光電式キーボード
【課題】 手指の不自由な人であってもキー操作を簡単に行え、長時間使用できるようにする。
【解決手段】 操作者の指が挿入され得る開孔部20がキー配列に対応して複数個所に形成された筐体2(図1R>1)と、筐体2内において開孔部20の下方に配置された面光源11と、その近傍に配設され、キーの種別を表すキー情報が描かれた透光性の記銘板12と、記銘板12上のキー情報を開孔部20近傍の結像面Aに正立実像の映像として結像させるためのレンズユニット14と、開孔部20内に挿入された操作者の指Fを検出する光電スイッチ15と、光電スイッチ15による検出信号に基づいて所定の処理を行うことにより、開孔部20に表示されていたキー情報をキー入力信号として出力する処理回路6(図3)とから光電式キーボード1を構成する。
【解決手段】 操作者の指が挿入され得る開孔部20がキー配列に対応して複数個所に形成された筐体2(図1R>1)と、筐体2内において開孔部20の下方に配置された面光源11と、その近傍に配設され、キーの種別を表すキー情報が描かれた透光性の記銘板12と、記銘板12上のキー情報を開孔部20近傍の結像面Aに正立実像の映像として結像させるためのレンズユニット14と、開孔部20内に挿入された操作者の指Fを検出する光電スイッチ15と、光電スイッチ15による検出信号に基づいて所定の処理を行うことにより、開孔部20に表示されていたキー情報をキー入力信号として出力する処理回路6(図3)とから光電式キーボード1を構成する。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、手指の不自由な人であっても、キー操作を簡単に行える光電式キーボードに関する。
【0002】
【従来の技術】手指に障害のある身体障害者がパソコンやワープロ等のキーボードを操作する際、手指をキーボードの上方で保持するのが困難なため、不必要なキーを同時に押してしまうことがある。
【0003】そこで、これを防止するため、キーボードのキー配列と同じ位置に穴が開けられた樹脂製のボードが従来より実用に供されている。この身障者用の樹脂製ボードは、キーボードの上に直接載せて使用されるものであって、キーボードの各キーが樹脂製ボードの各穴内に沈んだ状態で配置されるようになっているので、身障者が手指全体を樹脂製ボードの上に載せることができ、これにより、キー入力の際に不必要なキーが同時に押されるのを防できるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような身障者用の樹脂製ボードを用いた場合であっても、身障者は、健常者と同じように、キー入力の際にキーをある程度の強さの力で押し込まなければならない。
【0005】したがって、とくに重度の身障者がキー操作をするのは容易ではなく、キーボードを長時間使用すると相当疲労するという問題がある。
【0006】また、樹脂製ボードを用いた場合、上述のように、キーボードの各キーが樹脂製ボードの上面から沈んだ位置に配置されるため、各キーに点字が付されている場合には、視覚障害者がキー上面の点字を指先で読み取らなければならず、点字の読取りが容易に行えないという問題がある。
【0007】本発明は、このような従来の問題点を解消すべくなされたもので、手指の不自由な人であってもキー操作を簡単に行え、長時間使用することができる光電式キーボードを提供することを目的とする。また本発明の他の目的は、手指の不自由な視覚障害者が点字の読取りを容易に行え、しかもキー操作を簡単に行える光電式キーボードを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る光電式キーボードは、操作者の手指が挿入され得る開孔部がキー配列に対応して複数個所に形成された筐体と、前記筐体内において前記開孔部の下方に配置され、キーの種別を表すキー情報が表示される表示部と、前記表示部に表示されたキー情報を、対応する前記開孔部近傍に正立実像の映像として結像させるためのレンズユニットと、前記開孔部内に挿入された操作者の手指を検出する光電スイッチと、前記光電スイッチによる検出信号に基づいて所定の処理を行うことにより、前記開孔部に表示されていたキー情報をキー入力信号として出力する処理回路とを備えたことを特徴としている。
【0009】請求項2の発明に係る光電式キーボードは、請求項1において、前記光電スイッチを構成する投光素子および受光素子が、前記各開孔部の下方にそれぞれ設けられており、前記投光素子からの出射光が第1の光ファイバにより前記開孔部内の検出面に導入されるとともに、前記検出面を通過した光が第2の光ファイバにより受光素子に入射されるようになっていることを特徴としている。
【0010】請求項3の発明に係る光電式キーボードは、請求項1において、前記光電スイッチを構成する投光素子および受光素子が、前記各開孔部にそれぞれ対向配置されていることを特徴としている。
【0011】請求項4の発明に係る光電式キーボードは、請求項1において、前記光電スイッチを構成する投光素子が、前記複数の開孔部の横列の一端側に各横列に対応してそれぞれ配置されるとともに、前記光電スイッチを構成する受光素子が、前記各開孔部にそれぞれ設けられていることを特徴としている。
【0012】請求項5の発明に係る光電式キーボードは、請求項1において、前記複数の開孔部がマトリクス状に配列されるとともに、前記光電スイッチを構成する投光素子が、前記各開孔部の横列の一端側および縦列の一端側にそれぞれ各列に対応して設けられるとともに、前記光電スイッチを構成する受光素子が、前記各開孔部の横列の他端側および縦列の他端側にそれぞれ各列に対応して設けられていることを特徴としている。
【0013】請求項6の発明に係る光電式キーボードは、請求項4または5において、前記投光素子が半導体レーザから構成されていることを特徴としている。
【0014】請求項7の発明に係る光電式キーボードは、請求項1において、前記光電スイッチによる検出面が、第1の検出面と、その下方に所定の間隔を隔てて配置される第2の検出面とで構成されており、前記表示部が少なくとも二色の表示色を有し、前記第1の検出面での検出信号に基づいて前記表示部の表示色が変化するように構成されるとともに、第2の検出面での検出信号のみが前記処理回路に入力されるようになっていることを特徴としている。
【0015】請求項8の発明に係る光電式キーボードは、請求項1において、前記光電スイッチによる検出面が、上下方向に所定の間隔を隔てて配置される第1および第2の検出面で構成されるとともに、前記第1および第2の検出面での各検出信号が論理積回路を経て前記処理回路に入力されるようになっていることを特徴としている。
【0016】請求項9の発明に係る光電式キーボードは、請求項1において、前記筐体の上面に、前記キー情報を表示する点字が前記各開孔部に対応して記されていることを特徴としている。
【0017】請求項1の発明に係る光電式キーボードでは、面光源がONにされた状態において、面光源から射出した光は画像シートを透過してレンズユニットに照射される。そして、レンズユニットにより、画像シートに描かれたキー情報が筐体の開孔部近傍に正立実像の映像として結像される。これにより、筐体の各開孔部にキー情報がそれぞれ画像表示される。
【0018】この状態から、操作者がキー入力を行う際には、所望のキー情報が表示された開孔部内に指を入れて該キー情報の映像に指を接近させる。すると、光電スイッチが作動して検出信号が出力される。処理回路は、出力された検出信号に基づいて所定の処理を行うことにより、光電スイッチによる検出信号が出力された開孔部に表示されていたキー情報をキー入力信号として出力する。
【0019】このように請求項1の発明によれば、操作者が開孔部内に指を入れるだけでキー入力を行うことができるので、従来のキーボードのようにキーを押し込む力が不要になり、これにより、手指に障害のある身障者であっても簡単にキー入力を行えるようになる。したがって、身障者であっても長時間使用できるようになり、リハビリテーション用のキーボードとしても最適である。
【0020】請求項2の発明に係る光電式キーボードでは、投光素子および受光素子が各開孔部の下方にそれぞれ設けられ、投光素子および受光素子間が光ファイバにより連絡されるので、開孔部にある程度の大きさを確保しつつ、キーボード全体をコンパクトに構成できる。
【0021】請求項3の発明に係る光電式キーボードでは、投光素子および受光素子が各開孔部にそれぞれ対向配置され、投光素子からの出射光が直接受光素子に入射されるようになっているので、光ファイバ等の光伝搬要素を省略することができ、これにより、部品点数を削減でき、コストを低減できる。
【0022】また、請求項2および3の発明に係る光電式キーボードでは、光電スイッチを構成する投光素子および受光素子が、各開孔部に対応してそれぞれ設けられるので、複数のキーの同時入力を行える。
【0023】この場合には、操作者が、たとえば「Shift」が画像表示された開孔部と、上部に「?」が画像表示された開孔部とにそれぞれ指を挿入する。すると、各開孔部に対応して設けられた各光電スイッチが作動して、検出信号が出力される。
【0024】処理回路は、この検出信号に基づいて、所定の処理を行うことにより、「Shiftキー」と「?キー」とを同時に操作したのに相当するキー入力信号を出力する。これにより、たとえばCRT画面に「?」を表示させることができる。
【0025】請求項4の発明に係る光電式キーボードによれば、複数の開孔部の横列の一端側に投光素子が配置されるので、投光素子の個数を大幅に減少させることができ、光電スイッチの構成を簡略化することができる。
【0026】請求項5の発明に係る光電式キーボードによれば、投光素子が各開孔部の横列の一端側および縦列の一端側に配置され、受光素子が各開孔部の横列の他端側および縦列の他端側に配置されるので、投光素子のみならず受光素子の個数を大幅に減少させることができ、光電スイッチの構成をさらに簡略化することができる。
【0027】請求項6の発明に係る光電式キーボードによれば、直進性に優れた半導体レーザから投光素子が構成されるので、請求項4または5の発明における光電スイッチの精度を向上させることができる。
【0028】請求項7の発明に係る光電式キーボードによれば、光電スイッチによる検出面が、上下方向に離間した第1,第2の検出面で構成され、上方の第1の検出面での検出信号に基づいて面光源の発光色が変化するように構成されるとともに、下方の第2の検出面での検出信号のみが処理回路に入力されるようになっている。
【0029】したがって、操作者は、まず、所望の開孔部内の第1の検出面に指を接近させた際に、面光源の発光色が変化することにより、自らが選択したキーを確認することができる。次に、当該開孔部内に指を挿入して第2の検出面に指を接近させることにより、この第2の検出面で検出信号が出力され、キー入力信号が出力される。これにより、操作者の入力ミスを防止でき、確実なキー入力が行えるようになるので、信頼性を向上できる。
【0030】請求項8の発明に係る光電式キーボードでは、光電スイッチによる検出面が、上下方向に離間した第1,第2の検出面で構成され、これらの検出面での各検出信号が論理積回路を経て処理回路に入力される。すなわち、第1,第2の検出面の双方で検出信号が出力されてはじめて、処理回路からキー入力信号が出力されるようになっている。
【0031】これにより、操作者が開孔部近傍に手指を接近させただけでは、キー入力信号が出力されないようになり、この結果、操作者の入力ミスを防止でき、確実なキー入力が行えるようになるので、信頼性を向上できる。
【0032】請求項9の発明に係る光電式キーボードによれば、キー情報を表示する点字が各開孔部に対応して筐体上面に記されるので、手指の不自由な視覚障害者が、指の腹の部分で点字をなぞることが可能になり、これにより、点字の読取りを容易に行えるようになる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施態様を添付図面に基づいて説明する。
〔第1の実施態様〕図1ないし図3は、本発明の第1の実施態様による光電式キーボードを説明するための図であって、図1は光電式キーボードの平面図、図2は図1の II-II線断面図(キー入力装置の縦断面構成図)、図3R>3は各キー入力装置の駆動系の概略ブロック図である。
【0034】図1に示すように、光電式キーボード1は筐体2を有している。筐体2の上面2aには、複数個の開孔部20が形成されている。各開孔部20の配列はキー配列に対応しており、各開孔部20は、操作者の指が挿入され得る大きさに形成されている。なお、各開孔部20の形状としては、矩形の他に、楕円形や円形等であってもよい。
【0035】また、各開孔部20近傍の筐体上面2aに、すなわち、開孔部20の形成されていない部分2bに、キー情報を表示する点字を各開孔部20に対応して記すようにしてもよい。
【0036】各開孔部20内には、図2に示すようなキー入力装置10がそれぞれ設けられている。キー入力装置10は、LED(発光ダイオード)やEL(エレクトロルミネセンス)、蛍光灯等から構成される面光源(バックライト)11を底部側に有している。
【0037】面光源11の発光面11aの上方近傍には、キーの種別を表すキー情報(「1」,「A」,「Shift」…等)が描かれた透光性画像シート(記銘板)12が拡散板13を介して配置されている。拡散板13は、面光源11がLED等の点光源を多数集めて面状に構成されるような場合に、映像をより鮮明にする目的で挿入されることが多く、ELや蛍光灯のような面光源の場合には省略することも可能である。
【0038】なお、面光源11および記銘板12のかわりに、表示部として、LCD(液晶)やCRTを用いることも可能である。この場合には、キー情報の変更を容易に行えるようになる。
【0039】記銘板12の上方には、面光源11から射出して記銘板12を通った光Lが照射されるとともに、記銘板12に描かれた各キー情報を開孔部20の近傍の結像面Aに正立実像の映像として結像させるためのレンズユニット14が設けられている。
【0040】レンズユニット14は、多数の屈折率分布形マイクロレンズ素子を密着させて接着剤により接合することにより構成されている。なお、レンズユニット14として、多数の平凸マイクロレンズ素子または両凸マイクロレンズ素子をシート状に組み合わせてなるシートレンズを二枚用意し、これらを所定間隔を隔てて対向配置させたものを用いるようにしてもよい。
【0041】また開孔部20の下方には、開孔部20内に挿入された操作者の指Fを検出するための光電スイッチ15が設けられている。光電スイッチ15は、赤外線等の光を射出する投光素子15aと、投光素子15aから射出された光を受光する受光素子15bとから構成されている。
【0042】投光素子15aの上方には第1の光ファイバ16が、受光素子15bの上方には第2の光ファイバ17がそれぞれ上下方向に配設されている。第1,第2の光ファイバ16,17の各上端面16a,17aはそれぞれ斜めにカットされている。
【0043】これにより、投光素子15aからの出射光は、第1の光ファイバ16内を通って上端面16aで水平方向に反射した後、開孔部20内の検出面Dを通過して、第2の光ファイバ17の上端面17aに入射し、ここで下方に反射して、第2の光ファイバ17内を通り、受光素子15bに入射するようになっている。
【0044】なお、光電スイッチ15の検出面Dは、結像面Aと概略一致しているのが好ましいが、図2に示すように、結像面Aの若干下方に配置されるようにしてもよい。
【0045】次に、キー入力装置10の駆動系について図3を用いて説明する。同図に示すように、n個の投光素子15aには、これらを駆動する投光回路3が接続されている。また、各投光素子15aに対応して設けられたn個の受光素子15bには、検出信号を出力するための受光回路4がそれぞれ接続されている。
【0046】各受光回路4の出力側には、それぞれ入力判定回路5が接続されている。入力判定回路5は、投光素子15aからの出射光が受光素子15bに受光されていないかどうかを判定するためのものである。投光素子15aからの出射光が操作者の指により遮断された結果、該出射光が受光素子15bにより受光されなければ、すなわち、受光回路4から検出信号が出力されれば、入力判定回路5は判定出力であるトリガ信号sを出力する。
【0047】各入力判定回路5の出力側には、処理回路6が接続されている。処理回路6は、トリガ信号sを受けて所定の処理を行うことにより、検出信号が出力された開孔部20に予め表示されていたキー情報をキー入力信号として出力するためのものである。出力されたキー入力信号は、パソコン本体またはワープロ本体等の端末側の制御装置に送信されるようになっている。
【0048】次に、本実施態様の作用効果について説明する。光電式キーボード1内において、各キー入力装置10の面光源11がONにされた状態では、面光源11から射出した光Lは画像シート12を透過してレンズユニット14に照射される。
【0049】そして、レンズユニット14により、画像シート12上に描かれたキー情報が筐体2の開孔部20の近傍に正立実像の映像として、たとえば「1」,「A」,「Shift」…等のように、結像される。これにより、各開孔部20にそれぞれキー情報が画像表示される。
【0050】この状態から、操作者がキー入力を行う際には、所望のキー情報が表示された開孔部20内に指Fを入れて(図2参照)、該キー情報の結像面Aに指を接近させる。
【0051】すると、光電スイッチ15の投光素子15aから射出された光が指Fにより遮断されるので、光電スイッチ15が作動して、受光回路4が検出信号を出力する。この検出信号を受けて、入力判定回路5がトリガ信号sを出力する。出力されたトリガ信号sは、処理回路6に入力される。
【0052】処理回路6では、所定の処理が行われるとともに、光電スイッチ15による検出信号が出力された開孔部20に予め表示されていたキー情報がキー入力信号として出力される。出力されたキー入力信号は、パソコン本体またはワープロ本体等の端末側の制御装置に送信される。
【0053】このように本実施態様によれば、操作者が筐体2の開孔部20内に指を入れるだけでキー入力を行うことができるので、従来のキーボードのようにキーを押し込む力が不要になり、これにより、手指に障害のある身障者であっても簡単にキー入力を行えるようになる。したがって、身障者であっても長時間使用できるようになり、リハビリテーション用に最適である。
【0054】また、本実施態様では、投光素子15aおよび受光素子15bが各開孔部20の下方に配置されるので、各開孔部20にある程度の大きさを確保しつつ、キーボード全体をコンパクトに構成できる。
【0055】さらに、本実施態様では、投光素子15aおよび受光素子15bが各開孔部20に対応してそれぞれ設けられるので、従来のキーボードと同様に、複数のキーの同時入力を行える。
【0056】この場合には、操作者が、たとえば「Shift」が画像表示された開孔部20と、上部に「?」が画像表示された開孔部20とにそれぞれ指を挿入する。すると、各開孔部20に対応して設けられた各光電スイッチ15が作動して、各入力判定回路5がトリガ信号sをそれぞれ出力する。
【0057】そして、各トリガ信号sを受けて、処理回路6が所定の処理を行うことにより、「Shiftキー」と「?キー」とを同時に操作したのに相当するキー入力信号を出力する。これにより、たとえばCRT画面に「?」を表示させることができる。
【0058】また、筐体2の上面2aの開孔部間部分2bに点字を記すようにした場合には、手指の不自由な視覚障害者が、点字を指の腹の部分でなぞることが可能になり、これにより、点字の読取りを容易に行えるようになる。
【0059】〔第2の実施態様〕前記第1の実施態様では、キー入力装置10において、投光素子15aから射出された光が第1,第2の光ファイバ16,17を介して受光素子15bに入射されるようにしたものを示したが、本発明の適用はこれに限定されない。図4は、本発明の第2の実施態様による光電式キーボードを構成するキー入力装置の縦断面構成図である。なお、同図において、前記第1の実施態様と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0060】図4に示すように、このキー入力装置10′では、光電スイッチ15′を構成する投光素子15′aおよび受光素子15′bが、開孔部20の近傍に対向配置されている。
【0061】この場合には、開孔部20内に光電スイッチ15′を設ける関係で、開孔部20の大きさが若干制約を受けるが、光ファイバを省略できるので、部品点数を削減でき、コストを低減できる。また、前記第1の実施態様と同様に、投光素子15aおよび受光素子15bが各開孔部20に対応してそれぞれ設けられるので、複数のキーの同時入力を行える。
【0062】〔第3の実施態様〕前記第1,第2の実施態様では、面光源11,記銘板12,拡散板13およびレンズユニット14を各開孔部20ごとに別々に設けるようにした例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。図5は、本発明の第3の実施態様による光電式キーボードの縦断面構成図である。なお、同図において、前記第1,第2の実施態様と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0063】図5に示すように、この光電式キーボード1′では、底部側に配置された面光源11′,記銘板12′,拡散板13′およびこれらの上方に配置されたレンズユニット14′について、いずれもキーボード全体を覆う大型のものが用いられている。また、記銘板12′上の各キー情報は、対応する各開孔部20と対向する位置に形成されている。
【0064】この場合には、面光源11′から射出した各光は画像シート12′を透過してレンズユニット14′に照射され、レンズユニット14′の各レンズ部分により、記銘板12′上の各キー情報が、対応する各開孔部20の近傍(開孔部20内または開孔部20の若干下方)の結像面Aに結像される。
【0065】図示しない光電スイッチの検出面Dは、筐体上面2aの若干下方に形成されている。ところで、前記第1の実施態様に示すような光電スイッチを採用する場合には、面光源11′,記銘板12′,拡散板13′およびレンズユニット14′に、光ファイバを配設するための貫通孔をそれぞれ形成する必要がある。
【0066】なお、面光源11′,記銘板12′,拡散板13′およびレンズユニット14′の大きさは、必ずしもキーボード全体を覆う大きさである必要はなく、複数個の開孔部20を覆う大きさであってもよく、採用されるキーボード配列や製造工程での歩留り等に応じて適宜設定される。
【0067】〔第4の実施態様〕前記第1ないし第3の実施態様では、投光素子15a(または15′a)および受光素子15b(または15′b)を各開孔部20ごとに設けることにより、光電スイッチ15(または15′)を構成するようにした例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。
【0068】図6は、本発明の第4の実施態様による光電式キーボードの平面図である。なお、同図において、前記第1ないし第3の実施態様と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0069】図6に示すように、この光電式キーボード1aでは、筐体2内において、開孔部20の各横列の一端側に、各横列に対応して投光素子18がそれぞれ配置されている。この各投光素子18から射出した光は、各横列の一端側を通過して他端側まで到達する必要があるため、各投光素子18としては、直進性に優れた半導体レーザが好ましく、これにより、光電スイッチの精度を向上できる。また各開孔部20内には、受光素子19がそれぞれ設けられている。
【0070】この場合には、投光素子18が開孔部20の横列の個数分だけで足りるので、投光素子の個数を大幅に減少させることができ、光電スイッチの構成を簡略化できる。
【0071】この実施態様においては、前記各実施態様における透過型の光電スイッチと異なり、反射型の光電スイッチが用いられる。すなわち、開孔部20内に操作者の指が挿入されたとき、投光素子18からの出射光は指で反射され、この反射光が該開孔部20内の受光素子19により受光されるようになっている。
【0072】なお、この場合には、投光素子18が各横列の一端側にしか配置されない関係で、同じ横列内において複数のキーの同時入力、たとえば「Shift」が画像表示された開孔部20と、上部に「?」が画像表示された開孔部20とにそれぞれ指を挿入することにより、「Shiftキー」と「?キー」とを同時に操作したのに相当するキー入力を行うことができない。
【0073】しかしながら、「Shift」が表示された開孔部20の方に先に指を挿入したときに、「Shiftキー」の入力状態が保持されるようなソフトウエアが市販されているので、このようなソフトウエアを利用して、「Shift」表示の開孔部20内に一旦指を挿入してから指を抜き、次に、「?」表示の開孔部20内に指を挿入するようにすれば、同じ横列内において複数のキーの同時入力を行えるようになる。
【0074】〔第5の実施態様〕図7は、図6に示す光電式キーボードの変形例である、本発明の第5の実施態様を示している。なお、同図において、前記第4の実施態様と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0075】図7に示す光電式キーボード1bでは、キー配列が前記第4の実施態様に示すものとは異なっている。すなわち、キー配列がいわゆるマトリクス状になっており、各開孔部20′が、碁盤の目のように縦横整然と配列されている。
【0076】〔第6の実施態様〕図8は、図7に示す光電式キーボードの変形例である、本発明の第6の実施態様を示している。なお、同図において、前記第5の実施態様と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0077】図8に示す光電式キーボード1cでは、キー配列が前記第5の実施態様と同様にマトリクス状に構成されており、開孔部20の各横列の一端側に投光素子18が、他端側に受光素子21がそれぞれ各横列に対応して配置されている。また、開孔部20の各縦列の一端側に投光素子22が、他端側に受光素子23がそれぞれ各縦列に対応して配置されている。
【0078】この場合には、各受光素子21,23が開孔部20の横列および縦列の個数分だけで足りるので、受光素子の個数を大幅に減少させることができ、光電スイッチの構成をさらに簡略化することができる。なお、この実施態様においても、投光素子18,22としては、直進性に優れた半導体レーザが好ましい。
【0079】〔第7の実施態様〕前記第1ないし第6の実施態様においては、光電スイッチによる検出面Dを各開孔部20内に一つだけ有するキー入力装置の例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。図9および図10は、本発明の第7の実施態様による光電式キーボードにおけるキー入力装置の駆動系の概略ブロック図である。
【0080】この第7の実施態様では、各開孔部内に、第1の(1段目)検出面D1と、その下方に所定の間隔を隔てて配置された第2の(2段目)検出面D2とが設けられ、各検出面D1,D2に対応する光電スイッチがそれぞれ設けられている。すなわち、この場合には、図9R>9に示すような1段目キー入力装置と、図10に示すような2段目キー入力装置とが設けられる。
【0081】また、本実施態様のキー入力装置に用いられる面光源は、少なくとも二色の発光色を有するように構成されている。たとえば赤色および緑色のLEDをそれぞれ多数本用意し、これらを適当に組み合わせて面状に束ねたもので構成される場合には、発光色として、赤色、緑色の他に両者の混合色である橙色を表示できる。なお、発光色としては、これらの組合せの他に種々のものが考えられる。
【0082】図9に示すように、n個の1段目投光素子30には、これらを駆動する投光回路31が接続されている。また、各投光素子30に対応して設けられたn個の1段目受光素子32には、検出信号を出力するための1段目受光回路34がそれぞれ接続されている。
【0083】各受光回路34の出力側には、1段目入力判定回路35がそれぞれ接続されている。入力判定回路35は、1段目投光素子30および1段目受光素子32から構成される1段目光電スイッチが作動したかどうか、すなわち、透過型光電スイッチの場合には投光素子30からの出射光が受光素子32に受光されていないかどうか、また反射型光電スイッチの場合には投光素子30からの出射光が受光素子32に受光されているかどうかを判定するためのものである。受光回路34から検出信号が出力されれば、各入力判定回路35は判定出力である状態確認出力1,2,…,nをそれぞれ出力する。
【0084】状態確認出力は、図示しない面光源の駆動回路に入力される。入力判定回路35からの状態確認出力が入力されれば、駆動回路は面光源の発光色をたとえば緑色から赤色に変化させる。これにより、画像表示されていたキー情報の表示色も変化し、この色の変化によって、操作者は、所望のキーが選択されたかどうかの確認を行える。
【0085】一方、図10に示すように、n個の2段目投光素子40には、これらを駆動する投光回路41が接続されている。また、各投光素子40に対応して設けられたn個の2段目受光素子42には、検出信号を出力するための2段目受光回路44がそれぞれ接続されている。
【0086】各受光回路44の出力側には、2段目入力判定回路45がそれぞれ接続されている。入力判定回路45は、2段目投光素子40および2段目受光素子42から構成される2段目光電スイッチが作動したかどうかを判定するためのものである。受光回路44から検出信号が出力されれば、入力判定回路45は判定出力であるトリガ信号s′を出力する。
【0087】各入力判定回路45の出力側には、処理回路46が接続されている。処理回路46は、トリガ信号s′に基づいて所定の処理を行うことにより、検出信号が出力された開孔部20に予め表示されていたキー情報をキー入力信号として出力するためのものである。出力されたキー入力信号は、パソコン本体またはワープロ本体等の端末側の制御装置に送信される。
【0088】次に、本実施態様の作用効果について説明する。各開孔部近傍にそれぞれキー情報が表示された状態から、操作者が、キー入力すべき開孔部内に指を接近させると、まず、1段目キー入力装置の光電スイッチの検出面で検出されて光電スイッチが作動し、1段目入力判定回路35から状態確認出力が出力される。
【0089】この状態確認出力を受けて、面光源の駆動回路は面光源の発光色を変化させる。すなわち、たとえば緑色のLEDが点灯中の場合には、これを消灯して赤色のLEDを点灯させる。その結果、画像表示されていたキー情報の表示色も緑色から赤色に変化し、この色の変化によって、操作者は、所望のキーが選択されたかどうかの確認を行える。
【0090】次に、操作者が当該開口部内に指を挿入すると、2段目キー入力装置の光電スイッチの検出面で検出されて光電スイッチが作動し、2段目受光回路44から検出信号が出力される。そして、この検出信号を受けて2段目入力判定回路45からトリガ信号s′が出力される。出力されたトリガ信号s′は処理回路46に入力される。
【0091】処理回路46では、所定の処理が行われるとともに、光電スイッチによる検出信号が出力された開孔部に予め表示されていたキー情報がキー入力信号として出力される。出力されたキー入力信号は、パソコン本体またはワープロ本体等の端末側の制御装置に送信される。
【0092】このように、キー入力信号が実際に出力される前に、操作者により選択された開孔部におけるキー情報の表示色が変化するようになっているので、操作者の入力ミスを防止でき、確実なキー入力が行えるようになる。これにより、信頼性を向上できる。
【0093】〔第8の実施態様〕図11ないし図13は、本発明の第8の実施態様による光電式キーボードにおけるキー入力装置の駆動系の概略ブロック図であって、前記第7の実施態様の変形例を示している。なお、これらの図において、前記第7の実施態様と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0094】本実施態様においても、各開孔部内には、第1の(1段目)検出面D1と、その下方に所定の間隔を隔てて配置された第2の(2段目)検出面D2とが設けられ、各検出面D1,D2に対応する光電スイッチがそれぞれ設けられている。そして、図11に示すような1段目キー入力装置と、図12に示すような2段目キー入力装置とが設けられている。
【0095】この第8の実施態様では、1段目キー入力装置における入力判定回路の各出力a1,a2,…,anと、2段目キー入力装置における入力判定回路45の各出力b1,b2,…,bnとが、AND回路48を経て処理回路46に入力されるようになっている点が前記第7の実施態様とは異なっている。
【0096】したがって、この場合には、第1,第2の検出面D1,D2の双方で検出信号が出力されてはじめて、処理回路46からキー入力信号が出力される。これにより、操作者が開口部近傍に手指を接近させただけでは、処理回路46からキー入力信号が出力されないようになり、この結果、操作者の入力ミスを防止でき、確実なキー入力が行えるようになるので、信頼性を向上できる。
【0097】
【発明の効果】以上詳述したように本発明に係る光電式キーボードによれば、操作者が筐体の開孔部内に指を入れるだけでキー入力を行うことができるので、キーを押し込む力が不要になり、これにより、手指に障害のある身障者であっても簡単にキー入力を行えるようになる効果がある。また、筐体の上面に点字を記すことにより、手指の不自由な視覚障害者が点字の読取りを容易に行えるようになる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施態様による光電式キーボードの平面図。
【図2】図1の II-II線断面図であって、光電式キーボードを構成するキー入力装置の縦断面構成図。
【図3】各キー入力装置の駆動系の概略ブロック図。
【図4】本発明の第2の実施態様による光電式キーボードを構成するキー入力装置の縦断面構成図。
【図5】本発明の第3の実施態様による光電式キーボードの縦断面構成図。
【図6】本発明の第4の実施態様による光電式キーボードの平面図。
【図7】本発明の第5の実施態様による光電式キーボードの平面図であって、図6の変形例を示す図。
【図8】本発明の第6の実施態様による光電式キーボードの平面図であって、図7の変形例を示す図。
【図9】本発明の第7の実施態様による光電式キーボードにおける1段目キー入力装置の駆動系の概略ブロック図。
【図10】本発明の第7の実施態様による光電式キーボードにおける2段目キー入力装置の駆動系の概略ブロック図。
【図11】本発明の第8の実施態様による光電式キーボードにおける1段目キー入力装置の駆動系の概略ブロック図。
【図12】本発明の第8の実施態様による光電式キーボードにおける2段目キー入力装置の駆動系の概略ブロック図。
【図13】本発明の第8の実施態様による光電式キーボードにおける1段目および2段目キー入力装置の駆動系の処理装置部分の概略ブロック図。
【符号の説明】
1,1′ 光電式キーボード
1a,1b,1c 光電式キーボード
2 筐体
2a 上面
20,20′ 開孔部
6,46 処理回路
10,10′ キー入力装置
11,11′ 面光源
11a 発光面
12,12′ 画像シート(記銘板)
14,14′ レンズユニット
15,15′ 光電スイッチ
15a,15′a 投光素子
15b,15′b 受光素子
16 第1の光ファイバ
17 第2の光ファイバ
18,22 投光素子
19,21,23 受光素子
48 AND回路
A 結像面
D 検出面
F 指
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、手指の不自由な人であっても、キー操作を簡単に行える光電式キーボードに関する。
【0002】
【従来の技術】手指に障害のある身体障害者がパソコンやワープロ等のキーボードを操作する際、手指をキーボードの上方で保持するのが困難なため、不必要なキーを同時に押してしまうことがある。
【0003】そこで、これを防止するため、キーボードのキー配列と同じ位置に穴が開けられた樹脂製のボードが従来より実用に供されている。この身障者用の樹脂製ボードは、キーボードの上に直接載せて使用されるものであって、キーボードの各キーが樹脂製ボードの各穴内に沈んだ状態で配置されるようになっているので、身障者が手指全体を樹脂製ボードの上に載せることができ、これにより、キー入力の際に不必要なキーが同時に押されるのを防できるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような身障者用の樹脂製ボードを用いた場合であっても、身障者は、健常者と同じように、キー入力の際にキーをある程度の強さの力で押し込まなければならない。
【0005】したがって、とくに重度の身障者がキー操作をするのは容易ではなく、キーボードを長時間使用すると相当疲労するという問題がある。
【0006】また、樹脂製ボードを用いた場合、上述のように、キーボードの各キーが樹脂製ボードの上面から沈んだ位置に配置されるため、各キーに点字が付されている場合には、視覚障害者がキー上面の点字を指先で読み取らなければならず、点字の読取りが容易に行えないという問題がある。
【0007】本発明は、このような従来の問題点を解消すべくなされたもので、手指の不自由な人であってもキー操作を簡単に行え、長時間使用することができる光電式キーボードを提供することを目的とする。また本発明の他の目的は、手指の不自由な視覚障害者が点字の読取りを容易に行え、しかもキー操作を簡単に行える光電式キーボードを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る光電式キーボードは、操作者の手指が挿入され得る開孔部がキー配列に対応して複数個所に形成された筐体と、前記筐体内において前記開孔部の下方に配置され、キーの種別を表すキー情報が表示される表示部と、前記表示部に表示されたキー情報を、対応する前記開孔部近傍に正立実像の映像として結像させるためのレンズユニットと、前記開孔部内に挿入された操作者の手指を検出する光電スイッチと、前記光電スイッチによる検出信号に基づいて所定の処理を行うことにより、前記開孔部に表示されていたキー情報をキー入力信号として出力する処理回路とを備えたことを特徴としている。
【0009】請求項2の発明に係る光電式キーボードは、請求項1において、前記光電スイッチを構成する投光素子および受光素子が、前記各開孔部の下方にそれぞれ設けられており、前記投光素子からの出射光が第1の光ファイバにより前記開孔部内の検出面に導入されるとともに、前記検出面を通過した光が第2の光ファイバにより受光素子に入射されるようになっていることを特徴としている。
【0010】請求項3の発明に係る光電式キーボードは、請求項1において、前記光電スイッチを構成する投光素子および受光素子が、前記各開孔部にそれぞれ対向配置されていることを特徴としている。
【0011】請求項4の発明に係る光電式キーボードは、請求項1において、前記光電スイッチを構成する投光素子が、前記複数の開孔部の横列の一端側に各横列に対応してそれぞれ配置されるとともに、前記光電スイッチを構成する受光素子が、前記各開孔部にそれぞれ設けられていることを特徴としている。
【0012】請求項5の発明に係る光電式キーボードは、請求項1において、前記複数の開孔部がマトリクス状に配列されるとともに、前記光電スイッチを構成する投光素子が、前記各開孔部の横列の一端側および縦列の一端側にそれぞれ各列に対応して設けられるとともに、前記光電スイッチを構成する受光素子が、前記各開孔部の横列の他端側および縦列の他端側にそれぞれ各列に対応して設けられていることを特徴としている。
【0013】請求項6の発明に係る光電式キーボードは、請求項4または5において、前記投光素子が半導体レーザから構成されていることを特徴としている。
【0014】請求項7の発明に係る光電式キーボードは、請求項1において、前記光電スイッチによる検出面が、第1の検出面と、その下方に所定の間隔を隔てて配置される第2の検出面とで構成されており、前記表示部が少なくとも二色の表示色を有し、前記第1の検出面での検出信号に基づいて前記表示部の表示色が変化するように構成されるとともに、第2の検出面での検出信号のみが前記処理回路に入力されるようになっていることを特徴としている。
【0015】請求項8の発明に係る光電式キーボードは、請求項1において、前記光電スイッチによる検出面が、上下方向に所定の間隔を隔てて配置される第1および第2の検出面で構成されるとともに、前記第1および第2の検出面での各検出信号が論理積回路を経て前記処理回路に入力されるようになっていることを特徴としている。
【0016】請求項9の発明に係る光電式キーボードは、請求項1において、前記筐体の上面に、前記キー情報を表示する点字が前記各開孔部に対応して記されていることを特徴としている。
【0017】請求項1の発明に係る光電式キーボードでは、面光源がONにされた状態において、面光源から射出した光は画像シートを透過してレンズユニットに照射される。そして、レンズユニットにより、画像シートに描かれたキー情報が筐体の開孔部近傍に正立実像の映像として結像される。これにより、筐体の各開孔部にキー情報がそれぞれ画像表示される。
【0018】この状態から、操作者がキー入力を行う際には、所望のキー情報が表示された開孔部内に指を入れて該キー情報の映像に指を接近させる。すると、光電スイッチが作動して検出信号が出力される。処理回路は、出力された検出信号に基づいて所定の処理を行うことにより、光電スイッチによる検出信号が出力された開孔部に表示されていたキー情報をキー入力信号として出力する。
【0019】このように請求項1の発明によれば、操作者が開孔部内に指を入れるだけでキー入力を行うことができるので、従来のキーボードのようにキーを押し込む力が不要になり、これにより、手指に障害のある身障者であっても簡単にキー入力を行えるようになる。したがって、身障者であっても長時間使用できるようになり、リハビリテーション用のキーボードとしても最適である。
【0020】請求項2の発明に係る光電式キーボードでは、投光素子および受光素子が各開孔部の下方にそれぞれ設けられ、投光素子および受光素子間が光ファイバにより連絡されるので、開孔部にある程度の大きさを確保しつつ、キーボード全体をコンパクトに構成できる。
【0021】請求項3の発明に係る光電式キーボードでは、投光素子および受光素子が各開孔部にそれぞれ対向配置され、投光素子からの出射光が直接受光素子に入射されるようになっているので、光ファイバ等の光伝搬要素を省略することができ、これにより、部品点数を削減でき、コストを低減できる。
【0022】また、請求項2および3の発明に係る光電式キーボードでは、光電スイッチを構成する投光素子および受光素子が、各開孔部に対応してそれぞれ設けられるので、複数のキーの同時入力を行える。
【0023】この場合には、操作者が、たとえば「Shift」が画像表示された開孔部と、上部に「?」が画像表示された開孔部とにそれぞれ指を挿入する。すると、各開孔部に対応して設けられた各光電スイッチが作動して、検出信号が出力される。
【0024】処理回路は、この検出信号に基づいて、所定の処理を行うことにより、「Shiftキー」と「?キー」とを同時に操作したのに相当するキー入力信号を出力する。これにより、たとえばCRT画面に「?」を表示させることができる。
【0025】請求項4の発明に係る光電式キーボードによれば、複数の開孔部の横列の一端側に投光素子が配置されるので、投光素子の個数を大幅に減少させることができ、光電スイッチの構成を簡略化することができる。
【0026】請求項5の発明に係る光電式キーボードによれば、投光素子が各開孔部の横列の一端側および縦列の一端側に配置され、受光素子が各開孔部の横列の他端側および縦列の他端側に配置されるので、投光素子のみならず受光素子の個数を大幅に減少させることができ、光電スイッチの構成をさらに簡略化することができる。
【0027】請求項6の発明に係る光電式キーボードによれば、直進性に優れた半導体レーザから投光素子が構成されるので、請求項4または5の発明における光電スイッチの精度を向上させることができる。
【0028】請求項7の発明に係る光電式キーボードによれば、光電スイッチによる検出面が、上下方向に離間した第1,第2の検出面で構成され、上方の第1の検出面での検出信号に基づいて面光源の発光色が変化するように構成されるとともに、下方の第2の検出面での検出信号のみが処理回路に入力されるようになっている。
【0029】したがって、操作者は、まず、所望の開孔部内の第1の検出面に指を接近させた際に、面光源の発光色が変化することにより、自らが選択したキーを確認することができる。次に、当該開孔部内に指を挿入して第2の検出面に指を接近させることにより、この第2の検出面で検出信号が出力され、キー入力信号が出力される。これにより、操作者の入力ミスを防止でき、確実なキー入力が行えるようになるので、信頼性を向上できる。
【0030】請求項8の発明に係る光電式キーボードでは、光電スイッチによる検出面が、上下方向に離間した第1,第2の検出面で構成され、これらの検出面での各検出信号が論理積回路を経て処理回路に入力される。すなわち、第1,第2の検出面の双方で検出信号が出力されてはじめて、処理回路からキー入力信号が出力されるようになっている。
【0031】これにより、操作者が開孔部近傍に手指を接近させただけでは、キー入力信号が出力されないようになり、この結果、操作者の入力ミスを防止でき、確実なキー入力が行えるようになるので、信頼性を向上できる。
【0032】請求項9の発明に係る光電式キーボードによれば、キー情報を表示する点字が各開孔部に対応して筐体上面に記されるので、手指の不自由な視覚障害者が、指の腹の部分で点字をなぞることが可能になり、これにより、点字の読取りを容易に行えるようになる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施態様を添付図面に基づいて説明する。
〔第1の実施態様〕図1ないし図3は、本発明の第1の実施態様による光電式キーボードを説明するための図であって、図1は光電式キーボードの平面図、図2は図1の II-II線断面図(キー入力装置の縦断面構成図)、図3R>3は各キー入力装置の駆動系の概略ブロック図である。
【0034】図1に示すように、光電式キーボード1は筐体2を有している。筐体2の上面2aには、複数個の開孔部20が形成されている。各開孔部20の配列はキー配列に対応しており、各開孔部20は、操作者の指が挿入され得る大きさに形成されている。なお、各開孔部20の形状としては、矩形の他に、楕円形や円形等であってもよい。
【0035】また、各開孔部20近傍の筐体上面2aに、すなわち、開孔部20の形成されていない部分2bに、キー情報を表示する点字を各開孔部20に対応して記すようにしてもよい。
【0036】各開孔部20内には、図2に示すようなキー入力装置10がそれぞれ設けられている。キー入力装置10は、LED(発光ダイオード)やEL(エレクトロルミネセンス)、蛍光灯等から構成される面光源(バックライト)11を底部側に有している。
【0037】面光源11の発光面11aの上方近傍には、キーの種別を表すキー情報(「1」,「A」,「Shift」…等)が描かれた透光性画像シート(記銘板)12が拡散板13を介して配置されている。拡散板13は、面光源11がLED等の点光源を多数集めて面状に構成されるような場合に、映像をより鮮明にする目的で挿入されることが多く、ELや蛍光灯のような面光源の場合には省略することも可能である。
【0038】なお、面光源11および記銘板12のかわりに、表示部として、LCD(液晶)やCRTを用いることも可能である。この場合には、キー情報の変更を容易に行えるようになる。
【0039】記銘板12の上方には、面光源11から射出して記銘板12を通った光Lが照射されるとともに、記銘板12に描かれた各キー情報を開孔部20の近傍の結像面Aに正立実像の映像として結像させるためのレンズユニット14が設けられている。
【0040】レンズユニット14は、多数の屈折率分布形マイクロレンズ素子を密着させて接着剤により接合することにより構成されている。なお、レンズユニット14として、多数の平凸マイクロレンズ素子または両凸マイクロレンズ素子をシート状に組み合わせてなるシートレンズを二枚用意し、これらを所定間隔を隔てて対向配置させたものを用いるようにしてもよい。
【0041】また開孔部20の下方には、開孔部20内に挿入された操作者の指Fを検出するための光電スイッチ15が設けられている。光電スイッチ15は、赤外線等の光を射出する投光素子15aと、投光素子15aから射出された光を受光する受光素子15bとから構成されている。
【0042】投光素子15aの上方には第1の光ファイバ16が、受光素子15bの上方には第2の光ファイバ17がそれぞれ上下方向に配設されている。第1,第2の光ファイバ16,17の各上端面16a,17aはそれぞれ斜めにカットされている。
【0043】これにより、投光素子15aからの出射光は、第1の光ファイバ16内を通って上端面16aで水平方向に反射した後、開孔部20内の検出面Dを通過して、第2の光ファイバ17の上端面17aに入射し、ここで下方に反射して、第2の光ファイバ17内を通り、受光素子15bに入射するようになっている。
【0044】なお、光電スイッチ15の検出面Dは、結像面Aと概略一致しているのが好ましいが、図2に示すように、結像面Aの若干下方に配置されるようにしてもよい。
【0045】次に、キー入力装置10の駆動系について図3を用いて説明する。同図に示すように、n個の投光素子15aには、これらを駆動する投光回路3が接続されている。また、各投光素子15aに対応して設けられたn個の受光素子15bには、検出信号を出力するための受光回路4がそれぞれ接続されている。
【0046】各受光回路4の出力側には、それぞれ入力判定回路5が接続されている。入力判定回路5は、投光素子15aからの出射光が受光素子15bに受光されていないかどうかを判定するためのものである。投光素子15aからの出射光が操作者の指により遮断された結果、該出射光が受光素子15bにより受光されなければ、すなわち、受光回路4から検出信号が出力されれば、入力判定回路5は判定出力であるトリガ信号sを出力する。
【0047】各入力判定回路5の出力側には、処理回路6が接続されている。処理回路6は、トリガ信号sを受けて所定の処理を行うことにより、検出信号が出力された開孔部20に予め表示されていたキー情報をキー入力信号として出力するためのものである。出力されたキー入力信号は、パソコン本体またはワープロ本体等の端末側の制御装置に送信されるようになっている。
【0048】次に、本実施態様の作用効果について説明する。光電式キーボード1内において、各キー入力装置10の面光源11がONにされた状態では、面光源11から射出した光Lは画像シート12を透過してレンズユニット14に照射される。
【0049】そして、レンズユニット14により、画像シート12上に描かれたキー情報が筐体2の開孔部20の近傍に正立実像の映像として、たとえば「1」,「A」,「Shift」…等のように、結像される。これにより、各開孔部20にそれぞれキー情報が画像表示される。
【0050】この状態から、操作者がキー入力を行う際には、所望のキー情報が表示された開孔部20内に指Fを入れて(図2参照)、該キー情報の結像面Aに指を接近させる。
【0051】すると、光電スイッチ15の投光素子15aから射出された光が指Fにより遮断されるので、光電スイッチ15が作動して、受光回路4が検出信号を出力する。この検出信号を受けて、入力判定回路5がトリガ信号sを出力する。出力されたトリガ信号sは、処理回路6に入力される。
【0052】処理回路6では、所定の処理が行われるとともに、光電スイッチ15による検出信号が出力された開孔部20に予め表示されていたキー情報がキー入力信号として出力される。出力されたキー入力信号は、パソコン本体またはワープロ本体等の端末側の制御装置に送信される。
【0053】このように本実施態様によれば、操作者が筐体2の開孔部20内に指を入れるだけでキー入力を行うことができるので、従来のキーボードのようにキーを押し込む力が不要になり、これにより、手指に障害のある身障者であっても簡単にキー入力を行えるようになる。したがって、身障者であっても長時間使用できるようになり、リハビリテーション用に最適である。
【0054】また、本実施態様では、投光素子15aおよび受光素子15bが各開孔部20の下方に配置されるので、各開孔部20にある程度の大きさを確保しつつ、キーボード全体をコンパクトに構成できる。
【0055】さらに、本実施態様では、投光素子15aおよび受光素子15bが各開孔部20に対応してそれぞれ設けられるので、従来のキーボードと同様に、複数のキーの同時入力を行える。
【0056】この場合には、操作者が、たとえば「Shift」が画像表示された開孔部20と、上部に「?」が画像表示された開孔部20とにそれぞれ指を挿入する。すると、各開孔部20に対応して設けられた各光電スイッチ15が作動して、各入力判定回路5がトリガ信号sをそれぞれ出力する。
【0057】そして、各トリガ信号sを受けて、処理回路6が所定の処理を行うことにより、「Shiftキー」と「?キー」とを同時に操作したのに相当するキー入力信号を出力する。これにより、たとえばCRT画面に「?」を表示させることができる。
【0058】また、筐体2の上面2aの開孔部間部分2bに点字を記すようにした場合には、手指の不自由な視覚障害者が、点字を指の腹の部分でなぞることが可能になり、これにより、点字の読取りを容易に行えるようになる。
【0059】〔第2の実施態様〕前記第1の実施態様では、キー入力装置10において、投光素子15aから射出された光が第1,第2の光ファイバ16,17を介して受光素子15bに入射されるようにしたものを示したが、本発明の適用はこれに限定されない。図4は、本発明の第2の実施態様による光電式キーボードを構成するキー入力装置の縦断面構成図である。なお、同図において、前記第1の実施態様と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0060】図4に示すように、このキー入力装置10′では、光電スイッチ15′を構成する投光素子15′aおよび受光素子15′bが、開孔部20の近傍に対向配置されている。
【0061】この場合には、開孔部20内に光電スイッチ15′を設ける関係で、開孔部20の大きさが若干制約を受けるが、光ファイバを省略できるので、部品点数を削減でき、コストを低減できる。また、前記第1の実施態様と同様に、投光素子15aおよび受光素子15bが各開孔部20に対応してそれぞれ設けられるので、複数のキーの同時入力を行える。
【0062】〔第3の実施態様〕前記第1,第2の実施態様では、面光源11,記銘板12,拡散板13およびレンズユニット14を各開孔部20ごとに別々に設けるようにした例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。図5は、本発明の第3の実施態様による光電式キーボードの縦断面構成図である。なお、同図において、前記第1,第2の実施態様と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0063】図5に示すように、この光電式キーボード1′では、底部側に配置された面光源11′,記銘板12′,拡散板13′およびこれらの上方に配置されたレンズユニット14′について、いずれもキーボード全体を覆う大型のものが用いられている。また、記銘板12′上の各キー情報は、対応する各開孔部20と対向する位置に形成されている。
【0064】この場合には、面光源11′から射出した各光は画像シート12′を透過してレンズユニット14′に照射され、レンズユニット14′の各レンズ部分により、記銘板12′上の各キー情報が、対応する各開孔部20の近傍(開孔部20内または開孔部20の若干下方)の結像面Aに結像される。
【0065】図示しない光電スイッチの検出面Dは、筐体上面2aの若干下方に形成されている。ところで、前記第1の実施態様に示すような光電スイッチを採用する場合には、面光源11′,記銘板12′,拡散板13′およびレンズユニット14′に、光ファイバを配設するための貫通孔をそれぞれ形成する必要がある。
【0066】なお、面光源11′,記銘板12′,拡散板13′およびレンズユニット14′の大きさは、必ずしもキーボード全体を覆う大きさである必要はなく、複数個の開孔部20を覆う大きさであってもよく、採用されるキーボード配列や製造工程での歩留り等に応じて適宜設定される。
【0067】〔第4の実施態様〕前記第1ないし第3の実施態様では、投光素子15a(または15′a)および受光素子15b(または15′b)を各開孔部20ごとに設けることにより、光電スイッチ15(または15′)を構成するようにした例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。
【0068】図6は、本発明の第4の実施態様による光電式キーボードの平面図である。なお、同図において、前記第1ないし第3の実施態様と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0069】図6に示すように、この光電式キーボード1aでは、筐体2内において、開孔部20の各横列の一端側に、各横列に対応して投光素子18がそれぞれ配置されている。この各投光素子18から射出した光は、各横列の一端側を通過して他端側まで到達する必要があるため、各投光素子18としては、直進性に優れた半導体レーザが好ましく、これにより、光電スイッチの精度を向上できる。また各開孔部20内には、受光素子19がそれぞれ設けられている。
【0070】この場合には、投光素子18が開孔部20の横列の個数分だけで足りるので、投光素子の個数を大幅に減少させることができ、光電スイッチの構成を簡略化できる。
【0071】この実施態様においては、前記各実施態様における透過型の光電スイッチと異なり、反射型の光電スイッチが用いられる。すなわち、開孔部20内に操作者の指が挿入されたとき、投光素子18からの出射光は指で反射され、この反射光が該開孔部20内の受光素子19により受光されるようになっている。
【0072】なお、この場合には、投光素子18が各横列の一端側にしか配置されない関係で、同じ横列内において複数のキーの同時入力、たとえば「Shift」が画像表示された開孔部20と、上部に「?」が画像表示された開孔部20とにそれぞれ指を挿入することにより、「Shiftキー」と「?キー」とを同時に操作したのに相当するキー入力を行うことができない。
【0073】しかしながら、「Shift」が表示された開孔部20の方に先に指を挿入したときに、「Shiftキー」の入力状態が保持されるようなソフトウエアが市販されているので、このようなソフトウエアを利用して、「Shift」表示の開孔部20内に一旦指を挿入してから指を抜き、次に、「?」表示の開孔部20内に指を挿入するようにすれば、同じ横列内において複数のキーの同時入力を行えるようになる。
【0074】〔第5の実施態様〕図7は、図6に示す光電式キーボードの変形例である、本発明の第5の実施態様を示している。なお、同図において、前記第4の実施態様と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0075】図7に示す光電式キーボード1bでは、キー配列が前記第4の実施態様に示すものとは異なっている。すなわち、キー配列がいわゆるマトリクス状になっており、各開孔部20′が、碁盤の目のように縦横整然と配列されている。
【0076】〔第6の実施態様〕図8は、図7に示す光電式キーボードの変形例である、本発明の第6の実施態様を示している。なお、同図において、前記第5の実施態様と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0077】図8に示す光電式キーボード1cでは、キー配列が前記第5の実施態様と同様にマトリクス状に構成されており、開孔部20の各横列の一端側に投光素子18が、他端側に受光素子21がそれぞれ各横列に対応して配置されている。また、開孔部20の各縦列の一端側に投光素子22が、他端側に受光素子23がそれぞれ各縦列に対応して配置されている。
【0078】この場合には、各受光素子21,23が開孔部20の横列および縦列の個数分だけで足りるので、受光素子の個数を大幅に減少させることができ、光電スイッチの構成をさらに簡略化することができる。なお、この実施態様においても、投光素子18,22としては、直進性に優れた半導体レーザが好ましい。
【0079】〔第7の実施態様〕前記第1ないし第6の実施態様においては、光電スイッチによる検出面Dを各開孔部20内に一つだけ有するキー入力装置の例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。図9および図10は、本発明の第7の実施態様による光電式キーボードにおけるキー入力装置の駆動系の概略ブロック図である。
【0080】この第7の実施態様では、各開孔部内に、第1の(1段目)検出面D1と、その下方に所定の間隔を隔てて配置された第2の(2段目)検出面D2とが設けられ、各検出面D1,D2に対応する光電スイッチがそれぞれ設けられている。すなわち、この場合には、図9R>9に示すような1段目キー入力装置と、図10に示すような2段目キー入力装置とが設けられる。
【0081】また、本実施態様のキー入力装置に用いられる面光源は、少なくとも二色の発光色を有するように構成されている。たとえば赤色および緑色のLEDをそれぞれ多数本用意し、これらを適当に組み合わせて面状に束ねたもので構成される場合には、発光色として、赤色、緑色の他に両者の混合色である橙色を表示できる。なお、発光色としては、これらの組合せの他に種々のものが考えられる。
【0082】図9に示すように、n個の1段目投光素子30には、これらを駆動する投光回路31が接続されている。また、各投光素子30に対応して設けられたn個の1段目受光素子32には、検出信号を出力するための1段目受光回路34がそれぞれ接続されている。
【0083】各受光回路34の出力側には、1段目入力判定回路35がそれぞれ接続されている。入力判定回路35は、1段目投光素子30および1段目受光素子32から構成される1段目光電スイッチが作動したかどうか、すなわち、透過型光電スイッチの場合には投光素子30からの出射光が受光素子32に受光されていないかどうか、また反射型光電スイッチの場合には投光素子30からの出射光が受光素子32に受光されているかどうかを判定するためのものである。受光回路34から検出信号が出力されれば、各入力判定回路35は判定出力である状態確認出力1,2,…,nをそれぞれ出力する。
【0084】状態確認出力は、図示しない面光源の駆動回路に入力される。入力判定回路35からの状態確認出力が入力されれば、駆動回路は面光源の発光色をたとえば緑色から赤色に変化させる。これにより、画像表示されていたキー情報の表示色も変化し、この色の変化によって、操作者は、所望のキーが選択されたかどうかの確認を行える。
【0085】一方、図10に示すように、n個の2段目投光素子40には、これらを駆動する投光回路41が接続されている。また、各投光素子40に対応して設けられたn個の2段目受光素子42には、検出信号を出力するための2段目受光回路44がそれぞれ接続されている。
【0086】各受光回路44の出力側には、2段目入力判定回路45がそれぞれ接続されている。入力判定回路45は、2段目投光素子40および2段目受光素子42から構成される2段目光電スイッチが作動したかどうかを判定するためのものである。受光回路44から検出信号が出力されれば、入力判定回路45は判定出力であるトリガ信号s′を出力する。
【0087】各入力判定回路45の出力側には、処理回路46が接続されている。処理回路46は、トリガ信号s′に基づいて所定の処理を行うことにより、検出信号が出力された開孔部20に予め表示されていたキー情報をキー入力信号として出力するためのものである。出力されたキー入力信号は、パソコン本体またはワープロ本体等の端末側の制御装置に送信される。
【0088】次に、本実施態様の作用効果について説明する。各開孔部近傍にそれぞれキー情報が表示された状態から、操作者が、キー入力すべき開孔部内に指を接近させると、まず、1段目キー入力装置の光電スイッチの検出面で検出されて光電スイッチが作動し、1段目入力判定回路35から状態確認出力が出力される。
【0089】この状態確認出力を受けて、面光源の駆動回路は面光源の発光色を変化させる。すなわち、たとえば緑色のLEDが点灯中の場合には、これを消灯して赤色のLEDを点灯させる。その結果、画像表示されていたキー情報の表示色も緑色から赤色に変化し、この色の変化によって、操作者は、所望のキーが選択されたかどうかの確認を行える。
【0090】次に、操作者が当該開口部内に指を挿入すると、2段目キー入力装置の光電スイッチの検出面で検出されて光電スイッチが作動し、2段目受光回路44から検出信号が出力される。そして、この検出信号を受けて2段目入力判定回路45からトリガ信号s′が出力される。出力されたトリガ信号s′は処理回路46に入力される。
【0091】処理回路46では、所定の処理が行われるとともに、光電スイッチによる検出信号が出力された開孔部に予め表示されていたキー情報がキー入力信号として出力される。出力されたキー入力信号は、パソコン本体またはワープロ本体等の端末側の制御装置に送信される。
【0092】このように、キー入力信号が実際に出力される前に、操作者により選択された開孔部におけるキー情報の表示色が変化するようになっているので、操作者の入力ミスを防止でき、確実なキー入力が行えるようになる。これにより、信頼性を向上できる。
【0093】〔第8の実施態様〕図11ないし図13は、本発明の第8の実施態様による光電式キーボードにおけるキー入力装置の駆動系の概略ブロック図であって、前記第7の実施態様の変形例を示している。なお、これらの図において、前記第7の実施態様と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0094】本実施態様においても、各開孔部内には、第1の(1段目)検出面D1と、その下方に所定の間隔を隔てて配置された第2の(2段目)検出面D2とが設けられ、各検出面D1,D2に対応する光電スイッチがそれぞれ設けられている。そして、図11に示すような1段目キー入力装置と、図12に示すような2段目キー入力装置とが設けられている。
【0095】この第8の実施態様では、1段目キー入力装置における入力判定回路の各出力a1,a2,…,anと、2段目キー入力装置における入力判定回路45の各出力b1,b2,…,bnとが、AND回路48を経て処理回路46に入力されるようになっている点が前記第7の実施態様とは異なっている。
【0096】したがって、この場合には、第1,第2の検出面D1,D2の双方で検出信号が出力されてはじめて、処理回路46からキー入力信号が出力される。これにより、操作者が開口部近傍に手指を接近させただけでは、処理回路46からキー入力信号が出力されないようになり、この結果、操作者の入力ミスを防止でき、確実なキー入力が行えるようになるので、信頼性を向上できる。
【0097】
【発明の効果】以上詳述したように本発明に係る光電式キーボードによれば、操作者が筐体の開孔部内に指を入れるだけでキー入力を行うことができるので、キーを押し込む力が不要になり、これにより、手指に障害のある身障者であっても簡単にキー入力を行えるようになる効果がある。また、筐体の上面に点字を記すことにより、手指の不自由な視覚障害者が点字の読取りを容易に行えるようになる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施態様による光電式キーボードの平面図。
【図2】図1の II-II線断面図であって、光電式キーボードを構成するキー入力装置の縦断面構成図。
【図3】各キー入力装置の駆動系の概略ブロック図。
【図4】本発明の第2の実施態様による光電式キーボードを構成するキー入力装置の縦断面構成図。
【図5】本発明の第3の実施態様による光電式キーボードの縦断面構成図。
【図6】本発明の第4の実施態様による光電式キーボードの平面図。
【図7】本発明の第5の実施態様による光電式キーボードの平面図であって、図6の変形例を示す図。
【図8】本発明の第6の実施態様による光電式キーボードの平面図であって、図7の変形例を示す図。
【図9】本発明の第7の実施態様による光電式キーボードにおける1段目キー入力装置の駆動系の概略ブロック図。
【図10】本発明の第7の実施態様による光電式キーボードにおける2段目キー入力装置の駆動系の概略ブロック図。
【図11】本発明の第8の実施態様による光電式キーボードにおける1段目キー入力装置の駆動系の概略ブロック図。
【図12】本発明の第8の実施態様による光電式キーボードにおける2段目キー入力装置の駆動系の概略ブロック図。
【図13】本発明の第8の実施態様による光電式キーボードにおける1段目および2段目キー入力装置の駆動系の処理装置部分の概略ブロック図。
【符号の説明】
1,1′ 光電式キーボード
1a,1b,1c 光電式キーボード
2 筐体
2a 上面
20,20′ 開孔部
6,46 処理回路
10,10′ キー入力装置
11,11′ 面光源
11a 発光面
12,12′ 画像シート(記銘板)
14,14′ レンズユニット
15,15′ 光電スイッチ
15a,15′a 投光素子
15b,15′b 受光素子
16 第1の光ファイバ
17 第2の光ファイバ
18,22 投光素子
19,21,23 受光素子
48 AND回路
A 結像面
D 検出面
F 指
【特許請求の範囲】
【請求項1】 操作者の手指が挿入され得る開孔部がキー配列に対応して複数個所に形成された筐体と、前記筐体内において前記開孔部の下方に配置され、キーの種別を表すキー情報が表示される表示部と、前記表示部に表示されたキー情報を、対応する前記開孔部近傍に正立実像の映像として結像させるためのレンズユニットと、前記開孔部内に挿入された操作者の手指を検出する光電スイッチと、前記光電スイッチによる検出信号に基づいて所定の処理を行うことにより、前記開孔部に表示されていたキー情報をキー入力信号として出力する処理回路と、を備えた光電式キーボード。
【請求項2】 前記光電スイッチを構成する投光素子および受光素子が、前記各開孔部の下方にそれぞれ対向配置されており、前記投光素子からの出射光が第1の光ファイバにより前記開孔部内の検出面に導入されるとともに、前記検出面を通過した光が第2の光ファイバにより受光素子に入射されるようになっている、ことを特徴とする請求項1記載の光電式キーボード。
【請求項3】 前記光電スイッチを構成する投光素子および受光素子が、前記各開孔部にそれぞれ設けられている、ことを特徴とする請求項1記載の光電式キーボード。
【請求項4】 前記光電スイッチを構成する投光素子が、前記複数の開孔部の横列の一端側に各横列に対応してそれぞれ配置されるとともに、前記光電スイッチを構成する受光素子が、前記各開孔部にそれぞれ設けられている、ことを特徴とする請求項1記載の光電式キーボード。
【請求項5】 前記複数の開孔部がマトリクス状に配列されるとともに、前記光電スイッチを構成する投光素子が、前記各開孔部の横列の一端側および縦列の一端側にそれぞれ各列に対応して設けられるとともに、前記光電スイッチを構成する受光素子が、前記各開孔部の横列の他端側および縦列の他端側にそれぞれ各列に対応して設けられている、ことを特徴とする請求項1記載の光電式キーボード。
【請求項6】 前記投光素子が半導体レーザから構成されている、ことを特徴とする請求項4または5記載の光電式キーボード。
【請求項7】 前記光電スイッチによる検出面が、第1の検出面と、その下方に所定の間隔を隔てて配置される第2の検出面とで構成されており、前記表示部が少なくとも二色の表示色を有し、前記第1の検出面での検出信号に基づいて前記表示部の表示色が変化するように構成されるとともに、第2の検出面での検出信号のみが前記処理回路に入力されるようになっている、ことを特徴とする請求項1記載の光電式キーボード。
【請求項8】 前記光電スイッチによる検出面が、上下方向に所定の間隔を隔てて配置される第1および第2の検出面で構成されるとともに、前記第1および第2の検出面での各検出信号が論理積回路を経て前記処理回路に入力されるようになっている、ことを特徴とする請求項1記載の光電式キーボード。
【請求項9】 前記筐体の上面には、前記キー情報を表示する点字が前記各開孔部に対応して記されている、ことを特徴とする請求項1記載の光電式キーボード。
【請求項1】 操作者の手指が挿入され得る開孔部がキー配列に対応して複数個所に形成された筐体と、前記筐体内において前記開孔部の下方に配置され、キーの種別を表すキー情報が表示される表示部と、前記表示部に表示されたキー情報を、対応する前記開孔部近傍に正立実像の映像として結像させるためのレンズユニットと、前記開孔部内に挿入された操作者の手指を検出する光電スイッチと、前記光電スイッチによる検出信号に基づいて所定の処理を行うことにより、前記開孔部に表示されていたキー情報をキー入力信号として出力する処理回路と、を備えた光電式キーボード。
【請求項2】 前記光電スイッチを構成する投光素子および受光素子が、前記各開孔部の下方にそれぞれ対向配置されており、前記投光素子からの出射光が第1の光ファイバにより前記開孔部内の検出面に導入されるとともに、前記検出面を通過した光が第2の光ファイバにより受光素子に入射されるようになっている、ことを特徴とする請求項1記載の光電式キーボード。
【請求項3】 前記光電スイッチを構成する投光素子および受光素子が、前記各開孔部にそれぞれ設けられている、ことを特徴とする請求項1記載の光電式キーボード。
【請求項4】 前記光電スイッチを構成する投光素子が、前記複数の開孔部の横列の一端側に各横列に対応してそれぞれ配置されるとともに、前記光電スイッチを構成する受光素子が、前記各開孔部にそれぞれ設けられている、ことを特徴とする請求項1記載の光電式キーボード。
【請求項5】 前記複数の開孔部がマトリクス状に配列されるとともに、前記光電スイッチを構成する投光素子が、前記各開孔部の横列の一端側および縦列の一端側にそれぞれ各列に対応して設けられるとともに、前記光電スイッチを構成する受光素子が、前記各開孔部の横列の他端側および縦列の他端側にそれぞれ各列に対応して設けられている、ことを特徴とする請求項1記載の光電式キーボード。
【請求項6】 前記投光素子が半導体レーザから構成されている、ことを特徴とする請求項4または5記載の光電式キーボード。
【請求項7】 前記光電スイッチによる検出面が、第1の検出面と、その下方に所定の間隔を隔てて配置される第2の検出面とで構成されており、前記表示部が少なくとも二色の表示色を有し、前記第1の検出面での検出信号に基づいて前記表示部の表示色が変化するように構成されるとともに、第2の検出面での検出信号のみが前記処理回路に入力されるようになっている、ことを特徴とする請求項1記載の光電式キーボード。
【請求項8】 前記光電スイッチによる検出面が、上下方向に所定の間隔を隔てて配置される第1および第2の検出面で構成されるとともに、前記第1および第2の検出面での各検出信号が論理積回路を経て前記処理回路に入力されるようになっている、ことを特徴とする請求項1記載の光電式キーボード。
【請求項9】 前記筐体の上面には、前記キー情報を表示する点字が前記各開孔部に対応して記されている、ことを特徴とする請求項1記載の光電式キーボード。
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図13】
【図3】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図4】
【図5】
【図13】
【図3】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開平10−198477
【公開日】平成10年(1998)7月31日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−357733
【出願日】平成8年(1996)12月29日
【出願人】(000000309)和泉電気株式会社 (188)
【公開日】平成10年(1998)7月31日
【国際特許分類】
【出願日】平成8年(1996)12月29日
【出願人】(000000309)和泉電気株式会社 (188)
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