説明

全稈投入型脱穀機

【課題】 選別部からの2番処理物を揺動選別装置に還元するものでありながら、揺動選別装置による選別処理が効率よくかつ精度よく行なわれる全稈投入型脱穀機を提供する。
【解決手段】 受網39の上端39aと扱室天板65の間に設けた仕切り壁67と、脱穀機体横側壁60とにより、処理物通路68を選別室BRに連通した状態で脱穀機体内に形成してある。選別部Bからの2番処理物を還元搬送装置50によって搬送し、還元搬送装置50の処理物通路68に臨む吐出口54から脱穀機体内に吐出して揺動選別装置32に還元するように構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈取穀稈の全体を扱室に投入して回動する扱胴によって脱穀処理する脱穀部を備え、前記扱室から落下した脱穀処理物を揺動選別装置と、脱穀機体内の前端部から脱穀機体後方向きに供給される選別風とによって選別処理する選別部を備えた全稈投入型脱穀機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記脱穀機においては、選別部から送り出された2番処理物を揺動選別装置に再処理させるべく還元するように構成される。
この種の脱穀機としては、従来、たとえば特許文献1に示されるように、2番物を2番物回収用スクリューコンベヤ23から還元装置24を介して揺動選別ケース20に戻すように構成したものがあった。
【0003】
従来、特許文献2に示されるように、選別装置Bの始端部付近に補助唐箕18を設け、2番還元装置9の吐出口20から飛散して選別装置Bに還元される2番物に対して補助唐箕18からの選別風が選別作用するように構成したものがあった。
【0004】
【特許文献1】特開平11−155347号公報(〔0022〕段、図2)
【0005】
【特許文献2】特開平7−274693号公報(〔0012〕段、図1,2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
全稈投入型の脱穀機にあっては、刈取穀稈の株元から穂先までの全体を扱室に供給して脱穀処理されることから、扱室で発生するワラ屑などが多くなり、選別部から搬送される2番処理物に混入するワラ屑なども多くなる。2番処理物が混入ワラ屑などの多いままで揺動選別装置に還元されると、揺動選別装置の選別能力や選別精度が低下しやすくなる。
【0007】
特許文献2に開示された技術を採用することにより、搬送装置からの処理物が選別作用を受けてから揺動選別装置に供給されるようにすると、補助唐箕などのためにコスト高や、複雑な構造になりがちであった。
【0008】
本発明の目的は、2番処理物の還元にかかわらず揺動選別装置による選別を効率よくかつ精度よく行なわせることができるものを安価かつ構造簡単に得ることができる全稈投入型脱穀機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本第1発明にあっては、刈取穀稈の全体を扱室に投入して回動する扱胴によって脱穀処理する脱穀部を備え、前記扱室から落下した脱穀処理物を揺動選別装置と、脱穀機体内の前端部から脱穀機体後方向きに供給される選別風とによって選別処理する選別部を備えた全稈投入型脱穀機において、
前記扱室の受網の上端と天板との間に、扱室と脱穀機体内空間とを区画する仕切り壁を設けるとともに、前記仕切り壁と、脱穀機体横側壁とにより、処理物通路を前記選別部の選別室に連通した状態で脱穀機体内に形成し、前記選別部からの2番処理物を前記揺動選別装置に還元する搬送装置の脱穀機体内に連通する吐出口を、前記処理物通路に臨ませてある。
【0010】
すなわち、前記仕切り壁と脱穀機体横側壁とが処理物通路を選別室に連通した状態で形成していることにより、選別室から流れ出た選別風の一部が処理物通路に流入してこの処理物通路を脱穀機体後方向きに流動し、選別部からの処理物が搬送装置の吐出口から脱穀機体内に吐出されると、選別室から処理物通路に流入する選別風による選別作用を受けて穀粒と、塵埃とに選別されて揺動選別装置に落下する。しかも、処理物通路やその付近を機体後方向きに流動する選別風のために塵埃が穀粒より機体後方側に飛散して選別室からの塵埃と共に機体外に排出されるか、揺動選別装置に対して穀粒よりも処理物移送方向下手側で落下する。これにより、選別部からの2番処理物が混入塵埃の多い状態で戻されても、選別風によって穀粒と塵埃とに選別して、かつ、塵埃が穀粒よりも揺動選別装置の処理物移動方向に分離した状態で揺動選別装置に還元させることができる。場合によっては、選別された塵埃が選別風によって流され、揺動選別装置に戻らないで機体外に排出されることも可能である。
【0011】
従って、本第1発明によれば、選別部からの2番処理物を揺動選別装置に還元するものでありながら、穀粒と塵埃とに選別して揺動選別装置に対して処理物移送方向に分離させて還元することができ、場合によっては塵埃を機体外に排出することができ、揺動選別装置による選別を還元物にかかわらず効率よくかつ精度よく行なわせて選別部による選別処理を能率よく行なわせることができる。それでありながら、仕切り壁を設けるだけで済むとともに、選別室に選別風を供給する送風手段を還元物の選別処理用に利用して経済面でも構造面でも有利に得ることができる。
【0012】
本第2発明にあっては、本第1発明の構成において、前記搬送装置に、処理物揚送筒の脱穀機体前方向きに開口する排出口と、前記排出口と前記吐出口を連通させる連通部材とを備えさせ、前記連通部材に、前記排出口からの処理物を脱穀機体前後方向に分散して前記吐出口から流出するように案内する傾斜ガイド面を備えてある。
【0013】
すなわち、搬送装置の排出口から排出された処理物が連通部材の傾斜ガイド面による案内によって脱穀機体前後方向に分散して吐出口から脱穀機体内に吐出されるものだから、脱穀機体内に吐出された処理物は、選別室から処理物通路に流入する選別風の作用を受けやすくなり、穀粒と塵埃とに精度よく選別されて揺動選別装置に還元される。
【0014】
従って、本第2発明によれば、選別部からの処理物を傾斜ガイド面の案内による分散によって穀粒と塵埃とにより精度よく選別して揺動選別装置に還元させて、揺動選別装置による選別処理を還元物にかかわらずより効率よくかつ精度よく行なわせることができる。
【0015】
本第3発明にあっては、本第1又は第2発明の構成において、前記扱胴を、この扱胴の回動軸芯が前記揺動選別装置の脱穀機体横方向での中心に対して前記処理物通路が位置する側と反対側に偏在する状態で配置してある。
【0016】
すなわち、扱胴の前記偏在配置のために脱穀機全体の機体横方向での横幅の割には、処理物通路の脱穀機体横方向での横幅が広くなり、脱穀機体内に吐出された処理物が広範囲にわたって分散して選別風による選別作用をより受けやすくなる。
【0017】
従って、本第3発明によれば、脱穀機体を横幅が比較的狭いコンパクトなものにしながら、選別部からの還元物を穀粒と塵埃とにより精度よく選別した状態で揺動選別装置に還元して、揺動選別装置による選別処理を還元物にかかわらずより効率よくかつ精度よく行なわせることができる。
【0018】
本第4発明にあっては、本第1〜第3発明のいずれか一つの構成において、前記仕切り壁を、脱穀機体の機体前後向きの機体フレームと、この機体フレームと前記扱室天板の間に位置する板金部材とによって構成してある。
【0019】
すなわち、仕切り壁を機体フレームと板金部材とによって構成し、特別な強度部材を設けなくとも、機体フレームによって強度を仕切り壁に備えさせることができる。
【0020】
従って、本第4発明によれば、仕切り部材に優れた強度を備えさせることができながら、機体フレームを強度部材に利用して経済面や構造面で有利に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する
図1,2,3に示すように、クローラ式走行装置1によって自走するように構成し、かつ、運転座席2が装備された搭乗型運転部、運転座席2の下方に位置するエンジン3が装備された原動部を備えた自走機体の機体フレーム4に脱穀機Dを搭載し、自走機体の前記原動部の後方側に、穀粒タンク11を有する穀粒袋詰め部10を前記脱穀機Dと自走機体の横方向に並ぶように配置して設け、前記脱穀機Dの機体前端部に、回転リール23を有する刈取り前処理部20のフィーダ21の後端部を回動自在に連結するとともに、前記フィーダ21にリフトシリンダ5を連動させて、稲などを収穫する全稈投入型コンバインを構成してある。
【0022】
すなわち、リフトシリンダ5を伸縮操作すると、このリフトシリンダ5がフィーダ21を脱穀機Dに対して上下に揺動操作することにより、刈取り前処理部20を分草具22などが地面上近くに位置した下降作業状態と、分草具22などが地面上から高く上昇した上昇非作業状態とに自走機体に対して昇降操作する。刈取り前処理部20を下降作業状態にして自走機体を走行させると、刈取り前処理部20は、分草具22によって植立穀稈を刈取り対象と非刈取り対象とに分草し、分草具22からの刈り取り対象の植立穀稈の穂先側を回動する回転リール23によってプラットホーム24の内部に位置するオーガ25の方に掻き寄せながら、プラットホーム24の前端部に位置するバリカン型の刈取装置26によって株元側を刈取り、刈取穀稈を機体横向きの軸芯周りで回動する前記オーガ25によって横送りし、これによって前記フィーダ21の入り口の前方に到達した刈取穀稈をオーガ25と共に回動する棒状の掻き送り爪25aによってフィーダ21に掻き込み、フィーダ内に入った刈取穀稈の株元から穂先までの全体をフィーダ内で回動駆動されるフィーダコンベヤ27によってフィーダ21に沿わせて後方上方に搬送して脱穀機Dの機体内に送り込む。脱穀機Dは、刈取穀稈を脱穀処理し、脱穀粒を袋詰め部10の穀粒タンク11に供給し、脱穀排ワラを脱穀機体の後部から放出する。
【0023】
脱穀機Dについてさらに詳述すると、図4に示すように、この脱穀機Dは、脱穀機体内の上部に位置する扱室30、この扱室30に脱穀機体前後向きの軸芯Xまわりで回動自在に設けた扱胴31などを備えた脱穀部A、脱穀機体内の下部に位置する選別室BRや、前記扱室30の下方に駆動揺動自在に位置する揺動選別装置32などを備えた選別部B、この選別部Bの選別室BRの底部に設けた脱穀機体横向きの1番スクリューコンベヤ33及び2番スクリューコンベヤ34、脱穀機体の前記袋詰め部10が位置する方の横外側に設けた搬送装置35、処理装置40、還元搬送装置50、前記扱室30の送塵口37や前記選別部Bからのワラ屑を細断処理して脱穀機体の後方に落下放出するように扱室後部の下方に駆動回動自在に設けた細断チョッパー38を備えて構成してある。
【0024】
脱穀部Aは、前記フィーダコンベヤ27によって扱室30の入り口に送り込まれた刈取穀稈の株元から穂先までの全体を扱胴31の前端部に位置する螺旋状の掻き込み羽根31aによって扱室30に掻き込み、この掻き込み羽根31aからの刈取穀稈を回動する扱胴31の扱歯31bによって扱室内を後方側に搬送しながら脱穀処理し、脱穀粒などの脱穀処理物を受網39から落下させ、脱穀排ワラを扱室30の後部に位置する送塵口37から排出する。
【0025】
選別部Bは、扱室30の受網39から選別室BRに落下した脱穀処理物を前記揺動選別装置32によって受け止め、この揺動選別装置32によって脱穀機体後方向きに搬送しながら、この揺動選別装置32のグレンパン32a、チャフシーブ32b、ストローラック32c、グレンシーブ32dによる揺動選別と、揺動選別装置32の前端側の下方に位置する唐箕36によって脱穀機体内の前端部から脱穀機体後方向きに供給される選別風とによって穀粒と、ワラ屑などの塵埃とに選別し、穀粒を揺動選別装置32から落下させ、塵埃を前記細断チョッパー38に供給する。
【0026】
前記1番スクリューコンベヤ33は、選別部Bからの1番処理物を受け止めて脱穀機体の横外側に搬送し、前記搬送装置35は、スクリューコンベヤで成り、1番スクリューコンベヤ33からの処理物を揚送して袋詰め部10の穀粒タンク11に供給する。前記2番スクリューコンベヤ34は、選別部Bからの2番処理物を受け止めて脱穀機体の横外側に搬送して前記処理装置40に供給する。
【0027】
図7,8に示すように、前記処理装置40は、脱穀機の機体横側壁60の外面側に前記2番スクリューコンベヤ34の搬送終端部に処理物導入口41で連通した状態で設けた処理ケース42、この処理ケース42の内部に設けた処理回転体43を備えて構成してある。
【0028】
前記処理回転体43は、この処理回転体43の回転方向に並ぶ複数枚の処理羽根34aを備えているとともに前記2番スクリューコンベヤ34のスクリュー軸34aの端部に一体回転自在に連結されている。前記処理ケース42の内壁面に、前記処理回転体43の回転方向に並ぶ複数の処理突起44を固設してある。
【0029】
つまり、処理装置40は、2番スクリューコンベヤ34によって選別部Bから搬出された2番処理物やワラ屑などを,その2番スクリューコンベヤ34の送り作用によって処理ケース42の内部に導入し、処理ケース内に入った2番処理物を、2番スクリューコンベヤ34の駆動力によって回転駆動される処理回転体43の処理羽根43aと、処理ケース42に固定の処理突起44とによって精粒化するように処理し、処理後の精粒も、ワラ屑も処理回転体43の処理羽根43aによる放てき作用によって処理ケース42の送出口から還元搬送装置50に供給する。
【0030】
図5,7,8などに示すように、前記還元搬送装置50は、前記処理ケース42の送出口に下端側が連通した脱穀機体上下向きの処理物揚送筒51、及び、この処理物揚送筒51の内部に回動自在に位置するスクリュー52を備えて構成してあり、スクリューコンベヤ形の搬送装置になっている。
【0031】
図5,6に示すように、前記処理物揚送筒51の上端部に脱穀機体前方向きに開口するように形成して設けた排出口53、脱穀機体の機体横側壁60に設けた貫通孔で成っていて、脱穀機体内に連通している吐出口54、この吐出口54と前記排出口53を連通させるように構成して前記機体横側壁60の外面側に固設した板金製の連通部材55を、前記還元搬送装置50に備えてある。前記連通部材55の内面側に傾斜ガイド面56を備えさせるとともに、この傾斜ガイド面56は、脱穀機体上下方向視で前記排出口53から脱穀機体前方側に離れるほど脱穀機体内に近づく状態に傾斜したガイド面になっている。
【0032】
図5,6に示すように、扱室30の受網39を受け止め支持させるガイドレール61を支持するように脱穀機体の前壁62と後壁63とにわたって連結した状態で脱穀機体内に設けた機体前後向きの角形鋼管材で成る機体フレーム64と、この機体フレーム64と扱室天板65との間に設けた板金部材66とにより、受網39の上端39aと扱室天板65との間に位置する仕切り壁67を構成してある。この仕切り壁67は、脱穀機体内の前壁62から後壁63に至る全長にわたって存在していて、扱室30と脱穀機体内空間とを扱室30の脱穀機体前後方向での全長にわたって区画している。前記仕切り壁67と、前記還元搬送装置50の前記吐出口54が位置する脱穀機体横側壁60とは、処理物通路68を脱穀機体内の上部に脱穀機体内の機体前後方向での全長にわたって形成している。前記処理物通路68は、処理物通路68の脱穀機体前後方向での全長にわたって脱穀機体下方向きに開口しており、受網39と脱穀機体横側壁60との間を介して選別部Bの選別室BRに連通していて、唐箕36から選別室BRに供給された選別風が流入し得るようになっている。
【0033】
図5に示すように、扱胴31を、この扱胴31の回動軸芯Xが前記揺動選別装置32の脱穀機体横方向での中心Yに対して前記処理物通路68が位置する側とは反対側に偏在する状態に配置してあり、これにより、脱穀機体全体の横幅の割りに、前記仕切り壁67と脱穀機体横側壁60との間隔が大になって処理物通路68の脱穀機体横方向での横幅も広くなっている。還元搬送装置50の前記吐出口54は、この吐出口54の上端側の一部が前記処理物通路68に臨む状態にして、脱穀機体横側壁60の処理物通路68の下部付近に位置するように配置してある。
【0034】
従って、還元搬送装置50は、処理装置40から伝動ケース45を介して伝達される駆動力によってスクリュー52を回動駆動し、選別部Bから2番スクリューコンベヤ34によって搬出された処理物を、処理装置40で未処理粒が精粒化するように処理した後に揚送搬送筒51とスクリュー52とによって揚送し、揚送終端部において、スクリュー軸52aに一体回転自在に連結されている回転羽根57の放てき作用によって排出口53から脱穀機体前方向きに排出して吐出口54から脱穀機体内の上部に吐出し、脱穀機体内を自然落下させて揺動選別装置32に還元する。処理物を排出口53から排出して吐出口54から吐出する際、処理物が連通部材55の傾斜ガイド面56に沿う方向に流動しながら吐出口54から脱穀機体内に吐出されることにより、処理物を傾斜ガイド面56による案内によって脱穀機体前後方向に分散させてその分散状態で吐出口54から吐出する。
これにより、選別部Bから還元搬送装置50によって揺動選別装置32に還元される処理物は、吐出口54から脱穀機体内に吐出された際、選別室BRから処理物通路68に流入する唐箕36からの選別風による選別作用を受けて穀粒と塵埃とに選別され、処理物通路68やその付近を脱穀機体後方向きに流動する選別風のためにワラ屑などの塵埃が揺動選別装置32に穀粒よりも処理物移送方向下手側で落下する状態になって揺動選別装置32に還元される。
【0035】
図2,3に示すように、穀粒袋詰め部10は、運転座席2の後方の脱穀機Dの横側に脱穀機Dと平行に位置する前記穀粒タンク11、この穀粒タンク11の自走機体前後方向に並ぶ複数の漏斗形底部11aに設けた穀粒吐出筒12、前記各穀粒吐出筒12の両横側に位置する袋支持杆13、穀粒タンク11に連結された固定ハンドル15、前記穀粒タンク11の下方に位置するように配置して機体フレーム4上に設けた袋受けデッキ16、この袋受けデッキ16の横端部に連結された補助者用ステップ14を備えて構成してある。
【0036】
穀粒タンク11の脱穀機Dに面している部分に前記搬送装置35が接続されており、穀粒タンク11は、脱穀機Dから前記搬送装置35によって供給された脱穀粒を回収して貯留し、貯留した脱穀粒を開き操作された前記穀粒吐出筒12から吐出するようになっている。補助者用ステップ14は、上下揺動自在に枢支されていて、上下に揺動操作することにより、袋受けデッキ16から自走機体横外側向きにほぼ水平に延出する状態に倒伏した使用状態と、原動部のエンジンボンネット6の横外側面に沿った状態に起立した格納状態とに切り換わるようになっている。
【0037】
つまり、穀粒袋詰め部10は、袋支持杆13の基端側に空の穀粒袋17を装着して収納しておき、穀粒吐出筒12毎において、空の穀粒袋17を袋支持杆13の基端側から先端側に取り出してその穀粒袋17の開口を穀粒吐出筒12に装着することにより、穀粒袋17の底側が袋受けデッキ16によって受け止め支持された状態になって穀粒タンク11から穀粒袋17に穀粒が吐出されて、穀粒タンク11に貯留された脱穀粒の袋詰めが行なえるようになっている。この袋詰め作業の際、補助者ステップ14を使用状態にして袋詰め作業者が使用するようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】全稈投入型コンバイン全体の左側面図
【図2】全稈投入型コンバイン全体の右側面図
【図3】全稈投入型コンバイン全体の平面図
【図4】脱穀機の断面図
【図5】脱穀機の処理物通路配設部での断面図
【図6】処理物通路の平面図
【図7】処理装置の断面図
【図8】還元搬送装置の断面図
【符号の説明】
【0039】
30 扱室
31 扱胴
39a 受網の上端
50 搬送装置
51 処理物揚送筒
53 排出口
54 吐出口
55 連通部材
56 傾斜ガイド面
60 脱穀機体横側壁
64 機体フレーム
65 扱室天板
66 板金部材
67 仕切り壁
68 処理物通路
A 脱穀部
B 選別部
BR 選別室
X 扱胴回動軸芯
Y 揺動選別装置の中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取穀稈の全体を扱室に投入して回動する扱胴によって脱穀処理する脱穀部を備え、前記扱室から落下した脱穀処理物を揺動選別装置と、脱穀機体内の前端部から脱穀機体後方向きに供給される選別風とによって選別処理する選別部を備えた全稈投入型脱穀機であって、
前記扱室の受網の上端と天板との間に、扱室と脱穀機体内空間とを区画する仕切り壁を設けるとともに、前記仕切り壁と、脱穀機体横側壁とにより、処理物通路を前記選別部の選別室に連通した状態で脱穀機体内に形成し、
前記選別部からの2番処理物を前記揺動選別装置に還元する搬送装置の脱穀機体内に連通する吐出口を、前記処理物通路に臨ませてある全稈投入型脱穀機。
【請求項2】
前記搬送装置に、処理物揚送筒の脱穀機体前方向きに開口する排出口と、前記排出口と前記吐出口を連通させる連通部材とを備えさせ、前記連通部材に、前記排出口からの処理物を脱穀機体前後方向に分散して前記吐出口から流出するように案内する傾斜ガイド面を備えてある請求項1記載の全稈投入型脱穀機。
【請求項3】
前記扱胴を、この扱胴の回動軸芯が前記揺動選別装置の脱穀機体横方向での中心に対して前記処理物通路が位置する側と反対側に偏在する状態で配置してある請求項1又は2記載の全稈投入型脱穀機。
【請求項4】
前記仕切り壁を、脱穀機体の機体前後向きの機体フレームと、この機体フレームと前記扱室天板の間に位置する板金部材とによって構成してある請求項1〜3のいずれか1項に記載の全稈投入型脱穀機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−14708(P2006−14708A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−198459(P2004−198459)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】