3実施形態における光学的情報読取装置10の不正開封対策処理について、図10に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。
本第3実施形態における光学的情報読取装置10では、ねじ41〜46のいずれか1つが取り外されることで不正開封対策処理が開始されると、ステップS301に示す開封回数読出処理がなされる。この処理では、後述するように筐体11が正常に開封されるごとにインクリメントされて記憶される開封回数Ncがメモリ23から読み出される。
【0076】
続いて、ステップS303に示す判定用順序設定処理がなされ、メモリ23に予め記憶されている複数の判定用順序情報のうち、上記開封回数読出処理にて読み出された開封回数Ncに数字が一致する開封番号の判定用順序情報が選択されて設定される。例えば、開封回数Nc=1であれば、開封番号1の判定用順序情報が選択されて設定され、開封回数Nc=2であれば、開封番号2の判定用順序情報が選択されて設定される。
【0077】
そして、取り外されたねじの順序が上記判定用順序設定処理にて設定された判定用順序に一致する場合には(S101でYes)、正常開封であるとして、開封回数NcがステップS305にてインクリメント(Nc=Nc+1)される。続いて、ステップS307に示す開封回数記憶処理にて、インクリメントされた開封回数Ncがメモリ23に上書きして記憶される。
【0078】
一方、取り外されたねじの順序が上記判定用順序設定処理にて設定された判定用順序に一致しない場合には(S101でNo)、上述したステップS103以降の処理がなされる。
【0079】
以上説明したように、本第3実施形態に係る光学的情報読取装置10では、開封用情報コードQは、当該開封用情報コードQが筐体11に表示された光学的情報読取装置10を特定する機種ID(特定情報)をコード化するとともに、連続番号Nkがそれぞれに付与される複数の判定用順序情報を暗号化してコード化することで構成される。また、解読装置2では、読取回数Nbが機種IDごとに記憶されるとともに、開封用情報コードQが光学的に読み取られると、この開封用情報コードQから解読される複数の判定用順序情報のうち当該開封用情報コードの読取回数Nbに一致する連続番号Nkの判定用順序情報が取得される。また、光学的情報読取装置10のメモリ23には、開封用情報コードQから解読される複数の判定用順序情報が連続番号とともに記憶されるとともに、筐体11の開封回数Ncが記憶される。そして、ステップS101に示す判定処理では、各ねじ41〜46の取り外し順序が、メモリ23に記憶される複数の判定用順序情報のうち開封回数Ncに一致する連続番号の判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致するか否かを判定する。
【0080】
これにより、解読装置2により取得される判定用順序情報が読取回数Nbに応じて変化するので、解読装置2を用いて光学的情報読取装置10の筐体11を開封する作業者であっても判定用順序情報を容易に知ることができないので、読取情報の不正使用を確実に防止することができる。
【0081】
[第4実施形態]
次に、本第4実施形態に係る光学的情報読取装置10およびセキュリティシステム1について、図11および図12を参照して説明する。図11は、第4実施形態において開封用情報コードQを読み取ることにより取得される情報を示す説明図である。図12は、第4実施形態における光学的情報読取装置10の主制御回路21による不正開封対策処理の流れを例示するフローチャートである。
【0082】
本第4実施形態では、開封用情報コードQの非公開領域は、第1の復号鍵を用いることで情報を復号して取得可能な第1非公開領域と、第2の復号鍵を用いることで情報を復号して取得可能な第2非公開領域と、から構成されている。そして、第1非公開領域には第1の判定用順序を特定するための第1の判定用順序情報が記録され、第2非公開領域には第2の判定用順序を特定するための第2の判定用順序情報が記録されている。具体的には、図11に例示するように、第1非公開領域には、第1の判定用順序情報として「4,3,2,6,1,5」が記憶されており、第2非公開領域には、第2の判定用順序情報として「6,2,4,5,3,1」が記憶されている。
【0083】
このため、解読装置2と異なる光学的情報読取装置で開封用情報コードQを読み取る場合でも、第1の判定用順序情報および第2の判定用順序情報の取得を防止できる。また、第1の復号鍵がメモリに記憶された解読装置2を有する開封者は、開封用情報コードQを読み取ることで第1の判定用順序情報を取得することができる。また、第2の復号鍵がメモリに記憶された解読装置2を有する開封者は、開封用情報コードQを読み取ることで第2の判定用順序情報を取得することができる。
【0084】
そして、光学的情報読取装置10のメモリ23には、上述した第1の判定用順序情報および第2の判定用順序情報が予め記憶されている。また、メモリ23に記憶される読取情報は、比較的重要度が高い第1読取情報と比較的重要度が低い第2読取情報とに区分けされて記憶されている。
【0085】
次に、本第4実施形態における光学的情報読取装置10の不正開封対策処理について、図12に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。
ねじ41〜46のいずれか1つが取り外されて不正開封対策処理が開始され、取り外されたねじの順序が第1の判定用順序および第2の判定用順序のいずれにも一致しない場合には(S101でNo)、上記ステップS103に示す報知処理以降の処理がなされ、解除処理が実施されない限り第1読取情報および第2読取情報が消去される。
【0086】
一方、取り外されたねじの順序が第1の判定用順序および第2の判定用順序のいずれかに一致する場合には(S101でYes)、ステップS401に示す判定処理にて、取り外されたねじの順序が第1の判定用順序に一致するか否かについて判定される。ここで、取り外されたねじの順序が第1の判定用順序に一致しない場合には(S401でNo)、ステップS403に示す第1読取情報消去処理がなされ、メモリ23に記憶される読取情報のうち第1読取情報が消去される。また、取り外されたねじの順序が第1の判定用順序に一致する場合には(S401でYes)、上記第1読取情報消去処理がなされることなく、筐体11を開封することができる。
【0087】
これにより、光学的情報読取装置10にて読み取られる情報を管理する管理会社等が、第1の判定用順序情報を解読可能な第1の復号鍵がメモリに記憶された解読装置2を用いて光学的情報読取装置10の筐体11を開封することで、第1読取情報および第2読取情報の双方を消去することなく筐体11を開封することができる。
【0088】
また、上記管理会社等から光学的情報読取装置10の修理を委託された修理会社等では、第2の判定用順序情報を解読可能な第2の復号鍵がメモリに記憶された解読装置2を用いて光学的情報読取装置10の筐体11を開封しても、ステップS401にてNoと判定されて、上記消去処理がなされて第1読取情報が消去される。これにより、修理会社等であっても第1の復号鍵がメモリに記憶された解読装置2を用いなければ第1読取情報が消去されるので、比較的重要性の高い第1読取情報の不正使用を確実に防止することができる。
【0089】
また、不正開封者では、そもそも解読装置2を有しないので、第1読取情報および第2読取情報の双方が消去されることなく筐体11が不正開封されることを防止することができる。
【0090】
なお、メモリ23の読取情報は、その重要性によって第1読取情報および第2読取情報に区分けされることに限らず、例えば、情報漏洩防止の観点など、異なる観点から第1読取情報および第2読取情報に区分けされてもよい。
【0091】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよい。
(1)上述した消去処理では、メモリ23に記憶された全ての読取情報を消去することに限らず、メモリ23に記憶された一部の読取情報を消去してもよい。また、上記消去処理に代えて、メモリ23に記憶された読取情報の少なくとも一部を外部から取得不能に制御する処理を実施するようにしてもよい。これにより、不正開封と判定された場合にはメモリ23に記憶された読取情報の取得が不能となるので、メモリ23の読取情報を消去する場合と同等の効果を得ることができる。
【0092】
(2)ブザー27に代えて、発光部や振動部を採用するとともに、上記ステップS103に示す報知処理において、発光部の発光や振動部の振動により、不正開封と判定された旨を開封者に報知してもよい。
【0093】
(3)締結状態検知回路25は、各導通部51〜56の抵抗値に基づいて各ねじ41〜46の締結状態を検知することに限らず、例えば、各ねじ41〜46が被締結部13aに締結されるときの締結力を検知可能な応力センサを被締結部13aに設けて、この応力センサからの出力信号に基づいて各ねじ41〜46の締結状態を検知してもよい。
【0094】
(4)締結状態検知回路25は、各導通部51〜56の抵抗値を検知し当該導通部51〜56の抵抗値が締結時抵抗値Rを超えると非締結状態検知信号を主制御回路21に出力することに限らず、単なる各導通部51〜56の抵抗値を検知可能なセンサとして構成されてもよい。
【0095】
(5)開封用情報コードQは、光学的情報読取装置10の背面に貼付されることで、解読装置2により読取可能に表示されることに限らず、例えば、他の位置に貼付されることで、解読装置2により読取可能に表示されてもよいし、表示部24に表示されてもよい。
【0096】
(6)開封用情報コードQは、公開領域および非公開領域を有するQRコードにより構成されることに限らず、少なくとも一部の情報を暗号化し得る情報コードから構成されてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1…セキュリティシステム
2…解読装置
10…光学的情報読取装置
11…筐体
12…裏側ケース(第1ケース)
13…表側ケース(第2ケース)
21…主制御回路(読取手段,判定手段,制御手段)
22…受光センサ(読取手段)
23…メモリ(記憶手段)
24…表示部(報知手段)
25…締結状態検知回路(検出手段)
26…消去用制御回路(制御手段)
27…ブザー(報知手段,警報手段)
41〜46…ねじ(締結部材)
51〜56…導通部(検出手段)
Na…報知回数
Nb…読取回数
Nc…開封回数
Nk…連続番号
Nt…規定回数(所定回数)
Q…開封用情報コード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報コードを光学的に読み取る読取手段と、
前記読取手段により読み取られた読取情報を記憶する記憶手段と、
第1ケースおよび第2ケースを有し両ケースが複数の締結部材による締結により組み付けられて前記記憶手段を収容する筐体と、
を備える光学的情報読取装置であって、
前記筐体には、前記各締結部材の取り外し順序が当該筐体の不正開封か否かを判定するための判定用順序情報を、暗号化してコード化した開封用情報コードが表示され、
前記記憶手段には、前記筐体に表示される前記開封用情報コードの前記判定用順序情報が予め記憶され、
前記各締結部材の締結状態を検出可能な検出手段と、
前記検出手段により検出される前記各締結部材の取り外し順序が、前記記憶手段に記憶される前記判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による前記取り外し順序が前記判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致しないとの判定に応じて、前記記憶手段に記憶される前記読取情報の少なくとも一部を外部から取得不能に制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記読取情報の少なくとも一部を消去することで外部から取得不能に制御することを特徴とする請求項1に記載の光学的情報読取装置。
【請求項3】
前記判定手段による前記取り外し順序が前記判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致しないとの判定に応じて、正常開封でない旨を開封者に報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の光学的情報読取装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記報知手段による報知回数が所定回数以上になる場合に、前記読取情報の少なくとも一部を外部から取得不能に制御することを特徴とする請求項3に記載の光学的情報読取装置。
【請求項5】
前記判定手段による前記取り外し順序が前記判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致しないとの判定に応じて、周囲に警報を発する警報手段を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置と、
前記開封用情報コードを光学的に読み取り、前記暗号化された判定用順序情報を解読して取得する解読装置と、
を備えることを特徴とするセキュリティシステム。
【請求項7】
前記開封用情報コードは、当該開封用情報コードが前記筐体に表示された前記光学的情報読取装置を特定する特定情報をコード化するとともに、連続番号がそれぞれに付与される複数の前記判定用順序情報を暗号化してコード化することで構成され、
前記解読装置では、前記開封用情報コードを読み取った回数が前記特定情報ごとに読取回数として記憶されるとともに、前記開封用情報コードが光学的に読み取られると、この開封用情報コードから解読される前記複数の判定用順序情報のうち当該開封用情報コードの前記読取回数に一致する前記連続番号の判定用順序情報が取得され、
前記記憶手段には、前記開封用情報コードから解読される前記複数の判定用順序情報が前記連続番号とともに記憶されるとともに、前記筐体の開封回数が記憶され、
前記判定手段は、前記検出手段により検出される前記各締結部材の取り外し順序が、前記記憶手段に記憶される複数の前記判定用順序情報のうち前記記憶手段に記憶される前記開封回数に一致する前記連続番号の判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致するか否かを判定することを特徴とする請求項6に記載のセキュリティシステム。
【請求項8】
前記開封用情報コードは、複数の前記判定用順序情報として少なくとも第1の判定用順序情報および第2の判定用順序情報を暗号化してコード化することで構成され、
前記解読装置は、
前記第1の判定用順序情報を解読可能であれば、前記開封用情報コードを読み取ることで前記第1の判定用順序情報を取得し、
前記第2の判定用順序情報を解読可能であれば、前記開封用情報コードを読み取ることで前記第2の判定用順序情報を取得し、
前記記憶手段には、前記第1の判定用順序情報および前記第2の判定用順序情報が予め記憶されるとともに、前記読取情報として第1読取情報および第2読取情報が記憶され、
前記制御手段は、
前記判定手段により前記取り外し順序が前記第1の判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致すると判定される場合には、前記記憶手段に記憶される前記読取情報を外部から取得不能に制御せず、
前記判定手段により前記取り外し順序が前記第2の判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致するとの判定に応じて、前記記憶手段に記憶される前記第1読取情報を外部から取得不能に制御し、
前記判定手段により前記取り外し順序が前記第1の判定用順序情報および前記第2の判定用順序情報のいずれかに対応する取り外し順序に一致しないとの判定に応じて、前記記憶手段に記憶される前記第1読取情報および前記第2読取情報を外部から取得不能に制御することを特徴とする請求項6に記載のセキュリティシステム。
【請求項1】
情報コードを光学的に読み取る読取手段と、
前記読取手段により読み取られた読取情報を記憶する記憶手段と、
第1ケースおよび第2ケースを有し両ケースが複数の締結部材による締結により組み付けられて前記記憶手段を収容する筐体と、
を備える光学的情報読取装置であって、
前記筐体には、前記各締結部材の取り外し順序が当該筐体の不正開封か否かを判定するための判定用順序情報を、暗号化してコード化した開封用情報コードが表示され、
前記記憶手段には、前記筐体に表示される前記開封用情報コードの前記判定用順序情報が予め記憶され、
前記各締結部材の締結状態を検出可能な検出手段と、
前記検出手段により検出される前記各締結部材の取り外し順序が、前記記憶手段に記憶される前記判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による前記取り外し順序が前記判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致しないとの判定に応じて、前記記憶手段に記憶される前記読取情報の少なくとも一部を外部から取得不能に制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記読取情報の少なくとも一部を消去することで外部から取得不能に制御することを特徴とする請求項1に記載の光学的情報読取装置。
【請求項3】
前記判定手段による前記取り外し順序が前記判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致しないとの判定に応じて、正常開封でない旨を開封者に報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の光学的情報読取装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記報知手段による報知回数が所定回数以上になる場合に、前記読取情報の少なくとも一部を外部から取得不能に制御することを特徴とする請求項3に記載の光学的情報読取装置。
【請求項5】
前記判定手段による前記取り外し順序が前記判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致しないとの判定に応じて、周囲に警報を発する警報手段を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置と、
前記開封用情報コードを光学的に読み取り、前記暗号化された判定用順序情報を解読して取得する解読装置と、
を備えることを特徴とするセキュリティシステム。
【請求項7】
前記開封用情報コードは、当該開封用情報コードが前記筐体に表示された前記光学的情報読取装置を特定する特定情報をコード化するとともに、連続番号がそれぞれに付与される複数の前記判定用順序情報を暗号化してコード化することで構成され、
前記解読装置では、前記開封用情報コードを読み取った回数が前記特定情報ごとに読取回数として記憶されるとともに、前記開封用情報コードが光学的に読み取られると、この開封用情報コードから解読される前記複数の判定用順序情報のうち当該開封用情報コードの前記読取回数に一致する前記連続番号の判定用順序情報が取得され、
前記記憶手段には、前記開封用情報コードから解読される前記複数の判定用順序情報が前記連続番号とともに記憶されるとともに、前記筐体の開封回数が記憶され、
前記判定手段は、前記検出手段により検出される前記各締結部材の取り外し順序が、前記記憶手段に記憶される複数の前記判定用順序情報のうち前記記憶手段に記憶される前記開封回数に一致する前記連続番号の判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致するか否かを判定することを特徴とする請求項6に記載のセキュリティシステム。
【請求項8】
前記開封用情報コードは、複数の前記判定用順序情報として少なくとも第1の判定用順序情報および第2の判定用順序情報を暗号化してコード化することで構成され、
前記解読装置は、
前記第1の判定用順序情報を解読可能であれば、前記開封用情報コードを読み取ることで前記第1の判定用順序情報を取得し、
前記第2の判定用順序情報を解読可能であれば、前記開封用情報コードを読み取ることで前記第2の判定用順序情報を取得し、
前記記憶手段には、前記第1の判定用順序情報および前記第2の判定用順序情報が予め記憶されるとともに、前記読取情報として第1読取情報および第2読取情報が記憶され、
前記制御手段は、
前記判定手段により前記取り外し順序が前記第1の判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致すると判定される場合には、前記記憶手段に記憶される前記読取情報を外部から取得不能に制御せず、
前記判定手段により前記取り外し順序が前記第2の判定用順序情報に対応する取り外し順序に一致するとの判定に応じて、前記記憶手段に記憶される前記第1読取情報を外部から取得不能に制御し、
前記判定手段により前記取り外し順序が前記第1の判定用順序情報および前記第2の判定用順序情報のいずれかに対応する取り外し順序に一致しないとの判定に応じて、前記記憶手段に記憶される前記第1読取情報および前記第2読取情報を外部から取得不能に制御することを特徴とする請求項6に記載のセキュリティシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−109605(P2013−109605A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254514(P2011−254514)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
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