説明

光源ユニット

【課題】光源の光をより効果的に外部へ照射できる照明器具用の光源ユニットを提供する。
【解決手段】設置場所に応じた領域へ光を照射する照明器具、例えば誘導灯の光源ユニット10において、光源ユニット10は、光源としてのLED11Aを備える。LED11Aは、保持部12により保持する。LED11Aを保持した保持部12は、光源用筐体13Aに装着する。保持部12に保持されたLED11Aは、光源用筐体13Aの内部空間に収容する。LED11Aを収容する光源用筐体13Aは、透過性部材により構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設置場所に応じた領域へ光を照射する照明器具の光源ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
暗闇が必要な劇場内や夜間において、通路を光で照射して、通行者の安全を図る誘導灯がある。特許文献1には、路面に埋め込まれ、通行を誘導し、あるいは注意を喚起するのに用いられる誘導灯が開示されている。特許文献1に記載の誘導灯は、光源である発光素子を二つ有しており、それぞれが別方向に光を照射することで、より広い範囲に光を照射できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−144343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1において、一の光源は、一方向のみしか光が照射できないように、誘導灯の筐体内で保持されている。このため、特許文献1では、広い範囲に光を照射するために、他の方向に光を照射する別の光源をさらに設ける必要があり、部品点数が増加するという問題がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、光源の光をより効果的に外部へ照射できる照明器具用の光源ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、設置場所に応じた領域へ光を照射する照明器具の光源ユニットにおいて、光源を保持する保持部と、該保持部により保持された前記光源を収容する内部空間を有する透過性の光源用筐体とを備えることを特徴とする。
【0007】
この構成では、透過性を有する光源用筐体の内部空間に光源を収容している。一部のみが透過性を有する筐体を用いた場合、光源からの光は、筐体の非透過の部分により遮られる。一方、筐体全体が透過性を有している場合、光が筐体により遮られることはない。
【0008】
これにより、光源ユニットからの光が光源用筐体に遮られることないため、その光源ユニットを備える照明器具は、光源からの光をより効果的に外部へ照射することが可能となる。例えば、照明器具本体の筐体を透明にしたり、光を照射する照射孔(開口)を広く形成したりすることで、より広い範囲に光を照射することができる。
【0009】
また、光源ユニット自身は、光源の光を遮ることがないため、光源ユニットを照明器具に設ける場合に、光源ユニットの照射方向等を考慮する必要がなく、自由に照明器具内に配置することが可能となる。
【0010】
また、一部を透過とした光源用筐体を用いる場合、透過部分を別部品とする必要があるが、光源用筐体全体が透過性を有するようにすることで、部品点数の削減、及び電源ユニットの組み立て工程の削減などが実現できる。
【0011】
本発明に係る光源ユニットにおいて、前記光源用筐体は、前記光源の照射方向に位置する面が、前記光源からの光を拡散可能に形成されていることを特徴とする。
【0012】
この構成では、光源からの光を光源用筐体の外側に向けて拡散できる。これにより、単に光源の光を光源用筐体の外側に照射する場合よりも、より広い範囲に光を照射することができる。面は、光を拡散する性質を有する樹脂がコーティングされてもよいし、拡散できる形状に形成されていてもよい。
【0013】
本発明に係る光源ユニットにおいて、前記面は、少なくとも一部が外側に湾曲していることを特徴とする。
【0014】
この構成では、光を拡散させる具体的な構成を示す。光を拡散するために、製造工程において、光源用筐体の一部に特殊なコーティング等をする手間を省くことができる。
【0015】
本発明に係る光源ユニットは、光源、保持部及び光源用筐体それぞれを二つ備えている。二つの前記保持部は、それぞれが保持する光源の照射方向が交差しないように設けられている。
【0016】
この構成では、一つの光源の場合よりも、広い範囲に光を照射できる。
【0017】
本発明に係る光源ユニットにおいて、前記照明器具は誘導灯であることを特徴とする。
【0018】
この構成では、誘導灯に用いる例を示す。この場合、広い範囲に光を照射できるため、通行者をより安全に誘導することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、光源からの光の照射をより効果的に行える照明器具の光源ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態に係る光源ユニットの各部品の組み立て斜視図である。
【図2】組み立て後の光源ユニットであって、図1のII−II線における断面図を示す。
【図3】光源用筐体に形成されたレンズ部による効果を説明するための模式図である。
【図4】実施形態に係る誘導灯の外観斜視図である。
【図5】図4に示すV−V線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る光源ユニットの好適な実施の形態について図面を参照して説明する。
【0022】
図1は、本実施形態に係る光源ユニットの各部品の組み立て斜視図である。図2は、組み立て後の光源ユニットであって、図1のII−II線における断面図を示す。
【0023】
本実施形態に係る光源ユニット10は、光源として種々の照明器具に設けられる。照明器具は、暗闇で、通路等の光を照射して、歩行者の安全な歩行を図るための誘導灯、又は非常時に点灯する非常灯など適宜変更可能である。
【0024】
光源ユニット10は、発光部11、保持部12及び筐体13を備えている。
【0025】
発光部11は、LED(Light Emitting Diode)11A及び基板11Bを有している。LED11Aは、基板11Bの一面(以下、この面を上面という)に設けられている。
【0026】
基板11Bの平面部分は、一部が突出した凸形状を有している。LED11Aは、基板11Bの上面における突出側とは反対側に設けられている。基板11Bは、LED11Aを配線するためのプリント基板であり、例えば、ガラスエポキシ樹脂、または熱伝導率の高い金属製基板などである。
【0027】
なお、発光部11は、LED11Aを有するようにしているが、他の光源、例えば、白熱電球等であってもよい。
【0028】
保持部12は、ベース12A、凸部12B及びカバー12Cを有している。ベース12Aは、基板11Bと同様に、略凸部形状の平板であって、一方の面(以下、この面を上面という)に凸部12B及びカバー12Cが設けられている。以下、凸部形状であるベース12Aの突出する方向を長さ方向とし、それに直交する方向を幅方向とする。
【0029】
凸部12Bは、直方体形状を有しており、ベース12Aの上面における突出側とは反対側であって、ベース12Aの幅方向の略中心、かつ、長さ方向に沿って設けられている。凸部12Bには、発光部11の基板11Bが載置されるようになっている。基板11Bが凸部12Bに載置された場合、同じ凸部形状の基板11B及びベース12Aが、互いに反対方向となって対向するようになっている。
【0030】
なお、保持部12は、例えば、図示しない爪部材により基板11Bを挟み込んで発光部11を固定することが好ましいが、接着剤などで発光部11を保持部12に固定してもよい。
【0031】
カバー12Cは、略長方形状の平板状であって、ベース12Aの突出側端部に、幅方向に沿って略垂直に設けられている。発光部11を保持した保持部12には、後述の筐体13が被せられるようになっている。カバー12Cは、保持部12に筐体13が被せられた場合、筐体13の蓋としての役割を有している。
【0032】
なお、ベース12A、凸部12B及びカバー12Cは、同じ一つの部材から形成されたものであってもよいし、それぞれが別個の部材が組み合わされた(接着された)ものであってもよい。
【0033】
筐体13は、光源用筐体13Aと、LEDソケット13Bとを有している。光源用筐体13AとLEDソケット13Bとは、一体となって形成されたものであってもよいし、別個に形成されたものを組み合わせたものであってもよい。
【0034】
光源用筐体13Aは、図2に示すように、天面と二側面とからゲート状に形成されている。光源用筐体13Aは、天面が、発光部11及び保持部12の上面と対向するように、発光部11を保持した保持部12に被せることが可能な構成としてある。光源用筐体13Aを保持部12に被せた場合、発光部11は、光源用筐体13A及び、保持部12のカバー12Cにより形成される空間に収容されるようになっている。
【0035】
光源用筐体13Aは、全体が透過性を有する樹脂製部材、例えばアクリル樹脂から形成されている。従って、光源用筐体13Aに収容された発光部11のLED11Aが発する光は、光源用筐体13Aの側面や天面により遮られることがない。換言すれば、光源用筐体13Aは、内部に収容したLED11Aが発する光の照射範囲を狭めることがない。
【0036】
光源用筐体13Aの天面には、発光部11が内部に収容された場合に、発光部11のLED11Aと対向する位置に、外側に湾曲したレンズ部131が形成されている。レンズ部131は、LED11Aが発光した場合に、LED11Aからの光を拡散させる。
【0037】
図3は、光源用筐体13Aに形成されたレンズ部131による効果を説明するための模式図である。図3(A)は、レンズ部131が形成されていない場合、図3(B)は、レンズ部131が形成されている場合を示す。図3に示す矢印は、LED11Aから照射された光の軌道を模式的に示している。
【0038】
図3(A)に示すように、レンズ部131が形成されていない場合、すなわち、光源用筐体13Aの天面が平面状である場合、LED11Aから照射された光は、軌道を変えることなく略直進する。これに対し、図3(B)に示すように、レンズ部131が形成された場合、LED11Aから照射された光は、レンズ部131がレンズ効果の役割を果たす結果、レンズ部131に入力されると、屈折して外側に広がって直進する。
【0039】
このように、レンズ部131を光源用筐体13Aに形成することで、LED11Aの光をより広い範囲に照射できるようになる。
【0040】
なお、光源用筐体13Aの天面に、レンズ部131を形成せずに、光を拡散する樹脂がコーティングすることで、光を拡散できるようにしてもよい。この場合、光源用筐体13Aが外側にサイズが大きくなることを防止できる。
【0041】
LEDソケット13Bは、光源用筐体13Aに収容された発光部11への電源供給のためのプラグ(不図示)が差し込み可能なソケットである。LEDソケット13Bに差し込まれたプラグは、筐体13内部で、発光部11の基板11Bと電気的に接続されるようになっている。
【0042】
なお、LEDソケット13Bは、光源用筐体13Aと同様の部材で構成されていてもよいし、他の部材で構成されていてもよい。
【0043】
また、発光部11、保持部12及び筐体13それぞれは、LED11Aの発熱を効率よく逃がす熱伝導率の高い金属製であることが好ましい。
【0044】
以上のように、LED11Aを収容する光源用筐体13A全体が透過性を有することで、LED11Aからの光が、光源用筐体13Aにより遮られることがなくなる。その結果、光源ユニット10を用いた照明器具において、光源ユニット10の光源の光を効果的に活用することができる。
【0045】
以下に、上述のように構成される光源ユニット10を光源として備える照明器具の一例について説明する。本実施形態では、照明器具として、劇場内で、通路に光を照射する誘導灯を例に挙げて説明する。
【0046】
図4は、本実施形態に係る誘導灯の外観斜視図である。図5は、図4に示すV−V線における断面図である。
【0047】
誘導灯1は、長方形状のベース部材40を有している。ベース部材40には、二つの光源ユニット10及び電源ユニット20等が設けられている。また、ベース部材40には、これら光源ユニット10等を保護するカバー30が装着されている。
【0048】
カバー30は、一面が開口した長尺状の箱型であり、この開口にベース部材40が嵌め込まれるようになっている。ベース部材40に嵌め込まれたカバー30は、ベース部材40に設けられた各部品を内側に収容するようになっている。
【0049】
カバー30は、長手方向における一端部が三角状に外側に突出するように、傾斜面31,32を有している。傾斜面31,32それぞれには、誘導灯1の光源、すなわち、光源ユニット10の光を外部に照射するための開口31A,32Aが形成されている。開口31A,32Aは空洞であってもよいし、防塵のためのガラス等の透明部材を開口31A,32Aに嵌め込むようにしてもよい。
【0050】
二つの光源ユニット10は、ベース部材40にカバー30が装着された場合に、光源用筐体13Aの天面が開口31A,32Aそれぞれと対向するように、ベース部材40に保持されている。これにより、光源ユニット10からの光は、開口31A,32Aそれぞれから外部へ照射される。
【0051】
また、二つの光源ユニット10は、光の照射方向が互いに交わらない方向となるようにベース部材40に保持されている。二つの光源ユニット10からの光の照射範囲が重ならないようにすることで、誘導灯1は、より広い範囲に光を照射することができる。
【0052】
なお、光源ユニット10は、レンズ部131により、光を拡散できるようになっているため、二つの光源ユニット10の設置角度や設置距離は、レンズ部131により拡散される光が交わらないように設定されることが好ましいが、一部の光が交わるよう設定されてもよい。
【0053】
また、誘導灯1に設ける光源ユニット10の数は、一つであってもよいし、三つ以上であってもよい。カバー30に形成される開口31A,32Aは、光源ユニット10の数や設置態様によって、適切な位置に形成されることは当然である。
【0054】
光源ユニット10の光源用筐体13Aは、全体が透過性を有しているため、光源ユニット10からの光は、光源用筐体13Aで遮られることなく、開口31A,32Aそれぞれから外部へ照射される。従って、開口31A,32Aを大きくすれば、誘導灯1は、より広い範囲に光を照射することができる。
【0055】
また、二つの光源ユニット10を照射方向が交差しないように設置することで、誘導灯1は、一つの光源ユニット10を有する場合、または、照射方向を同じにして光源ユニット10を設けた場合との対比において、より広い範囲へ光を照射できる。
【0056】
図6は、誘導灯1を劇場の観客席に設置した状態を示している。
【0057】
誘導灯1は、映画館等、劇場内の階段状の通路に沿って配置される観客席100の側面に設置されている。誘導灯1は、開口31A,32Aからの光が通路(床)に向かって光が照射されるように、観客席100の側面に設置されている。
【0058】
誘導灯1は、図中点線で示すように、下方に向かって広がるように光を照射して、観客席100近傍の通路を照射する。以下、誘導灯1により光が照射される領域を、照射領域1aという。誘導灯1により通路が照射されることで、劇場内が暗くても、観客は通路を視認でき、階段状の通路を安全に通行することができる。
【0059】
上述のように、誘導灯1は、広い範囲に光を照射できる。従って、図6に示すように、通路が階段状の場合、段差部分にも光を照射できるようになるため、観客の安全を確保することができる。また、二つの光源ユニット10の設置角度をより広げて、照射領域1aをより大きくすることで、各観客席100に誘導灯1を設置しなくても、例えば、一つの間隔を空けて誘導灯1を設置しても、通路を隈なく照射することができる。
【0060】
なお、本実施形態では、誘導灯1は、観客席100の側面に設置するものとして説明しているが、誘導灯1の設置場所は、通路に沿った壁面、又は天井面などに設置されてもよく、光を照射する必要がある場所に応じて、適宜変更可能である。
【0061】
以上説明した光源ユニット10の具体的構成などは、適宜設計変更可能であり、上述の実施形態に記載された作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、上述の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0062】
1−誘導灯(照明器具)
10−光源ユニット
11−発光部
11A−LED(光源)
12−保持部
13−筐体
13A−光源用筐体
131−レンズ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置場所に応じた領域へ光を照射する照明器具の光源ユニットにおいて、
光源を保持する保持部と、
該保持部により保持された前記光源を収容する内部空間を有する透過性の光源用筐体と
を備えることを特徴とする光源ユニット。
【請求項2】
前記光源用筐体は、
前記光源の照射方向に位置する面が、前記光源からの光を拡散可能に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の光源ユニット。
【請求項3】
前記面は、
少なくとも一部が外側に湾曲している
ことを特徴とする請求項2に記載の光源ユニット。
【請求項4】
光源、保持部及び光源用筐体それぞれを二つ備えており、
二つの前記保持部は、
それぞれが保持する光源の照射方向が交差しないように設けられている
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の光源ユニット。
【請求項5】
前記照明器具は誘導灯である
ことを特徴とする請求項1から4の何れか一つに記載の光源ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−123992(P2012−123992A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273084(P2010−273084)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000001074)クロイ電機株式会社 (49)
【Fターム(参考)】