説明

光学素子および投射型液晶表示装置

【課題】一方の面において高反射性を示し、他方の面において優れた低反射性を示す、簡単な構造の光学素子を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の光学素子は、基材1と、基材1上の第一金属材料および第二金属材料を含む複数の金属突起物と、を備え、第一金属材料及び第二金属材料は、一方が吸収性の金属材料であり、他方が偏光性の金属材料であり、金属突起物中の第一金属材料の割合が、基材1側に向かって連続的に高くなる領域が存在することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子および光学素子を用いた投射型液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の微細加工技術の発達により、光の波長レベルのピッチを有する微細パターンを形成することができるようになってきた。このような非常に小さいピッチの微細パターンを有する部材や製品は、特に光学分野や半導体分野などにおいて利用範囲が広く、有用である(非特許文献1)。
【0003】
例えば、金属等で構成された導電体線が特定のピッチで格子状に配列してなるワイヤグリッドは、そのピッチが入射光の波長(例えば、可視光の場合、400nmから800nm)に比べて十分に小さい場合(例えば、2分の1以下)には、導電体線が伸びる方向に対して平行に振動する電場ベクトル成分の光をほとんど反射し、導電体線が伸びる方向に対して垂直な電場ベクトル成分の光をほとんど透過させるため、単一偏光を作り出す偏光子として使用できる。このワイヤグリッド偏光子は、透過しない光を反射し再利用することができるので、光の有効利用の観点からも望ましいものである。
【0004】
このようなワイヤグリッド偏光子としては、例えば、特許文献1に開示されているものがある。特許文献1に開示されるワイヤグリッド偏光子は、入射光の波長より小さいグリッド周期で配置された金属ワイヤを備えている。特許文献1に開示されるワイヤグリッド偏光子は、金属線と平行な偏光成分(TE波)を反射し、金属線と垂直な偏光成分(TM波)を透過する偏光特性を有し、ビームスプリッタとして使用される。
【0005】
このようなワイヤグリッド偏光子における金属ワイヤ形状と光学形状との関係が、特許文献2などに開示されている。特許文献2には、金属ワイヤの断面積が増加すると、消光比が増加することや、金属ワイヤの幅がグリッド周期幅に対して所定の大きさ以上となることにより透過率が減少することが示されている。
【0006】
また、特許文献3には、金属ワイヤ上に誘電体のワイヤを積層したワイヤグリッド偏光子が例示されている。
【0007】
また、ワイヤグリッド偏光子を吸収型偏光板などと貼りあわせることにより、外光の反射を低減し、液晶表示装置などに使用する際のコントラスト比を向上させる技術が、特許文献4〜特許文献6に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2003−502708号公報
【特許文献2】特表2003−508813号公報
【特許文献3】特表2008−523422号公報
【特許文献4】特開平11−271534号公報
【特許文献5】特開2006−330521号公報
【特許文献6】特許第4425059号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】日本女子大学紀要 理学部 第14号(2006年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述の特許文献6に開示される技術では、片面において高反射性を示し、他方の片面において低反射性(吸収)を示す偏光子が提供される。しかし、例えば、特許文献6の実施形態1及び2に示される構造は、簡単ではあるが、可視光領域での反射抑制効果が低い。また、特許文献6の実施形態3に示される構造は、TE光の反射抑制に優れているが、多数の層による積層構造であるため、製造コストが高く、またスループットの点でも劣る。
【0011】
本発明は係る点に鑑みてなされたものであり、一方の面において高反射性を示し、他方の面において優れた低反射性を示す、簡単な構造の光学素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の光学素子は、基材と、前記基材上の第一金属材料および第二金属材料を含む複数の金属突起物と、を備え、前記第一金属材料及び前記第二金属材料は、一方が吸収性の金属材料であり、他方が偏光性の金属材料であり、前記金属突起物中の前記第一金属材料の割合が、前記基材側に向かって連続的に高くなる領域が存在することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、金属ワイヤ中において、第一金属材料の割合が、基材側に向かって高くなるように連続的に変化するため、一方の面において高反射性を示し、他方の面において優れた低反射性を示す、簡単な構造の光学素子が提供される。
【0014】
本発明の光学素子において、前記吸収性の金属材料は、クロム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、シリコン、ゲルマニウムのいずれか一を含有する材料であり、前記偏光性の金属材料は、アルミニウムを含有する材料であることがある。
【0015】
この構成によれば、アルミニウムの反射率が高いため、一方の面において優れた高反射性とすることができると共に、クロム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、シリコン、ゲルマニウムの吸収性が高いため、他方の面において優れた低反射性とすることができる。
【0016】
本発明の光学素子において、前記金属突起物の前記基材表面に垂直な方向の高さは、300nm以下であることがある。
【0017】
この構成によれば、金属突起物の高さを抑制できるため、金属突起物の自立性を維持し、金属突起物が倒れる恐れを低減できる。また、隣接する突起物同士が接して透過率が低下する恐れを低減できる。
【0018】
本発明の光学素子において、隣接する前記複数の金属突起物の間隔が200nm以下であることがある。
【0019】
この構成によれば、可視光領域から近赤外線領域における光学素子の特性を良好に保つことができる。
【0020】
本発明の光学素子において、前記金属突起物が金属ワイヤであることがある。
【0021】
本発明の投射型液晶表示装置は、光源と、前記光源からの光を偏光分離する上述の光学素子と、光学素子により偏光された光を透過又は反射する液晶表示素子と、前記液晶表示素子を透過又は反射した光をスクリーンに投射する投射光学系と、を具備し、前記光源からの光が、前記金属ワイヤの前記吸収性の金属材料の割合が高い側に入射するように、前記光学素子が配置されたことを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、光学素子の光学装置側の反射率R(TE)を低くすることができるため、光学装置内部での迷光の発生を抑制し、コントラスト比の低下を抑制することができる。また、高温高湿環境における耐久性に優れるため、信頼性の高い投射型液晶表示装置が実現される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、所定の金属材料の割合が、基材側に向かって連続的に高くなっているため、一方の面において高反射性を示し、他方の面において優れた低反射性を示す、簡単な構造の光学素子が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施の形態に係るワイヤグリッド偏光子の断面模式図である。
【図2】実施の形態に係るワイヤグリッド偏光子の、金属ワイヤの組成比率を表す断面模式図である。
【図3】実施の形態に係るワイヤグリッド偏光子の作製方法の一例を示す断面模式図である。
【図4(a)】実施の形態に係る成膜工程を説明するための断面模式図である。
【図4(b)】実施の形態に係る成膜工程を説明するための断面模式図である。
【図4(c)】実施の形態に係る成膜工程を説明するための断面模式図である。
【図5】実施の形態に係る投射型晶表示装置の構成の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明者らは、金属突起物に含まれる吸収性の金属材料と偏光性の金属材料との割合を基材表面に垂直な方向に連続的に異ならせ、金属突起物中において吸収性の金属材料と偏光性の金属材料に濃度勾配を持たせることで、一方の面において高反射性を示し、他方の面において優れた低反射性を示す光学素子が実現されることを見出した。
【0026】
これは、金属突起物中において、吸収性の金属材料と偏光性の金属材料とに濃度勾配を持たせることで、有効媒質近似により、材料の光学定数が連続的に変化する領域を作り出すことができるためである。つまり、吸収性の金属材料と偏光性の金属材料との混合領域では、吸収性材料単独では実現できない光学定数を実現できるため、低反射性ワイヤグリッド偏光子などの光学素子に適した光学定数を実現することができるのである。さらに、吸収性の金属材料と偏光性の金属材料とに濃度勾配を持たせることで、光学定数も勾配を持つことになるため、入射した偏光の界面反射が減少し、吸収効果を高めることができ、低反射性を実現することができるのである。
【0027】
すなわち、本発明の骨子は、基材上に、一方が吸収性の金属材料であり他方が偏光性の金属材料である第一金属材料および第二金属材料を含む金属突起物を備えた光学素子において、金属突起物中の第一金属材料(または第二金属材料)の割合を基材側に向かって徐々に高めることで、一方の面において高反射性を示し、他方の面において優れた低反射性を示す簡単な構造の光学素子を実現しようとするものである。または、金属突起物中の第二金属材料(または第一金属材料)の割合を、基材とは反対側(金属突起物の先端側)に向かって徐々に高めることで、一方の面において高反射性を示し、他方の面において優れた低反射性を示す簡単な構造の光学素子を実現しようとするものである。金属突起物中、基板表面に垂直な方向についての第一金属材料(または第二金属材料)の濃度プロファイルが、所定の勾配を持つように金属突起物を構成する、ということもできる。以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では、光学素子の内、金属突起物が金属ワイヤであるワイヤグリッド偏光子について詳説するが、本発明はこれに限定されない。
【0028】
本明細書においては、基材上に設けられた金属ワイヤが伸びる方向に対して平行に偏光している光をTE偏光とし、その反射率をR(TE)、透過率をT(TE)と定義する。また、金属ワイヤが伸びる方向に対して垂直に偏光している光をTM偏光とし、その反射率をR(TM)、透過率をT(TM)と定義する。
【0029】
図1は、実施の形態に係るワイヤグリッド偏光子の一例を示す断面模式図である。図1に示すワイヤグリッド偏光子は、基材1の一方の表面上に所定の間隔で設けられた複数の金属ワイヤ10でなる格子状の構造を有する。また、金属ワイヤ10は第一金属材料と第二金属材料を含んでおり、その組成比は、基材1表面に垂直な方向に関して、連続的に変化している。また、第一金属材料及び第二金属材料は、一方が吸収性の金属材料であり、他方が偏光性の金属材料である。ここでは便宜上、第一金属材料の割合が、ある値より高くなっている領域を第一領域11と呼び、第二金属材料の割合が、ある値より高くなっている領域を第二領域12と呼び、その間の領域を混合領域13と呼ぶこととする。例えば、第一領域11における第一金属材料の割合は90%以上とすることができる。同様に、第二領域12における第二金属材料の割合は90%以上とすることができる。なお、第一領域11における第一金属材料の割合、および、第二領域12における第二金属材料の割合はこれに限定されない。作製方法にもよるが、第一金属材料の割合がほぼ100%の領域や、第二金属材料の割合がほぼ100%の領域を作製することも可能である。この場合には、例えば、第一領域11における第一金属材料の割合は98%以上とすることができる。同様に、第二領域12における第二金属材料の割合は98%以上とすることができる。また、第一領域11および第二領域12は、金属材料に濃度勾配が存在しても良いし、濃度勾配が存在しなくても(すなわち、濃度が一定でも)良い。
【0030】
上述のような構造のワイヤグリッド偏光子において、金属ワイヤ10が設けられた面に入射した偏光は、金属ワイヤ10が有する構造的異方性及び光学的異方性によって、そのTE偏光成分が反射し、TM偏光成分が透過する。このため、入射した光の反射光の大部分はTE偏光となり、透過光の大部分はTM偏光となる。反射光にはTM偏光成分も若干含まれるが、R(TM)はR(TE)の1/20程度と小さいため、ほとんど無視できる。
【0031】
本実施の形態においては、金属ワイヤ10を構成する材料の組成比率が、基材1の表面に垂直な方向に連続的に変化すると共に、基材1に近い第一領域11側では第二金属材料より第一金属材料の割合が高くなっており、基材1から遠い第二領域12側では第一金属材料より第二金属材料の割合が高くなっている。第一金属材料及び第二金属材料は、一方が吸収性の金属材料であり、他方が偏光性の金属材料であるため、当該構成により、一方の面において高反射性を示し、他方の面において優れた低反射性を示すワイヤグリッド偏光子が実現されるのである。
【0032】
なお、第一金属材料と第二金属材料のうちの一方は、アルミニウムを含む材料(アルミニウムやアルミニウム合金、アルミニウム混合材料など)であることが望ましい。アルミニウムを含む材料は高い反射性を示すため、これを一方の材料として用いることにより、一方の面において高反射性を示すワイヤグリッド偏光子を実現することができる。例えば、図1において、第二領域12を、アルミニウムの割合が高い領域とすることにより、第二領域12側(表面側)から入射する光の反射率R(TE)を高くすることができる。また、第一領域11を、アルミニウムの割合が高い領域とすることにより、第一領域11側(基材1側、裏面側)から入射する光の反射率R(TE)を高くすることができる。
【0033】
また、第一金属材料と第二金属材料のうちの一方にアルミニウムを含む材料を用いる場合には、1)アルミニウムの反射率が高いこと、2)アルミニウムの消衰係数が6.8(波長555nm)と大きいこと、により、ワイヤグリッド偏光子において、十分な消光比T(TM)/T(TE)を得ることができるというメリットもある。
【0034】
なお、第一金属材料と第二金属材料のいずれを、アルミニウムを含む材料としても良い。透過率や偏光度などの光学性能は、いずれの場合もほぼ同等であるから、ワイヤグリッド偏光子の使用方法によって適宜選択可能である。例えば、金属ワイヤ10が配設される面(表面)に入射する光の反射率を高めたい場合には、第二金属材料として、アルミニウムを含む材料を用い、逆に、金属ワイヤ10が配設されない面(裏面)に入射する光の反射率を高めたい場合には、第一金属材料として、アルミニウムを含む材料を用いればよい。なお、第二金属材料としてアルミニウムを含む材料を用いた方がワイヤグリッド偏光子の光学特性上好ましい。加工性については後述するが、異なる金属材料では、通常、ドライエッチングの速度も異なる。一般に、アルミニウムを含む材料はドライエッチングされにくいため、良好なドライエッチング加工を実現するためには、基材1に近い第二領域12の材料(第二金属材料)としてアルミニウムを含む材料を用いることが好ましい。以下では、説明の簡略化のため、第二金属材料がアルミニウムを含む材料である場合(つまり、第二領域12がアルミニウムを高い割合で含む領域である場合)について説明する。なお、この場合、金属ワイヤ10における第一金属材料の濃度プロファイルは、基材1側に向かって連続的に増大するような勾配(濃度勾配)を有する。また、金属ワイヤ10における第二金属材料の濃度プロファイルは、基材1側に向かって連続的に減少するような勾配(濃度勾配)を有する。
【0035】
第一領域11を構成する第一金属材料は特に限定されないが、第一領域11側(基材1側、裏面側)から入射する光の反射率R(TE)を低くしたい場合には、第二金属材料(ここでは、アルミニウムを含む材料)よりも低反射率の材料を用いることが好ましい。具体的には、クロム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、シリコン、ゲルマニウムいずれか一の金属を含む材料であることが好ましい。
【0036】
混合領域13は、第一金属材料と第二金属材料(ここでは、アルミニウムを含む材料)とが混合されて構成される。混合領域13を有することによって、第一領域11と第二領域12との密着性が向上し、また、裏面側(基材側)から入射する光の反射率R(TE)を抑制することができる。
【0037】
なお、混合領域13では、第一金属材料と第二金属材料とが混合されているため、その光学定数(n,k)は有効媒質近似により両材料の中間的な値となる。また、混合の比率が連続的に変化することによって、界面での反射がなくなるため、より効果的に光を吸収することができる。
【0038】
図2の左側は、金属ワイヤ10の基材1に垂直な断面を表した模式図である。また、図2の右側は、横軸にアルミニウムの組成比率を、縦軸に金属ワイヤ10の高さをとった、アルミニウムのプロファイルを示す概念的グラフである。第二領域12ではアルミニウムの組成比率がほぼ1であり、混合領域13では連続的にアルミニウム組成比率が減少し、第一領域11では組成比率が0に近い値となる。
【0039】
なお、金属ワイヤ10の高さを高くすると金属ワイヤ10の断面積が増加するため、偏光度が向上する。しかしながら、高くしすぎるとワイヤ10の自立性が低下し、金属ワイヤ10が倒れる恐れが生じる。また、隣接する金属ワイヤ10同士が接してしまい、透過率が低下する恐れが生じる。そのため、金属ワイヤ10の高さは300nm以下であることが好ましく、より好ましくは280nm以下であって、さらに好ましくは250nm以下である。また、混合領域13における組成比率の変化の割合(変化した組成比率÷変化に要するワイヤ高さ[nm])は、混合領域13の高さとして20nm〜250nm程度が好ましいことから、0.004[1/nm]から0.05[1/nm]の範囲とすることが好ましい。具体例で示すと、アルミニウム組成比率が1.0の状態から、組成比率が0になるまでの間にワイヤ高さ150[nm]を要したとすると、組成比率の変化の割合は0.007[1/nm]である。なお、上記組成比率の変化の割合は、金属ワイヤ10内において一定である必要はない。
【0040】
ワイヤグリッド偏光子が好適な偏光機能を発現するためには、第二領域12にはある程度の高さが必要である。第二領域12の高さは、好ましくは50nm以上であって、より好ましくは75nm以上であって、さらに好ましくは100nm以上である。
【0041】
金属ワイヤ10のピッチ(隣接する金属ワイヤ10どうしの間隔)は、ワイヤグリッド偏光子に入射する光の波長によって最適な値が異なる。主に可視光領域から近赤外線領域における偏光子の場合には、ピッチは、200nm以下が好ましく、より好ましくは175nm以下であり、さらに好ましくは150nm以下である。
【0042】
基材1を構成する材料は、平滑面を有し、可視光領域で実質的に透明な素材であれば特に限定されない。このような材料としては、例えば、ガラスや透明な無機物結晶、透明プラスチックが挙げられる。ガラスとしては、石英ガラスや、BK(硼珪クラウン)、BaK(バリウムクラウン)、LF(軽フリント)、SF(重フリント)等の既存の光学ガラスを挙げることができる。なかでも石英ガラスは、表面微細加工に適しているので好ましい。透明無機物結晶としては、サファイヤ、水晶、方解石、アルカリハライド等が挙げられる。透明プラスチックとしては、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン樹脂(COP)、架橋ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂等の非晶性熱可塑性樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂等の結晶性熱可塑性樹脂や、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系等の紫外線(UV)硬化性樹脂や熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0043】
ここで、本実施の形態のワイヤグリッド偏光子の作製方法の一例について記述する。図3は、ワイヤグリッド偏光子の作製方法の一例を示す断面模式図である。まず、基材1の上に、第一領域11a、混合領域13a、および第二の領域12aを有する金属材料層10aを平坦に形成する(図3(a)参照)。金属材料層10aは、スパッタリング成膜法、真空蒸着成膜法の他、イオンプレーティング法、CVD法、化学吸着、電鋳法、メッキ法、MBE法などによって設けることができる。特に、成膜の簡便性や大面積化の容易さからスパッタリング成膜法や真空蒸着法を用いることが好ましい。基材1と金属材料層10aとの接着性を上げるため、基材1の表面に、例えば易接着コーティング、プライマー処理、コロナ処理、オゾン処理、高エネルギー線処理、表面粗化処理、多孔質化処理、などを行っても良い。
【0044】
金属材料層10aの成膜方法の一例として、図4(a)〜図4(c)を用いて、真空成膜法による積層工程を説明する。当該成膜方法では、第一金属材料源30と、第二金属材料源31と、移動式ステージ40を有する成膜装置を使用する(図4(a)〜図4(c)参照)。移動式ステージ40は、図中、左から右へ移動可能に設けられている。移動式ステージ40の下部には基材1が固定され、移動式ステージ40が移動することで、基材1が第一金属材料源30と第二金属材料源31の直上を搬送される。第一金属材料源30は、第一金属材料を積層させるためのものであり、また、第二金属材料源31は第二金属材料(ここでは、アルミニウムを含む材料)を積層させるためのものである。
【0045】
まず、移動式ステージ40によって搬送される基材1が、第一金属材料源30の上方を通過する際に、第一金属材料が飛翔し、基材1に堆積する(図4(a)参照)。これにより、金属材料層10aの第一領域11aが形成される。その後、第一金属材料源30と第二金属材料源31との間を通過する際に、第一金属材料と第二金属材料の両方が飛翔し、基材1に堆積する(図4(b)参照)。移動式ステージ40は断続的に移動するので、第一金属材料と第二金属材料とが積層される割合は連続的に変化する。これにより、金属材料の組成比率が連続的に変化した混合領域13aが形成される。さらにその後、基材1が第二金属材料源31の上方を通過する際には、第二金属材料が飛翔し、基材1に堆積する(図4(c)参照)。これにより、第二領域12aが形成される。なお、混合領域13aの材料の組成比率は、移動式ステージ40の搬送速度や、第一金属材料源30及び第二金属材料源31の蒸着速度を調整することで変更することができる。
【0046】
上記の移動式ステージ40、第一金属材料源30、第二金属材料源31は1つの真空チャンバー内に納められることが望ましい。この場合、途中で真空状態を破り、他の装置へ搬送する必要がない。これにより、金属材料層10aの成膜に掛かる時間を極めて短くすることができる。また、第一金属材料源30と第二金属材料源31との間を区切る必要がないため、真空チャンバーを小型化することができる。
【0047】
なお、このような方法を用いて混合領域13aを形成する場合、第一金属材料と第二金属材料との密着力が高められるため、後述するインプリント工程やドライエッチング工程において、これらが剥離する可能性を低下させることができる。
【0048】
次に、金属材料層10aの上に硬化性樹脂からなるレジスト材料を均一に塗布してレジスト材料層14aを形成する(図3(b)参照)。レジスト材料を塗布する方法は、スピンコート法、バーコート法、ディップコート法、リバースコーティング法、グラビアコーティング法などから、基材1の大きさや材質に合わせて適宜選択することができる。各コーティング方法の詳細は、株式会社加工技術研究所発行・コンバーティングテクノロジー便覧(2006年)に詳細に記載されており、参考にすることができる。例えば、基材1として100mm角程度の大きさのガラス基板を用いる場合は、塗布装置の簡便さと膜厚均一性の観点からスピンコート法を選択することができる。また、基材1としてフィルム状の材料を用いる場合でも、フィルム基板を平坦な板(例えばガラス基板など)に貼り合せた状態、もしくは真空チャック方式によってフィルム基板にうねりや曲がりが生じない状態で固定すれば、スピンコート法で塗布することができる。
【0049】
また、レジスト材料層14aの接着性を向上させるため、金属材料層10aの表面に、例えば、易接着コーティング、プライマー処理、コロナ処理、オゾン処理、高エネルギー線処理、などを行っても良い。
【0050】
次に、レジスト材料層14aを下記のいずれかの方法によってパターンニングしてパターンニングされたレジスト材料層14bを形成する(図3(c)参照)。第一の方法は、パターンが描画された金型をレジスト材料へ押し付けることによってパターンニングを行うインプリント法である。この方法によれば、微細な構造であっても高速に、且つ簡便にパターンニングすることができる。また、一度作製した金型は複数回にわたってパターンニングに使用することができる。インプリント後は、パターンの凸部を残しながら凹部の残渣をドライエッチング法によって取り除き、所望とするパターンを得ることができる。この場合、レジスト材料には、市販されているPAK−01(東洋合成工業株式会社製)などの光硬化性樹脂を用いることができる。熱インプリント法の場合には、ポリジメチルシロキサンやポリスチレンなどの熱可塑性樹脂をレジスト材料として用いることができる。
【0051】
第二の方法は、フォトリソグラフィー法によってパターンニングを行う方法である。この方法によれば一度作製したフォトマスクを複数回にわたって使用することができ、露光量を調節することによって高速にパターンニングが可能となる。パターンサイズが極めて微細になると、光の干渉によって明瞭なパターンニングが行えなくなる欠点があるが、干渉露光法などの手法によって微細形状でもパターンニングが可能となる。パターン露光後は、未露光部分を溶剤等によって除去することにより、所望とするパターンを得ることができる。この場合、レジスト材料としてフォトレジスト材料を用いる。フォトレジスト材料には、市販されているPMERシリーズ(東京応化株式会社製)などを用いることができる。
【0052】
上記以外の方法として、フォトリソグラフィー法の光により露光する方法に代えて電子線により露光する方法や、レジスト材料層14aを電子線で直接パターンニングする方法などを適用することもできるが、装置の低コスト化や処理時間の効率化の観点からは、上記方法を適用することが好ましい。
【0053】
パターンニングされたレジスト材料層14bは、ドライエッチング工程でのマスクとして用いられる。ドライエッチング工程においては、金属材料層10aをドライエッチングによってパターンニングし、ワイヤ形状に加工する(図3(d)参照)。
【0054】
ドライエッチング工程ではまず、パターンニングされたレジスト材料層14bをマスクとして、金属材料層10aの第二領域12aをエッチングし、パターンニングされた第二領域12を形成する。第二金属材料としてアルミニウムを含む材料を用いる場合は、ドライエッチングに用いるガスとして主に塩素系ガスを選択することが好ましい。
【0055】
その後、金属材料層10aの混合領域13aと第一領域11aをドライエッチングして、パターンニングされた混合領域13と第一領域11とを形成する。エッチングに用いるガスは、混合領域13aおよび第一領域11aを構成する材料に応じて適宜選択することができる。第一金属材料が、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、シリコン、ゲルマニウムを主原料とする材料である場合は、主にフッ素系ガスを選択することが好ましい。また、第一金属材料が、クロムを主原料とする材料である場合は、主に塩素系ガスを選択することが好ましい。混合領域13aをエッチングする場合においては、フッ素系ガスと塩素系ガスを混合したガスを用いても良い。
【0056】
本実施の形態においては、第二領域12aと混合領域13aと第一領域11aとをそれぞれドライエッチング処理している。この場合、上側の領域からからドライエッチングが行われるので、第二領域12a、混合領域13a、第一領域11aの順に処理される。
【0057】
このため、ドライエッチング工程において、上の領域は、その下の領域のドライエッチング処理の際に、ある程度のドライエッチング耐性を有することが求められる。ドライエッチング耐性を有していない場合、下の領域のドライエッチング処理の際に上の領域もエッチングされてしまうためである。例えば、第一領域11aをドライエッチング処理する場合は、その上の領域である混合領域13aが、第一領域11aのドライエッチング処理条件に対して耐性を有することが求められる。同様に、混合領域13aをドライエッチング処理する場合は、その上の領域である第二領域12aが、混合領域13aの材料のドライエッチング処理条件に対して耐性を有することが求められる。第二領域12aをドライエッチング処理する場合も同様である。
【0058】
一方で、レジスト材料層14bは、混合領域13aと第一領域11aとをドライエッチング処理する場合には、耐性を持たなくても良い。これは、レジスト材料層14bが仮にドライエッチング耐性を有さなかったとしても、第二領域12aがドライエッチング処理のマスクとして機能するためである。
【0059】
なお、本発明のエッチング処理はこれに限られない。例えば、レジスト材料層14bをマスクとして、第二領域12aと混合領域13aとを同時にドライエッチング処理しても良い。また、レジスト材料層14bをマスクとして、第二領域12aと混合領域13aと第二領域11aとを同時にドライエッチング処理しても良い。そのためには、レジスト材料層14bにドライエッチング耐性の高い材料を用いるか、又は、パターンニングにおいてレジスト材料層14bにある程度の膜厚を保持させる必要がある。
【0060】
なお、アルミニウムやクロムを含む材料をドライエッチング処理する場合は、上記の通り塩素系ガスを用いることが好ましいが、塩素系ガスに対する高耐性の材料は多くは存在しない。このため、レジスト材料層14bの塩素系ガスによるエッチングを防ぐために、第二領域12aとレジスト材料層14bとの間に、ハードマスク層として酸化シリコンなどの層を設けても良い。
【0061】
厳密に言えば、ハードマスク層としての酸化シリコン層は、光学的な影響を及ぼすため相応しくないが、ハードマスク層を10nm程度の非常に薄い層にすることによって、光学的な影響を最低限として設置することができる。なお、ハードマスク層を10nm程度の薄い層としてもドライエッチング処理においては十分な耐性を与えることができる。つまり、ハードマスク層の膜厚は、好ましくは5nmから15nm以下の範囲であり、より好ましくは5nmから12nm以下の範囲であり、さらに好ましくは5nmから10nm以下の範囲である。
【0062】
レジスト材料層14bが残存している場合には、その後、レジスト材料層14bを除去する。以上の工程により、基材1上に、一方が吸収性の金属材料であり他方が偏光性の金属材料である第一金属材料および第二金属材料を含む複数の金属ワイヤ10を備え、金属ワイヤ10中の第一金属材料の割合が、基材1側に向かって徐々に(連続的に)高くなっているワイヤグリッド偏光子が作製される(図1参照)。
【0063】
上述のようにして作製されたワイヤグリッド偏光子は、例えば、投射型液晶表示装置の偏光子として用いることができる。投射型液晶表示装置は、光源50と、その光源50からの光を偏光分離するワイヤグリッド偏光子54と、そのワイヤグリッド偏光子54により偏光された光を透過又は反射する液晶表示素子53と、その液晶表示素子53を透過又は反射した光をスクリーンに投射する投射光学系55とを含んで構成され、当該投射型液晶表示装置において、ワイヤグリッド偏光子54は、光源50からの光が、金属ワイヤの偏光性の金属材料の割合が高い側に入射するように配置される。すなわち、上述のワイヤグリッド偏光子は、投射型液晶表示装置において、光源50と液晶表示素子53との間に配置される(図5参照)。なお、光源50と液晶表示素子53との間には、ワイヤグリッド偏光子54の他に、ダイクロイックミラー51やミラー52などが配置される。
【0064】
本実施の形態に係るワイヤグリッド偏光子を用いた投射型液晶表示装置では、ワイヤグリッド偏光子の反射率R(TE)が低いため、光学装置内部での迷光の発生を抑制し、コントラスト比の低下を抑制することができる。また、本実施の形態に係るワイヤグリッド偏光子は、高温高湿環境における耐久性に優れるため、信頼性の高い投射型液晶表示装置が実現される。
【0065】
以上、本発明に係る光学素子の内、ワイヤグリッド偏光子について詳説した。なお、実施の形態に係るワイヤグリッド偏光子の金属ワイヤの形状は、略円錐形状、略角錐形状、略楕円錐形状、略円錐台形状、略角錐台形状、略楕円錐台形状等の突起形状に変更することが可能である。また、このような突起形状を有する突起物は、マスクの形状やエッチング条件を制御することによって作製することが可能である。このように、本発明は、ワイヤグリッド偏光子に限られず、例えば、モスアイ型の光学素子に適用することもできる。
【0066】
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【0067】
[実施例1]
1)アルミニウム膜、ゲルマニウム膜の成膜
TACフィルムを基材として用い、図4(a)〜図4(c)に示す移動式ステージに基材を固定し、50mm/minの速度で搬送を行なった。第一金属材料としてゲルマニウムを用い、また第二金属材料としてアルミニウムを用いて、基材上にスパッタリング成膜(芝浦メカトロニクス社製)した。TACフィルム側から、ゲルマニウム領域の厚さが約5nm、ゲルマニウムとアルミニウムの混合領域の厚さが約45nm、アルミニウム領域の厚さが約150nmになるように金属材料層を積層成膜した。スパッタリング成膜の条件は、成膜圧力0.5Pa、Arガス流量50sccmであり、成膜速度は印加電力によって100Wから200Wの間で制御した。
【0068】
2)レジスト材料の塗布
TACフィルム基材の裏面(金属材料層などが成膜されていない面)をガラス基板とを貼り合せ、スピンコート法により成膜面に光硬化性レジスト材料(PAK−01;東洋合成工業株式会社製)を厚さ100nmになるように2000rpmの回転速度で均一塗布した。その後、70度のオーブンで5分間乾燥させてレジスト材料層とした後、TACフィルム基材をガラス基板から剥離した。
【0069】
3)レジストマスク形成
ピッチ145nm、Duty0.3、パターン高さ180nmのライン&スペースパターンが描かれた樹脂モールド(パタン金型)を用意し、レジスト材料層にライン&スペースパターンが転写されるように、レジスト材料層と樹脂モールドとを重畳させて均一に加圧した(加圧力0.1MPa)。そして、この状態で、365nmの波長を含むUV光を、1000mJ/cmの光量で樹脂モールド側から照射し、レジスト材料層を光硬化させた後、樹脂モールドを剥離した。さらに、RIE装置(Reactive Ion Etching処理装置:アルバック社製)にて、酸素ガスによるプラズマでレジストパターンの凹部を選択的にエッチング除去し、レジスト材料層の凸部のみでなるレジストマスクを得た。そのときのエッチング処理条件は、酸素流量10sccm、圧力0.2Pa、印加電力50V、処理時間20秒であった。
【0070】
4)ドライエッチング処理
レジストマスク形成後、RIE装置にて、Clガスによるプラズマで複数の領域を含む金属材料層をTAC基材に対して垂直な方向へ異方的に同時にエッチング処理した。このときのドライエッチング処理条件は、処理圧力0.3Pa、印加電力100W、バイアス電力50W、アンテナ電力100Wであった。さらに、酸素ガスによるプラズマでアルミニウムからなる層の上部に残存したレジストマスクをエッチング処理によって除去し、ワイヤグリッド偏光子を得た。
【0071】
5)光学性能評価
上記の工程によって得られたワイヤグリッド偏光子の偏光度及び透過率を偏光光度計(日本分光社製)によって測定した結果、555nmにおける偏光度が99.83であり、透過率が41.0%であることが分かった。さらに、反射分光光度計(島津製作所社製)にて、金属ワイヤが形成されている面(表面)の反射率(光入射角度5度)を測定した結果、455nmから655nmにおける平均反射率が、42.8%であった。また、金属ワイヤが形成されていない面(裏面)の反射率を同様の方法で測定した結果、455nmから655nmにおける平均反射率が15.2%であった。
【0072】
6)形状観察
上記の工程によって得られたワイヤグリッド偏光子のパターン形状をAFM装置(キーエンス社製)によって観察した結果、ピッチ145nmで整列したワイヤ形状が確認され、倒れた部分は確認されなかった。
【0073】
[比較例1]
本発明と従来技術とを比較するため、混合領域のないワイヤグリッド偏光子を作製し、光学性能を比較検討した。
【0074】
実施例1と同様の方法で、混合領域がなく、且つ、ゲルマニウムが約50nm、又は、クロムが約50nmの厚さとなるように堆積された第一層と、アルミニウムが約150nmの厚さとなるように堆積された第二層との積層構造でなるワイヤグリッド偏光子を作製し、実施例1と同様の方法で偏光度及び透過率を測定し、金属ワイヤが形成されていない面(裏面)の反射率を測定した。
【0075】
以下に、実施例1と比較例1との比較表を示す。実施例1と比較例1では、偏光度と透過率は同程度であるが、反射率において、実施例1の抑制効果が高いことが分かる。
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明に係る光学素子は、偏光特性に優れ、また透過率の高い片面高反射性、且つ片面低反射性の光学素子である。具体的には、投射型液晶表示素子などの部材や光学分野において有用である。
【符号の説明】
【0077】
1 基材
10 金属ワイヤ
10a 金属材料層
11,11a 第一領域
12,12a 第二領域
13,13a 混合領域
14a,14b レジスト材料層
30 第一金属材料源
31 第二金属材料源
40 移動式ステージ
50 光源
51 ダイクロイックミラー
52 ミラー
53 液晶表示素子
54 ワイヤグリッド偏光子
55 投射光学系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材上の第一金属材料および第二金属材料を含む複数の金属突起物と、を備え、
前記第一金属材料及び前記第二金属材料は、一方が吸収性の金属材料であり、他方が偏光性の金属材料であり、
前記金属突起物中の前記第一金属材料の割合が、前記基材側に向かって連続的に高くなる領域が存在することを特徴とする光学素子。
【請求項2】
前記吸収性の金属材料は、クロム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、シリコン、ゲルマニウムのいずれか一を含有する材料であり、
前記偏光性の金属材料は、アルミニウムを含有する材料であることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
【請求項3】
前記金属突起物の前記基材表面に垂直な方向の高さは、300nm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学素子。
【請求項4】
隣接する前記複数の金属突起物の間隔が200nm以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一に記載の光学素子。
【請求項5】
前記金属突起物が金属ワイヤであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一に記載の光学素子。
【請求項6】
光源と、
前記光源からの光を偏光分離する請求項5に記載の光学素子と、
前記光学素子により偏光された光を透過又は反射する液晶表示素子と、
前記液晶表示素子を透過又は反射した光をスクリーンに投射する投射光学系と、
を具備し、
前記光源からの光が、前記金属ワイヤの前記偏光性の金属材料の割合が高い側に入射するように、前記光学素子が配置されたことを特徴とする投射型液晶表示装置。


【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図4(c)】
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【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−103469(P2012−103469A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251712(P2010−251712)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000000033)旭化成株式会社 (901)
【Fターム(参考)】