説明

公衆トイレに於ける汚物の搬送装置及び搬送方法

【課題】数多くの大便器が、直列に配置される公衆トイレに於いて、個々の便器が多量の水を流さない節水便器用の汚物搬送装置を提供する。
【解決手段】従来の大型の公衆トイレに使われているUバート1を利用し、Uバート1の上流側から、便器洗浄に利用した汚水を流してUバート1内に溜まった汚物、汚水の搬送に用いる。これを一定量、一定時間毎に循環させることにより超節水型便器又は超々節水型便器の取付を可能にした。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は数台の便器を直列に配置した大型公衆トイレの汚物及び汚水の搬送装置及び搬送方法に関する。
【技術背景】
【0002】
本発明はUバートと呼ばれるU字型の排水溝を利用して、水洗便器から排出される汚物と洗浄水を流下させる排水装置である。
Uバートは道路休憩施設のトイレ等に於いて使われており、通常の排水管に比べて断面積が格段に大きく、配管上部の余裕空間が十分にとられており、底部が300φ塩ビパイプを半割にした大きさがあるために、多少の異物が入ってもつまることがない。(図1に断面を示している)又上部が蓋型になっているため万一の修理の場合にも配管を掘り返す手間がかからない。又使用中の落とし物もつまり難くいつかは流されていく。
【0003】
このUバートは普通の勾配で使っていると汚物の搬送のために大量の水を必要とするので、節水型の便器が使えず、13リットル/回という大洗浄水量の水洗便器が使われており、水道料金、下水道料金を押し上げる原因になっている。
【0004】
一方便器の節水技術は大巾に進んでおり家庭用には4.8リットル/回の超節水便器が発売されている他、便器の大きな汚れ落としのために1リットル/回以下の水を排水路に流してから、便器を本格的に洗浄する水は別流路で回収し、これを濾過滅菌して便器洗浄水として循環利用する超々節水便器も上市されている。
このような便器を公衆トイレに使用すると極めて大きな節水効果が得られる。
・住宅用便器4.8リットル/回を使用した場合約63%
・超々節水便器(落下洗浄水0.6リットル/回)を使用した場合95%
Uバートが現在有効に使われておらず、節水の障害になっていることから、このUバ ートを有効に利用する方法を考えたい。
【特許文献1】 特許第4237725号
【実案文献2】
実用新案登録第3118862号
【発明の開示】

【発明が解決使用とする課題】
【0005】
配管上部に十分な余裕空間のあるUバートの特徴を利用して、現在住宅用に市販されている、4.8リットル/回の超節水便器から0.8リットル/回の超々節水便器まで、設置可能にしUバートの優れた特性を発揮出来る方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前記の課題を解決するために、搬送を便器の洗浄水に頼らず他のいろいろの水を集め、搬送水とした上にその搬送水を更に循環搬送させる。暗渠の中で流す限りは、浄化槽排水でもその使用は許されており、汚水を搬送に使っても何等問題は無い。
【0007】
本発明は下記の構成にしたことを特徴とする。
1.大便器数台に連結したUバートの下流側に集水槽を設け、該槽には汚物と洗浄水の他の雑排水、掃除水等も流入するようにし、槽内に設けた汚物ポンプを必要に応じた一定間隔で作動させ、所望の水量をUバート上流側に循環送水することを特徴とする。
2.Uバート上流側にUバート搬送水槽を設け雨水、河川水、たまり水等を貯溜し、そこに前記集水槽から所望の水量を所望の間隔でUバートに送水することを特徴とする。
【0008】
Uバートの下流側に設けた集水槽3は汚物及びその洗浄水の他、雑排水、掃除水も他から流入させている。集水槽の埋設位置は、大便器系列が複数ある場合でも、出来るだけ各Uバートの上部に送水可能な位置に設置する。Uバートの上流側に直接ポンプ送水する場合には1回の送水量を30リットルから50リットルに設定し毎秒1リットルの水量を目途に送水する。1回の送水量は設置された大便器の数によって決める。
送水回数は使用人数の算定によるが、使用人数の変動に従い送水間隔を変更出来るようなマイコン機能を搭載する。
ポンプは軟質固型物は破砕搬送する汚泥ポンプが望ましい。
上記送水ポンプには集水槽内の配管路上に切替バルブを設け、槽の水位を感知するフロートバルブスイッチに連動させ、必要水量以上の汚水は浄化槽又は汚水処理装置へ自動送水させる。
【0009】
雑排水を排出する店舗等のないパーキングエリア等では、循環蒸発によって少しずつ減る循環水を補うために、Uバート洗浄水槽4をUバート上流側に設置して、上水、雨水、湧水等を加えて貯溜する。
この槽には可なり口径の大きい吐水口を設け、バタフライバルブ等を開閉し、一気に所望の水量を流すようにする。この際の集水槽3からUバート洗浄水槽4までの給水ポンプは小能力のもので良い。当然ながらUバート洗浄水槽からのオーバーフロー水は集水槽3に入り、余分な水は浄化槽又は処理装置へ送水される。
【発明の効果】
【0010】
A.請求項1及び2により、4.8リットル/回の超節水大便器や、0.8リットル/回の超々節水便器まで設置出来、問題なく汚物の搬送が出来る。
B.この結果大きな水道料金の節限効果が得られると共に、浄化槽、処理場の量的負担が少なくなりCO2削限効果も現れる。
C.Uバートに落下した落とし物は、大量の水に押されて集水槽に達するので、集水槽で拾い出すことが出来る。
D.請求項2により、雑排水の全くないパーキングエリア等でも、搬送水の心配がいらない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図3に本発明の汚物の搬送装置の1形態を例示しており、地下に埋設されたUバートの直上に何台かの節水、超節水、超々節水の便器を設置し各ブースに区切る。
Uバートの上流部に、集水槽からの循環汚水管Cを接続し、集水槽内には、汚水ポンプPを設置する。この汚水ポンプは紙等の軟質夾雑物を破砕して送水するポンプが望ましい。
【0012】
ポンプからの配管Cに集水槽内に分岐弁を設け、フロートスイッチの作動により満水位に達すると弁を切り替え、接続された排水路Eを経て、浄化槽や処理装置に送水するようになっている。他の場合のポンプの作動は便器の台数や、Uバートの長さ、使用人数の変化に合わせて給水の時間を変化させるようなマイコンと連動し、任意の時間を設定する。
ポンプ送水の管C、Eは共に直径50ミリ以上の太い管経が望ましい。
【0013】
集水槽への入水は、循環して流入する汚物と洗浄水の他に、雑排水を排出する水源があればそれを流入させる。手洗水、掃除水を流入させるのは勿論である。雑排水源が無い場合はUバートの上流側にUバート洗浄水槽4を設け管路Cに替えた管路Dを配管し、集水槽の汚水を該槽に集め不足する水分を雨水の貯溜水や井戸水、湧水等を流入させて補う。オーバーフローは別管路で集水槽に戻す。Uバート洗浄水槽に溜められた水は大口径の排水口に連結され、マイコン操作により所望の水量を給水する大給水バルブを開閉することによってUバートに流入させる。
【0014】
以上のようにUバートはその特徴である上部空間の余裕部分を有効に利用して、各便器の下部に溜まった汚物や紙を一気に押し流して集水槽へ運ぶ。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】Uバート横断面図
【図2】作動システム図
【符号の説明】
【0016】
1 Uバート
2 超々節水便器
3 集水槽
4 Uバート洗浄水槽
A 他の雑排水流入管路
B 汚物プラス洗浄水流入管路
C Uバート上流側への送水管路
D Uバート洗浄水槽への送水管路
E 浄化槽又は処理装置への送水管路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大便器数台に連結したUバートの下流側に集水槽を設け、該槽には汚物と洗浄水の他の雑排水、掃除水等も流入するようにし、槽内に設けた汚物ポンプを必要に応じた間隔で作動させて所望の水量をUバート上流側に循環送水することを特徴とする公衆トイレに於ける汚物の搬送装置。
【請求項2】
Uバート上流側にUバートに連結するUバート搬送水槽を設け、雨水、井戸水、たまり水等を流入させて貯溜し、該槽に集水槽よりの循環水を送り込み、所望の水量を所望の間隔でUバートに送水することを特徴とする[請求項1]記載の公衆トイレに於ける汚物の搬送装置。
【請求項3】
大便器数台に連結したUバートの下流側に集水槽を設け、該槽には汚物と洗浄水の他の雑排水、掃除水等も流入するようにし、槽内に設けた汚水ポンプを必要に応じた間隔で作動させ、所望の水量をUバート上流側に送水することを特徴とする公衆トイレに於ける汚物の搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−158971(P2012−158971A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33882(P2011−33882)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(511044157)
【出願人】(511044560)
【Fターム(参考)】