説明

内側ポリエチレンオキシドブロック及び外側ポリプロピレンオキシドブロックを有する両親媒性の水溶性アルコキシル化ポリアルキレンイミン

本発明は20〜50個のポリエチレンオキシド単位を含む内側ポリエチレンオキシドブロック及び10〜50個のポリエチレンオキシド単位を含む外側ポリプロピレンオキシドブロックを有する両親媒性の水溶性アルコキシル化ポリアルキレンイミンであって、ポリエチレンオキシド単位とポリプロピレンオキシド単位との比が骨格に存在するポリアルキレンイミン単位の数の平方根に比例的に関係する、両親媒性の水溶性アルコキシル化ポリアルキレンイミンに関する。本発明は更に、これらのアルコキシル化ポリアルキレンイミンの、洗濯用洗剤及び洗浄組成物への汚れ分離促進添加剤としての使用並びにこれらのアルコキシル化モノ−又はポリアルキレンイミンを含む洗濯用洗剤及び洗浄組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は20〜50個のポリエチレンオキシド単位を含む内側ポリエチレンオキシドブロック及び10〜50個のポリエチレンオキシド単位を含む外側ポリプロピレンオキシドブロックを有する両親媒性の水溶性アルコキシル化ポリアルキレンイミンに関し、特に、ポリエチレンオキシド単位とポリプロピレンオキシド単位との比が骨格に存在するポリアルキレンイミンの数の平方根に比例的に関係するようなアルコキシル化ポリアルキレンイミンに関する。
【0002】
本発明は更に、これらのアルコキシル化モノ−又はポリアルキレンイミンの、洗濯用洗剤及び洗浄組成物への汚れ分離促進添加剤としての使用並びにこれらのアルコキシル化モノ−又はポリアルキレンイミンを含む洗濯用洗剤及び洗浄組成物に関する。
【0003】
界面活性剤に加えて、ポリマーも洗濯用洗剤及び洗浄組成物のための汚れ分離促進添加剤として使用される。公知のポリマーは、例えば、粘土鉱物又はすすなどの汚れの色素の分散剤として、及び既に分離された汚れの再付着を防ぐ添加剤として、非常に好適である。それにも関わらず、かかる分散剤は、特に低い温度で、表面からの油汚れの除去にほとんど効果がない。
【0004】
WO−A−99/67352号は過酸化物漂白剤に相容性の疎水性汚れの分散剤を記載しており、洗濯の過程で分離された油汚れの洗浄された布上への再付着を防ぎ且つ内側のポリプロピレンオキシドブロック及び外側の明確に大きなポリエチレンオキシドブロックを有するアルコキシル化ポリエチレンイミンをベースとすることが記載されている。
【0005】
US−A−5565145号は、非極性の粒状汚れの分散剤として、窒素原子に直接結合された活性なNH基につき4個までのプロピレンオキシド単位を含有してよい担持されていないアルコキシル化ポリエチレンイミンを推奨している。しかしながら、例えば、もっぱらエトキシル化された又は最初にプロポキシル化されたポリエチレンイミン、即ち、NH基につき1モル以下のプロピレンオキシドが有利であり且つ例示されている。
【0006】
これらのアルコキシル化ポリエチレンイミンも親水性の汚れ色素の優れた分散剤であるが、油っぽいしみの場合に満足な洗浄結果を示さない。
【0007】
内側ポリエチレンオキシドブロック及び外側ポリプロピレンオキシドブロックを有するポリエチレンイミンは、洗濯用洗剤又は洗浄組成物になお使用されている。
【0008】
US−A−4076497号は、最初にエトキシル化され次いでプロポキシル化されたポリエチレンイミンの使用を開示しており、これは分散剤染料によるポリエステル及びセルロース繊維の染色のための助剤として活性NH基1モルにつき、少なくとも15モルのプロピレンオキシドを含む、合計30モルのアルキレンオキシドと反応されていた。しかしながら、本発明のポリアルキレンイミンのアルキレンオキシ鎖は12個以下のプロピレンオキシ単位を含有する。
【0009】
DE−A−2227546号は、逆のアルキレンオキシド配列を有するポリエチレンイミンのみならず、粗オイルエマルションのブレーカーとして最初にエトキシル化され次いでプロポキシル化されたポリエチレンイミンも記載している。しかしながら、本発明のポリアルキレンイミンと比較して、これらのポリエチレンイミンは、アルコキシル化可能なNH基1モルにつき少なくとも105モルのアルキレンオキシドの全体的に高すぎる程度のアルコキシル化を有し且つ1.9から4:1までのエチレンオキシドに対するプロピレンオキシドの高すぎるモル比(又は反対に0.53から0.25までのプロピレンオキシドに対するエチレンオキシドの小さすぎるモル比)を有する。
【0010】
JP−A−2003−020585号は脱インキ過程におけるアルコキシル化ポリエチレンイミンの使用を記載している。エチレンオキシド/プロピレンオキシド混合物により有利にはもっぱらエトキシル化された又は最初にエトキシル化され次いでランダムにアルコキシル化されたポリエチレンイミンの他に、平均分子量Mw600のポリエチレンイミンをベースとし且つアルコキシル化可能なNH基1モルにつき100モルのエチレンオキシドと最初に反応し次いで100モルのプロピレンオキシドと反応し、従って同様に本発明のポリエチレンイミンの場合よりも極めて大量のアルキレンオキシドと反応する生成物も開示されている。
【0011】
EP−A−359034号はポリアルキレンオキサイドブロックを含む少なくとも2種のポリエチレンイミンをベースとする非水系の顔料分散液の調製及び安定化のための助剤を開示している。外側ブロックのより高いアルキレンオキシドを有するポリエチレンイミンが使用される場合、それらは常に最初にエトキシル化され次いでブトキシル化された化合物であり、その幾つかは小さい中間体ポリプロピレンオキシドブロックを含有する。内側ポリエチレンオキシドブロック及び外側ポリプロピレンオキシドブロックを有するポリエチレンイミンは、常に活性なNH基1モルにつき少なくとも1モルのα−オレフィンオキシドと追加的に反応する。
【0012】
WO2006108856号、WO2006108857号及びUS2006234895号は、洗濯時の改良された疎水性汚れの除去を提供するアルコキシル化ポリエチレンイミンを開示している。アルコキシル化ポリエチレンイミンは、規定の配置及び大きさのエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのブロックと組み合わされた特定の合計鎖長さのポリアルコキシ鎖を有する。これらのポリマーは、疎水性汚れの洗浄及び白色度の維持のための有益な特性を提供していても、なお改良の必要がある。
【0013】
従って、本発明の目的は、洗濯用洗剤の添加剤として使用するための、疎水性及び親水性汚れの洗浄並びに白色度維持のための有益な特性を有する新規なポリマーを提供することである。それらの新規なポリマーは、油汚れ及び親水性汚れを布及び硬い表面から除去するための洗浄組成物並びに懸濁した汚れ及び乳化した汚れの布の表面又は硬い表面への再堆積を防ぐための洗浄組成物に適している。新規なポリマーは、草のようなプロテアーゼ感受性のしみを除去するためのプロテアーゼとの相乗作用を示す。特に、該ポリマーは、低い洗浄温度でさえも良好な油汚れの分離作用及び汚れの再沈着防止作用をも示す。
【0014】
従って、式(I)、(II)、(III)及び(IV)
【化1】

(式中、
#はそれぞれの場合に窒素原子間の結合及び式(I)、(II)、(III)又は(IV)の2つの隣接する繰り返し単位の基Aの自由な結合位置を示し;且つ
記号はそれぞれの場合に以下のように規定される:
は直鎖状又は分枝鎖状のC−C−アルキレンから独立して選択され;
Eは式(V)
【化2】

(式中、
*はそれぞれの場合に式(I)、(II)又は(IV)の繰り返し単位の窒素原子への結合を意味し;
はそれぞれの場合に1,2−プロピレン、1,2−ブチレン及び1,2−イソブチレンから独立して選択され;
は1,2−プロピレンであり;
Rはそれぞれの場合に水素及びC−C−アルキルから独立して選択され;
mは0〜2の範囲の平均値を有し;
nは20〜50の範囲の平均値を有し;且つ
pは10〜50の有理数である)
のアルキレンオキシ単位から独立して選択される)
の繰り返し単位を縮合形で含む、両親媒性の水溶性アルコキシル化ポリアルキレンイミンの混合物であって、
個々のアルコキシル化ポリアルキレンイミンは式(I)の1個の繰り返し単位、式(II)のx個の繰り返し単位、式(III)のy個の繰り返し単位及び式(IV)のy+1個の繰り返し単位からなり、その際、
x及びyはそれぞれの場合に0〜150の範囲の値を有し;且つ
ポリアルキレンイミン骨格の平均分子量Mwはそれぞれの場合に60〜10000g/モルの範囲の値を有する両親媒性の水溶性アルコキシル化ポリアルキレンイミンの混合物、
並びにそれらの四級化生成物の混合物が見出された。
【0015】
本発明によるアルコキシル化ポリアルキレンイミンは一般的に個々の異なるアルコキシル化ポリアルキレンイミンの混合物として得られる。従って、特に指示のない限り、m、n、p、x、yに対して明細書で与えられた値、範囲及び比率並びに分子量(Mw)は得られた混合物中に存在する個々のアルコキシル化ポリアルキレンイミンの数平均値に関係する。
【0016】
それらの両親媒性のために、本発明によるアルコキシル化ポリアルキレンイミンは、疎水性及び親水性の構造要素の平衡した比を有し、一方では油汚れを吸収し且つ界面活性剤並びに洗濯用洗剤及び洗浄組成物の残留する洗浄成分と一緒にそれらを除去するのに十分なだけ疎水性であり、他方では洗濯及び洗浄液中の油汚れの分離を維持し且つ表面への再付着を防ぐのに十分なだけ親水性である。
【0017】
上述のアルコキシル化ポリアルキレンイミンと比較された本発明によるアルコキシル化ポリアルキレンイミンの本質的な特徴は、それらの延長された側鎖であり、即ち、それらは有意に長い両親媒性のポリアルコキシ鎖を有し且つ一般的に大きな個々のブロックサイズの親水性のポリエチレンオキシドブロック及び疎水性のポリプロピレンオキシドブロックを有する。これらのより長い側鎖は洗濯又は洗浄液中の汚れの良好な安定化を支える。従って、洗浄された布地への汚れの再堆積が防止される。本発明によるアルコキシル化ポリアルキレンイミンの別の重要な利点はそれらの向上した色及び臭い特性である。より短い側鎖を有するアルコキシル化ポリアルキレンイミンは一般的に暗い色及び特徴的な臭いを有するが、本発明によるアルコキシル化ポリアルキレンイミンは、はるかに低い水準の両者を有することが見出された。
【0018】
これらの効果は、内側のポリエチレンオキシドブロック及び外側のポリプロピレンオキシドブロックを有する本発明によるアルコキシル化ポリアルキレンイミンによって達成され、エトキシル化の程度及びプロポキシル化の程度は特定の限界値を上回らない又は下回らない。本発明によるアルコキシル化ポリアルキレンイミンはポリプロピレンブロックに対するポリエチレンブロックの比(n/p)0.6及び有利には0.8に対する最小値並びにこの比(n/p)に対する最大値を有しており、該値は経験的に見出された関係式1.5(x+2y+1)1/2及び有利には1.2(x+2y+1)1/2によるポリアルキレン骨格に関係し、特に有益な特性を有することが見出された。
【0019】
本発明によるアルコキシル化ポリアルキレンイミンは、アルキレン基Aによって互いに結合され且つランダムに配置された第一級、第二級及び第三級アミンの窒素原子からなる主鎖を有する。
【0020】
ポリアルキレンイミン骨格の主鎖及び側鎖を開始又は停止させ、その残りの水素原子は続いてアルキレンオキシ単位で置換される、第一級アミノ部分は、それぞれ式(I)又は(IV)の繰り返し単位を意味する。
【0021】
その残りの水素原子が続いてアルキレンオキシ単位によって置換される第二級アミノ部分は、式(II)の繰り返し単位を意味する。
【0022】
主鎖を分枝する第三級アミノ部分及び側鎖は式(III)の繰り返し単位を意味する。
【0023】
環化はポリアルキレンイミン骨格の形成中に起こるので、環状アミノ部分は少ない程度まで骨格中に存在することも可能である。環状アミノ部分を含有するかかるポリアルキレンイミンは、もちろん非環状第一級及び第二級アミノ部分からなるものと同じ方法でアルコキシル化される。
【0024】
窒素原子及び基Aからなるポリアルキレンイミン骨格は、60〜10000g/モル、有利には100〜8000g/モル及び最も有利には500〜6000g/モルの平均分子量Mwを有する。
【0025】
合計(x+2y+1)は個々のポリアルキレンイミン骨格中に存在するアルキレンイミン単位の合計数に相当し、従ってポリアルキレンイミン骨格の分子量に直接関係する。しかしながら、明細書中に与えられた値は、混合物中に存在する全てのポリアルキレンイミンの数平均に関係する。
【0026】
合計(x+2y+2)は個々のポリアルキレンイミン骨格中に存在するアミノ基の合計数に関係する。
【0027】
アミノ窒素原子に結合する基Aは、同一又は異なる、直鎖状又は分枝鎖状のC−C−アルキレン基、例えば、1,2−エチレン、1,2−プロピレン、1,2−ブチレン、1,2−イソブチレン、1,2−ペンタンジイル、1,2−ヘキサンジイル又はヘキサメチレンであってよい。有利な分枝鎖状のアルキレンは1,2−プロピレンである。有利な直鎖状アルキレンはエチレン及びヘキサメチレンである。更に有利なアルキレンは1,2−エチレンである。
【0028】
ポリアルキレンイミン骨格の第一級及び第二級アミノ基の水素原子は式(V)のアルキレンオキシ単位によって置換される。
【化3】

【0029】
この式中、記号は有利には以下に示した意味の1つを有する:
はそれぞれの場合に1,2−プロピレン、1,2−ブチレン及び1,2−イソブチレンから選択され;有利にはAは1,2−プロピレンであり;
は1,2−プロピレンであり;
Rはそれぞれの場合に水素及びC−C−アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル及びtert.−ブチルから選択され;有利にはRは水素であり;
記号mはそれぞれの場合に0〜2の値を有し;有利にはmは0又は約1であり;更に有利にはmは0であり;
記号nは、nが20〜50の有理数、有利には22〜40の範囲そして更に有利には24〜30の範囲の有理数である範囲内の平均値を有する;
記号pは、nが10〜50の有理数、有利には11〜40の範囲そして更に有利には12〜30の範囲の有理数である範囲内の平均値を有する。
【0030】
式(V)のアルキレンオキシ単位は、アルコキシレートブロックの非ランダムな配置であると考えられる、即ち、−[A−O]−は式(I)、(II)又は(III)の繰り返し単位の窒素原子に再接近して付加され、−[CHCHO]−が第2に付加され、そして−[A−O]−が第3に付加される。この配向は内側ポリエチレンオキシドブロック及び外側ポリプロピレンオキシドブロックを有するアルコキシル化ポリアルキレンイミンを提供する。
【0031】
式(V)のこれらのアルキレンオキシ単位の相当の部分は、エチレンオキシ単位−[CH−CH−O)]−及びプロピレンオキシ単位−[A−O]−によって形成される。
【0032】
アルキレンオキシ単位は付加的に少ない割合のプロピレンオキシ又はブチレンオキシ単位−[A−O]−を有してもよく、即ち、水素原子で飽和したポリアルキレンイミン骨格がまず、存在するNH部分、即ち最初にアルコキシル化されたNH部分1モルに対して2モルまで、特に0.5〜1.5モル、特に0.8〜1.2モルの少量のプロピレンオキシド又はブチレンオキシドと反応してよい。
【0033】
この最初のポリアルキレンイミン骨格の改質は、必要であれば、アルコキシル化中の反応混合物の粘度を低下させることができる。しかしながら、改質は一般的にアルコキシル化ポリアルキレンイミンの性能特性に影響を与えず、従って有利な測定を構成しない。
【0034】
本発明によるアルコキシル化ポリアルキレンイミンは四級化されてもよい。四級化の適した程度は50%まで、特に5〜40%である。四級化は有利にはC−C−アルキル基を導入することによって行われ且つ対応するアルキルハロゲン化物及びジアルキルスルフェートとの反応による通常の方法で行ってよい。
【0035】
四級化は、アルコキシル化ポリアルキレンイミンを、それらが使用されるべき洗濯用洗剤の特定の組成物及び洗浄組成物に調整するため、及び調合物のより良好な相溶性及び/又は相安定性を達成するために好都合である。アルコキシル化ポリアルキレンイミンは有利には四級化されない。
【0036】
本発明のアルコキシル化ポリアルキレンイミンは公知の方法で製造してよい。
【0037】
ある有利な手順は、第1の工程でポリアルキレンイミンの初期のアルコキシル化のみを最初に実施することにある。
【0038】
この工程で、ポリアルキレンイミンを、NH部分1モルに対して約1モルのエチレンオキシドに相当する、使用されるエチレンオキシドの全量の一部とだけ反応させるか、又はポリアルキレンイミンがNH部分1モルに対して2モルまでのプロピレンオキシド又はブチレンオキシドで最初に改質されるべき場合、ここでも最初に1モルまでのこのアルキレンオキシドとだけ反応させる。
【0039】
この反応は一般に70〜200℃、そして有利には80〜160℃の反応温度で水溶液中の触媒の不在下で行われる。
【0040】
この反応は10バールまで、特に8バールまでの圧力で行ってよい。
【0041】
第2の工程で、更なるアルコキシル化は、従ってi)残量のエチレンオキシドとの後続の反応又は、最初の工程においてより高級なアルキレンオキシドによる改質の場合、全部のエチレンオキシドとの後続の反応及びii)プロピレンオキシドとの後続の反応によって行われる。
【0042】
更なるアルコキシル化は典型的には塩基性触媒の存在下で行われる。好適な触媒の例は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化カルシウム、アルカリ金属アルコキシド、特にナトリウム及びカリウムC−C−アルコキシド、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド及びカリウムtert−ブトキシド、アルカリ金属及びアルカリ土類金属水酸化物、例えば、水素化ナトリウム及び水素化カルシウム、アルカリ金属炭酸塩、例えば、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムである。アルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属アルコキシド、特に水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムが有利である。塩基の典型的な使用量は、ポリアルキレンイミン及びアルキレンオキシドの全量を基準として0.05〜10質量%、特に0.5〜2質量%である。
【0043】
更なるアルコキシル化は、物質(変形a)中で又は有機溶媒(変形b)中で行ってよい。以下に記載されたプロセス条件は、エトキシル化及びその後のプロポキシル化の両方に対して用いてよい。
【0044】
変形a)において、第1の工程で得られた最初にアルコキシル化されたポリアルキレンイミンの水溶液は、触媒の添加後に、最初に脱水される。これは80〜150℃へ加熱し且つ0.01〜0.5バールの減圧下で水を留去することによる単純な方法で行うことができる。
【0045】
アルキレンオキシドとの後続の反応は、典型的には70〜200℃、そして有利には100〜180℃の反応温度で行われる。
【0046】
アルキレンオキシドとの後続の反応は、典型的には10バールまで及び特に8バールまでの圧力で行われる。
【0047】
アルキレンオキシドとの後続の反応の反応時間は一般的に約0.5〜4時間である。
【0048】
変形b)の好適な有機溶媒は、特に無極性及び極性非プロトン性有機溶媒である。特に好適な無極性非プロトン性溶媒の例として、脂肪族及び芳香族炭化水素、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン及びキシレンが挙げられる。特に好適な極性非プロトン性溶媒の例は、エーテル、特に環状エーテル、例えば、テトラヒドロフラン及びジオキサン、N,N−ジアルキルアミド、例えば、ジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミド、及びN−アルキルラクタム、例えば、Nメチルピロリドンである。もちろんこれらの有機溶媒の混合物を使用することもできる。有利な有機溶媒はキシレン及びトルエンである。
【0049】
変形b)では、第1の工程で得られた溶液は、触媒及び溶媒の添加後に、最初に脱水され、これは120〜180℃の温度で水を分離することによって好都合になされ、有利には穏やかな窒素気流によって支えられる。アルキレンオキシドとの後続の反応は、変形a)中でのように行ってよい。
【0050】
変形a)において、アルコキシル化されたポリアルキレンイミンは物質中で直接得られ且つ所望であれば水溶液に変換してよい。変形b)において、有機溶媒は典型的には水によって除去且つ置き換えられる。生成物はもちろん物質中で単離されてもよい。
【0051】
本発明によるアルコキシル化ポリアルキレンイミンは、蒸留水中の1質量%の溶液として、一般的に70℃以下、有利には65℃以下の曇点を有する。曇点は更に有利には25〜55℃の範囲である。
【0052】
本発明によるアルコキシル化ポリアルキレンイミンは、洗濯用洗剤及び洗浄組成物のための汚れ分離促進添加剤として顕著に適している。それらは油汚れの場合に特に高い溶解力を示す。それらが低い洗浄温度でさえも汚れの分離力を示すことは特に有利である。
【0053】
本発明によるアルコキシル化ポリアルキレンイミンは、特定の全組成物を基準として、一般的に0.05〜10質量%、有利には0.1〜5質量%そして最も有利には0.25〜2.5質量%の量で洗濯用洗剤及び洗浄組成物に添加することができる。
【0054】
更に、洗濯用洗剤及び洗浄組成物は一般的に界面活性剤を含み、適切であれば、洗浄物質、ビルダー及び更なる通常の成分、例えば、コビルダー、錯化剤、漂白剤、標準化剤、灰色化防止剤、染料移行阻害剤、酵素及び香料として更なるポリマーを含む。
【0055】
実施例
I.本発明のアルコキシル化ポリアルキレンイミンの製造
実施例1:PE1600+24EO/NH+16PO/NH
a)PEI600+1EO/NH
3.5Lのオートクレーブ中でポリエチレンイミン(1184.0g、およその平均Mw=600g/モル)及び水(205.0g)を80℃に加熱した。オートクレーブを5バールの圧力まで窒素で3回パージした。温度を120℃に上昇させた後、エチレンオキシド(908.7g)を少量ずつ添加した。圧力を7バールに上昇させた。反応を完了させるため、混合物を120℃で2時間ポスト反応させた。反応混合物を窒素で抜き取り、揮発性の化合物を70℃の真空中で除去した。この手順によりNH結合1モルにつき1モルのエチレンオキシドによってアルコキシル化されたポリエチレンイミンの91質量%の水溶液2305gが黄色の粘稠液体として得られた。アミンの滴定量:11.22ミリモル/g;(1質量%の水溶液)のpH:11.06。
【0056】
b)PEI600+24EO/NH
2Lのオートクレーブ中で実施例1.a)で得られた水溶液(108.6g)及び水酸化カリウムの水溶液(50質量%、2.9g)を80℃に加熱した。オートクレーブを5バールの圧力まで窒素で3回パージした。水を120℃で且つ10ミリバールの圧力で2時間反応混合物から除去した。窒素でオートクレーブをフラッシングした後、温度を145℃に上昇させ、エチレンオキシド(1329.9g)を少量ずつ添加した。圧力を5バールまで上昇させた。反応を完了させるため、混合物を120℃で3時間ポスト反応させた。反応混合物を窒素で抜き取り、揮発性の化合物を70℃の真空中で除去した。この手順によりNH結合1モルにつき24モルのエチレンオキシドによってアルコキシル化されたポリエチレンイミン1428gが黄褐色の粘稠液体として得られた。アミンの滴定量:0.82ミリモル/g;(1質量%の水溶液)のpH:10.6。
【0057】
c)PEI600+24EO/NH+16PO/NH
2Lのオートクレーブ中で460.9gの実施例1.b)で得られたアルコキシル化ポリエチレンイミンを80℃に熱し且つ5バールの圧力まで窒素で3回パージした。温度を140℃まで上昇させた後、プロピレンオキシド(389.1g)を少量ずつ添加した。圧力を5バールまで上昇させた。反応を完了させるため、混合物を140℃で5時間ポスト反応させた。反応混合物を窒素で抜き取り、揮発性の化合物を70℃の真空中で除去した。この手順によりNH結合1モルにつき24モルのエチレンオキシド及び16モルのプロピレンオキシドを含有したポリエチレンイミン838gが黄色の粘稠液体として得られた。アミンの滴定量:0.59ミリモル/g;1質量%の水溶液のpH:9.7;純粋な化合物のヨウ素色価:7.9。
【0058】
実施例2:PEI600+24EO/NH+24PO/NH
a)PEI600+24EO/NH+24PO/NH
2Lのオートクレーブ中で実施例1.b)で得られたアルコキシル化ポリエチレンイミン(341.3g)を80℃に加熱した。オートクレーブを5バールの圧力まで窒素で3回パージした。温度を140℃まで上昇させた後、プロピレンオキシド(425.5g)を少量ずつ添加した。圧力を6バールまで上昇させた。反応を完了させるため、混合物を140℃で5時間ポスト反応させた。反応混合物を窒素で抜き取り、揮発性の化合物を80℃の真空中で除去した。この手順によりNH結合1モルにつき24モルのエチレンオキシド及び24モルのプロピレンオキシドでアルコキシル化されたポリエチレンイミン780gが黄色の粘稠液体として得られた。アミンの滴定量:0.36ミリモル/g;pH(1質量%の水溶液):9.1;ヨウ素色価(純粋な化合物、40℃):7.3。
【0059】
実施例3:DETA+24EO/NH+24PO/NH
a)DETA+1EO/NH
2Lのオートクレーブ中でジエチレントリアミン(381.8g)及び水(19.1g)を70℃に加熱した。オートクレーブを5バールの圧力まで窒素で3回パージした。温度を90℃に上昇させた後、エチレンオキシド(814g)を少量ずつ添加した。圧力を3バールまで上昇させた。反応を完了させるため、混合物を90℃で2時間ポスト反応させた。反応混合物を窒素で抜き取り、揮発性の化合物を70℃の真空中で除去した。この手順によりNH結合1モルにつき1モルのエチレンオキシドによってアルコキシル化されたジエチレントリアミン1180gが黄色の粘稠液体として得られた。
【0060】
b)DETA+24EO/NH
2Lのオートクレーブ中で実施例3.a)で得られたNH結合1モルにつき1モルのエチレンオキシドでアルコキシル化されたジエチレントリアミン(79.7g)及び水酸化カリウムの水溶液(50質量%、2.9g)を80℃に加熱した。オートクレーブを5バールの圧力まで窒素で3回パージした。水を100℃及び10ミリバールの圧力で2時間反応混合物から除去した。窒素でオートクレーブをフラッシングした後、温度を120℃に上昇させ、エチレンオキシド(1266.1g)を少量ずつ添加した。圧力を5バールまで上昇させた。反応を完了させるため、混合物を120℃で3時間ポスト反応させた。反応混合物を窒素で抜き取り、揮発性の化合物を80℃の真空中で除去した。この手順によりNH結合1モルにつき24モルのエチレンオキシドでアルコキシル化されたジエチレントリアミン1366gが褐色の固体として得られた。アミンの滴定量:0.58ミリモル/g;pH(1質量%の水溶液):10.4。
【0061】
c)DETA+24EO/NH+24PO/NH
2Lのオートクレーブ中で実施例3.b)で得られたNH結合1モルにつき24モルのエチレンオキシドでアルコキシル化されたジエチレントリアミン(310.6g)を80℃に加熱した。オートクレーブを5バールの圧力まで窒素で3回パージした。窒素でオートクレーブをフラッシングした後、温度を140℃に上昇させ、プロピレンオキシド(396.7g)を少量ずつ添加した。圧力を4バールまで上昇させた。反応を完了させるため、混合物を140℃で5時間ポスト反応させた。反応混合物を窒素で抜き取り、揮発性の化合物を80℃の真空中で除去した。この手順によりNH結合1モルにつき24モルのエチレンオキシド及び24モルのプロピレンオキシドでアルコキシル化されたジエチレントリアミン705gが淡褐色の固体として得られた。アミンの滴定量:0.26ミリモル/g;pH(1質量%の水溶液):10.0;ヨウ素色価(純粋な化合物、40℃):2.9。
【0062】
実施例4:ヘキサメチレンジアミン+24EO/NH+16PO/NH
a)ヘキサメチレンジアミン+1EO/NH
2Lのオートクレーブ中でヘキサメチレンジアミン(527g)及び水(26.5g)を70℃に加熱した。オートクレーブを5バールの圧力まで窒素で3回パージした。温度を90℃に上昇させた後、エチレンオキシド(800g)を少量ずつ添加した。圧力を6バールまで上昇させた。反応を完了させるため、混合物を90℃で3時間ポスト反応させた。反応混合物を窒素で抜き取り、揮発性の化合物を70℃の真空中で除去した。この手順によりNH結合1モルにつき1モルのエチレンオキシドでアルコキシル化されたヘキサメチレンジアミン1356gが淡黄色の固体として得られた。アミンの滴定量:6.70ミリモル/g。
【0063】
b)ヘキサメチレンジアミン+24EO/NH+16PO/NH
2Lのオートクレーブ中で実施例4.a)で得られたモルNH結合1モルにつき1モルのエチレンオキシドでアルコキシル化されたヘキサメチレンジアミン(45.0g)及び水酸化カリウムの水溶液(50質量%、1.4g)を80℃に加熱した。オートクレーブを5バールの圧力まで窒素で3回パージした。水を100℃及び10ミリバールの圧力で2時間反応混合物から除去した。窒素でオートクレーブをフラッシングした後、温度を120℃に上昇させ、エチレンオキシド(623.2g)を少量ずつ添加した。圧力を6バールまで上昇させた。反応を完了させるため、混合物を120℃で3時間ポスト反応させた。温度を140℃に上昇させた後、プロピレンオキシド(571.5g)を少量ずつ添加した。圧力を6バールまで上昇させた。反応を完了させるため、混合物を140℃で5時間ポスト反応させた。反応混合物を窒素で抜き取り、揮発性の化合物を80℃の真空中で除去した。この手順によりNH結合1モルにつき24モルのエチレンオキシド及び16モルのプロピレンオキシドでアルコキシル化されたヘキサメチレンジアミン1250gが黄色味の淡褐色の固体として得られた。アミンの滴定量:0.25ミリモル/g;pH(1質量%の水溶液):10.3;ヨウ素色価(純粋な化合物、40℃):1.3。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)、(II)、(III)及び(IV)
【化1】

(式中、
#はそれぞれの場合に窒素原子間の結合及び式(I)、(II)、(III)又は(IV)の2つの隣接する繰り返し単位の基Aの自由な結合位置を示し;且つ
記号はそれぞれの場合に以下のように規定される:
は直鎖状又は分枝鎖状のC−C−アルキレンから独立して選択され;
Eは式(V)
【化2】

(式中、
*はそれぞれの場合に式(I)、(II)又は(IV)の繰り返し単位の窒素原子への結合を意味し;
はそれぞれの場合に1,2−プロピレン、1,2−ブチレン及び1,2−イソブチレンから独立して選択され;
は1,2−プロピレンであり;
Rはそれぞれの場合に水素及びC−C−アルキルから独立して選択され;
mは0〜2の範囲の平均値を有し;
nは20〜50の範囲の平均値を有し;且つ
pは10〜50の範囲の平均値を有する)
のアルキレンオキシ単位から独立して選択される)
の繰り返し単位を縮合形で含む、両親媒性の水溶性アルコキシル化ポリアルキレンイミンの混合物であって、
個々のアルコキシル化ポリアルキレンイミンは式(I)の1個の繰り返し単位、式(II)のx個の繰り返し単位、式(III)のy個の繰り返し単位及び式(IV)のy+1個の繰り返し単位からなり、その際、
x及びyはそれぞれの場合に0〜150の範囲の値を有し;且つ
ポリアルキレンイミン骨格の平均分子量Mwはそれぞれの場合に60〜10000g/モルの範囲の値を有する両親媒性の水溶性アルコキシル化ポリアルキレンイミンの混合物、
並びにそれらの四級化生成物の混合物。
【請求項2】
pに対するnの比が0.6〜1.5(x+2y+1)1/2の範囲の平均値を有する、請求項1記載の両親媒性の水溶性アルコキシル化ポリアルキレンイミンの混合物。
【請求項3】
pに対するnの比が0.8〜1.2(x+2y+1)1/2の範囲の平均値を有する、請求項2記載の両親媒性の水溶性アルコキシル化ポリアルキレンイミンの混合物。
【請求項4】
mが0である、請求項1から3までのいずれか1項記載の両親媒性の水溶性アルコキシル化ポリアルキレンイミンの混合物。
【請求項5】
nが22〜40の範囲の平均値を有する、請求項1から4までのいずれか1項記載の両親媒性の水溶性アルコキシル化ポリアルキレンイミンの混合物。
【請求項6】
nが24〜30の範囲の平均値を有する、請求項5記載の両親媒性の水溶性アルコキシル化ポリアルキレンイミンの混合物。
【請求項7】
pが11〜40の範囲の平均値を有する、請求項1から6までのいずれか1項記載の両親媒性の水溶性アルコキシル化ポリアルキレンイミンの混合物。
【請求項8】
pが12〜30の範囲の平均値を有する、請求項7記載の両親媒性の水溶性アルコキシル化ポリアルキレンイミンの混合物。
【請求項9】
がエチレンである、請求項1から8までのいずれか1項記載の両親媒性の水溶性アルコキシル化ポリアルキレンイミンの混合物。
【請求項10】
Rが水素である、請求項1から9までのいずれか1項記載の両親媒性の水溶性アルコキシル化ポリアルキレンイミンの混合物。
【請求項11】
ポリアルキレンイミン骨格の分子量Mwが100〜8000g/モルの範囲の平均値を有する、請求項1から10までのいずれか1項記載の両親媒性の水溶性アルコキシル化ポリアルキレンイミンの混合物。
【請求項12】
ポリアルキレンイミン骨格の分子量Mwが500〜6000g/モルの範囲の平均値を有する、請求項11記載の両親媒性の水溶性アルコキシル化ポリアルキレンイミンの混合物。
【請求項13】
存在する50%までの窒素原子が四級化される、請求項1から12までのいずれか1項記載の両親媒性の水溶性アルコキシル化ポリアルキレンイミンの混合物。

【公表番号】特表2011−503280(P2011−503280A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532600(P2010−532600)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【国際出願番号】PCT/EP2008/065112
【国際公開番号】WO2009/060059
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】