説明

光学素子の製造方法、及び、光学素子の製造装置

【課題】光学素子の製造方法及び製造装置において、光学素子材料を気体中で浮遊させて加熱し、加熱された光学素子材料を成形型へ供給する場合における成形条件の制約を低減する。
【解決手段】光学素子の製造方法は、光学素子材料200を気体中で浮遊させて加熱する加熱工程と、加熱された光学素子材料200を、第1の成形型(可動型21)と第2の成形型(固定型31)との中心同士を結ぶ中心軸Aと交差する方向(軌跡T)から、第1の成形型(可動型21)と第2の成形型(固定型31)との間の空間である型間空間Sに非接触状態で供給する供給工程と、型間空間Sに供給された光学素子材料200を第1の成形型(可動型21)及び第2の成形型(固定型31)により加圧する加圧工程と、加圧された光学素子材料200を冷却する冷却工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ、プリズム、ミラー等の光学素子を製造する光学素子の製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱軟化させた光学素子材料を加圧し、加圧した光学素子材料を冷却して硬化させることにより光学素子を製造する製造方法が知られている。
このような光学素子の製造方法において、光学素子材料を加熱ガスで浮遊させて加熱し、下型の上面に落下させて供給する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1の光学素子の製造方法における工程の順番は、浮遊加熱、下型上への加熱部からの落下(供給)、加熱部退避、上型下降である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−133758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の光学素子の製造方法では、下型と光学素子材料との接触から、上型と光学素子材料との接触まで或いは光学素子材料の変形開始までに時間差が生じる。
【0006】
よって、上記の時間差の間に光学素子材料の温度が低下しすぎないようにする必要があるなど、成形型の温度、即ち成形条件に制約が生じる。
例えば、成形型の温度が低すぎると、光学素子材料は所望の肉厚まで変形できない。よって、光学素子材料が変形可能な温度を保てる成形型の温度が必要となるが、このように成形型を高温にすると、光学素子材料の変形完了後に成形型及び光学素子材料の冷却が余分に必要となる。
【0007】
本発明の目的は、光学素子材料を気体中で浮遊させて加熱し、加熱された光学素子材料を成形型へ供給する場合における成形条件の制約を低減することができる光学素子の製造方法及び製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光学素子の製造方法は、光学素子材料を気体中で浮遊させて加熱する加熱工程と、加熱された上記光学素子材料を、第1の成形型と第2の成形型との中心同士を結ぶ中心軸と交差する方向から、上記第1の成形型と上記第2の成形型との間の空間である型間空間に非接触状態で供給する供給工程と、上記型間空間に供給された上記光学素子材料を上記第1の成形型及び上記第2の成形型により加圧する加圧工程と、加圧された上記光学素子材料を冷却する冷却工程と、を含む。
【0009】
また、上記光学素子の製造方法において、上記加圧工程は、上記第1の成形型を上記光学素子材料に接触させる第1の接触工程と、この第1の接触工程以降に上記第2の成形型を上記光学素子材料に接触させる第2の接触工程と、を含み、上記第1の接触工程及び上記第2の接触工程では、上記第1の成形型及び上記第2の成形型を、それらの光学有効径の範囲内で上記光学素子材料に接触させるようにしてもよい。
【0010】
また、上記光学素子の製造方法において、上記加圧工程では、上記第1の成形型及び上記第2の成形型が上記光学有効径の全体で、変形後の上記光学素子材料に接触するように、少なくとも、上記第1の接触工程直前の上記光学素子材料の速度に基づき、上記第1の接触工程及び上記第2の接触工程の両方が終了したときから上記光学素子材料の変形が開始するまでの時間および変形速度を決定するようにしてもよい。
【0011】
また、上記光学素子の製造方法において、上記供給工程では、上記光学素子材料を下方から上記型間空間に供給し、上記第1の接触工程では、頂点位置又は上昇途中の上記光学素子材料に上記第1の成形型を接触させるようにしてもよい。
【0012】
また、上記光学素子の製造方法において、上記供給工程では、上記光学素子材料を鉛直上方又は鉛直下方から上記型間空間に供給するようにしてもよい。
また、上記光学素子の製造方法において、上記中心軸は、鉛直方向に直交するようにしてもよい。
【0013】
また、上記光学素子の製造方法において、上記加熱工程では、加熱部の内部で上記光学素子材料を加熱し、上記供給工程では、上記光学素子材料を、上記加熱部の内部に位置するまま上記型間空間に供給した後、この光学素子材料を上記加熱部から放出するようにしてもよい。
【0014】
また、上記光学素子の製造方法において、上記供給工程では、上記加熱部を、上記中心軸まで到達しないように上記型間空間に進入させるようにしてもよい。
また、上記光学素子の製造方法において、上記加熱工程では、加熱部の内部で上記光学素子材料を加熱し、上記供給工程では、上記光学素子材料を、上記型間空間の外側に位置する上記加熱部から放出して上記型間空間に供給するようにしてもよい。
【0015】
また、上記光学素子の製造方法において、上記供給工程では、上記加熱部の移動を停止又は減速させ、上記光学素子材料を慣性により上記加熱部から放出するようにしてもよい。
【0016】
また、上記光学素子の製造方法において、上記第2の成形型の周囲には、上記加圧工程における上記光学素子材料の外径を規制する外径規制リングが設けられているようにしてもよい。
【0017】
本発明の光学素子の製造装置は、光学素子材料を気体中で浮遊させて加熱する加熱部と、上記光学素子材料を加圧する第1の成形型及び第2の成形型と、上記光学素子材料を、上記第1の成形型と上記第2の成形型との中心同士を結ぶ中心軸と交差する方向から、上記第1の成形型と上記第2の成形型との間の空間である型間空間に非接触状態で供給する供給部と、を備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、光学素子材料を気体中で浮遊させて加熱し、加熱された光学素子材料を成形型へ供給する場合における成形条件の制約を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光学素子の製造装置を示す正面図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る光学素子の製造装置を示す正面図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る光学素子の製造装置を示す正面図である。
【図4】本発明の第3実施形態における光学素子材料の供給工程及び加圧工程を説明するための説明図(その1)である。
【図5】本発明の第3実施形態における光学素子材料の供給工程及び加圧工程を説明するための説明図(その2)である。
【図6】本発明の第3実施形態における光学素子材料の供給工程及び加圧工程を説明するための説明図(その3)である。
【図7】本発明の第3実施形態における光学素子材料の供給工程及び加圧工程を説明するための説明図(その4)である。
【図8A】本発明の第4実施形態に係る光学素子の製造装置を示す正面図(その1)である。
【図8B】本発明の第4実施形態に係る光学素子の製造装置を示す正面図(その2)である。
【図8C】本発明の第4実施形態に係る光学素子の製造装置を示す正面図(その3)である。
【図9】本発明の第4実施形態における光学素子材料の供給工程及び加圧工程を説明するための説明図(その1)である。
【図10】本発明の第4実施形態における光学素子材料の供給工程及び加圧工程を説明するための説明図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態に係る光学素子の製造方法及び製造装置について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る光学素子の製造装置1を示す正面図である。
図1に示すように、光学素子の製造装置1は、加熱部10と、第1の成形型の一例である可動型21を有する可動型ユニット20と、第2の成形型の一例である固定型31を有する固定型ユニット30と、加熱部移動機構40と、ベース部50と、加圧部の一例であるシリンダ60と、を備える。なお、加熱部10は、光学素子材料200を加熱部10から露出させることにより、後述する型間空間Sに非接触状態で供給する供給部としても機能する。光学素子材料200が非接触な状態とは、光学素子材料200の周囲のあらゆる固体部材が、光学素子材料200に対して接触していない状態をいう。
【0022】
加熱部10は、略円筒形状を呈する本体11と、この本体11に気体を供給する気体供給管12とを有し、本体11の内部において光学素子材料200を気体中で浮遊させて加熱する。
【0023】
本体11は、例えば内径7mmの石英ガラスからなり、斜め上方に先端部分が開口するように、鉛直方向に対して例えば45°傾いて配置されている。本体11は、光学素子材料200の加熱温度に対する耐熱性を有するものであれば、他の材料からなるようにしてもよい。
【0024】
なお、光学素子材料200は、本実施形態では、例えば直径6mmの球状のガラス材料であるが、プラスチック等のその他の材料を用いてもよく、また、その他の形状としてもよい。
【0025】
気体供給管12は、図示しない気体供給部から供給される気体を本体11に供給する。本体11に供給された気体は、例えば図示しない電気コイルによって加熱される。
光学素子材料200への気体の吹きつけ量は、光学素子材料200や本体11の大きさなどによって適宜決定されればよく、本実施形態では10L/minである。なお、加熱部10の構造は、光学素子材料200を気体中で浮遊させて加熱しうるものであれば、本実施形態のものに限定されない。
【0026】
可動型ユニット20及び固定型ユニット30は、可動型21又は固定型31と、加熱ブロック22,32と、断熱ブロック23,33と、ベースブロック24,34と、を有する。
【0027】
可動型21及び固定型31は、略円柱形状を呈し、対向して配置されて光学素子材料200を加圧する。可動型21及び固定型31には、例えば凸型の成形面21a,31aが中央に形成されている。また、可動型21及び固定型31には、加熱ブロック22,32側である固定端にフランジ部21b,31bが形成されている。
【0028】
可動型21は、鉛直下向きに配置され、固定型31は、鉛直上向きに配置されている。そのため、可動型21と固定型31との中心同士を結ぶ中心軸Aは、鉛直方向に延びる。なお、中心軸Aは、可動型21及び固定型31の加圧方向に一致する。
【0029】
加熱ブロック22,32には、例えば3本の円柱形状のヒータ22a,32aが挿入されている。
断熱ブロック23,33は、加熱ブロック22,32の熱を断熱する。
【0030】
可動型ユニット20のベースブロック24は、可動型ユニット20のうち可動型21とは反対側の端部に設けられ、固定型ユニット30のベースブロック34は、固定型ユニット30のうち固定型31とは反対側の端部に設けられている。
【0031】
加熱部移動機構40は、ガイドプレート41と、スライダ42とを有する。
ガイドプレート41には、例えば加熱部10の本体11と同じ傾き角度を有する図示しないガイドレールが設けられている。
【0032】
スライダ42は、保持部42a,42bにおいて加熱部10を保持する。また、スライダ42は、加熱部10と一体にガイドプレート41に対し移動する。
ベース部50は、台座51と、加熱部固定部52と、型固定部53と、を有する。
【0033】
台座51には、加熱部固定部52と型固定部53とが互いに間隔をおいて設置されている。
加熱部固定部52には、加熱部移動機構40のガイドプレート41が固定されている。
【0034】
型固定部53は、可動型ユニット20を上下動させるシリンダ60が固定されるシリンダ固定部53aと、固定型ユニット30のベースブロック34が固定される固定型固定部53bとを有する。
【0035】
以下に光学素子材料200から光学素子を製造する流れについて説明するが、上述の説明と重複する点については適宜説明を省略する。
まず、図示しない搬送装置は、光学素子材料200を、加熱部10の本体11内に斜め上方から挿入する。
【0036】
加熱部10では、気体供給管12を介して本体11内に供給される気体が加熱され、加熱された気体が光学素子材料200に吹きつけられる。このように、加熱部10は、本体11の内部において、光学素子材料200を気体中で浮遊させて加熱する(加熱工程)。なお、「加熱」とは、室温状態に対して熱を加えていることをいう。従って、例えば、加熱部10内よりも低い温度状態(例えば室温状態)の光学素子材料200を加熱部10内に挿入して、加熱工程において加熱部10内で光学素子材料200の温度を室温よりも高い温度まで上昇させることができる。また、例えば、加熱部10内よりも高い温度状態の光学素子材料200を加熱部10内に挿入して、加熱工程において加熱部10内で光学素子材料200の温度を室温よりも高い温度まで低下させることもできる。また、例えば、加熱部10内と等温状態の光学素子材料200を加熱部10内に挿入して、加熱工程において加熱部10内で光学素子材料200の温度を室温よりも高い温度で保つこともできる。
【0037】
加熱された光学素子材料200は、可動型21と固定型31との中心軸Aと交差する方向として、本実施形態では斜め下方の加熱部10から投げ上げられて放出され、可動型21と固定型31との間の空間である型間空間Sに非接触状態で供給される(供給工程)。
【0038】
この供給工程では、光学素子材料200は、例えば、気体供給管12から供給される気体の吹き付け量(流量)を供給工程より増やすことにより、加熱部10から放出されて型間空間Sに供給される。或いは、光学素子材料200は、例えば、加熱部移動機構40のスライダ42の移動を停止又は減速させ、慣性により加熱部10から放出されて型間空間Sに供給される。
【0039】
なお、光学素子材料200を加熱部10の内部で加熱しない場合、即ち、本体11から外部に露出した状態の光学素子材料200を加熱工程で加熱する場合は、気体を吹きつけることにより光学素子材料200を型間空間Sに供給するとよい。
【0040】
型間空間Sに供給された光学素子材料200は、シリンダ60が可動型ユニット20を下降させることで、可動型21及び固定型31により加圧される(加圧工程)。これにより、光学素子材料200は、凸型の成形面21a,31aから両凹形状を転写される。
【0041】
加圧工程は、可動型21(第1の成形型)を光学素子材料200に接触させる第1の接触工程と、この第1の接触工程以降に固定型31(第2の成形型)を光学素子材料200に接触させる第2の接触工程とを含む。なお、「以降」には、同時も含まれている。
【0042】
第1の接触工程では、光学素子材料200は、加熱部10から斜め上方へ放出されその後斜め下方へ落下する軌跡Tの頂点において、可動型21に接触する。
【0043】
詳しくは第3実施形態において後述するが、第1の接触工程及び第2の接触工程では、可動型21及び固定型31が、その光学有効径の範囲内で光学素子材料200に接触するとよい。また、第1の接触工程と第2の接触工程とは、同時(例えば0.5秒以内)或いは略同時(例えば2秒以内)に行われることが望ましい。なお、光学有効径は、成形面21a,31aの内側に位置し、光学的特性を発揮する部分(光学機能面)であり、例えば、凸型の成形面21a,31aの凸部分の全体又は一部である。
【0044】
加圧工程において加圧された光学素子材料200は、ヒータ22a,32aの温度を降下させることにより、或いはヒータ22a,32aを停止させること(自然冷却)により、例えばガラス転移点以下になるまで加圧保持された状態のまま冷却される(冷却工程)。なお、冷却工程は、加圧工程の際のヒータ22a,32aの設定温度がガラス転移点以下(例えば490℃)の場合には、当該設定温度を変えないまま行われても良い。このことは、以下の実施形態でも同様である。冷却工程の後、光学素子材料200(製造された光学素子)は、図示しない搬出機構により光学素子の製造装置1から搬出される。以上のようにして、光学素子が製造される。
【0045】
以上説明した第1実施形態では、光学素子の製造方法は、光学素子材料200を気体中で浮遊させて加熱する加熱工程を含む。また、光学素子の製造方法は、加熱された光学素子材料200を、可動型21(第1の成形型)と固定型31(第2の成形型)との中心同士を結ぶ中心軸Aと交差する方向から、型間空間Sに非接触状態で供給する供給工程を含む。
【0046】
そのため、加熱部10が可動型21及び固定型31に干渉しないように光学素子材料200を型間空間Sに供給することができる。これにより、加熱部10との干渉を低減するために可動型21と固定型31との間隔を広くとって可動型21及び固定型31の移動量が増えてしまうのを防ぐことができる。したがって、可動型21及び固定型31が光学素子材料200に接触する時間差を限りなくゼロ(同時)に近づけることが可能になる。そのため、上記の時間差の間に光学素子材料200の温度が低下するのを抑えて、可動型21や固定型31の温度を必要以上に高温にするなどの成形条件の制約が生じない。
【0047】
よって、本実施形態によれば、光学素子材料200を気体中で浮遊させて加熱し、加熱された光学素子材料200を型間空間Sへ供給する場合における成形条件の制約を低減することができる。
【0048】
また、本実施形態の供給工程では、光学素子材料200は、型間空間Sの外側に位置する加熱部10から放出されて型間空間Sに供給される。そのため、可動型21及び固定型31に干渉しない位置の加熱部10から光学素子材料200を供給することができ、光学素子材料200に対する可動型21と固定型31との接触の時間差をより短くすることができる。
【0049】
また、本実施形態の供給工程において、加熱部10が移動中に停止又は減速し、光学素子材料200が慣性により加熱部10から放出される場合、可動型21と固定型31との中心軸Aとは離れた位置から光学素子材料200を簡単に供給することができる。したがって、光学素子材料200に対する可動型21と固定型31との接触の時間差をより短くすることができる。
【0050】
なお、気体供給管12から供給される気体の吹き付け量(流量)を供給工程より増やすことにより加熱部10から放出される場合においても、可動型21と固定型31との中心軸Aとは離れた位置から光学素子材料200を供給することは可能である。
【0051】
なお、本実施形態では、第1の成形型の一例として可動型21が配置され、第2の成形型の一例として固定型31が配置されているが、両方が可動型であってもよい。
【0052】
<第2実施形態>
図2は、本発明の第2実施形態に係る光学素子の製造装置2を示す正面図である。
本実施形態では、第1実施形態と相違する事項を中心に説明し、共通する事項については説明を適宜省略する。
【0053】
図2に示すように、光学素子の製造装置2は、第1実施形態と同様に、可動型ユニット20と、固定型ユニット30と、シリンダ60とを備える。また、光学素子の製造装置2は、第1実施形態とは異なる加熱部80及び供給部90を備える。なお、本実施形態の加熱部80も、光学素子材料200を加熱部10から露出させることにより、型間空間Sに非接触で光学素子材料200を供給する供給部として機能する。
【0054】
可動型21は、斜め下向きに配置され、固定型31は、斜め上向きに配置されている。そのため、可動型21と固定型31との中心同士を結ぶ中心軸Aは、鉛直方向に交差する。可動型21及び固定型31の鉛直方向に対する傾き角度は例えば45°である。
【0055】
加熱部80は、略円筒形状を呈する本体81と、この本体81に気体を供給する気体供給管82と、シャッタ83と、シャッタ駆動部84と、を有し、本体11の内部において光学素子材料200を気体中で浮遊させて加熱する。なお、本実施形態では、図1に示す加熱部移動機構40は配置されていない。
【0056】
本体81は、両端が鉛直上方及び鉛直下方に開口するように配置されている。
シャッタ83は、本体81の下部に設けられ、例えばシリンダであるシャッタ駆動部84によって、本体81の下端を塞ぐ位置(図2参照)と、光学素子材料200の供給工程において本体81の下端を開放する位置とに移動する。
【0057】
ベース部90は、台座91と、可動型側固定部92と、固定型側固定部93と、を有する。
台座91には、可動型側固定部92と固定型側固定部93とが互いに間隔をおいて設置されている。
【0058】
可動型側固定部92は、可動型ユニット20を移動させるシリンダ60が固定されるシリンダ固定部92aを有する。
固定型側固定部93は、固定型ユニット30のベースブロック34が固定される固定型固定部93aを有する。
【0059】
次に、光学素子材料200から光学素子を製造する流れについて説明する。
加熱部80では、気体供給管82を介して本体81内に供給される気体が加熱され、加熱された気体が光学素子材料200に吹きつけられる。このように、加熱部80は、本体81の内部において、光学素子材料200を気体中で浮遊させて加熱する(加熱工程)。
【0060】
加熱された光学素子材料200は、シャッタ駆動部84がシャッタ83を移動させて本体81の下端が開放すること、及び気体の吹きつけが停止することによって、可動型21と固定型31との中心軸Aと交差する鉛直下方(軌跡T)に落下し、型間空間Sに非接触状態で供給される(供給工程)。
【0061】
型間空間Sに供給された光学素子材料200は、シリンダ60が可動型ユニット20を斜め下方に移動させることで、可動型21及び固定型31により加圧される(加圧工程)。
加圧工程は、固定型31(第1の成形型)を光学素子材料200に接触させる第1の接触工程と、この第1の接触工程以降に可動型21(第2の成形型)を光学素子材料200に接触させる第2の接触工程とを含む。
【0062】
加圧工程において加圧された光学素子材料200は、ヒータ22a,32aの温度を降下させることにより、或いは自然冷却により、例えばガラス転移点以下になるまで加圧保持された状態のまま冷却される(冷却工程)。冷却工程の後、光学素子材料200(製造された光学素子)は、図示しない搬出機構により光学素子の製造装置1から搬出される。以上のようにして、光学素子が製造される。
【0063】
以上説明した第2実施形態においても、光学素子の製造方法は、光学素子材料200を気体中で浮遊させて加熱する加熱工程を含む。また、光学素子の製造方法は、加熱された光学素子材料200を、固定型31(第1の成形型)と可動型21(第2の成形型)との中心同士を結ぶ中心軸Aと交差する方向から、型間空間Sに非接触状態で供給する供給工程を含む。
【0064】
そのため、本実施形態によっても、第1実施形態と同様に、光学素子材料200を気体中で浮遊させて加熱し、加熱された光学素子材料200を型間空間Sへ供給する場合における成形条件の制約を低減することができる。
【0065】
また、本実施形態の供給工程では、光学素子材料200は、鉛直上方から型間空間Sに供給される。そのため、光学素子材料200が水平方向へ移動せず、光学素子材料200を型間空間Sに簡単に供給することができる。
【0066】
<第3実施形態>
図3は、本発明の第3実施形態に係る光学素子の製造装置3を示す正面図である。
本実施形態では、第1実施形態及び第2実施形態と相違する事項を中心に説明し、共通する事項については説明を適宜省略する。
【0067】
図3に示すように、光学素子の製造装置3は、第1実施形態と同様に、可動型ユニット20と、固定型ユニット30と、シリンダ60とを備える。また、光学素子の製造装置2は、第2実施形態と同様に加熱部80を備える。また、光学素子の製造装置2は、第1実施形態及び第2実施形態とは異なる型固定部101を備える。
【0068】
可動型21及び固定型31は、水平方向に対向するように配置されている。そのため、可動型21と固定型31との中心同士を結ぶ中心軸Aは、鉛直方向に直交する。
型固定部101は、可動型ユニット20を水平移動させるシリンダ60が固定されるシリンダ固定部101aと、固定型ユニット30のベースブロック34が固定される固定型固定部101bとを有する。
【0069】
次に、光学素子材料200から光学素子を製造する流れについて説明する。
加熱部80では、気体供給管82を介して本体81内に供給される気体が加熱され、加熱された気体が光学素子材料200に吹きつけられる。このように、加熱部80は、本体81の内部において、光学素子材料200を気体中で浮遊させて加熱する(加熱工程)。
【0070】
加熱された光学素子材料200は、シャッタ駆動部84がシャッタ83を移動させて本体81の下端が開放することによって、可動型21と固定型31との中心軸Aと交差する鉛直下方(軌跡T)に落下し、型間空間Sに非接触状態で供給される(供給工程)。
【0071】
型間空間Sに供給された光学素子材料200は、シリンダ60が可動型ユニット20を水平方向に移動させることで、可動型21及び固定型31により加圧される(加圧工程)。
加圧工程は、可動型21(第1の成形型)を光学素子材料200に接触させる第1の接触工程と、この第1の接触工程以降に固定型31(第2の成形型)を光学素子材料200に接触させる第2の接触工程とを含む。
【0072】
加圧工程において加圧された光学素子材料200は、ヒータ22a,32aの温度を降下させることにより、或いは自然冷却により、例えばガラス転移点以下になるまで加圧保持された状態のまま冷却される(冷却工程)。冷却工程の後、光学素子材料200(製造された光学素子)は、図示しない搬出機構により光学素子の製造装置1から搬出される。以上のようにして、光学素子が製造される。
【0073】
ここで、供給工程及び加圧工程について、より詳細に説明する。
図4(a)に示すように加熱部80内において落下を開始する光学素子材料200(時間t0)は、図4(b)に示すように、第1の接触工程において可動型21に接触する(光学素子材料200(時間t1))。
【0074】
また、図4(c)に示すように、光学素子材料200(時間t2)は、第2の接触工程において固定型31に接触する。そして、図4(d)に示すように、加圧工程において光学素子材料200(時間t3)の変形が開始する。
【0075】
図5に示すように、光学素子材料200(時間t0)が落下を開始した後、第1の接触工程において可動型21に接触するまでの高さh1及び時間t1は、「h1=0.5×g(重力加速度)×t1」の関係を満たす。
【0076】
同様に、光学素子材料200(t0)が落下を開始した後、第2の接触工程において固定型31に接触するまでの高さh2及び時間t2は、「h2=0.5×g(重力加速度)×t2」の関係を満たす。
【0077】
また、光学素子材料200が可動型21の成形面21aの中心に接触した場合、光学素子材料200が固定型31の成形面31aの図4(d)に示す光学有効径dの範囲内に接触するためには、高さh2と高さh1との差であるΔhは、「Δh<0.5×d」を満足する必要があり、時間t2と時間t1との時間差もこれを考慮して設定されることが望ましい。
【0078】
なお、上述の関係は、空気抵抗、初速、第1の接触工程による落下軌跡の変化等も考慮して計算したり、第1実施形態のような放物線状の軌跡Tによる供給等を考慮して計算したりすることが望ましい。また、上述の関係は、光学素子材料200の移動を実測することで得るようにしてもよい。
【0079】
図4(d)に示すように、可動型21及び固定型31の両方が光学有効径dの全体で変形後の光学素子材料200に接触するためには、第1の接触工程及び第2の接触工程の両方が終了したときから光学素子材料200の変形が開始するまでの時間も一定時間以内であることが求められる。このことについては、図6を参照しながら説明する。
【0080】
図6に示す第1の成形型及び第2の成形型は、両方とも可動型21であり、これらが同時に光学素子材料200に接触する場合を例に説明する。
図6(a)及び(b)に示すように、光学素子材料200(時間t10)は、同時に2つの可動型21に接触し(時間t11)、図6(c−1)に示すように、その後も2つの可動型21を相対的に接近させることにより、変形後の光学素子材料200(時間t12)に対しても、図4(d)に示すのと同様に、可動型21及び固定型31の両方が光学有効径dの全体で接触する。この場合も、「Δh<0.5×d」の関係を満たす。
【0081】
一方、図6(c−2)に示すように、2つの可動型21を光学素子材料200(時間t11)との接触後に停止させる場合、光学素子材料200の落下速度及び粘度によって光学素子材料200がだれる。或いは、光学素子材料200と2つの可動型21との摩擦が小さいと、光学素子材料200がすべって位置ずれが生じる。このように、光学素子材料200がだれたり、位置ずれしたりする場合、可動型21との接触位置がずれたのと同じく、光学素子の外径フレが大きくなり、光学有効径dの全体で光学素子材料200に形状を転写できなくなる。そのため、光学素子が不良品となる。以上のことは、第1の成形型が可動型21で、第2の成形型が固定型31である場合も同様である。
【0082】
したがって、少なくとも、第1の接触工程直前の光学素子材料200の速度(更には、例えば、光学素子材料200の粘度、第1及び第2の成形型との摩擦等)に基づき、第1の接触工程及び第2の接触工程の両方が終了したときから光学素子材料200の変形が開始するまでの時間、および可動型21の移動速度(光学素子材料200の変形速度。すなわち、加圧工程における可動型21及び固定型31の相対的な移動量が一定であれば、光学素子材料200の変形完了までの時間。)等を決定するとよい。
【0083】
この時間の決定についても、空気抵抗等も考慮して計算したり、第1実施形態のような放物線状の軌跡Tによる供給等を考慮して計算したりすることが望ましい。また、時間の決定についても、光学素子材料200のだれやすべりを実測することで得るようにしてもよい。
【0084】
なお、光学素子の外径フレを抑えるためには、図7に示す可動型111(第1の成形型)及び固定型121(第2の成形型)のうち、固定型121の周囲に、加圧工程における光学素子材料200の外径を規制する外径規制リング122を設けてもよい。外径規制リング122は、光学素子材料200の加圧工程における流動を規制することができる。
【0085】
図7に示すように、可動型111及び固定型121の成形面111a,121aは、小径部111b,121bに形成されている。可動型111及び固定型121は、小径部111b,121b、中径部111c,121c、及び大径部111d,121dが順に形成されている。
【0086】
外径規制リング122は、固定型121の小径部121bの周囲に配置され、円筒形状を呈する。外径規制リング121の先端側の一部分122aの内径は、先端に近づくほど徐々に大きくなっている。
【0087】
光学素子材料200(時間t20)は、図7(a)及び(b)に示すように可動型111に接触した後(時間t21)、図7(c)に示すように固定型121に接触し(時間t22)、図7(d)に示すように可動型111及び固定型121で加圧される(時間t23)。
【0088】
このとき、光学素子材料200は、外径規制部材122によって、図7における下方向への流動が制約され、上方向の流動が促進される。よって、位置ズレ量がそのまま外径フレ量とはならない。
【0089】
以上説明した第3実施形態においても、光学素子の製造方法は、光学素子材料200を気体中で浮遊させて加熱する加熱工程を含む。また、光学素子の製造方法は、加熱された光学素子材料200を、可動型21(第1の成形型)と固定型31(第2の成形型)との中心同士を結ぶ中心軸Aと交差する方向から、型間空間Sに非接触状態で供給する供給工程を含む。
【0090】
そのため、本実施形態によっても、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、光学素子材料200を気体中で浮遊させて加熱し、加熱された光学素子材料200を型間空間Sへ供給する場合における成形条件の制約を低減することができる。
【0091】
また、本実施形態の第1の接触工程及び前記第2の接触工程では、可動型21及び固定型31が、その光学有効径dの範囲内で光学素子材料200に接触する。そのため、光学素子の外径フレを抑え、光学素子を高精度に製造することができる。
【0092】
また、本実施形態の加圧工程では、可動型21及び固定型31が光学有効径dの全体で変形後の光学素子材料200に接触するように、少なくとも、第1の接触工程直前の光学素子材料200の速度に基づき、第1の接触工程及び第2の接触工程の両方が終了したときから光学素子材料200の変形が開始するまでの時間、および可動型21の移動速度(光学素子材料200の変形速度。すなわち、加圧工程における第1及び第2の成形型の相対的な移動量が一定であれば、光学素子材料200の変形完了までの時間。)が決定される。そのため、光学素子の外径フレを抑え、光学素子を高精度に製造することができる。
【0093】
また、本実施形態では、第2の成形型(図7に示す固定型121)の周囲には、光学素子材料200の流動を規制する外径規制リング122が設けられている。そのため、光学素子の外径フレを抑え、光学素子を高精度に製造することができる。
【0094】
また、本実施形態では、可動型21と固定型31との中心軸Aは、鉛直方向に直交する。そのため、光学素子材料200を鉛直上方(又は鉛直下方)から、型間空間Sに供給する際の可動型21及び固定型31と光学素子材料200との干渉を防ぐことができる。
【0095】
<第4実施形態>
図8A〜図8Cは、本発明の第4実施形態に係る光学素子の製造装置4を示す正面図である。
本実施形態では、第1実施形態〜第3実施形態と相違する事項を中心に説明し、共通する事項については説明を適宜省略する。
【0096】
図8Aに示すように、光学素子の製造装置4は、第3実施形態と同様に配置された、可動型ユニット20、固定型ユニット30、シリンダ60、及び型固定部101を備える。また、光学素子の製造装置4は、第1実施形態と同様に、加熱部10と、加熱部移動機構40とを備える。
【0097】
加熱部10の本体11は、鉛直上方に先端部分が開口するように配置されている。
加熱部移動機構40は、鉛直上方及び鉛直下方に加熱部10を移動可能に設けられている。
【0098】
次に、光学素子材料200から光学素子を製造する流れについて説明する。
加熱部10では、気体供給管12を介して本体11内に供給される気体が加熱され、加熱された気体が光学素子材料200に吹きつけられる。このように、加熱部10は、本体11の内部において、光学素子材料200を気体中で浮遊させて加熱する(加熱工程)。
【0099】
加熱された光学素子材料200は、可動型21と固定型31との中心軸A(水平方向)と交差する方向として、本実施形態では鉛直下方から型間空間Sに非接触状態で供給される(供給工程)。
【0100】
本実施形態の供給工程では、光学素子材料200は、図8Bに示すように加熱部10の内部に位置するまま型間空間Sに供給され、その後に加熱部10から放出される。但し、加熱部10は、可動型21及び固定型31との干渉を回避するため、可動型21と固定型31との中心軸Aまで到達しないように型間空間Sに進入するとよい。
【0101】
また、供給工程では、加熱部10は、鉛直上方への移動中に停止又は減速し、光学素子材料200を慣性により放出するか、或いは、気体の吹き付け量(流量)を供給工程より増やすことにより放出するとよい。その後、図8Cに示すように、加熱部10は、可動型21及び固定型31との干渉を回避するため、鉛直下方に急降下するとよい。
【0102】
型間空間Sに供給された光学素子材料200は、シリンダ60が可動型ユニット20を水平方向に移動させることで、可動型21及び固定型31により加圧される(加圧工程)。
加圧工程は、可動型21(第1の成形型)を光学素子材料200に接触させる第1の接触工程と、この第1の接触工程以降に固定型31(第2の成形型)を光学素子材料200に接触させる第2の接触工程とを含む。
【0103】
加圧工程において加圧された光学素子材料200は、ヒータ22a,32aの温度を降下させることにより、或いは自然冷却により、例えばガラス転移点以下になるまで加圧保持された状態のまま冷却される(冷却工程)。冷却工程の後、光学素子材料200(製造された光学素子)は、図示しない搬出機構により光学素子の製造装置1から搬出される。以上のようにして、光学素子が製造される。
【0104】
ここで、供給工程及び加圧工程について、より詳細に説明する。
図9(a)に示すように加熱部10内において鉛直上方への移動を開始する光学素子材料200(時間t30)は、図9(b)に示すように、第1の接触工程において可動型21に接触する(光学素子材料200(時間t31))。このとき、可動型21は、頂点位置の光学素子材料200に接触する。
【0105】
そのため、図9(c)に示すように光学素子材料200(時間t32)が第2の接触工程において固定型31に接触するとき、図10に示すように、第1の接触工程の光学素子材料200(時間t31)からの落下量が少なく、位置ずれが生じにくい。
【0106】
なお、第1の接触工程において可動型21が上昇途中の光学素子材料200に接触した場合は、光学素子材料200に上向きのエネルギーが残っているため、可動型21と接触した後も落下しない。そのため、落下が開始するまでに光学素子材料200と固定型31とが接触することで、位置ずれが生じにくくなる。
【0107】
以上説明した第4実施形態においても、光学素子の製造方法は、光学素子材料200を気体中で浮遊させて加熱する加熱工程を含む。また、光学素子の製造方法は、加熱された光学素子材料200を、可動型21(第1の成形型)と固定型31(第2の成形型)との中心同士を結ぶ中心軸Aと交差する方向から、型間空間Sに非接触状態で供給する供給工程を含む。
【0108】
そのため、本実施形態によっても、第1実施形態〜第3実施形態と同様に、光学素子材料200を気体中で浮遊させて加熱し、加熱された光学素子材料200を型間空間Sへ供給する場合における成形条件の制約を低減することができる。
【0109】
また、本実施形態の供給工程では、光学素子材料200は、加熱部10の内部に位置するまま型間空間Sに供給され、その後に加熱部10から放出される。そのため、光学素子材料200を所定の位置に確実に供給しやすくなり、光学素子材料200の位置ずれを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0110】
1,2,3,4 光学素子の製造装置
10 加熱部
11 本体
12 気体供給管
20 可動型ユニット
21 可動型
21a 成形面
21b フランジ部
22 加熱ブロック
22a ヒータ
23 断熱ブロック
24 ベースブロック
30 固定型ユニット
31 固定型
31a 成形面
31b フランジ部
32 加熱ブロック
32a ヒータ
33 断熱ブロック
34 ベースブロック
40 加熱部移動機構
41 ガイドプレート
42 スライダ
42a,42b 保持部
50 ベース部
51 台座
52 加熱部固定部
53 型固定部
53a シリンダ固定部
53b 固定型固定部
60 シリンダ
80 加熱部
81 本体
82 気体供給管
83 シャッタ
84 シャッタ駆動部
90 ベース部
91 台座
92 可動型側固定部
92a シリンダ固定部
93 固定型側固定部
93a 固定型固定部
101 型固定部
101a シリンダ固定部
101b 固定型固定部
111 可動型
111a 成形面
111b 小径部
111c 中径部
111d 大径部
121 固定型
121a 成形面
121b 小径部
121c 中径部
121d 大径部
122 外径規制リング
122a 先端部分
200 光学素子材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子材料を気体中で浮遊させて加熱する加熱工程と、
加熱された前記光学素子材料を、第1の成形型と第2の成形型との中心同士を結ぶ中心軸と交差する方向から、前記第1の成形型と前記第2の成形型との間の空間である型間空間に非接触状態で供給する供給工程と、
前記型間空間に供給された前記光学素子材料を前記第1の成形型及び前記第2の成形型により加圧する加圧工程と、
加圧された前記光学素子材料を冷却する冷却工程と、を含む、光学素子の製造方法。
【請求項2】
前記加圧工程は、前記第1の成形型を前記光学素子材料に接触させる第1の接触工程と、該第1の接触工程以降に前記第2の成形型を前記光学素子材料に接触させる第2の接触工程と、を含み、
前記第1の接触工程及び前記第2の接触工程では、前記第1の成形型及び前記第2の成形型を、それらの光学有効径の範囲内で前記光学素子材料に接触させる、請求項1記載の光学素子の製造方法。
【請求項3】
前記加圧工程では、前記第1の成形型及び前記第2の成形型が前記光学有効径の全体で、変形後の前記光学素子材料に接触するように、少なくとも、前記第1の接触工程直前の前記光学素子材料の速度に基づき、前記第1の接触工程及び前記第2の接触工程の両方が終了したときから前記光学素子材料の変形が開始するまでの時間および変形速度を決定する、請求項2記載の光学素子の製造方法。
【請求項4】
前記供給工程では、前記光学素子材料を下方から前記型間空間に供給し、
前記第1の接触工程では、頂点位置又は上昇途中の前記光学素子材料に前記第1の成形型を接触させる、請求項2又は請求項3記載の光学素子の製造方法。
【請求項5】
前記供給工程では、前記光学素子材料を鉛直上方又は鉛直下方から前記型間空間に供給する、請求項1から請求項3のいずれか1項記載の光学素子の製造方法。
【請求項6】
前記中心軸は、鉛直方向に直交する、請求項5記載の光学素子の製造方法。
【請求項7】
前記加熱工程では、加熱部の内部で前記光学素子材料を加熱し、
前記供給工程では、前記光学素子材料を、前記加熱部の内部に位置するまま前記型間空間に供給した後、該光学素子材料を前記加熱部から放出する、請求項1から請求項6のいずれか1項記載の光学素子の製造方法。
【請求項8】
前記供給工程では、前記加熱部を、前記中心軸まで到達しないように前記型間空間に進入させる、請求項7記載の光学素子の製造方法。
【請求項9】
前記加熱工程では、加熱部の内部で前記光学素子材料を加熱し、
前記供給工程では、前記光学素子材料を、前記型間空間の外側に位置する前記加熱部から放出して前記型間空間に供給する、請求項1から請求項6のいずれか1項記載の光学素子の製造方法。
【請求項10】
前記供給工程では、前記加熱部の移動を停止又は減速させ、前記光学素子材料を慣性により前記加熱部から放出する、請求項7から請求項9のいずれか1項記載の光学素子の製造方法。
【請求項11】
前記第2の成形型の周囲には、前記加圧工程における前記光学素子材料の外径を規制する外径規制リングが設けられている、請求項1から請求項10のいずれか1項記載の光学素子の製造方法。
【請求項12】
光学素子材料を気体中で浮遊させて加熱する加熱部と、
前記光学素子材料を加圧する第1の成形型及び第2の成形型と、
前記光学素子材料を、前記第1の成形型と前記第2の成形型との中心同士を結ぶ中心軸と交差する方向から、前記第1の成形型と前記第2の成形型との間の空間である型間空間に非接触状態で供給する供給部と、を備える、光学素子の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−107798(P2013−107798A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254098(P2011−254098)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)