光線制御ユニット、直下型バックライト装置及び液晶表示装置
【課題】優れた輝度均一性を実現可能な光線制御ユニット、直下型バックライト装置、及び液晶表示装置を提供する。
【解決手段】底面が三角形である略三角錐形状の凸部が表面に複数形成された光拡散板14と、拡散シート面に垂直に光線を入射した場合の出射光の拡散角度が60°以上である拡散シート15と、を備えた光線制御ユニット。
【解決手段】底面が三角形である略三角錐形状の凸部が表面に複数形成された光拡散板14と、拡散シート面に垂直に光線を入射した場合の出射光の拡散角度が60°以上である拡散シート15と、を備えた光線制御ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光拡散板と拡散シートとを備える光線制御ユニット、光源を配置したバックライトと前記光線制御ユニットとを備える直下型バックライト装置、及び当該直下型バックライト装置と液晶表示パネルとを備える液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、液晶ディスプレイ用のバックライトとしては、エッジライト型バックライトと直下型バックライトと呼ばれる2つの方式があるが、大型の表示装置に対しては、低コストで高輝度を実現できる直下型バックライトが多く用いられている。
直下型バックライトは、一般的に、冷陰極管のような線光源をベースに設計されており、これにさらに光拡散板や光学フィルムを組み合わせて面発光させる方式が採られている。
【0003】
近年においては、環境問題への対応、光源の長寿命化、省電力化、さらには画質向上の観点から、光源として冷陰極管に替えてLEDを用いることが要求されている。しかしながら冷陰極管は線光源であるのに対して、LEDは点光源であるため、冷陰極管と共通の光拡散板や光学フィルムを用いると輝度ムラが大きくなるという問題を生じるため、光拡散板や光学フィルムとして、点光源を面光源に変換する技術が求められている。
LED光源としては、安価でかつLED直上光の光線強度の強いランバーシャン分布を有するLEDが一般的に用いられており、LED直上に指向性の強い光源をいかに面光源に変換するかが大きな課題である。
【0004】
一方、近年液晶ディスプレイにおいては、薄型化、低コスト化が強く求められており、バックライトとしては、光源や光学フィルムを削減し、さらには、装置全体の薄型化を図るべく、光源から光拡散板までの距離が短い場合にも、効果的に光を拡散できる技術が求められている。
【0005】
従来、直下型点光源用の光拡散技術としては、複数の点光源の中から、最も面積が小さく、かつ周の長さが最短となるような凸四角形を構成する4つの点光源を選択した際に、光出射面での各点光源の各像が、光出射面の特定の領域内に観察されるようにする像形成位置調整手段についての提案がなされている。また、光拡散板としては、傾斜角の異なる凹型四角錐形状体が出射面側に複数配置されているものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、同様に、光線の利用効率向上を目的として、光拡散板の光出射面側に凹型四角錐形状体を斜列状に配置する構造の光拡散板が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
また、LED光源の輝度ムラを低減させることを目的として、光拡散板の出射面側に、コーナーキューブ形状を有する複数のプリズムが隙間なく形成されたプリズムシートをLED光源の上方に設置する構造の光拡散板が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0008】
さらには、レーザービームのスペックルによって感光性媒体に凹凸形状を記録し、これを用いてパターン転写用の金型を製造し、当該金型を用いて、直下型の大型液晶表示装置用の導光板表面に凹凸を形成し、ホログラム導光板とする発明が開示されている(例えば、特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第07/114158号パンフレット
【特許文献2】米国特許第7334920号明細書
【特許文献3】特開平10−274947号公報
【特許文献4】特開2001−23422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、ランバーシャン分布を有する指向性の高い点光源に対して、光拡散板として特許文献1に記載の、傾斜角の異なる凹型四角錐形状体を出射面側に有する光拡散板を用いた場合、輝度ムラ低減効果が小さく輝度均一性に大きな問題をかかえる。
【0011】
また、特許文献2に記載の凹型四角錐形状体を出射面側に有する光拡散板についても、特許文献1と同様に、輝度均一性向上効果は小さく、輝度均一性について十分な特性が得られないという問題を有している。
【0012】
また、特許文献3には、点光源に対して、その上方にアクリル樹脂からなるコーナーキューブ形状の微小な複数のプリズムが隙間無く形成された厚さ1mmのプリズムシートを配置する構造が開示されているが、点光源の出光分布、拡散フィルムの拡散角度特性、及び光拡散板の表面形状の最適な組み合わせに関する記載はない。
【0013】
さらに、特許文献4には、ホログラムをなす凹凸の密度が、前記光源が位置している部分は高く光源から遠くなるほど密度が低くなるように形成されたホログラム導光体が開示されているが、点光源の出光分布や、他の光拡散板との最適な組み合わせに関する記載はない。
【0014】
一般にバックライトは、複数の光学シートを用いることにより輝度の均一化を図るものであるが、上述した特許文献1〜4に開示されている技術は、いずれも他の光学シートの組み合わせを固定した上で、特定の光学シート単品の最適化を図るものであり、いずれの文献にも複数の光学シートの最適な組み合わせに関する記載はない。
【0015】
上述したように、近年、バックライトにおいては、薄型化の傾向や消費電力低減化の観点から、光源数の削減を図る傾向があるが、薄型化や光源の削減を行うと輝度ムラが発生する。かかる輝度ムラを低減化するためには、結局のところ、光源数を増加させるか、光学フィルムを多数併用必要があるという問題があった。
【0016】
本発明は前記従来技術の問題点を解決するものであり、その目的は、直下型バックライト装置において、光学フィルムを多数併用しなくても、所望のバックライト厚みで、かつ少ない個数の光源で、優れた輝度均一性を可能とする光線制御ユニット、直下型バックライト装置、及び液晶表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究した結果、特定の斜面角度と屈折率との関係を有する複数の略三角錐形状の凸部を有する光拡散板と、特定の拡散角度を有する拡散シートとを組み合せた光線制御ユニットによって、多数の光学シートを併用することなく輝度均一性を向上させられることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
【0018】
〔1〕
底面が三角形である略三角錐形状の凸部が表面に複数形成された光拡散板と、拡散シート面に垂直に光線を入射した場合の出射光の拡散角度が60°以上である拡散シートとを具備する光線制御ユニット。
〔2〕
前記光拡散板が、下記条件(A)を満たす前記〔1〕に記載の光線制御ユニット。
条件(A):分光光度計を用いて、前記凸部が形成された面とは反対側の面から、光拡散板の水平面に対する垂線に対して7°傾いた入射角度で波長450〜750nmの光を入射させたときの平均反射率Rが45%以上である。
〔3〕
前記光拡散板の前記略三角錐形状の凸部の側面の底面に対する傾斜角θ、及び前記凸部を形成している材料の屈折率Aが、下記式(1)及び式(2)を満たす光拡散板を具備する前記〔1〕又は〔2〕に記載の光線制御ユニット。
(1)・・・ θ≧(−40A+115.2)°
(2)・・・ θ≦(25A+22.25)°
〔4〕
前記光拡散板の前記略三角錐形状の凸部の側面の底面に対する傾斜角θ、及び前記凸部を形成している材料の屈折率Aが、下記式(3)及び式(4)を満たす光拡散板を具備する前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載の光線制御ユニット。
(3)・・・ θ≧(−40A+116.2)°
(4)・・・ θ≦(25A+20.25)°
〔5〕
前記光拡散板が下記式(5)を満たす前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載の光線制御ユニット。
(5)・・・ 0≦g/(b+c+d)≦0.30
(式(5)中、b、c及びdを、それぞれ、下記に示す。
b:前記凸部を以下のI点、J点、及び凸部頂点(凸部が三角錐台形状である場合には、頂上の三角形の重心)の3点を通る平面で切断した際に現れる切断面において現れる前記凸部の一側面の部分であって、前記凸部の一側面の接平面と底面のなす角θ´が以下の式(1´)及び(2´)を満たす部分Bを水平面に投影した投影線分の長さ。
c:前記部分Bより凸部の裾側にある部分Cを水平面に投影した投影線分の長さ。
d:前記部分Bより凸部の頂側にある部分Dを水平面に投影した投影線分の長さ。
(1´)・・・ θ´≧(−40A+115.2)°
(2´)・・・ θ´≦(25A+22.25)°
I点:凸部の頂点(凸部が三角錐台形状である場合には、頂上の三角形の重心)を垂直に底面の三角形に投影した点。
J点:前記I点から、底面の三角形を構成する辺のうち前記I点との距離が最も近い辺に対し垂線を引いた際の、該垂線と該辺との交点。
また式(5)中、gは、前記凸部を、底面の三角形に垂直な平面で且つ以下のI´点、J´点を通る平面で切断した際に現れる切断面の、中心からJ´点を含む方の片側部分において、前記凸部の一側面の接線のうち、当該接線と底面との成す角θ´が(1´)及び(2´)を満たす部分より頂部側にある部分を水平面に投影した投影線分の長さを表す。ただし、上記条件を満たす切断面が複数存在する場合は、gの値が最も大きくなる切断面を採用する。
I´点:凸部の頂点(凸部が三角錐台形状である場合には、頂上の三角形の重心)を垂直に底面の三角形に投影した点と、底面の三角形の頂点のうち、該投影した点に最も近い底面の三角形の頂点とを結んだ線分の中点。
J´点:前記I´点から、底面の三角形を構成する辺のうち前記I´点との距離が最も近い辺に対し垂線を引いた際の、該垂線と該辺との交点。)
〔6〕
前記b、c及びdの和が5〜200μmである前記〔5〕に記載の光線制御ユニット。
〔7〕
前記光拡散板の前記略三角錐形状の凸部の側面の底面に対する傾斜角θが、θ≠55°である前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載の光制御ユニット。
〔8〕
前記光拡散板は、少なくとも(a)レンズ層と(b)拡散層とを具備し、
前記(a)レンズ層と前記(b)拡散層とが、同一層、連続層、及びセパレート層よりなる群から選ばれるいずれかであり、
前記凸部が前記(a)レンズ層の表面に形成されている前記〔1〕乃至〔7〕のいずれか一に記載の光線制御ユニット。
〔9〕
前記(b)拡散層が透明樹脂と光拡散剤を含み、拡散率Sが2〜40%である前記〔8〕に記載の光線制御ユニット。
〔10〕
前記光拡散板が(a)レンズ層と(b)拡散層からなり、前記(a)レンズ層と(b)拡散層の厚みの和が0.5〜3.0mmである前記〔8〕又は〔9〕に記載の光線制御ユニット。
〔11〕
前記拡散シートの面上には凹凸構造が形成されており、当該拡散シートの拡散角度は、前記拡散シート面に形成された凹凸構造により制御される前記〔1〕乃至〔10〕のいずれか一に記載の光線制御ユニット。
〔12〕
前記拡散シートの前記凹凸構造が、干渉露光によるスペックルパターンを用いて形成された凹凸構造である前記〔11〕に記載の光線制御ユニット。
〔13〕
反射シートと、
複数の光源と、
前記〔1〕乃至〔12〕のいずれか一に記載の光線制御ユニットと、
が、当該順番により配設されている直下型バックライト装置。
〔14〕
前記光拡散板の前記略三角錐形状の凸部の形成面及び前記拡散シートの前記凹凸構造の形成面が、前記光源に対向する面の反対側の面である前記〔13〕に記載の直下型バックライト装置。
〔15〕
前記光拡散板と前記拡散シートが、光源に近い側から、光拡散板、拡散シートの順に配置されている前記〔14〕に記載の直下型バックライト装置。
〔16〕
前記反射シートの拡散反射率が90%以上である前記〔13〕乃至〔15〕のいずれか一に記載の直下型バックライト装置。
〔17〕
前記光源が、LEDの点光源である前記〔13〕乃至〔16〕のいずれか一に記載の直下型バックライト装置。
〔18〕
前記複数の点光源が格子状に周期的に配置されている前記〔17〕に記載の直下型バックライト装置。
〔19〕
前記複数の点光源が、格子状に周期的に配置され、
前記光拡散板の複数の略三角錐形状の凸部は、隣り合う略三角錐形状の凸部の底面の三角形の一辺同士が、互いに平行となるように、周期的に配置され、
かつ、前記複数の点光源と前記光拡散板とが、当該光拡散板の各略三角錐形状の凸部の底面の三角形のいずれか一辺が、前記点光源の格子状配置の格子を構成する四角形の対角線と、平行又は垂直となるように積層されている、前記〔18〕に記載の直下型バックライト装置。
〔20〕
前記複数の点光源が、格子状に周期的に配置され、
前記光拡散板の複数の略三角錐形状の凸部は、底面が二等辺三角形である略三角錐形状であり、
前記光拡散板の複数の略三角錐形状の凸部は、隣り合う略三角錐形状の凸部の底面の二等辺三角形の底辺同士が、互いに平行となるように周期的に配置され、
かつ、前記複数の点光源と前記光拡散板とが、当該光拡散板の各略三角錐形状の凸部の底面の二等辺三角形の底辺が、前記点光源の格子状配置の格子を構成する四角形の対角線と、平行又は垂直となるように積層されている、前記〔18〕又は〔19〕に記載の直下型バックライト装置。
〔21〕
前記複数の点光源が、格子状に周期的に配置され、
前記光拡散板の複数の略三角錐形状の凸部は、底面が正三角形である略三角錐形状であり、
前記光拡散板の複数の略三角錐形状の凸部は、隣り合う凸部の底面の正三角形の一辺同士が、互いに平行となるように周期的に配置され、
かつ、前記複数の点光源と前記光拡散板とが、当該光拡散板の各略三角錐形状の凸部の底面の正三角形のいずれか一辺が、前記点光源の格子状配置の格子を構成する四角形の対角線と、平行又は垂直となるように積層されている、前記〔18〕乃至〔20〕のいずれか一に記載の直下型バックライト装置。
〔22〕
液晶表示パネルと、前記液晶表示パネルに光を供給する前記〔13〕乃至〔21〕のいずれか一に記載の直下型バックライト装置とを具備する液晶表示装置。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、光学フィルムや光源数の削減を図り、バックライトの薄型化を実現しつつ、良好な輝度均一性を発現することができる光線制御ユニット、直下型バックライト装置、及び液晶表示装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】略三角錐形状の凸部の傾斜角θと略三角錐形状の凸部を形成している樹脂の屈折率Aの好ましい領域を示す図である。
【図2】光拡散板表面に賦形された略三角錐形状の凸部(三角錐台形状)の一例の斜視図である。
【図3】光拡散板表面に賦形された略三角錐形状の凸部(三角錐形状)の一例の斜視図である。
【図4】光拡散板表面に賦形された頂点が曲面形状の略三角錐形状の凸部(頂点R型の三角錐形状)の一例の斜視図である。
【図5】光拡散板表面に賦形された一例の略三角錐形状の凸部の正面図及びその断面図である。
【図6】(a)gの定義説明のための凸部の上面図である。(b)gの定義説明のための凸部の部分断面図である。
【図7】光拡散板表面に賦形された略三角錐形状の凸部の底面三角形の内角の関係の説明図である。
【図8】光拡散板の層構成図(同一層、連続層、セパレート層)である。
【図9】(a),(b)拡散シートの拡散角度の定義の説明図である。
【図10】LEDの出光分布図である。
【図11】本実施形態の直下型バックライト装置の一例の概略構成図である。
【図12】本実施形態の直下型バックライト装置の他の一例の概略構成図である。
【図13】本実施形態の直下型バックライト装置の他の一例の概略構成図である。
【図14】本実施形態の直下型バックライト装置の他の一例の概略構成図である。
【図15】本実施形態の直下型バックライト装置の他の一例の概略構成図である。
【図16】光拡散板表面に賦形された略三角錐形状の凸部とLED配置の相関図である。
【図17】光拡散板表面に賦形された略三角錐形状の凸部とLED配置の相関図である。
【図18】光拡散板表面に賦形された略三角錐形状の凸部とLED配置の相関図である。
【図19】バックライトのLED配置(格子配置)の一例を示す図(平面図)である。
【図20】バックライトのLED配置(千鳥配置)の一例を示す図(平面図)である。
【図21】光拡散板表面に賦形された略三角錐形状の凸部とLED配置の相関図である。
【図22】光拡散板の一例の出光面側の正面図である。
【図23】実施例及び比較例に用いたLED光源の配置パターン図を示す。
【図24】本実施形態における直下型バックライト装置の一例の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について、詳細に説明する。
なお、本発明は以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
【0022】
〔光線制御ユニット〕
本実施形態の光線制御ユニットは、底面が三角形である略三角錐形状の凸部が表面に複数形成された光拡散板と、拡散シート面に垂直に光線を入射した場合の出射光の拡散角度が60°以上である拡散シートを具備している。
【0023】
(光拡散板)
本実施形態の光線制御ユニットを構成する光拡散板について説明する。
光拡散板は、その表面に複数の凸部が形成された光拡散板である。
前記凸部は上記のように底面が三角形である略三角錐形状である。
【0024】
前記略三角錐形状の凸部の側面の底面に対する傾斜角θ(以下、単に傾斜角θと言うこともある。)及び前記凸部を形成している材料の屈折率A(以下、単に屈折率Aと言うこともある。)は、下記式(1)及び(2)を満たしている。
(1)・・・θ≧(−40A+115.2)°
(2)・・・θ≦(25A+22.25)°
図1に、略三角錐形状の凸部の傾斜角θと略三角錐形状の凸部を形成している樹脂の屈折率Aの好ましい領域を示す図を示す。
屈折率Aを横軸、傾斜角θを縦軸にそれぞれ示す。
本実施形態で用いられる光拡散板は、図1中、式θ=25A+22.25の下側と、式θ=−40A+115.2の上側の領域内の条件を満たすものであることが好ましい。
【0025】
前記光拡散板の表面の前記略三角錐形状の凸部の傾斜角θと屈折率Aとが、上記式(1)と(2)の関係を満たすことにより、前記光拡散板を用いたバックライト装置は、輝度、色ムラ特性、正面輝度均一性に加え斜視輝度均一性が著しく向上する。
【0026】
光拡散板の表面形状として、略三角錐形状の凸部以外の、例えば、多角錐形状の凸部、及び三角錐を含む多角錐形状の凹部を形成したものとしても、本実施形態の光線制御ユニット、直下型バックライト装置及び液晶表示装置の性能を発現することはできない。
また、光拡散板の表面形状が略三角錐形状の凸部が形成されたものであっても、前記(1)及び(2)を満たさない場合は、正面の輝度均一性が低下する。
【0027】
本実施形態で用いられる光拡散板は、前記傾斜角θと屈折率Aとが、下記式(3)と(4)を満たすと、輝度、色ムラ特性、正面輝度均一性、及び斜視輝度均一性はより一層向上し、好ましい。
(3)・・・ θ≧(−40A+116.2)°
(4)・・・ θ≦(25A+20.25)°
【0028】
傾斜角θが55.5度以上であると、バックライト装置や表示装置において輝度、色ムラ特性、正面輝度均一性、及び斜視輝度均一性に特に優れた効果を発揮し得る光拡散板となり、より好ましい。
【0029】
前記傾斜角θは、レーザー顕微鏡やSEM(電子顕微鏡)を用いて光拡散板表面の断面形状観察することにより求めることができる。
前記屈折率Aは、凸部を形成する部位を切断分離し、その後、熱プレス等で表面が平滑なフィルムを作製し、JIS K7142に準拠してアッベ屈折計を用いることにより求めることができる。また、屈折率Aは、凸部を平滑化できない場合は、凸部を切断した後、前記切断部位を粉砕して、ベッケ法により求めることもできる。
また、前記屈折率Aは、試料を形成する材料のうち透明なもの(例えば、透明樹脂)によって決まり、光拡散剤等が添加されていてもそれにより屈折率自体は変化しない。
そこで、凸部が光拡散剤等を含んでいて拡散性を有するために上記の方法で屈折率を測定することが難しい場合等には、凸部を形成する材料のうち透明なもの(例えば、透明樹脂原料)だけをフィルム化し、前記同様にアッベ屈折計を用いてそのフィルムの屈折率を測定し、屈折率Aを求めることもできる。
【0030】
光拡散板の凸部の形状である略三角錐形状とは、底面が三角形であって、頂上が点又は面積が底面よりも小さい三角形である立体を言う。例えば、図2に示すような、いわゆる三角錐台も含む。
光拡散板の凸部の側面は、平面であっても曲面であってもよく、頂上が点である場合、その頂点は、図3のように尖っていても、図4のように頂部がR形状とされた曲面でもよい。
また、略三角錐形状の凸部の稜線は尖っていても、曲面でもよい。
さらに、本実施形態で用いられる光拡散板の凸部の形状である前記略三角錐形状は、頂点(又は頂上の三角形の中心)と底面の三角形の中心とを結んだ直線(中心軸)が、前記底面と垂直であること、すなわち斜三角錐でないことが好ましい。
【0031】
本実施形態で用いられる光拡散板において、前記傾斜角θは、上述したように凸部の側面と底面とがなす角である。傾斜角θの定義について以下に示す。
凸部の側面の一部が曲面を含む場合であっても、凸部の側面に平面が含まれている場合には、その平面と底面がなす角が傾斜角θとなる。
凸部の側面に複数の平面が含まれている場合には、最も面積の大きい平面と底面がなす角が傾斜角θとなる。
また、凸部の側面が全て曲面である場合には、傾斜角θは側面の接平面と底面となす角のうち最も大きい角とする。
また、略三角錐形状が、斜三角錐である場合には、傾斜角θは、凸部の3つの側面と底面がなす角のうち最も大きな角とする。
【0032】
本実施形態で用いられる光拡散板は、その表面に、同一形状の略三角錐形状の凸部が、周期的に形成されているものであることが好ましい。
【0033】
また、色ムラ特性、輝度及び輝度均一性の観点からは、本実施形態で用いられる光拡散板の凸部の形状及び配置は、下記式(5)を満たすことが好ましい。
(5)・・・ 0≦g/(b+c+d)≦0.30
上記式(5)中、b、c及びdは、それぞれ、前記凸部を以下のI点、J点、及び凸部頂点(凸部が三角錐台形状である場合には、頂上の三角形の重心)の3点を通る平面で切断した際に現れる切断面、すなわち、図5中、破線に従い切断した切断面において現れる、前記凸部の一側面の接平面と底面とが成す角θ´が以下の式(1´)及び(2´)を満たす図5中の前記切断面中の、前記凸部の一側面の部分である部分Bを水平面に投影した投影線分の長さ(図5中のb)、前記「部分B」より凸部の裾側にある部分Cを水平面に投影した投影線分の長さ(図5中のc)、及び、前記「部分B」より凸部の頂側にある部分Dを水平面に投影した投影線分の長さ(図5中のd)を表す。
(1´)・・・ θ´≧(−40A+115.2)°
(2´)・・・ θ´≦(25A+22.25)°
I点:凸部の頂点(凸部が三角錐台形状である場合には、頂上の三角形の重心)を垂直に底面の三角形に投影した点。
J点:前記I点から、底面の三角形を構成する辺のうち前記I点との距離が最も近い辺に対し垂線を引いた際の、当該垂線と前記辺との交点。
なお、前記部分Bは、凸部の頂点から、切断される凸部の側面の底辺に下ろした垂線に相当する。但し、切断面における頂部側の部分(部分Dに相当)や、切断面における裾側の部分(部分Cに相当)は含まれない。
また、前記角θ´は、部分Bが成す直線と凸部の底面とが成す角である。
【0034】
なお、図5中に示す部分Bより凸部の裾側にある部分Cには、隣接する凸部との間の距離L×1/2分を含むものとし、部分Dの頂部側終端は凸部の頂点(三角錐台形状である場合には、頂部の三角形の中心)とする。
図5においては、部分Bとして直線線分を例示しているが、部分Bは、上記式(1´)、(2´)を満たす部分であれば、曲線であってもよい。
例えば、光拡散板の凸部を形成している材料の屈折率Aが1.59である場合は、部分Bはθ´=52〜62°の範囲で連続的に変化する曲線であってもよい。
【0035】
上記式(5)中、gについて説明する。
前記凸部を、底面の三角形に垂直な平面で、かつ以下のI´点、J´点を通る平面(図6(a)中の破線)で切断した際に現れる切断面を図6(b)に示す。
I´点:凸部の頂点(凸部が三角錐台形状である場合には、頂上の三角形の重心)を垂直に底面の三角形に投影した点と、底面の三角形の頂点のうち、該投影した点に最も近い底面の三角形の頂点とを結んだ線分の中点。
J´点:前記I´点から、底面の三角形を構成する辺のうち前記I´点との距離が最も近い辺に対し垂線を引いた際の、該垂線と該辺との交点。
図6(b)は、前記I´点、J´点を通る平面(図6(a)中の破線)で切断した際に現れる切断面のうち、中心からJ´点を含む片側の最下部までの部分を示している。
前記凸部の一側面の接線のうち、当該接線と底面との成す角θ´が上記(1´)及び(2´)を満たす部分より頂部側にある部分を水平面に投影した投影線分の長さをgとする。ただし、上記条件を満たす切断面が複数存在する場合は、gの値が最も大きくなる切断面を採用する。
【0036】
本実施形態の光線制御ユニット及びこれを具備する直下型バックライト装置、液晶表示装置において、さらなる輝度向上、及び輝度均一性を図る観点から、0.01≦g/(b+c+d)≦0.20であることがより好ましく、0.01≦g/(b+c+d)≦0.10であることがさらに好ましい。
【0037】
さらに、本実施形態の光線制御ユニット及びこれを具備する直下型バックライト装置、液晶表示装置における色ムラ特性、輝度及び輝度均一性の観点からは、光拡散板の凸部の形状及び配置は、下記式(6)と式(7)を満たすことが好ましい。
(6)・・・ 0≦c/(b+c+d)≦0.20
(7)・・・ 0≦d/(b+c+d)≦0.40
さらなる輝度向上、及び輝度均一性の観点から、0.01≦c/(b+c+d)≦0.13であることがより好ましく、0.01≦c/(b+c+d)≦0.06であることがさらに好ましい。
【0038】
なお、上述したB、C、D、b、c、d、gは、レーザー顕微鏡やSEM(電子顕微鏡)を用いて光拡散板表面の略三角錐形状の凸部の断面形状観察を行うことにより求めることができる。
【0039】
また、光拡散板の略三角錐形状の凸部の、上述したb、c、dは、その和b+c+dが5〜200μmであることが、輝度均一性、モアレ、及び製造の観点から好ましく、10〜150μmであることがより好ましく、15〜120μmであることがさらに好ましい。
また、光拡散板の略三角錐形状の凸部の高さ(底面から最上部までの距離)は、10〜400μmであることが好ましい。
【0040】
本実施形態で用いられる光拡散板の略三角錐形状の凸部は、可視光に対して再帰反射特性を示さない形状であることが好ましい。
すなわち、略三角錐形状の凸部が、再帰反射特性を示さない形状であると、点光源から出て、かつ、再び点光源に戻る光の割合が少なくなり、点光源による光の吸収を抑えることができる。
【0041】
前記再帰反射特性の指標として、光拡散板の凸部形成面側とは反対側の面(入光面)側から、光拡散板の水平面に対する垂線に対して7°傾いた入射角度で、波長450〜750nmの光を入射させたときの平均反射率Rを使用することができる。
ここで平均反射率Rとは、450〜750nmの波長領域において、波長1nm毎に反射率を求めたときの平均値をいう。
平均反射率Rが45%以上であると、再帰反射成分が少なく、点光源での光の吸収が少ない光拡散板であると言え、色ムラ特性、輝度、輝度均一性に特に優れた光拡散板となる。
平均反射率Rは50%以上であることがより好ましく、55%以上であることがさらに好ましい。
【0042】
前記略三角錐形状の凸部側面の底面に対する傾斜角θが57°である場合は、光の入光ポイントに光が戻らず、再帰反射性を有さないため、高い平均反射率となる。
一方、前記略三角錐形状の凸部が、例えば、コーナーキューブ形状(前記傾斜角θが55度)を有し、再帰反射性を有する場合には、光の入光ポイントに光が戻るため、平均反射率Rが45%未満となる。
従って、前記略三角錐形状の凸部は、前記傾斜角θが55°以外の傾斜角であることが好ましい。
【0043】
また、本実施形態の光線制御ユニット及びこれを具備する直下型バックライト装置、液晶表示装置における色ムラ特性、輝度、輝度均一性向上の観点から、光拡散板に入射した光は適度に拡散されることが望ましい。
従って、平均反射率Rは70%以下であることが好ましく、67%以下であることがより好ましい。
【0044】
本実施形態で用いられる光拡散板と光源とを組み合わせて、直下型バックライト装置を構成する場合には、光拡散板の2つの表面のうち、略三角錐形状の凸部を有する面を出光面側に配置することで、輝度、色ムラ特性、輝度均一性(正面及び斜め視野)に特に優れた直下型バックライト装置となる。
なお、光拡散板を光源と組み合わせて使用した場合において、光源に近い方の表面(すなわち、光源に対向する側)を入光面、光源から遠い方の表面(光源の反対側)を出光面と定義する。
【0045】
上述したように、光拡散板の表面には、略三角錐形状の凸部が複数形成されている。
複数個の凸部の形状は同一であっても異なっていてもよい。
また、複数個の凸部の配置の態様についても限定はない。
例えば、前記複数の凸部を、隣り合う凸部底面三角形の向かい合う辺同士が、互いに平行となるように、隣接して配置することは、輝度均一性及び生産性の観点から好ましい。
また、凸部の底面の三角形の形状にも限定はない。
例えば、図7に示すように、凸部の底面の三角形の内角を、それぞれα、β、γとした場合、|α−β|、|β−γ|、|γ−α|が、各々20°以下であることが輝度均一性の観点から好ましく、10°以下であることがより好ましく、5°以下であることがさらに好ましい。
凸部の底面の三角形のとりわけ好ましい形状は、二等辺三角形、正三角形である。
さらに、光拡散板の表面に設けられる略三角錐形状の凸部は、光拡散板の水平面の70面積%以上の領域に形成されることが、輝度均一性の観点から好ましく、80面積%以上に形成されることがより好ましく、90面積%以上に形成されることがさらに好ましく、95面積%以上に形成されることがさらにより好ましい。
【0046】
上述した光拡散板は、下記の(a)レンズ層、(b)拡散層からなる構成を有していることが、本実施形態の光線制御ユニット、これを具備する直下型バックライト装置、液晶表示装置において、輝度及び正面・斜視の輝度均一性を向上させる観点から好ましい。
前記(a)レンズ層とは、前記略三角錐形状の凸部が形成されている層である。
前記(b)拡散層とは、透明樹脂及び拡散剤を含む光を拡散させる層である。
前記(a)層及び(b)層は、それぞれ単一層から形成されていてもよいし、複数の層から形成されていてもよい。
前記(a)層と(b)層は、図8に示すように、同一層であってもよいし、連続層であってもよいし、あるいはセパレート層であってもよい。
なお、同一層とは、(b)拡散層の表面に前記略三角錐形状の凸部が形成される、すなわち(b)層に(a)層が組み込まれた層構成をいう。
連続層とは、(a)レンズ層と(b)拡散層とが密着し、一体化した層構成をいう。
セパレート層とは、(a)レンズ層と(b)拡散層が別々のシートとして存在し、2枚のシートを物理的に重ね合わせた構成、すなわち両層間には空気の界面が存在している状態となっている構成をいう。
セパレート層については、(a)レンズ層の凸部を出光面側に固定した状態で、(a)層と(b)層を入れ替え可能、すなわち光源に近い方から、(a)層、(b)層、或いは(b)層、(a)層で配置してもよいし、更に(a)層と(b)層の間に別のシートを配置してもよい。
【0047】
本実施形態で用いられる光拡散板の凸部(図8に示す構成の場合においては、(a)レンズ層)を構成する材料についは、上述した式(1)、(2)を満たす屈折率Aを有するものであれば限定はなく、光透過性の高い樹脂が好ましい。
例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、等のポリエステル樹脂、及びこれ等の共重合体;ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、脂環式ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂;ポリスチレン、スチレンーアクリロニトリル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、メチルメタクリレート−スチレン共重合体、アルファメチルスチレン共重合体等のスチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリエチルアクリレート等のアクリル系樹脂;メタクリル酸エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
【0048】
本実施形態で用いられる光拡散板の凸部(図8に示す構成の場合においては、(a)レンズ層)を構成する材料の屈折率Aは、本実施形態の光線制御ユニット及びこれを具備する直下型バックライト装置、液晶表示装置における輝度、色ムラ特性、正面輝度均一性、及び斜視輝度均一性の観点から、1.43以上であることが好ましく、1.49以上がより好ましく、1.53以上がさらに好ましく、1.55以上がさらにより好ましい。
屈折率Aの上限は特に無いが、輝度、色ムラ特性、正面輝度均一性、及び斜視輝度均一性の観点から屈折率Aは1.71以下であることが好ましく、1.65以下であることがより好ましい。
【0049】
また、本実施形態で用いられる光拡散板の拡散率Sは、2%以上が好ましく、5%以上がより好ましく、10%以上がさらに好ましい。
なお、後述するように、略三角錐形状の凸部の傾斜角θが55°の場合においては、再帰反射を少なくするため、拡散率Sは5%以上とすることが好ましく、より好ましくは10%以上である。
本実施形態で用いられる光拡散板の拡散率Sの上限は40%以下とすることが好ましく、30%以下がより好ましい。
光拡散板の拡散率Sが上記範囲であると、輝度、輝度均一性(正面及び斜視)、色ムラ特性に優れた光拡散板となる。
なお、拡散率Sについては、前記光拡散板の(a)層と(b)層が連続層である場合、及び(a)層と(b)層がセパレート層である場合は、(a)層と(b)層を重ねた状態で熱プレス等により(a)層の表面を平滑にし、光拡散板を擬似的に拡散層単層の構成とした後、変角光度計(例えば日本電色工業社製GC5000L)を用いて、透過モードで光入射角0度で光を入射させたときの透過光の輝度の測定を行い、下記式により求めることができる。
また、前記光拡散板が(a)層のみで構成される場合、及び(a)層と(b)層とが同一層である場合は、(a)層を熱プレス等により表面を平滑にし、擬似的に拡散層単層の構成とした後、前記同様測定を行い、下記式により求めることができる。
拡散率S=100×(L(20度)+L(70度))/(L(5度)×2)
ここで、
L(5度)は、5度の角度に出光した透過光の輝度(cd/m2)
L(20度)は、20度の角度に出光した透過光の輝度(cd/m2)
L(70度)は、70度の角度に出光した透過光の輝度(cd/m2)
である。
【0050】
本実施形態で用いられる光拡散板が、図8の構成を有する場合、(b)拡散層を構成する材料については特に限定はなく、例えば、透明樹脂と光拡散剤とを含む樹脂組成物が挙げられる。
光拡散板の(b)拡散層を構成する材料としては、透明樹脂に、該樹脂の屈折率と異なる屈折率を持った光拡散剤成分を最適粒径で最適量分散させた樹脂組成物が好ましい。
透明樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、及びこれ等の共重合体;ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、脂環式ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂;ポリスチレン、スチレンーアクリロニトリル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、メチルメタクリレート−スチレン共重合体、アルファメチルスチレン共重合体等のスチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリエチルアクリレート等のアクリル系樹脂;メタクリル酸エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
【0051】
前記光拡散剤としては、例えば、アクリル系樹脂架橋微粒子、スチレン系樹脂架橋微粒子、シリコーン系樹脂架橋微粒子、MS(メチルメタクリレート・スチレン共重合体)系架橋微粒子、フッ素樹脂微粒子、ガラス微粒子、シリカ微粒子、炭酸カルシウム微粒子、硫酸バリウム微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、タルク微粒子、マイカ微粒子等が挙げられ、これらは単独もしくは併用して使用することができる。
光拡散剤の形状としては、真球状、楕円状、不定形状、針状、板状、中空状、柱状、錐状等の形状が挙げられる。
光拡散剤の平均粒径としては、輝度均一性、及び易製造の観点から1〜20μmが好ましく、2〜10μmがより好ましい。前記平均粒径は、粒径分布計により求めることができる。
【0052】
本実施形態で用いられる光拡散板が、図8に示す構成のうち、(a)レンズ層と(b)拡散層とが同一層となっている構成を有する場合は、(b)拡散層を構成する材料の屈折率が、上述した屈折率Aとなり、前記(1)、式(2)を満足することが、輝度及び輝度均一性(正面及び斜視)の観点から好ましいが、(a)レンズ層と(b)拡散層が連続層及びセパレート層となっている構成を有する場合は、(b)拡散層を構成する材料の屈折率は、前記式(1)、(2)を満たす必要は無い。
【0053】
また、(b)拡散層を構成する樹脂と光拡散剤との屈折率差は、輝度均一性、及び易製造の観点から0.05〜0.20であることが好ましく、0.10〜0.16であることがより好ましい。
例えば、ポリスチレン樹脂に対して好ましい光拡散剤としては、アクリル系樹脂架橋微粒子やシリコーン系樹脂架橋微粒子が挙げられる。
さらに、光拡散剤の添加量は、輝度均一性、及び易製造の観点から、(b)拡散層を構成する材料(例えば、樹脂組成物)全体に対して、0.02〜2質量%であることが好ましく、0.05〜1質量%であることがより好ましい。
【0054】
また、本実施形態で用いられる光拡散板は、全光線透過率Tが83%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。
光拡散板の全光線透過率Tの上限については、95%以下であることが好ましい。
全光線透過率Tが上記範囲であると、輝度、輝度均一性(正面及び斜視)、色ムラ特性に優れた光拡散板となる。
なお、全光線透過率Tは、前記光拡散板の(a)層と(b)層が連続層である場合、及び(a)層と(b)層がセパレート層である場合は、(a)層と(b)層を重ねた状態で熱プレス等により表面を平滑にした後、前記プレス品をJIS K7105に準拠して測定することができる。
また、前記光拡散板が(a)層のみで構成される場合、及び(a)層と(b)層とが同一層である場合は、(a)層を熱プレス等により表面を平滑にした後、前記同様測定を行うことで求めることができる。
【0055】
本実施形態で用いられる光拡散板においては、前記略三角錐形状の凸部が、傾斜角θが55°の略三角錐形状といったような再帰反射特性を示す形状であっても、前記略三角錐形状の凸部を形成する材料に光拡散剤を添加したり、光拡散剤を含有する拡散層を設けたりすることにより、再帰反射成分を少なくすることが可能である。
具体的には、傾斜角θが55°の略三角錐形状の凸部を有する光拡散板であっても、拡散率Sを5%以上とすることで、再帰反射成分を少なくさせることが可能となり、分光光度計を用いて、凸部が形成された面とは反対側の面から、光拡散板の水平面に対する垂線に対して7度傾いた入射角度で波長450〜750nmの光を入射させたときの平均反射率Rが45%以上の光拡散板が得ることが可能となる。
再帰反射成分は、光拡散板に光拡散剤を添加する他、光拡散板の入光面の平均傾斜角Uを1°以上、好ましくは5°以上としたり、光拡散板の凸形状面から入光した全光線透過率Tを75〜95%、より好ましくは80〜92%に制御したりすることでも少なくすることができる。
【0056】
本実施形態で用いられる光拡散板の厚みは、剛性、光学特性(輝度、輝度均一性)の観点から、0.5〜3.0mmであることが好ましく、0.8〜2.5mmであることがより好ましく、1.0〜2.0mmであることがさらに好ましい。
また、光拡散板が、図8に示す各構成を有する場合において、光拡散板の(a)レンズ層と(b)拡散層とがセパレート層である場合は、(a)層と(b)層を重ね合わせた時の総厚を光拡散板の厚みとする。
【0057】
本実施形態で用いられる光拡散板は、(a)レンズ層と(b)拡散層に加え、必要に応じて更に他の層を積層した構造とすることができる。
その層構成は用途、目的に応じて適宜選択することができる。
層構成としては、(a)層、(b)層の他、その他の樹脂組成物や化合物からなる層をX層、Y層、Z層とすると、例えばX層/(a)(b)同一層の2層構成や、X層/(a)層/(b)層、(a)層/(b)層/X層、(a)層/X層/(b)層の3層構成、X層/(a)層/(b)層/X層、X層/(a)層/(b)層/Y層、X層/(a)層/Y層/(b)層の4層構成、更にはX層/Y層/(a)/(b)/Y層、X層/(a)層/Y層/(b)層/X層、X層/(a)層/Y層/(b)層/Z層の5層構成等が挙げられる。
なお、同じ樹脂組成物から構成される層を連続して複数積層することもできる。
又、5層を超えて積層してもよいが、製造の容易さを考えると光拡散板は5層以下で構成することが好ましい。
【0058】
本実施形態で用いられる光拡散板には、各種添加剤を配合してもよい。
添加剤としては、例えば、有機や無機の染料や顔料、艶消し剤、熱安定剤、難燃剤、帯電防止剤、消泡剤、整色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、増白剤、不純物の捕捉剤、増粘剤、表面調整剤等が挙げられる。
【0059】
本実施形態で用いられる光拡散板は、輝度均一性及びバックライトに装着された支持ピンとの擦れ性の観点から、上述した略三角錐形状の凸部が形成された面とは反対側の面、すなわち、光源と組み合せて使用された場合の好ましい態様において入光面(光源側の面)となる面に凹凸形状を設けることが好ましい。
なお、前記支持ピンとは、光拡散板の支持体としての役割を有する部材であり、LED基板と光拡散板との間に設けられ、LED基板に固定され、光拡散板とは固定されていない状態で、光拡散板を支持するものである。
具体的には、入光面の平均傾斜角Uが1〜30°であることが、輝度及び輝度均一性の観点から好ましく、3〜25°であることがより好ましく、5〜20°であることがさらに好ましい。
入光面の平均傾斜角Uが1°未満の時は、例えば出光面側の凸部の傾斜角θが55度であると、光拡散板が再帰反射特性を示し、点光源から出光した光が、点光源に戻り、バックライトの輝度が低下する場合がある。又、平均傾斜角が30°を超えると、輝度均一性が悪化する傾向にある。
前記平均傾斜角Uは、光拡散板の断面をレーザー顕微鏡で観察し、1μm幅の平均傾斜角(光拡散板の水平面に対する傾斜角)を光拡散板の長手方向と短手方向に1000μm幅で連続して求め、長手方向の平均値と短手方向の平均値を計算し、更にその平均を算出することにより求めることができる。
なお、本実施形態で用いられる光拡散板が図8に示す構成を有する場合であって、(a)層と(b)層がセパレート層の場合は、(a)層、(b)層共に、入光面側の平均傾斜角を前記範囲にすることが好ましい。
【0060】
(光拡散板の製造方法)
本実施形態で用いられる光拡散板は、光拡散板の各層を構成する材料を用いて、公知の成形方法により製造できる。
なお、光拡散板の特性に応じて、上述したように特定の形状に設計された略三角形状の凸部を形成する。
例えば、光透過性の高い樹脂を含んだ樹脂組成物を、溶融状態にて口金より押出して、所望の形状に加工したロールを用いて成形する溶融成形法;樹脂組成物を溶媒に溶解した状態にて口金より押出して、所望の形状に加工したロールを用いて成形する溶液キャスト法;溶液キャスト法にて表面賦形して得た固体フィルムに、溶融樹脂を積層する押出ラミネーション法や固体フィルム同士を積層するドライラミネーション法;溶融状態にて口金より押出した板を所望の形状に加工したプレス金型を用いて熱プレス成形する方法;更には所望の形状に加工した金型を用いて射出成形する方法等が挙げられる。
これらのうち、生産性、環境適性の観点から、溶融成形法が最も好ましい成形法である。
【0061】
(拡散シート)
本実施形態の光線制御ユニットを構成する拡散シートについて説明する。
拡散シートは、当該拡散シート面に垂直に光線を入射した場合の出射光の拡散角度が60°以上であるものとする。
拡散シートの前記拡散角度は、輝度ムラ低減の観点から、70°以上が好ましく、80°以上がより好ましく、90°以上がさらに好ましい。拡散角度は170°以下であることが好ましい。
【0062】
図9(a)に、拡散角度の定義の説明図である。
「拡散角度」とは、透過光強度がピーク強度の半分に減衰する角(半値角)の2倍の角度(FWHM:Full Width Half Maximum)をいう。
この拡散角度は、例えば、Photon(株)社製のGoniometric Radiometers Real-Time Far-Field Angular Profiles Model LD8900(以下、「LD8900」という。)で、拡散シートの凹凸面を入射面とし、前記凹凸面の法線方向に入射した光に対する透過光強度の角度分布を測定することによって求めることができる。ここで、拡散シートの法線方向については、図9(b)中の入射光の方向に示す。
【0063】
上述したような拡散シートによる透過光の拡散は、拡散シートの表面に多数の凹凸構造を形成することにより実現でき、拡散角度は拡散シートの表面の凹凸構造によって制御することができる。
拡散シート表面の凹凸構造とは、例えば、表面に多数の突起部が設けられた構造を言う。前記突起部の形状は、略円錐状、略球状、略楕円体状、略レンチキュラーレンズ状、略放物面状等のいずれでもよく、各突起部は、規則的に配列していても、不規則に配列していてもよい。また、突起部間は連続的な曲面でつながっていてもよい。また、不規則な凹凸が連続的な曲面でつながっている擬似ランダム構造も、好ましい構造として適用できる。この擬似ランダム構造としては、コヒーレントな光が光拡散板を通過した後の空間に干渉によって生成したランダムな強度を有する光のパターンであるスペックルパターンによって感光性材料を露光すること(以下「干渉露光」ともいう。)で得られた微細な3次元構造であることが好ましい。
光の拡散性能に関して好ましい特性を得るためには、突起部の高さは1μm〜15μmの範囲が好ましく、ピッチは1μm〜30μmの範囲が好ましい。
【0064】
スペックルパターンによって感光性樹脂を露光することにより3次元構造を形成する方法は、機械加工では困難であった10μm以下の微細な凹凸構造を形成する方法として好適である。
また、スペックルパターンを用いて凹凸構造を形成する方法によれば、マイクロレンズのような等方的な拡散角度を示す凹凸構造や、レンチキュラーレンズのような異方的な拡散角度を示す凹凸構造も容易に形成することができる。この拡散シートの凹凸構造は、モアレ抑制等の観点から、高さ及びピッチが不規則であることが好ましいが、非平面スペックルによって特徴付けられた3次元構造を具備するマスタ型を用いて拡散シートを作製することにより、表面に、高さ及びピッチが不規則な凹凸構造が形成でき、当該拡散シートは、モアレ抑制等の観点から好ましい。
【0065】
本実施形態で用いられる拡散シートは、拡散シート面内の所定の領域に上記のような凹凸構造が配列されて光拡散機能を示す部分があればよく、当該光拡散機能を有する必要のない部分、例えば端部においては、表面が平滑になっていてもよい。
【0066】
(拡散シートの製造方法)
凹凸構造を表面に有する拡散シートは、例えば、下記のようにして製造することができる。
まず、予め干渉露光により、レーザー光をレンズやマスクを介して感光性材料やフォトレジストに照射し、所望のスペックルパターンを形成させたサブマスタ型を作製する。レーザー照射システムを構成する部材間の距離やサイズを変え、スペックルパターンの寸法、形状及び方向を調節することにより、拡散角度の範囲を制御した凹凸構造を記録することができる。
【0067】
一般に、拡散シートの拡散角度の範囲は、スペックルの平均サイズ及び形状に依存する。
スペックルが小さければ拡散角度範囲が広い。また、凹凸構造の単位構造は等方性のものに限らず、異方性のものを形成することもでき、両者の複合された凹凸構造とすることもできる。
スペックルが横方向の長円形であれば、拡散角度の分布形状は、縦方向の長円形となる。このように所望の拡散角度に応じてスペックルパターンを決定し、その拡散角度を持つサブマスタ型を作製する。このサブマスタ型に電鋳等の方法で金属を被着してこの金属にスペックルパターンを転写してマスタ型を作製する。このサブマスタ型の詳細な製造方法については、例えば、特許第3413519号公報に開示されている。基材上に形成した光硬化性樹脂層に、上記マスタ型を用いて紫外線による賦形を行って光硬化性樹脂にスペックルパターンを転写する。
【0068】
前記拡散シート用の基材としては、樹脂、ガラス等の材料からなる光透過性の基材が好ましく用いられる。基材の厚さは特に限定されないが、通常、50μm〜500μmの範囲内である。樹脂材料からなる基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂等の熱可塑性樹脂、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等のオリゴマー及び/又はアクリレート系のモノマー等からなる電離放射線硬化性樹脂を紫外線又は電子線等の電磁放射線で硬化させた樹脂等で構成された透明性基材を好ましく挙げることができる。また、ガラスからなる基材としては、ソーダ硝子、硼珪酸硝子等が用いられる。
【0069】
拡散シート表面の凹凸構造の凹凸高さは、例えば走査型電子顕微鏡で観察した拡散シート断面形状のピッチやアスペクト比、表面粗さ等から測定できる。
また、レーザー共焦点顕微鏡による拡散シート表面の観察像からも、ピッチ、アスペクト比や、表面粗さ等を読み取ることができる。
例えば、ピッチが短いほど、或いはアスペクト比が大きいほど、或いは表面粗さが大きいものほど凹凸高さが高いと見なすことができる。
【0070】
また、拡散シートの凹凸構造は、拡散シートの出光面側にあっても入光面側にあってもよい。
凹凸構造が出光面側にあることは、輝度の低下を最小限に抑えつつ輝度ムラを低減できるという観点から好ましい。
【0071】
拡散シートの凹凸構造の形成面とは反対側の面は、平滑面、凹凸面、マット面等のいずれであってもよい。輝度向上、及び輝度ムラ軽減の観点から、凹凸構造がある面と反対側の面は、平滑面となっていることが好ましい。
なお、一般に拡散シートを積層する場合等に、傷つき防止のため、平滑性を失わない範囲で、凹凸構造がある面と反対側の面に極微量のビーズを塗布する場合がある。このような場合も平滑面に含まれるものとする。
【0072】
〔直下型バックライト装置〕
本実施形態の直下型バックライト装置は、反射シート、複数の光源、及び前記光源の出光側に上述した光線制御ユニットが、当該順番により配設された構成を有している。
本実施形態の直下型バックライト装置は、照明装置としても用いることができる。
【0073】
(光源)
本実施形態の直下型バックライト装置を構成する光源としては、LED(発光ダイオード)、レーザー等の点光源が挙げられる。
光源としては、直上の光線強度が強い、例えば、光のピーク強度を示す角度(以下、単に「ピーク角度」ともいう。)が−25°〜25°の範囲となる出光分布を有する点光源が好ましい。
【0074】
光のピーク角度が−25°〜25°である出光分布を有するLED光源は、光エネルギーへの変換効率が高く、電流当たりの輝度が高いという特長を有するため、このような点光源を用いると、高い輝度を保持したまま、優れた輝度均一性が実現できる。
上述した本実施形態の光線制御ユニットは、当該光線制御ユニットを構成している光拡散板が上述したような略三角錐形状の凸部を有しているため、従来の光拡散板では両立不可能であった点光源からの光を広範囲な角度で拡散反射させる拡散反射性能と光源間の集光性能、すなわち光源から出射された光源間の斜め方向の光を直上に立ち上げる性能を併せて有している。このため、点光源、とりわけ光のピーク角度が−25°〜25°である直上光の光線強度の強い点光源と本実施形態の光線制御ユニットとを組み合せることによって、優れた輝度を有する直下型バックライト装置が得られる。
【0075】
光源としては、特に、光のピーク角度が0度、半値角が60度のランバーシャンタイプの出光分布(図10)を有する点光源(LED光源)が好ましく用いられる。
前記出光分布以外の条件としては特に制限はなく、例えば、青色LEDにより黄色蛍光体を励起するタイプや、青色LEDにより緑色、赤色蛍光体を励起するワンチップタイプの擬似白色LED;赤色/緑色/青色LEDを組み合わせて白色光を作るマルチチップタイプ、更には近紫外LEDと赤色/緑色/青色蛍光体を組み合わせたワンチップタイプの擬似白色LED等が挙げられる。
【0076】
(反射シート)
本実施形態の直下型バックライト装置を構成する反射シートは、光を反射させることのできるものであれば、従来公知のものを使用できる。
例えば、ポリエステル、ポリカーボネート等の樹脂を発泡させて内部に微細な空気の粒を入れシート状としたもの、2成分以上の樹脂を混合してシート状としたもの、屈折率の異なる樹脂層を積層したシート等を用いることができる。
また、反射シートは、表面に凹凸形状が形成されていてもよい。これらには、必要に応じて、表面に無機微粒子等を添加したものを用いることができる。
さらに、反射シートは、拡散反射率90%以上の白色樹脂シートを用いることが好ましく、95%以上の白色樹脂シートを用いることがより好ましい。前記拡散反射率は、分光光度計、例えば島津製作所製分光光度計UV−2200を用いて、シートに波長が450nm〜700nmの光を入射角0°で入射させたときの反射率を波長10nm毎に測定し、これらの平均反射率を算出することにより求めることができる。
【0077】
(直下型バックライト装置の具体的な構成例)
図11に本実施形態の直下型バックライト装置の一例の概略構成図を示す。
図11に示す直下型バックライト装置は、複数の点光源12と、光拡散板14と、拡散シート15とが順次配置されており、前記点光源12を介して光拡散板14配置側の反対側に、反射シート13が配置されている。
直下型バックライト装置全体としては、複数の光源を用いている。光源としては、図11に示すLED(発光ダイオード)12、レーザー等の点光源を用いることができる。光源の配置は、液晶表示パネルを配置した液晶表示装置において画像の表示面に対して、直下に配列されている。
【0078】
本実施形態の直下型バックライト装置は、上述した図11の構成の他、例えば図12、図13、図14、図15に示す配設構成を採ることもできる。
【0079】
図12は、図11に示す構成において、光源12の直上に配置される光拡散板14と拡散シート15の間に、微細な凹凸構造が表面に形成された表面賦形型拡散シート(以下、単に「表面賦形型拡散シート」ともいう。)16を配置し、さらに拡散シート15の直上に、前記表面賦形型拡散シート16を配置した構成の本実施形態の直下型バックライト装置の概略図を示す。
【0080】
前記表面賦形型拡散シート16としては、例えば、アクリル系樹脂の球状ビーズがポリエステル系樹脂、トリアセチルセルロース、あるいはポリカーボネート等のシート上に塗布されたシートを用いることができる。
また、表面賦形型拡散シート16としては、紫外線硬化樹脂による微細な凹凸構造がポリエステル系樹脂、トリアセチルセルロース、あるいはポリカーボネート等のシート上に転写されたシートを用いることができる。
このような表面賦形型拡散シート16は、光を拡散させ均一化させる効果とともに、光拡散板14で拡散された光を集光する機能を有する。これらの表面賦形型拡散シート16と、上述した本実施形態の光線制御ユニットとを組み合わせて使用することにより、輝度ムラを軽減し、直下型バックライト装置の薄型化や光源数の削減を実現することができる。
【0081】
図13は、図11に示す構成において、光源の直上に配置される光拡散板14及び拡散シート15の上方に、アレイ状のプリズム配列構造を有する光学シート17と、表面賦形型拡散シート16とを、この順で配置した構成の、本実施形態の直下型バックライト装置の概略図を示す。
また、図14は、図11に示す構成において、光源の直上に配置される光拡散板14及び拡散シート15の上方に、表面賦形型拡散シート16と、アレイ状のプリズム配列構造を有する光学シート(以下「プリズムシート」ともいう。)17とを配置した構成の、本実施形態の直下型バックライト装置の概略図を示す。
【0082】
前記アレイ状のプリズム配列構造を有する光学シート、すなわちプリズムシート17としては、表面に、断面形状が略三角形状、略台形状、略楕円状であるプリズム条列がアレイ状に配列しているような光学シートを用いることができる。
前記断面形状の頂点を丸めた形状としたものも、耐擦傷性向上等の観点から、好ましく用いることができる。これらのプリズムシート17としては、紫外線硬化樹脂によるプリズム条列がポリエステル系樹脂、トリアセチルセルロース、あるいはポリカーボネート等の基材シート上に転写された形態として用いることができる。このようなプリズムシート17は再帰反射性を示すため、入射光を正面へ集光する機能を有する。このプリズムシートと、本実施形態の光線制御ユニットとを組み合わせて使用することにより、輝度ムラを軽減し、直下型バックライト装置の薄型化や光源数の削減を実現することができる。
【0083】
図15は、図11に示す構成において、光源の直上に配置される光拡散板14及び拡散シート15の上方に、表面賦形型拡散シート16を配置し、プリズムシート17と、反射型偏光シート18と、をこの順で配置した構成の、本実施形態の直下型バックライト装置の概略図を示す。
【0084】
前記反射型偏光シート18としては、自然光又は偏光から偏光を分離する機能を有するシートを用いることができる。直線偏光を分離するシートとしては、例えば、軸方向で直交する直線偏光の一方を透過し、他方を反射するフィルム等が挙げられる。反射型偏光シート18としては、具体的には、複屈折位相差の大きい樹脂(ポリカーボネート、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等)と、複屈折位相差の小さい樹脂(シクロオレフィンポリマー等)とを交互に多層積層し一軸延伸して得られるシートや、複屈折性のポリエステル樹脂を数百層積層した構造からなるシート(DBEF、3M社製 商品名)等を用いることができる。
【0085】
本実施形態の直下型バックライト装置は、上述した光拡散板の前記略三角錐形状の凸部の形成面及び、前記拡散シートの前記凹凸構造の形成面が、光源に対向する面の反対側の面であることが、輝度均一性及び高輝度の観点から好ましい。
【0086】
本実施形態の直下型バックライト装置は、複数の点光源の配置と光拡散板表面に設けられた略三角錐形状の凸部とが、特定の位置関係を有している時に、特に優れた輝度均一性を発現する。
具体的には、図16に示すように、光拡散板表面の複数の凸部が、隣り合う凸部の底面三角形の一辺同士と互いに平行になるように周期的に配置されていると共に、複数の点光源が格子状に周期的に配置され、点光源と光拡散板とが、光拡散板の各凸部の底面三角形の少なくとも一辺が、前記複数の点光源の格子状配置の格子を構成する四角形の対角線と平行又は垂直であるような位置関係にあることが輝度均一性の観点から好ましい。
なお、上記平行な位置関係については、平行から±2°以内のずれも含み、上記垂直な位置関係については、垂直から±2°以内のずれも含む。
ここで格子とは、隣り合う四角形の辺同士及び頂点同士が一致するように四角形で平面を埋め尽くした時の四角形の各頂点の配置をいう。
四角形は、例えば、正方形、長方形、平行四辺形等が挙げられる。
輝度均一性、色ムラ特性の観点から、点光源と光拡散板とが、光拡散板の各凸部の底面三角形の少なくとも一辺が、前記複数の点光源の格子状配置の格子を構成する四角形の対角線のうち短い方の対角線と垂直な位置関係にあることが特に好ましい。
【0087】
また、図17に示すように、光拡散板の凸部である三角錐の底面三角形が二等辺三角形である場合には、前記凸部の底面二等辺三角形の底辺と点光源の格子状配置の格子を構成する四角形の対角線とが、平行又は垂直な位置関係にあることが、輝度均一性の観点からより好ましく、前記格子状配置の格子を構成する四角形が、二等辺三角形の底辺が向い合うように並んだ菱形形状であることが、更に好ましい。
前記平行な位置関係については、平行から±2°以内のずれも含み、上記垂直な位置関係については、垂直から±2°以内のずれも含む。
輝度均一性、色ムラ特性の観点から、前記凸部の底面二等辺三角形の底辺と点光源の格子状配置の格子を構成する四角形の対角線のうち短い方の対角線と垂直な位置関係にあることが特に好ましい。
【0088】
さらに、図18に示すように、光拡散板の凸部である三角錐の底面三角形が正三角形である場合には、前記凸部の底面正三角形の一辺と点光源の格子状配置の格子を構成する四角形の対角線とが、平行又は垂直な位置関係にあることが、輝度均一性の観点から好ましく、図18に示すように前記格子状配置の格子を構成する四角形が、正三角形の底面が向い合うように並んだ菱形形状であることが、さらに好ましい。
前記平行な位置関係については、平行から±2°以内のずれも含み、上記垂直な位置関係については、垂直から±2°以内のずれも含む。
輝度均一性、色ムラ特性の観点から、前記凸部底面正三角形の一辺と点光源の格子状配置の格子を構成する四角形の対角線のうち短い方の対角線と垂直な位置関係にあることが特に好ましい。
【0089】
本実施形態の直下型バックライト装置を構成する点光源は、各点光源間距離を均一として配置することが好ましい。
具体的には、点光源を画面の、すなわち光拡散板の、縦方向と横方向にそれぞれ等間隔に正方格子又は長方格子状に配置する配列方法(図19、格子を構成する四角形:正方形又は長方形)や、点光源を画面縦方向と横方向にそれぞれ等間隔に千鳥(格子)状(三角格子状)に配置する配列方法等(図20、格子を構成する四角形:菱形形状)が好ましい。
特に、点光源を千鳥状に配置させることが、輝度均一性を向上させる観点で、より好ましく、図20に示すように、千鳥状に配置された点光源のバックライトの横方向及び縦方向の光源間距離をn1、n2としたとき、n1/n2が0.26〜3.87であることが好ましく、0.35〜2.82であることがより好ましく、0.46〜0.75、或は1.33〜2.18であることがさらに好ましく、0.51〜0.66、或は1.52〜1.96であることがさらにより好ましい。
【0090】
〔液晶表示装置〕
本実施形態の液晶表示装置は、液晶表示パネルと、当該液晶表示パネルに光を供給する本実施形態の直下型バックライト装置を具備している。
【実施例】
【0091】
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0092】
実施例中の主な測定値は以下の方法で測定した。
(1.光拡散板の出光面形状)
<1−1 表面形状>
光拡散板の出光面側を、キーエンス製のレーザー顕微鏡GenerationII VK−9700で観察し、凸部の形状を観察した。
【0093】
<1−2 b,c,d,g値>
b、c、d、g値については、凸部頂点を通り、底面の三角形の一辺に垂直な平面で切った際に現れると想定される断面を、前記<1−1>と同様に、レーザー顕微鏡GenerationII VK−9700で観察し、その形状から上記値を測定した。
b、c及びdは、例えば図5に示すように、それぞれ、前記凸部を以下のI点、J点、及び凸部頂点(凸部が三角錐台形状である場合には、頂上の三角形の重心)の3点を通る平面で切断した際に現れる切断面、すなわち、図5中、破線に従い切断した切断面において、凸部の一側面の接平面と底面とのなす角θ´が以下の式(1´)及び(2´)を満たす、図5中の前記切断面において現れる、前記凸部の一側面の部分である部分Bを、水平面に投影した投影線分の長さ(図5中のb値)、部分Bより凸部の裾側にある部分Cを水平面に投影した投影線分の長さ(図5中のc値)、及び、部分Bより凸部の頂側にある部分Dを水平面に投影した投影線分の長さとした(図5中のd値)を表す。
(1´)・・・ θ´≧(−40A+115.2)°
(2´)・・・ θ´≦(25A+22.25)°
I点:凸部の頂点(凸部が三角錐台形状である場合には、頂上の三角形の重心)を垂直に底面の三角形に投影した点。
J点:前記I点から、底面の三角形を構成する辺のうち前記I点との距離が最も近い辺に対し垂線を引いた際の、該垂線と該辺との交点。
なお、g値については、例えば図6(a)、(b)に示すように、前記凸部を、底面の三角形に垂直な平面で且つ以下のI´点、J´点を通る平面で切断した際に現れる切断面の、中心からJ´点を含む方の片側部分において、前記凸部の一側面の接線のうち、当該接線と底面との成す角θ´が(1´)及び(2´)を満たす部分より頂部側にある部分を水平面に投影した投影線分の長さとした。ただし、上記条件を満たす切断面が複数存在する場合は、gの値が最も大きくなる切断面を採用した。
I´点:凸部の頂点(凸部が三角錐台形状である場合には、頂上の三角形の重心)を垂直に底面の三角形に投影した点と、底面の三角形の頂点のうち、該投影した点に最も近い底面の三角形の頂点とを結んだ線分の中点。
J´点:前記I´点から、底面の三角形を構成する辺のうち前記I´点との距離が最も近い辺に対し垂線を引いた際の、該垂線と該辺との交点。
【0094】
<1−3 凸部の側面の底面(開口面)に対する傾斜角θ(度)>
前記<1−2>と同様にして、光拡散板の出光面の断面観察を行い、側面と底面とがなす傾斜角(θ)を測定した。
【0095】
<1−4 凸部の底面三角形の一辺と点光源の格子状配置の格子を構成する四角形の対角線の成す角F(度)>
前記<1−1>と同様にして、光拡散板の出光面側の略三角錐形状の凸部を観察し、凸部の底面三角形の一辺と、光源の格子状配置の格子を構成する四角形の対角線のうちの短い方の対角線との成す角度のうち、最も小さい角度を、F(度)とした(図21)。
【0096】
<1−5 凸部の底面三角形の内角(α、β、γ)>
前記<1−1>と同様に、光拡散板の出光面側をレーザー顕微鏡で観察し、凸部の底面三角形の内角α、β、γを求めた(図7)。
【0097】
(2.光拡散板の屈折率A)
光拡散板に使用した材料のうち透明なもの(透明樹脂)を用いて0.3mm厚のシートを作製し、JISK7142に準拠して、アッベ屈折計を用いて屈折率Aを求めた。
【0098】
(3.光拡散板の全光線透過率T(%))
光拡散板の出光面側から光を入射した場合の全光線透過率T(%)を、日本電色工業社製の濁度計NDH2000を用いて、JIS K7105に準拠した方法により求めた。
なお、(a)レンズ層と(b)拡散層がセパレート層であるものについては、(a)層と(b)層を(a)層の凸部が形成されている側が外側に向くよう重ねて、(a)層のレンズ側から光を入射させて求めた数値を全光線透過率T(%)とした。
【0099】
(4.光拡散板の平均反射率R(%))
島津製作所社製UV3150分光光度計を用い、光拡散板の入光面側から、光拡散板水平面に対する垂線から7度傾いた入射角度で、波長450〜750nmの光を入射させて、波長1nm毎に反射率を求め、その平均値を平均反射率R(%)とした。
なお、平均反射率R(%)は、標準板である硫酸バリウムの平均反射率を100%として、その相対値として求めた。
【0100】
(5.光拡散板の拡散率S(%))
日本電色工業社製GC5000L変角光度計を用いて、透過モードで光入射角0度で入射した光の透過光の輝度の測定を行い、下記式により光拡散板の拡散率Sを求めた。
なお、前記光拡散板の(a)レンズ層と(b)拡散層とが同一層である場合、(a)層と(b)層が連続層である場合、及び(a)層と(b)層がセパレート層である場合は、(a)層と(b)層を重ねた状態で熱プレス等により表面を平滑にした後、前記プレス成形品の測定を行った。
拡散率S=100×(L(20度)+L(70度))/(L(5度)×2)である。
また、
L(5度)は、5度の角度に出光した透過光輝度(cd/m2)、
L(20度)は、20度の角度に出光した透過光輝度(cd/m2)、
L(70度)は、70度の角度に出光した透過光輝度(cd/m2)、
である。
【0101】
(6.光拡散板の入光面の凹凸部の平均傾斜角U(度))
光拡散板の入光面をレーザー顕微鏡で観察し、光拡散板の長手方向と短手方向に1000μm幅で断面形状を解析し、1μm幅の平均傾斜角(水平面に対する傾斜角)を1000μm幅で連続して求め、各々長手方向の平均傾斜角と短手方向の平均傾斜角を計算し、更にその平均値を算出し、平均傾斜角Uとした。
【0102】
(7.平均LED距離P)
最近接する4つのLEDからなる四角形の面積をSとした時、その平方根√(S)を平均LED距離P(mm)とした。
【0103】
(8.光拡散板と反射シートの平均距離H)
反射シートと光拡散板との間の距離(mm)を10点以上測定してその平均値を、光拡散板と反射シートとの平均距離Hとした。
【0104】
(9.輝度ムラ)
輝度ムラの評価は、後述するLED光源、光拡散板、拡散シート及び所定の光学フィルムを配置し、LEDを点灯させて、コニカミノルタ社のCA2000を用いて輝度を測定して行った。
なお、カメラは直下型バックライト装置の中心から直上0.8メートルの位置に配置し、縦横490×490解像度で輝度の測定を行った。
そして、得られた輝度データを用いて、輝度ムラを計算した。
具体的には、コニカミノルタ社のソフトウエアCA−S20wのムラ強調モードにおいて、ムラ検出画素数を60としたときの画面中央部140mm×140mmのS.D.値を輝度ムラ測定値とした。S.D.値(標準偏差)が少ないほど輝度ムラが少ないことを意味する。
【0105】
なお、正面の輝度ムラの評価は以下の基準に従った。
<輝度ムラ評価>
◎: S.D.値≦0.7
○: 0.7<S.D.値≦0.85
×: 0.85<S.D.値
【0106】
(10.拡散シートの拡散角度(FWHM))
拡散シートの拡散角度は、微細な凹凸構造を有する面から入光させ、Photon.Inc のFar−field Profiler LD8900で測定した角度を示している。
【0107】
次に、実施例、比較例に用いられる光拡散板を製造する際に用いるプレス原板及び光拡散板について説明する。
((1)プレス原板1)
屈折率1.59のポリスチレン樹脂(PSジャパン社製、スタイロンG9504)99.7質量部と、平均粒径5μmのアクリル系架橋粒子(積水化成品工業社製、テクポリマーMBX−5)0.3質量部を、ヘンシェルミキサーで混合し、二軸押出機(東芝機械社製TEM−58)で、樹脂温度230℃の条件で溶融混練し、ペレタイズした。
前記ペレットをTEX−90単軸押出機で再度溶融混練し、1000mm幅Tダイより押出し、1.5mm厚シートを作製した。
プレス原板1の全光線透過率Tは93%、拡散率Sは11%であった。
【0108】
((2)光拡散板1)
上記プレス原板1を所定形状に賦形されたプレス金型に挟み込んで、プレス機に投入し、プレス板温度200℃、面圧100kg/cm2の条件で、30分間プレスした後、プレス原板1を挟み込んだプレス金型を水冷却したプレス機に入れ替え、10分間冷却した。
冷却後、プレス金型から所定の形状に賦形された厚さ1.5mmの光拡散板を取り出した。
【0109】
得られた光拡散板1は、入光面側の表面が平均傾斜角U=10度の凹凸形状を有するマット形状であり、出光面側の表面が周期的に形成された、略三角形状の凸部(正三角錐台形状)を有するものであった(図22参照)。
【0110】
また、この光拡散板1の凸部の略三角錐の傾斜角θは57度であり、断面形状は、b値が89μm、c値が1μm、d値が10μm、g値が1μm、底面三角形の内角α、β、γはそれぞれ60度であった。
【0111】
また、この光拡散板1は、平均反射率Rが65%であり、再帰反射特性を有していないことを確認した。光拡散板1の全光線透過率Tは93%、拡散率Sは12%であった。
【0112】
((3)光拡散板2)
DSF60(旭化成イーマテリアルズ製):厚さ1.5mmの光拡散板であり、両面に平均傾斜角Uが10度のマット形状を有し、その全光線透過率Tは58%、拡散率Sは83%、平均反射率Rは37%であった。
【0113】
((4)光拡散板3)
DL216(旭化成イーマテリアルズ製):厚さ1.5mmの光拡散板であり、片面に平均傾斜角Uが10度のマット形状、もう片面にリニアレンズ形状を有し、全光線透過率Tは77%、拡散率Sは25%、平均反射率Rは38%であった。
【0114】
次に、実施例及び比較例に用いられる拡散シートについて説明する。
拡散シート1〜6の製造方法について説明する。
まず、予め干渉露光により、レーザー光をレンズやマスクを介して感光性材料に照射し、所望のスペックルパターンを形成させたサブマスタ型を作製した。
レーザー照射システムを構成する部材間の距離やサイズを変え、スペックルパターンの寸法、形状及び方向を調節することにより、拡散角度の範囲を制御した凹凸構造を記録した。
所望の拡散角度に応じてスペックルパターンを決定し、その拡散角度を持つサブマスタ型を作製した。このサブマスタ型に電鋳等の方法で金属を被着してこの金属にスペックルパターンを転写してマスタ型を作製した。
続いて、厚さ250μmのポリエチレンテレフタレート(コスモシャインA4300m
東洋紡社製)よりなる基材上に、光硬化性樹脂層を形成し、上記マスタ型を用いて紫外線による賦形を行って上記光硬化性樹脂層にスペックルパターンを転写し、不規則な凹凸構造を有する樹脂層が形成された拡散シート1〜6を得た。
((1)拡散シート1)
拡散シート面に垂直に光線を入射した場合の出射光の拡散角度が90°を示す。
((2)拡散シート2)
拡散シート面に垂直に光線を入射した場合の出射光の拡散角度が85°を示す。
((3)拡散シート3)
拡散シート面に垂直に光線を入射した場合の出射光の拡散角度が70°を示す。
((4)拡散シート4)
拡散シート面に垂直に光線を入射した場合の出射光の拡散角度が60°を示す。
((5)拡散シート5)
拡散シート面に垂直に光線を入射した場合の出射光の拡散角度が50°を示す。
((6)拡散シート6)
拡散シート面に垂直に光線を入射した場合の出射光の拡散角度が45°を示す。
【0115】
((7)拡散シート7)
拡散シート7には、TDF−127(東レセーハン製)を用いた。
拡散シート7は、当該拡散シート面に垂直に光線を入射した場合の出射光の拡散角度が25°を示す。
【0116】
((8)拡散シート8)
拡散シート8には、PTR−733(シンファーインターテック製)を用いた。
拡散シート8は、当該拡散シート面に垂直に光線を入射した場合の出射光の拡散角度が10°を示す。
【0117】
(LED種)
実施例、比較例における直下型バックライト装置の光源部としては、LED種:Cree社製のピーク角度が0度である白色LED(CREE製 LM6−EWN1−03−N3)を用いた。このLEDの出光分布を図10に示す。
後述する実施例1〜4、比較例1〜6においては、前記LEDを、図23に示すような配置で99個並べ、直下型バックライト装置の光源部とした。
【0118】
(光学フィルム)
後述する実施例1〜4及び比較例1〜6において、反射シートとしては、東レ製の反射シート(ルミラーE6SL、拡散反射率95%)、反射型偏光シートとしては、3M社製の反射型偏光シート(DBEF−D400、以下、DBEFと言う)を用いた。
【0119】
〔実施例1〕
図24に示すように、反射シート13と光拡散板14との平均距離Hを18mmになるよう光拡散板14を反射シート13上方に固定し、光拡散板14の上に、拡散シート15を配設して、LED12上に光線制御ユニットを構成した。
次に、前記光線制御ユニットの上に、反射型偏光シート(DBEF)18を配置し、実施例1の直下型バックライト装置を構成した。
光拡散板としては、前述の光拡散板1を用いた。
拡散シート15は、凹凸構造を有する面(以下、凹凸面ともいう。)が出光面となるように用いた。
実施例1の直下型バックライト装置1における輝度ムラを上記の方法で算出し、評価した。その結果を下記表1に示す。
【0120】
〔実施例2〕
拡散シートとして、前記拡散シート2を用いた。
その他の条件は、実施例1と同様として、実施例2の直下型バックライト装置2を構成した。
なお、実施例2において、拡散シートは凹凸面が出光面となるように用いた。
実施例2の直下型バックライト装置2における輝度ムラを上記の方法で算出し、評価した。その結果を下記表1に示す。
【0121】
〔実施例3〕
拡散シートとして、前記拡散シート3を用いた。
その他の条件は、実施例1と同様として、実施例3の直下型バックライト装置3を構成した。
なお、実施例3において拡散シートは凹凸面が出光面となるように用いた。
実施例3の直下型バックライト装置3における輝度ムラを上記の方法で算出し、評価した。その結果を下記表1に示す。
【0122】
〔実施例4〕
拡散シートとして、前記拡散シート4を用いた。
その他の条件は、実施例1と同様として、実施例4の直下型バックライト装置4を構成した。
なお、実施例4において拡散シートは凹凸面が出光面となるように用いた。
実施例4の直下型バックライト装置4における輝度ムラを上記の方法で算出し、評価した。その結果を下記表1に示す。
【0123】
〔比較例1〕
光拡散板として、光拡散板1に替えて光拡散板2を用いた。
その他の条件は、実施例1と同様として、比較例1の直下型バックライト装置5を構成した。
比較例1の直下型バックライト装置5における輝度ムラを上記の方法で算出し、評価した。その結果を下記表1に示す。
【0124】
〔比較例2〕
光拡散板として、光拡散板1に替えて光拡散板3を用いた。
その他の条件は、実施例1と同様として、比較例2の直下型バックライト装置6を構成した。
比較例2の直下型バックライト装置6における輝度ムラを上記の方法で算出し、評価した。その結果を下記表1に示す。
【0125】
〔比較例3〕
拡散シートとして、拡散シート1に替えて拡散シート5を用いた。
その他の条件は、実施例1と同様として、比較例3の直下型バックライト装置7を構成した。
比較例3の拡散シートは凹凸面が出光面となるように用いた。
比較例3の直下型バックライト装置7における輝度ムラを上記の方法で算出し、評価した。その結果を下記表1に示す。
【0126】
〔比較例4〕
拡散シートとして、拡散シート1に替えて拡散シート6を用いた。
その他の条件は、実施例1と同様として、比較例4の直下型バックライト装置8を構成した。
比較例4の拡散シートは凹凸面が出光面となるように用いた。
比較例4の直下型バックライト装置8における輝度ムラを上記の方法で算出し、評価した。その結果を下記表1に示す。
【0127】
〔比較例5〕
拡散シートとして、拡散シート1に替えて拡散シート7を用いた。
その他の条件は、実施例1と同様として、比較例5の直下型バックライト装置9を構成した。
比較例5の拡散シートは凹凸面が出光面となるように用いた。
比較例5の直下型バックライト装置9における輝度ムラを上記の方法で算出し、評価した。その結果を下記表1に示す。
【0128】
〔比較例6〕
拡散シートとして、拡散シート1に替えて拡散シート8を用いた。
その他の条件は、実施例1と同様として、比較例6の直下型バックライト装置10を構成した。
比較例6の拡散シートは凹凸面が出光面となるように用いた。
比較例6の直下型バックライト装置10における輝度ムラを上記の方法で算出し、評価した。その結果を下記表1に示す。
【0129】
【表1】
【0130】
表1中、P(mm)とは、上述した平均LED距離を示す。
H(mm)とは、上述した光拡散板と反射シートの平均距離を示す。
DBEFとは、上述した反射型偏光シートを示す。
拡散シートのFWHMとは、拡散シート面に垂直に光線を入射した場合の出射光の拡散角度を示す。
【0131】
実施例1〜4においては、比較例1〜6と比較し、輝度ムラの改善が図られていることが分かった。
また、実施例1、2においては、実施例3、4と比較し、さらに輝度ムラが少なくなっていることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明の光学制御ユニットは、例えば、LED光源液晶テレビ、LED光源看板、LED光源照明等幅広い用途に対して有用である。
【符号の説明】
【0133】
B:凸部の断面において現れる、式(1´)及び式(2´)を満たす凸部の一側面の部分。
C:凸部の断面において現れる、Bより裾側の部分。
D:凸部の断面において現れる、Bより頂側の部分。
α:光拡散板表面に賦形された略三角錐形状の凸部の底面三角形の内角
β:光拡散板表面に賦形された略三角錐形状の凸部の底面三角形の内角
γ:光拡散板表面に賦形された略三角錐形状の凸部の底面三角形の内角
n1:LED千鳥配置のLED間距離
n2:LED千鳥配置のLED間距離
F:光拡散板表面に賦形された凸部三角錐形状の底面三角形の一辺と、点光源の格子の成
す角
11 CCFL(冷陰極管)
12 LED(発光ダイオード)
13 反射シート
14 光拡散板
15 拡散シート
16 レンズシート
17 プリズムシート
18 反射型偏光シート
【技術分野】
【0001】
本発明は、光拡散板と拡散シートとを備える光線制御ユニット、光源を配置したバックライトと前記光線制御ユニットとを備える直下型バックライト装置、及び当該直下型バックライト装置と液晶表示パネルとを備える液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、液晶ディスプレイ用のバックライトとしては、エッジライト型バックライトと直下型バックライトと呼ばれる2つの方式があるが、大型の表示装置に対しては、低コストで高輝度を実現できる直下型バックライトが多く用いられている。
直下型バックライトは、一般的に、冷陰極管のような線光源をベースに設計されており、これにさらに光拡散板や光学フィルムを組み合わせて面発光させる方式が採られている。
【0003】
近年においては、環境問題への対応、光源の長寿命化、省電力化、さらには画質向上の観点から、光源として冷陰極管に替えてLEDを用いることが要求されている。しかしながら冷陰極管は線光源であるのに対して、LEDは点光源であるため、冷陰極管と共通の光拡散板や光学フィルムを用いると輝度ムラが大きくなるという問題を生じるため、光拡散板や光学フィルムとして、点光源を面光源に変換する技術が求められている。
LED光源としては、安価でかつLED直上光の光線強度の強いランバーシャン分布を有するLEDが一般的に用いられており、LED直上に指向性の強い光源をいかに面光源に変換するかが大きな課題である。
【0004】
一方、近年液晶ディスプレイにおいては、薄型化、低コスト化が強く求められており、バックライトとしては、光源や光学フィルムを削減し、さらには、装置全体の薄型化を図るべく、光源から光拡散板までの距離が短い場合にも、効果的に光を拡散できる技術が求められている。
【0005】
従来、直下型点光源用の光拡散技術としては、複数の点光源の中から、最も面積が小さく、かつ周の長さが最短となるような凸四角形を構成する4つの点光源を選択した際に、光出射面での各点光源の各像が、光出射面の特定の領域内に観察されるようにする像形成位置調整手段についての提案がなされている。また、光拡散板としては、傾斜角の異なる凹型四角錐形状体が出射面側に複数配置されているものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、同様に、光線の利用効率向上を目的として、光拡散板の光出射面側に凹型四角錐形状体を斜列状に配置する構造の光拡散板が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
また、LED光源の輝度ムラを低減させることを目的として、光拡散板の出射面側に、コーナーキューブ形状を有する複数のプリズムが隙間なく形成されたプリズムシートをLED光源の上方に設置する構造の光拡散板が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0008】
さらには、レーザービームのスペックルによって感光性媒体に凹凸形状を記録し、これを用いてパターン転写用の金型を製造し、当該金型を用いて、直下型の大型液晶表示装置用の導光板表面に凹凸を形成し、ホログラム導光板とする発明が開示されている(例えば、特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第07/114158号パンフレット
【特許文献2】米国特許第7334920号明細書
【特許文献3】特開平10−274947号公報
【特許文献4】特開2001−23422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、ランバーシャン分布を有する指向性の高い点光源に対して、光拡散板として特許文献1に記載の、傾斜角の異なる凹型四角錐形状体を出射面側に有する光拡散板を用いた場合、輝度ムラ低減効果が小さく輝度均一性に大きな問題をかかえる。
【0011】
また、特許文献2に記載の凹型四角錐形状体を出射面側に有する光拡散板についても、特許文献1と同様に、輝度均一性向上効果は小さく、輝度均一性について十分な特性が得られないという問題を有している。
【0012】
また、特許文献3には、点光源に対して、その上方にアクリル樹脂からなるコーナーキューブ形状の微小な複数のプリズムが隙間無く形成された厚さ1mmのプリズムシートを配置する構造が開示されているが、点光源の出光分布、拡散フィルムの拡散角度特性、及び光拡散板の表面形状の最適な組み合わせに関する記載はない。
【0013】
さらに、特許文献4には、ホログラムをなす凹凸の密度が、前記光源が位置している部分は高く光源から遠くなるほど密度が低くなるように形成されたホログラム導光体が開示されているが、点光源の出光分布や、他の光拡散板との最適な組み合わせに関する記載はない。
【0014】
一般にバックライトは、複数の光学シートを用いることにより輝度の均一化を図るものであるが、上述した特許文献1〜4に開示されている技術は、いずれも他の光学シートの組み合わせを固定した上で、特定の光学シート単品の最適化を図るものであり、いずれの文献にも複数の光学シートの最適な組み合わせに関する記載はない。
【0015】
上述したように、近年、バックライトにおいては、薄型化の傾向や消費電力低減化の観点から、光源数の削減を図る傾向があるが、薄型化や光源の削減を行うと輝度ムラが発生する。かかる輝度ムラを低減化するためには、結局のところ、光源数を増加させるか、光学フィルムを多数併用必要があるという問題があった。
【0016】
本発明は前記従来技術の問題点を解決するものであり、その目的は、直下型バックライト装置において、光学フィルムを多数併用しなくても、所望のバックライト厚みで、かつ少ない個数の光源で、優れた輝度均一性を可能とする光線制御ユニット、直下型バックライト装置、及び液晶表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究した結果、特定の斜面角度と屈折率との関係を有する複数の略三角錐形状の凸部を有する光拡散板と、特定の拡散角度を有する拡散シートとを組み合せた光線制御ユニットによって、多数の光学シートを併用することなく輝度均一性を向上させられることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
【0018】
〔1〕
底面が三角形である略三角錐形状の凸部が表面に複数形成された光拡散板と、拡散シート面に垂直に光線を入射した場合の出射光の拡散角度が60°以上である拡散シートとを具備する光線制御ユニット。
〔2〕
前記光拡散板が、下記条件(A)を満たす前記〔1〕に記載の光線制御ユニット。
条件(A):分光光度計を用いて、前記凸部が形成された面とは反対側の面から、光拡散板の水平面に対する垂線に対して7°傾いた入射角度で波長450〜750nmの光を入射させたときの平均反射率Rが45%以上である。
〔3〕
前記光拡散板の前記略三角錐形状の凸部の側面の底面に対する傾斜角θ、及び前記凸部を形成している材料の屈折率Aが、下記式(1)及び式(2)を満たす光拡散板を具備する前記〔1〕又は〔2〕に記載の光線制御ユニット。
(1)・・・ θ≧(−40A+115.2)°
(2)・・・ θ≦(25A+22.25)°
〔4〕
前記光拡散板の前記略三角錐形状の凸部の側面の底面に対する傾斜角θ、及び前記凸部を形成している材料の屈折率Aが、下記式(3)及び式(4)を満たす光拡散板を具備する前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載の光線制御ユニット。
(3)・・・ θ≧(−40A+116.2)°
(4)・・・ θ≦(25A+20.25)°
〔5〕
前記光拡散板が下記式(5)を満たす前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載の光線制御ユニット。
(5)・・・ 0≦g/(b+c+d)≦0.30
(式(5)中、b、c及びdを、それぞれ、下記に示す。
b:前記凸部を以下のI点、J点、及び凸部頂点(凸部が三角錐台形状である場合には、頂上の三角形の重心)の3点を通る平面で切断した際に現れる切断面において現れる前記凸部の一側面の部分であって、前記凸部の一側面の接平面と底面のなす角θ´が以下の式(1´)及び(2´)を満たす部分Bを水平面に投影した投影線分の長さ。
c:前記部分Bより凸部の裾側にある部分Cを水平面に投影した投影線分の長さ。
d:前記部分Bより凸部の頂側にある部分Dを水平面に投影した投影線分の長さ。
(1´)・・・ θ´≧(−40A+115.2)°
(2´)・・・ θ´≦(25A+22.25)°
I点:凸部の頂点(凸部が三角錐台形状である場合には、頂上の三角形の重心)を垂直に底面の三角形に投影した点。
J点:前記I点から、底面の三角形を構成する辺のうち前記I点との距離が最も近い辺に対し垂線を引いた際の、該垂線と該辺との交点。
また式(5)中、gは、前記凸部を、底面の三角形に垂直な平面で且つ以下のI´点、J´点を通る平面で切断した際に現れる切断面の、中心からJ´点を含む方の片側部分において、前記凸部の一側面の接線のうち、当該接線と底面との成す角θ´が(1´)及び(2´)を満たす部分より頂部側にある部分を水平面に投影した投影線分の長さを表す。ただし、上記条件を満たす切断面が複数存在する場合は、gの値が最も大きくなる切断面を採用する。
I´点:凸部の頂点(凸部が三角錐台形状である場合には、頂上の三角形の重心)を垂直に底面の三角形に投影した点と、底面の三角形の頂点のうち、該投影した点に最も近い底面の三角形の頂点とを結んだ線分の中点。
J´点:前記I´点から、底面の三角形を構成する辺のうち前記I´点との距離が最も近い辺に対し垂線を引いた際の、該垂線と該辺との交点。)
〔6〕
前記b、c及びdの和が5〜200μmである前記〔5〕に記載の光線制御ユニット。
〔7〕
前記光拡散板の前記略三角錐形状の凸部の側面の底面に対する傾斜角θが、θ≠55°である前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載の光制御ユニット。
〔8〕
前記光拡散板は、少なくとも(a)レンズ層と(b)拡散層とを具備し、
前記(a)レンズ層と前記(b)拡散層とが、同一層、連続層、及びセパレート層よりなる群から選ばれるいずれかであり、
前記凸部が前記(a)レンズ層の表面に形成されている前記〔1〕乃至〔7〕のいずれか一に記載の光線制御ユニット。
〔9〕
前記(b)拡散層が透明樹脂と光拡散剤を含み、拡散率Sが2〜40%である前記〔8〕に記載の光線制御ユニット。
〔10〕
前記光拡散板が(a)レンズ層と(b)拡散層からなり、前記(a)レンズ層と(b)拡散層の厚みの和が0.5〜3.0mmである前記〔8〕又は〔9〕に記載の光線制御ユニット。
〔11〕
前記拡散シートの面上には凹凸構造が形成されており、当該拡散シートの拡散角度は、前記拡散シート面に形成された凹凸構造により制御される前記〔1〕乃至〔10〕のいずれか一に記載の光線制御ユニット。
〔12〕
前記拡散シートの前記凹凸構造が、干渉露光によるスペックルパターンを用いて形成された凹凸構造である前記〔11〕に記載の光線制御ユニット。
〔13〕
反射シートと、
複数の光源と、
前記〔1〕乃至〔12〕のいずれか一に記載の光線制御ユニットと、
が、当該順番により配設されている直下型バックライト装置。
〔14〕
前記光拡散板の前記略三角錐形状の凸部の形成面及び前記拡散シートの前記凹凸構造の形成面が、前記光源に対向する面の反対側の面である前記〔13〕に記載の直下型バックライト装置。
〔15〕
前記光拡散板と前記拡散シートが、光源に近い側から、光拡散板、拡散シートの順に配置されている前記〔14〕に記載の直下型バックライト装置。
〔16〕
前記反射シートの拡散反射率が90%以上である前記〔13〕乃至〔15〕のいずれか一に記載の直下型バックライト装置。
〔17〕
前記光源が、LEDの点光源である前記〔13〕乃至〔16〕のいずれか一に記載の直下型バックライト装置。
〔18〕
前記複数の点光源が格子状に周期的に配置されている前記〔17〕に記載の直下型バックライト装置。
〔19〕
前記複数の点光源が、格子状に周期的に配置され、
前記光拡散板の複数の略三角錐形状の凸部は、隣り合う略三角錐形状の凸部の底面の三角形の一辺同士が、互いに平行となるように、周期的に配置され、
かつ、前記複数の点光源と前記光拡散板とが、当該光拡散板の各略三角錐形状の凸部の底面の三角形のいずれか一辺が、前記点光源の格子状配置の格子を構成する四角形の対角線と、平行又は垂直となるように積層されている、前記〔18〕に記載の直下型バックライト装置。
〔20〕
前記複数の点光源が、格子状に周期的に配置され、
前記光拡散板の複数の略三角錐形状の凸部は、底面が二等辺三角形である略三角錐形状であり、
前記光拡散板の複数の略三角錐形状の凸部は、隣り合う略三角錐形状の凸部の底面の二等辺三角形の底辺同士が、互いに平行となるように周期的に配置され、
かつ、前記複数の点光源と前記光拡散板とが、当該光拡散板の各略三角錐形状の凸部の底面の二等辺三角形の底辺が、前記点光源の格子状配置の格子を構成する四角形の対角線と、平行又は垂直となるように積層されている、前記〔18〕又は〔19〕に記載の直下型バックライト装置。
〔21〕
前記複数の点光源が、格子状に周期的に配置され、
前記光拡散板の複数の略三角錐形状の凸部は、底面が正三角形である略三角錐形状であり、
前記光拡散板の複数の略三角錐形状の凸部は、隣り合う凸部の底面の正三角形の一辺同士が、互いに平行となるように周期的に配置され、
かつ、前記複数の点光源と前記光拡散板とが、当該光拡散板の各略三角錐形状の凸部の底面の正三角形のいずれか一辺が、前記点光源の格子状配置の格子を構成する四角形の対角線と、平行又は垂直となるように積層されている、前記〔18〕乃至〔20〕のいずれか一に記載の直下型バックライト装置。
〔22〕
液晶表示パネルと、前記液晶表示パネルに光を供給する前記〔13〕乃至〔21〕のいずれか一に記載の直下型バックライト装置とを具備する液晶表示装置。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、光学フィルムや光源数の削減を図り、バックライトの薄型化を実現しつつ、良好な輝度均一性を発現することができる光線制御ユニット、直下型バックライト装置、及び液晶表示装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】略三角錐形状の凸部の傾斜角θと略三角錐形状の凸部を形成している樹脂の屈折率Aの好ましい領域を示す図である。
【図2】光拡散板表面に賦形された略三角錐形状の凸部(三角錐台形状)の一例の斜視図である。
【図3】光拡散板表面に賦形された略三角錐形状の凸部(三角錐形状)の一例の斜視図である。
【図4】光拡散板表面に賦形された頂点が曲面形状の略三角錐形状の凸部(頂点R型の三角錐形状)の一例の斜視図である。
【図5】光拡散板表面に賦形された一例の略三角錐形状の凸部の正面図及びその断面図である。
【図6】(a)gの定義説明のための凸部の上面図である。(b)gの定義説明のための凸部の部分断面図である。
【図7】光拡散板表面に賦形された略三角錐形状の凸部の底面三角形の内角の関係の説明図である。
【図8】光拡散板の層構成図(同一層、連続層、セパレート層)である。
【図9】(a),(b)拡散シートの拡散角度の定義の説明図である。
【図10】LEDの出光分布図である。
【図11】本実施形態の直下型バックライト装置の一例の概略構成図である。
【図12】本実施形態の直下型バックライト装置の他の一例の概略構成図である。
【図13】本実施形態の直下型バックライト装置の他の一例の概略構成図である。
【図14】本実施形態の直下型バックライト装置の他の一例の概略構成図である。
【図15】本実施形態の直下型バックライト装置の他の一例の概略構成図である。
【図16】光拡散板表面に賦形された略三角錐形状の凸部とLED配置の相関図である。
【図17】光拡散板表面に賦形された略三角錐形状の凸部とLED配置の相関図である。
【図18】光拡散板表面に賦形された略三角錐形状の凸部とLED配置の相関図である。
【図19】バックライトのLED配置(格子配置)の一例を示す図(平面図)である。
【図20】バックライトのLED配置(千鳥配置)の一例を示す図(平面図)である。
【図21】光拡散板表面に賦形された略三角錐形状の凸部とLED配置の相関図である。
【図22】光拡散板の一例の出光面側の正面図である。
【図23】実施例及び比較例に用いたLED光源の配置パターン図を示す。
【図24】本実施形態における直下型バックライト装置の一例の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について、詳細に説明する。
なお、本発明は以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
【0022】
〔光線制御ユニット〕
本実施形態の光線制御ユニットは、底面が三角形である略三角錐形状の凸部が表面に複数形成された光拡散板と、拡散シート面に垂直に光線を入射した場合の出射光の拡散角度が60°以上である拡散シートを具備している。
【0023】
(光拡散板)
本実施形態の光線制御ユニットを構成する光拡散板について説明する。
光拡散板は、その表面に複数の凸部が形成された光拡散板である。
前記凸部は上記のように底面が三角形である略三角錐形状である。
【0024】
前記略三角錐形状の凸部の側面の底面に対する傾斜角θ(以下、単に傾斜角θと言うこともある。)及び前記凸部を形成している材料の屈折率A(以下、単に屈折率Aと言うこともある。)は、下記式(1)及び(2)を満たしている。
(1)・・・θ≧(−40A+115.2)°
(2)・・・θ≦(25A+22.25)°
図1に、略三角錐形状の凸部の傾斜角θと略三角錐形状の凸部を形成している樹脂の屈折率Aの好ましい領域を示す図を示す。
屈折率Aを横軸、傾斜角θを縦軸にそれぞれ示す。
本実施形態で用いられる光拡散板は、図1中、式θ=25A+22.25の下側と、式θ=−40A+115.2の上側の領域内の条件を満たすものであることが好ましい。
【0025】
前記光拡散板の表面の前記略三角錐形状の凸部の傾斜角θと屈折率Aとが、上記式(1)と(2)の関係を満たすことにより、前記光拡散板を用いたバックライト装置は、輝度、色ムラ特性、正面輝度均一性に加え斜視輝度均一性が著しく向上する。
【0026】
光拡散板の表面形状として、略三角錐形状の凸部以外の、例えば、多角錐形状の凸部、及び三角錐を含む多角錐形状の凹部を形成したものとしても、本実施形態の光線制御ユニット、直下型バックライト装置及び液晶表示装置の性能を発現することはできない。
また、光拡散板の表面形状が略三角錐形状の凸部が形成されたものであっても、前記(1)及び(2)を満たさない場合は、正面の輝度均一性が低下する。
【0027】
本実施形態で用いられる光拡散板は、前記傾斜角θと屈折率Aとが、下記式(3)と(4)を満たすと、輝度、色ムラ特性、正面輝度均一性、及び斜視輝度均一性はより一層向上し、好ましい。
(3)・・・ θ≧(−40A+116.2)°
(4)・・・ θ≦(25A+20.25)°
【0028】
傾斜角θが55.5度以上であると、バックライト装置や表示装置において輝度、色ムラ特性、正面輝度均一性、及び斜視輝度均一性に特に優れた効果を発揮し得る光拡散板となり、より好ましい。
【0029】
前記傾斜角θは、レーザー顕微鏡やSEM(電子顕微鏡)を用いて光拡散板表面の断面形状観察することにより求めることができる。
前記屈折率Aは、凸部を形成する部位を切断分離し、その後、熱プレス等で表面が平滑なフィルムを作製し、JIS K7142に準拠してアッベ屈折計を用いることにより求めることができる。また、屈折率Aは、凸部を平滑化できない場合は、凸部を切断した後、前記切断部位を粉砕して、ベッケ法により求めることもできる。
また、前記屈折率Aは、試料を形成する材料のうち透明なもの(例えば、透明樹脂)によって決まり、光拡散剤等が添加されていてもそれにより屈折率自体は変化しない。
そこで、凸部が光拡散剤等を含んでいて拡散性を有するために上記の方法で屈折率を測定することが難しい場合等には、凸部を形成する材料のうち透明なもの(例えば、透明樹脂原料)だけをフィルム化し、前記同様にアッベ屈折計を用いてそのフィルムの屈折率を測定し、屈折率Aを求めることもできる。
【0030】
光拡散板の凸部の形状である略三角錐形状とは、底面が三角形であって、頂上が点又は面積が底面よりも小さい三角形である立体を言う。例えば、図2に示すような、いわゆる三角錐台も含む。
光拡散板の凸部の側面は、平面であっても曲面であってもよく、頂上が点である場合、その頂点は、図3のように尖っていても、図4のように頂部がR形状とされた曲面でもよい。
また、略三角錐形状の凸部の稜線は尖っていても、曲面でもよい。
さらに、本実施形態で用いられる光拡散板の凸部の形状である前記略三角錐形状は、頂点(又は頂上の三角形の中心)と底面の三角形の中心とを結んだ直線(中心軸)が、前記底面と垂直であること、すなわち斜三角錐でないことが好ましい。
【0031】
本実施形態で用いられる光拡散板において、前記傾斜角θは、上述したように凸部の側面と底面とがなす角である。傾斜角θの定義について以下に示す。
凸部の側面の一部が曲面を含む場合であっても、凸部の側面に平面が含まれている場合には、その平面と底面がなす角が傾斜角θとなる。
凸部の側面に複数の平面が含まれている場合には、最も面積の大きい平面と底面がなす角が傾斜角θとなる。
また、凸部の側面が全て曲面である場合には、傾斜角θは側面の接平面と底面となす角のうち最も大きい角とする。
また、略三角錐形状が、斜三角錐である場合には、傾斜角θは、凸部の3つの側面と底面がなす角のうち最も大きな角とする。
【0032】
本実施形態で用いられる光拡散板は、その表面に、同一形状の略三角錐形状の凸部が、周期的に形成されているものであることが好ましい。
【0033】
また、色ムラ特性、輝度及び輝度均一性の観点からは、本実施形態で用いられる光拡散板の凸部の形状及び配置は、下記式(5)を満たすことが好ましい。
(5)・・・ 0≦g/(b+c+d)≦0.30
上記式(5)中、b、c及びdは、それぞれ、前記凸部を以下のI点、J点、及び凸部頂点(凸部が三角錐台形状である場合には、頂上の三角形の重心)の3点を通る平面で切断した際に現れる切断面、すなわち、図5中、破線に従い切断した切断面において現れる、前記凸部の一側面の接平面と底面とが成す角θ´が以下の式(1´)及び(2´)を満たす図5中の前記切断面中の、前記凸部の一側面の部分である部分Bを水平面に投影した投影線分の長さ(図5中のb)、前記「部分B」より凸部の裾側にある部分Cを水平面に投影した投影線分の長さ(図5中のc)、及び、前記「部分B」より凸部の頂側にある部分Dを水平面に投影した投影線分の長さ(図5中のd)を表す。
(1´)・・・ θ´≧(−40A+115.2)°
(2´)・・・ θ´≦(25A+22.25)°
I点:凸部の頂点(凸部が三角錐台形状である場合には、頂上の三角形の重心)を垂直に底面の三角形に投影した点。
J点:前記I点から、底面の三角形を構成する辺のうち前記I点との距離が最も近い辺に対し垂線を引いた際の、当該垂線と前記辺との交点。
なお、前記部分Bは、凸部の頂点から、切断される凸部の側面の底辺に下ろした垂線に相当する。但し、切断面における頂部側の部分(部分Dに相当)や、切断面における裾側の部分(部分Cに相当)は含まれない。
また、前記角θ´は、部分Bが成す直線と凸部の底面とが成す角である。
【0034】
なお、図5中に示す部分Bより凸部の裾側にある部分Cには、隣接する凸部との間の距離L×1/2分を含むものとし、部分Dの頂部側終端は凸部の頂点(三角錐台形状である場合には、頂部の三角形の中心)とする。
図5においては、部分Bとして直線線分を例示しているが、部分Bは、上記式(1´)、(2´)を満たす部分であれば、曲線であってもよい。
例えば、光拡散板の凸部を形成している材料の屈折率Aが1.59である場合は、部分Bはθ´=52〜62°の範囲で連続的に変化する曲線であってもよい。
【0035】
上記式(5)中、gについて説明する。
前記凸部を、底面の三角形に垂直な平面で、かつ以下のI´点、J´点を通る平面(図6(a)中の破線)で切断した際に現れる切断面を図6(b)に示す。
I´点:凸部の頂点(凸部が三角錐台形状である場合には、頂上の三角形の重心)を垂直に底面の三角形に投影した点と、底面の三角形の頂点のうち、該投影した点に最も近い底面の三角形の頂点とを結んだ線分の中点。
J´点:前記I´点から、底面の三角形を構成する辺のうち前記I´点との距離が最も近い辺に対し垂線を引いた際の、該垂線と該辺との交点。
図6(b)は、前記I´点、J´点を通る平面(図6(a)中の破線)で切断した際に現れる切断面のうち、中心からJ´点を含む片側の最下部までの部分を示している。
前記凸部の一側面の接線のうち、当該接線と底面との成す角θ´が上記(1´)及び(2´)を満たす部分より頂部側にある部分を水平面に投影した投影線分の長さをgとする。ただし、上記条件を満たす切断面が複数存在する場合は、gの値が最も大きくなる切断面を採用する。
【0036】
本実施形態の光線制御ユニット及びこれを具備する直下型バックライト装置、液晶表示装置において、さらなる輝度向上、及び輝度均一性を図る観点から、0.01≦g/(b+c+d)≦0.20であることがより好ましく、0.01≦g/(b+c+d)≦0.10であることがさらに好ましい。
【0037】
さらに、本実施形態の光線制御ユニット及びこれを具備する直下型バックライト装置、液晶表示装置における色ムラ特性、輝度及び輝度均一性の観点からは、光拡散板の凸部の形状及び配置は、下記式(6)と式(7)を満たすことが好ましい。
(6)・・・ 0≦c/(b+c+d)≦0.20
(7)・・・ 0≦d/(b+c+d)≦0.40
さらなる輝度向上、及び輝度均一性の観点から、0.01≦c/(b+c+d)≦0.13であることがより好ましく、0.01≦c/(b+c+d)≦0.06であることがさらに好ましい。
【0038】
なお、上述したB、C、D、b、c、d、gは、レーザー顕微鏡やSEM(電子顕微鏡)を用いて光拡散板表面の略三角錐形状の凸部の断面形状観察を行うことにより求めることができる。
【0039】
また、光拡散板の略三角錐形状の凸部の、上述したb、c、dは、その和b+c+dが5〜200μmであることが、輝度均一性、モアレ、及び製造の観点から好ましく、10〜150μmであることがより好ましく、15〜120μmであることがさらに好ましい。
また、光拡散板の略三角錐形状の凸部の高さ(底面から最上部までの距離)は、10〜400μmであることが好ましい。
【0040】
本実施形態で用いられる光拡散板の略三角錐形状の凸部は、可視光に対して再帰反射特性を示さない形状であることが好ましい。
すなわち、略三角錐形状の凸部が、再帰反射特性を示さない形状であると、点光源から出て、かつ、再び点光源に戻る光の割合が少なくなり、点光源による光の吸収を抑えることができる。
【0041】
前記再帰反射特性の指標として、光拡散板の凸部形成面側とは反対側の面(入光面)側から、光拡散板の水平面に対する垂線に対して7°傾いた入射角度で、波長450〜750nmの光を入射させたときの平均反射率Rを使用することができる。
ここで平均反射率Rとは、450〜750nmの波長領域において、波長1nm毎に反射率を求めたときの平均値をいう。
平均反射率Rが45%以上であると、再帰反射成分が少なく、点光源での光の吸収が少ない光拡散板であると言え、色ムラ特性、輝度、輝度均一性に特に優れた光拡散板となる。
平均反射率Rは50%以上であることがより好ましく、55%以上であることがさらに好ましい。
【0042】
前記略三角錐形状の凸部側面の底面に対する傾斜角θが57°である場合は、光の入光ポイントに光が戻らず、再帰反射性を有さないため、高い平均反射率となる。
一方、前記略三角錐形状の凸部が、例えば、コーナーキューブ形状(前記傾斜角θが55度)を有し、再帰反射性を有する場合には、光の入光ポイントに光が戻るため、平均反射率Rが45%未満となる。
従って、前記略三角錐形状の凸部は、前記傾斜角θが55°以外の傾斜角であることが好ましい。
【0043】
また、本実施形態の光線制御ユニット及びこれを具備する直下型バックライト装置、液晶表示装置における色ムラ特性、輝度、輝度均一性向上の観点から、光拡散板に入射した光は適度に拡散されることが望ましい。
従って、平均反射率Rは70%以下であることが好ましく、67%以下であることがより好ましい。
【0044】
本実施形態で用いられる光拡散板と光源とを組み合わせて、直下型バックライト装置を構成する場合には、光拡散板の2つの表面のうち、略三角錐形状の凸部を有する面を出光面側に配置することで、輝度、色ムラ特性、輝度均一性(正面及び斜め視野)に特に優れた直下型バックライト装置となる。
なお、光拡散板を光源と組み合わせて使用した場合において、光源に近い方の表面(すなわち、光源に対向する側)を入光面、光源から遠い方の表面(光源の反対側)を出光面と定義する。
【0045】
上述したように、光拡散板の表面には、略三角錐形状の凸部が複数形成されている。
複数個の凸部の形状は同一であっても異なっていてもよい。
また、複数個の凸部の配置の態様についても限定はない。
例えば、前記複数の凸部を、隣り合う凸部底面三角形の向かい合う辺同士が、互いに平行となるように、隣接して配置することは、輝度均一性及び生産性の観点から好ましい。
また、凸部の底面の三角形の形状にも限定はない。
例えば、図7に示すように、凸部の底面の三角形の内角を、それぞれα、β、γとした場合、|α−β|、|β−γ|、|γ−α|が、各々20°以下であることが輝度均一性の観点から好ましく、10°以下であることがより好ましく、5°以下であることがさらに好ましい。
凸部の底面の三角形のとりわけ好ましい形状は、二等辺三角形、正三角形である。
さらに、光拡散板の表面に設けられる略三角錐形状の凸部は、光拡散板の水平面の70面積%以上の領域に形成されることが、輝度均一性の観点から好ましく、80面積%以上に形成されることがより好ましく、90面積%以上に形成されることがさらに好ましく、95面積%以上に形成されることがさらにより好ましい。
【0046】
上述した光拡散板は、下記の(a)レンズ層、(b)拡散層からなる構成を有していることが、本実施形態の光線制御ユニット、これを具備する直下型バックライト装置、液晶表示装置において、輝度及び正面・斜視の輝度均一性を向上させる観点から好ましい。
前記(a)レンズ層とは、前記略三角錐形状の凸部が形成されている層である。
前記(b)拡散層とは、透明樹脂及び拡散剤を含む光を拡散させる層である。
前記(a)層及び(b)層は、それぞれ単一層から形成されていてもよいし、複数の層から形成されていてもよい。
前記(a)層と(b)層は、図8に示すように、同一層であってもよいし、連続層であってもよいし、あるいはセパレート層であってもよい。
なお、同一層とは、(b)拡散層の表面に前記略三角錐形状の凸部が形成される、すなわち(b)層に(a)層が組み込まれた層構成をいう。
連続層とは、(a)レンズ層と(b)拡散層とが密着し、一体化した層構成をいう。
セパレート層とは、(a)レンズ層と(b)拡散層が別々のシートとして存在し、2枚のシートを物理的に重ね合わせた構成、すなわち両層間には空気の界面が存在している状態となっている構成をいう。
セパレート層については、(a)レンズ層の凸部を出光面側に固定した状態で、(a)層と(b)層を入れ替え可能、すなわち光源に近い方から、(a)層、(b)層、或いは(b)層、(a)層で配置してもよいし、更に(a)層と(b)層の間に別のシートを配置してもよい。
【0047】
本実施形態で用いられる光拡散板の凸部(図8に示す構成の場合においては、(a)レンズ層)を構成する材料についは、上述した式(1)、(2)を満たす屈折率Aを有するものであれば限定はなく、光透過性の高い樹脂が好ましい。
例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、等のポリエステル樹脂、及びこれ等の共重合体;ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、脂環式ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂;ポリスチレン、スチレンーアクリロニトリル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、メチルメタクリレート−スチレン共重合体、アルファメチルスチレン共重合体等のスチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリエチルアクリレート等のアクリル系樹脂;メタクリル酸エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
【0048】
本実施形態で用いられる光拡散板の凸部(図8に示す構成の場合においては、(a)レンズ層)を構成する材料の屈折率Aは、本実施形態の光線制御ユニット及びこれを具備する直下型バックライト装置、液晶表示装置における輝度、色ムラ特性、正面輝度均一性、及び斜視輝度均一性の観点から、1.43以上であることが好ましく、1.49以上がより好ましく、1.53以上がさらに好ましく、1.55以上がさらにより好ましい。
屈折率Aの上限は特に無いが、輝度、色ムラ特性、正面輝度均一性、及び斜視輝度均一性の観点から屈折率Aは1.71以下であることが好ましく、1.65以下であることがより好ましい。
【0049】
また、本実施形態で用いられる光拡散板の拡散率Sは、2%以上が好ましく、5%以上がより好ましく、10%以上がさらに好ましい。
なお、後述するように、略三角錐形状の凸部の傾斜角θが55°の場合においては、再帰反射を少なくするため、拡散率Sは5%以上とすることが好ましく、より好ましくは10%以上である。
本実施形態で用いられる光拡散板の拡散率Sの上限は40%以下とすることが好ましく、30%以下がより好ましい。
光拡散板の拡散率Sが上記範囲であると、輝度、輝度均一性(正面及び斜視)、色ムラ特性に優れた光拡散板となる。
なお、拡散率Sについては、前記光拡散板の(a)層と(b)層が連続層である場合、及び(a)層と(b)層がセパレート層である場合は、(a)層と(b)層を重ねた状態で熱プレス等により(a)層の表面を平滑にし、光拡散板を擬似的に拡散層単層の構成とした後、変角光度計(例えば日本電色工業社製GC5000L)を用いて、透過モードで光入射角0度で光を入射させたときの透過光の輝度の測定を行い、下記式により求めることができる。
また、前記光拡散板が(a)層のみで構成される場合、及び(a)層と(b)層とが同一層である場合は、(a)層を熱プレス等により表面を平滑にし、擬似的に拡散層単層の構成とした後、前記同様測定を行い、下記式により求めることができる。
拡散率S=100×(L(20度)+L(70度))/(L(5度)×2)
ここで、
L(5度)は、5度の角度に出光した透過光の輝度(cd/m2)
L(20度)は、20度の角度に出光した透過光の輝度(cd/m2)
L(70度)は、70度の角度に出光した透過光の輝度(cd/m2)
である。
【0050】
本実施形態で用いられる光拡散板が、図8の構成を有する場合、(b)拡散層を構成する材料については特に限定はなく、例えば、透明樹脂と光拡散剤とを含む樹脂組成物が挙げられる。
光拡散板の(b)拡散層を構成する材料としては、透明樹脂に、該樹脂の屈折率と異なる屈折率を持った光拡散剤成分を最適粒径で最適量分散させた樹脂組成物が好ましい。
透明樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、及びこれ等の共重合体;ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、脂環式ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂;ポリスチレン、スチレンーアクリロニトリル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、メチルメタクリレート−スチレン共重合体、アルファメチルスチレン共重合体等のスチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリエチルアクリレート等のアクリル系樹脂;メタクリル酸エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
【0051】
前記光拡散剤としては、例えば、アクリル系樹脂架橋微粒子、スチレン系樹脂架橋微粒子、シリコーン系樹脂架橋微粒子、MS(メチルメタクリレート・スチレン共重合体)系架橋微粒子、フッ素樹脂微粒子、ガラス微粒子、シリカ微粒子、炭酸カルシウム微粒子、硫酸バリウム微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、タルク微粒子、マイカ微粒子等が挙げられ、これらは単独もしくは併用して使用することができる。
光拡散剤の形状としては、真球状、楕円状、不定形状、針状、板状、中空状、柱状、錐状等の形状が挙げられる。
光拡散剤の平均粒径としては、輝度均一性、及び易製造の観点から1〜20μmが好ましく、2〜10μmがより好ましい。前記平均粒径は、粒径分布計により求めることができる。
【0052】
本実施形態で用いられる光拡散板が、図8に示す構成のうち、(a)レンズ層と(b)拡散層とが同一層となっている構成を有する場合は、(b)拡散層を構成する材料の屈折率が、上述した屈折率Aとなり、前記(1)、式(2)を満足することが、輝度及び輝度均一性(正面及び斜視)の観点から好ましいが、(a)レンズ層と(b)拡散層が連続層及びセパレート層となっている構成を有する場合は、(b)拡散層を構成する材料の屈折率は、前記式(1)、(2)を満たす必要は無い。
【0053】
また、(b)拡散層を構成する樹脂と光拡散剤との屈折率差は、輝度均一性、及び易製造の観点から0.05〜0.20であることが好ましく、0.10〜0.16であることがより好ましい。
例えば、ポリスチレン樹脂に対して好ましい光拡散剤としては、アクリル系樹脂架橋微粒子やシリコーン系樹脂架橋微粒子が挙げられる。
さらに、光拡散剤の添加量は、輝度均一性、及び易製造の観点から、(b)拡散層を構成する材料(例えば、樹脂組成物)全体に対して、0.02〜2質量%であることが好ましく、0.05〜1質量%であることがより好ましい。
【0054】
また、本実施形態で用いられる光拡散板は、全光線透過率Tが83%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。
光拡散板の全光線透過率Tの上限については、95%以下であることが好ましい。
全光線透過率Tが上記範囲であると、輝度、輝度均一性(正面及び斜視)、色ムラ特性に優れた光拡散板となる。
なお、全光線透過率Tは、前記光拡散板の(a)層と(b)層が連続層である場合、及び(a)層と(b)層がセパレート層である場合は、(a)層と(b)層を重ねた状態で熱プレス等により表面を平滑にした後、前記プレス品をJIS K7105に準拠して測定することができる。
また、前記光拡散板が(a)層のみで構成される場合、及び(a)層と(b)層とが同一層である場合は、(a)層を熱プレス等により表面を平滑にした後、前記同様測定を行うことで求めることができる。
【0055】
本実施形態で用いられる光拡散板においては、前記略三角錐形状の凸部が、傾斜角θが55°の略三角錐形状といったような再帰反射特性を示す形状であっても、前記略三角錐形状の凸部を形成する材料に光拡散剤を添加したり、光拡散剤を含有する拡散層を設けたりすることにより、再帰反射成分を少なくすることが可能である。
具体的には、傾斜角θが55°の略三角錐形状の凸部を有する光拡散板であっても、拡散率Sを5%以上とすることで、再帰反射成分を少なくさせることが可能となり、分光光度計を用いて、凸部が形成された面とは反対側の面から、光拡散板の水平面に対する垂線に対して7度傾いた入射角度で波長450〜750nmの光を入射させたときの平均反射率Rが45%以上の光拡散板が得ることが可能となる。
再帰反射成分は、光拡散板に光拡散剤を添加する他、光拡散板の入光面の平均傾斜角Uを1°以上、好ましくは5°以上としたり、光拡散板の凸形状面から入光した全光線透過率Tを75〜95%、より好ましくは80〜92%に制御したりすることでも少なくすることができる。
【0056】
本実施形態で用いられる光拡散板の厚みは、剛性、光学特性(輝度、輝度均一性)の観点から、0.5〜3.0mmであることが好ましく、0.8〜2.5mmであることがより好ましく、1.0〜2.0mmであることがさらに好ましい。
また、光拡散板が、図8に示す各構成を有する場合において、光拡散板の(a)レンズ層と(b)拡散層とがセパレート層である場合は、(a)層と(b)層を重ね合わせた時の総厚を光拡散板の厚みとする。
【0057】
本実施形態で用いられる光拡散板は、(a)レンズ層と(b)拡散層に加え、必要に応じて更に他の層を積層した構造とすることができる。
その層構成は用途、目的に応じて適宜選択することができる。
層構成としては、(a)層、(b)層の他、その他の樹脂組成物や化合物からなる層をX層、Y層、Z層とすると、例えばX層/(a)(b)同一層の2層構成や、X層/(a)層/(b)層、(a)層/(b)層/X層、(a)層/X層/(b)層の3層構成、X層/(a)層/(b)層/X層、X層/(a)層/(b)層/Y層、X層/(a)層/Y層/(b)層の4層構成、更にはX層/Y層/(a)/(b)/Y層、X層/(a)層/Y層/(b)層/X層、X層/(a)層/Y層/(b)層/Z層の5層構成等が挙げられる。
なお、同じ樹脂組成物から構成される層を連続して複数積層することもできる。
又、5層を超えて積層してもよいが、製造の容易さを考えると光拡散板は5層以下で構成することが好ましい。
【0058】
本実施形態で用いられる光拡散板には、各種添加剤を配合してもよい。
添加剤としては、例えば、有機や無機の染料や顔料、艶消し剤、熱安定剤、難燃剤、帯電防止剤、消泡剤、整色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、増白剤、不純物の捕捉剤、増粘剤、表面調整剤等が挙げられる。
【0059】
本実施形態で用いられる光拡散板は、輝度均一性及びバックライトに装着された支持ピンとの擦れ性の観点から、上述した略三角錐形状の凸部が形成された面とは反対側の面、すなわち、光源と組み合せて使用された場合の好ましい態様において入光面(光源側の面)となる面に凹凸形状を設けることが好ましい。
なお、前記支持ピンとは、光拡散板の支持体としての役割を有する部材であり、LED基板と光拡散板との間に設けられ、LED基板に固定され、光拡散板とは固定されていない状態で、光拡散板を支持するものである。
具体的には、入光面の平均傾斜角Uが1〜30°であることが、輝度及び輝度均一性の観点から好ましく、3〜25°であることがより好ましく、5〜20°であることがさらに好ましい。
入光面の平均傾斜角Uが1°未満の時は、例えば出光面側の凸部の傾斜角θが55度であると、光拡散板が再帰反射特性を示し、点光源から出光した光が、点光源に戻り、バックライトの輝度が低下する場合がある。又、平均傾斜角が30°を超えると、輝度均一性が悪化する傾向にある。
前記平均傾斜角Uは、光拡散板の断面をレーザー顕微鏡で観察し、1μm幅の平均傾斜角(光拡散板の水平面に対する傾斜角)を光拡散板の長手方向と短手方向に1000μm幅で連続して求め、長手方向の平均値と短手方向の平均値を計算し、更にその平均を算出することにより求めることができる。
なお、本実施形態で用いられる光拡散板が図8に示す構成を有する場合であって、(a)層と(b)層がセパレート層の場合は、(a)層、(b)層共に、入光面側の平均傾斜角を前記範囲にすることが好ましい。
【0060】
(光拡散板の製造方法)
本実施形態で用いられる光拡散板は、光拡散板の各層を構成する材料を用いて、公知の成形方法により製造できる。
なお、光拡散板の特性に応じて、上述したように特定の形状に設計された略三角形状の凸部を形成する。
例えば、光透過性の高い樹脂を含んだ樹脂組成物を、溶融状態にて口金より押出して、所望の形状に加工したロールを用いて成形する溶融成形法;樹脂組成物を溶媒に溶解した状態にて口金より押出して、所望の形状に加工したロールを用いて成形する溶液キャスト法;溶液キャスト法にて表面賦形して得た固体フィルムに、溶融樹脂を積層する押出ラミネーション法や固体フィルム同士を積層するドライラミネーション法;溶融状態にて口金より押出した板を所望の形状に加工したプレス金型を用いて熱プレス成形する方法;更には所望の形状に加工した金型を用いて射出成形する方法等が挙げられる。
これらのうち、生産性、環境適性の観点から、溶融成形法が最も好ましい成形法である。
【0061】
(拡散シート)
本実施形態の光線制御ユニットを構成する拡散シートについて説明する。
拡散シートは、当該拡散シート面に垂直に光線を入射した場合の出射光の拡散角度が60°以上であるものとする。
拡散シートの前記拡散角度は、輝度ムラ低減の観点から、70°以上が好ましく、80°以上がより好ましく、90°以上がさらに好ましい。拡散角度は170°以下であることが好ましい。
【0062】
図9(a)に、拡散角度の定義の説明図である。
「拡散角度」とは、透過光強度がピーク強度の半分に減衰する角(半値角)の2倍の角度(FWHM:Full Width Half Maximum)をいう。
この拡散角度は、例えば、Photon(株)社製のGoniometric Radiometers Real-Time Far-Field Angular Profiles Model LD8900(以下、「LD8900」という。)で、拡散シートの凹凸面を入射面とし、前記凹凸面の法線方向に入射した光に対する透過光強度の角度分布を測定することによって求めることができる。ここで、拡散シートの法線方向については、図9(b)中の入射光の方向に示す。
【0063】
上述したような拡散シートによる透過光の拡散は、拡散シートの表面に多数の凹凸構造を形成することにより実現でき、拡散角度は拡散シートの表面の凹凸構造によって制御することができる。
拡散シート表面の凹凸構造とは、例えば、表面に多数の突起部が設けられた構造を言う。前記突起部の形状は、略円錐状、略球状、略楕円体状、略レンチキュラーレンズ状、略放物面状等のいずれでもよく、各突起部は、規則的に配列していても、不規則に配列していてもよい。また、突起部間は連続的な曲面でつながっていてもよい。また、不規則な凹凸が連続的な曲面でつながっている擬似ランダム構造も、好ましい構造として適用できる。この擬似ランダム構造としては、コヒーレントな光が光拡散板を通過した後の空間に干渉によって生成したランダムな強度を有する光のパターンであるスペックルパターンによって感光性材料を露光すること(以下「干渉露光」ともいう。)で得られた微細な3次元構造であることが好ましい。
光の拡散性能に関して好ましい特性を得るためには、突起部の高さは1μm〜15μmの範囲が好ましく、ピッチは1μm〜30μmの範囲が好ましい。
【0064】
スペックルパターンによって感光性樹脂を露光することにより3次元構造を形成する方法は、機械加工では困難であった10μm以下の微細な凹凸構造を形成する方法として好適である。
また、スペックルパターンを用いて凹凸構造を形成する方法によれば、マイクロレンズのような等方的な拡散角度を示す凹凸構造や、レンチキュラーレンズのような異方的な拡散角度を示す凹凸構造も容易に形成することができる。この拡散シートの凹凸構造は、モアレ抑制等の観点から、高さ及びピッチが不規則であることが好ましいが、非平面スペックルによって特徴付けられた3次元構造を具備するマスタ型を用いて拡散シートを作製することにより、表面に、高さ及びピッチが不規則な凹凸構造が形成でき、当該拡散シートは、モアレ抑制等の観点から好ましい。
【0065】
本実施形態で用いられる拡散シートは、拡散シート面内の所定の領域に上記のような凹凸構造が配列されて光拡散機能を示す部分があればよく、当該光拡散機能を有する必要のない部分、例えば端部においては、表面が平滑になっていてもよい。
【0066】
(拡散シートの製造方法)
凹凸構造を表面に有する拡散シートは、例えば、下記のようにして製造することができる。
まず、予め干渉露光により、レーザー光をレンズやマスクを介して感光性材料やフォトレジストに照射し、所望のスペックルパターンを形成させたサブマスタ型を作製する。レーザー照射システムを構成する部材間の距離やサイズを変え、スペックルパターンの寸法、形状及び方向を調節することにより、拡散角度の範囲を制御した凹凸構造を記録することができる。
【0067】
一般に、拡散シートの拡散角度の範囲は、スペックルの平均サイズ及び形状に依存する。
スペックルが小さければ拡散角度範囲が広い。また、凹凸構造の単位構造は等方性のものに限らず、異方性のものを形成することもでき、両者の複合された凹凸構造とすることもできる。
スペックルが横方向の長円形であれば、拡散角度の分布形状は、縦方向の長円形となる。このように所望の拡散角度に応じてスペックルパターンを決定し、その拡散角度を持つサブマスタ型を作製する。このサブマスタ型に電鋳等の方法で金属を被着してこの金属にスペックルパターンを転写してマスタ型を作製する。このサブマスタ型の詳細な製造方法については、例えば、特許第3413519号公報に開示されている。基材上に形成した光硬化性樹脂層に、上記マスタ型を用いて紫外線による賦形を行って光硬化性樹脂にスペックルパターンを転写する。
【0068】
前記拡散シート用の基材としては、樹脂、ガラス等の材料からなる光透過性の基材が好ましく用いられる。基材の厚さは特に限定されないが、通常、50μm〜500μmの範囲内である。樹脂材料からなる基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂等の熱可塑性樹脂、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等のオリゴマー及び/又はアクリレート系のモノマー等からなる電離放射線硬化性樹脂を紫外線又は電子線等の電磁放射線で硬化させた樹脂等で構成された透明性基材を好ましく挙げることができる。また、ガラスからなる基材としては、ソーダ硝子、硼珪酸硝子等が用いられる。
【0069】
拡散シート表面の凹凸構造の凹凸高さは、例えば走査型電子顕微鏡で観察した拡散シート断面形状のピッチやアスペクト比、表面粗さ等から測定できる。
また、レーザー共焦点顕微鏡による拡散シート表面の観察像からも、ピッチ、アスペクト比や、表面粗さ等を読み取ることができる。
例えば、ピッチが短いほど、或いはアスペクト比が大きいほど、或いは表面粗さが大きいものほど凹凸高さが高いと見なすことができる。
【0070】
また、拡散シートの凹凸構造は、拡散シートの出光面側にあっても入光面側にあってもよい。
凹凸構造が出光面側にあることは、輝度の低下を最小限に抑えつつ輝度ムラを低減できるという観点から好ましい。
【0071】
拡散シートの凹凸構造の形成面とは反対側の面は、平滑面、凹凸面、マット面等のいずれであってもよい。輝度向上、及び輝度ムラ軽減の観点から、凹凸構造がある面と反対側の面は、平滑面となっていることが好ましい。
なお、一般に拡散シートを積層する場合等に、傷つき防止のため、平滑性を失わない範囲で、凹凸構造がある面と反対側の面に極微量のビーズを塗布する場合がある。このような場合も平滑面に含まれるものとする。
【0072】
〔直下型バックライト装置〕
本実施形態の直下型バックライト装置は、反射シート、複数の光源、及び前記光源の出光側に上述した光線制御ユニットが、当該順番により配設された構成を有している。
本実施形態の直下型バックライト装置は、照明装置としても用いることができる。
【0073】
(光源)
本実施形態の直下型バックライト装置を構成する光源としては、LED(発光ダイオード)、レーザー等の点光源が挙げられる。
光源としては、直上の光線強度が強い、例えば、光のピーク強度を示す角度(以下、単に「ピーク角度」ともいう。)が−25°〜25°の範囲となる出光分布を有する点光源が好ましい。
【0074】
光のピーク角度が−25°〜25°である出光分布を有するLED光源は、光エネルギーへの変換効率が高く、電流当たりの輝度が高いという特長を有するため、このような点光源を用いると、高い輝度を保持したまま、優れた輝度均一性が実現できる。
上述した本実施形態の光線制御ユニットは、当該光線制御ユニットを構成している光拡散板が上述したような略三角錐形状の凸部を有しているため、従来の光拡散板では両立不可能であった点光源からの光を広範囲な角度で拡散反射させる拡散反射性能と光源間の集光性能、すなわち光源から出射された光源間の斜め方向の光を直上に立ち上げる性能を併せて有している。このため、点光源、とりわけ光のピーク角度が−25°〜25°である直上光の光線強度の強い点光源と本実施形態の光線制御ユニットとを組み合せることによって、優れた輝度を有する直下型バックライト装置が得られる。
【0075】
光源としては、特に、光のピーク角度が0度、半値角が60度のランバーシャンタイプの出光分布(図10)を有する点光源(LED光源)が好ましく用いられる。
前記出光分布以外の条件としては特に制限はなく、例えば、青色LEDにより黄色蛍光体を励起するタイプや、青色LEDにより緑色、赤色蛍光体を励起するワンチップタイプの擬似白色LED;赤色/緑色/青色LEDを組み合わせて白色光を作るマルチチップタイプ、更には近紫外LEDと赤色/緑色/青色蛍光体を組み合わせたワンチップタイプの擬似白色LED等が挙げられる。
【0076】
(反射シート)
本実施形態の直下型バックライト装置を構成する反射シートは、光を反射させることのできるものであれば、従来公知のものを使用できる。
例えば、ポリエステル、ポリカーボネート等の樹脂を発泡させて内部に微細な空気の粒を入れシート状としたもの、2成分以上の樹脂を混合してシート状としたもの、屈折率の異なる樹脂層を積層したシート等を用いることができる。
また、反射シートは、表面に凹凸形状が形成されていてもよい。これらには、必要に応じて、表面に無機微粒子等を添加したものを用いることができる。
さらに、反射シートは、拡散反射率90%以上の白色樹脂シートを用いることが好ましく、95%以上の白色樹脂シートを用いることがより好ましい。前記拡散反射率は、分光光度計、例えば島津製作所製分光光度計UV−2200を用いて、シートに波長が450nm〜700nmの光を入射角0°で入射させたときの反射率を波長10nm毎に測定し、これらの平均反射率を算出することにより求めることができる。
【0077】
(直下型バックライト装置の具体的な構成例)
図11に本実施形態の直下型バックライト装置の一例の概略構成図を示す。
図11に示す直下型バックライト装置は、複数の点光源12と、光拡散板14と、拡散シート15とが順次配置されており、前記点光源12を介して光拡散板14配置側の反対側に、反射シート13が配置されている。
直下型バックライト装置全体としては、複数の光源を用いている。光源としては、図11に示すLED(発光ダイオード)12、レーザー等の点光源を用いることができる。光源の配置は、液晶表示パネルを配置した液晶表示装置において画像の表示面に対して、直下に配列されている。
【0078】
本実施形態の直下型バックライト装置は、上述した図11の構成の他、例えば図12、図13、図14、図15に示す配設構成を採ることもできる。
【0079】
図12は、図11に示す構成において、光源12の直上に配置される光拡散板14と拡散シート15の間に、微細な凹凸構造が表面に形成された表面賦形型拡散シート(以下、単に「表面賦形型拡散シート」ともいう。)16を配置し、さらに拡散シート15の直上に、前記表面賦形型拡散シート16を配置した構成の本実施形態の直下型バックライト装置の概略図を示す。
【0080】
前記表面賦形型拡散シート16としては、例えば、アクリル系樹脂の球状ビーズがポリエステル系樹脂、トリアセチルセルロース、あるいはポリカーボネート等のシート上に塗布されたシートを用いることができる。
また、表面賦形型拡散シート16としては、紫外線硬化樹脂による微細な凹凸構造がポリエステル系樹脂、トリアセチルセルロース、あるいはポリカーボネート等のシート上に転写されたシートを用いることができる。
このような表面賦形型拡散シート16は、光を拡散させ均一化させる効果とともに、光拡散板14で拡散された光を集光する機能を有する。これらの表面賦形型拡散シート16と、上述した本実施形態の光線制御ユニットとを組み合わせて使用することにより、輝度ムラを軽減し、直下型バックライト装置の薄型化や光源数の削減を実現することができる。
【0081】
図13は、図11に示す構成において、光源の直上に配置される光拡散板14及び拡散シート15の上方に、アレイ状のプリズム配列構造を有する光学シート17と、表面賦形型拡散シート16とを、この順で配置した構成の、本実施形態の直下型バックライト装置の概略図を示す。
また、図14は、図11に示す構成において、光源の直上に配置される光拡散板14及び拡散シート15の上方に、表面賦形型拡散シート16と、アレイ状のプリズム配列構造を有する光学シート(以下「プリズムシート」ともいう。)17とを配置した構成の、本実施形態の直下型バックライト装置の概略図を示す。
【0082】
前記アレイ状のプリズム配列構造を有する光学シート、すなわちプリズムシート17としては、表面に、断面形状が略三角形状、略台形状、略楕円状であるプリズム条列がアレイ状に配列しているような光学シートを用いることができる。
前記断面形状の頂点を丸めた形状としたものも、耐擦傷性向上等の観点から、好ましく用いることができる。これらのプリズムシート17としては、紫外線硬化樹脂によるプリズム条列がポリエステル系樹脂、トリアセチルセルロース、あるいはポリカーボネート等の基材シート上に転写された形態として用いることができる。このようなプリズムシート17は再帰反射性を示すため、入射光を正面へ集光する機能を有する。このプリズムシートと、本実施形態の光線制御ユニットとを組み合わせて使用することにより、輝度ムラを軽減し、直下型バックライト装置の薄型化や光源数の削減を実現することができる。
【0083】
図15は、図11に示す構成において、光源の直上に配置される光拡散板14及び拡散シート15の上方に、表面賦形型拡散シート16を配置し、プリズムシート17と、反射型偏光シート18と、をこの順で配置した構成の、本実施形態の直下型バックライト装置の概略図を示す。
【0084】
前記反射型偏光シート18としては、自然光又は偏光から偏光を分離する機能を有するシートを用いることができる。直線偏光を分離するシートとしては、例えば、軸方向で直交する直線偏光の一方を透過し、他方を反射するフィルム等が挙げられる。反射型偏光シート18としては、具体的には、複屈折位相差の大きい樹脂(ポリカーボネート、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等)と、複屈折位相差の小さい樹脂(シクロオレフィンポリマー等)とを交互に多層積層し一軸延伸して得られるシートや、複屈折性のポリエステル樹脂を数百層積層した構造からなるシート(DBEF、3M社製 商品名)等を用いることができる。
【0085】
本実施形態の直下型バックライト装置は、上述した光拡散板の前記略三角錐形状の凸部の形成面及び、前記拡散シートの前記凹凸構造の形成面が、光源に対向する面の反対側の面であることが、輝度均一性及び高輝度の観点から好ましい。
【0086】
本実施形態の直下型バックライト装置は、複数の点光源の配置と光拡散板表面に設けられた略三角錐形状の凸部とが、特定の位置関係を有している時に、特に優れた輝度均一性を発現する。
具体的には、図16に示すように、光拡散板表面の複数の凸部が、隣り合う凸部の底面三角形の一辺同士と互いに平行になるように周期的に配置されていると共に、複数の点光源が格子状に周期的に配置され、点光源と光拡散板とが、光拡散板の各凸部の底面三角形の少なくとも一辺が、前記複数の点光源の格子状配置の格子を構成する四角形の対角線と平行又は垂直であるような位置関係にあることが輝度均一性の観点から好ましい。
なお、上記平行な位置関係については、平行から±2°以内のずれも含み、上記垂直な位置関係については、垂直から±2°以内のずれも含む。
ここで格子とは、隣り合う四角形の辺同士及び頂点同士が一致するように四角形で平面を埋め尽くした時の四角形の各頂点の配置をいう。
四角形は、例えば、正方形、長方形、平行四辺形等が挙げられる。
輝度均一性、色ムラ特性の観点から、点光源と光拡散板とが、光拡散板の各凸部の底面三角形の少なくとも一辺が、前記複数の点光源の格子状配置の格子を構成する四角形の対角線のうち短い方の対角線と垂直な位置関係にあることが特に好ましい。
【0087】
また、図17に示すように、光拡散板の凸部である三角錐の底面三角形が二等辺三角形である場合には、前記凸部の底面二等辺三角形の底辺と点光源の格子状配置の格子を構成する四角形の対角線とが、平行又は垂直な位置関係にあることが、輝度均一性の観点からより好ましく、前記格子状配置の格子を構成する四角形が、二等辺三角形の底辺が向い合うように並んだ菱形形状であることが、更に好ましい。
前記平行な位置関係については、平行から±2°以内のずれも含み、上記垂直な位置関係については、垂直から±2°以内のずれも含む。
輝度均一性、色ムラ特性の観点から、前記凸部の底面二等辺三角形の底辺と点光源の格子状配置の格子を構成する四角形の対角線のうち短い方の対角線と垂直な位置関係にあることが特に好ましい。
【0088】
さらに、図18に示すように、光拡散板の凸部である三角錐の底面三角形が正三角形である場合には、前記凸部の底面正三角形の一辺と点光源の格子状配置の格子を構成する四角形の対角線とが、平行又は垂直な位置関係にあることが、輝度均一性の観点から好ましく、図18に示すように前記格子状配置の格子を構成する四角形が、正三角形の底面が向い合うように並んだ菱形形状であることが、さらに好ましい。
前記平行な位置関係については、平行から±2°以内のずれも含み、上記垂直な位置関係については、垂直から±2°以内のずれも含む。
輝度均一性、色ムラ特性の観点から、前記凸部底面正三角形の一辺と点光源の格子状配置の格子を構成する四角形の対角線のうち短い方の対角線と垂直な位置関係にあることが特に好ましい。
【0089】
本実施形態の直下型バックライト装置を構成する点光源は、各点光源間距離を均一として配置することが好ましい。
具体的には、点光源を画面の、すなわち光拡散板の、縦方向と横方向にそれぞれ等間隔に正方格子又は長方格子状に配置する配列方法(図19、格子を構成する四角形:正方形又は長方形)や、点光源を画面縦方向と横方向にそれぞれ等間隔に千鳥(格子)状(三角格子状)に配置する配列方法等(図20、格子を構成する四角形:菱形形状)が好ましい。
特に、点光源を千鳥状に配置させることが、輝度均一性を向上させる観点で、より好ましく、図20に示すように、千鳥状に配置された点光源のバックライトの横方向及び縦方向の光源間距離をn1、n2としたとき、n1/n2が0.26〜3.87であることが好ましく、0.35〜2.82であることがより好ましく、0.46〜0.75、或は1.33〜2.18であることがさらに好ましく、0.51〜0.66、或は1.52〜1.96であることがさらにより好ましい。
【0090】
〔液晶表示装置〕
本実施形態の液晶表示装置は、液晶表示パネルと、当該液晶表示パネルに光を供給する本実施形態の直下型バックライト装置を具備している。
【実施例】
【0091】
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0092】
実施例中の主な測定値は以下の方法で測定した。
(1.光拡散板の出光面形状)
<1−1 表面形状>
光拡散板の出光面側を、キーエンス製のレーザー顕微鏡GenerationII VK−9700で観察し、凸部の形状を観察した。
【0093】
<1−2 b,c,d,g値>
b、c、d、g値については、凸部頂点を通り、底面の三角形の一辺に垂直な平面で切った際に現れると想定される断面を、前記<1−1>と同様に、レーザー顕微鏡GenerationII VK−9700で観察し、その形状から上記値を測定した。
b、c及びdは、例えば図5に示すように、それぞれ、前記凸部を以下のI点、J点、及び凸部頂点(凸部が三角錐台形状である場合には、頂上の三角形の重心)の3点を通る平面で切断した際に現れる切断面、すなわち、図5中、破線に従い切断した切断面において、凸部の一側面の接平面と底面とのなす角θ´が以下の式(1´)及び(2´)を満たす、図5中の前記切断面において現れる、前記凸部の一側面の部分である部分Bを、水平面に投影した投影線分の長さ(図5中のb値)、部分Bより凸部の裾側にある部分Cを水平面に投影した投影線分の長さ(図5中のc値)、及び、部分Bより凸部の頂側にある部分Dを水平面に投影した投影線分の長さとした(図5中のd値)を表す。
(1´)・・・ θ´≧(−40A+115.2)°
(2´)・・・ θ´≦(25A+22.25)°
I点:凸部の頂点(凸部が三角錐台形状である場合には、頂上の三角形の重心)を垂直に底面の三角形に投影した点。
J点:前記I点から、底面の三角形を構成する辺のうち前記I点との距離が最も近い辺に対し垂線を引いた際の、該垂線と該辺との交点。
なお、g値については、例えば図6(a)、(b)に示すように、前記凸部を、底面の三角形に垂直な平面で且つ以下のI´点、J´点を通る平面で切断した際に現れる切断面の、中心からJ´点を含む方の片側部分において、前記凸部の一側面の接線のうち、当該接線と底面との成す角θ´が(1´)及び(2´)を満たす部分より頂部側にある部分を水平面に投影した投影線分の長さとした。ただし、上記条件を満たす切断面が複数存在する場合は、gの値が最も大きくなる切断面を採用した。
I´点:凸部の頂点(凸部が三角錐台形状である場合には、頂上の三角形の重心)を垂直に底面の三角形に投影した点と、底面の三角形の頂点のうち、該投影した点に最も近い底面の三角形の頂点とを結んだ線分の中点。
J´点:前記I´点から、底面の三角形を構成する辺のうち前記I´点との距離が最も近い辺に対し垂線を引いた際の、該垂線と該辺との交点。
【0094】
<1−3 凸部の側面の底面(開口面)に対する傾斜角θ(度)>
前記<1−2>と同様にして、光拡散板の出光面の断面観察を行い、側面と底面とがなす傾斜角(θ)を測定した。
【0095】
<1−4 凸部の底面三角形の一辺と点光源の格子状配置の格子を構成する四角形の対角線の成す角F(度)>
前記<1−1>と同様にして、光拡散板の出光面側の略三角錐形状の凸部を観察し、凸部の底面三角形の一辺と、光源の格子状配置の格子を構成する四角形の対角線のうちの短い方の対角線との成す角度のうち、最も小さい角度を、F(度)とした(図21)。
【0096】
<1−5 凸部の底面三角形の内角(α、β、γ)>
前記<1−1>と同様に、光拡散板の出光面側をレーザー顕微鏡で観察し、凸部の底面三角形の内角α、β、γを求めた(図7)。
【0097】
(2.光拡散板の屈折率A)
光拡散板に使用した材料のうち透明なもの(透明樹脂)を用いて0.3mm厚のシートを作製し、JISK7142に準拠して、アッベ屈折計を用いて屈折率Aを求めた。
【0098】
(3.光拡散板の全光線透過率T(%))
光拡散板の出光面側から光を入射した場合の全光線透過率T(%)を、日本電色工業社製の濁度計NDH2000を用いて、JIS K7105に準拠した方法により求めた。
なお、(a)レンズ層と(b)拡散層がセパレート層であるものについては、(a)層と(b)層を(a)層の凸部が形成されている側が外側に向くよう重ねて、(a)層のレンズ側から光を入射させて求めた数値を全光線透過率T(%)とした。
【0099】
(4.光拡散板の平均反射率R(%))
島津製作所社製UV3150分光光度計を用い、光拡散板の入光面側から、光拡散板水平面に対する垂線から7度傾いた入射角度で、波長450〜750nmの光を入射させて、波長1nm毎に反射率を求め、その平均値を平均反射率R(%)とした。
なお、平均反射率R(%)は、標準板である硫酸バリウムの平均反射率を100%として、その相対値として求めた。
【0100】
(5.光拡散板の拡散率S(%))
日本電色工業社製GC5000L変角光度計を用いて、透過モードで光入射角0度で入射した光の透過光の輝度の測定を行い、下記式により光拡散板の拡散率Sを求めた。
なお、前記光拡散板の(a)レンズ層と(b)拡散層とが同一層である場合、(a)層と(b)層が連続層である場合、及び(a)層と(b)層がセパレート層である場合は、(a)層と(b)層を重ねた状態で熱プレス等により表面を平滑にした後、前記プレス成形品の測定を行った。
拡散率S=100×(L(20度)+L(70度))/(L(5度)×2)である。
また、
L(5度)は、5度の角度に出光した透過光輝度(cd/m2)、
L(20度)は、20度の角度に出光した透過光輝度(cd/m2)、
L(70度)は、70度の角度に出光した透過光輝度(cd/m2)、
である。
【0101】
(6.光拡散板の入光面の凹凸部の平均傾斜角U(度))
光拡散板の入光面をレーザー顕微鏡で観察し、光拡散板の長手方向と短手方向に1000μm幅で断面形状を解析し、1μm幅の平均傾斜角(水平面に対する傾斜角)を1000μm幅で連続して求め、各々長手方向の平均傾斜角と短手方向の平均傾斜角を計算し、更にその平均値を算出し、平均傾斜角Uとした。
【0102】
(7.平均LED距離P)
最近接する4つのLEDからなる四角形の面積をSとした時、その平方根√(S)を平均LED距離P(mm)とした。
【0103】
(8.光拡散板と反射シートの平均距離H)
反射シートと光拡散板との間の距離(mm)を10点以上測定してその平均値を、光拡散板と反射シートとの平均距離Hとした。
【0104】
(9.輝度ムラ)
輝度ムラの評価は、後述するLED光源、光拡散板、拡散シート及び所定の光学フィルムを配置し、LEDを点灯させて、コニカミノルタ社のCA2000を用いて輝度を測定して行った。
なお、カメラは直下型バックライト装置の中心から直上0.8メートルの位置に配置し、縦横490×490解像度で輝度の測定を行った。
そして、得られた輝度データを用いて、輝度ムラを計算した。
具体的には、コニカミノルタ社のソフトウエアCA−S20wのムラ強調モードにおいて、ムラ検出画素数を60としたときの画面中央部140mm×140mmのS.D.値を輝度ムラ測定値とした。S.D.値(標準偏差)が少ないほど輝度ムラが少ないことを意味する。
【0105】
なお、正面の輝度ムラの評価は以下の基準に従った。
<輝度ムラ評価>
◎: S.D.値≦0.7
○: 0.7<S.D.値≦0.85
×: 0.85<S.D.値
【0106】
(10.拡散シートの拡散角度(FWHM))
拡散シートの拡散角度は、微細な凹凸構造を有する面から入光させ、Photon.Inc のFar−field Profiler LD8900で測定した角度を示している。
【0107】
次に、実施例、比較例に用いられる光拡散板を製造する際に用いるプレス原板及び光拡散板について説明する。
((1)プレス原板1)
屈折率1.59のポリスチレン樹脂(PSジャパン社製、スタイロンG9504)99.7質量部と、平均粒径5μmのアクリル系架橋粒子(積水化成品工業社製、テクポリマーMBX−5)0.3質量部を、ヘンシェルミキサーで混合し、二軸押出機(東芝機械社製TEM−58)で、樹脂温度230℃の条件で溶融混練し、ペレタイズした。
前記ペレットをTEX−90単軸押出機で再度溶融混練し、1000mm幅Tダイより押出し、1.5mm厚シートを作製した。
プレス原板1の全光線透過率Tは93%、拡散率Sは11%であった。
【0108】
((2)光拡散板1)
上記プレス原板1を所定形状に賦形されたプレス金型に挟み込んで、プレス機に投入し、プレス板温度200℃、面圧100kg/cm2の条件で、30分間プレスした後、プレス原板1を挟み込んだプレス金型を水冷却したプレス機に入れ替え、10分間冷却した。
冷却後、プレス金型から所定の形状に賦形された厚さ1.5mmの光拡散板を取り出した。
【0109】
得られた光拡散板1は、入光面側の表面が平均傾斜角U=10度の凹凸形状を有するマット形状であり、出光面側の表面が周期的に形成された、略三角形状の凸部(正三角錐台形状)を有するものであった(図22参照)。
【0110】
また、この光拡散板1の凸部の略三角錐の傾斜角θは57度であり、断面形状は、b値が89μm、c値が1μm、d値が10μm、g値が1μm、底面三角形の内角α、β、γはそれぞれ60度であった。
【0111】
また、この光拡散板1は、平均反射率Rが65%であり、再帰反射特性を有していないことを確認した。光拡散板1の全光線透過率Tは93%、拡散率Sは12%であった。
【0112】
((3)光拡散板2)
DSF60(旭化成イーマテリアルズ製):厚さ1.5mmの光拡散板であり、両面に平均傾斜角Uが10度のマット形状を有し、その全光線透過率Tは58%、拡散率Sは83%、平均反射率Rは37%であった。
【0113】
((4)光拡散板3)
DL216(旭化成イーマテリアルズ製):厚さ1.5mmの光拡散板であり、片面に平均傾斜角Uが10度のマット形状、もう片面にリニアレンズ形状を有し、全光線透過率Tは77%、拡散率Sは25%、平均反射率Rは38%であった。
【0114】
次に、実施例及び比較例に用いられる拡散シートについて説明する。
拡散シート1〜6の製造方法について説明する。
まず、予め干渉露光により、レーザー光をレンズやマスクを介して感光性材料に照射し、所望のスペックルパターンを形成させたサブマスタ型を作製した。
レーザー照射システムを構成する部材間の距離やサイズを変え、スペックルパターンの寸法、形状及び方向を調節することにより、拡散角度の範囲を制御した凹凸構造を記録した。
所望の拡散角度に応じてスペックルパターンを決定し、その拡散角度を持つサブマスタ型を作製した。このサブマスタ型に電鋳等の方法で金属を被着してこの金属にスペックルパターンを転写してマスタ型を作製した。
続いて、厚さ250μmのポリエチレンテレフタレート(コスモシャインA4300m
東洋紡社製)よりなる基材上に、光硬化性樹脂層を形成し、上記マスタ型を用いて紫外線による賦形を行って上記光硬化性樹脂層にスペックルパターンを転写し、不規則な凹凸構造を有する樹脂層が形成された拡散シート1〜6を得た。
((1)拡散シート1)
拡散シート面に垂直に光線を入射した場合の出射光の拡散角度が90°を示す。
((2)拡散シート2)
拡散シート面に垂直に光線を入射した場合の出射光の拡散角度が85°を示す。
((3)拡散シート3)
拡散シート面に垂直に光線を入射した場合の出射光の拡散角度が70°を示す。
((4)拡散シート4)
拡散シート面に垂直に光線を入射した場合の出射光の拡散角度が60°を示す。
((5)拡散シート5)
拡散シート面に垂直に光線を入射した場合の出射光の拡散角度が50°を示す。
((6)拡散シート6)
拡散シート面に垂直に光線を入射した場合の出射光の拡散角度が45°を示す。
【0115】
((7)拡散シート7)
拡散シート7には、TDF−127(東レセーハン製)を用いた。
拡散シート7は、当該拡散シート面に垂直に光線を入射した場合の出射光の拡散角度が25°を示す。
【0116】
((8)拡散シート8)
拡散シート8には、PTR−733(シンファーインターテック製)を用いた。
拡散シート8は、当該拡散シート面に垂直に光線を入射した場合の出射光の拡散角度が10°を示す。
【0117】
(LED種)
実施例、比較例における直下型バックライト装置の光源部としては、LED種:Cree社製のピーク角度が0度である白色LED(CREE製 LM6−EWN1−03−N3)を用いた。このLEDの出光分布を図10に示す。
後述する実施例1〜4、比較例1〜6においては、前記LEDを、図23に示すような配置で99個並べ、直下型バックライト装置の光源部とした。
【0118】
(光学フィルム)
後述する実施例1〜4及び比較例1〜6において、反射シートとしては、東レ製の反射シート(ルミラーE6SL、拡散反射率95%)、反射型偏光シートとしては、3M社製の反射型偏光シート(DBEF−D400、以下、DBEFと言う)を用いた。
【0119】
〔実施例1〕
図24に示すように、反射シート13と光拡散板14との平均距離Hを18mmになるよう光拡散板14を反射シート13上方に固定し、光拡散板14の上に、拡散シート15を配設して、LED12上に光線制御ユニットを構成した。
次に、前記光線制御ユニットの上に、反射型偏光シート(DBEF)18を配置し、実施例1の直下型バックライト装置を構成した。
光拡散板としては、前述の光拡散板1を用いた。
拡散シート15は、凹凸構造を有する面(以下、凹凸面ともいう。)が出光面となるように用いた。
実施例1の直下型バックライト装置1における輝度ムラを上記の方法で算出し、評価した。その結果を下記表1に示す。
【0120】
〔実施例2〕
拡散シートとして、前記拡散シート2を用いた。
その他の条件は、実施例1と同様として、実施例2の直下型バックライト装置2を構成した。
なお、実施例2において、拡散シートは凹凸面が出光面となるように用いた。
実施例2の直下型バックライト装置2における輝度ムラを上記の方法で算出し、評価した。その結果を下記表1に示す。
【0121】
〔実施例3〕
拡散シートとして、前記拡散シート3を用いた。
その他の条件は、実施例1と同様として、実施例3の直下型バックライト装置3を構成した。
なお、実施例3において拡散シートは凹凸面が出光面となるように用いた。
実施例3の直下型バックライト装置3における輝度ムラを上記の方法で算出し、評価した。その結果を下記表1に示す。
【0122】
〔実施例4〕
拡散シートとして、前記拡散シート4を用いた。
その他の条件は、実施例1と同様として、実施例4の直下型バックライト装置4を構成した。
なお、実施例4において拡散シートは凹凸面が出光面となるように用いた。
実施例4の直下型バックライト装置4における輝度ムラを上記の方法で算出し、評価した。その結果を下記表1に示す。
【0123】
〔比較例1〕
光拡散板として、光拡散板1に替えて光拡散板2を用いた。
その他の条件は、実施例1と同様として、比較例1の直下型バックライト装置5を構成した。
比較例1の直下型バックライト装置5における輝度ムラを上記の方法で算出し、評価した。その結果を下記表1に示す。
【0124】
〔比較例2〕
光拡散板として、光拡散板1に替えて光拡散板3を用いた。
その他の条件は、実施例1と同様として、比較例2の直下型バックライト装置6を構成した。
比較例2の直下型バックライト装置6における輝度ムラを上記の方法で算出し、評価した。その結果を下記表1に示す。
【0125】
〔比較例3〕
拡散シートとして、拡散シート1に替えて拡散シート5を用いた。
その他の条件は、実施例1と同様として、比較例3の直下型バックライト装置7を構成した。
比較例3の拡散シートは凹凸面が出光面となるように用いた。
比較例3の直下型バックライト装置7における輝度ムラを上記の方法で算出し、評価した。その結果を下記表1に示す。
【0126】
〔比較例4〕
拡散シートとして、拡散シート1に替えて拡散シート6を用いた。
その他の条件は、実施例1と同様として、比較例4の直下型バックライト装置8を構成した。
比較例4の拡散シートは凹凸面が出光面となるように用いた。
比較例4の直下型バックライト装置8における輝度ムラを上記の方法で算出し、評価した。その結果を下記表1に示す。
【0127】
〔比較例5〕
拡散シートとして、拡散シート1に替えて拡散シート7を用いた。
その他の条件は、実施例1と同様として、比較例5の直下型バックライト装置9を構成した。
比較例5の拡散シートは凹凸面が出光面となるように用いた。
比較例5の直下型バックライト装置9における輝度ムラを上記の方法で算出し、評価した。その結果を下記表1に示す。
【0128】
〔比較例6〕
拡散シートとして、拡散シート1に替えて拡散シート8を用いた。
その他の条件は、実施例1と同様として、比較例6の直下型バックライト装置10を構成した。
比較例6の拡散シートは凹凸面が出光面となるように用いた。
比較例6の直下型バックライト装置10における輝度ムラを上記の方法で算出し、評価した。その結果を下記表1に示す。
【0129】
【表1】
【0130】
表1中、P(mm)とは、上述した平均LED距離を示す。
H(mm)とは、上述した光拡散板と反射シートの平均距離を示す。
DBEFとは、上述した反射型偏光シートを示す。
拡散シートのFWHMとは、拡散シート面に垂直に光線を入射した場合の出射光の拡散角度を示す。
【0131】
実施例1〜4においては、比較例1〜6と比較し、輝度ムラの改善が図られていることが分かった。
また、実施例1、2においては、実施例3、4と比較し、さらに輝度ムラが少なくなっていることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明の光学制御ユニットは、例えば、LED光源液晶テレビ、LED光源看板、LED光源照明等幅広い用途に対して有用である。
【符号の説明】
【0133】
B:凸部の断面において現れる、式(1´)及び式(2´)を満たす凸部の一側面の部分。
C:凸部の断面において現れる、Bより裾側の部分。
D:凸部の断面において現れる、Bより頂側の部分。
α:光拡散板表面に賦形された略三角錐形状の凸部の底面三角形の内角
β:光拡散板表面に賦形された略三角錐形状の凸部の底面三角形の内角
γ:光拡散板表面に賦形された略三角錐形状の凸部の底面三角形の内角
n1:LED千鳥配置のLED間距離
n2:LED千鳥配置のLED間距離
F:光拡散板表面に賦形された凸部三角錐形状の底面三角形の一辺と、点光源の格子の成
す角
11 CCFL(冷陰極管)
12 LED(発光ダイオード)
13 反射シート
14 光拡散板
15 拡散シート
16 レンズシート
17 プリズムシート
18 反射型偏光シート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面が三角形である略三角錐形状の凸部が表面に複数形成された光拡散板と、
拡散シート面に垂直に光線を入射した場合の出射光の拡散角度が60°以上である拡散シートと、
を、具備する光線制御ユニット。
【請求項2】
前記光拡散板が、下記条件(A)を満たす請求項1に記載の光線制御ユニット。
条件(A):分光光度計を用いて、前記凸部が形成された面とは反対側の面から、光拡散板の水平面に対する垂線に対して7°傾いた入射角度で波長450〜750nmの光を入射させたときの平均反射率Rが45%以上である。
【請求項3】
前記光拡散板の前記略三角錐形状の凸部の側面の底面に対する傾斜角θ、及び前記凸部を形成している材料の屈折率Aが、下記式(1)及び式(2)を満たす光拡散板を具備する請求項1又は2に記載の光線制御ユニット。
(1)・・・ θ≧(−40A+115.2)°
(2)・・・ θ≦(25A+22.25)°
【請求項4】
前記光拡散板の前記略三角錐形状の凸部の側面の底面に対する傾斜角θ、及び前記凸部を形成している材料の屈折率Aが、下記式(3)及び式(4)を満たす光拡散板を具備する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光線制御ユニット。
(3)・・・ θ≧(−40A+116.2)°
(4)・・・ θ≦(25A+20.25)°
【請求項5】
前記光拡散板が下記式(5)を満たす請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光線制御ユニット。
(5)・・・ 0≦g/(b+c+d)≦0.30
(式(5)中、b、c及びdを、それぞれ、下記に示す。
b:前記凸部を以下のI点、J点、及び凸部頂点(凸部が三角錐台形状である場合には、頂上の三角形の重心)の3点を通る平面で切断した際に現れる切断面において現れる前記凸部の一側面の部分であって、前記凸部の一側面の接平面と底面のなす角θ´が以下の式(1´)及び(2´)を満たす部分Bを水平面に投影した投影線分の長さ。
c:前記部分Bより凸部の裾側にある部分Cを水平面に投影した投影線分の長さ。
d:前記部分Bより凸部の頂側にある部分Dを水平面に投影した投影線分の長さ。
(1´)・・・ θ´≧(−40A+115.2)°
(2´)・・・ θ´≦(25A+22.25)°
I点:凸部の頂点(凸部が三角錐台形状である場合には、頂上の三角形の重心)を垂直に底面の三角形に投影した点。
J点:前記I点から、底面の三角形を構成する辺のうち前記I点との距離が最も近い辺に対し垂線を引いた際の、該垂線と該辺との交点。
また式(5)中、gは、前記凸部を、底面の三角形に垂直な平面で且つ以下のI´点、J´点を通る平面で切断した際に現れる切断面の、中心からJ´点を含む方の片側部分において、前記凸部の一側面の接線のうち、当該接線と底面との成す角θ´が(1´)及び(2´)を満たす部分より頂部側にある部分を水平面に投影した投影線分の長さを表す。ただし、上記条件を満たす切断面が複数存在する場合は、gの値が最も大きくなる切断面を採用する。
I´点:凸部の頂点(凸部が三角錐台形状である場合には、頂上の三角形の重心)を垂直に底面の三角形に投影した点と、底面の三角形の頂点のうち、該投影した点に最も近い底面の三角形の頂点とを結んだ線分の中点。
J´点:前記I´点から、底面の三角形を構成する辺のうち前記I´点との距離が最も近い辺に対し垂線を引いた際の、該垂線と該辺との交点。)
【請求項6】
前記b、c及びdの和が5〜200μmである請求項5に記載の光線制御ユニット。
【請求項7】
前記光拡散板の前記略三角錐形状の凸部の側面の底面に対する傾斜角θが、θ≠55°である請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光制御ユニット。
【請求項8】
前記光拡散板は、少なくとも(a)レンズ層と(b)拡散層とを具備し、
前記(a)レンズ層と前記(b)拡散層とが、同一層、連続層、及びセパレート層よりなる群から選ばれるいずれかであり、
前記凸部が前記(a)レンズ層の表面に形成されている請求項1乃至7のいずれか一項に記載の光線制御ユニット。
【請求項9】
前記(b)拡散層が透明樹脂と光拡散剤を含み、拡散率Sが2〜40%である請求項8に記載の光線制御ユニット。
【請求項10】
前記光拡散板が(a)レンズ層と(b)拡散層からなり、
前記(a)レンズ層と前記(b)拡散層の厚みの和が0.5〜3.0mmである請求項8又は9に記載の光線制御ユニット。
【請求項11】
前記拡散シートの面上には凹凸構造が形成されており、
当該拡散シートの拡散角度は、前記拡散シート面に形成された凹凸構造により制御される請求項1乃至10のいずれか一項に記載の光線制御ユニット。
【請求項12】
前記拡散シートの前記凹凸構造が、干渉露光によるスペックルパターンを用いて形成された凹凸構造である請求項11に記載の光線制御ユニット。
【請求項13】
反射シートと、
複数の光源と、
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の光線制御ユニットと、
が、当該順番により配設されている直下型バックライト装置。
【請求項14】
前記光拡散板の前記略三角錐形状の凸部の形成面及び前記拡散シートの前記凹凸構造の形成面が、
前記光源に対向する面の反対側の面である請求項13に記載の直下型バックライト装置。
【請求項15】
前記光拡散板と前記拡散シートが、光源に近い側から、光拡散板、拡散シートの順に配置されている請求項14に記載の直下型バックライト装置。
【請求項16】
前記反射シートの拡散反射率が90%以上である請求項13乃至15のいずれか一項に記載の直下型バックライト装置。
【請求項17】
前記光源が、LEDの点光源である請求項13乃至16のいずれか一項に記載の直下型バックライト装置。
【請求項18】
前記複数の点光源が格子状に周期的に配置されている請求項17に記載の直下型バックライト装置。
【請求項19】
前記複数の点光源が、格子状に周期的に配置され、
前記光拡散板の複数の略三角錐形状の凸部は、隣り合う略三角錐形状の凸部の底面の三角形の一辺同士が、互いに平行となるように、周期的に配置され、かつ、
前記複数の点光源と前記光拡散板とが、当該光拡散板の各略三角錐形状の凸部の底面の三角形のいずれか一辺が、前記点光源の格子状配置の格子を構成する四角形の対角線と、平行又は垂直となるように積層されている、請求項18に記載の直下型バックライト装置。
【請求項20】
前記複数の点光源が、格子状に周期的に配置され、
前記光拡散板の複数の略三角錐形状の凸部は、底面が二等辺三角形である略三角錐形状であり、
前記光拡散板の複数の略三角錐形状の凸部は、隣り合う略三角錐形状の凸部の底面の二等辺三角形の底辺同士が、互いに平行となるように周期的に配置され、かつ
前記複数の点光源と前記光拡散板とが、当該光拡散板の各略三角錐形状の凸部の底面の二等辺三角形の底辺が、前記点光源の格子状配置の格子を構成する四角形の対角線と、平行又は垂直となるように積層されている、請求項18又は19に記載の直下型バックライト装置。
【請求項21】
前記複数の点光源が、格子状に周期的に配置され、
前記光拡散板の複数の略三角錐形状の凸部は、底面が正三角形である略三角錐形状であり、
前記光拡散板の複数の略三角錐形状の凸部は、隣り合う凸部の底面の正三角形の一辺同士が、互いに平行となるように周期的に配置され、かつ
前記複数の点光源と前記光拡散板とが、当該光拡散板の各略三角錐形状の凸部の底面の正三角形のいずれか一辺が、前記点光源の格子状配置の格子を構成する四角形の対角線と、平行又は垂直となるように積層されている、請求項18乃至20のいずれか一項に記載の直下型バックライト装置。
【請求項22】
液晶表示パネルと、
前記液晶表示パネルに光を供給する請求項13乃至21のいずれか一項に記載の直下型バックライト装置と、
を具備する液晶表示装置。
【請求項1】
底面が三角形である略三角錐形状の凸部が表面に複数形成された光拡散板と、
拡散シート面に垂直に光線を入射した場合の出射光の拡散角度が60°以上である拡散シートと、
を、具備する光線制御ユニット。
【請求項2】
前記光拡散板が、下記条件(A)を満たす請求項1に記載の光線制御ユニット。
条件(A):分光光度計を用いて、前記凸部が形成された面とは反対側の面から、光拡散板の水平面に対する垂線に対して7°傾いた入射角度で波長450〜750nmの光を入射させたときの平均反射率Rが45%以上である。
【請求項3】
前記光拡散板の前記略三角錐形状の凸部の側面の底面に対する傾斜角θ、及び前記凸部を形成している材料の屈折率Aが、下記式(1)及び式(2)を満たす光拡散板を具備する請求項1又は2に記載の光線制御ユニット。
(1)・・・ θ≧(−40A+115.2)°
(2)・・・ θ≦(25A+22.25)°
【請求項4】
前記光拡散板の前記略三角錐形状の凸部の側面の底面に対する傾斜角θ、及び前記凸部を形成している材料の屈折率Aが、下記式(3)及び式(4)を満たす光拡散板を具備する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光線制御ユニット。
(3)・・・ θ≧(−40A+116.2)°
(4)・・・ θ≦(25A+20.25)°
【請求項5】
前記光拡散板が下記式(5)を満たす請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光線制御ユニット。
(5)・・・ 0≦g/(b+c+d)≦0.30
(式(5)中、b、c及びdを、それぞれ、下記に示す。
b:前記凸部を以下のI点、J点、及び凸部頂点(凸部が三角錐台形状である場合には、頂上の三角形の重心)の3点を通る平面で切断した際に現れる切断面において現れる前記凸部の一側面の部分であって、前記凸部の一側面の接平面と底面のなす角θ´が以下の式(1´)及び(2´)を満たす部分Bを水平面に投影した投影線分の長さ。
c:前記部分Bより凸部の裾側にある部分Cを水平面に投影した投影線分の長さ。
d:前記部分Bより凸部の頂側にある部分Dを水平面に投影した投影線分の長さ。
(1´)・・・ θ´≧(−40A+115.2)°
(2´)・・・ θ´≦(25A+22.25)°
I点:凸部の頂点(凸部が三角錐台形状である場合には、頂上の三角形の重心)を垂直に底面の三角形に投影した点。
J点:前記I点から、底面の三角形を構成する辺のうち前記I点との距離が最も近い辺に対し垂線を引いた際の、該垂線と該辺との交点。
また式(5)中、gは、前記凸部を、底面の三角形に垂直な平面で且つ以下のI´点、J´点を通る平面で切断した際に現れる切断面の、中心からJ´点を含む方の片側部分において、前記凸部の一側面の接線のうち、当該接線と底面との成す角θ´が(1´)及び(2´)を満たす部分より頂部側にある部分を水平面に投影した投影線分の長さを表す。ただし、上記条件を満たす切断面が複数存在する場合は、gの値が最も大きくなる切断面を採用する。
I´点:凸部の頂点(凸部が三角錐台形状である場合には、頂上の三角形の重心)を垂直に底面の三角形に投影した点と、底面の三角形の頂点のうち、該投影した点に最も近い底面の三角形の頂点とを結んだ線分の中点。
J´点:前記I´点から、底面の三角形を構成する辺のうち前記I´点との距離が最も近い辺に対し垂線を引いた際の、該垂線と該辺との交点。)
【請求項6】
前記b、c及びdの和が5〜200μmである請求項5に記載の光線制御ユニット。
【請求項7】
前記光拡散板の前記略三角錐形状の凸部の側面の底面に対する傾斜角θが、θ≠55°である請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光制御ユニット。
【請求項8】
前記光拡散板は、少なくとも(a)レンズ層と(b)拡散層とを具備し、
前記(a)レンズ層と前記(b)拡散層とが、同一層、連続層、及びセパレート層よりなる群から選ばれるいずれかであり、
前記凸部が前記(a)レンズ層の表面に形成されている請求項1乃至7のいずれか一項に記載の光線制御ユニット。
【請求項9】
前記(b)拡散層が透明樹脂と光拡散剤を含み、拡散率Sが2〜40%である請求項8に記載の光線制御ユニット。
【請求項10】
前記光拡散板が(a)レンズ層と(b)拡散層からなり、
前記(a)レンズ層と前記(b)拡散層の厚みの和が0.5〜3.0mmである請求項8又は9に記載の光線制御ユニット。
【請求項11】
前記拡散シートの面上には凹凸構造が形成されており、
当該拡散シートの拡散角度は、前記拡散シート面に形成された凹凸構造により制御される請求項1乃至10のいずれか一項に記載の光線制御ユニット。
【請求項12】
前記拡散シートの前記凹凸構造が、干渉露光によるスペックルパターンを用いて形成された凹凸構造である請求項11に記載の光線制御ユニット。
【請求項13】
反射シートと、
複数の光源と、
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の光線制御ユニットと、
が、当該順番により配設されている直下型バックライト装置。
【請求項14】
前記光拡散板の前記略三角錐形状の凸部の形成面及び前記拡散シートの前記凹凸構造の形成面が、
前記光源に対向する面の反対側の面である請求項13に記載の直下型バックライト装置。
【請求項15】
前記光拡散板と前記拡散シートが、光源に近い側から、光拡散板、拡散シートの順に配置されている請求項14に記載の直下型バックライト装置。
【請求項16】
前記反射シートの拡散反射率が90%以上である請求項13乃至15のいずれか一項に記載の直下型バックライト装置。
【請求項17】
前記光源が、LEDの点光源である請求項13乃至16のいずれか一項に記載の直下型バックライト装置。
【請求項18】
前記複数の点光源が格子状に周期的に配置されている請求項17に記載の直下型バックライト装置。
【請求項19】
前記複数の点光源が、格子状に周期的に配置され、
前記光拡散板の複数の略三角錐形状の凸部は、隣り合う略三角錐形状の凸部の底面の三角形の一辺同士が、互いに平行となるように、周期的に配置され、かつ、
前記複数の点光源と前記光拡散板とが、当該光拡散板の各略三角錐形状の凸部の底面の三角形のいずれか一辺が、前記点光源の格子状配置の格子を構成する四角形の対角線と、平行又は垂直となるように積層されている、請求項18に記載の直下型バックライト装置。
【請求項20】
前記複数の点光源が、格子状に周期的に配置され、
前記光拡散板の複数の略三角錐形状の凸部は、底面が二等辺三角形である略三角錐形状であり、
前記光拡散板の複数の略三角錐形状の凸部は、隣り合う略三角錐形状の凸部の底面の二等辺三角形の底辺同士が、互いに平行となるように周期的に配置され、かつ
前記複数の点光源と前記光拡散板とが、当該光拡散板の各略三角錐形状の凸部の底面の二等辺三角形の底辺が、前記点光源の格子状配置の格子を構成する四角形の対角線と、平行又は垂直となるように積層されている、請求項18又は19に記載の直下型バックライト装置。
【請求項21】
前記複数の点光源が、格子状に周期的に配置され、
前記光拡散板の複数の略三角錐形状の凸部は、底面が正三角形である略三角錐形状であり、
前記光拡散板の複数の略三角錐形状の凸部は、隣り合う凸部の底面の正三角形の一辺同士が、互いに平行となるように周期的に配置され、かつ
前記複数の点光源と前記光拡散板とが、当該光拡散板の各略三角錐形状の凸部の底面の正三角形のいずれか一辺が、前記点光源の格子状配置の格子を構成する四角形の対角線と、平行又は垂直となるように積層されている、請求項18乃至20のいずれか一項に記載の直下型バックライト装置。
【請求項22】
液晶表示パネルと、
前記液晶表示パネルに光を供給する請求項13乃至21のいずれか一項に記載の直下型バックライト装置と、
を具備する液晶表示装置。
【図7】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2012−103495(P2012−103495A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252121(P2010−252121)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000000033)旭化成株式会社 (901)
【出願人】(309002329)旭化成イーマテリアルズ株式会社 (771)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000000033)旭化成株式会社 (901)
【出願人】(309002329)旭化成イーマテリアルズ株式会社 (771)
【Fターム(参考)】
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