説明

内壁の端部構造及びコーナーパーツ

【課題】施工が容易で、すっきりしたイメージを与えることができる内壁の端部構造及びコーナーパーツを提供する。
【解決手段】内壁10の端面には、その厚み方向の外側に張り出さないように、幅方向の両端面に切溝21aが形成された縦枠21を壁下地材11に固定し、コーナー下地材30を、その一方の張出片15を縦枠21の切溝21aに嵌入すると共に他方の張出片15を下地ボード13の表面に重ね合わせた状態で、下地ボード13に固着することで、枠材21の両側に内壁10のコーナー部をそれぞれ形成し、コーナーパーツ33を、そのカバー部35に幅木31の端部を接着固定した状態で、板状部36を枠材21の切溝21aに嵌入して、コーナー下地材14に被せると共に、幅木31を下地ボード13に固定し、下地ボード13からコーナー下地材14にわたって壁仕上材を貼着した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無目枠、開口枠、ドア枠、窓枠、引戸枠等の枠材が取り付けられる内壁の
端部構造及びその端部構造を構成している幅木や周り縁のコーナーパーツに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ドアや窓を取り付ける内壁の壁面開口部には、内壁の端面にドア枠や窓枠等の枠材を取り付けることになるが、これまでは、図14に示すように、枠材60の幅を内壁50の壁厚より大きくすることで、枠材60を内壁50の外側に僅かに突出させるのが一般的であったが、近年は、壁面の凹凸をできるだけ少なくして、すっきりしたイメージを与えたいという要望があり、図15に示すように、内壁50の壁厚よりも幅狭の枠材60を、内壁50の外側に突出させないように、内壁50の端面に取り付けた内壁の端部構造が採用されるようになってきている。
【0003】
こういった内壁の端部構造を採用する場合は、同図に示すように、内壁50の端面を形成している壁下地材51の柱(間柱)52に枠材60を取り付けると共に、内壁50の端面側における枠材60の外側部分にも下地ボード53を張り、内壁50の端面側に回り込むように、クロス等の壁仕上材54を下地ボード53に貼着することになるが、建築物を構成している内壁等の構造体は、必ずしも、精度良く施工されるわけではないので、壁面開口部等を形成している内壁の端面(枠材60を固定する壁下地材51の柱(間柱)52の固定面)が水平や垂直になっていなかったり、波打っていたりすることが多く、そのような場合は、図16に示すように、枠材60と内壁50の端面との間に部分的に隙間Gが形成され、その隙間Gの大きさも位置によって異なることになる。
【0004】
従って、枠材60を設置する際は、壁面開口部等を形成している内壁50の端面(壁下地材51の柱(間柱)52)とドア枠等の枠材60との間に隙間調整部材を適宜挿入することによって、枠材60の位置調整を行いながら、内壁50の端面(壁下地材51の柱(間柱)52)に枠材60を固定していくことになるので、図17(a)に示すように、隙間調整部材61を挿入している箇所と、同図(b)に示すように、隙間調整部材を挿入していない箇所とでは、内壁50の端面からの枠材60の突出量Lが異なっており、体裁が悪いといった問題がある。
【0005】
そこで、本願出願人は、図18に示すように、幅方向の両端面に長手方向に延びる切溝80aを形成した枠材80を、内壁70における厚み方向の外側に張り出さないように、内壁70の端面を形成している壁下地材71の真柱72に固定し、一対の張出片75、75が、略90度の角度をなすように相互に連設された長尺のコーナー下地材74を、その一方の張出片75を枠材80の切溝80aに嵌入すると共に他方の張出片75を、壁下地材71を構成している下地ボード73の表面に重ね合わせた状態で、下地ボード73に固着することによって、枠材80の両側に内壁70のコーナー部をそれぞれ形成し、下地ボード73からコーナー下地材74にわたって壁仕上材76を貼着することで、内壁70の端面からの枠材80の突出量を一定に保持する内壁の端部構造を、特願2010−074561において提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第2519137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、こういった内壁の端部構造の場合も、幅木を取り付けようとすると、図19に示すように、枠材80を取り付ける内壁70における端面のコーナー部に対して、内側がコーナー下地材74の湾曲した角部に沿うように湾曲した専用のコーナーパーツ92を装着する必要があるが、枠材80と内壁70のコーナー部との間に十分な距離を確保することができないので、内壁70の端面側に取り付ける短い幅木91については、寸法調整や位置調整をして取り付けなければならず、幅木91やコーナーパーツ92の取り付けに手間がかかるといった問題がある。
【0008】
また、コーナー下地材74によって内壁70の端面が枠材80の切溝80a部分まで張り出しており、内壁70の端面側に重ね合わせた状態で配設される幅木91自体がある程度の厚みを有しているので、内壁70の端面側のコーナーパーツ92の表面が枠材80の表面近くまで張り出すことになり、すっきりしたイメージを与えることができないという問題もある。
【0009】
また、上述したように、内壁70の端面側のコーナーパーツ92の表面が枠材80の表面近くまで張り出しているので、同図に示すように、枠材80がドア枠であって、コーナーパーツ92と略同レベルに設置されるピボットヒンジPHを介して、ドアDを枠材80に取り付ける場合は、ピボットヒンジPHのアームがコーナーパーツ92に当接して、ドアDを180度開くことができないといった問題もある。
【0010】
そこで、この発明の課題は、施工が容易で、すっきりしたイメージを与えることができ、ピボットヒンジでドアを枠材に取り付ける場合であっても、ドアを180度開くことができる内壁の端部構造及びコーナーパーツを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、内壁の厚みよりも幅狭の枠材を、前記内壁の端面に取り付けた内壁の端部構造であって、前記枠材には、その幅方向の両端面に長手方向に延びる切溝を形成し、前記内壁の端面には、前記内壁における厚み方向の外側に張り出さないように、前記内壁を構成している壁下地材に前記枠材を固定し、一対の張出片が、略90度の角度をなすように相互に連設された長尺のコーナー下地材を、その一方の張出片を前記枠材の前記切溝に嵌入すると共に他方の張出片を、前記壁下地材を構成している下地ボードの表面に重ね合わせた状態で、前記壁下地材に固着することで、前記枠材の両側に内壁のコーナー部をそれぞれ形成し、幅木または廻り縁の端部表面を覆うカバー部と、前記枠材の前記切溝に嵌入される板状部とが、略90度の角度をなすように相互に連設されたコーナーパーツを、そのカバー部に幅木または廻り縁の端部を接着固定した状態で、前記板状部を前記枠材の前記切溝に嵌入して、前記コーナー下地材に被せると共に、前記コーナーパーツに接着固定された幅木または廻り縁を前記下地ボードに固定し、前記下地ボードから前記コーナー下地材にわたって壁仕上材を貼着したことを特徴とする内壁の端部構造を提供するものである。
【0012】
また、上記の課題を解決するため、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の内壁の端部構造を構成しているコーナーパーツを提供するものである。
【0013】
また、請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明のコーナーパーツにおいて、前記カバー部との間に幅木の端部を挟み込む羽根部材と、前記羽根部材の基端部を前記カバー部に連結するリブとを備えていることを特徴としている。
【0014】
また、請求項4に係る発明は、請求項2または3に係る発明のコーナーパーツにおいて、前記羽根部材には、幅木または廻り縁と接触する面に複数の溝または凹部が形成されていることを特徴としている。
【0015】
また、請求項5に係る発明は、請求項2、3または4に係る発明のコーナーパーツにおいて、前記羽根部材が、前記カバー部から幅木または廻り縁の延出方向に張り出しており、その張出部分に複数の前記溝または前記凹部が形成されていることを特徴としている。
【0016】
また、請求項6に係る発明は、請求項2、3、4または5に係る発明のコーナーパーツにおいて、前記パーツ本体の前面に溝部が形成されており、その溝部に前記リブが連結されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、請求項1に係る発明の内壁の端部構造では、コーナーパーツのカバー部に幅木または廻り縁の端部を接着固定した状態で、コーナーパーツの板状部を枠材の切溝に嵌入して、コーナー下地材に被せ、コーナーパーツに接着固定された幅木または廻り縁を下地ボードに固定するようにしたので、内壁の端面側に、寸法調整や位置調整を行わなければならない短い幅木を取り付ける必要がなく、簡単に施工することができる。
【0018】
また、コーナーパーツにおける内壁の端面側は、コーナー下地材の張出片と共に枠材の切溝に嵌入される薄い板状部であるので、内壁の端面側のコーナーパーツの表面が枠材の表面近くまで張り出すことがなく、全体としてすっきりしたイメージを与えることができると共に、ピボットヒンジでドアを枠材に取り付ける場合であっても、ピボットヒンジがコーナーパーツに当接することがなく、ドアを180度開くことができる。
【0019】
また、請求項3に係る発明のコーナーパーツは、一端側のカバー部との間に幅木の端部を挟み込む羽根部材の基端部が、リブによって一端側のカバー部に連結されているので、幅木または廻り縁の端部をカバー部と羽根部材との間に差し込んで接着固定し、幅木または廻り縁を壁面に釘止めすると、コーナーパーツに掃除機等をぶつけることによって、コーナーパーツ自体が回転する方向に外力が加わっても、その外力によって羽根部材とカバー部とが相対的に開きにくく、コーナーパーツの板状部を枠材の切溝に嵌入するだけで、コーナーパーツの板状部側を内壁の端面に十分に固定することができなくても、コーナーパーツ全体をそのカバー部側だけで内壁における端面のコーナー部に確実に固定することができる。
【0020】
また、請求項4に係る発明のコーナーパーツは、羽根部材における幅木または廻り縁と接触する面に複数の溝または凹部が形成されているので、その溝または凹部が形成された部分に接着剤を塗布した状態で、幅木または廻り縁の端部をカバー部と羽根部材との間に差し込んで装着すると、複数の溝または凹部が形成された羽根部材のアンカー効果によって、幅木または廻り縁に対する羽根部材の接着力が向上する。従って、コーナーパーツが装着された幅木または廻り縁を壁面に釘止めすると、コーナーパーツに掃除機等をぶつけることによって、コーナーパーツの端部に外力が加わっても、その外力によって、コーナーパーツが幅木または廻り縁から外れることがなく、さらに、コーナーパーツの固定性能が向上する。
【0021】
また、請求項5に係る発明のコーナーパーツは、羽根部材が、カバー部から幅木または廻り縁の延出方向に張り出しており、その張出部分に複数の溝または凹部が形成されているので、接着剤を塗布しやすいという効果が得られる。
【0022】
また、請求項6に係る発明のコーナーパーツは、パーツ本体の前面に溝部が形成されており、その溝部にリブが連結されているので、リブが変形することによって、リブの連結部が白化したとしても、目立ちにくく、体裁を損ねることもない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明に係る内壁の端部構造の一実施形態を採用した、ドアを取り付けた状態の内壁の壁面開口部を示す正面図である。
【図2】同上の内壁の壁面開口部の縦枠部分を示す部分斜視図である。
【図3】(a)は同上の内壁の壁面開口部の縦枠部分を示す部分側面図、(b)は同上の部分正面図である。
【図4】壁仕上材(クロス)を貼着する前の図3(a)のX−X線に沿った断面図である。
【図5】図3(a)のY−Y線に沿った断面図である。
【図6】(a)は同上の内壁を構成しているコーナー下地材を示す斜視図、(b)は同上のコーナー下地材を示す端面図である。
【図7】(a)は同上のコーナーパーツを示す平面図、(b)は同上のコーナーパーツを示す正面図、(c)は同上のコーナーパーツを示す底面図である。
【図8】(a)は同上のコーナーパーツを示す右側面図、(b)は同上のコーナーパーツを示す左側面図である。
【図9】(a)、(b)は同上の内壁の端部構造の施工方法を示す工程図である。
【図10】(a)、(b)は同上の内壁の端部構造の施工方法を示す工程図である。
【図11】同上の内壁の端部構造の施工方法を示す工程図である。
【図12】(a)、(b)は同上の内壁の端部構造の施工方法を示す工程図である。
【図13】(a)、(b)、(c)はコーナーパーツの変形例を示す左側面図である。
【図14】一般的に採用されている従来の内壁の端部構造を示す断面図である。
【図15】近年採用され始めた従来の内壁の端部構造を示す断面図である。
【図16】精度良く形成されていない壁面開口部に枠材を取り付ける場合の内壁の端面と枠材との位置関係を説明するための説明図である。
【図17】(a)、(b)は近年採用され始めた従来の内壁の端部構造の問題点を説明するための断面図である。
【図18】先願において出願人が提案している内壁の端部構造を示す拡大断面図である。
【図19】同上の内壁の端部構造に幅木を取り付ける場合の問題点を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、内壁10に形成された壁面開口部にドア枠20を設置し、このドア枠20に、ピボットヒンジPHを介して、ドアDを取り付けた状態を示している。このドア枠20は、左右一対の縦枠21、21と、この縦枠21、21をその上端部で連結する上枠22とから構成されており、縦枠21、21及び上枠22は、内壁10の厚みよりも幅狭に形成されている。また、図1〜図3及び図4に示すように、内壁10における壁面の下端部には、幅木31が取り付けられており、縦枠21の両側に位置している内壁10の出隅部には、幅木31の端部を覆う樹脂成形品であるコーナーパーツ33が取り付けられている。
【0025】
前記内壁10は、図2及び図5に示すように、壁下地材11、樹脂成形品である長尺のコーナー下地材14及び壁仕上材(クロス)17とから構成されており、縦枠21が、内壁10の厚み方向の外側に張り出さないように、内壁10の開口端面を形成している壁下地材11の間柱12にビス止めされていると共に、コーナー下地材14が、縦枠21と壁下地材11の下地ボード(石膏ボード)13とに取り付けられており、このコーナー下地材14によって内壁10における端面側のコーナー部が形成されている。なお、縦枠21は垂直に設置しなければならないが、間柱12は精度良く施工されているわけではないので、間柱12と縦枠21との間には、必要に応じて、隙間調整部材Sが挿入されている。なお、図5においては、分かりやすくするために、幅木31及びコーナーパーツ33は省略してある。
【0026】
前記コーナー下地材14は、図2、図5及び図6に示すように、略90度の角度をなすように、相互に連設された一対の張出片15、15と、一対の張出片15、15の連設部である角部を補強するために、各張出片15、15の基端部側からそれぞれ張り出したループ状のリブ16とを備えており、外面には、パテや壁仕上材(クロス)17の接着強度を高めるために、長手方向に延びる多数の凹条15aが形成されていると共に、その内面に両面粘着テープ(図示せず)が予め貼着されている。なお、このコーナー下地材14は、内壁10における端面側のコーナー部に柔らかい印象を与えるために、その角部に丸みを持たせてある。
【0027】
このコーナー下地材14は、図5に示すように、一方の張出片15が、縦枠21の端面に形成された、幅が約2.5mm、深さが約12mmの切溝21aに接着剤Aを充填した状態で遊嵌されていると共に、この張出片15の内面が切溝21aにおける壁下地材11側の壁面に接触するように、他方の張出片15の内面側が壁下地材11を構成している下地ボード13の表面に両面テープ(図示せず)によって貼着されており、切溝21aにおけるコーナーパーツ33の上側には、合成樹脂によって形成された、切溝21aの深さよりも2mm程度短い幅を有する長尺扁平状のパッキン材Fが、切溝21aにおける縦枠21の外面側に形成される隙間に、マイナスドライバー等を利用して切溝21aの奥まで圧入されている。
【0028】
また、張出片15の先端側は、その厚みが0.1〜0.6mm程度の薄肉状に形成されているが、下地ボード13の表面との間には僅かな段差が生じているので、その段差部分をパテPによって埋めることで、下地慣らしが行われている。
【0029】
前記コーナーパーツ33は、図2〜図4、図7(a)〜(c)及び図8(a)、(b)に示すように、略90度の角度をなすように、相互に連設された、幅木31の端部における上面及び正面を覆うカバー部35及び先端が縦枠21の切溝21aに挿入される板状部36を備えたパーツ本体34と、パーツ本体34における板状部36の裏面から張り出した、カバー部35との間に幅木31の端部を挟み込む羽根部材37と、羽根部材37の基端部をカバー部35に連結するリブ38とから構成されており、カバー部35には、幅木31の正面に形成された溝部32に嵌合する窪み部35aが形成されている。
【0030】
前記羽根部材37は、その先端側がカバー部35から幅木31の延出方向に張り出しており、その張出部分における幅木31と接触する面には、複数本の縦溝37aが形成されている。
【0031】
また、羽根部材37は、その上端縁がカバー部35の窪み部35aと略同一高さに位置しており、カバー部35に対応する部分の下端縁は、カバー部35の下端縁に一致しているが、カバー部35から張り出した部分の下端縁は、先端側に向かって上方側に傾斜している。また、リブ38は、羽根部材37の基端部における上端縁と、カバー部35の窪み部35aとを連結している。
【0032】
また、内壁10を構成している壁仕上材(クロス)17は、図5に示すように、下地ボード13からコーナー下地材14にわたって貼着されており、コーナー下地材14側の端縁を縦枠21の切溝21aに挿入した状態で、縦枠21の外面側に形成された切溝21aの隙間部分にコーキング剤Cが充填されている。
【0033】
以下、この内壁10の端部構造の施工方法について説明する。まず、図9(a)に示すように、切溝21aに接着剤Aを充填した後、同図(b)に示すように、コーナー下地材14の一方の張出片15を、その内面が切溝21aにおける壁下地材11側の壁面に接触するような状態で、縦枠21の端面に形成された切溝21aに挿入すると共に、他方の張出片15の内面側を壁下地材11を構成している下地ボード13の表面に両面テープによって貼着する。
【0034】
続いて、図10(a)に示すように、合成樹脂によって形成された、切溝21aの深さよりも2mm程度短い幅を有する長尺扁平状のパッキン材Fを、切溝21aにおける縦枠21の外面側に形成される隙間に、マイナスドライバー等を利用して切溝21aの奥まで圧入した後、同図(b)に示すように、コーナー下地材14の他方の張出片15と、下地ボード13の表面との間に生じた僅かな段差部分をパテPによって埋めることで、下地慣らしを行う。なお、パッキン材Fを切溝21aに圧入する際は、切溝21aの下端からコーナーパーツ33の高さ以上の隙間を開けておく必要がある。
【0035】
次に、図11に示すように、コーナーパーツ33の羽根部材37の張出部における縦溝37aの形成面に接着剤Aを塗布した状態で、幅木31の端部をカバー部35と羽根部材37との間に差し込むと、図12(a)、(b)に示すように、幅木31の端面がリブ38に当接することによって位置決めされ、幅木31の端部表面を覆った状態で、幅木31の端部にコーナーパーツ33が接着固定される。
【0036】
端部にコーナーパーツ33が接着固定された幅木31の裏面に接着剤を塗布した後、コーナーパーツ33の板状部36を、縦枠21の切溝21aにおける外面側に形成される隙間に挿入し、幅木31を壁下地材11の下地ボード(石膏ボード)13に釘止めすると、図4に示すように、コーナーパーツ33が、縦枠21の両側に位置している内壁10の出隅部に固定される。
【0037】
最後に、壁仕上材(クロス)17を、下地ボード13側からコーナー下地材14側に貼着していき、その端縁を縦枠21の切溝21aに挿入した後、図5に示すように、壁仕上材(クロス)17が挿入された切溝21aの隙間部分にコーキング剤Cを充填することによって、壁仕上材(クロス)17の端縁部分を固定する。
【0038】
以上のように、この内壁10の端部構造では、コーナーパーツ33のカバー部35に幅木31の端部を接着固定した状態で、コーナーパーツ33の板状部36を枠材21の切溝21aに嵌入して、コーナー下地材14に被せ、コーナーパーツ33に接着固定された幅木31を下地ボード13に固定するようにしたので、内壁10の端面側に、寸法調整や位置調整を行わなければならない短い幅木を取り付ける必要がなく、簡単に施工することができる。
【0039】
また、コーナーパーツ33における内壁10の端面側は、コーナー下地材14の張出片15と共に枠材21の切溝21aに嵌入される薄い板状部36であるので、内壁10の端面側のコーナーパーツ33の表面が枠材21の表面近くまで張り出すことがなく、全体としてすっきりしたイメージを与えることができると共に、ドアDを、ピボットヒンジPHを介して、枠材21に取り付ける場合であっても、図4に二点鎖線で示すように、コーナーパーツ33と略同レベルに設置される下部側のピボットヒンジPHのアームがコーナーパーツ33に当接することがなく、ドアDを180度開くことができる。
【0040】
また、この内壁10の端部構造に採用されているコーナーパーツ33は、一端側のカバー部35との間に幅木31の端部を挟み込む羽根部材37の基端部が、リブ38によって一端側のカバー部35に連結されているので、幅木31の端部をカバー部35と羽根部材37との間に差し込んで接着固定し、裏面に接着剤を塗布した状態で幅木31を壁面に釘止めすると、コーナーパーツ33に掃除機等をぶつけることによって、コーナーパーツ33自体が回転する方向に外力が加わっても、その外力によって羽根部材37とカバー部35とが相対的に開きにくく、コーナーパーツ33の板状部36を枠材21の切溝21aに嵌入するだけで、コーナーパーツ33の板状部36側を内壁10の端面に十分に固定することができなくても、コーナーパーツ33全体をそのカバー部35側だけで内壁10における端面のコーナー部に確実に固定することができる。
【0041】
特に、このコーナーパーツ33は、羽根部材37における幅木31と接触する面に複数の縦溝37aが形成されているので、その縦溝37aが形成された部分に接着剤Aを塗布した状態で、幅木31の端部をカバー部35と羽根部材37との間に差し込んで装着すると、複数の縦溝37aが形成された羽根部材37のアンカー効果によって、幅木31に対する羽根部材37の接着力が向上する。従って、コーナーパーツ33が装着された幅木31を壁面に釘止めすると、コーナーパーツ33に掃除機等をぶつけることによって、コーナーパーツ33の端部に外力が加わっても、その外力によって、コーナーパーツ33が幅木31から外れることがなく、十分な固定性能を確保することができる。
【0042】
また、このコーナーパーツ33は、羽根部材37が、カバー部35から幅木31の延出方向に張り出しており、その張出部分に複数の縦溝37aが形成されているので、羽根部材37に接着剤を塗布しやすく、幅木31の装着作業性がよいと共に、カバー部35の長さを短くすることができるので、コンパクトな印象を与えることができる。
【0043】
また、樹脂成形品であるコーナーパーツ33は、パーツ本体34を構成しているカバー部35の前面に、幅木31の正面に形成された溝部32に嵌合する窪み部35aが形成されており、その窪み部35aにリブ38が連結されているので、リブ38が変形することによって、リブ38の連結部が白化したとしても、目立ちにくく、体裁を損ねることもない。
【0044】
なお、上述した実施形態では、羽根部材37の上端縁がカバー部35の窪み部35aと略同一高さに位置している場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、図13(a)に示すように、羽根部材37の高さをカバー部35と同一高さに設定し、羽根部材37をカバー部35の上面板に連結する構成を採用することもできる。その場合は、同図(b)に示すように、カバー部35の上面板がリブの役割を果たすことになるので、リブを省略することも可能であり、同図(c)に示すように、羽根部材37の下端縁をカバー部35の裏面に連結することも可能である。
【0045】
また、上述した実施形態では、枠材21がドア枠の縦枠である場合について説明したが、これに限定されるものではなく、無目枠、開口枠、窓枠、引戸枠等を取り付けた内壁の端部構造についても適用することができることは言うまでもない。
【0046】
また、上述した実施形態では、幅木用のコーナーパーツについて説明したが、これに限定されるものではなく、廻り縁用のコーナーパーツについても同様の構成を採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の内壁の端部構造及びコーナーパーツは、内壁の端面に内壁の壁厚よりも幅狭の無目枠、開口枠、ドア枠、窓枠、引戸枠等の枠材を取り付ける場合に利用することができる。
【符号の説明】
【0048】
10 内壁
11 壁下地材
12 間柱
13 下地ボード
14 コーナー下地材
15 張出片
15a 凹条
16 リブ
17 壁仕上材(クロス)
20 ドア枠
21 縦枠
21a 切溝
22 上枠
31 幅木
32 溝部
33 コーナーパーツ
34 パーツ本体
35 カバー部
35a 窪み部
36 板状部
37 羽根部材
37a 縦溝
38 リブ
A 接着剤
C コーキング剤
D ドア
F パッキン材
P パテ
PH ピボットヒンジ
S 隙間調整部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内壁の厚みよりも幅狭の枠材を、前記内壁の端面に取り付けた内壁の端部構造であって、
前記枠材には、その幅方向の両端面に長手方向に延びる切溝を形成し、
前記内壁の端面には、前記内壁における厚み方向の外側に張り出さないように、前記内壁を構成している壁下地材に前記枠材を固定し、
一対の張出片が、略90度の角度をなすように相互に連設された長尺のコーナー下地材を、その一方の張出片を前記枠材の前記切溝に嵌入すると共に他方の張出片を、前記壁下地材を構成している下地ボードの表面に重ね合わせた状態で、前記壁下地材に固着することで、前記枠材の両側に内壁のコーナー部をそれぞれ形成し、
幅木または廻り縁の端部表面を覆うカバー部と、前記枠材の前記切溝に嵌入される板状部とが、略90度の角度をなすように相互に連設されたコーナーパーツを、そのカバー部に幅木または廻り縁の端部を接着固定した状態で、前記板状部を前記枠材の前記切溝に嵌入して、前記コーナー下地材に被せると共に、前記コーナーパーツに接着固定された幅木または廻り縁を前記下地ボードに固定し、
前記下地ボードから前記コーナー下地材にわたって壁仕上材を貼着したことを特徴とする内壁の端部構造。
【請求項2】
請求項1に記載の内壁の端部構造を構成しているコーナーパーツ。
【請求項3】
前記カバー部との間に幅木の端部を挟み込む羽根部材と、
前記羽根部材の基端部を前記カバー部に連結するリブと
を備えている請求項2に記載のコーナーパーツ。
【請求項4】
前記羽根部材には、幅木または廻り縁と接触する面に複数の溝または凹部が形成されている請求項2または3に記載のコーナーパーツ。
【請求項5】
前記羽根部材が、前記カバー部から幅木または廻り縁の延出方向に張り出しており、その張出部分に複数の前記溝または前記凹部が形成されている請求項2、3または4に記載のコーナーパーツ。
【請求項6】
前記パーツ本体の前面に溝部が形成されており、その溝部に前記リブが連結されている請求項2、3、4または5に記載のコーナーパーツ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−112107(P2012−112107A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259791(P2010−259791)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000000413)永大産業株式会社 (243)