説明

光触媒性コーティング剤及び光触媒性複合材並びにその製造方法

【課題】作業環境、周辺への影響、臭いなどの観点から問題がなく、プラスチックや塗装鋼板などの疎水性物質を表面に有する基材に塗布可能であり、かつ降雨によるセルフクリーニング機能を使用直後から享受することが可能であり、かつその状態が太陽光の照射により長期に亘って維持される光触媒性コーティング剤、及びそれを疎水性物質を表面に有する基材に被覆した光触媒性複合材並びにその製造方法を提供することにある。
【解決手段】(a)光触媒性酸化物粒子と、(b)疎水性樹脂エマルジョンと、(c)水とを少なくとも含んだ光触媒性コーティング剤であって、前記光触媒性酸化物粒子の平均粒径は、前記疎水性樹脂エマルジョン中に分散した粒子の平均粒径よりも小さいことを特徴とする光触媒性コーティング剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒性コーティング剤、及び光触媒性複合材並びにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光触媒材料が、建物外装に被覆することで、太陽光の照射により親水化して降雨によるセルフクリーニング機能を有する材料として注目されている。また、NOx等の有害ガスを分解する環境上好ましい材料としても注目されている。
水溶性珪酸塩、硬化剤及び光触媒粉末(二酸化チタンまたは酸化亜鉛)を含む塗料を、トンネルやガードレールに塗布し、加熱処理することで、NOxを分解することができる塗膜が形成されることが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、珪酸リチウムと二酸化チタンを含有する塗料を塗布し、加熱処理することで、自浄効果に優れた建材が得られることが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
作業環境、周辺への影響、臭いなどの観点から、最近では溶剤系塗料よりも水系塗料(水性塗料)を用いる傾向が高まりつつある。そのため、上記建物外装等の塗布するための光触媒の水性コート剤も提案されている。
光触媒とパーフルオロコポリマーをエマルジョンの状態で配合する塗料組成物が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
また、光触媒とフルオロ基が含有されているシリコーンエマルジョンのコーティング組成物が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−195333号
【特許文献2】特開平10−237354号
【特許文献3】特開平10−195369号
【特許文献4】特開平10−279886号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載の水性塗料は、プラスチックや塗装鋼板などの疎水性物質を表面に有する基材に対する濡れ性が悪いため、使用の対象がガラス、木材、金属などに限定されてしまう。
また、特許文献3や特許文献4に記載の水性塗料は、プラスチックや塗装鋼板などの疎水性物質を表面に有する基材に対する濡れ性は改善されるものの屋外での使用を想定した場合、塗装直後の水との接触角が大きく、降雨によるセルフクリーニング機能を使用直後から享受することができなかった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、作業環境、周辺への影響、臭いなどの観点から問題がなく、プラスチックや塗装鋼板などの疎水性物質を表面に有する基材に塗布可能であり、疎水性物質を表面に有する基材に被膜を形成した場合に、基材と被膜との密着性が強固であり、かつ被膜表面は塗装直後から水との接触角が小さく、降雨によるセルフクリーニング機能を使用直後から享受することが可能であり、かつその状態が太陽光の照射により長期に亘って維持される光触媒性コーティング剤、及びそれを疎水性物質を表面に有する基材に被覆した光触媒性複合材並びにその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、上記課題を解決すべく、(a)光触媒性酸化物粒子と、(b)疎水性樹脂エマルジョンと、(c)水とを少なくとも含んだ光触媒性コーティング剤であって、前記光触媒性酸化物粒子の平均粒径は、前記疎水性樹脂エマルジョン中に分散した粒子の平均粒径よりも小さいことを特徴とする光触媒性コーティング剤を提供する。
このような構成にすることで、作業環境、周辺への影響、臭いなどの観点での問題がなく、疎水性物質を表面に有する基材に被膜を形成した場合に、基材と被膜との密着性が強固であり、かつ被膜表面は塗装直後から水との接触角が小さく、降雨によるセルフクリーニング機能を使用直後から享受することが可能であり、かつその状態が太陽光の照射により長期に亘って維持される光触媒性コーティング剤が提供可能となる。
【0008】
上記光触媒性コーティング剤を、疎水性物質を表面に有する基材に塗布すると、粒径の小さな光触媒性酸化物粒子が上方に移動する。それによって、被膜表面は塗装直後から水との接触角が小さく、降雨によるセルフクリーニング機能を使用直後から享受することが可能であり、かつその状態が太陽光の照射により長期に亘って維持されるようになる。また、同時に、粒径の大きな疎水性樹脂エマルジョン中に分散した粒子が下方に移動し、疎水性物質を表面に有する基材との密着性が増すのである。
【0009】
本発明の好ましい態様においては、(a)光触媒性酸化物粒子と、(b)疎水性樹脂エマルジョンと、(c)水と、(d)シリカ粒子と、を少なくとも含んだ光触媒性コーティング剤であって、前記光触媒性酸化物粒子及びシリカ粒子の平均粒径は、前記疎水性樹脂エマルジョン中に分散した粒子の平均粒径よりも小さいようにする。
シリカ粒子が加わることで、被膜表面の塗装直後における水との接触角がより小さくなり、降雨によるセルフクリーニング機能をより使用直後から享受しやすくなる。
【0010】
上記光触媒性コーティング剤を、疎水性物質を表面に有する基材に塗布すると、粒径の小さな光触媒性酸化物粒子及びシリカ粒子が上方に移動する。それによって、被膜表面は塗装直後から水との接触角が小さく、降雨によるセルフクリーニング機能を使用直後から享受することが可能であり、かつその状態が太陽光の照射により長期に亘って維持されるようになる。また、同時に、粒径の大きな疎水性樹脂エマルジョン中に分散した粒子が下方に移動し、疎水性物質を表面に有する基材との密着性が増すのである。
【0011】
本発明の好ましい態様においては、光触媒性酸化物粒子の平均粒径は5〜50nmであり、前記疎水性樹脂エマルジョン中に分散した粒子の平均粒径は80〜300nmであるようにする。
前記光触媒性酸化物粒子の平均粒径が5nm以上であれば、太陽光の照射による光触媒反応が充分に発揮されるようになり、長期に亘り親水性が維持されやすくなる。また、水との接触角が10°以下の高度の親水状態が維持されやすくなる。
一方、前記光触媒性酸化物粒子の平均粒径が50nm未満であり、かつ疎水性樹脂エマルジョン中に分散した粒子の平均粒径が80nm以上であると、光触媒性酸化物粒子と疎水性樹脂エマルジョン中に分散した粒子との粒子径の大きさの差が充分に大きくなるために、粒径の小さな光触媒性酸化物粒子の上方への移動及び粒径の大きな疎水性樹脂エマルジョン中に分散した粒子の下方への移動が生じ易くなり、それによって、被膜表面は塗装直後から水との接触角が小さく、降雨によるセルフクリーニング機能を使用直後から享受することが可能であり、かつその状態が太陽光の照射により長期に亘って維持されるようになると同時に、疎水性物質を表面に有する基材との密着性が増す。
また、疎水性樹脂エマルジョン中に分散した粒子の平均粒径が300nm以上であると、エマルジョンとしての安定性が低下し、高粘度になるため塗料組成物として使用することが不可能となる。
【0012】
本発明の好ましい態様においては、前記光触媒性酸化物粒子の平均粒径は5〜50nmであり、前記シリカ粒子の平均粒径は5〜100nm、より好ましくは5〜50nmであり、前記疎水性樹脂エマルジョン中に分散した粒子の平均粒径は80〜300nm、より好ましくは100〜300nmであるようにする。
シリカ粒子の平均粒径が5nmより小さい場合はシリカ同士の結合強度が大きくなるため、凝集しやすくなる。
光触媒性酸化物粒子の平均粒径は50nm未満、前記シリカ粒子の平均粒径は100nm未満、より好ましくは50nm未満であり、かつ疎水性樹脂エマルジョン中に分散した粒子の平均粒径が80nm以上、より好ましくは100nm以上であると、光触媒性酸化物粒子及びシリカ粒子と疎水性樹脂エマルジョン中に分散した粒子との粒子径の大きさの差のために、粒径の小さな光触媒性酸化物粒子及びシリカ粒子の上方への移動及び粒径の大きな疎水性樹脂エマルジョン中に分散した粒子の下方への移動が生じ易くなり、それによって、被膜表面は塗装直後から水との接触角が非常に小さく、降雨によるセルフクリーニング機能を使用直後から享受することが可能であり、かつその状態が太陽光の照射により長期に亘って維持されるようになると同時に、疎水性物質を表面に有する基材との密着性が増す。
【0013】
本発明の好ましい態様においては、固形分中の配合割合が、前記光触媒性酸化物粒子が1〜20重量%、より好ましくは1〜5重量%、前記疎水性樹脂エマルジョンが5〜99重量%、より好ましくは10〜99重量%であり、前記水の配合割合が固形分100重量部に対して10〜500重量部、より好ましくは10〜109重量部であるようにする。
前記水の配合割合が10〜500重量部、より好ましくは10〜109重量部であることで、膜厚1μm〜1mmの塗料として適当な膜厚で塗膜が形成可能となる。
また、光触媒性酸化物粒子の配合割合が1重量%以上であることで、被膜表面は塗装直後から水との接触角が小さく、降雨によるセルフクリーニング機能を使用直後から享受することが可能であり、かつその状態が太陽光の照射により長期に亘って維持されるようになる。
また、光触媒性酸化物粒子の配合割合が固形分中20重量%未満、より好ましくは5重量%未満であることで、光触媒性酸化物の酸化還元力に基づく分解力による、疎水性樹脂エマルジョンの硬化により得られるバインダーへの影響がなく、屋外の使用において長期に亘り、セルフクリーニング機能が維持される。
また、疎水性樹脂エマルジョンの配合割合が5重量%以上、より好ましくは10重量%以上であることで、疎水性物質を表面に有する基材との密着性が増す。
【0014】
本発明の好ましい態様においては、固形分中の配合割合が、前記光触媒性酸化物粒子が1〜20重量%、より好ましくは全固形分に対して1〜5重量%、前記シリカ粒子の配合割合が1〜90重量%、前記疎水性樹脂エマルジョンの配合割合が5〜98重量%、より好ましくは10〜98重量%、前記水の配合割合が固形分100重量部に対して10〜500重量部、より好ましくは10〜108重量部であるようにする。
シリカ粒子の配合割合が1重量%以上であることで、被膜表面は塗装直後から水との接触角がより小さく、降雨によるセルフクリーニング機能を使用直後から享受することが可能であり、かつその状態が太陽光の照射により長期に亘って維持されるようになる。
【0015】
本発明の好ましい態様においては、(a)光触媒性酸化物粒子と、(b)疎水性樹脂エマルジョンと、(c)水と、を少なくとも含んだ光触媒性コーティング剤であって、前記光触媒性酸化物粒子は、全固形分に対して1〜5重量%であるようにする。
光触媒性酸化物粒子の配合割合が全固形分に対して5重量%未満であることで、光触媒性酸化物の酸化還元力に基づく分解力による、疎水性樹脂エマルジョンの硬化により得られるバインダーと光触媒性酸化物粒子のお互いの結合力及び基材との結合力への影響がなく、屋外の使用において長期に亘り、被膜の強度及び基材との密着性が維持される。
【0016】
本発明の好ましい態様においては、(a)光触媒性酸化物粒子と、(b)疎水性樹脂エマルジョンと、(c)水と、(d)シリカ粒子と、を少なくとも含んだ光触媒性コーティング剤であって、前記光触媒性酸化物粒子は、全固形分に対して1〜5重量%であるようにする。
光触媒性酸化物粒子の配合割合が全固形分に対して5重量部未満であることで、光触媒性酸化物の酸化還元力に基づく分解力による、疎水性樹脂エマルジョンの硬化により得られるバインダーと光触媒性酸化物粒子及びシリカ粒子のお互いの結合力及び基材との結合力への影響がなく、屋外の使用において長期に亘り、被膜の強度及び基材との密着性が維持される。
【0017】
本発明の好ましい態様においては、前記疎水性樹脂エマルジョンは、フッ素樹脂エマルジョン、シリコーンエマルジョンのうちの1種以上であるようにする。
フッ素樹脂エマルジョン及び/又はシリコーンエマルジョンであることで、耐候性が良好になる。
【発明の効果】
【0018】
以上に説明したように本発明によれば、光触媒を添加したことによる防汚、親水効果が発揮される。また、プラスチックなどの有機系基材表面に形成する塗膜の厚みを厚くしても、クラックが発生せず、しかも剥離強度に優れた塗膜となる水性塗料組成物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例の一酸化窒素分解性能を示す図。
【図2】本発明の他の実施例の一酸化窒素分解性能を示す図。
【図3】本発明の他の実施例の一酸化窒素分解性能を示す図。
【図4】比較例の一酸化窒素分解性能を示す図。
【図5】比較例の一酸化窒素分解性能を示す図。
【図6】一酸化窒素分解性能の評価装置の模式図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の好ましい形態を説明する。
まず、以下に本発明で用いる語について説明する。
本発明において、「光触媒性酸化物粒子」には、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化ゲルマニウム、酸化鉛、酸化カドミウム、酸化銅、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化マンガン、酸化ロジウム、酸化ニッケル、酸化レニウム、チタン酸ストロンチウム等の粒子が利用できる。
なお、酸化チタンを光触媒として用いる場合は、結晶型がアナターゼ型、またはブルッカイト型のものを用いることが、光触媒活性がもっとも強く、しかも長期間発現するので好ましい。
【0021】
「疎水性樹脂エマルジョン」としては、例えば、フッ素樹脂、シリコーン、アクリルシリコーン、酢酸ビニル、酢酸ビニルアクリル、アクリルウレタン、アクリル、エポキシ、塩化ビニル酢酸ビニル、塩化ビニリデン、SBRラテックス等のエマルジョンが利用できる。
フッ素樹脂エマルジョンとしては、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー、パーフルオロシクロポリマー、ビニルエーテル−フルオロオレフィンコポリマー、ビニルエステル−フルオロオレフィンコポリマー、テトラフルオロエチレン−ビニルエーテルコポリマー、クロロトリフルオロエチレン−ビニルエーテルコポリマー、テトラフルオロエチレンウレタン架橋体、テトラフルオロエチレンエポキシ架橋体、テトラフルオロエチレンアクリル架橋体、テトラフルオロエチレンメラミン架橋体等フルオロ基を含有するポリマーのエマルジョンが好適に利用できる。
また、シリコーンのエマルジョンとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロシラン、メチルトリブロムシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリt−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリクロルシラン、エチルトリブロムシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリt−ブトキシシラン、nープロピルトリメトキシシラン、nープロピルトリエトキシシラン、nープロピルトリクロシラン、nープロピルトリブロムシラン、nープロピルトリイソプロポキシシラン、nープロピルトリt−ブトキシシラン、nーヘキシルトリメトキシシラン、nーヘキシルトリエトキシシラン、nーヘキシルトリクロシラン、nーヘキシルトリブロムシラン、nーヘキシルトリイソプロポキシシラン、nーヘキシルトリt−ブトキシシラン、nーデシルトリメトキシシラン、nーデシルトリエトキシシラン、nーデシルトリクロシラン、nーデシルトリブロムシラン、nーデシルトリイソプロポキシシラン、nーデシルトリt−ブトキシシラン、nーオクタトリメトキシシラン、nーオクタトリエトキシシラン、nーオクタトリクロシラン、nーオクタトリブロムシラン、nーオクタトリイソプロポキシシラン、nーオクタトリt−ブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリクロシラン、フェニルトリブロムシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリt−ブトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、ジメチルジブロムシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジクロルシラン、ジフェニルジブロムシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルメチルジクロルシラン、フェニルメチルジブロムシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリブロムシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリt−ブトキシシラン、トリフルオロプロピルトリクロルシラン、トリフルオロプロピルトリジブロムシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、トリフルオロプロピルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノメタアクリロキシプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−メチルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メチルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メチルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メチルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メチルカプトプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メチルカプトプロピルトリt−ブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランの加水分解、脱水縮重合物などのエマルジョンが好適に利用できる。
【0022】
「シリカ粒子」の好ましい具体例としては、無定型シリカ粒子が好ましい。無定型シリカでは、コロイダルシリカの形態が挙げられる。コロイダルシリカには、水に分散させたもの、あるいは、アルコールなどの非水系の有機溶媒に分散したものがあり、両方とも使用可能ではあるが、本発明では構成要素のエマルジョンの安定性を若干低下させるので、水に分散させたものを使用することが好ましい。また、有機溶剤に分散したコロイダルシリカは、前記水分散コロイダルシリカ中の水溶媒を有機溶媒に置換することで容易に調整することが可能である。
【0023】
光触媒性酸化物粒子及びシリカ粒子並びに疎水性樹脂エマルジョン中に分散した粒子の平均粒径は、レーザーを光源とした動的光散乱測定により測定した。測定装置は大塚電子株式会社製DLS−600を使用した。
【0024】
本発明のコーティング剤は、例えば、水分散性の光触媒性酸化物粒子のゾルに、必要に応じてコロイダルシリカを添加した後に、疎水性樹脂エマルジョンをさらに添加し、必要に応じて水で希釈することにより得ることが可能である。
【0025】
また、本発明のコーティング剤は、疎水性物質を表面に有する基材表面に被覆し、硬化せしめることで、降雨によるセルフクリーニング機能を使用直後から享受することが可能であり、かつその状態が太陽光の照射により長期に亘って維持される光触媒性複合材に改質できる。ここで、硬化は常温で行うのが、現場施工等には有利である。
【0026】
「疎水性物質を表面に有する基材」は、例えば、プラスチック、有機物の繊維、有機物の布帛、塗装鋼板等の塗装体等が好適に利用できる。
【0027】
本発明のコーティング剤には、さらに、Ag、Cu、Znのような金属を添加することが好ましい。このような金属が添加された表面層は、表面に付着した細菌や黴や藻を暗所でも死滅させることができ、よって防汚性をより向上させることができる。
【0028】
本発明のコーティング剤には、さらに、Pt、Pd、Ru、Rh、Ir、Osのような白金族金属を添加することができる。このような金属が添加された表面層は、光触媒の酸化還元活性を増強でき、有機物汚れの分解性、有害気体や悪臭の分解性を向上させることができる。
【0029】
本発明のコーティング剤には、さらに、疎水性樹脂エマルジョンの基材への造膜性を向上させるために造膜助剤を使用することが可能である。造膜助剤は、大部分の水分が気化した後も塗膜中に残存し、エマルション粒子どうしの融合を促進させる機能をもつものである。具体的には、沸点が100℃以上の有機化合物が挙げられる。以下に具体例を示す。
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、等のエチレン系グリコールエーテル類。
プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、等のプロピレン系グリコールエーテル類。2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、n−ペンシルプロピオネ−ト(n-PENTYL PROPIONATE)、フタル酸ジブチル等のエステル類などが挙げられる。そのうち、エステル類の一種である2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートは、フッ素樹脂エマルジョンへの浸透能力が高いこと、最低造膜温度(MFT)の低下効果が高いことから、その使用は好ましい。逆にエチレン系グリコールエーテル類は人体への毒性が強いので、その使用は好ましくない。
【0030】
本発明のコーティング剤には、さらに、着色料を添加することができる。着色料としては無機顔料、有機顔料、染料などから少なくとも1つを選ぶ。
無機顔料としては、酸化チタン、亜鉛華、ベンガラ、酸化クロム、コバルトブルー、鉄黒などの金属酸化物系、アルミナホワイト、黄色酸化鉄などの金属水酸化物系、紺青などのフェロシアン化合物系、黄鉛、ジンクロメート、モリブデンレッドなどのクロム酸鉛系、硫化亜鉛、朱、カドミウムイエロー、カドミウムレッドなどの硫化物、セレン化合物、バライト、沈降性硫酸バリウムなどの硫酸塩系、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウムなどの炭酸塩系、含水珪酸塩、クレイ、群青などの珪酸塩系、カーボンブラックなどの炭素系、アルミニウム粉、ブロンズ粉、亜鉛粉などの金属粉系、雲母・酸化チタン系などのパール顔料系などが挙げられる。
有機顔料としては、ナフトールグリーンBなどのニトロソ系顔料、ナフトールSなどのニトロ顔料系、リソールレッド、レーキレッドC、ファストエロー、ナフロールレッドなどのアゾ顔料系、アルカリブルーレッド、ローダミンキレート、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレッド、イソインドリノンエローなどの縮合多環顔料系などが挙げられる。
染料としては、分散染料、塩基性染料、直接染料、酸性染料が挙げられる。
【実施例】
【0031】
(塗料組成物の調製)
尚、本実施例、比較例の作成に用いた材料の固形分濃度、平均粒子径は表1の通り。
【0032】
【表1】

【0033】
実施例1
光触媒酸化物ゾル(日本パーカライジング株式会社製、商品名パルチタン5610)10.2重量部、コロイダルシリカ(日本化学株式会社製、商品名シリカドール30B)79.6重量部、フッ素樹脂エマルジョン(旭硝子株式会社製、商品名ルミフロンFE3000)10.2重量部(以上固形分で表示)、造膜助剤(イーストマン・コダック社製、商品名テキサノール)2.1重量部を混合し、水性塗料組成物を調整した。このときの水分量は固形分の合計100重量部に対して433重量部であった。
【0034】
実施例2
光触媒酸化物ゾル(テイカ株式会社製、商品名TKS−203)20.1重量部、コロイダルシリカ(日産化学株式会社製、商品名スノーテックス50)10.2重量部、フッ素樹脂エマルジョン(旭硝子株式会社製、商品名ルミフロンFE4300)69.7重量部(以上固形分で表示)、造膜助剤(イーストマン・コダック社製、商品名テキサノール)15.7重量部である水性塗料組成物を調整した。このときの水分量は固形分の合計100重量部に対して159重量部であった。
【0035】
実施例3
光触媒酸化物ゾル(日本パーカライジング株式会社製、商品名パルチタン5610)3.2重量部、コロイダルシリカ(日産化学株式会社製、商品名スノーテックス50)25.9重量部、フッ素樹脂エマルジョン(旭硝子株式会社製、商品名ルミフロンFE4300)3.2重量部、着色顔料(大日精化工業株式会社製、商品名MFカラーMF5160)38.9重量部、体質顔料(大塚化学株式会社製、商品名ティスモ−N)28.8重量部(以上固形分で表示)、造膜助剤(チッソ株式会社製、商品名CS−12)0.7重量部である水性塗料組成物を調整した。このときの水分量は固形分の合計100重量部に対して132重量部であった。
【0036】
実施例4
光触媒酸化物ゾル(石原産業株式会社製、商品名STS−21)1.0重量部、コロイダルシリカ(日産化学株式会社製、商品名スノーテックスZL)38.8重量部、フッ素樹脂エマルジョン(旭硝子株式会社製、商品名ルミフロンFE4300)23.1重量部、着色顔料(大日精化工業株式会社製、商品名MFカラーMF5160)20.4重量部、体質顔料A(大塚化学株式会社製、商品名HT−300)4.7重量部、体質顔料B(日本タルク(株)製、ミクロエースP3)12.0重量部(以上固形分で表示)、造膜助剤(チッソ株式会社製、商品名CS−12)7.8重量部である水性塗料組成物を調整した。このときの水分量は固形分の合計100重量部に対して152重量部であった。
【0037】
実施例5
光触媒酸化物ゾル(石原産業株式会社製、商品名STS−21)1.4重量部、コロイダルシリカ(日産化学株式会社製、商品名スノーテックスZL)50.8重量部、フッ素樹脂エマルジョン(旭硝子株式会社製、商品名ルミフロンFE4300)15.0重量部、着色顔料(大日精化工業株式会社製、商品名MFカラーMF5160)26.7重量部、体質顔料(大塚化学株式会社製、商品名HT−300)6.1重量部(以上固形分で表示)、造膜助剤(チッソ株式会社製、商品名CS−12)3.3重量部の塗料組成物を調整した。このときの水分量は固形分の合計100重量部に対して175重量部であった。
【0038】
実施例6
光触媒酸化物ゾル(石原産業株式会社製、商品名STS−21)18.3重量部、コロイダルシリカ(日産化学株式会社製、商品名スノーテックス50)44.3重量部、シリコーンエマルジョン(大日本インキ化学工業(株)製、商品名ボンコートSA−5080)9.9重量部、着色顔料(大日精化工業株式会社製、商品名MFカラーMF5160)15.2重量部、体質顔料(大塚化学株式会社製、商品名HT−300)12.3重量部(以上固形分で表示)、造膜助剤(チッソ株式会社製、商品名CS−12)2.4重量部の塗料組成物を調整した。このときの水分量は固形分の合計100重量部に対して294重量部であった。
【0039】
比較例1
フッ素樹脂エマルジョン(旭硝子株式会社製、商品名ルミフロンFE4300)67.8重量部、着色顔料(大日精化工業株式会社製、商品名MFカラーMF5160)26.7重量部、体質顔料(大塚化学株式会社製、商品名ティスモ−N)5.5重量部(以上固形分で表示)、造膜助剤(チッソ株式会社製、商品名CS−12)14.7重量部である水性塗料組成物を調整した。このときの水分量は固形分の合計100重量部に対して85重量部であった。
【0040】
比較例2
光触媒酸化物ゾル(日本パーカライジング株式会社製、商品名パルチタン5610)10重量部、コロイダルシリカ(日産化学株式会社製、商品名スノーテックス50)23.9重量部、着色顔料(大日精化工業株式会社製、商品名MFカラーMF5160)11.4重量部、体質顔料(大塚化学株式会社製、商品名ティスモ−N)54.7重量部(以上固形分で表示)である水性塗料組成物を調整した。このときの水分量は固形分の合計100重量部に対して269重量部であった。
【0041】
比較例3
光触媒酸化物(日本パーカライジング株式会社製、商品名パルチタン5610)9.8重量部、コロイダルシリカ(日産化学株式会社製、商品名スノーテックス50)79.3重量部、フッ素樹脂(旭硝子株式会社製、商品名ルミフロンLF100)10.9重量部(以上固形分で表示)である塗料組成物を調整した。このときの水分量は固形分の合計100重量部に対して325重量部であった。塗布直前に硬化剤(日本ポリウレタン株式会社製、商品名コロネートHX)を塗料組成物100重量部に対して、0.4重量部添加した。
【0042】
(基材への塗布方法)
150mm×65mmに裁断した石綿セメント珪酸カルシウム板(JIS A5418に準拠したもの)にエポキシ樹脂系プライマー(エスケー化研、商品名 SKサーフエポ)をスプレー塗装し、室温で24時間乾燥させた。続いて、アクリルウレタン塗料(イサム塗料 商品名 ハイアート1000)を、上記したプライマー塗装を行った石綿セメント珪酸カルシウム板上にスプレー塗装し、室温で24時間乾燥させた。さらに続いて、前記で調製した実施例1、2、3及び比較例1、2、3の塗料組成物をプライマー塗装、アクリルウレタン塗装を行った石綿セメント珪酸カルシウム板上に刷毛塗りし、コーティング物を得た。
また、プライマー塗装を行った石綿セメント珪酸カルシウム板上にスズカファイン(株)製下地調整塗材(商品名「リメークプラ」)を刷毛塗し、室温で24時間乾燥させたたものに、実施例4、5、6の塗料組成物の塗装を行ない、コーティング物を得た。
コーティングは試験片を垂直に立てた状態で行った。刷毛塗りした上記塗料組成物の重量は15g/m2であった。最後に、上記コーティング物を室温で24時間乾燥させて試験片1〜9を得た。
試験片1:実施例1の塗料を塗布
試験片2:実施例2の塗料を塗布
試験片3:実施例3の塗料を塗布
試験片4:実施例4の塗料を塗布
試験片5:実施例5の塗料を塗布
試験片6:実施例6の塗料を塗布
試験片7:比較例1の塗料を塗布
試験片8:比較例2の塗料を塗布
試験片9:比較例3の塗料を塗布
【0043】
エリクセン評価、一酸化窒素分解性能評価用試験片の作成150mm×65mmに裁断した亜鉛メッキ鋼板(JIS A5400に準拠したもの)にエポキシ樹脂系プライマー(エスケー化研、商品名 SKサーフエポ)をスプレー塗装し、室温で24時間乾燥させた。続いて、前記で調製した実施例1、2、3、4、5、6及び比較例1、2、3の塗料組成物を、プライマー塗装を行った亜鉛メッキ鋼板上に刷毛塗りし、コーティング物を得た。
コーティングは試験片を垂直に立てた状態で行った。刷毛塗りした上記塗料組成物の重量は15g/m2であった。最後に、上記コーティング物を室温で24時間乾燥させて試験片10〜18を得た。
試験片10:実施例1の塗料を塗布
試験片11:実施例2の塗料を塗布
試験片12:実施例3の塗料を塗布
試験片13:実施例4の塗料を塗布
試験片14:実施例5の塗料を塗布
試験片15:実施例6の塗料を塗布
試験片16:比較例1の塗料を塗布
試験片17:比較例2の塗料を塗布
試験片18:比較例3の塗料を塗布
【0044】
次に、上記各試験片について、膜厚、クラックの有無、密着性、エリクセン評価、光沢、耐アルカリ性、耐沸騰水性、熱冷サイクル試験、親水性(初期接触角と紫外線照射時の接触角を測定)を評価し、その結果を(表2)に示す。また、自己洗浄性評価についてはその結果を(表3)に示す。一酸化窒素分解性能についてはその結果を(図1〜5)に示す。
【0045】
【表2】

【0046】
【表3】

【0047】
評価方法は以下の通りである。
膜厚:走査型電子顕微鏡(日立製作所製S-4100)により試験片を断面方向から観察し、膜厚を測定した。
クラックの有無:光学顕微鏡(キーエンス製VF-7500)を用いて試験片表面を観察してクラックの有無を確認した。
密着性:JIS K5400 碁盤目試験法により行った。即ち、作製した試験片の塗膜の上からカッターで2mm幅の碁盤目の切込みを入れる。大きさは1cm角にし、碁盤目の数を25個とする。その後その碁盤目を完全に覆うようにセロハンテープを貼り付ける。その後、すばやく引き剥がして付着して残っている碁盤目の数を数える。
エリクセン評価:JIS B7729に準拠したエリクセン試験機を用いて、金属板に塗布した試験片により裏面より鋼球を押し出し、試験片を変形させる。塗膜にクラック、割れ、剥がれ、を生じるまでの押し出し距離を調べる。 光沢:作製した試験片の光沢度を日本電色工業製VGS-1Dを用いて測定した。
耐アルカリ性:水酸化カルシウム飽和水溶液に室温で7日間浸漬し、取り出した後蒸留水にて洗浄し、十分乾燥させた後、目視外観にて評価を行なう。
耐沸騰水性:95℃以上の沸騰水中に2時間浸漬し、取り出した後蒸留水にて洗浄し、十分乾燥させた後、目視外観にて評価を行なう。
熱冷サイクル試験:50℃の恒温槽に3時間、次いで、−20℃の恒温槽に3時間、次いで25℃の恒温水槽に18時間を1サイクルとして10サイクル繰り返す。取り出した後蒸留水にて洗浄し、十分乾燥させた後、目視外観にて評価を行なう。
親水性(初期接触角):試験片表面の水との接触角を、協和界面科学製CX-150を用いて測定した。
親水性(紫外線照射時):作製した試験片にBLBランプから発生した0.5mW/cm2の紫外線を7日間または殺菌灯ランプから発生した3.0mW/cm2の紫外線を3日間照射し、その後水との接触角を、協和界面科学製CX-150を用いて測定した。
自己洗浄性(屋外暴露):作製した試験片を南側に向け、鉛直に対して45°傾斜させたものを屋外に設置する。暴露する前、暴露1ヶ月後、暴露2ヶ月後の目視による外観評価及び接触角を測定した。
一酸化窒素分解性能評価:評価装置の模式図を図6に示す。入口側の一酸化窒素の濃度を空気と調整して0.25ppmとする。流量を毎分1リットルに調整する。試験片を設置してから、30分間流量が安定するまで気体を流す。その後紫外線をBLB灯にて0.5mW/cm2の強度にて照射する。一酸化窒素と二酸化窒素の濃度を記録する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)光触媒性酸化物粒子と、
(b)疎水性樹脂エマルジョンと、
(c)水と、
を少なくとも含んだ光触媒性コーティング剤であって、
前記(a)成分の平均粒径は、前記(b)成分中に分散した粒子の平均粒径よりも小さいことを特徴とする光触媒性コーティング剤。
【請求項2】
(a)光触媒性酸化物粒子と、
(b)疎水性樹脂エマルジョンと、
(c)水と、
(d)シリカ粒子と、
を少なくとも含んだ光触媒性コーティング剤であって、
前記(a)成分及び(d)成分の平均粒径は、前記(b)成分中に分散した粒子の平均粒径よりも小さいことを特徴とする光触媒性コーティング剤。
【請求項3】
前記(a)成分の平均粒径は5〜50nmであり、前記(b)成分中に分散した粒子の平均粒径は80〜300nmであることを特徴とする請求項1に記載の光触媒性コーティング剤。
【請求項4】
前記(a)成分の平均粒径は5〜50nm、前記(d)成分の平均粒径は5〜100nmであり、前記(b)成分に分散した粒子の平均粒径は80〜300nmであることを特徴とする請求項2に記載の光触媒性コーティング剤。
【請求項5】
前記(a)成分の全固形分中の配合割合が1〜20重量%、前記(b)成分の配合割合が5〜99重量%であり、前記(c)成分の配合割合が固形分100重量部に対して10〜500重量部であることを特徴とする請求項1、3に記載の光触媒性コーティング剤。
【請求項6】
前記(a)成分の全固形分中の配合割合が1〜20重量%、前記(d)成分の配合割合が1〜90重量%、前記(b)成分の配合割合が5〜98重量%であり、前記(c)成分の配合割合が固形分100重量部に対して10〜500重量部であることを特徴とする請求項2、4に記載の光触媒性コーティング剤。
【請求項7】
前記(a)成分の全固形分中の割合が1〜5重量%であることを特徴とする請求項5に記載の光触媒性コーティング剤。
【請求項8】
前記(a)成分の全固形分中の割合が1〜5重量%であることを特徴とする請求項6に記載の光触媒性コーティング剤。
【請求項9】
前記(b)成分は、フッ素樹脂エマルジョン、シリコーンエマルジョンのうちの1種以上であることを特徴とする請求項1乃至8に記載の光触媒性コーティング剤。
【請求項10】
請求項1乃至9に記載の光触媒性コーティング剤を疎水性物質を表面に有する基材表面に被覆し、硬化せしめることを特徴とする光触媒性複合材の製造方法。
【請求項11】
前記硬化は常温で行うことを特徴とする請求項10に記載の光触媒性複合材の製造方法。
【請求項12】
請求項10または11に記載の光触媒性複合材の製造方法によって得られることを特徴とする光触媒性複合材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−280829(P2009−280829A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−193586(P2009−193586)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【分割の表示】特願2004−130037(P2004−130037)の分割
【原出願日】平成14年5月31日(2002.5.31)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【出願人】(501343721)TOTOオキツモコーティングス株式会社 (7)
【出願人】(000103677)オキツモ株式会社 (15)
【Fターム(参考)】