説明

光学装置

【課題】プレノプティクカメラを構成するために使用するレンズアダプタ又は撮影レンズを小型化する。
【解決手段】撮像素子25を有する撮像装置本体3に装着する光学装置2は、光を入射する入射部17と、光学装置2を撮像装置本体3に装着するための第一装着部13aと、光軸に対して垂直な面に二次元に配置されて光を出射する第一レンズ群15とを備え、第一レンズ群15は、光学装置の前記第一装着部13aに関して入射部とは反対側に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズアダプタ及び撮影レンズなどの光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、いわゆるプレノプティクカメラ(Plenoptic Camera)が提案されている。プレノプティクカメラは、光学系にマイクロレンズアレイが配置され、撮像後に画像のフォーカス位置、フォーカス深度、視点を変更できる。プレノプティクカメラは、ライトフィールドカメラ、リフォーカスカメラとも呼ばれる(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1において、撮影レンズとカメラ本体(カメラボディ)との間に介在するレンズアダプタにマイクロレンズアレイが配置されている。このため、既存のカメラ本体にレンズアダプタを装着することにより、プレノプティクカメラを構成できる。従って、カメラ本体を物理的に改造する必要はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−102230号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1において、マイクロレンズアレイがカメラ本体の外部に位置して撮像素子から離れている。このため、レンズアダプタは、マイクロレンズアレイの背後の所定位置とカメラ本体内の撮像素子の受光面を共役にするリレーレンズを有し、マイクロレンズアレイからの光を、リレーレンズで中継して撮像素子に送る。レンズアダプタはリレーレンズを含むため、レンズアダプタのサイズが大きくなるという問題が生じる。
【0006】
本発明は、プレノプティクカメラを構成するために使用するレンズアダプタ又は撮影レンズを小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様に係る光学装置は、撮像素子を有する撮像装置本体に装着する光学装置であって、光を入射する入射部と、前記光学装置を前記撮像装置本体に装着するための第一装着部と、光軸に対して垂直な面に二次元に配置されて光を出射する第一レンズ群と、を備える。前記第一レンズ群は、前記光学装置の前記第一装着部に関して前記入射部とは反対側に位置する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、レンズアダプタ又は撮影レンズにおいて、リレーレンズを不要とし、レンズアダプタ又は撮影レンズを小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第一実施形態に係る電子カメラを示す概略断面図である。
【図2】(a)第一実施形態に係るレンズアダプタを示す斜視図である。(b)第一実施形態に係るレンズアダプタを示す端面図である。
【図3】(a)第一実施形態に係るレンズアダプタの変形例を示す斜視図である。(b)第一実施形態に係るレンズアダプタの変形例を示す端面図である。
【図4】マイクロレンズアレイと撮像素子との距離を説明する図である。
【図5】第一実施形態に係るプレノプティクカメラを構成する光学系の一例を示す図である。
【図6】像面がマイクロレンズアレイの直上に指定されている場合において、撮像素子上の画像の再構成方法を示す図である。
【図7】像面がマイクロレンズアレイから離れて指定されている場合において、撮像素子上の画像の再構成方法を示す図である。
【図8】第一実施形態に係るプレノプティクカメラを構成する光学系の他の例を示す図である。
【図9】第二実施形態に係る電子カメラを示す概略断面図である。
【図10】(a)第三実施形態に係るレンズアダプタを示す斜視図である。(b)第三実施形態に係るレンズアダプタを示す端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態に係る電子カメラ1を示す概略断面図である。図2(a)と(b)は、それぞれ第一実施形態に係るレンズアダプタ2を示す斜視図と端面図である。電子カメラ1は、被写体光から画像データ(電気信号)を生成する撮像装置の一例として示すものであり、本実施形態は、他の撮像装置にも適用可能である。本実施形態で、電子カメラ1は、スチールカメラとして示されているが、ビデオカメラでもよい。
【0011】
図1において、電子カメラ1は、撮影レンズの交換が可能なミラーレスの一眼カメラである。電子カメラ1は、カメラ本体(カメラボディ)3と、撮影レンズ4と、レンズアダプタ2を備える。レンズアダプタ2は、カメラ本体3と撮影レンズ4の間に装着され、カメラ本体3と撮影レンズ4に接続する。撮影レンズ4は、外部から光を取り込んで、レンズアダプタ2を通してカメラ本体3内部へと集光する。
【0012】
レンズアダプタ2(第一光学装置)は、円筒形状を有する中空の筒状部11と、筒状部11を保持する円環状の台座部13と、筒状部11に取付けられるマイクロレンズアレイ15(即ち、第一レンズ群)とを備える。レンズアダプタ2の台座部13は、カメラ本体3と撮影レンズ4に取付けられる。マイクロレンズアレイ15は、基板等に形成され、光軸に垂直な方向(又は筒状部11の軸に垂直な方向)において平面的に配列された複数の同一形状のマイクロレンズから構成される。ここで、レンズアダプタ2は、リレーレンズを有さない。なお、レンズアダプタ2は、例えば図3(a)(b)に示すような形状を有してもよい。
【0013】
レンズアダプタ2の筒状部11は、一方の端において開口部17を有しており、開口部17は光がレンズアダプタ2外部から入射する入射部に相当する。なお、レンズアダプタ2の入射部は、台座部13の撮影レンズ4側(マイクロレンズアレイ15と反対側)の開口部19としてもよい。筒状部11は、他方の端において、マイクロレンズアレイ15の基板が取り付けられる取付部18を有しており、マイクロレンズアレイ15はこの他方の端に配置されることになる。取付部18は、マイクロレンズアレイ15の基板の端を保持する。マイクロレンズアレイ15の複数のマイクロレンズ16は、筒状部11の軸に垂直な平面上(光軸に垂直な平面上)において二次元的に規則的に配置されている。
【0014】
レンズアダプタ2の台座部13は、カメラ本体3側の装着部である本体側マウント部13aと、撮影レンズ4側の装着部であるレンズ側マウント部13bと、を備える。レンズアダプタ2の本体側マウント部13a(第一装着部)は、カメラ本体3の装着部であるカメラ本体マウント部27(第二装着部)に対応し、これに係合して取り付けられる。筒状部11によって、マイクロレンズアレイ15は、レンズアダプタ2の本体側マウント部13aに関して、入射部(開口部17又は19)とは反対側に位置し、本体側マウント部13aからカメラ本体3側へ突き出す形で配置されている。レンズアダプタ2のレンズ側マウント部13b(第三装着部)は、撮影レンズ4の装着部である撮影レンズマウント部31(第四装着部)に対応して、これに係合して取り付けられる。
【0015】
本体側マウント部13aとカメラ本体マウント部27の組合せ、及び、レンズ側マウント部13bと撮影レンズマウント部31の組合せは、例えば、バヨネットマウントを構成する。本体側マウント部13aと撮影レンズマウント部31の形状は、同じでも異なってもよい。なお、本体側マウント部13aと撮影レンズマウント部31は同一の形状である場合に、レンズアダプタ2が使用されないときに、撮影レンズ4が直接的にカメラ本体3に装着できる。この場合、また、レンズ側マウント部13bとカメラ本体マウント部27は同一の形状を有する。
【0016】
レンズアダプタ2は、さらに、カメラ本体3内の後述の制御部26と撮影レンズ4との電気信号の送受信を可能にするため、導電性を有する導電部14を備える。導電部14は、カメラ本体3の電気接点28に接触する電気接点14aと、撮影レンズ4の電気接点35に接触する電気接点14bと、を有する。これにより、カメラ本体3の制御部26と撮影レンズ4との間で、撮影レンズ4のレンズ駆動機構に対するレンズ駆動信号や撮影レンズ4の情報の送受信が可能となり、オートフォーカス(AF:自動ピント合わせ)等ができる。
【0017】
カメラ(撮像装置)の本体部であるカメラ本体3は、シャッターユニット21と、フィルタ23と、撮像素子25と、制御部26と、液晶モニタ29を備える。シャッターユニット21は、図示しないレリーズスイッチが作動しない限り、レンズアダプタ2がカメラ本体3に装着される場合に開いている。フィルタ23は、ローパスフィルタ及び/又は赤外(IR)フィルタである。撮像素子25は、CCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化膜半導体)などから構成され、画像データとして各画素の画素値のデータを受光した光から生成する。制御部26は、電子カメラ1の種々の制御を行う。制御部26は、データを格納するメモリ、演算プログラムを格納するメモリ、この演算プログラムを実行するCPU/DSP(中央演算処理装置/デジタルシグナルプロセッサ)等から構成されてよい。液晶モニタ29は、メニュー表示や画像の表示を行う。このカメラ本体3の構造は、一例であり、例えば、カメラ本体3は、フィルタがない構造、撮像素子によるグローバルシャッタ(電子シャッタ)を用いてシャッターユニットが省かれた構造、一眼レフカメラのようにレフが存在する構造等であってもかまわない。
【0018】
カメラ本体3にレンズアダプタ2が取付けられた場合に、マイクロレンズアレイ15は、カメラ本体3内で、カメラ本体3の装着部であるカメラ本体マウント部27よりも撮像素子25側に位置する。ここで、マイクロレンズアレイ15は、撮像素子25に近づくように、レンズアダプタ2の装着時にシャッターユニット21を通り越して設置される。なお、マイクロレンズアレイ15は、シャッターユニット21を通り越さずに、シャッターユニット21よりもカメラ本体マウント部27側に配置されてもよい。
【0019】
撮影レンズ4に装着されたレンズアダプタ2がカメラ本体3に装着される場合、又は、カメラ本体3に既に装着されたレンズアダプタ2に撮影レンズ4が装着される場合に、撮影レンズ4からカメラ本体3側に導電部14を介して装着されたことを示す信号が送信され、カメラ本体3の制御部26はシャッターユニット21の使用を禁止することができる。撮影者は、カメラ本体3の液晶モニタ29の設定画面を使用して、シャッターユニット21の使用禁止を手動で設定することもできる。内部にレフ(鏡)があるタイプのカメラ本体3(一眼レフカメラ) の場合に、制御部26は、レンズアダプタ2の装着前にレフを無効にして跳ね上げたままにしておく。その場合、従来用いられている位相差AFは用いられず、レフ(鏡)がない場合と同じく、撮像素子25を介したコントラスト検出によるコントラストAF等が用いられる。
【0020】
図4のように、マイクロレンズアレイ15と撮像素子25との距離Xは、マイクロレンズアレイ15を構成する個々のマイクロレンズ16の焦点距離f以上に設定されることが好ましい(X≧f)。これにより、レンズアダプタ2のカメラ本体3への挿入時(装着時)において、レンズアダプタ2の挿入方向のぶれなどに起因して、マイクロレンズアレイ15と撮像素子25が接近し過ぎて、意図せず接触することが防止できる。詳細には、距離Xは、マイクロレンズアレイ15の射出面と撮像素子25の受光面との間の距離である。
【0021】
撮影レンズ4(第二光学装置)は、複数のレンズから構成されるレンズ群33(即ち、第二レンズ群)を有する。撮影レンズ4は、焦点距離が固定された単焦点レンズでもよいし、焦点距離が可変であるズームレンズでもよい。また、撮影レンズ4は、レンズ群33を構成する一つ以上のレンズを駆動するレンズ駆動機構を有し、一つ以上のレンズの駆動によって結像面41(後述)の位置の調整が可能である。レンズ群33の光軸は、レンズアダプタ2の筒状部11の軸に平行で略一致する。被写体から出た光線は、メインレンズとしての撮影レンズ4のレンズ群33に入った後、マイクロレンズアレイ15を通過して、撮像素子25で受光される。
【0022】
<光学系の第一例>
図5は、第一実施形態に係るプレノプティクカメラを構成する光学系の一例を示す。図5において、マイクロレンズアレイ15と撮像素子25との距離Xは、マイクロレンズ16の焦点距離fである(X=f)。被写体から出た光線は、メインレンズとしての撮影レンズ4のレンズ群33に入った後、マイクロレンズアレイ15の入射側の面で結像される。即ち、レンズ群33の結像面41は、マイクロレンズアレイ15の入射側の面に位置するよう、例えばレンズ駆動機構によって調整される。この構成により、撮像素子25の受光面に映る画像は、ある一定領域ごとに光線情報を分解した画像となる。撮像素子25の受光面で得られる画像を再構成することによって、所望の像面での画像(所望のフォーカス位置での画像)を得ることができる。
【0023】
図6と図7は、撮像素子25上の画像の再構成方法を示す。簡略のために、1次元(画像の一方向)のみを考慮して説明する。図6と図7は、マイクロレンズ16と、マイクロレンズ16に入射する光線、及び、指定された像面を示している。
【0024】
図6において、像面は、マイクロレンズアレイ15の直上に指定されている。この場合、あるマイクロレンズ“a” “b”“c” “d” “e”の各々に対応する位置において、撮像素子25の五つの画素“1”“2”“3”“4”“5”が配置されている。例えば、像面においてあるマイクロレンズ“c”に対応する像面位置(斜線)の光線の情報は、マイクロレンズ“c”を通り、その奥の撮像素子25の画素“1”“2”“3”“4”“5”に到達する。マイクロレンズ“c”に対応する像面位置の光線情報を再構成すると、L=c1+c2+c3+c4+c5で表すことができる。ここで、“L”は、像面においてマイクロレンズ“c”に対応する仮想画素の画素値であり、マイクロレンズ“c”に対応する五つの画素“1”“2”“3”“4”“5”からの信号出力は、それぞれ“c1”、“c2”、“c3”、“c4”、“c5”と表される。
【0025】
図7において、像面は、マイクロレンズアレイ15から光軸方向に離れた位置に指定されている。例えば、像面においてあるマイクロレンズ“c”に対応する像面位置(斜線)の光線の情報は、マイクロレンズ“a” “b”“c” “d” “e”を通り、その奥の撮像素子25に到達する。マイクロレンズ“c”に対応する像面位置の光線情報を再構成すると、L=a1+b2+c3+d4+e5で表すことができる。ここで、“L”は、像面においてマイクロレンズ“c”に対応する仮想画素の画素値であり、マイクロレンズ“a”の画素“1”、マイクロレンズ“b”の画素“2”、マイクロレンズ“c”の画素“3”、マイクロレンズ“d”の画素“4”、マイクロレンズ“e”の画素“5”からの信号出力は、それぞれ“a1”、“b2”、“c3”、“d4”、“e5”と表される。
【0026】
このように、撮像素子25の画素の出力を加算(加重加算も含む)することによって、光軸方向における任意の像面位置での画像を取得することができる。カメラ本体3の画像処理部(図示せず)は、撮像素子25の画素の出力を加算するための演算処理を行う。任意の像面を指定することによって、被写体の任意の奥行き情報(即ち、異なる被写体距離における画像)を取得できる。このようにして、任意の奥行き情報を得ることができれば、それから全ての画像内位置でピントの合った全焦点画像や、撮影後に任意のフォーカス(焦点)を設定した画像を得ることが可能となる。
【0027】
<光学系の第二例>
図8は、第一実施形態に係るプレノプティクカメラを構成する光学系の他の例を示す。図8において、マイクロレンズアレイ15と撮像素子25との距離Xは、マイクロレンズ16の焦点距離fよりも大きい(X>f)。被写体から出た光線は、メインレンズとしての撮影レンズ4のレンズ群33に入った後、マイクロレンズアレイ15の手前で結像する。その後、光線は、マイクロレンズアレイ15を通過し、撮像素子25の受光面上で結像する。これにより、撮像素子25の受光面上に、視差が少しずつ生じた部分画像が、マイクロレンズ16の個数に相当する数だけ得られる。視差のある複数の部分画像の情報を統合して被写体の3次元情報を得たり、複数の部分画像を再構成(合成)することによって高画素の全体画像(高解像度画像)を得ることができる。
【0028】
この場合、撮像素子25の受光面上で結像するために、撮像素子25からマイクロレンズアレイ15までの距離Xは、以下のレンズの結像公式(1)を満足する値になる。
【0029】
【数1】

【0030】
ここで、aは、撮影レンズ4のレンズ群33の結像面41からマイクロレンズアレイ15までの距離である。なお、式(1)を満たすように距離aを調節するため、撮影レンズ4のレンズ群33の結像面41の位置が、例えば撮影レンズ4のレンズ駆動機構によって調整されてよい。
【0031】
なお、X>f、又は、X<fを満たす必要があるが、マイクロレンズアレイ15と撮像素子25との距離Xを大きくするため、X>fを満たすように距離Xは設定される。
【0032】
−作用効果−
本実施形態によると、光学装置としてのレンズアダプタ2は、光を入射する入射部(例えば開口部17又は19)と、レンズアダプタ2を撮像装置本体(カメラ本体3)に装着するための第一装着部(本体側マウント部13a)と、光軸に対して垂直な面に二次元に配置されて光を出射する第一レンズ群(マイクロレンズアレイ15)と、を備える。第一レンズ群は、レンズアダプタ2の第一装着部に関して入射部とは反対側に位置する。このため、レンズアダプタ2が撮像装置本体に装着された場合に、第一レンズ群は、撮像装置本体の内部の撮像素子25に接近して配置できる。従って、マイクロレンズアレイからの光を中継して撮像素子に送るリレーレンズが不要になり、レンズアダプタ2を小型化できる。
【0033】
撮像装置本体は、レンズアダプタ2の第一装着部に接続する第二装着部(カメラ本体マウント部27)を備え、レンズアダプタ2が撮像装置本体に装着された場合に、第一レンズ群が、撮像装置本体の第二装着部よりも撮像素子25側に位置する。このため、レンズアダプタ2が撮像装置本体に装着された場合に、第一レンズ群は、撮像装置本体の内部の撮像素子25にさらに接近して配置できる。
【0034】
撮像素子25と第一レンズ群との距離が、第一レンズ群を構成する各々のレンズ(マイクロレンズ16)の焦点距離f以上であるため、マイクロレンズアレイ15と撮像素子25が接近し過ぎて、意図せず接触することが防止できる。
【0035】
レンズアダプタ2は、光軸方向に配列された複数のレンズを含む他の光学装置(撮影レンズ4)にレンズアダプタ2を装着するための第三装着部(レンズ側マウント部13b)を備える。このため、第一レンズ群を備えるレンズアダプタ2とこのような他の光学装置を組み合わせて、プレノプティクカメラを構成する光学系を設けることができる。
【0036】
[第二実施形態]
図9は、第二実施形態に係る電子カメラ1を示す概略断面図である。第二実施形態において、第一実施形態と異なり、レンズアダプタは、撮影レンズと一体化して撮影レンズ50の一部として設けられる。従って、第二実施形態に係る撮影レンズ50(光学装置)は、マイクロレンズアレイ15を有する。レンズアダプタがない代わりに、撮影レンズ50は、カメラ本体3に接続するための接続部60を備える。接続部60において、第一実施形態と異なり、レンズ側マウント部13bと電気接点14bが存在しない。他の構成は、第一実施形態と同じである。
【0037】
光学装置としての撮影レンズ50の本体側マウント部13aとカメラ本体3のカメラ本体マウント部27とが係合することによって、撮影レンズ50はカメラ本体3に装着される。マイクロレンズアレイ15(第一レンズ群)は、撮影レンズ50の第一装着部(本体側マウント部13a)に関して、撮影レンズ50の外部からの光が入射する入射部37とは反対側に位置する。撮影レンズ50は、光軸方向に並ぶ複数のレンズから構成されるレンズ群33(第二レンズ群)を備え、レンズ群33は、入射部37とマイクロレンズアレイ15との間に配置される。被写体から出た光線は、入射部37を通過して、メインレンズとしてのレンズ群33に入った後、撮影レンズ50のマイクロレンズアレイ15を通過して、カメラ本体3の撮像素子25で受光される。
【0038】
第二実施形態によると、第一レンズ群(マイクロレンズアレイ15)は、撮影レンズ50の第一装着部に関して入射部37とは反対側に位置する。このため、撮影レンズ50が撮像装置本体(カメラ本体3)に装着された場合に、第一レンズ群は、撮像装置本体の内部の撮像素子25に接近して配置できる。従って、マイクロレンズアレイ15からの光を中継して撮像素子25に送るリレーレンズが不要になり、撮影レンズ50を小型化できる。
【0039】
[第三実施形態]
第三実施形態において、マイクロレンズアレイ15は、本体側マウント部13aに対して軸方向(又は光軸方向)に移動可能である。他の構成は、第一実施形態と同じである。
【0040】
図10(a)と(b)は、それぞれ第三実施形態に係るレンズアダプタ70(光学装置)を示す斜視図と端面図である。レンズアダプタ70は、カメラ本体3への装着時又は装着後に、マイクロレンズアレイ15を軸方向(又は光軸方向)に移動できるような繰出し機構71を有する。レンズアダプタ70において、筒状部11は、台座部13ひいては本体側マウント部13aに対して摺動可能である。繰出し機構71は、筒状部11を台座部13に対して摺動させることによって、マイクロレンズアレイ15を移動する。図10(a)は、筒状部11が台座部13に対して引っ込んだ状態を示し、図10(b)は、筒状部11が台座部13に対して伸張した状態を示す。なお、台座部13が撮影レンズ4の取付に邪魔になる場合には、筒状部11が伸張した後に、撮影レンズ4が取り付けられるようにしてよい。
【0041】
マイクロレンズアレイ15が本体側マウント部13aからカメラ本体3内部側へ突き出す形で配置されている場合に、カメラ本体3にレンズアダプタ70が装着されるときに、カメラ本体3内部の部品とレンズアダプタ70が物理的に干渉する可能性がある。干渉を防ぐために、繰出し機構71は、レンズアダプタ70の装着前には、マイクロレンズアレイ15のカメラ本体3内部側への突き出し量Yが少なく(図10(a))、レンズアダプタ70の装着時又は装着後に、突き出し量Yを大きくできる(図10(b))。繰出し機構71は、手動で操作されても、電気モータのようなアクチュエータで操作されてもよい。
【0042】
図10(a)と(b)において、繰出し機構71の例として、ズームレンズの繰出しなどに用いられるカム機構が示されている。繰出し機構71は、筒状部11に設けられたカム溝72と、カム溝72に嵌合して摺動するカムフォロア(カムピン)とから構成されるカム機構である。レバー73を光軸に対して円周方向に移動させることによって、レバー73に連動するカムフォロア(カムピン)が円周方向に移動して、筒状部11及びこれに取付けられたマイクロレンズアレイ15が光軸方向に移動する。
【0043】
なお、繰出し機構71を設けずに、筒状部11を手動で軸方向に動かして、筒状部11が伸びきったところで筒状部11をロックするロック機構を設けてもよい。
【0044】
また、第三実施形態を第二実施形態の撮影レンズ50に適用して、撮影レンズ50おいて、マイクロレンズアレイ15を軸方向(又は光軸方向)に移動可能にしてもよい。
【0045】
第三実施形態によると、マイクロレンズアレイ15は、第一装着部(本体側マウント部13a)に対して軸方向(又は光軸方向)に移動可能である。このため、レンズアダプタ70の装着時又は装着後に、マイクロレンズアレイ15を徐々にカメラ本体内で撮像素子25に向けて移動することによって、カメラ本体3内部の部品とマイクロレンズアレイ15が物理的に干渉する可能性が減少する。また、マイクロレンズアレイ15と撮像素子25との距離Xが調整可能になるため、第一実施形態の光学系の第一例及び第二例など、プレノプティクカメラを構成する種々の光学系が採用可能になる。
【0046】
本発明は上記の各実施形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【符号の説明】
【0047】
1 電子カメラ
2、70 レンズアダプタ(第一光学装置)
3 カメラ本体(撮像装置本体)
4 撮影レンズ
11 筒状部
13 台座部
13a 本体側マウント部(第一装着部)
13b レンズ側マウント部(第三装着部)
14 導電部
14a、14b、28、35 電気接点
15 マイクロレンズアレイ(第一レンズ群)
16 マイクロレンズ
17、19 開口部(入射部)
18 取付部
21 シャッターユニット
23 フィルタ
25 撮像素子
26 制御部
27 カメラ本体マウント部(第二装着部)
29 液晶モニタ
31 撮影レンズマウント部(第四装着部)
33 第二レンズ群
37 入射部
41 結像面
50 撮影レンズ
60 接続部
71 繰出し機構
72 カム溝
73 レバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子を有する撮像装置本体に装着する光学装置であって、
光を入射する入射部と、
前記光学装置を前記撮像装置本体に装着するための第一装着部と、
光軸に対して垂直な面に二次元に配置されて光を出射する第一レンズ群と、を備え、
前記第一レンズ群は、前記光学装置の前記第一装着部に関して前記入射部とは反対側に位置することを特徴とする光学装置。
【請求項2】
前記撮像装置本体は、前記光学装置の前記第一装着部に接続する第二装着部を備え、
前記光学装置が前記撮像装置本体に装着された場合に、前記第一レンズ群が、前記撮像装置本体の前記第二装着部よりも前記撮像素子側に位置することを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記撮像素子と前記第一レンズ群との距離が、前記第一レンズ群を構成する各々のレンズの焦点距離以上であることを特徴とする請求項2に記載の光学装置。
【請求項4】
光軸方向に並ぶ複数のレンズから構成される第二レンズ群であって、前記入射部と前記第一レンズ群との間に配置される第二レンズ群を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の光学装置。
【請求項5】
前記光学装置を光軸方向に配列された複数のレンズを含む他の光学装置に装着するための第三装着部を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の光学装置。
【請求項6】
前記複数のレンズによる結像面から前記第一レンズ群までの距離をaで表し、前記第一レンズ群を構成する各々のレンズの焦点距離fで表した場合に、前記撮像素子から前記第一レンズ群までの距離Xは、以下の式
【数1】

を満たすことを特徴とする請求項3に記載の光学装置。
【請求項7】
前記第一レンズ群を構成する各々のレンズは、マイクロレンズアレイであることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の光学装置。
【請求項8】
前記第一レンズ群は、前記第一装着部に対して移動可能であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の光学装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−105151(P2013−105151A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250869(P2011−250869)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】