説明

入室管理用のカードリーダー取付け構造

【課題】 入室管理システムにおけるカードリーダーの取付け構造であって、間仕切り装置の外観を損なうことなく、しかもメンテナンスや補修を容易に行うことが出来るカードリーダーの取付け構造の提供。
【解決手段】 部屋の入口ドアや引戸付近には所定の間隔をいて2本のスタッド9,8aを起立し、両スタッド間に形成される空間15の表面側には表面パネル13を設け、片方のスタッド9に取着した蝶番10を介して取付け板11を開閉可能に取付けると共に、該取付け板11には上記表面パネル13と近接又は接触状態でカードリーダー3を取着し、そして上記空間15の背面側にはスタッド9に設けたスライドヒンジ20を介して背面扉16を開閉可能に取付けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセキュリティが要求される特別な部屋へ入る際の管理システムを構成するカードリーダーの取付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高度情報社会において保護に値する情報ないし物品、装置類は極めて多く存在し、各種法人、地方公共団体、地方自治体、国家を問わずこれら秘匿性または機密性の高い情報や物品等が窃用若しくは盗難に遭遇すれば、諸団体自体ならびに責任者等にとって危急存亡の危機を招くことも起こり得る。なお、情報類の窃用若しくは盗難にはハードコピー、格納メディアの持ち出し、複写または電気通信回線を経由しての転送等による情報の内容のみの窃用ないし電子カメラによる盗撮等も含まれる。
【0003】
このような機密性の高い情報や物品類を保護するための一つの方策として、これら秘密保持対象を保管ないし収蔵するエリアに対して不特定人を近づけないように配慮しなくてはならない。その為に、上記秘密保持対象を保管している部屋への入室を許可された人にICカードを与え、入室時に所持しているICカードを入口付近に設置しているカードリーダーにて読み取らせる方法が採られている。
【0004】
ところで、カードリーダーを備えた入室管理システムに関する従来技術は色々知られている。例えば、特開2006−144384号に係る「セキュリティ強化入室管理システム」は、機密保持対象の保管施設等への出入者を厳格に管理するためのものである。そこで、第1、第2の扉、両側壁との間に形成される閉鎖空間の床面に敷設される体重信号検出手段と、閉鎖空間内であって第2の扉付近に設置される入室適格者判別のための個人情報識別センサと、個人情報識別センサ及び前記体重信号検出手段の出力を受けて前記第1、第2の扉の施・開錠制御を行う制御手段と、を備え、前記制御手段は閉鎖空間内が無人である場合に第1の扉の開錠を許容し、その後体重信号検出手段の出力信号を受けて第1の扉から後続者の進入を拒絶するように施錠した後、前記閉鎖空間内に設置された個人情報識別センサによって検出される個人識別情報を照合することによって入室希望者を特定し適格者と判断されることを条件として第2の扉の開錠を許可する。
【0005】
特開平7−139234号に係る「入室管理装置」は、入室者1名のみの入室を可能にするものであり、カードをカードリーダーに挿入しセキュリティデータが一致すると、ガードフラップのロックが解除され、把手を操作してガードフラップを開放すると、ドア、ガードフラップ及びガードバーの間に入室者1名分の空間が形成される。入室者が体重センサーに載ると体重が測定され、体重が1名分+荷物分以下であると、入室者1名のみが入室しようとしていると判断して、ドアのロックを解除する。入室者がドアを開くとこれに伴ってガードフラップが閉じられ、ガードフラップがロックされ、ドアを閉じるとドアがロックされる。
【特許文献1】特開2006−144384号に係る「セキュリティ強化入室管理システム」
【特許文献2】特開平7−139234号に係る「入室管理装置」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように部屋への入室管理システムに関する技術は従来から色々開発されている。ところで、近年では大きな建物内を仕切って各種の部屋空間が作られるが、建物内部を仕切る為の手段として間仕切り装置が用いられることが多い。本発明が対象とする部屋もこの間仕切り装置によって仕切られ、入口には引戸やドアが取付けられている。ところで、間仕切り装置によって仕切られた部屋の入口付近に入室管理システムを構成するカードリーダーを取付けることになるが、このカードリーダーの取付けに関し、後のメンテナンスや補修を考慮した取付け構造でなくてはならない。
【0007】
又、入口付近に取付けたカードリーダーが間仕切り装置の外観を損なうような取付け構造であってはならない。本発明は間仕切り装置の外観を損なうことなく、しかもメンテナンスや補修が容易に行うことが出来るカードリーダーの取付け構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のカードリーダー取付け構造は、入口の付近に所定の間隔をおいて起立したスタッド間に形成される空間にカードリーダーを取付けている。又、必要に応じてカードリーダーの他にテンキーや指紋認証器を取付けることもある。カードリーダーは取付け板に取着されるが、この取付け板は一方のスタッドに設けた蝶番などの継手を介して開閉可能としており、他方のスタッドには閉じた取付け板の先端を止着する為の止着手段を備えている。例えば、ネジ止めすることが出来る。
【0009】
そして、スタッドの背面側には背面扉が取付けられて開閉可能としている。カードリーダーを点検する場合には背面扉を開いてから取付け板を開くことで行われる。カードリーダーは取付け板の正面側に取着され、同じくテンキー及び指紋認証器も正面側に取着されている。そして、スタッドの正面側には正面パネルが取付けられて上記カードリーダーは正面パネルに近接又は接している。
【0010】
従って、ICカードなどを正面パネルに近づけることで該正面パネルの背面側に配置されるカードリーダーは機能する。勿論、テンキーも正面パネル側から操作し、指紋認証器も正面パネルに設けた開口から行われる。ここで、上記正面パネルの取付け構造は特に限定しないが、間仕切り装置の間仕切りパネルとほぼ同一面と成るようにパネル押えによって取付けることが出来る。
【発明の効果】
【0011】
カードリーダーは入口付近に起立した両スタッドによって形成される空間に取付けられ、しかもカードリーダーは開閉出来る取付け板に取着されている為に、メンテナンスや補修が必要な時には該取付け板を開いて行うことが出来る。そして、カードリーダーの正面には表面パネルが取付けられているために、表面パネルを介して非接触状態で機能し、その為にカードリーダーが表面化しない為に、間仕切り装置の外観を損なうことはない。又、背後には背面扉が取付けられているが、間仕切りパネルと同じ外観となっている。
【実施例】
【0012】
図1はカードリーダーを備えた間仕切り装置の正面図を表している。同図の1はドア、2は間仕切りパネル、3はカードリーダー、4はテンキー及び指紋認証器をそれぞれ表している。上記ドア1は通常ロックされていて、誰でも開いて入室することは出来ない。入室する際にはドア1の隣に備えている上記カードリーダー3、テンキー及び指紋認証器4にて確認された人だけがドア1を開くことが出来るように自動管理されている。
【0013】
本発明では上記カードリーダー3、テンキー及び指紋認証器4の具体的な構成は限定しない。例えば、カードリーダー3の場合、該カードリーダー3から微弱な電波を放出し、各自が所持しているICカードを近づけるならば、カードに組み込んでいるICチップの固有情報をカードリーダー3へ送り出すように構成することが出来る。
【0014】
図2は入口のドア1とカードリーダー3の取付け構造を示す断面図であり、ドア1は部屋の入口5に取付けられ、ヒンジ6を介して開閉可能と成っている。該ドア1は間仕切り装置の一部として構成され、入口5には門形枠体が据え付けられ、上記ヒンジ6は門形枠体の一方側縦桟7bに取着され、他方側の縦桟7aはドア1が閉じる際の戸当りとしている。
【0015】
門形枠体の両縦桟7a,7bの両側にはスタッド8a,8bが起立している。そして、該スタッド8aと所定の距離を隔てた位置には別なスタッド9が起立しており、両スタッド9,8a間の空間15にカードリーダー3が取付けられている。スタッド9には蝶番10が設けられ、この蝶番10には取付け板11が開閉可能に取付けられている。
【0016】
そして、上記カードリーダー3はこの取付け板11の正面側に取着される。同図の実線は取付け板11が閉じている場合であって、取付け板11の先端はスタッド8aに固定したL形金具12にネジ止めされている。ところで、両スタッド9,8aにて形成される空間15の正面側には正面パネル13が取付けられていて、上記カードリーダー3が表面化しない用にカバーされている。ここで、正面パネル13はスタッド9,8aの内側にネジ止めしたパネル押え14a,14bに形成している溝に側縁が嵌って取付けられている。
【0017】
正面パネル13はガラス板で構成され、裏面にはカードリーダー3が透けて見えないようにシールが貼着されている。ところで、取付け板11の正面側にカードリーダー3が取着されることで、該カードリーダー3のメンテナンス又は補修時には、点線で示しているように取付け板11を開いて行うことが出来る。すなわち、本発明ではメンテナンスなどの作業性を考慮して開閉出来る取付け板11に取着した取付け構造と成っている。
【0018】
この取付け板11には上記カードリーダー3の他にテンキー及び指紋認証器4も取着されていて、テンキー及び指紋認証器4のメンテナンスや補修時にも取付け板11を開いて行うことが出来る。そして、両スタッド9,8a間に形成される空間15の背面側には背面扉16を取付けていて、上記取付け板11をカバーしている。又、後述する電源ユニット17及びコントローラー18をカバーしている。
【0019】
背面扉16はスタッド9に設けたスライドヒンジ20によって開閉出来るように取り付けられている。勿論、背面扉16の取付け継手をスライドヒンジ20に限定するものではないが、スライドヒンジ20に備わっているバネ力によって背面扉16は常に閉じるように作用する。
【0020】
そして、背面扉16は間仕切り用のパネル2とほぼ同一形状とし、部屋の内側からは幅の狭いパネルが据え付けられていて間仕切り装置の一部を構成しているパネル外観を呈している。一方、上記両スタッド9,8a間の空間15には電源ユニット17とコントローラー18が収容されている。これら、電源ユニット17及びコントローラー18は上記カードリーダー3の下方に収容され、両スタッド9,8aに跨って取着した取付け板19に取付けられている。
【0021】
図3は電源ユニット17を取付け板19に取付けた場合の断面図を表しているが、電源ユニット17及びコントローラー18は該取付け板19の背面側に取り付けられている。従って、背面扉16を開くことで電源ユニット17及びコントローラー18のメンテナンスや補修を行うことが出来る。
【0022】
該コントローラー18は制御装置であり、カードリーダー3、テンキー及び指紋認証器4からの信号を受けて、ドア1のロックを開錠することが出来る。電源ユニット17は上記カードリーダー3、テンキー及び指紋認証器4が作動するに必要な電源として機能している。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】ドアの隣にカードリーダー、テンキー及び指紋認証器を備えた間仕切り装置。
【図2】本発明に係るカードリーダーの取付け構造。
【図3】電源ユニットの取付け構造。
【符号の説明】
【0024】
1 ドア
2 パネル
3 カードリーダー
4 テンキー及び指紋認証器
5 入口
6 ヒンジ
7 縦桟
8 スタッド
9 スタッド
10 蝶番
11 取付け板
12 L形金具
13 正面パネル
14 パネル押え
15 空間
16 背面扉
17 電源ユニット
18 コントローラー
19 取付け板
20 スライドヒンジ






【特許請求の範囲】
【請求項1】
入室管理システムにおけるカードリーダーの取付け構造において、部屋の入口ドアや引戸付近には所定の間隔をおいて2本のスタッドを起立し、両スタッド間に形成される空間の表面側には正面パネルを設け、片方のスタッドに取着した蝶番などの継手を介して取付け板を開閉可能に取付けると共に、該取付け板には上記表面パネルと近接又は接触状態でカードリーダーを取着し、そして上記空間の背面側にはスタッドに設けたスライドヒンジなどの継手を介して背面扉を開閉可能に取付けたことを特徴とするカードリーダーの取付け構造。
【請求項2】
上記取付け板にはカードリーダーの他にテンキーを取付けた請求項1記載のカードリーダーの取付け構造。
【請求項3】
上記取付け板にはカードリーダーの他に指紋認証器を取付けた請求項1、又は請求項2記載のカードリーダーの取付け構造。
【請求項4】
上記両スタッド間に取着した取付け板には電源ユニット及びコントローラーを取付けた請求項1、請求項2、又は請求項3記載のカードリーダーの取付け構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−57152(P2008−57152A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−233242(P2006−233242)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(000105693)コマニー株式会社 (105)
【Fターム(参考)】