説明

光導波路の製造方法及びドライフィルムレジスト

【課題】光損失が少ない光導波路の製造方法を提供する。
【解決手段】下記(I)〜(III)の工程を含む光導波路の製造方法。(I)基板2上に形成された下部クラッド1上に、下から順に、光ラジカル開始剤及び重合性化合物を含有する光硬化性樹脂組成物層4、並びに水溶性非光硬化性樹脂組成物層3が形成される工程。(II)コア部8を形成するために、フォトマスク6を使用して上記光硬化性樹脂組成物層4を露光する露光工程。(III)上記光硬化性樹脂組成物層4の未露光部分及び上記水溶性非光硬化性樹脂組成物層3をアルカリ現像液で除去するアルカリ現像工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にネガ型フォトレジストを用いた光導波路の製造方法及び光導波路に好適に使用できるドライフィルムレジストに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光部品の小型化・低コスト化を目指して、光導波路及びこれを用いた光集積回路や光モジュールの研究が活性化している。特に、ポリマー材料を用いた光導波路は、塗布等の方法により基板上に容易に作製でき量産性も優れて低コスト化も期待できることから、近年注目されており、光導波路のパターンの形成にフォトレジストを使用することも提案されている。光導波路に用いられるポリマー材料としては、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリシロキサン等の透明性の高い樹脂が挙げられる。特にポリシロキサンは、透明性及び耐熱性に優れたポリマー材料であり、ポリシロキサンを使用した光導波路(例えば、特許文献1を参照)は、耐熱性が要求される用途、例えば、光導波路が形成された基板への光学素子の表面実装への応用が期待できる。
【0003】
光導波路の形成は、ポジ型フォトレジストやネガ型フォトレジストを用いて行われている。ネガ型フォトレジストを用いる場合は、パターン化された光を照射することにより、ネガ型フォトレジストの露光部分の現像液への溶解性が低下し、現像後に非露光部分が現像液に溶解・分散することにより、露光部分のパターンが形成される。
【0004】
ポリシロキサン系のネガ型フォトレジストとしては、アクリル系ポリマーとエポキシポリシロキサンとの配合物(例えば、特許文献2を参照)、アクリル系ポリマーのシロキサン変性物(例えば、特許文献3を参照)が知られている。
【0005】
しかしながら、特許文献1〜3記載の樹脂を使用したネガ型フォトレジストは、硬化物自体の透明性は高いが、ネガ型フォトレジストの原料となる光硬化性樹脂組成物を塗布した基板をパターン露光し、現像して不要な部分を除去し、必要なパターンを形成する方法により光導波路を製造すると、光損失が高くなってしまうという問題があった。
【0006】
これまで、密着性の向上及び酸素遮断を目的として、光硬化性樹脂組成物層と支持フィルム層の間に非光硬化性樹脂組成物層としてポリビニルアルコール層を設けたドライフィルムレジスト(例えば、特許文献4及び特許文献5を参照)が知られているが、このようなドライフィルムレジストのポリマー型光導波路への応用は知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−195175号公報
【特許文献2】特開平8−320564号公報
【特許文献3】特開2008−209739号公報
【特許文献4】特開平2−213849号公報
【特許文献5】特開平5−72724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、光損失が少ない光導波路の製造方法を提供すること及び該製造方法に有用な光導波路用ドライフィルムレジストを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は上記に鑑み鋭意研究の結果、本発明に到達した。
即ち、本発明は、下記(I)〜(III)の工程を含む光導波路の製造方法を提供するも
のである。
(I)基板上に形成された下部クラッド上に、下から順に、光ラジカル開始剤及び重合性
化合物を含有する光硬化性樹脂組成物層、並びに水溶性非光硬化性樹脂組成物層が形成される工程
(II)コア部を形成するために、フォトマスクを使用して上記光硬化性樹脂組成物層を露光する露光工程
(III)上記光硬化性樹脂組成物層の未露光部分及び上記水溶性非光硬化性樹脂組成物層をアルカリ現像液で除去するアルカリ現像工程
【0010】
また、本発明は、支持フィルム上に、水溶性非光硬化性樹脂組成物層、光ラジカル開始剤及び重合性化合物を含有する光硬化性樹脂組成物層、必要に応じ保護フィルムがこの順で形成されていることを特徴とするドライフィルムレジストを提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果は、光損失の少ない光導波路の製造方法及び該製造方法に有用な光導波路用ドライフィルムレジストを提供したことにある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の光導波路の製造方法の一例を模式的に示す工程図である。
【図2】図2は、本発明のドライフィルムレジストの一例を示す断面の模式図である。
【図3】図3は、上部又は下部クラッド形成用ドライフィルムレジストの一例を示す断面の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の光導波路の製造方法及びドライフィルムレジストについて、好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
本発明の光導波路の製造方法は、下記(I)〜(III)の工程を含む製造方法であり、
光損失が少ない光導波路を提供できる。
(I)基板上に形成された下部クラッド上に、下から順に、光ラジカル開始剤及び重合性
化合物を含有する光硬化性樹脂組成物層、並びに水溶性非光硬化性樹脂組成物層が形成される工程
(II)コア部を形成するために、フォトマスクを使用して上記光硬化性樹脂組成物層を露光する露光工程
(III)上記光硬化性樹脂組成物層の未露光部分及び上記水溶性非光硬化性樹脂組成物層をアルカリ現像液で除去するアルカリ現像工程
以下、本発明の光導波路の製造方法について、図1〜図3を用いて、各工程順に説明する。
尚、図1は、本発明の光導波路の製造方法の一例を模式的に示す工程図である。図1中、1は下部クラッド、2は基板、3は水溶性非光硬化性樹脂組成物層、4は光硬化性樹脂組成物層、5は活性エネルギー線、6はフォトマスク、7は未露光部分、8はコア部及び9は上部クラッドを示している。また図2は、本発明のドライフィルムレジストの一例を示す断面の模式図である。図2中、3は水溶性非光硬化性樹脂組成物層、4は光硬化性樹脂組成物層、10は支持フィルム、11は保護フィルム、12はドライフィルムレジストを示している。
また図3は、主として、上部クラッド9又は下部クラッド1の形成に使用されるドライフィルムレジストの一例を示す断面の模式図である。図3中、4は光硬化性樹脂組成物層、10は支持フィルム、11は保護フィルム、13はドライフィルムレジストを示している。
【0014】
本発明の光導波路の製造方法では、先ず、(I)工程に入る前工程として、図1(a)に示すように、基板2上に、下部クラッド形成用の光硬化性樹脂組成物層を形成し、この光硬化性樹脂組成物層を硬化させて、所望の厚さの下部クラッド1を形成する。
【0015】
光硬化性樹脂組成物を用いた下部クラッド1の形成は、光硬化性樹脂組成物を基板2上に塗布した後、常法により硬化させてもよいし、図3に示す光硬化性樹脂組成物層4を保護フィルム11と支持フィルム10でラミネートしたドライフィルムレジスト13を使用してもよい。
【0016】
ドライフィルムレジスト13を用いる場合には、ドライフィルムレジスト13の保護フィルム11を剥離し、光硬化性樹脂組成物層4の面を基板2に貼り合わせた後、常法により硬化させるとよい。
【0017】
下部クラッド形成用の光硬化性樹脂組成物としては、屈折率がコア部8より低い樹脂であれば、特に限定されないが、硬化後の線膨張係数がコア部8と近いものを使用することが好ましく、後述するコア部8の好ましい樹脂と同じ樹脂を使用することがより好ましい。
【0018】
下部クラッド1が形成される基板2としては、基板として使用されているものならば特に限定されず、用途に応じて、シリコン基板、ガラス基板、金属板、プラスチックス板等が用いられる。尚、基板の厚さは特に限定されない。
【0019】
<(I)工程>
本工程では、図1(b)に示すように、基板2上に形成された下部クラッド1上に、下から順に、光硬化性樹脂組成物層4、及び水溶性非光硬化性樹脂組成物層3を形成する。
【0020】
光硬化性樹脂組成物層4及び水溶性光硬化性樹脂組成物層3は、塗布等の方法により2段階で形成してもよいし、図2に示す本発明のドライフィルムレジスト12を用いて1段階で形成してもよい。
塗布により上記2層の形成を行う場合は、図1(b)に示すように、下部クラッド1上に光硬化性樹脂組成物層4を形成させ、その上に水溶性非光硬化性樹脂組成物層3を形成すればよい。
また、本発明のドライフィルムレジスト12を使用することにより上記2層を形成する場合は、図2に示すコア部形成用に作製したドライフィルムレジスト12から保護フィルム11を剥離し、下部クラッド1に、光硬化性樹脂組成物層4の面を張り合わせることで、光硬化性樹脂組成物層4及び水溶性非光硬化性樹脂組成物層3を形成すればよい。
上記2層の形成方法としては、操作が簡略になり、大量生産に適しているため、本発明のドライフィルムレジスト12を使用するほうが好ましい。
【0021】
上述した塗布により層を形成する場合の塗布方法は、特に限定されず、例えば、浸漬塗工、フロー塗工、刷毛塗工、スプレー塗工、押出塗工、スピン塗工、ロール塗工、バー塗工等を使用することができ、スクリーン塗工やロール転写等の方法によればパターニングされた膜形成をすることができる。
【0022】
水溶性非光硬化性樹脂組成物3を塗布する際に使用できる溶剤としては上記水溶性非光硬化性樹脂組成物が溶解すれば特に限定されるものではないが、メタノールやエタノール等の水溶性のアルコール又は水を使用することが好ましく、水がより好ましい。
【0023】
水溶性非光硬化性樹脂組成物層3の膜厚は、特に限定されないが通常2〜50μmの範囲内であり、3〜10μmの範囲内が好ましい。膜厚が2μm未満の場合、均一なフィルムを製造することが困難となる場合があり、膜厚が50μmを超える場合、アルカリ現像液の使用量が増加する場合や、現像に時間がかかる場合がある。
【0024】
水溶性非光硬化性樹脂組成物層3に使用される水溶性非光硬化性樹脂は、アルカリ水溶液に可溶であり、光硬化性樹脂組成物層4に使用される重合性化合物が有する重合性基(重合性のアクリル基、メタアクリル基等)を有さない樹脂である。かかる水溶性非光硬化性樹脂としては、公知の樹脂を使用すればよく、例えば、特開平2−213849号公報及び特開平5−72724号公報に記載の樹脂等が挙げられる。
具体的には、ポリビニルエーテル/無水マレイン酸重合体、カルボキシアルキルセルロースの水溶性塩、カルボキシアルキル澱粉の水溶性塩、水溶性セルロースエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、各種のポリアクリルアミド類、各種の水溶性ポリアミド類、ポリアクリル酸の水溶性塩、ゼラチン、エチレンオキサイド重合体、各種の澱粉及びその類似物からなる群の水溶性塩、スチレン/マレイン酸の共重合体、及びマレイネート樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、透過性が高く、溶剤溶解性に優れるため、ポリビニルアルコール又はポリビニルピロリドンを使用することが好ましく、ポリビニルアルコールを使用することがより好ましい。水溶性非光硬化性樹脂組成物は1種単独で使用しても2種以上で使用してもよい。
【0025】
光硬化性樹脂組成物層4を塗布により形成する場合は、溶剤を使用してもよい。溶剤を使用する場合は、光硬化性樹脂組成物層4を形成した後に、層中の溶剤を除去する目的で加熱処理を行う。加熱処理の条件は、使用した溶剤の沸点や蒸気圧、光硬化性樹脂組成物層4の厚さ、層を形成した対象物の耐熱温度に応じて、適宜選択されるが、60〜150℃で30秒〜10分の加熱処理が目安となる。
【0026】
使用できる溶剤としては、例えば、ベンゼン、キシレン、トルエン、エチルベンゼン、スチレン、トリメチルベンゼン、ジエチルベンゼン、テトラヒドロナフタレン等の芳香族炭化水素化合物;ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、イソヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、イソノナン、デカン、イソデカン、イソドデカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メンタン、デカヒドロナフタレン等の飽和炭化水素化合物;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸シクロヘキシル等のエステル系溶媒;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールエステル系溶媒等が挙げられる。これらの溶剤は、単独あるいは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
光硬化性樹脂組成物層4の膜厚は、特に限定されないが、用いられる光源やファイバーに合わせた膜厚が好ましく、光導波路としての性能を維持するために3〜100μmであることが好ましい。
【0028】
光硬化性樹脂組成物層4に使用される光硬化性樹脂組成物は、光ラジカル開始剤及び重合性化合物を含有することを特徴とする。光ラジカル開始剤は特定波長の光によりラジカルを発生する化合物であり、ラジカルを発生することで光ラジカル重合の開始剤として使用される化合物である。重合性化合物は重合性のアクリル基、メタクリル基等の置換基を有するラジカル重合性の化合物である。
【0029】
<重合性化合物>
光硬化性樹脂組成物に使用される重合性化合物としては、例えば、単官能アクリル化合物、多官能アクリル化合物、重合性シロキサン化合物等が挙げられる。
尚、本発明において多官能アクリル化合物とは、ケイ素を含まないアクリル基又はメタクリル基を少なくとも2つ有するアクリル化合物をいい、例えば、多官能アクリレート化合物、多官能エポキシアクリレート化合物、多官能ウレタンアクリレート化合物等が挙げられる。
【0030】
上記単官能アクレート化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ) アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等の(メタ)アクリル酸系モノマー等が挙げられる。
これらの単官能アクリレート化合物の中でも、硬化時間が早いため、アクリル基を有する化合物が好ましい。
【0031】
上記多官能アクリル化合物の一つである多官能アクリレート化合物としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
【0032】
上記多官能アクリル化合物の一つである上記多官能エポキシアクリレート化合物は、グリシジル基、脂環式エポキシ基等のエポキシ環を有するエポキシ化合物に(メタ)アクリル酸を付加反応させた化合物である。エポキシアクリレート化合物に用いられるエポキシ化合物としては、例えば、フェノールノボラックポリグリシジルエーテル、クレゾールノボラックポリグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ化合物;トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ネオペンチルジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ化合物;トリグリシジルイソシアヌレート、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等のヘテロ環構造を有するエポキシ化合物;3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、イソプロピリデンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキシド、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、1,2−エポキシ−2−エポキシエチルシクロヘキサン等の脂環族エポキシ化合物等が挙げられる。エポキシアクリレート化合物は、以上挙げたエポキシ化合物に(メタ)アクリル酸等を付加させることにより得ることができる。
【0033】
上記多官能アクリル化合物の一つである上記多官能ウレタンアクリレート化合物は、イソシアネート基を少なくとも2つ有するイソシアネート化合物のイソシアネート基に、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するアクリル化合物の水酸基を反応させた化合物である。ウレタンアクリレート化合物に用いられるウレタン化合物としては、例えば、パラフェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)等の脂環族イソシアネート化合物等が挙げられる。
【0034】
これらの多官能アクリル化合物の中でも、硬化時間が早いため、アクリル基を有する化合物が好ましい。
【0035】
上記重合性シロキサン化合物は、分子内にシロキサン構造、ラジカル重合性の反応性の官能基((メタ)アクリル基等)を1つ又は2つ以上有するシロキサン化合物であり、その分子量及び製造方法は特に限定されない。
上記重合性シロキサン化合物としては、アルカリ現像性に優れるため、カルボキシル基を有する化合物が好ましく、特に、コア部8の光硬化後のパターニング性に優れるため、下記一般式(1)で表わされる不飽和シラン化合物、下記一般式(2)で表わされるシラン化合物及び下記一般式(3)で表わされる環状シロキサン化合物を加水分解縮合反応して得られる重合性シロキサン化合物がより好ましい。
【0036】
【化1】

(式中、R1は水素原子又はメチル基を表わし、R2は炭素原子数2〜6の2価の飽和炭化水素基を表わし、R3は炭素原子数1〜4のアルキル基を表わし、X1は炭素原子数1〜4のアルコキシ基又は塩素原子を表わし、aは2又は3の数を表わす。)
【0037】
【化2】

(式中、R4は同一でも異なってもよい炭素原子数1〜4のアルキル基又は炭素原子数6〜10のアリール基を表わし、X2は炭素原子数1〜4のアルコキシ基又は塩素原子を表わし、bは1又は2の数を表わす。)
【0038】
【化3】

(式中、R5は炭素原子数1〜4のアルキル基又は炭素原子数6〜10のアリール基を表わし、X3は下記一般式(4)で表わされる基又は下記一般式(5)で表わされる基を表わし、cは1分子あたりの下記一般式(4)で表わされる基の数である1〜5の数を表わし、dは1分子あたりの下記一般式(5)で表わされる基の数である1〜5の数を表わす。但し、c+dは3〜6の数である。)
【0039】
【化4】

(式中、R6は炭素原子数2〜8の2価の炭化水素基を表わす。)
【0040】
【化5】

(式中、R7は炭素原子数2〜8の2価の脂肪族炭化水素基を表わし、R8及びR9は同一でも異なってもよい炭素原子数1〜4のアルキル基を表わし、eは2又は3の数を表わす。)
【0041】
以下、上記一般式(1)で表わされる不飽和シラン化合物、上記一般式(2)で表わされるシラン化合物及び上記一般式(3)で表わされる環状シロキサン化合物を加水分解縮合反応して得られる重合性シロキサン化合物(以下、本発明の重合性シロキサン化合物という場合がある)について説明する。
【0042】
上記一般式(1)において、R1は水素原子又はメチル基を表わし、保存安定性が良好であることから、メチル基が好ましい。
2は炭素原子数2〜6の2価の飽和炭化水素基を表わす。炭素原子数2〜6の2価の飽和炭化水素基としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、1−メチルエチレン、2−メチルエチレン、2−メチルプロピレン、2−メチルブチレン、3−メチルブチレン、シクロペンタン−1,3−ジイル、シクロヘキサン−1,4−ジイル等が挙げられる。
2としては、光硬化性樹脂組成物から得られる硬化物の耐熱性、及び原料となるモノマーの工業的な入手の容易さの点から、エチレン、プロピレン及びブチレンが好ましく、エチレン及びプロピレンが更に好ましく、プロピレンが最も好ましい。
【0043】
3は炭素原子数1〜4のアルキル基を表わす。炭素原子数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、2級ブチル、イソブチル、t−ブチル等が挙げられる。R3としては、加水分解反応が容易であり、耐熱性も向上することから、メチル、エチル及びプロピルが好ましく、メチル及びエチルが更に好ましく、メチルが最も好ましい。
1は炭素原子数1〜4のアルコキシ基又は塩素原子を表わす。炭素原子数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、2級ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ等が挙げられる。
1としては、加水分解反応が容易であることから、メトキシ、エトキシ及び塩素原子が好ましく、メトキシ及びエトキシが更に好ましく、メトキシが最も好ましい。aは2又は3の数を表わし、硬化物の耐熱性が向上することから、3の数が好ましい。
【0044】
aが2の数である上記一般式(1)で表わされる不飽和シラン化合物のうち、好ましい化合物としては、(3−アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)メチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピル)メチルジクロロシラン、(3−アクリロキシプロピル)エチルジメトキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)エチルジエトキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)エチルジクロロシラン、(3−メタクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−メタクリロキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(3−メタクリロキシプロピル)メチルジクロロシラン、(3−メタクリロキシプロピル)エチルジメトキシシラン、(3−メタクリロキシプロピル)エチルジエトキシシラン、(3−メタクリロキシプロピル)エチルジメトキシシラン、及び(3−メタクリロキシプロピル)エチルジクロロシラン等が挙げられる。
【0045】
aが3の数である上記一般式(1)で表わされる不飽和シラン化合物のうち、好ましい化合物としては、(3−アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)トリエトキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)トリクロロシラン、(3−メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−メタクリロキシプロピル)トリエトキシシラン、及び(3−メタクリロキシプロピル)トリクロロシラン等が挙げられる。
【0046】
上記一般式(2)において、R4は炭素原子数1〜4のアルキル基又は炭素原子数6〜10のアリール基を表わす。炭素原子数1〜4のアルキル基としては、上記一般式(1)のR3の説明で例示したアルキル基等が挙げられ、炭素原子数6〜10のアリール基としては、例えば、フェニル、エチルフェニル、トルイル、クメニル、キシリル、プソイドクメニル、メシチル、t−ブチルフェニル、ベンジル、フェネチル等が挙げられる。R4としては、耐熱性が向上することから、メチル、エチル及びフェニルが好ましく、メチル、及びフェニルが更に好ましく、フェニルが最も好ましい。
2は炭素原子数1〜4のアルコキシ基又は塩素原子を表わす。炭素原子数1〜4のアルコキシ基としては、上記一般式(1)のX1の説明で例示したアルコキシ基等が挙げられる。
2としては、加水分解反応が容易であることから、メトキシ、エトキシ及び塩素原子が好ましく、メトキシ及びエトキシが更に好ましく、メトキシが最も好ましい。bは1又は2の数を表わし、耐クラック性が向上することから、2の数が好ましい。
【0047】
上記一般式(2)で表わされるシラン化合物は1種のみを使用してもよいが、硬化物の耐熱性が向上することから、bが1の数であるシラン化合物と、bが2の数であるシラン化合物とを組み合わせて使用することが好ましい。bが1の数であるシラン化合物と、bが2の数であるシラン化合物とを組み合わせて使用する場合は、bが2の数であるシラン化合物に対する、bが1の数であるシラン化合物のモル比が0〜10であることが好ましく、0.5〜5であることが更に好ましく、1〜3であることが最も好ましい。
また、R4が異なるシラン化合物を組み合わせて使用してもよいが、少なくとも一方はR4がフェニルであるシラン化合物が好ましい。R4が異なるシラン化合物を組み合わせて使用する場合、R4のうちフェニル基の割合が10モル%以上であることが好ましく、20モル%以上であることが更に好ましく、30モル%以上であることが最も好ましい。
【0048】
bが1の数である上記一般式(2)で表わされるシラン化合物のうち好ましい化合物としては、例えば、メチルトリメトシキシシラン、メチルトリエトシキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリメトシキシシラン、エチルトリエトシキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリクロロシラン、フェニルトリメトシキシシラン、フェニルトリエトシキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、及びフェニルトリクロロシラン等が挙げられる。
bが2の数である上記一般式(2)で表わされるシラン化合物のうち好ましい化合物としては、例えば、ジメチルジメトシキシシラン、ジメチルジエトシキシシラン、ジメチルジクロロシラン、ジエチルジメトシキシシラン、ジエチルジエトシキシシラン、ジエチルジクロロシラン、メチルフェニルジメトシキシシラン、メチルフェニルジエトシキシシラン、メチルフェニルジクロロシラン、エチルフェニルジメトシキシシラン、エチルフェニルジエトシキシシラン、エチルフェニルジクロロシラン、ジフェニルジメトシキシシラン、ジフェニルジエトシキシシラン、及びジフェニルジクロロシラン等が挙げられる。
【0049】
上記一般式(3)において、R5は炭素原子数1〜4のアルキル基又は炭素原子数6〜10のアリール基を表わす。炭素原子数1〜4のアルキル基としては、上記一般式(1)のR3の説明で例示したアルキル基等が挙げられ、炭素原子数6〜10のアリール基としては、上記一般式(2)のR4の説明で例示したアリール基等が挙げられる。
5としては、耐熱性が向上することから、メチル、エチル及びフェニルが好ましく、メチル及びフェニルが更に好ましく、メチルが最も好ましい。
【0050】
3は上記一般式(4)で表わされる基又は上記一般式(5)で表わされる基を表わす。上記一般式(4)において、R6は炭素原子数2〜8の2価の炭化水素基を表わす。炭素原子数2〜8の2価の炭化水素基としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、1−メチルエチレン、2−メチルエチレン、2−メチルプロピレン、2−メチルブチレン、3−メチルブチレン等の2価の脂肪族炭化水素基;シクロペンタン−1,3−ジイル、シクロヘキサン−1,4−ジイル、2−シクロヘキシルエタン−1,4'−ジイル等の2価の脂環族炭化水素基;2−フェニルエタン−1,4'−ジイル等の2価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
6としては、光硬化性樹脂組成物から得られる硬化物の耐熱性、及び原料となるモノマーの工業的な入手の容易さの点から、エチレン、2−メチルエチレン、及び2−フェニルエタン−1,4'−ジイルが好ましく、2−メチルエチレン、及び2−フェニルエタン−1,4'−ジイルが更に好ましく、2−メチルエチレンが最も好ましい。
【0051】
上記一般式(5)において、R7は炭素原子数2〜8の2価の脂肪族炭化水素基を表わす。炭素原子数2〜8の2価の脂肪族炭化水素基としては、上記一般式(4)のR6の説明で例示した2価の脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
8及びR9は炭素原子数1〜4のアルキル基を表わす。炭素原子数1〜4のアルキル基としては、上記一般式(1)のR3の説明で例示したアルキル基等が挙げられる。
8及びR9としては、加水分解反応が容易であることから、メチル及びエチルが好ましく、メチルが更に好ましい。
eは2又は3の数を表わし、硬化後の線膨張係数が小さいため、3の数が好ましい。cは1分子あたりの上記一般式(4)で表わされる基を数である1〜5の数を表わし、dは1分子あたりの上記一般式(5)で表わされる基を数である1〜5の数を表わす。但し、c+dは3〜6の数である。
c+dとしては、原料の工業的な入手の容易さから、3〜5の数が好ましく、3〜4の数が更に好ましく、4の数が最も好ましい。
【0052】
上記一般式(3)で表わされる環状シロキサン化合物は、下記一般式(3a)で表わされる化合物のSiH基に、下記一般式(4a)で表わされる化合物及び下記一般式(5a)で表わされる化合物の不飽和基をヒドロシリル化反応させることにより得ることができる。
【0053】
【化6】

(式中、R5、c及びdは上記一般式(3)と同義である。)
【0054】
【化7】

(式中、R10はSiH基の水素原子と反応してR6となる不飽和基を表わす。)
【0055】
【化8】

(式中、R11はSiH基の水素原子と反応してR7となる不飽和基を表わし、R8、R9及びeは上記一般式(5)と同義である。)
【0056】
上記一般式(3a)において、R5、c及びdは上記一般式(3)と同義である。上記一般式(3a)で表わされる環状シロキサン化合物のうち好ましい化合物としては、例えば、2,4,6−トリメチルシクロトリシロキサン、2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン、2,4,6,8−テトラエチルシクロテトラシロキサン、2,4,6,8−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、2,4,6,8,10−ペンタメチルシクロペンタシロキサン、及び2,4,6,8,10,12−ヘキサメチルシクロヘキサシロキサン等が挙げられる。
【0057】
上記一般式(4a)において、R10はSiH基の水素原子と反応してR6となる不飽和基を表わす。上記一般式(5a)で表わされる化合物のうち好ましい化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、3−メチル−3−ブテン酸、4−ペンテン酸、5−ヘキセン酸、6−ヘプテン酸、7−オクテン酸、2−ビニルシクロヘキサンカルボン酸、3−ビニルシクロヘキサンカルボン酸、4−ビニルシクロヘキサンカルボン酸、2−ビニル安息香酸、3−ビニル安息香酸、及び4−ビニル安息香酸等が挙げられる。
【0058】
上記一般式(5a)において、R11はSiH基の水素原子と反応してR7となる不飽和基を表わし、R8、R9及びeは上記一般式(5)と同義である。上記一般式(5a)で表わされる不飽和シラン化合物のうち好ましい化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、及びアリルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0059】
本発明の重合性シロキサン化合物の反応では、上記一般式(1)で表わされる不飽和シラン化合物の反応比が、あまりに少ない場合には硬化が不十分となり、あまりに多い場合には耐クラック性が低下することから、上記一般式(1)で表わされる不飽和シラン化合物の反応比は、10〜90モル%であることが好ましく、20〜75モル%であることが更に好ましく、25〜65モル%であることが最も好ましい。
【0060】
本発明の重合性シロキサン化合物の反応では、上記一般式(2)で表わされるシラン化合物の反応比が、あまりに少ない場合には硬化が不十分となり、あまりに多い場合には耐クラック性が低下することから、上記一般式(2)で表わされるシラン化合物の反応比は、5〜80モル%であることが好ましく、10〜70モル%であることが更に好ましく、15〜60モル%であることが最も好ましい。
【0061】
本発明の重合性シロキサン化合物の反応では、上記一般式(3)で表わされる環状シロキサン化合物の反応比が、あまりに少ない場合にはアルカリ現像性が不十分となり、あまりに多い場合には現像時の膜減りが大きくなることから、上記一般式(3)で表わされる環状シロキサン化合物の反応比は、5〜80モル%であることが好ましく、10〜75モル%であることが更に好ましく、15〜70モル%であることが最も好ましい。
【0062】
以上、光硬化性樹脂組成物に使用される重合性化合物について説明したが、これらの重合性化合物の中では、コア部形成には耐熱性が要求されることから、重合性シロキサン化合物が好ましい。
上記重合性化合物として重合性シロキサン化合物を使用する場合は、硬化物の機械的強度が向上することから、単官能アクリル化合物又は多官能アクリル化合物を併用することが好ましく、多官能アクリル化合物がより好ましい。
その含有量は、重合性シロキサン化合物100質量部に対して、単官能アクリル化合物又は多官能アクリル化合物が5〜250質量部であることが好ましく、10〜200質量部であることがより好ましく、20〜150質量部であることが更に好ましい。
【0063】
更に、上記重合性化合物として重合性シロキサン化合物を使用する場合は、基板との密着性が向上することから、多官能エポキシ化合物を併用することが好ましい。
【0064】
上記多官能エポキシ化合物は、中心構造にケイ素構造を含まない多官能エポキシ化合物であり、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,8−オクタンジオールジグリシジルエーテル、1,10−デカンジオールジグリシジルエーテル、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、1,1,1−トリ(グリシジルオキシメチル)プロパン、1,1,1−トリ(グリシジルオキシメチル)エタン、1,1,1−トリ(グリシジルオキシメチル)メタン、1,1,1,1−テトラ(グリシジルオキシメチル)メタンの脂肪族エポキシ化合物;ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、フェノールノボラック型エポキシ化合物、ビフェニルノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物等の芳香族エポキシ樹脂;3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン等の脂環族エポキシ化合物;フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル類;テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルP−アミノフェノール、N,N−ジグリシジルアニリン等のグリシジルアミン類;1,3−ジグリシジル−5,5−ジメチルヒダントイン、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ化合物;ジシクロペンタジエンジオキシド等のジオキシド化合物;ナフタレン型エポキシ化合物、トリフェニルメタン型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物等が挙げられる。
これらの多官能エポキシ化合物の中でも、基板との密着性が一層向上することから、芳香族エポキシ樹脂が好ましい。
【0065】
上記多官能エポキシ化合物の含有量は、上記重合性シロキサン化合物100質量部に対して、1〜50質量部であることが好ましく、1〜30質量部であることがより好ましく、5〜30質量部であることが更に好ましい。
【0066】
次に、光ラジカル開始剤について説明する。本発明において光ラジカル開始剤とは、活性エネルギー線照射によりラジカル重合の重合反応を開始させることが可能な化合物をいい、活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、X線、放射線、高周波等が挙げられる。光ラジカル発生剤としては、アセトフェノン系化合物、ジケトン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物等のケトン系化合物が好ましい。
【0067】
上記光ラジカル開始剤の含有量は、重合性化合物100質量部に対して、1〜15質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましく、2〜7質量部であることが更に好ましい。
【0068】
上記光硬化性樹脂組成物層は、このほか、必要に応じて、光増感剤、可塑剤、チクソ性付与剤、光酸発生剤、熱酸発生剤、分散剤、消泡剤、顔料、染料等を配合することができる。
【0069】
<(II)工程>
本工程では、コア部8を形成するために、フォトマスク6を使用して、上記(I)工程で形成した光硬化性樹脂組成物層4に露光する。
具体的には、図1(c)に示すように、フォトマスク6を通して、光硬化性樹脂組成物層4に、活性エネルギー線5を照射する(露光する)ことにより、光硬化性樹脂組成物層4は、図1(d)に示すようにコア部8となる部分のみが硬化する。このような露光工程を通じて、コア部8が形成される。
【0070】
本工程においては、活性エネルギー線5を照射することにより光硬化性樹脂組成物層4が硬化するが、硬化物の層と基板2との密着性を向上させるために加熱処理をしてもよい。このような加熱処理は、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下に、100〜260℃の温度で15分〜2時間行うことが好ましい。
【0071】
活性エネルギー線5を照射する光源としては、超高圧水銀灯、DeepUVランプ、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、エキシマレーザー、蛍光灯、発光ダイオード、タングステンランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、半導体レーザー等が挙げられ、これらの光源は、使用される光ラジカル開始剤の感光波長に応じて適宜選択される。
活性エネルギー線5の照射エネルギーは、光硬化性樹脂組成物層4及び水溶性非光硬化性樹脂組成物層3の厚さや光ラジカル開始剤の種類や使用量により適宜選択される。
【0072】
<(III)工程>
本工程では、図1(e)に示すように、光硬化性樹脂組成物層4の未露光部分7及び水溶性非光硬化性樹脂組成物層3をアルカリ現像液で除去して、光導波路のコア部8を残す。
【0073】
上記アルカリ現像液としては、特に限定されないが、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア等の無機アルカリ類;エチルアミン、n−プロピルアミン等の1級アミン類;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の2級アミン類;トリメチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエチルアミン、トリエチルアミン等の3級アミン類;ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の3級アルカノールアミン類;ピロール、ピペリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノネン等の環状3級アミン類;ピリジン、コリジン、ルチジン、キノリン等の芳香族3級アミン類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウム塩の水溶液等のアルカリ類の水溶液を用いることができ、その濃度は、従来のネガ型光硬化性樹脂組成物層の除去に用いられる現像液のアルカリ濃度でよい。これらアルカリ類の水溶液は、更に、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒及び/又は界面活性剤を適当量含有してもよい。
【0074】
上記アルカリ現像液との接触方法としては、例えば、液盛り法、浸漬法、シャワー法、スプレー法等の何れの方法も利用することができ、接触時間は、使用する光硬化性樹脂組成物の分子量、現像液の温度等によって異なるが、通常30〜180秒間である。アルカリ溶解性の向上した部分をアルカリ現像液で除去した後、流水又はシャワーにより水でリンスすることが好ましく、必要により50〜120℃の範囲で、脱水乾燥させてもよい。
【0075】
本発明に係る(III)工程の後に、コア部8と基板2等の対象物との密着性を向上させるために加熱処理をしてもよい。このような加熱処理は、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下に、100〜260℃の温度で15分〜2時間行うことが好ましい。
【0076】
本発明に係る(III)工程の後、上記加熱処理を行う場合はその後に、図1(f)に示すように、コア部8を埋め込むように、下部クラッド形成用に使用した光硬化性樹脂組成物で覆い、常法により硬化させて上部クラッド9を形成することにより、光損失の少ない光導波路が作製できる。
【0077】
光硬化性樹脂組成物を用いた上部クラッド9の形成は、下部クラッド1の形成と同様に、光硬化性樹脂組成物を塗布した後、常法により硬化させてもよいし、図3に示す光硬化性樹脂組成物層4を保護フィルム11と支持フィルム10でラミネートしたドライフィルムレジスト13を使用してもよい。
【0078】
ドライフィルムレジスト13を用いる場合には、ドライフィルムレジスト13の保護フィルム11を剥離し、光硬化性樹脂組成物層4の面をコア部8が形成された面に貼り合わせた後、常法により硬化すればよい。
【0079】
以上説明した本発明の光導波路の製造方法により得られる光導波路は、光導波路デバイス、光集積回路、光配線基板等の光デバイス、特に、面発光レーザーを光源とする光デバイスに好適に利用できる。
【0080】
また、本発明の光導波路の製造方法により得られる光導波路は、光硬化性樹脂組成物層4に使用している樹脂が、透明性、絶縁性、耐熱性、耐薬品性等に優れることから、光硬化性樹脂組成物層4を層間絶縁膜とする、液晶表示装置、有機EL表示装置等に用いられるアクティブマトリクス基板、中でも、多結晶シリコン薄膜を活性層とするTFTを有するアクティブマトリクス基板として極めて有用である。
【0081】
この他、本発明の光導波路の製造方法により得られる光導波路は、光硬化性樹脂組成物層4を、ウエハコート材料(表面保護膜、バンプ保護膜、MCM(multi-chip module)層間保護膜、ジャンクションコート)、又はパッケージ材(封止材、ダイボンディング材)とする、半導体素子、多層配線板等としても有用である。半導体素子としては、ダイオード、トランジスタ、化合物半導体、サーミスタ、バリスタ、サイリスタ等の個別半導体素子、DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー)、SRAM(スタティック・ランダム・アクセス・メモリー)、EPROM(イレイザブル・プログラマブル・リード・オンリー・メモリー)、マスクROM(マスク・リード・オンリー・メモリー)、EEPROM(エレクトリカル・イレイザブル・プログラマブル・リード・オンリー・メモリー)、フラッシュメモリー等の記憶素子、マイクロプロセッサー、DSP、ASIC等の理論回路素子、MMIC(モノリシック・マイクロウェーブ集積回路)に代表される化合物半導体等の集積回路素子、混成集積回路(ハイブリッドIC)、発光ダイオード、電荷結合素子等の光電変換素子等が挙げられる。また、多層配線板としては、MCM等の高密度配線板等が挙げられる。
【0082】
次に、本発明のドライフィルムレジストについて図2を用いて説明する。
【0083】
図2に示すように、本発明のドライフィルムレジスト12は、支持フィルム10上に、水溶性非光硬化性樹脂組成物層3、光硬化性樹脂組成物層4がこの順で形成されており、必要に応じ、光硬化性樹脂組成物層4の上に保護フィルム11が形成される。
【0084】
本発明のドライフィルムレジスト12を構成する水溶性非光硬化性樹脂組成物層3及び光硬化性樹脂組成物層4としては前述の光導波路の製造方法で説明した各層の構成の好ましい条件がそのまま適用される。
【0085】
支持フィルム10としては、例えば、PETフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等を用いることができるが、支持フィルム10としての熱的特性及び機械的特性に優れることから、PETフィルムが好ましい。支持フィルム10の膜厚は、通常1〜5μmの範囲内であり、光導波路のクラッドやコア部の形成が容易であることから、10〜100μmの範囲内が好ましい。
【0086】
必要に応じ形成される保護フィルム11としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す)フィルム、ポリエチレンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)フィルム等を用いることができるが、安価であり、表面の滑り性に優れることから、ポリエチレンフィルムが好ましい。保護フィルム11の膜厚は、通常1〜500μmの範囲内であり、剥離が容易であることから、5〜100μmの範囲内が好ましい。
【0087】
次に、本発明のドライフィルムレジストの好ましい製造方法の一例について説明する。
先ず、図2に示すように、支持フィルム10上に所望の厚さの水溶性非光硬化性樹脂組成物層3、及び光硬化性樹脂組成物層4をこの順で形成する。
【0088】
支持フィルム10上に水溶性非光硬化性樹脂組成物層3を形成する方法及び水溶性非光硬化性樹脂組成物層3上に光硬化性樹脂組成物層4を形成する方法は上述した光導波路を製造する方法と同様の方法で行えば良く、好ましい溶剤や膜厚もそれらと同じである。
【0089】
支持フィルム10上に上記の2層を形成した後、プリベークして、層中の溶剤を除去し、光硬化性樹脂組成物層4上に保護フィルム11を形成してドライフィルムレジスト12が作製される。
【0090】
光硬化性樹脂組成物層4上に保護フィルム11を形成させる方法は特に限定されないが、例えば、塗工機を使用し貼り付ければよい。
【0091】
本発明のドライフィルムレジスト12を使用する場合は、ドライフィルムレジスト12から保護フィルム11を剥がした後、対象物に熱圧着して、対象物に貼り付け、必要に応じて支持フィルム10を剥がした後、上記の条件で露光、現像等を行えばよい。
【0092】
以上説明した本発明のドライフィルムレジストは、光導波路、特に光導波路のコア部の形成に好適であり、上記水溶性非光硬化性樹脂組成物層に使用される水溶性非光硬化性樹脂が、ポリビニルアルコール又はポリビニルピロリドンであり、上記光硬化性樹脂組成物層に使用される重合性化合物が、上記一般式(1)で表わされる不飽和シラン化合物、上記一般式(2)で表わされるシラン化合物及び上記一般式(3)で表わされる環状シロキサン化合物を加水分解縮合反応して得られる重合性シロキサン化合物であるドライフィルムレジストは、耐熱性等に優れるため、光導波路のコア部の形成に特に好適である
【実施例】
【0093】
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例中の「部」や「%」は質量基準によるものである。
【0094】
○ コア部形成用光硬化性樹脂組成物の製造
〔製造例1−1:本発明の重合性シロキサン化合物A−1の製造〕
<ステップ1:環状シロキサン化合物a−1の製造>
撹拌器、温度計及び還流器を有する反応容器に、溶媒としてトルエン300g、上記一般式(3a)で表わされる化合物として2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン120g(0.5モル)、及び触媒として白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体(Karstedt触媒)0.0001gを仕込んだ。攪拌しながら、60℃で、メタクリル酸t−ブチルエステル213g(1.5モル)を1時間かけ添加して、更に4時間撹拌し熟成させた。次に、上記一般式(5a)で表わされる化合物としてビニルトリメトキシシラン77g(0.52モル)を1時間かけ添加して、更に70℃で5時間撹拌し熟成させた。この反応液から溶媒を60℃で減圧留去させ、環状シロキサン化合物a(上記一般式(4)中のカルボキシル基がt−ブチル基でキャップ(保護)された、上記一般式(3)で表わされる環状シロキサン化合物a−1)を得た。
【0095】
<ステップ2:本発明の重合性シロキサン化合物A−1の製造>
撹拌器、温度計及び還流器を有する反応容器に、上記一般式(1)で表わされる化合物として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン122.5g(0.50モル)、上記一般式(3)で表わされる化合物として環状シロキサン化合物a−1の246.7g(0.3モル)、上記一般式(2)で表わされる化合物としてフェニルトリメトキシシラン90g(0.45モル)及びジフェニルジメトキシシラン46.23g(0.2モル)、並びに溶媒としてトルエン100gを仕込み、氷冷しながら5〜10℃で5%シュウ酸水溶液30gを1時間かけて滴下し、更に10℃で15時間撹拌した。
50℃、減圧下で還流脱水・脱アルコール処理し、50℃減圧下で溶媒のトルエンをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAという)へと溶媒交換を行い、25%PGMEA溶液とした。t−ブチル基を脱離するために、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体5gを加えて、80℃で3時間攪拌の後、酸性物質の吸着剤(協和化学工業製、商品名:キョーワード500SH)30gを加え、更に80℃で1時間攪拌した。
得られたスラリー液について、濾過により固形物を除去した後、減圧して濃縮し、本発明の重合性シロキサン化合物A−1の50%PGMEA溶液を得た。得られた本発明の重合性シロキサン化合物A−1の質量平均分子量をGPC分析により求めた。結果を下記〔表1〕に示す。
【0096】
〔製造例1−2〜1−4:本発明の重合性シロキサン化合物A−2〜A−4の製造〕
上記一般式(1)〜(3)で表わされる化合物の使用量を下記〔表1〕に示すモル数(〔表1〕中の( )内の数字)に変更した以外は、製造例1−1と同様の操作を行い、本発明の重合性シロキサン化合物A−2〜A−4の50%PGMEA溶液を得た。得られた本発明の重合性シロキサン化合物A−2〜A−4の質量平均分子量をGPC分析により求めた。結果を下記〔表1〕に示す。
尚、下記〔表1〕には、製造例1−1で使用した上記一般式(1)〜(3)で表わされる化合物の使用量、得られた重合性シロキサン化合物の末端構造についても併せて示す。
【0097】
【表1】

【0098】
〔製造例1−5:重合性シロキサン化合物A−5の製造〕
製造例1−1において、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの使用量を122.5g(0.50モル)から56.4g(0.23モル)に減らし、環状シロキサン化合物aの246.7g(0.3モル)の代わりに2−(t−ブトキシカルボニル)プロピルトリメトキシシラン118.8g(0.45モル)を使用し、フェニルトリメトキシシランの使用量を90g(0.45モル)から60g(0.3モル)に減らし、ジフェニルジメトキシシランの使用量を46.2g(0.2モル)から36.5g(0.15モル)に減らした以外は、製造例1−1と同様の操作を行い、重合性シロキサン化合物A−5の50質量%PGMEA溶液を得た。得られた重合性シロキサン化合物A−5のGPC分析による質量平均分子量は3200であった。
【0099】
〔製造例1−6:重合性シロキサン化合物A−6の製造〕
特開2008−201881号公報の合成例1−1に準じ、重合性シロキサン化合物A−6の50質量%PGMEA溶液を得た。得られた重合性シロキサン化合物A−6のGPC分析による質量平均分子量は12000であった。
【0100】
〔コア部形成用光硬化性樹脂組成物の調製〕
重合性シロキサン化合物としてA−1〜A−6、光ラジカル開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1(B−1)、溶媒としてPEGMEA(C−1)、多官能アクリル化合物としてトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリ(メタ)アクリレート(D−1)を用いて、下記〔表2〕に示す組成になるように配合した後、ろ過して、光硬化性樹脂組成物X−1〜X−6を調製した。
【0101】
【表2】

【0102】
○ 下部及び上部クラッド形成用光硬化性樹脂組成物Y−1の製造
〔製造例2−1:ケイ素含有重合体Aの製造〕
特開2007−238868号公報の実施例に準拠し、以下の方法で下部及び上部クラッド形成用のケイ素含有重合体Aを得た。
【0103】
反応槽1において、フェニルトリメトキシシラン119.0g(0.6mol)、ジメチルジメトキシシラン48.1g(0.4mol)、触媒として0.032%リン酸水溶液を108.0g混合して、10℃にて2時間の攪拌の後、0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を6.06g加えた。
また、反応槽2において、3,4−エポキシシクロへキシルエチルトリメトキシシランを246.4g(1.00mol)、エタノール108.0gを混合して、0.032%のリン酸水溶液108.0gを反応液の温度が10℃を超えないように注意しながら5分間かけて滴下し、10℃以下で2時間攪拌した。その後、0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を6.06g加えた。
【0104】
上記の反応槽1に反応槽2中の反応液を添加し、混合した後、トルエンを1200ml、及びエタノールを1200ml加え、外浴を130℃に加熱した。共沸により水を除去しながら、ケイ素含有重合体の重量平均分子量が9000以上となるまで重縮合を行った。オルトギ酸トリエチル1780g(12mol)を添加して130℃まで加温し、130℃到達後、1時間加熱攪拌した。吸着剤を90g加え、100℃で1時間加熱攪拌した。吸着剤をろ過して除去後、60℃、20mmHgにて揮発成分を除去し、トルエン45g、及びメタノール1000gを加えて2層分離した。下層を60℃、3mmHgにて揮発成分を除去し、ケイ素含有重合体Aを得た。
ケイ素含有重合体Aの質量平均分子量は12000、電位差法により測定したエポキシ当量は307であり、1H−NMRによる分析ではシラノール基(Si−OH)は検出されなかった。
【0105】
ケイ素重合体Aに対して、光ラジカル開始剤としてビス−[4−(ビス(4−ブトキシフェニル)スルホニオ)フェニル]スルフィドヘキサフルオロアンチモネート(B−2)、溶剤としてPGMEA(C−1)、多官能エポキシ化合物として2,2−ビス(3,4−エポキシシクロへキシル)プロパン(E−1)及び3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(E−2)を用いて、下記〔表3〕に示す組成になるように配合した後、ろ過して下部及び上部クラッド形成用樹脂組成物を調製した。
【0106】
【表3】

【0107】
○ ドライフィルムレジストの作製
以下のドライフィルムレジストの作製は、何れも特開2007−238868号公報に準拠して行った。
【0108】
〔コア部形成用ドライフィルムレジストの作製〕
コア部形成用のドライフィルムレジスト作製を、下記作製例3−1及び比較作製例3−1により行った。尚、支持フィルム(保護フィルム)及び水溶性非光硬化性樹脂組成物は下記のものを使用した。
【0109】
<支持フィルム、保護フィルム>
PET(東洋紡績社製、商品名:TN‐200)
【0110】
<水溶性非光硬化性樹脂組成物>
ポリビニルアルコール(以下PVAと略す、和光純薬工業社製、商品名:ポリビニルアルコール重合度500)
【0111】
[作製法3−1]
支持フィルムとなるPETフィルム上にアプリケーターを用いて、水溶性非光硬化性樹脂組成物層形成用のポリビニルアルコール(PVA)水溶液を約10μmとなるよう塗膜し、100℃のオーブンで10分間加熱し乾燥させた。
次に、形成した水溶性非光硬化性樹脂組成物層(PVA層)にアプリケーターを用いて、上記〔表2〕記載の光硬化性樹脂組成物X−1〜X−6を乾燥後の厚さが約30μmとなるよう塗膜し、100℃に設定したオーブンで10分間加熱し乾燥させた。オーブンから取り出して空冷後、光硬化性樹脂組成物層の上に保護フィルムとしてPETフィルムを貼り付け、本発明のコア部形成用ドライフィルムレジストを作製した。
尚、光硬化性樹脂組成物X−3を使用して作製法3−1によりドライフィルムレジストを作製した場合、支持フィルム(PETフィルム)上に塗工し乾燥後の樹脂に流動性があり流れてしまうため作製後、保管することが困難であった。
【0112】
[比較作製法3−1]
支持フィルムとなるPETフィルム上にアプリケーターを用いて、上記〔表2〕記載の光硬化性樹脂組成物X−1〜X−6を乾燥後の厚さが約30μmとなるよう塗膜し、100℃に設定したオーブンで10分間加熱し乾燥させた。オーブンから取り出して空冷後、光硬化性樹脂組成物層の上に保護フィルムとしてPETフィルムを貼り付け、比較のコア部形成用ドライフィルムレジストを作製した。
【0113】
〔下部クラッド形成用ドライフィルムレジストの作製〕
支持フィルムとなるPETフィルム上にアプリケーターを用いて、光硬化性樹脂組成物Y−1を、乾燥後の厚さが約30μmとなるよう塗膜し、100℃に設定したオーブンで10分間加熱し乾燥させた。オーブンから取り出して空冷後、光硬化性樹脂組成物層上に保護フィルムとしてPETフィルムを貼り付け、下部クラッド形成用ドライフィルムレジストを作製した。
【0114】
〔上部クラッド形成用ドライフィルムレジストの作製〕
支持フィルムとなるPETフィルム上にアプリケーターを用いて、光硬化性樹脂組成物Y−1を、乾燥後の厚さが約70μmとなるよう塗膜し、100℃に設定したオーブンで10分間加熱し乾燥させた。オーブンから取り出して空冷後、光硬化性樹脂組成物層上に保護フィルムとしてPETフィルムを貼り付け、上部クラッド形成用ドライフィルムレジストを作製した。
【0115】
○ 光導波路の作製
上記で得られた下部クラッド形成用、上部クラッド形成用及びコア部形成用のドライフィルムレジスト、並びにSiウエハ基板を用いて、下記の手順により、光導波路を作製した。
【0116】
〔下部クラッドの形成〕
下部クラッド形成用ドライフィルムレジストの保護フィルムを剥離し、光硬化性樹脂組成物層の面を、Siウエハ基板上に乗せ、ダイアフラム式真空ラミネーター(ニチゴーモートン社製、型式:V−130)にセットした。温度60℃、真空度1Pa以下で、60秒間減圧した後、温度60℃、圧力0.5MPa、加圧時間60秒の条件でドライフィルムを基板に貼り合わせて下部クラッド材料層を形成した。真空ラミネーター装置から取り出して空冷し、支持フィルムを剥離した後、90℃のオーブンで1分間加熱を行うことで、光硬化性樹脂組成物層からなる下部クラッド材料層の表面を平坦化させた。その後、下部クラッド材料層に超高圧水銀灯により、2000mJ/cm2(波長365nm露光換算)の紫外線を照射し、更に180℃のオーブンで15分間加熱して硬化させることにより、下部クラッドを形成した。
【0117】
〔コア部の形成〕
[作製法4−1:本発明のドライフィルムレジストを使用したコア部の形成、空気下での露光工程]
作製法3−1により作製した、本発明のコア部形成用ドライフィルムレジストの保護フィルムを剥離し、光硬化性樹脂組成物層の面を、上記で得られた下部クラッド上に乗せ、ダイアフラム式真空ラミネーターにセットした。温度60℃、真空度1Pa以下で、60秒間減圧した後、温度60℃、圧力0.6MPa、加圧時間60秒の条件でコア部形成用ドライフィルムレジストを下部クラッドに貼り合わせて、下から順に、基板、下部クラッド、光硬化性樹脂組成物層、水溶性非光硬化性樹脂組成物層、支持フィルムであるコア材料層を形成した。真空ラミネーター装置から取り出して空冷し、支持フィルムを剥離した後、90℃のオーブンで1分間加熱を行うことで、コア材料層の表面を平坦化させた。空冷後、コア材料層に、フォトマスク(マスク幅40μm、マスク間距離100μm)を介して超高圧水銀灯により、2000mJ/cm2(波長365nm露光換算)の紫外線を、空気雰囲気下で照射した。紫外線照射後、現像として0.3wt%−NaOH水溶液で15秒間現像を行い、超純水リンスで60秒間洗浄を行った。この後、後ベーキングとして、180℃のオーブンで30分間加熱し、コア部を形成した。
【0118】
[作製法4−2:塗布によるコア部の形成、空気雰囲気下での露光工程]
上記で得られた下部クラッド上にアプリケーターを用いて、上記〔表2〕記載の光硬化性樹脂組成物を乾燥後の厚さが約30μmとなるよう塗膜し、120℃に設定したオーブンで10分間加熱し乾燥させ、光硬化性樹脂組成物層を得た。次に、PVA水溶液を、約10μmとなるよう塗膜し、120℃のオーブンで10分間加熱し乾燥させて、下から順に、基板、下部クラッド、光硬化性樹脂組成物層、水溶性非光硬化性樹脂組成物層となるコア材料層を形成した。コア材料層に、フォトマスク(マスク幅40μm、マスク間距離100μm)を介して超高圧水銀灯により、2000mJ/cm2(波長365nm露光換算)の紫外線を、空気雰囲気下で照射した。紫外線照射後、現像として0.3wt%−NaOH水溶液で15秒間現像を行い、超純水リンスで60秒間洗浄を行った。この後、後ベーキングとして、180℃のオーブンで30分間加熱し、コア部を形成した。
【0119】
[比較作製法4−1:作製法4−1において水溶性非光硬化性樹脂組成物樹脂層を形成しない工程]
上記作製法4−1において、作製法3−1で作製したコア部形成用ドライフィルムレジスト12の代わりに比較作製法3−1の方法で作製したコア部形成用ドライフィルムレジストを使用した以外は作製法4−1と同様の方法で製造し、コア部を形成した。
【0120】
[比較作製法4−2:作製法4−1において水溶性非光硬化性樹脂組成物層の代わりに非水溶性非光硬化性樹脂組成物層(PET層)を形成する工程]
比較作製法3−1の方法で作製したコア部形成用ドライフィルムレジストの保護フィルムを剥離し、光硬化性樹脂組成物層の面を、上記で得られた下部クラッド上に乗せ、ダイアフラム式真空ラミネーターにセットした。温度60℃、真空度1Pa以下で、60秒間減圧した後、温度60℃、圧力0.6MPa、加圧時間60秒の条件でコア部形成用ドライフィルムレジストを下部クラッドに貼り合わせて、下から順に、基板、下部クラッド、光硬化性樹脂組成物層、支持フィルムとなるコア材料層を形成した。空冷後、コア材料層に、フォトマスク(マスク幅40μm、マスク間距離100μm)を介して超高圧水銀灯により2000mJ/cm2(波長365nm露光換算)の紫外線を、空気雰囲気下で照射した。紫外線照射後、支持フィルムを剥離し、0.3wt%−NaOH水溶液で15秒間現像を行い、超純水リンスで60秒間洗浄を行った。180℃のオーブンで30分間加熱し、コア部を形成した。
【0121】
[比較作製法4−3:作製法4−1において露光を窒素雰囲気下で行う工程]
上記比較作製法4−1において、紫外線照射時は空気雰囲気下ではなく窒素雰囲気下で行った以外は比較作製法4−1と同様の方法で、コア部を形成した。
【0122】
[比較作製法4−4:作製法4−2において水溶性非光硬化性樹脂組成物樹脂層を形成しない工程]
上記で得られた下部クラッド上にアプリケーターを用いて、上記〔表2〕記載の光硬化性樹脂組成物を乾燥後の厚さが約30μmとなるよう塗膜し、120℃に設定したオーブンで10分間加熱し乾燥させ、光硬化性樹脂組成物層を得て、下から順に、基板、下部クラッド、光硬化性樹脂組成物層となるコア材料層を形成した。コア材料層に、フォトマスク(マスク幅40μm、マスク間距離100μm)を介して超高圧水銀灯により2000mJ/cm2(波長365nm露光換算)の活性エネルギー線を、空気雰囲気下で照射した。紫外線照射後、現像として0.3wt%−NaOH水溶液で15秒間現像を行い、超純水リンスで60秒間洗浄を行った。この後、後ベーキングとして、180℃のオーブンで30分間加熱し、コア部を形成した。
【0123】
〔上部クラッドの形成:光導波路の作製〕
上部クラッド形成用ドライフィルムレジストの保護フィルムを剥離し、光硬化性樹脂組成物層の面を、上記で得られたコア部上に乗せ、ダイアフラム式真空ラミネーターにセットした。温度60℃、真空度1Pa以下で、60秒間減圧した後、温度60℃、圧力0.6MPa、加圧時間60秒の条件でドライフィルムを基板に貼り合わせて、上部クラッド材料層を形成した。真空ラミネーター装置から取り出して空冷し、支持フィルムを剥離した後、90℃のオーブンで1分間加熱を行うことで、光硬化性樹脂組成物からなる上部クラッド材料層の表面を平坦化させた。その後、上部クラッド材料層に超高圧水銀灯により4000mJ/cm2(波長365nm露光換算)の紫外線を照射し、更に180℃のオーブンで15分間加熱して硬化させることにより、上部クラッドを形成することで、下記〔表4〕記載の光導波路を作製した。
【0124】
〔評価用の光導波路の試験片の作製〕
上記で得られた基板付の光導波路をダイシングして端面出し、光路長5cmの光導波路とした。その後、基板から光導波路を剥離し、光路方向の長さが5cm、幅40μm、厚みが40μmの光導波路の試験片を作製した。
【0125】
〔挿入損失測定方法〕
挿入損失は、JPCA規格の「高分子光導波路の試験方法(JPCA−4PE02−05−1S−2008)」の挿入損失の測定方法に準拠して測定した。なお、駿河精機社製の調芯機を用い、測定用光源としては、0.85μmのASE光源(ファイバーラボ社製、型式:ASE0850−05)を使用した。シングルモードファイバーで試験片の一方の端面(入射端)から光を入射し、試験片の他方の端面(出射端)から出射した光を200PCFファイバーで受光し、ファイバーで受けた光を光検出器(アンリツ社製、型式MU931422A)で計測した。測定の際、入射端、出射端にそれぞれ屈折率整合剤を使用した。
【0126】
【表4】

【0127】
以上の結果より、本発明の製造方法により作製した光導波路は、水溶性非光硬化性樹脂組成物を使用したことで酸素による阻害を受けにくく、デザイン通りの形状のパターンが得られるため光損失が少ないことが確認された。また、本発明の製造方法はアルカリ現像工程に悪影響を与えず、不活性ガスを必要とせず、製造工程も簡便であることが分かる。
【符号の説明】
【0128】
1 下部クラッド
2 基板
3 水溶性非光硬化性樹脂組成物層
4 光硬化性樹脂組成物層
5 活性エネルギー線
6 フォトマスク
7 未露光部分
8 コア部
9 上部クラッド
10 支持フィルム
11 保護フィルム
12 本発明のドライフィルムレジスト
13 ドライフィルムレジスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(I)〜(III)の工程を含む光導波路の製造方法。
(I)基板上に形成された下部クラッド上に、下から順に、光ラジカル開始剤及び重合性
化合物を含有する光硬化性樹脂組成物層、並びに水溶性非光硬化性樹脂組成物層が形成される工程
(II)コア部を形成するために、フォトマスクを使用して上記光硬化性樹脂組成物層を露光する露光工程
(III)上記光硬化性樹脂組成物層の未露光部分及び上記水溶性非光硬化性樹脂組成物層をアルカリ現像液で除去するアルカリ現像工程
【請求項2】
上記重合性化合物が、単官能アクリル化合物、多官能アクリル化合物及び重合性シロキサン化合物から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1記載の光導波路の製造方法。
【請求項3】
上記重合性シロキサン化合物が、下記一般式(1)で表わされる不飽和シラン化合物、下記一般式(2)で表わされるシラン化合物及び下記一般式(3)で表わされる環状シロキサン化合物を加水分解縮合反応して得られる重合性シロキサン化合物であることを特徴とする請求項2記載の光導波路の製造方法。
【化1】

(式中、R1は水素原子又はメチル基を表わし、R2は炭素原子数2〜6の2価の飽和炭化水素基を表わし、R3は炭素原子数1〜4のアルキル基を表わし、X1は炭素原子数1〜4のアルコキシ基又は塩素原子を表わし、aは2又は3の数を表わす。)
【化2】

(式中、R4は同一でも異なってもよい炭素原子数1〜4のアルキル基又は炭素原子数6〜10のアリール基を表わし、X2は炭素原子数1〜4のアルコキシ基又は塩素原子を表わし、bは1又は2の数を表わす。)
【化3】

(式中、R5は炭素原子数1〜4のアルキル基又は炭素原子数6〜10のアリール基を表わし、X3は下記一般式(4)で表わされる基又は下記一般式(5)で表わされる基を表わし、cは1分子あたりの一般式(4)で表わされる基の数である1〜5の数を表わし、dは1分子あたりの一般式(5)で表わされる基の数である1〜5の数を表わす。但し、c+dは3〜6の数である。)
【化4】

(式中、R6は炭素原子数2〜8の2価の炭化水素基を表わす。)
【化5】

(式中、R7は炭素原子数2〜8の2価の脂肪族炭化水素基を表わし、R8及びR9は独立して炭素原子数1〜4のアルキル基を表わし、eは2又は3の数を表わす。)
【請求項4】
上記光硬化性樹脂組成物が、上記重合性シロキサン化合物100質量部に対して、上記単官能アクリル化合物又は多官能アクリル化合物を5〜250質量部を含有することを特徴とする請求項2又は3に記載の光導波路の製造方法。
【請求項5】
上記水溶性非光硬化性樹脂組成物層に使用される水溶性非光硬化性樹脂が、ポリビニルアルコール又はポリビニルピロリドンであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の光導波路の製造方法。
【請求項6】
支持フィルム上に、水溶性非光硬化性樹脂組成物層、並びに光ラジカル開始剤及び重合性化合物を含有する光硬化性樹脂組成物層がこの順で形成されているドライフィルムレジストを、上記(I)工程における光硬化性樹脂組成物層及び水溶性非光硬化性樹脂組成物層の形成に使用することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の光導波路の製造方法。
【請求項7】
上記ドライフィルムレジストは、上記光硬化性樹脂組成物層上に保護フィルムが形成されている請求項6記載の光導波路の製造方法。
【請求項8】
支持フィルム上に、水溶性非光硬化性樹脂組成物層、並びに光ラジカル開始剤及び重合性化合物を含有する光硬化性樹脂組成物層がこの順で形成されていることを特徴とするドライフィルムレジスト。
【請求項9】
上記光硬化性樹脂組成物層上に保護フィルムが形成されていることを特徴とする請求項8記載のドライフィルムレジスト。
【請求項10】
光導波路のコア部形成用であることを特徴とする請求項8又は9記載のドライフィルムレジスト。
【請求項11】
上記水溶性非光硬化性樹脂組成物層に使用される水溶性非光硬化性樹脂が、ポリビニルアルコール又はポリビニルピロリドンであり、上記重合性化合物が、下記一般式(1)で表わされる不飽和シラン化合物、下記一般式(2)で表わされるシラン化合物及び下記一般式(3)で表わされる環状シロキサン化合物を加水分解縮合反応して得られる重合性シロキサン化合物であることを特徴とする請求項8〜10の何れか1項に記載のドライフィルムレジスト。
【化6】

(式中、R1は水素原子又はメチル基を表わし、R2は炭素原子数2〜6の2価の飽和炭化水素基を表わし、R3は炭素原子数1〜4のアルキル基を表わし、X1は炭素原子数1〜4のアルコキシ基又は塩素原子を表わし、aは2又は3の数を表わす。)
【化7】

(式中、R4は同一でも異なってもよい炭素原子数1〜4のアルキル基又は炭素原子数6〜10のアリール基を表わし、X2は炭素原子数1〜4のアルコキシ基又は塩素原子を表わし、bは1又は2の数を表わす。)
【化8】

(式中、R5は炭素原子数1〜4のアルキル基又は炭素原子数6〜10のアリール基を表わし、X3は下記一般式(4)で表わされる基又は下記一般式(5)で表わされる基を表わし、cは1分子あたりの一般式(4)で表わされる基の数である1〜5の数を表わし、dは1分子あたりの一般式(5)で表わされる基の数である1〜5の数を表わす。但し、c+dは3〜6の数である。)
【化9】

(式中、R6は炭素原子数2〜8の2価の炭化水素基を表わす。)
【化10】

(式中、R7は炭素原子数2〜8の2価の脂肪族炭化水素基を表わし、R8及びR9は同一でも異なってもよい炭素原子数1〜4のアルキル基を表わし、eは2又は3の数を表わす。)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−247637(P2012−247637A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119386(P2011−119386)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】