説明

光学装置

【課題】構造の簡素化、低コスト化、組付け作業の容易化等を図りつつ、光軸に対する傾き(煽り)及び光軸方向の位置調整等を高精度に行えるようにする。
【解決手段】複数の光学ユニット50〜80、ユニットベース10、撮像素子102を保持してユニットベースの後端壁12に連結されるセンサユニットニット100、第1ガイドシャフト31及び第2ガイドシャフト32を備え、ユニットベース10は、第1ガイドシャフト及び第2ガイドシャフトをその端壁から突出させるように嵌合させて固定する固定用嵌合孔14a,14bを有し、光学ユニットとセンサユニットは、それぞれ第1ガイドシャフトを摺動自在に嵌合させる第1嵌合孔、第1ガイドシャフト回りの回転を規制するべく第2ガイドシャフトを摺動自在に嵌合させる第2嵌合孔を有する。これによれば、光軸に対する傾き及び光軸方向の位置調整等を高精度にかつ容易に行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の光学要素、撮像素子等をユニットベースに組み付けた光学装置に関し、特に、光学要素として光軸を屈曲させるプリズムを含む光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光学装置としては、上部鏡筒(ユニットベース)、上部鏡筒に連結される下部鏡筒(ユニットベース)、撮像素子(CCD)を収容して下部鏡筒に連結されるCCD収容部、複数の光学要素(第1レンズ、プリズム及び第2レンズからなる第1レンズ群、第2レンズ群、第3レンズ群、第4レンズ群、シャッタユニット等)等を備え、第1レンズ群〜第3レンズ群を上部鏡筒に設け、第4レンズ群及びCCD収容部を下部鏡筒に設け、シャッタユニットを上部鏡筒と下部鏡筒の間に挟みこむようにして上部鏡筒と下部鏡筒を連結し、光軸方向の位置を調整するべくプリズムと第2レンズの間にマスクシートを介在させたもの(レンズユニット)が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
しかしながら、この光学装置(レンズユニット)においては、複数の光学要素の光軸を一致させるには、上部鏡筒及び下部鏡筒の寸法精度を高めると共に上部鏡筒と下部鏡筒との連結領域の精度を高める必要があり、それ故に各々の光学要素の光軸を一致させるように組み付けるのは容易ではない。また、プリズムと第2レンズとの間にマスクシートを介在させることにより光軸方向における位置合わせを行うことはできても、光軸に対する傾きを調整することはできない。
【0003】
また、他の光学装置としては、レンズ光学要素を配置するユニットベース(ベース部材、レンズ鏡筒)、撮像素子を固定するCCDプレート(CCDベース)、ユニットベースに固定された光学ローパスフィルタ、撮像素子と光学ローパスフィルタの間に配置されるCCDゴム(ラバーシート)、ユニットベースの後端壁とCCDプレートとの間に圧縮した状態で配置される複数の圧縮バネ等を備え、CCDプレートの貫通孔を通して3つの調整ネジをユニットベースの後端壁に設けられたネジ穴にねじ込むと共にそのねじ込み量を適宜調整することにより、光軸に対する撮像素子(の撮像面)の傾きを調整するようにしたもの(撮像装置)が知られている(例えば、特許文献2、特許文献3を参照)。
しかしながら、この光学装置(撮像装置)においては、撮像素子の光軸に対する傾きを調整することはできても、他の光学要素と光軸を一致させることが容易ではなく、各々の部品の製造時の寸法精度を高めるかあるいは調整機具を用いて高精度に組み付ける必要があり、組付け作業が容易ではない。
【0004】
さらに、他の光学装置としては、光軸方向に長尺で矩形断面をなすケース状のユニットベース(ガイドベース)、ユニットベースに光軸方向の両端壁に設けられた複数の挿通孔、光軸方向に伸長するようにユニットベースの挿通孔に隙間をもって挿入された3つのガイド軸(第1のガイド軸、第2のガイド軸、第3のガイド軸)、ガイド軸(第1のガイド軸及び第3のガイド軸)により光軸方向に移動自在に支持された第1のレンズホルダ、ガイド軸(第2のガイド軸及び第3のガイド軸)により光軸方向に移動自在に支持された第2のレンズホルダ、プリズムを保持すると共にユニットベースの前端壁に連結されるプリズムホルダ(プリズムユニット)、ユニットベースの後端壁に連結されるセンサユニット(撮像素子)を備え、先ず、ユニットベースの所定位置に2つのレンズホルダを配置し、一方側から3つのガイド軸をそれぞれのレンズホルダの嵌合孔に通すと共にユニットベースの挿通孔に通し、組付装置(第1のガイド軸保持部材、第2のガイド軸保持部材)を用いて、3つのガイド軸(の外周面)とユニットベースの挿通孔(の内周面)との間に隙間ができるように保持し、それぞれのガイド軸と挿通孔との間に接着剤を注入してガイド軸をユニットベースに固着させ、その後に、ユニットベースの前端壁から突出した3つのガイド軸をプリズムホルダの嵌合穴に嵌合させてプリズムホルダを連結し、ユニットベースの後端壁にセンサユニットを連結するようにしたもの(レンズユニット)が開示されている(例えば、特許文献4を参照)。
しかしながら、この光学装置(レンズユニット)においては、3つのガイド軸を通すためのユニットベースの挿通孔が隙間を画定するように3つのガイド軸の外径よりも大きく形成され、その挿通孔に挿入されたガイド軸をユニットベースに固定するために、専用の組付装置及び接着剤が用いられているため、組付け作業が煩雑であり、それぞれのレンズホルダ(レンズ)、プリズムホルダ(プリズム)、センサユニット(撮像素子)の光軸合わせあるいは光軸に対する傾きの調整が容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−91344号公報
【特許文献2】特開2005−70386号公報
【特許文献3】特開2003−134383号公報
【特許文献4】特開2010−66292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、それぞれの部品の製造精度を高めることなく、構造の簡素化、低コスト化、組付け作業の容易化等を図りつつ、光軸に対する傾き(煽り)の調整、光軸方向における位置の調整等を高精度に行うことのできる光学装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の光学装置は、光学像を結像させるべく光軸方向に配列されて光軸方向に可動な可動ユニット又は光軸方向に不動の固定ユニットを含む複数の光学ユニットと、可動ユニット又は固定ユニットを内部に収容するユニットベースと、撮像素子を保持してユニットベースの後端壁に連結されるセンサユニットと、光軸方向に伸長するようにユニットベースに配置された第1ガイドシャフト及び第2ガイドシャフトを備えた光学装置であって、上記ユニットベースは、第1ガイドシャフト及び第2ガイドシャフトをその端壁から突出させるように嵌合させて固定する固定用嵌合孔を有し、上記可動ユニット又は固定ユニットとセンサユニットは、それぞれ、第1ガイドシャフトを摺動自在に嵌合させる第1嵌合孔と、第1ガイドシャフト回りの回転を規制するべく第2ガイドシャフトを摺動自在に嵌合させる第2嵌合孔を有する、ことを特徴としている。
この構成によれば、ユニットベース内に複数の光学ユニットが配置された状態で、第1ガイドシャフト及び第2ガイドシャフトが、ユニットベースの固定用嵌合孔に嵌合されると共にそれぞれの光学ユニットの第1嵌合孔及び第2嵌合孔に摺動自在に嵌合されて(すなわち、第1ガイドシャフト及び第2ガイドシャフトがユニットベースに対して嵌合により固定された状態で、可動ユニットは光軸方向に摺動するように2つのガイドシャフトによりガイドされ、又、固定ユニットは2つのガイドシャフトに摺動自在に嵌合された状態でユニットベースの所定位置に固定され)、センサユニットは、その第1嵌合孔及び第2嵌合孔にユニットベースの後端壁から突出した第1ガイドシャフト及び第2ガイドシャフトを摺動自在に嵌合させることにより光軸合わせがなされるため、第1ガイドシャフト及び第2ガイドシャフトを基準として、全ての光学要素(光学ユニット及センサユニット)の光軸を一致させるように組み付けることができる。
すなわち、複数の光学ユニット(可動ユニット又は固定ユニット)及びセンサユニットは、それぞれ第1嵌合孔及び第2嵌合孔と光軸との間の寸法精度を管理して(すなわち、組み上がり製品の公差範囲として、2つのガイドシャフトに係合する部分に関する寸法に限定して管理して)製造し、ユニットベースに嵌合固定される第1ガイドシャフト及び第2ガイドシャフトに組み付けるだけで、製造コストの低減を達成しつつ、簡単な組み付け作業にて高精度に光軸合わせを行うことができる。
【0008】
上記構成において、複数の光学ユニットは、光軸を屈曲させるプリズムを保持してユニットベースの前端壁に連結されるプリズムユニットを含み、プリズムユニットは、第1ガイドシャフトを摺動自在に嵌合させる第1嵌合孔と、第1ガイドシャフト回りの回転を規制するべく第2ガイドシャフトを摺動自在に嵌合させる第2嵌合孔を有し、第1嵌合孔及び第2嵌合孔にユニットベースの前端壁から突出した第1ガイドシャフト及び第2ガイドシャフトをそれぞれ嵌合させた後にユニットベースに複数のネジを用いて締結されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、プリズムユニットは、その第1嵌合孔及び第2嵌合孔にユニットベースの前端壁から突出した第1ガイドシャフト及び第2ガイドシャフトを嵌合させることにより光軸合わせがなされるため、第1ガイドシャフト及び第2ガイドシャフトを基準として、他の光学要素(光学ユニット及センサユニット)との光軸を容易に一致させるように組み付けることができる。
すなわち、複数の光学ユニット(プリズムユニット、可動ユニット又は固定ユニット)及びセンサユニットは、それぞれ第1嵌合孔及び第2嵌合孔と光軸との間の寸法精度を管理して(すなわち、組み上がり製品の公差範囲として、2つのガイドシャフトに係合する部分に関する寸法に限定して管理して)製造し、ユニットベースに嵌合固定される第1ガイドシャフト及び第2ガイドシャフトに組み付けるだけで、製造コストの低減を達成しつつ、簡単な組み付け作業にて高精度に光軸合わせを行うことができる。
【0009】
上記構成において、プリズムユニットとユニットベースの前端壁との間には、プリズムユニットの光軸に対する傾きを調整するべく,複数のネジに対応した領域にそれぞれスペーサシートが挟み込まれ得るように形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、プリズムユニットをユニットベースにネジにより締結する際に、ネジに対応した領域に適宜スペーサシートを挟み込むことで、プリズムユニットの光軸に対する傾きを調整することができる。すなわち、プリズムユニットをユニットベースに組み付けるに際して、光軸合わせは第1ガイドシャフト及び第2ガイドシャフトで行い、光軸に対する傾き調整は、スペーサシートを適宜挟み込むことにより行うことができるため、製造コストの低減を達成しつつ、簡単な組み付け作業にて高精度に光軸合わせ及び傾き調整を行うことができる。
【0010】
上記構成において、センサユニットは、複数のネジを通す複数の貫通孔を有し、ユニットベースは、複数のネジをねじ込むための複数のネジ穴と、複数のネジ穴の周りにそれぞれ形成されて接着剤を溜める複数の溜め部を有し、センサユニットは、第1嵌合孔及び第2嵌合孔にユニットベースの後端壁から突出した第1ガイドシャフト及び第2ガイドシャフトをそれぞれ嵌合させた後にユニットベースとの間に圧縮バネを介在させて複数のネジを用いて締結され、溜め部に注入された接着剤により固着されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、センサユニットをユニットベースに組み付ける際に、センサユニットの第1嵌合孔及び第2嵌合孔にユニットベースの後端壁から突出した第1ガイドシャフト及び第2ガイドシャフトをそれぞれ嵌合させ、ユニットベースとの間に圧縮バネを介在させて、複数のネジを貫通孔に通しユニットベースのネジ穴にねじ込むと共にそれぞれのねじ込み量を調整することで、センサユニット(撮像素子の撮像面)の光軸に対する傾きを調整することができ、その後、溜め部に接着剤を注入することにより、ネジを固着して弛まないように堅固に固定することができる。
【0011】
上記構成において、ユニットベースは、固定ユニットを光軸方向の所定位置に位置決めするべく形成された3つの位置決め凹部を有し、固定ユニットは、ユニットベースの3つの位置決め凹部に嵌め込まれる3つの位置決め突起を有する、構成を採用することができる。
この構成によれば、固定ユニットの3つの位置決め突起をユニットベースの3つの位置決め凹部に嵌め込むことにより、固定ユニットの光軸に対する傾きを容易に調整することができる。
【0012】
上記構成において、可動ユニット又は固定ユニットは、レンズと、開口部を画定すると共に開口部を覆うようにレンズの外縁部を嵌め込んで保持するレンズ保持枠を含み、レンズ保持枠は、レンズの外縁部を光軸方向において受ける3つの受け面と、受け面よりも段下がりに形成されて接着剤を充填し得る接着剤溝と、受け面よりも段下がりでかつ接着剤溝よりも段上がりに形成されて接着剤が開口部内に流れ込むのを防止する防止壁を有する、構成を採用することができる。
この構成によれば、レンズ保持枠にレンズを嵌め込んで固定する際に、レンズの外縁部を光軸方向において3つの受け面に当接させ、接着剤溝に接着剤を注入して固着する。ここで、防止壁が設けられているため、接着剤溝に注入された接着剤が受け面を乗り上げて開口部まで流れ込むのを防止でき、それ故に、接着剤によるレンズの浮き上がり(傾き)を防止でき、レンズを所定の位置に高精度に固定することができる。
【発明の効果】
【0013】
上記構成をなす光学装置によれば、それぞれの部品(光学要素)の製造精度を高めることなく、構造の簡素化、低コスト化、組付け作業の容易化等を達成しつつ、光軸に対する傾き(煽り)の調整、光軸方向における位置の調整等を高精度に行うことのできる光学装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る光学装置の外観斜視図である。
【図2】光学装置の端面図であり、(a)はその前端図、(b)はその後端図である。
【図3】光学装置の分解斜視図である。
【図4】光学装置の分解斜視図である。
【図5】光学装置の内部を示す(カバーを取り除いた状態での)平面図である。
【図6】光学装置の内部を示す側断面図である。
【図7】光学装置の一部をなすユニットベース及びプリズムユニットを示す分解斜視図である。
【図8】光学装置の一部をなすユニットベース及びセンサユニットを示す分解斜視図である。
【図9】光学装置の一部をなすユニットベース(及び第1ガイドシャフト及び第2ガイドシャフト)を示す平面図である。
【図10】光学装置の一部をなすユニットベースの光軸に垂直な方向における断面図である。
【図11】光学装置の一部をなすユニットベースの光軸に垂直な方向における断面図である。
【図12】光学装置の一部をなすシャッタユニット(固定ユニット、光学ユニット)を示すものであり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図13】光学装置の一部をなすシャッタユニット(固定ユニット、光学ユニット)を示す正面図である。
【図14】図13に示すシャッタユニットからレンズを取り除いた状態を示す正面図である。
【図15】図13に示すシャッタユニットの部分断面図である。
【図16】光学装置の一部をなす像振れ補正ユニット(固定ユニット、光学ユニット)を示すものであり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
この光学装置は、図1に示すように、図1ないし図6に示すように、内部空間を画定する箱状のユニットベース10、ユニットベース10の開口部11を覆うカバー20、ユニットベース10に固定された第1ガイドシャフト31及び第2ガイドシャフト32、ユニットベース10に配置された,固定レンズ群40,可動ユニットとしての可動レンズ群50,固定ユニットとしてのシャッタユニット60,可動ユニットとしての可動レンズ群70,固定ユニットとしての像振れ補正ユニット80,及び光学フィルタ90、ユニットベース10の後端壁12に連結されたセンサユニット100、ユニットベース10の前端壁13に連結されたプリズムユニット110等を備えている。
【0016】
ユニットベース10は、図5ないし図9に示すように、光軸L1方向の厚さ寸法が薄くて扁平でかつ光軸L1に垂直な光軸L2方向に長尺な略矩形をなす形状に形成されており、内部空間を開放する開口部11、センサユニット100を連結する後端壁12、プリズムユニット110を連結する前端壁13、第1ガイドシャフト31を嵌合して固定する2つの固定用嵌合孔14a、第2ガイドシャフト32を嵌合して固定する2つの固定用嵌合孔14b、固定レンズ群40を固定する固定部15、シャッタユニット60を光軸L2方向において位置決めする3つの位置決め凹部16、像振れ補正ユニット80を光軸L2方向において位置決めする3つの位置決め凹部17、光学フィルタ90を固定する固定部18、可動レンズ群50,70を駆動するモータ52,72を固定する固定部19等を備えている。
【0017】
開口部11は、図3ないし図8に示すように、可動レンズ群50、シャッタユニット60、可動レンズ群70、像触れ補正ユニット80を、光軸L2に垂直な方向からユニットベース10の内部に配置できるように形成されている。
後端壁12には、図8に示すように、第1ガイドシャフト31及び第2ガイドシャフト32の一端側を嵌合して固定する2つの固定用嵌合孔14a,14bの近傍でかつ固定部18の周りにおいて、センサユニット100を連結するためのネジBをねじ込む3つのネジ穴12a、ネジ穴12aの周りに形成されて接着剤を溜める3つの溜め部12bが設けられている。溜め部12bは、図8に示すように、後端壁12から光軸方向L2の後方に略円筒状に突出すると共にその円筒壁の一部が切り欠かれて、センサユニット100を締結した後に接着剤を容易に注入できるように形成されている。
【0018】
前端壁13には、図7に示すように、第1ガイドシャフト31及び第2ガイドシャフト32の他端側を嵌合して固定する2つの固定用嵌合孔14a,14bの近傍でかつ固定部15の周りにおいて、プリズムユニット110を連結するためのネジBをねじ込む3つのネジ穴13a、ネジ穴13aの周りに形成されてスペーサシート120をそれぞれ受ける3つの平坦面13bが設けられている。
【0019】
固定用嵌合孔14a,14bは、図9に示すように、後端壁12と前端壁13にそれぞれ2つずつ設けられている。
固定用嵌合孔14a,14aは、第1ガイドシャフト31を、後端壁12から光軸L2方向の後方に所定量だけかつ前端壁13から光軸L2方向の前方に所定量だけ突出した状態で嵌合させると共にユニットベース10の略中央に想定される光軸L2方向に平行な状態に保持するように形成されている。
固定用嵌合孔14b,14bは、第2ガイドシャフト32を、後端壁12から光軸L2方向の後方に所定量だけかつ前端壁13から光軸L2方向の前方に所定量だけ突出した状態で嵌合させると共にユニットベース10の略中央に想定される光軸L2方向に平行な状態に保持するように形成されている。
固定部15は、図7及び図8に示すように、矩形状で対向する両縁が湾曲しその周囲に段下がりの段差部を画定する開口部として形成され、固定レンズ群40(の光軸)を光軸L2に一致させるべく、固定レンズ群40を保持して固定するように形成されている。
【0020】
3つの位置決め凹部16は、図9及び図10に示すように、光軸L2に垂直な同一平面内に、すなわち、光軸L2方向において同一の位置に形成されている。そして、3つの位置決め凹部16にシャッタユニット60(の3つの位置決め突起61h)を嵌め込むことにより、シャッタユニット60の光軸L2に対する傾きを(シャッタユニット60上の光軸が光軸L2の向きと一致するように)容易に調整することができるようになっている。
尚、位置決め凹部16には、光軸L2方向の後方に向けて突出する突条部16aが形成されており、突条部16aの弾性変形を利用して、シャッタユニット60の位置決め(傾き調整)を高精度に行えるようになっている。
【0021】
3つの位置決め凹部17は、図9及び図11に示すように、光軸L2に垂直な同一平面内に、すなわち、光軸L2方向において同一の位置に形成されている。そして、3つの位置決め凹部17に像振れ補正ユニット80(の3つの位置決め突起81d)を嵌め込むことにより、像振れ補正ユニット80の光軸L2に対する傾きを(像振れ補正ユニット80上の光軸が光軸L2の向きと一致するように)容易に調整することができるようになっている。
尚、位置決め凹部17には、光軸L2方向の後方に向けて突出する突条部17aが形成されており、突条部17aの弾性変形を利用して、像振れ補正ユニット80の位置決め(傾き調整)を高精度に行えるようになっている。
【0022】
固定部18は、図7及び図8に示すように、略矩形状で周囲に段下がりの段差部を画定する開口部として形成され、光学フィルタ90(の光軸)を光軸L2に一致させるべく、光学フィルタ90を保持して固定するように形成されている。
固定部19は、図6及び図7に示すように、可動レンズ群50を駆動するモータ52及び可動レンズ群70を駆動するモータ72をユニットベース10の外壁面に沿わして固定するべく内部に凸状に湾曲した壁面を画定するように形成されている。
【0023】
上記構成をなすユニットベース10においては、光軸L2(光学要素が組み込まれていない状態では略中央を通る仮想の光軸L2)に対して、固定用嵌合孔14a,14bの光軸L2からの離隔距離及び光軸L2に対する平行度、固定部15,18の中心と光軸L2との芯合わせ及び光軸L2に対する垂直度、位置決め凹部16,18の光軸L2からの離隔距離及び光軸L2に対する垂直度等を規定するための寸法を管理するだけで、部品を組み付けた際の光軸L2合わせ及び光軸L2に対する傾き調整を高精度に行えるため、ユニットベース10を金型により成形する際の金型の製造費用を低減することができる。
【0024】
カバー20は、図1、図3、図4、図6に示すように、ユニットベース10内に複数の光学ユニット(可動レンズ群50、シャッタユニット60、可動レンズ群70、像触れ補正ユニット80等)を収容した後に開口部11を閉塞するべく、ユニットベース10にスナップフィット結合等により組付けられるように形成されている。
【0025】
第1ガイドシャフト31は、図5ないし図9に示すように、円形断面をなして光軸L2方向に伸長するように形成され、ユニットベース10の後端壁12の固定用嵌合孔14a及び前端壁13の固定用嵌合孔14aに嵌合して固定され、光軸L2と平行なガイド方向を規定すると共に光軸L2に垂直な方向において各光学ユニットの光軸を光軸L2に合わせる光軸合わせを行うように形成されている。
すなわち、第1ガイドシャフト31は、各光学ユニット(可動レンズ群50,シャッタユニット60,可動レンズ群70,像振れ補正ユニット80)がユニットベース10内に配置された状態で、例えば、後端壁12の固定用嵌合孔14aに通されて、各光学ユニットの第1嵌合孔51b,61f,71b,81bに通され、さらに前端壁13の固定用嵌合孔14aに通され、後端壁12から光軸L2方向の後方にその一端側が所定量だけ突出しかつ前端壁13から光軸L2方向の前方にその他端側が所定量だけ突出した状態に嵌合され、ユニットベース10の略中央に想定される光軸L2方向に平行な状態に固定されるようになっている。
【0026】
第2ガイドシャフト32は、図5ないし図9に示すように、円形断面をなして光軸L2方向に伸長するように形成され、ユニットベース10の後端壁12の固定用嵌合孔14b及び前端壁13の固定用嵌合孔14bに嵌合して固定され、光軸L2と平行なガイド方向を規定すると共に各光学ユニット(可動レンズ群50,シャッタユニット60,可動レンズ群70,像振れ補正ユニット80)が第1ガイドシャフト31回りに回転するのを規制するように形成されている。
すなわち、第2ガイドシャフト32は、各光学ユニット(可動レンズ群50,シャッタユニット60,可動レンズ群70,像振れ補正ユニット80)がユニットベース10内に配置された状態で、例えば、後端壁12の固定用嵌合孔14bに通されて、各光学ユニットの第2嵌合孔51c,61g,71c,81cに通され、さらに前端壁13の固定用嵌合孔14bに通されて、後端壁12から光軸L2方向の後方にその一端側が所定量だけ突出しかつ前端壁13から光軸L2方向の前方にその他端側が所定量だけ突出した状態に嵌合され、ユニットベース10の略中央に想定される光軸L2方向に平行な状態に固定されるようになっている。
【0027】
そして、第1ガイドシャフト31は、可動レンズ群50,70(上の光軸)を基準となる光軸L2に一致させつつ光軸L2方向に摺動自在にガイドすると共に、シャッタユニット60及び像振れ補正ユニット80を光軸L2方向に摺動自在に組み込むことで、シャッタユニット60及び像振れ補正ユニット80(上の光軸)を基準となる光軸L2に一致させる役割をなすようになっている。
また、第2ガイドシャフト32は、可動レンズ群50,70が第1ガイドシャフト31回りに回転するのを規制しつつ光軸L2方向に摺動自在にガイドすると共に、シャッタユニット60及び像振れ補正ユニット80を光軸L2方向に摺動自在に組み込むことで(但し、ユニットベース10の位置決め凹部16,17により光軸L2方向の所定位置に位置決めして固定される)、シャッタユニット60及び像触れ補正ユニット80が第1ガイドシャフト31回りに回転するのを規制する役割をなすようになっている。
【0028】
固定レンズ群40は、図7に示すように、レンズG1を含み、ユニットベース10の固定部15に嵌め込まれて固定されるように形成されている。
可動レンズ群50は、図3ないし図6に示すように、レンズG2、レンズG2を保持するレンズ保持枠51等を備えている。
そして、可動レンズ群50は、図3ないし図6に示すように、モータ52、モータ52に直結されたリードスクリュー53、リードスクリュー53に螺合されたナット54、付勢バネ55等により構成される駆動機構により、光軸L2方向に適宜駆動されてズーム動作を行うようになっている。
【0029】
レンズ保持枠51は、図3及び図5に示すように、開口部を覆うようにレンズG2を嵌め込んで保持する保持部51a、第1ガイドシャフト31を摺動自在に嵌合させる円形状の第1嵌合孔51b、第1ガイドシャフト31回りの回転を規制するべく第2ガイドシャフト32を摺動自在に嵌合させる長孔状の第2嵌合孔51c、ナット54を当接させる当接部51d、付勢バネ55の一端を掛止する掛止部51e等を備えている。
ここで、可動レンズ群50は、レンズ保持枠51の保持部51a(開口部の中心,光軸)に対する第1嵌合孔51b及び第2嵌合孔51cの離隔距離に関する寸法等が管理されて製造される。
【0030】
シャッタユニット60は、図12ないし図14に示すように、レンズG3、レンズG3を保持するレンズ保持枠61、レンズ保持枠61内に配置されたシャッタ(不図示)及びその駆動機構(不図示)等を備え、全体の光学撮像系においてシャッタ動作を行うようになっている。
レンズ保持枠61は、図12ないし図15に示すように、円形の開口部61a、開口部61aを覆うようにレンズG3を嵌め込んで保持する保持凹部61b、保持凹部61b内でかつ開口部61aの周りに形成された3つの受け面61c、受け面61cよりも光軸L2方向に段下がりに形成されて接着剤を充填し得る接着剤溝61d、受け面61cよりも光軸L2方向に段下がりでかつ接着剤溝61dよりも光軸L2方向に段上がりに形成されて接着剤が開口部61a内に流れ込むのを防止する防止壁61e、第1ガイドシャフト31を摺動自在に嵌合させる円形状の第1嵌合孔61f、第1ガイドシャフト31回りの回転を規制するべく第2ガイドシャフト32を摺動自在に嵌合させる長孔状の第2嵌合孔61g、ユニットベース10の3つの位置決め凹部16に嵌め込まれる3つの位置決め突起61h等を備えている。
【0031】
3つの位置決め突起61hは、光軸L2方向において同一の厚みをなす平板状に光軸L2に垂直な方向に突出して形成されている。
ここで、シャッタユニット60は、レンズ保持枠61の保持凹部61a(開口部の中心,光軸)に対する第1嵌合孔61f及び第2嵌合孔61gの離隔距離に関する寸法等が管理されて製造される。
また、レンズ保持枠61は、3つの受け面61c、接着剤溝61d、防止壁61eを備えているため、レンズ保持枠61にレンズG3を嵌め込んで固定する際に、レンズG3の外縁部を光軸L2方向において3つの受け面61cに当接させ、接着剤溝61dに接着剤を注入しても、防止壁61eにより、接着剤溝61dに注入された接着剤が受け面61cを乗り上げて開口部61aまで流れ込むのを防止でき、それ故に、接着剤によるレンズG3の浮き上がり(傾き)を防止でき、レンズG3を所定の位置に高精度に固定することができる。
【0032】
可動レンズ群70は、図3ないし図6に示すように、レンズG4、レンズG4を保持するレンズ保持枠71等を備えている。
そして、可動レンズ群70は、図3ないし図6に示すように、モータ72、モータ72に直結されたリードスクリュー73、リードスクリュー73に螺合されたナット74、可動レンズ群50と共用の付勢バネ55等により構成される駆動機構により、光軸L2方向に適宜駆動されてフォーカス動作を行うようになっている。
レンズ保持枠71は、開口部を覆うようにレンズG4を嵌め込んで保持する保持部71a、第1ガイドシャフト31を摺動自在に嵌合させる円形状の第1嵌合孔71b、第1ガイドシャフト31回りの回転を規制するべく第2ガイドシャフト32を摺動自在に嵌合させる長孔状の第2嵌合孔71c、ナット74を当接させる当接部71d、付勢バネ55の他端を掛止する掛止部71e等を備えている。
ここで、可動レンズ群70は、レンズ保持枠71の保持部71a(開口部の中心,光軸)に対する第1嵌合孔71b及び第2嵌合孔71cの離隔距離に関する寸法等が管理されて製造される。
【0033】
像振れ補正ユニット80は、図3ないし図5、図16に示すように、固定枠81、レンズG5、レンズG5を保持する可動枠82、固定枠81及び可動枠82に設けられて可動枠82を光軸L2に垂直な平面内で二次元的に移動自在に支持する支持機構及び可動枠82を駆動する駆動機構等を備え、全体の光学撮像系において手振れ等による像振れを補正する補正動作を行うようになっている。
固定枠81は、図16(a),(b)に示すように、開口部81a、第1ガイドシャフト31を摺動自在に嵌合させる円形状の第1嵌合孔81b、第1ガイドシャフト31回りの回転を規制するべく第2ガイドシャフト32を摺動自在に嵌合させる長孔状の第2嵌合孔81c、ユニットベース10の3つの位置決め凹部17に嵌め込まれる3つの位置決め突起81d等を備えている。
【0034】
3つの位置決め突起81dは、光軸L2方向において同一の厚みをなす平板状に光軸L2に垂直な方向に突出して形成されている。
可動枠82は、レンズG5を保持する保持部82a等を備え、固定枠81により画定される内部空間において光軸L2に垂直な平面内において二次元的に移動自在に支持されている。
ここで、像振れ補正ユニット80は、固定枠81の開口部81a(開口部の中心,光軸)及び可動枠82の保持部81a(開口部の中心,光軸)に対する第1嵌合孔81b及び第2嵌合孔81cの離隔距離に関する寸法等が管理されて製造される。
【0035】
光学フィルタ90は、図3、図4、図8に示すように、フィルタ本体91、矩形状の保持枠92を含み、ユニットベース10の固定部18に嵌め込まれて固定されるように形成されている。
【0036】
センサユニット100は、図2(b)、図4、図8に示すように、平板状のホルダプレート101、ホルダプレート101に固定された撮像素子102、撮像素子102の周りの取り囲むように形成された矩形筒状のゴム部材103を備えている。
ホルダプレート101は、撮像素子102を固定する固定部101a、第1ガイドシャフト31を摺動自在に嵌合させる第1嵌合孔101b、第1ガイドシャフト31回りの回転を規制するべく第2ガイドシャフト32を摺動自在に嵌合させる長孔状の第2嵌合孔101c、3つのネジを通す3つの貫通孔101d等を備えている。
ここで、センサユニット100は、ホルダプレート101の固定部101aの中心(撮像素子102の撮像面の中心)に対する第1嵌合孔101b及び第2嵌合孔101cの離隔距離に関する寸法等が管理されて製造される。
【0037】
そして、センサユニット100をユニットベース10に組み付ける際に、センサユニット100の第1嵌合孔101b及び第2嵌合孔101cにユニットベース10の後端壁12から突出した第1ガイドシャフト31及び第2ガイドシャフト32をそれぞれ嵌合させ、ユニットベース10(後端壁12)との間に、ゴム部材103を挟みこみ、かつ、圧縮バネ104を溜め部12bに差し込むように介在させて、3つのネジBをそれぞれ貫通孔101d及び圧縮バネ104に通し、ユニットベース10のネジ穴12aにねじ込むと共にそれぞれのねじ込み量を調整しつつ、センサユニット100(撮像素子102の撮像面)の光軸L2に対する傾きを調整し、その後、溜め部12bに接着剤を注入する。
これにより、第1ガイドシャフト31及び第2ガイドシャフト32を基準として、光軸L2に対してセンサユニット100(の撮像素子102の中心)の光軸合わせを行うことができると共に、光軸L2に対する傾きを調整する(光軸L2に対して撮像素子の撮像面を垂直に方向付ける)ことができ、さらに、ネジBを固着して弛まないように堅固に固定することができる。
【0038】
プリズムユニット110は、図1、図2(a)、図3、図4、図5、図7に示すように、光軸をL1からL2に屈曲させるプリズム111、プリズム111等を保持するホルダ112等を備えている。
ホルダ112は、プリズム111等を保持して固定する固定部112a、第1ガイドシャフト31を摺動自在に嵌合させる第1嵌合孔112b、第1ガイドシャフト31回りの回転を規制するべく第2ガイドシャフト32を摺動自在に嵌合させる長孔状の第2嵌合孔112c、3つのネジBを通す3つの貫通孔112d、前端壁13の平坦面13bに対向する平坦面112e等を備えている。
ここで、プリズムユニット110は、ホルダ112の固定部112aの中心(プリズム111の中心)に対する第1嵌合孔112b及び第2嵌合孔112cの離隔距離に関する寸法等が管理されて製造される。
【0039】
そして、プリズムユニット110をユニットベース10に組み付ける際に、プリズムユニット110の第1嵌合孔112b及び第2嵌合孔112cにユニットベース10の前端壁13から突出した第1ガイドシャフト31及び第2ガイドシャフト32をそれぞれ嵌合させ、3つのネジBをそれぞれ貫通孔112dに通し、ユニットベース10のネジ穴13aにねじ込むと共に、必要に応じて、プリズムユニット110(のホルダ112の平坦面112e)とユニットベース10(の前端壁13の平坦面13b)の間のネジBのねじ込み領域にスペーサシート120を挟みこんで、プリズムユニット110の光軸L2に対する傾きを調整しさらにねじ込んで締結する。すなわち、プリズムユニット110をユニットベース10にネジBにより締結する際に、ネジBに対応した領域に適宜スペーサシート120を挟み込むことで、プリズムユニット110の光軸L2に対する傾きを容易に調整することができる。
【0040】
ここで、スペーサシート120は、想定される傾き調整の範囲において、例えば3種類の厚さをなすものを予め準備しておき、必要に応じて厚さの異なるスペーサシート120を挟み込むことで、金型の変更等により成形品の寸法にバタツキが生じた場合であっても、容易に傾き調整を行うことができる。
また、スペーサシート120は、図7に示すように、馬蹄形(略U字状)をなし、ネジBの周りに挿入されると共にネジBの締め付けにより平坦面13bと平坦面112eの間に挟持されるようになっている。
すなわち、プリズムユニット110をユニットベース10に組み付ける際に、光軸合わせは第1ガイドシャフト31及び第2ガイドシャフト32で行い、光軸L2に対する傾き調整は、スペーサシート120を適宜挟み込むことにより行うことができるため、製造コストの低減を達成しつつ、簡単な組み付け作業にて高精度に光軸合わせ及び傾き調整を行うことができる。
【0041】
次に、この光学装置の組付けについて説明する。
先ず、ユニットベース10に対して、固定部15,18に固定レンズ群40及び光学フィルタ90を固定し、固定部19に駆動機構(ナット54を螺合したリードスクリュー53を直結するモータ52、ナット74を螺合したリードスクリュー73を直結するモータ72)を取り付け、ユニットベース10の開口部11から、各光学ユニット(可動レンズ群50、シャッタユニット60、可動レンズ群70、及び像触れ補正ユニット80)を挿入して配置し、その状態を保持して、第1ガイドシャフト31及び第2ガイドシャフト32を、各光学ユニットの第1嵌合孔51b,61f,71b,81b及び第2嵌合孔51c,61g,71c,81cに摺動させて嵌合させると共に、ユニットベース10の固定用嵌合孔14a,14bに嵌合させて固定する。
このように、第1ガイドシャフト31及び第2ガイドシャフト32を串刺し状に嵌合して組み付けることにより、第1ガイドシャフト31及び第2ガイドシャフト32を基準として、全ての光学ユニットの光軸を光軸L2上に一致させるように組み付けることができる。
【0042】
続いて、センサユニット100をユニットベース10に組み付けるべく、センサユニット100の第1嵌合孔101b及び第2嵌合孔101cにユニットベース10の後端壁12から突出した第1ガイドシャフト31及び第2ガイドシャフト32をそれぞれ嵌合させ、ユニットベース10(後端壁12)との間に、ゴム部材103を挟みこみ、かつ、圧縮バネ104を溜め部12bに差し込むように介在させて、3つネジBをそれぞれ貫通孔101d及び圧縮バネ104に通し、ユニットベース10のネジ穴12aにねじ込むと共にそれぞれのねじ込み量を調整しつつ、センサユニット100(撮像素子102の撮像面)の光軸L2に対する傾きを調整し、その後、溜め部12bに接着剤を注入する。
このように、第1ガイドシャフト31及び第2ガイドシャフト32を基準として、光軸L2に対してセンサユニット100(の撮像素子102の中心)の光軸合わせを行うことができると共に、光軸L2に対する傾きを調整する(光軸L2に対して撮像素子の撮像面を垂直に方向付ける)ことができ、さらに、ネジBを固着して弛まないように堅固に固定することができる。
【0043】
さらに、プリズムユニット110をセンサベース10に組み付けるべく、プリズムユニット110の第1嵌合孔112b及び第2嵌合孔112cにユニットベース10の前端壁13から突出した第1ガイドシャフト31及び第2ガイドシャフト32をそれぞれ嵌合させ、3つのネジBをそれぞれ貫通孔112dに通し、ユニットベース10のネジ穴13aにねじ込むと共に、必要に応じて、プリズムユニット110(のホルダ112の平坦面112e)とユニットベース10(の前端壁13の平坦面13b)の間のネジBのねじ込み領域にスペーサシート120を挟みこんで、プリズムユニット110の光軸L2に対する傾きを調整しさらにねじ込んで締結する。
このように、第1ガイドシャフト及び第2ガイドシャフトを基準として、光軸L2に対してプリズムユニット110(のプリズム111の中心)の光軸合わせを行うことができると共に、スペーサシート120を適宜挟み込むことにより光軸L2に対する傾き調整を容易に行うことができ、製造コストの低減を達成しつつ、簡単な組み付け作業にて高精度に光軸合わせ及び傾き調整を行うことができる。
【0044】
上記のように、複数の光学ユニット(可動レンズ群50,70及びシャッタユニット60、像振れ補正ユニット80)、センサユニット100、及びプリズムユニット110は、それぞれ第1嵌合孔51b,61f,71b,81b,101b,112b及び第2嵌合孔51c,61g,71c,81c,101c,112cと光軸L2との間の寸法精度を管理して(すなわち、組み上がり製品の公差範囲として、2つのガイドシャフト31,32に係合する部分に関する寸法に限定して管理して)製造し、ユニットベース10に嵌合固定される第1ガイドシャフト31及び第2ガイドシャフト32に組み付けるだけで、製造コストの低減を達成しつつ、簡単な組み付け作業にて高精度に光軸合わせを行うことができる。
【0045】
上記実施形態においては、光学装置として、ユニットベース10に対して、複数の光学ユニット(可動ユニットとしての可動レンズ群50、固定ユニットとしてのシャッタユニット60、可動ユニットとしての可動レンズ群70、固定ユニットとしての像触れ補正ユニット80)、センサユニット100、及びプリズムユニット110を含む構成を示したが、これに限定されるものではなく、複数の光学ユニットとして可動ユニットのみ又は固定ユニットのみを含んでいてもよく、又、プリズムユニット110を含まない構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上述べたように、本発明の光学装置は、それぞれの部品(光学要素)の製造精度を高めることなく、構造の簡素化、低コスト化、組付け作業の容易化等を達成しつつ、光軸に対する傾き(煽り)の調整、光軸方向における位置の調整等を高精度に行うことができるため、小型化及び薄型化が要求されるデジタルカメラあるいはデジタルビデオカメラ、さらには携帯電話機等に搭載されるデジタルカメラ等に適用することができるのは勿論のこと、通常のデジタルカメラ、あるいはその他の携帯型の光学機器、さらにはこれを組み込んだパーソナルコンピュータ等においても有用である。
【符号の説明】
【0047】
L1,L2 光軸
10 ユニットベース
11 開口部
12 後端壁
12a ネジ穴
12b 溜め部
13 前端壁
13a ネジ穴
13b 平坦面
14a,14b 固定用嵌合孔
15 固定部
16 位置決め凹部
16a 突条部
17 位置決め凹部
17a 突条部
18 固定部
19 固定部
20 カバー
31 第1ガイドシャフト
32 第2ガイドシャフト
40 固定レンズ群
G1 レンズ
50 可動レンズ群(可動ユニット、光学ユニット)
G2 レンズ
51 レンズ保持枠
51a 保持部
51b 第1嵌合孔
51c 第2嵌合孔
51d 当接部
51e 掛止部
52 モータ
53 リードスクリュー
54 ナット
55 付勢バネ
60 シャッタユニット(固定ユニット、光学ユニット)
G3 レンズ
61 レンズ保持枠
61a 開口部
61b 保持凹部
61c 受け面
61d 接着剤溝
61e 防止壁
61f 第1嵌合孔
61g 第2嵌合孔
61h 位置決め突起
70 可動レンズ群(可動ユニット、光学ユニット)
G4 レンズ
71 レンズ保持枠
71a 保持部
71b 第1嵌合孔
71c 第2嵌合孔
71d 当接部
71e 掛止部
80 像触れ補正ユニット(固定ユニット、光学ユニット)
G5 レンズ
81 固定枠
81a 開口部
81b 第1嵌合孔
81c 第2嵌合孔
81d 位置決め突起
82 可動枠
82a 保持部
90 固定レンズ群
91 フィルタ本体
92 保持枠
100 センサユニット
101 ホルダプレート
101a 固定部
101b 第1嵌合孔
101c 第2嵌合孔
101d 貫通孔
102 撮像素子
103 ゴム部材
104 圧縮バネ
B ネジ
110 プリズムユニット
111 プリズム
112 ホルダ
112a 固定部
112b 第1嵌合孔
112c 第2嵌合孔
112d 貫通孔
112e 平坦面
120 スペーサシート
B ネジ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学像を結像させるべく光軸方向に配列されて光軸方向に可動な可動ユニット又は光軸方向に不動の固定ユニットを含む複数の光学ユニットと、
前記可動ユニット又は固定ユニットを内部に収容するユニットベースと、
撮像素子を保持して前記ユニットベースの後端壁に連結されるセンサユニットと、
光軸方向に伸長するように前記ユニットベースに配置された第1ガイドシャフト及び第2ガイドシャフトと、を備えた光学装置であって、
前記ユニットベースは、前記第1ガイドシャフト及び第2ガイドシャフトを、その端壁から突出させるように嵌合させて固定する固定用嵌合孔を有し、
前記可動ユニット又は固定ユニットと前記センサユニットは、それぞれ、前記第1ガイドシャフトを摺動自在に嵌合させる第1嵌合孔と、前記第1ガイドシャフト回りの回転を規制するべく前記第2ガイドシャフトを摺動自在に嵌合させる第2嵌合孔を有する、
ことを特徴とする光学装置。
【請求項2】
前記複数の光学ユニットは、光軸を屈曲させるプリズムを保持して前記ユニットベースの前端壁に連結されるプリズムユニットを含み、
前記プリズムユニットは、前記第1ガイドシャフトを摺動自在に嵌合させる第1嵌合孔と、前記第1ガイドシャフト回りの回転を規制するべく前記第2ガイドシャフトを摺動自在に嵌合させる第2嵌合孔を有し、前記第1嵌合孔及び第2嵌合孔に前記ユニットベースの前端壁から突出した第1ガイドシャフト及び第2ガイドシャフトをそれぞれ嵌合させた後に前記ユニットベースに複数のネジを用いて締結されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記プリズムユニットと前記ユニットベースの前端壁との間には、前記プリズムユニットの光軸に対する傾きを調整するべく,前記複数のネジに対応した領域にそれぞれスペーサシートが挟み込まれ得るように形成されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記センサユニットは、前記複数のネジを通す複数の貫通孔を有し、
前記ユニットベースは、前記複数のネジをねじ込むための複数のネジ穴と、前記複数のネジ穴の周りにそれぞれ形成されて接着剤を溜める複数の溜め部を有し、
前記センサユニットは、前記第1嵌合孔及び第2嵌合孔に前記ユニットベースの後端壁から突出した第1ガイドシャフト及び第2ガイドシャフトをそれぞれ嵌合させた後に前記ユニットベースとの間に圧縮バネを介在させて前記複数のネジを用いて締結され、前記溜め部に注入された接着剤により固着されている、
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれかに記載の光学装置。
【請求項5】
前記ユニットベースは、前記固定ユニットを光軸方向の所定位置に位置決めするべく形成された3つの位置決め凹部を有し、
前記固定ユニットは、前記ユニットベースの3つの位置決め凹部に嵌め込まれる3つの位置決め突起を有する、
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれかに記載の光学装置。
【請求項6】
前記可動ユニット又は固定ユニットは、レンズと、開口部を画定すると共に前記開口部を覆うように前記レンズの外縁部を嵌め込んで保持するレンズ保持枠を含み、
前記レンズ保持枠は、前記レンズの外縁部を光軸方向において受ける3つの受け面と、前記受け面よりも段下がりに形成されて接着剤を充填し得る接着剤溝と、前記受け面よりも段下がりでかつ前記接着剤溝よりも段上がりに形成されて接着剤が前記開口部内に流れ込むのを防止する防止壁を有する、
ことを特徴とする請求項1ないし5いずれかに記載の光学装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−76920(P2013−76920A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217745(P2011−217745)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000001225)日本電産コパル株式会社 (755)
【Fターム(参考)】