説明

光拡散部材、並びに原版及びその製造方法

【課題】原版の継ぎ目の境界線に相当する箇所の段差の上下で色味が変わらず、境界線が目立ちにくい光拡散部材を提供すること。
【解決手段】
シート状の光拡散部材であって、
少なくとも一方の表面に、
平均ピッチが1〜150μm、平均高さが1〜150μmである凹凸構造と、
平均高さが1〜100μm、最大高さが1〜100μmであり、前記表面を略直線状に横断する段差を有する光拡散部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に微細な凹凸構造を有する光拡散部材に関し、例えば光源ユニットや液晶表示装置に用いられる光拡散部材に関する。
また、本発明は、表面に微細な凹凸構造を有する光拡散部材を製造する際に使用する原版(転写用原版)に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、表面に微細な凹凸構造を有する光拡散部材は液晶表示装置やスクリーンなどの幅広い分野で利用されている。それに伴い、光拡散部材を大面積で作製したり、歩留まりよく生産する需要が増している。
光拡散部材の表面の凹凸構造は、通常、平らな基板の表面に、転写用原版の凹凸パターンを転写することにより形成されるが、大面積の光拡散部材を作成する場合には、原版を位置をずらして転写することを繰り返すことにより基材の全表面をカバーする必要がある。そのような場合には、光拡散部材の原版の端部に相当する箇所に継ぎ目が発生するので、このような継ぎ目を目立たなくするために、種々の方法が提案されている。
【0003】
特許文献1には、表面に単位凹凸パターンが複数連続して形成された凹凸パターンシートであって、隣接する前記単位凹凸パターンの境界線が所定の間隔で波状に形成された凹凸パターンシートと、凹凸パターン型が形成された所定寸法の凹凸パターン原版を用いて、単位複製原版部が複数連続して形成された多面複製原版を製造する凹凸パターンの多面複製原版の製造方法が開示されている。また、特許文献1には、多面付けされた単位複製原版部の境界線が転写される部分が目立たないので、連続した凹凸パターンシートを作製することができるとの効果が記載されている。
【0004】
特許文献2には、表面に凹凸パターンが形成された凹凸パターンシートであって、2本の波状の境界線が所定の間隔で形成された凹凸パターンシートと、凹凸パターンのつなぎ目に出来る溝に成形材料を充填し、前記成形材料に原版を押し当てる凹凸パターン複製版の製造方法が生地されている。また、特許文献2には、つなぎ目が転写された部分が目立たないとの効果が記載されている。
また、特許文献1または2に記載の凹凸パターンシートは、ホログラム、光回折パターンや2〜10μmの微細凹凸のある光学可変パターン、光ファイバーの研磨テープとして使用できる旨の記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−345225号公報
【特許文献2】特開2003−344628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1または特許文献2に開示されている多面複製原版および凹凸パターン複製版では、原版の境界線に相当する箇所が蛇行してしまうという問題がある。特許文献1又は特許文献2に開示されている多面複製原版および凹凸パターン複製版では、原版の境界線に相当する箇所に、ある高さを持った段差を有するが、段差が蛇行していると段差の上下で色味が変わって見えるという現象が生じ、結果として原版の境界線が目立って見え、光拡散部材として使用する場合には品位悪化の要因となりうる。また、表面の微細凹凸構造が異方性を有している場合、段差が多面複製原版又は凹凸パターン複製版を横断する方向と微細凹凸構造の長軸方向が異なると、境界部分で光学特性が変化してしまう場合があるという問題もある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、原版の境界線に相当する箇所の段差の上下で色味が変わらず、それゆえ境界線が目立ちにくい光拡散部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、表面に凹凸構造を有する光拡散部材において、原版の境界線(継ぎ目)に相当する箇所を直線状にすることによって上記の課題を解決できることを着想し、検討の結果、以下の発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明の光拡散部材は以下のとおりである。
シート状の光拡散部材であって、
少なくとも一方の表面に、
平均ピッチが1〜150μm、平均高さが1〜150μmである凹凸構造と、
平均高さが1〜100μm、最大高さが1〜100μmであり、前記表面を略直線状に横断する段差を有する光拡散部材。
【0009】
また、本発明の光拡散部材製造用原版は以下のとおりである。
少なくとも一方の表面に、平均ピッチが1〜150μm、平均高さが1〜150μmである凹凸構造に対応する凹凸パターンと平均高さが1〜100μm、最大高さが1〜100μmであり前記表面を略直線状に横断する段差を有する、光拡散部材製造用平板状原版。
外側表面に、平均ピッチが1〜150μm、平均高さが1〜150μmである凹凸構造に対応する凹凸パターンと、平均高さが1〜100μm、最大高さが1〜100μmであり前記表面を略直線状に横断する段差を有する、光拡散部材製造用円筒状原版。
【0010】
さらに、本発明の光拡散部材製造用平板状原版の製造方法は以下のとおりである。
表面に平均ピッチが1〜150μm、平均高さが1〜150μmである凹凸構造に対応する凹凸パターンを有する第一のフィルムと、表面に平均ピッチが1〜150μm、高さが1〜150μmである凹凸構造に対応する凹凸パターンを有し、少なくとも一辺が略直線状である第二のフィルムを用意する工程、
第一のフィルムにの表面上に、該表面を略直線状に横断する接着剤層を形成する接着剤層形成工程、
前記接着剤層の上に第二のフィルムを裏面が前記接着剤層と接する向きに積層する積層工程、
前記接着剤が第二のフィルムの略直線状の一辺からはみ出さないように、かつ前記第二のフィルムの厚さから前記凹凸構造の高さを引いた値H(μm)と、前記接着剤層の厚さD(μm)が下記式(1)を満たすように、前記接着剤層を前記第二のフィルムの上から押し広げる押圧工程、及び
前記接着剤を硬化させる硬化工程、
を含む光拡散部材製造用平板状原版の製造方法。
1≦H+D≦100...(1)
【0011】
さらに、本発明の光拡散部材製造用円筒状原版の製造方法は以下のとおりである。
少なくとも一辺が略直線状であり、表面に平均ピッチが1〜150μm、平均高さが1〜150μmである凹凸構造に対応する凹凸パターンを有する第三のフィルムを用意する工程、
裏面が円筒状基材に、第三のフィルムを前記略直線状の一辺と対向する辺の側から巻きつける捲回工程、
第三のフィルムの前記略直線状の一辺近傍の裏面上に、該フィルムを略直線状に横断する接着剤層を形成する接着剤層形成工程、
前記接着剤層を第三のフィルムの表面に積層する積層工程、
前記接着剤が前記第三のフィルムの略直線状の一辺からはみ出さないように、かつ前記第三のフィルムの厚さから前記凹凸構造の高さを引いた値H(μm)と、前記接着剤層の厚さD(μm)が下記式(1)を満たすように、前記接着剤層を前記第三のフィルムの上から押し広げる押圧工程、及び
前記接着剤を硬化させる硬化工程、
を含む光拡散部材製造用円筒状原版の製造方法。
1≦H+D≦100...(1)
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、製造の際に使用された原版に含まれる境界線(継ぎ目)に相当する箇所において、段差の上下で色味が変わらず、それゆえ境界線が目立ちにくい光拡散部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)(b)本発明の光拡散部材の断差と凹凸構造の一例を示す模式図。
【図2a】凹凸構造の一例を示す断面模式図。
【図2b】凹凸構造の一例を示す断面模式図。
【図3a】表面を略直線状に横断する段差の説明図。
【図3b】表面を略直線状に横断する段差の説明図。
【図3c】表面を略直線状に横断するものではない段差の例を示す説明図。
【図4】異方性を有する凹凸構造の説明図。
【図5】凹凸構造の長軸方向と段差が表面を横断する方向のなす角αの説明図。
【図6a】本発明の平板状原版の製造方法の一実施態様を示す図。
【図6b】本発明の平板状原版の製造方法の一実施態様を示す図。
【図6c】本発明の平板状原版の製造方法の一実施態様を示す図。
【図6d】本発明の平板状原版の製造方法の一実施態様を示す図。
【図6e】本発明の平板状原版の製造方法の一実施態様を示す図。
【図6f】本発明の平板状原版の製造方法の一実施態様を示す図。
【図6g】本発明の平板状原版の製造方法の一実施態様を示す図。
【図7a】原版における段差部分の断面模式図。
【図7b】原版における段差部分の断面模式図。
【図8a】本発明の円筒状原版の製造方法の一実施態様を示す図。
【図8b】本発明の円筒状原版の製造方法の一実施態様を示す図。
【図8c】本発明の円筒状原版の製造方法の一実施態様を示す図。
【図8d】本発明の円筒状原版の製造方法の一実施態様を示す図。
【図8e】本発明の円筒状原版の製造方法の一実施態様を示す図。
【図8f】本発明の円筒状原版の製造方法の一実施態様を示す図。
【図8g】本発明の円筒状原版の製造方法の一実施態様を示す図。
【図9】実施例1の光拡散部材の段差近傍の表面プロファイル図。
【図10】実施例2の光拡散部材の段差近傍の表面プロファイル図。
【図11】実施例3の光拡散部材の段差近傍の表面プロファイル図。
【図12】実施例4の光拡散部材の段差近傍の表面プロファイル図。
【図13】実施例5の光拡散部材の段差近傍の表面プロファイル図。
【図14】比較例1の光拡散部材の段差近傍の表面プロファイル図。
【図15】比較例2の光拡散部材の段差近傍の表面プロファイル図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
但し、図面は模式的なものであり、本発明の実施の形態の各構成要件の寸法はこれにより制限されない。また、図面相互間においては、互いの寸法の関係や比率が異なることもある。
【0015】
(光拡散部材)
本発明の第1の実施の形態に係る光拡散部材は、少なくとも一方の表面に平均ピッチ1〜150μm、平均高さ1〜150μmの凹凸構造を有し、前記表面の少なくとも一箇所に平均高さが1〜100μmで最大高さが1〜100μmであり前記表面を略直線状に横断する段差を有する光拡散部材である。 このような光拡散部材としては、例えば、図1(a)、及び図1(b)に斜視図で示した凹凸構造と段差を有する光拡散部材があげられる。ここで、図1−aは、異方性を有する凹凸構造の場合を示し、図1(b)は等方性を有する凹凸構造の場合を示している。
この凹凸構造は、複数の凹部及び/又は凸部の集合により構成される表面構造であれば限定はなく、各凹部、凸部の形状や配置にも限定はない。各凹部、凸部の形状としては、例えば、(楕)円錐型、釣鐘型、半円柱(畝)、三角柱(畝)等が挙げられ、また、その配置としては、格子配置(円錐型、釣鐘型等の場合)、平行配置(畝の場合)が挙げられる。具体例としては、たとえば図2aの断面図に示したような各凸部が半円柱状(畝)で、そのピッチ及び高さが規則性を持った凹凸構造や、図2bの断面図に示したような各凸部の高さが不規則な凹凸構造が挙げられる。
【0016】
前記凹凸構造は、好ましくは平均ピッチ1〜50μm、平均高さ1〜50μmであり、さらに好ましくは平均ピッチ1〜30μm、高さ1〜30μmである。なお、平均ピッチが測定方向により異なる場合には、平均ピッチが最も短くなる方向について測定した平均ピッチが1〜50μmである。
【0017】
前記表面を略直線状に横断する段差は、凹凸構造の境界を目立ちにくくするために、平均高さが1〜50μmで、最大高さが1〜50μmであることがより好ましく、平均高さが1〜25μmで、最大高さが1〜25μmであることがさらに好ましい。
ここで、段差が略直線状であるとは、表面において段差の開始端と終端を結んだ直線の両側2mmの範囲内に、段差を平面視した線がすべて含まれることをいう。たとえば、段差を平面視した直線31を実線、両側2mmの範囲を点線32で示した図3a〜cにおいては、図3a、及び図3bで示した段差は略直線状に該当し、図3cで示した段差は該当しない。
【0018】
この凹凸構造の平均ピッチ及び平均高さ、並びに段差の平均及び最大高さは、例えば株式会社キーエンス製の超深度カラー3D形状測定顕微鏡(VK−9500)や原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)を用いて、光拡散部材の任意の断面(ただし、凹凸構造、段差を横切る断面)を観察することにより測定可能である。なお、凹凸構造の平均ピッチが測定方向により異なる場合には、少なくとも凹凸構造の平均ピッチについては、平均ピッチが最も短くなる方向に平行な断面で観察するものとする。
ここで、凹凸構造の平均ピッチ、平均高さは、任意の断面から抽出した任意の300μmの間に存在する凹部又は凸部のピッチ、高さの平均値とする。
また、段差の平均ピッチ、最大高さは、段差を横切る任意の10断面で測定した段差の高さの平均値、最大値とする。
【0019】
本実施の形態光拡散部材においては、段差から発生し(段差から始まり)、段差と直交する方向に500μm以上の長さ(幅)を有する欠陥を持たないことが好ましい。ここで欠陥とは、各凹部及び/又は凸部の欠落(図11参照)や、光の散乱特性を局所的に変化させるような異物が存在している部分のことをいい、段差と直交する方向とは、光拡散部材表面において段差の開始端と終端を結んだ直線と直交する方向をいう。なお、段差から発生する欠陥は、その段差と直交する方向の長さ(幅)が500μm未満であることが好ましいが、段差に平行な方向の長さについてはは500μm以上であってもよいい。凹凸構造の境界を認識しづらくするためには、このような段差から発生する欠陥の幅が500μm未満であることが好ましく、100μm未満であることがより好ましく、50μm未満であることがさらに好ましい。
【0020】
第1の実施の形態に係る光拡散部材においては、凹凸構造が異方性を有していても良い。ここで言う異方性を有するとは、表面(凹凸構造が形成されている面)の法線方向から当該凹凸構造を平面視した時に、凹部又は凸部41の、任意の軸43上でのピッチと、該軸43と直交する軸42上でのピッチが異なることをいい、例えば、前述の図1(a)の凹凸構造や、図4記載のように開口部が楕円状の凹部または底面が楕円状の凸部41からなる凹凸構造や、レンチキュラーレンズ状の凹凸構造のことである。凹凸構造が異方性を有している場合、凹凸構造の長軸方向(ピッチが最も長くなる方向のことをいう)と、段差が表面を略直線状に横断する方向(光拡散部材表面において段差の開始端と終端を結んだ直線と平行な方向)とがなす角αが10°以下であると段差による境界がより認識しづらくなるために好ましい(図5参照)。
【0021】
第1の実施の形態に係る光拡散部材の厚みに限定はなく、光拡散部材が可撓性のない板状部材であっても、可撓性を有するフィルム状部材であっても好ましく用いることができる。
【0022】
(原版と原版の製造方法)
以下、本発明に係る光拡散部材の製造方法の一例について記す。
本発明に係る光拡散部材が表面に有する凹凸構造及び略直線状の段差は、好ましくは、原版を用いて転写賦形される。
【0023】
使用する転写用原版は、その表面(平板状原版の場合には一方の表面)に上述した光拡散部材が表面に有する凹凸構造及び段差に対応する凹凸パターンを有するものであれば、平板状であっても円筒状であってもよい。
【0024】
上記原版において、少なくとも凹凸パターンが形成された面は、耐久性の高い金属(鋼材、ニッケル、クロム等)や硬質の樹脂からなるのが好ましく、原版全体が前記耐久性の高い金属や硬質の樹脂からなることがより好ましい。
【0025】
このような段差に対応する凹凸パターンを有する原版は、例えば以下のようにして作製することができる。
まず、片面に平均ピッチ1〜150μm、平均高さ1〜150μmの凹凸構造を有するフィルム61を、平板状原版の場合は少なくとも2枚、円筒状原版の場合は少なくとも1枚用意する(図6a)。ここで、少なくともそのうちの一枚の一辺は略直線状である。このようなフィルムとしては、例えば薄い金属箔や、樹脂フィルムを好ましく用いることができる。
【0026】
なお、上述のフィルムの表面に凹凸構造を賦与する方法に限定はなく、公知の方法を使用することができる。例えば、切削、サンドブラスト等の機械加工によって賦与してもよいし、レーザーのスペックルパターン露光により賦与することもできる。スペックルパターン露光を利用する方法は、機械加工では困難なピッチ及び/又は高さが10μm以下の微細な凹凸構造の形成に適しており、また適度な不規則性を有する凹凸構造を形成することも容易であるので、好ましい方法である。
スペックルパターン露光を利用する場合には、具体的には次のようにして微細な凹凸構造を形成することができる。
例えば、拡散層を通過させたレーザー光によって空間にスペックルパターンを発生させ、これをフォトレジスト等の感光性材料に照射する。次いで、露光した感光性材料を公知の方法によって現像すると、感光性材料に上記スペックルパターンに対応した凹凸構造(この凹凸構造のことも「スペックルパターン」ということがある。)を有するレジストマスタを得る。
通常、レーザー光を拡散層で拡散させると、スペックルパターンは等方性の円形ムラとして発生するが、レーザー光の波長やレーザー光を拡散させる条件等を適宜変更することにより、所望の異方性を有する楕円形ムラを発生させることが可能となる。具体的には、特表2004−508585号公報の段落0047〜0057に開示される方法等によって発生させることができる。
凹凸構造を有する金属型の場合は、さらに、上記のようにして作製したレジストマスタをサブマスタ型とし、このサブマスタ型に電鋳等の方法で金属を被着してこの金属に上記凹凸構造に対応する凹凸構造を転写した後にレジストマスタから剥離させることによって作製することができる。
以上のようにして作製した凹凸構造を有する型から、基材(樹脂フィルム等)上に感光性材料(紫外線硬化樹脂等)により構成される層を有するフィルムに凹凸構造を転写することにより、前述の表面に凹凸構造を有するフィルムを得ることもできる。
なお、干渉露光によるスペックルパターンを用いた微細な凹凸構造の作製方法は周知であり、例えば、特許第3413519号、特表2003−525472号公報及び特表2004−508585号公報等に開示されている。
【0027】
次に、平板状の原版の場合は、用意した表面に凹凸構造を有する2枚のフィルムうち、1枚のフィルム(第一のフィルム)61a(図6a)の一部分に接着剤を塗布すること等によって前記表面を略直線状に横断する接着剤層62を形成し(接着剤層形成工程(図6b))、前記接着剤層の上に、もう一枚の一辺が略直線状であるフィルム(第二のフィルム)61bを裏面が前記接着剤層と接する向きに積層する(積層工程(図6c))。次いで、前記接着剤が前記第二のフィルムの略直線状の一辺からはみ出さないように、かつ前記第二のフィルムの厚さからその凹凸構造の高さを引いた値H(μm)と、前記接着剤層の厚さD(μm)が下記式(1)を満たすように接着剤層を前記第二のフィルムの上から押し広げ(押圧工程(図6d〜f))、前記接着剤を硬化させる(硬化工程)。
1≦H+D≦100...(1)
【0028】
押圧工程においては、接着剤が第二のフィルムの端からはみ出ないように注意しながら接着剤層を押し広げ、接着剤層の厚さをある程度薄くした後、第一のフィルム原版と第二のフィルムの境界を粘着テープ63等でしっかりと固定し(図6e)、その後、第一のフィルムと第二のフィルムとの境界まで再度接着剤層を押し広げる(図6f)ことが好ましい。このようにすると、粘着テープ63等で接着剤が堰き止められるため、第二のフィルムの端から接着剤がはみ出ることを抑えることができる。接着剤が第二のフィルムからはみ出てしまうと、その部分は凹凸構造の全部もしくは一部が接着剤に埋もれるため前述した欠陥の原因となってしまう。粘着テープ63等は接着剤を硬化させた後(硬化工程の後)に剥離して除去することができ、これにより、段差に対応するパターンを有する原版を作製することができる(図6g)。
【0029】
この製造方法で用いる接着剤に限定はなく、アクリル樹脂系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤など様々な種類のものを使用できる。特に紫外線硬化型の接着剤を好ましく用いることができる。また、ハンドリングの観点から粘度200cP以下の低粘度の接着剤を好ましく用いることができ、例えば(有)グルーラボ社製のGL−1001等を用いることが出来る。
【0030】
また、第一、第二のフィルムを樹脂フィルムから作製していた場合には、このようにして作製した原版にさらにニッケル等の電鋳処理を行うことによって、金属原版とすることもできる。
【0031】
この原版を作製する時に使用する表面に凹凸構造を有するフィルムの厚さdから凹凸構造の高さhを引いた値Hと接着剤層の厚さDとの合計が、作製する原版の段差、及び、これによって転写される光拡散部材の段差の高さAとなる。そこで上記HとDとの合計が1〜100μmとなるように調節し、凹凸構造の境界である段差を目立ちにくくする(図7a(第一及び第二のフィルムがポリエチレンテレフタレート等の基材71の上に凹凸構造層72を形成したものである場合)、図7b(第一及び第二のフィルムが金属フィルム(金型)である場合の例))。
また、以上の手法を複数回繰り返すことで、より大面積の原版を得ることも可能である。
【0032】
また、原版が円筒状であると、ロール状のフィルム基材に回転により連続転写することで、大面積な光拡散部材を得ることができるという観点から好ましい。このような円筒状の原版は、以下のようにして作製することができる。
【0033】
円筒状の原版の場合は、少なくとも一辺が略直線状であり、表面に凹凸構造を有する第三のフィルム84(図8a)を、予め用意しておいた円筒状基材83に前記略直線状の一辺と対向する辺から、裏面が円筒状基材と接するように(凹凸構造を有する表面が外側となるように)巻きつけ(捲回工程(図8b))、いったん、第三のフィルムを円筒状基材の回りに弛みのないようにしっかりと巻きつけた後、その巻き終わり部分をわずかに浮かせての前記対向する辺の近傍の裏面に接着剤85を塗布すること等によってフィルムを略直線状に横断する接着剤層を形成し(接着剤層形成工程)、次いで前記接着剤層を対向する前記第三のフィルムの表面に積層し(積層工程(図8c))、前記接着剤が前記第三のフィルムの略直線状の一辺からはみ出さないように、かつ前記第三のフィルムの厚さから前記凹凸構造の高さを引いた値H(μm)と、前記接着剤層の厚さD(μm)が下記式(1)を満たすように接着剤層を前記第三のフィルム原版の上から押し広げ(押圧工程(図8d〜f))、前記接着剤を硬化させることによって(硬化工程)、作製することができる。
1≦H+D≦100...(1)
【0034】
なお、第三のフィルム84は、その1辺の長さlが、巻き芯とする前記円筒状基材83の長さL以下で、その辺に直交する辺の長さwが前記円筒状基材83の円周の長さよりも10mm以上長いような長方形のフィルムであることが好ましい。押圧工程においては、接着剤85が第三フィルム84の端(巻き終わり部分)からはみ出ないように注意しながら接着剤を押し広げ、接着剤層の厚さをある程度薄くする(図8d)。その後、上側のフィルム原版と下側のフィルム原版の境界を粘着テープ86等でしっかりと固定する(図8e)。次に上側のフィルムと下側のフィルムの境界まで再度接着剤を押し広げる(図8f)。この時、粘着テープ86等により接着剤が堰き止められるため、フィルムの端から接着剤が出ることを抑えることが出来る。この時にわずかでも接着剤がフィルムからはみ出てしまうと、その部分は凹凸構造の全部もしくは一部が接着剤に埋められるため欠陥となる。接着剤を硬化させた後、粘着テープを剥離することで、本発明に係る段差を有する円筒状原版を作製することができる(図8g)。
また、第三のフィルムを樹脂フィルムから作製していた場合には、このようにして作製した原版に特表2004−508585号公報記載の方法に従って、さらにニッケル等の電鋳処理を行うことによって、金属原版とすることもできる。
【0035】
(光拡散部材の製法)
次に、以上のようにして製造した原版を用いた光拡散部材の製造方法について説明する。
光拡散部材は、上記原版からの転写により製造することができる。転写方法としては、従来公知の方法が採用でき、例えば、原版が平板状である場合は、射出成形、ホットエンボス成形、紫外線照射賦形等が好ましく採用でき、また、原版が円筒状である場合は紫外線照射によるroll to roll連続賦形等が好ましく採用することができる。
これらの中で、円筒状の原版を用いた紫外線照射によるroll to roll連続賦形が、大量生産に適するために好ましく用いられる。
【実施例】
【0036】
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例及び比較例について説明するが、実施の形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例1〜3、5及び比較例1、2の凹凸構造は、平均ピッチが10μm、平均高さが8μmであり、実施例4の凹凸構造は、平均ピッチが3μm、平均高さが4μmである。
(実施例1)
原版を作製するためのフィルムとして、DCF80x1(スペックル露光法で作製された、長軸方向の拡散角度が1°で、短軸方向の拡散角度が80°の異方性凹凸構造を片面に有する基材厚み2μmの可撓性フィルム)を使用し、接着剤として、(有)グルーラボ社製のGL−1001を使用した。
前述した円筒状の原版を得る手法を用いて、長さ100mm、直径180mmの円筒状原版を作製した後、さらにこの原版を金属原版とした。なお、この原版は、凹凸構造の長軸方向と、段差がフィルムを横断する方向がほぼ一致するように作製した。
この円筒状原版を使用して、紫外線硬化樹脂を用いたroll to roll連続賦形により、大面積のフィルム状の光拡散部材を得た。この光拡散部材の表面形状を株式会社キーエンス製の超深度カラー3D形状測定顕微鏡(VK−9500)を用い、150倍の対物レンズを使用して観察した(図9)ところ、段差は略直線状に光拡散部材の表面を横断しており、凹凸構造の長軸方向と段差が表面を横断する方向がほぼ一致していた。また、段差をまたぐ任意10断面について、表面形状と同様に観察し、段差の高さを測定したところ、その平均は10μmで、最大高さは12μmあった。
この光拡散部材の外観検査を目視によって行ったところ、段差の上下で色味の変化は観察されず凹凸構造の境界は非常に目立ちにくかった。
【0037】
(実施例2)
原版を作製するためのフィルムとして、DCF80x1(基材厚み35μmである以外は実施例1と同じもの)を使用し、接着剤として、(有)グルーラボ社製のGL−1001を使用した。
前述した円筒状の原版を得る手法を用いて、長さ100mm、直径180mmの円筒状原版を作製した後、さらにこの原版を金属原版とした。なおこの原版は、凹凸構造の長軸方向と段差がフィルムを横断する方向がほぼ一致するように作製した。
この円筒状原版を使用して、紫外線硬化樹脂によるroll to roll連続賦形により、大面積のフィルム状の光拡散部材を得た。
この光拡散部材の表面形状を株式会社キーエンス製の超深度カラー3D形状測定顕微鏡(VK−9500)を用い、150倍の対物レンズを使用して観察した(図10)ところ、段差は略直線状に光拡散部材の表面を横断しており、凹凸構造の長軸方向と段差が表面を横断する方向がほぼ一致していた。また、段差をまたぐ任意の10断面について、表面形状と同様に観察し、段差の高さを測定したところ、その平均は50μmで、最大高さは55μmであった。
この光拡散部材の外観検査を目視によって行ったところ、段差の上下で色味の変化は観察されず凹凸構造の境界は非常に目立ちにくかった。
【0038】
(実施例3)
原版を作製するためのフィルムとして、DCF80x1(基材厚み20μmである以外は実施例1と同じもの)を使用し、接着剤として、(有)グルーラボ社製のGL−1001を使用した。
前述した円筒状の原版を得る手法を用いて、長さ100mm、直径180mmの円筒状原版を作製した後、さらにこの原版を金属原版とした。なおこの原版は、凹凸構造の長軸方向と段差がフィルムを横断する方向がほぼ一致するように作製した。
この円筒状原版を使用して、紫外線硬化樹脂によるroll to roll連続賦形により、大面積のフィルム状の光拡散部材を得た。
この光拡散部材の表面形状を株式会社キーエンス製の超深度カラー3D形状測定顕微鏡(VK−9500)を用い、150倍の対物レンズを使用して観察した(図11)ところ、段差は略直線状に光拡散部材の表面を横断しており、凹凸構造の長軸方向と段差が表面を横断する方向がほぼ一致していた。また、段差をまたぐ任意の10断面について、表面形状と同様に観察し、段差の高さを測定したところ、その平均は30μmで、最大高さは37μmあった。また、段差の近傍に幅約40μmの欠陥が確認された。
この光拡散部材の外観検査を目視によって行ったところ、段差の上下で色味の変化は観察されず、欠陥も非常に目立ちにくく、凹凸構造の境界は非常に目立ちにくかった。
【0039】
(実施例4)
原版を作製するためのフィルムとして、DCF60x60(スペックル露光法で作製した、拡散角度が60°の等方性凹凸構造を片面に有する基材厚み2μmの可撓性フィルム)を使用し、接着剤として、(有)グルーラボ社製のGL−1001を使用した。
前述した円筒状の原版を得る手法を用いて、長さ100mm、直径180mmの円筒状原版を作製した後、この原版を金属原版とした。
この円筒状原版を使用して、紫外線硬化樹脂によるroll to roll連続賦形により、大面積のフィルム状の光拡散部材を得た。
この光拡散部材の表面形状を株式会社キーエンス製の超深度カラー3D形状測定顕微鏡(VK−9500)を用い、150倍の対物レンズを使用して観察した(図12)ところ、段差は略直線状に光拡散部材の表面を横断しており、凹凸構造の長軸方向と段差が表面を横断する方向がほぼ一致していた。また、段差をまたぐ任意の10断面について、表面形状と同様に観察し、段差の高さを測定したところ、その平均は15μmで、最大高さは18μmであった。また、段差の近傍に幅約40μmの欠陥が確認された。
この光拡散部材の外観検査を目視によって行ったところ、段差の上下で色味の変化は観察されず、欠陥も非常に目立ちにくく、凹凸構造の境界は非常に目立ちにくかった。
【0040】
(実施例5)
原版を作製するためのフィルムとして、DCF80x1(基材厚み4μmである以外は実施例1と同じもの)を使用し、接着剤として、(有)グルーラボ社製のGL−1001を使用した。
前述した円筒状の原版を得る手法を用いて、長さ100mm、直径180mmの円筒状原版を作製した後、この原版を金属原版とした。なお、この原版は、凹凸構造の長軸方向と段差がフィルムを横断する方向のなす角がほぼ45°になるように作製した。そのため、凹凸構造が段差により途中で分断された。
この円筒状原版を使用して、紫外線硬化樹脂によるroll to roll連続賦形により、大面積のフィルム状の光拡散部材を得た。
この光拡散部材の表面形状を株式会社キーエンス製の超深度カラー3D形状測定顕微鏡(VK−9500)を用い、150倍の対物レンズを使用して観察した(図13)ところ、段差は略直線状に光拡散部材の表面を横断しており、凹凸構造の長軸方向と段差が表面を横断する方向のなす角は45°であった。また、段差をまたぐ任意の10断面について、表面形状と同様に観察し、段差の高さを測定したところ、その平均は20μmで、最大高さは25μmあった。
この光拡散部材の外観検査を目視によって行ったところ段差の上下で色味の変化は観察されなかった。また、段差が目視にてわずかに確認でき、実施例1の結果と比較すると凹凸構造の境界は目立ちやすかったが、問題のない範囲であった。実施例1の結果と比較して凹凸構造の境界は目立ちやすかった原因は、凹凸構造が段差により途中で分断されているために境界前後で滑らかにつながったように見えないためだと考えられる。
【0041】
(比較例1)
原版を作製するためのフィルムとして、DCF80x1(基材厚み175μmである以外は実施例1と同じもの)を使用し、接着剤として、(有)グルーラボ社製のGL−1001を使用した。
前述の円筒状の原版を得る手法を用いて、長さ100mm、直径180mmの円筒状原版を作製した後、この原版を金属原版とした。
この円筒状原版を使用して紫外線硬化樹脂によるroll to roll連続賦形により、大面積のフィルム状の光拡散部材を得た。
この光拡散部材の表面形状を株式会社キーエンス製の超深度カラー3D形状測定顕微鏡(VK−9500)を用い、150倍の対物レンズを使用して観察した(図14)ところ、凹凸構造の長軸方向と段差がフィルムを横断する方向がほぼ一致していた。また、段差をまたぐ任意の10断面について、表面形状と同様に観察し、段差の高さを測定したところ、その平均は190μmで、最大高さは200μmであった。
この光拡散部材の外観検査を目視によって行ったところ段差の上下で色味の変化は観察されなかったが、段差が目視にて確認できてしまうために凹凸構造の境界は目立ちやすかった。
【0042】
(比較例2)
特許文献1に開示された手法によって、サイズ100mm×100mmの光拡散部材を作製した。このとき単位凹凸パターンとしてDCF80x1(基材厚み4μmである以外は実施例1と同じもの)を使用した。
この光拡散部材の表面形状を株式会社キーエンス製の超深度カラー3D形状測定顕微鏡(VK−9500)を用い、150倍の対物レンズを使用して観察した(図15)ところ、段差はミクロに見ても蛇行しており凹凸構造の長軸方向と段差がフィルムを横断する方向のなす角は一定ではなかった。また、段差をまたぐ任意の10断面について、表面形状と同様に観察し、段差の高さを測定したところ、その平均は15μmで、最大高さは20μmであった。
この光拡散部材の外観検査を目視によって行ったところ段差が大きく蛇行しており、段差の上下で色味の変化が観察されるため、凹凸構造の境界が非常に目立ちやすかった。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、例えば、各種電子機器に好適に利用可能である。具体的には携帯電話、デジタルカメラ、テレビ、パーソナルコンピューター用ディスプレイ、及びノートパソコン等の構成部材である光拡散部材として利用可能である。
【符号の説明】
【0044】
41 凹部又は凸部
61 平均ピッチが1〜150μm、平均高さが1〜150μmである凹凸構造に対応する凹凸パターンを有するフィルム
61a 第一のフィルム
61b 第二のフィルム
62 接着剤
63 粘着テープ
71 基材
72 凹凸構造層
83 円筒状基材
84 第三のフィルム
85 接着剤
86 粘着テープ
d フィルムの厚さ
h 凹凸構造の高さ
H フィルムの厚さから凹凸構造の高さを引いた値
D 接着剤層の厚さ
A 段差の高さ
α 凹凸構造の長軸方向と段差が表面を横断する方向のなす角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の光拡散部材であって、
少なくとも一方の表面に、
平均ピッチが1〜150μm、平均高さが1〜150μmである凹凸構造と、
平均高さが1〜100μm、最大高さが1〜100μmであり、前記表面を略直線状に横断する段差を有する光拡散部材。
【請求項2】
前記段差から発生し、前記段差と直交する方向に500μm以上の幅を有する欠陥が存在しない、請求項1に記載の光拡散部材。
【請求項3】
前記凹凸構造が異方性を有する請求項1または2に記載の光拡散部材。
【請求項4】
前記凹凸構造の長軸方向と、前記段差が前記表面を横断する方向とがなす角が10度以下である請求項3に記載の光拡散部材。
【請求項5】
可撓性を有するフィルムである請求項1〜4のいずれか1項に記載の光拡散部材。
【請求項6】
少なくとも一方の表面に、平均ピッチが1〜150μm、平均高さが1〜150μmである凹凸構造に対応する凹凸パターンと平均高さが1〜100μm、最大高さが1〜100μmであり前記表面を略直線状に横断する段差を有する、光拡散部材製造用平板状原版。
【請求項7】
外側表面に、平均ピッチが1〜150μm、平均高さが1〜150μmである凹凸構造に対応する凹凸パターンと、平均高さが1〜100μm、最大高さが1〜100μmであり前記表面を略直線状に横断する段差を有する、光拡散部材製造用円筒状原版。
【請求項8】
表面に平均ピッチが1〜150μm、平均高さが1〜150μmである凹凸構造に対応する凹凸パターンを有する第一のフィルムと、表面にピッチが平均1〜150μm、平均高さが1〜150μmである凹凸構造に対応する凹凸パターンを有し、少なくとも一辺が略直線状である第二のフィルムを用意する工程、
第一のフィルムの表面上に、該表面を略直線状に横断する接着剤層を形成する接着剤層形成工程、
前記接着剤層の上に第二のフィルムを裏面が前記接着剤層と接する向きに積層する積層工程、
前記接着剤が第二のフィルムの略直線状の一辺からはみ出さないように、かつ前記第二のフィルムの厚さから前記凹凸構造の高さを引いた値H(μm)と、前記接着剤層の厚さD(μm)が下記式(1)を満たすように、前記接着剤層を前記第二のフィルムの上から押し広げる押圧工程、及び
前記接着剤を硬化させる硬化工程、
を含む光拡散部材製造用平板状原版の製造方法。
1≦H+D≦100...(1)
【請求項9】
少なくとも一辺が略直線状であり、表面に平均ピッチが1〜150μm、平均高さが1〜150μmである凹凸構造に対応する凹凸パターンを有する第三のフィルムを用意する工程、
裏面が円筒状基材に、第三のフィルムを前記略直線状の一辺と対向する辺の側から巻きつける捲回工程、
第三のフィルムの前記略直線状の一辺近傍の裏面上に、該フィルムを略直線状に横断する接着剤層を形成する接着剤層形成工程、
前記接着剤層を第三のフィルムの表面に積層する積層工程、
前記接着剤が前記第三のフィルムの略直線状の一辺からはみ出さないように、かつ前記第三のフィルムの厚さから前記凹凸構造の高さを引いた値H(μm)と、前記接着剤層の厚さD(μm)が下記式(1)を満たすように、前記接着剤層を前記第三のフィルムの上から押し広げる押圧工程、及び
前記接着剤を硬化させる硬化工程、
を含む光拡散部材製造用円筒状原版の製造方法。
1≦H+D≦100...(1)
【請求項10】
前記第一、及び第二のフィルムの少なくとも1つが、シート状基材の片面に塗布した感光剤層を拡散板を通過させたレーザー光によりスペックル露光させて現像することによって得られたスペックルパターンからなる凹凸構造を有するか、前記スペックルパターンからなる凹凸構造を転写して得られた凹凸構造を有するものである、請求項8に記載の原版の製造方法。
【請求項11】
前記第三のフィルムが、シート状基材の片面に塗布した感光剤層を拡散板を通過させたレーザー光によりスペックル露光させて現像することによって得られたスペックルパターンからなる凹凸構造を有するか、前記スペックルパターンからなる凹凸構造を転写して得られた凹凸構造を有するものである、請求項9に記載の原版の製造方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図6d】
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【図6e】
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【図6f】
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【図6g】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【図8d】
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【図8e】
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【図8f】
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【図8g】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−252058(P2012−252058A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122633(P2011−122633)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000000033)旭化成株式会社 (901)
【Fターム(参考)】