説明

内外双方向開閉自在の門扉

【課題】 可及的に簡単な構造によって内外双方向に門扉本体を開閉できるようにする。
【解決手段】 門柱1aの内側面からL字アーム43を門柱1aの中央位置に突出配置し、このL字アーム43に開閉ヒンジ4の支軸47を配置する一方、門扉本体2の縦框21の上下端に面一に軸受48を突出配置することによって該開閉ヒンジ4をピボットヒンジ形式として、L字アーム43との干渉がなく門扉本体2を内外双方に100度程度開閉できるようにする。門扉本体2の戸先間には個別突没自在のラッチボルト63と、ハンドル3に連動してラッチボルト63を同時没入するプッシュプレート66を配置する。ハンドル3操作で開閉が可能となり、門扉本体2を閉鎖方向に押せば自動的な施錠が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、敷地側とその外側の通路側の双方に向けて押開きによって内外双方向に開閉自在とした内外双方向開閉自在の門扉に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の押開きによって内外双方向に開閉自在とした門扉として、本発明者による下記特許文献記載のものが知られている。これによれば、門柱の内側面に配置した上下のベース金具と、該上下のベース金具から直線状に突出した直線アームと、門扉本体の吊元側に配置した軸受又は支軸による上下のヒンジ他方の金具を備え、上記ヒンジ一方の金具とヒンジ他方の金具による上下の開閉ヒンジによって門扉本体を内外双方向に向けて押開き開閉自在に支持したものとされ、このとき上記門柱は、その内側面を幅広に、外側面を幅狭の台形状に形成して、内外面間に傾斜スペースを配置し、該傾斜スペースによって、門扉本体の回動開閉角度をその閉鎖状態から内外にそれぞれ90度を上回る、例えば100±5度の角度としたものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−52323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合、出入に際して門扉本体を押開きすることが可能となるから、例えば、門扉本体を敷地の内側に開閉する、従来の内開き門扉のように、門扉本体の戸先乃至上框を手前に引くようにして内側に引き開きして通路に出るといった動作を必要とせず、内外いずれからも門扉本体を押圧することによって出入が可能となり、従って、例えば、車椅子使用者や車椅子を押して出入する介助者が通路に出るとき、門扉本体の開錠操作、門扉本体の回動範囲からの移動、門扉本体の引寄せ閉鎖、再施錠操作といった煩雑な動作を必要とすることなく、門扉の出入を容易に行なうことができ、車椅子使用者、介助者、身体障害者、高齢者等にとって使い勝手を良好とした門扉とすることができるというメリットがある。
【0005】
しかし乍ら、この場合、門扉本体の回動開閉角度を確保するために、門柱を台形状として、傾斜スペースを、門柱と門扉本体の衝接を防止する緩衝部位とすることによって、門柱を特殊断面形状とする必要があり、一般に使用される断面四角形の門柱を使用できず、特殊断面形状による成形の煩雑化、搬送スペースの拡大、現場工事の煩雑化、コストアップといった問題点を招く可能性が残されている。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、その解決課題とするところは、上記のようなメリットを有することによって使い勝手を良好とする一方、特殊断面形状の門柱を用いることなく、可及的簡易な構造によって確実に内外双方に押開き開閉をなし得るようにした内外双方向開閉自在の門扉を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に沿って本発明は、門柱の敷地側背面をなす内側面に上下のベース金具を配置することによって吊元側が通路側に露出するのを防止し、該ベース金具からL字アームを屈曲突出することによって、その屈曲側先端に起立したヒンジ一方の金具を、門柱の内外中間位置に配置し、該ヒンジ一方の金具に、門扉本体吊元側に配置したヒンジ他方の金具を組み合せて形成したヒンジによって、上記該内外中間位置において門扉本体を支持するようにして、その押開き開閉の内外双方向に向けた開閉を可能としたものであって、即ち、請求項1に記載の発明を、門柱の内側面に配置した上下のベース金具と、該上下のベース金具から門柱の内外中間位置に向けて屈曲突出した平面L字状にして屈曲側の先端に起立した支軸又は軸受によるヒンジ一方の金具を有する上下のL字アームと、門扉本体の吊元側に配置した軸受又は支軸による上下のヒンジ他方の金具を備え、上記ヒンジ一方の金具とヒンジ他方の金具による上下の開閉ヒンジによって門扉本体を内外双方向に向けて押開き開閉自在に支持してなることを特徴とする内外双方向開閉自在の門扉としたものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、上記に加えて、押開き開閉の角度の拡大を、上記特許文献の如くに傾斜スペースによることなく、上記開閉ヒンジをピボットヒンジ形式のものとして、そのL字アームと門扉本体の干渉を回避して、上下のL字アームの間に内外双方に門扉本体の煽り状の回動スペースを確保し、該L字アーム間においても門扉本体の回動開閉を可能として、車椅子の出入を含めて広い開口を得られて使い勝手の更に良好なものとするとともに該開閉ヒンジをピボットヒンジ形式とすることによって、屋外設置を常態とする門扉本体の持上げによる取外しを不能とし、該門扉本体の盗難を防止し得るものとするように、これを、上記上下のL字アームの突出配置間隔を、門扉本体の高さに対してやや大きい略同等とし且つ上記上下のヒンジ他方の金具の配置を、該ヒンジ他方の金具の上下端を門扉本体の吊元側の上下端と面一又は略面一とし、該ヒンジ一方の金具及びヒンジ他方の金具をピボットヒンジ形式に配置し、上記上下のL字アームの間に内外双方に門扉本体の煽り状の回動スペースを確保することによって、門扉本体の回動開閉角度をその閉鎖状態から内外にそれぞれ90度を上回る角度としてなることを特徴とする請求項1に記載の内外双方向開閉自在の門扉としたものである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、同じく上記に加えて、門扉本体の位置及び角度を調整可能として、門柱に対する門扉本体の納まりを良好なものとするように、これを、上記上下のベース金具を、上下のL字アームの突出幅を調整自在の調整金具としてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の内外双方向開閉自在の門扉としたものである。
【0010】
請求項4に記載の発明は、同じく上記に加えて、両開き門扉として門扉本体2枚用の開口に適合したものとするように、これを、上記内外双方に開閉自在とした門扉本体を、一対の門柱間に2枚直列に配置した両開き門扉としてなることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の内外双方向開閉自在の門扉としたものである。
【0011】
請求項5に記載の発明は、同じく上記に加えて、両開き門扉を施錠可能とする一方、該施錠を、門扉本体の閉鎖によって自動的に施錠可能とし且つハンドル操作によって自動的に施錠解除可能として使い勝手の良好なものとするように、これを、上記両開き門扉の門扉本体戸先間に施錠装置を配置するとともに該施錠装置を、門扉本体の閉鎖によって戸先同士を自動保持自在とし且つ一方の門扉本体のハンドル操作によって上記施錠保持を自動解除自在とした双方向開閉用としてなることを特徴とする請求項4に記載の内外双方向開閉自在の門扉としたものである。
【0012】
請求項6に記載の発明は、同じく上記に加えて、両開き門扉の施錠装置を上記自動的な施錠と施錠解除を行なうに適した形態のものとするように、これを、上記施錠装置を、一方の門扉本体の戸先に配置した、個別突没自在として突出時に他方の門扉本体の戸先を挟持する内外一対のキャッチャーと、他方の門扉本体の戸先に配置した、上記内外一対のキャッチャーを同時没入することによってその戸先の挟持を解除自在としたハンドル操作連動の内外一対のプッシャーとを具えてなることを特徴とする請求項5に記載の内外双方向開閉自在の門扉としたものである。
【0013】
請求項7に記載の発明は、同じく上記に加えて、片開き門扉として門扉本体1枚用の開口に適合したものとするように、これを、上記内外双方に開閉自在とした門扉本体を、一対の門柱間に1枚配置した片開き門扉としてなることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の内外双方向開閉自在の門扉としたものである。
【0014】
請求項8に記載の発明は、同じく上記に加えて、片開き門扉を施錠可能とする一方、該施錠を、門扉本体の閉鎖によって自動的に施錠可能とし且つハンドル操作によって自動的に施錠解除可能として使い勝手の良好なものとするように、これを、上記片開き門扉の門扉本体と門柱間に施錠装置を配置するとともに該施錠装置を、門扉本体の閉鎖によって戸先を戸先側の門柱に自動保持自在とし且つ門扉本体のハンドル操作によって上記施錠保持を自動解除自在とした双方向開閉用としてなることを特徴とする請求項7に記載の内外双方向開閉自在の門扉としたものである。
【0015】
請求項9に記載の発明は、同じく上記に加えて、片開き門扉の施錠装置を上記自動的な施錠と施錠解除を行なうに適した形態のものとするように、これを、上記施錠装置を、戸先側の門柱に配置した、個別突没自在として突出時に門扉本体の戸先を挟持する内外一対のキャッチャーと、門扉本体の戸先に配置した、上記内外一対のキャッチャーを同時没入することによってその戸先の挟持を解除自在としたハンドル操作連動の内外一対のプッシャーとを備えてなることを特徴とする請求項8に記載の内外双方向開閉自在の門扉としたものである。
【0016】
本発明はこれらをそれぞれ発明の要旨として上記課題解決の手段としたものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明は以上のとおりに構成したから、請求項1に記載の発明は、門柱の敷地側背面をなす内側面に上下のベース金具を配置することによって吊元側が通路側に露出するのを防止し、該ベース金具からL字アームを屈曲突出することによって、その屈曲側先端に起立したヒンジ一方の金具を、門柱の内外中間位置に配置し、該ヒンジ一方の金具に、門扉本体吊元側に配置したヒンジ他方の金具を組み合せて形成したヒンジによって、上記該内外中間位置において門扉本体を支持するようにして、その押開き開閉の内外双方向に向けた開閉を可能として、例えば、車椅子使用者や車椅子を押して出入する介助者が通路に出るとき、門扉本体の開錠操作、門扉本体の回動範囲からの脱出、門扉本体の引寄せ閉鎖、再施錠操作といった煩雑な動作を必要とせずに門扉の出入を容易に行なうことができ、車椅子使用者、介助者、身体障害者、高齢者等にとって使い勝手を良好とする一方、特殊断面形状の門柱を用いることなく、可及的簡易な構造によって確実に内外双方に押開き開閉をなし得るようにした内外双方向開閉自在の門扉を提供することができる。
【0018】
請求項2に記載の発明は、上記に加えて、押開き開閉の角度の拡大を、上記特許文献の如くに傾斜スペースによることなく、上記開閉ヒンジをピボットヒンジ形式のものとして、そのL字アームと門扉本体の干渉を回避して、上下のL字アームの間に内外双方に門扉本体の煽り状の回動スペースを確保し、該L字アーム間においても門扉本体の回動開閉を可能として、車椅子の出入を含めて広い開口を得られて使い勝手を更に良好なものとするとともに該開閉ヒンジをピボットヒンジ形式とすることによって、屋外設置を常態とする門扉本体の持上げによる取外しを不能とし、該門扉本体の盗難を防止し得るものとすることができる。
【0019】
請求項3に記載の発明は、同じく上記に加えて、門扉本体の位置及び角度を調整可能として、門柱に対する門扉本体の納まりを良好なものとすることができる。
【0020】
請求項4に記載の発明は、同じく上記に加えて、両開き門扉として門扉本体2枚用の開口に適合したものとすることができる。
【0021】
請求項5に記載の発明は、同じく上記に加えて、両開き門扉を施錠可能とする一方、該施錠を、門扉本体の閉鎖によって自動的に施錠可能とし且つハンドル操作によって自動的に施錠解除可能として使い勝手の良好なものとすることができる。
【0022】
請求項6に記載の発明は、同じく上記に加えて、両開き門扉の施錠装置を上記自動的な施錠と施錠解除を行なうに適した形態のものとすることができる。
【0023】
請求項7に記載の発明は、同じく上記に加えて、片開き門扉として門扉本体1枚用の開口に適合したものとすることができる。
【0024】
請求項8に記載の発明は、同じく上記に加えて、片開き門扉を施錠可能とする一方、該施錠を、門扉本体の閉鎖によって自動的に施錠可能とし且つハンドル操作によって自動的に施錠解除可能として使い勝手の良好なものとすることができる。
【0025】
請求項9に記載の発明は、同じく上記に加えて、片開き門扉の施錠装置を上記自動的な施錠と施錠解除を行なうに適した形態のものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】両開き門扉の背面図である。
【図2】両開き門扉の平面図である。
【図3】門柱と門扉本体の関係を示す拡大平面図である。
【図4】門柱と門扉本体の開閉角度を示す拡大図である。
【図5】門柱と門扉本体の拡大背面図である。
【図6】門扉本体戸先間の施錠装置を示す拡大平面図である。
【図7】施錠装置の構造を示す横断面図である。
【図8】施錠装置による開錠状態を示す横断面図である。
【図9】施錠状態の構造を示す背面図である。
【図10】片開き門扉の背面図である。
【図11】片開き門扉の平面図である。
【図12】門柱と門扉本体間の施錠装置を示す拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下図面の例に従って本発明を更に具体的に説明すれば、図1乃至図9においてAは内外双方向開閉自在の門扉であり、該門扉Aは、門柱1aの内側面に配置した上下のベース金具41と、該上下のベース金具41から門柱1aの内外中間位置に向けて屈曲突出した平面L字状にして屈曲側の先端に起立した支軸又は軸受によるヒンジ一方の金具47を有する上下のL字アーム43と、門扉本体2の吊元側に配置した軸受又は支軸による上下のヒンジ他方の金具48を備え、上記ヒンジ一方の金具47とヒンジ他方の金具48による上下の開閉ヒンジ4によって門扉本体2を内外双方向に向けて押開き開閉自在に支持したものとしてある。
【0028】
このとき、図1乃至図9に示した本例の門扉Aは、一対の門柱1a間に門扉本体2を2枚直列配置した両開き門扉としてあり、該門扉Aは、その門柱1a、門扉本体2をアルミ押出材を切断し且つ所定の加工を施して形成したアルミ形材門扉としてある。
【0029】
門柱1aは、中空の断面四角形、特に方形として、下端を地中に埋込むことによって起立設置し、上端にキャップ12を被嵌配置して中空部を閉塞したものとしてあり、門扉本体2は、対向する吊元側及び戸先側の縦框21と上下の横框22を框組みし、該框組み内に多数の横桟を配置した横格子のものとして、その吊元側の縦框21を、上記一対の門柱1a間にそれぞれ吊支持することによって、該門柱1a間に2枚を直列に配置して門扉Aを形成したものとしてある。
【0030】
門柱1aの内側面、即ち敷地側に位置する背面に配置した本例のベース金具41は、これを、上下のL字アーム43の突出幅を調整自在の調整金具としてあり、本例にあって、該ベース金具41は、一側の側面にL字アーム43の突出幅調整用のネジを挿通する透孔を、他側の側面にL字アームを挿通する透孔を透設し、中空の内部空間の幅方向中間位置にL字アーム43の進行ガイド42を配置した中空のボックス状のものとしてあり、裏面を門柱1aの内側面上方及び下方に対接してベース金具41の上下位置に配置した各一対のネジ透孔からそれぞれネジを門柱1aに螺入することによって、該門柱1aの内側面に対して固定してある。このとき上記進行ガイド42は、例えば、中空の内部空間上下に配置した摺動ガイドをなす隔壁と、該隔壁間にこれを横断するように架設配置したガイドバーとによって形成したものとしてある。
【0031】
L字アーム43は、直線部44と、該直線部44に直交するように屈曲配置した屈曲部45とを備えた、例えば、アルミ、ステンレス等の金属の丸棒のバー材によって持ち送り用として形成し、直線部の長手方向端部に突出幅調整用のネジを受入れる雌ネジを形成するとともに長手方向中間位置の、例えば、該雌ネジ近傍の外周を部分的に平坦化した上下の平坦面と、該平坦面に上下に透設して配置した直線部長手方向に沿う長孔46を備える一方、屈曲部45の先端を径大の円形部とし、該円形部に径小円形の嵌合孔を配置し、該嵌合孔に長手方向一端を挿入固定することによって、本例にあってヒンジ一方の金具47として支軸、即ち円形中実のシャフトによる支軸を起立配置してある。このとき、本例の屈曲部45の長さは、上記嵌合孔の中心、即ちヒンジ一方の金具47の支軸の中心を、門柱1aの内外中間位置、特に内外中心位置に位置するように設定したものとしてある。
【0032】
一方、門扉本体2の吊元側の縦框21には、ヒンジ一方の金具47の支軸と開閉ヒンジ4をなすようにヒンジ他方の金具48の、本例にあっては軸受を突出配置してあり、本例にあって該軸受は、台座部49と、該台座部から門柱側に突出した上記支軸の外径に合せてその回動を許容する内径の受孔を有した円筒状の軸受を備え、台座部49を縦框21の側面に対接し、これに配置したネジ透孔からネジを縦框に螺入することによって、門扉本体2の吊元側側面に該側面からヒンジ他方の金具48を突出するようにその固定を行なってある。
【0033】
このとき、上記上下のL字アーム43の突出配置間隔は、これを、門扉本体2の高さに対してやや大きい略同等とし且つ上記上下のヒンジ他方の金具48の配置を、該ヒンジ他方の金具48の上下端を門扉本体2の吊元側の上下端と面一又は略面一とし、該ヒンジ一方の金具47及びヒンジ他方の金具48をピボットヒンジ形式に配置し、上記上下のL字アーム43の間に内外双方に門扉本体2の煽り状の回動スペースを確保することによって、門扉本体2の回動開閉角度をその閉鎖状態から内外にそれぞれ90度を上回る角度としてある。
【0034】
即ち、ベース金具41は上記門柱1aに対して門扉本体2の高さより幾分大きな間隔を置いて固定して該ベース金具41から突出したL字アーム43が、門扉本体2の高さと略同等となるように該ベース金具41の固定を行なってあり、このとき該L字アーム43は、これを上下で反転配置するように、該L字アーム43における屈曲部先端の支軸を、上位のL字アーム43において下向き、下位のL字アーム43において上向きとして、ベース金具41に対して配置してある。一方、門扉本体2の、本例にあって上記軸受は、これを、その受孔が門扉本体2の上位において上向き、下位において下向きとして、それぞれ上位の軸受の上端を門扉本体2の縦框21の上端と、下位の軸受の下端を門扉本体2の縦框21の下端と面一、本例にあっては該縦框21の上下端に配置したキャップの厚さ分を残した略面一として、該縦框21に対して配置してある。
【0035】
従って、L字アーム43の支軸を縦框21の軸受に受入れて形成することによって、本例の開閉ヒンジ4はピボットヒンジ形式のものとなり、これによって該開閉ヒンジ4によって門扉本体2を内外双方向に向けて押開き開閉自在とすることが可能となるとともに、これに止まらず、該門扉本体2の開閉に際して、該門扉本体2は、開閉ヒンジ4におけるL字アーム43の干渉を受けることなく、該L字アーム43間に亘る回動開閉が可能となり、本例にあって該門扉本体2は、例えば閉鎖状態から内外にそれぞれ最大100度程度、内外双方に200度程度の回動開閉角度を有するものとしてある。
【0036】
図中6は、該両開き門扉とした本例の門扉Aにあって、門扉本体2戸先間に配置した施錠装置であり、該施錠装置6は、これを、門扉本体2の閉鎖によって戸先同士を自動保持自在とし且つ一方の門扉本体2のハンドル3操作によって上記施錠保持を自動解除自在とした双方向開閉用のものとしてある。
【0037】
本例にあって、該施錠装置6は、これを、一方の門扉本体2の戸先に配置した、個別突没自在として突出時に他方の門扉本体2の戸先を挟持する内外一対のキャッチャー61と、他方の門扉本体2の戸先に配置した、上記内外一対のキャッチャー61を同時没入することによってその戸先の挟持を解除自在としたハンドル3操作連動の内外一対のプッシャー64とを備えたものとして、上記門扉本体2の閉鎖による戸先同士の自動保持とハンドル3操作による自動解除を行なうものとしてある。
【0038】
本例のキャッチャー61は、内外一対の、例えば個別突没自在としたラッチボルト63を、その傾斜面を内側及び外側に露出し、垂直面を相互に対向するように、一方の門扉本体2の内外面に配置することによって、該ラッチボルト63の対向する垂直の対向面を保持部として、他方の門扉本体2の戸先を保持するようにしてあり、本例にあって該キャッチャー61は、ケース62に対して突出方向に付勢した単一のラッチボルト63を装着配置し、該ケース62を、門扉本体2の戸先側の縦框21の内外面、即ち、正面及び背面に、該ラッチボルト63を縦框21の側面に向けて突出するように、それぞれネジ固定してある。これによって、一方の傾斜面に、閉鎖する他方の門扉本体2戸先の縦框21が衝接することによって、該一方のラッチボルト63がその付勢力に抗して没入し、これに対向して配置した他方のラッチボルト63、特にその垂直の対向面が、該縦框21を受止めて、門扉本体2を閉鎖定位置に受止めするとともに上記一方のラッチボルト63が付勢力によって突出復帰することによって、該門扉本体2を保持するようにしてある。
【0039】
一方、本例のプッシャー64は、他方の門扉本体2、即ち、ラッチボルト63を装着した門扉本体2とは別の門扉本体2の戸先側の縦框21に、上記内外一対のラッチボルト63を同時押圧するようにハンドル3の操作、本例にあってはレバーハンドルの押下げ操作によってラッチボルト63側に突出するように、該レバーハンドル3を内外方向に連結した縦框21内の回転軸31に回動リンク67を介して連結したプッシュプレート66をケース65に装着配置し、該ケース65を、上記内外一対のラッチボルト63と同様に戸先側の縦框21の内外面、即ち、正面及び背面に、突出時にプッシュプレート66が内外一対のラッチボルト63を没入するように固定してある。このとき、本例のプッシュプレート66は、回転軸31とケース65との間にバネ68を介設して、該プッシュプレート66を水平配置するように付勢してあり、これによって、該レバーハンドル3の押下げ操作によって突出したプッシュプレート66を、該レバーハンドル3から手を離すことによる該レバーハンドル3の水平配置への復帰に伴ってケース65内に自動的に没入復帰するようにしてある。
【0040】
以上のように構成した本例の両開き門扉とした門扉Aは、敷地側及び通路側のいずれからも該門扉本体2を押開きしてその出入を行なうことが可能となり、例えば、車椅子利用者、車椅子の介助者、高齢者、障害者等を含めて、門扉Aの出入が極めて容易になる上、門扉本体2の煽り状の回動スペースを確保して、該門扉本体2の回動開閉角度を90度を上回る、例えば、内外片側に100度をなすようにしたことによって、開口を広く得られて、従来の門扉におけるように、門扉本体2が開口内に位置することによって出入障害となることもない。また、開閉ヒンジ4をピボットヒンジ形式としたことによって、門扉本体2を持ち上げても、開閉ヒンジ4を分離できないから、該門扉本体2の持上げによる取外しを不能とし、該門扉本体2の盗難を防止することができる。
【0041】
更に、施錠装置6はハンドル3操作によって門扉本体2戸先間の施錠保持を同時解除し得るから、レバーハンドル3を押下げるだけで、一方又は双方の門扉本体2を開閉することができる上、出入後には押し開いた門扉本体2を閉鎖方向に押すだけで、キャッチャー61の内外一方が門扉本体2を受入れ、内外他方が門扉本体2のストッパーとなることによって、門扉本体2を自動的に閉鎖状態とすることができ、例えば敷地側から閉めた門扉本体2が通路側に飛び出して通行人に当ったりすることも有効に防止できる。
【0042】
図中5は、開閉ヒンジ4の支軸と軸受間に介装したワッシャーを示す。
【0043】
図10乃至図12は、他の例の双方向開閉自在の門扉Aを示すもので、本例にあって門扉本体2は、これを、一対の門柱1a、1b間に1枚配置した片開き門扉としたものとしてあり、このとき該片開き門扉の門扉本体2と門柱1b間に施錠装置6を配置するとともに該施錠装置6を、門扉本体2の閉鎖によって戸先を戸先側の門柱1bに自動保持自在とし且つ門扉本体2のハンドル3操作によって上記施錠保持を自動解除自在とした双方向開閉用のものとし、本例にあって該施錠装置6は、これを、戸先側の門柱1bに配置した、個別突没自在として突出時に門扉本体2の戸先を挟持する内外一対のキャッチャー61と、門扉本体2の戸先に配置した、上記内外一対のキャッチャー61を同時没入することによってその戸先の挟持を解除自在としたハンドル3操作連動の内外一対のプッシャー64とを備えたものとしてある。
【0044】
即ち、本例にあって門扉本体2は、これを門柱1a、1b間に単一のものとして、その一方の吊元側の門柱1aに上記と同様に開閉ヒンジ4によって吊支持するとともに他方の戸先側の門柱1bに上記と同様な施錠装置6のキャッチャー61を、門扉本体2の戸先にプッシャー64をそれぞれ配置することによって、同様に該門扉本体2を内外双方向に向けて押開き開閉自在とし且つレバーハンドル3を押下げることによる門扉本体2の開閉と出入後の自動的な閉鎖をなし得るようにしてある。
【0045】
このとき門柱1aは、その吊元側の門柱1aを上記と同一断面のものとするも、戸先側の門柱1bの断面形状を倒T字状とすることによって、先端に門扉本体2戸先の厚さ(内外幅)と同幅の突出部11を配置し、該突出部11の内外面に上記ラッチボルト63の設置スペースを配置して、該設置スペースにラッチボルト63のケース62を同じく固定して、該ラッチボルト63による門扉本体2の施錠保持を行なうとともに該ケース62が戸先側の門柱1bから内外に突出するのを防止して、キャッチャー61の設置納まりを可及的良好とするようにしてある。
【0046】
その余は上記例と変らないので、同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0047】
以上のように構成した本例の片開き門扉とした門扉Aも、同様に、押開きによる出入を極めて容易になし得るとともに内外方向の煽り状の回動スペースによって、門扉本体2の回動開閉角度を90度を上回る、例えば100度程度として広い開口を得られるものとし且つ門扉本体2の盗難を防止し得るものとすることができ、また、レバーハンドル3の押下げによって門扉本体2を開閉でき、また、出入後に押し開いた門扉本体2を押すだけで、同様に門柱1a、1b間に門扉本体2を受入れて、その自動的に閉鎖状態とし、同じく、敷地側から閉めた門扉本体2が通路側に飛び出すことも有効に防止できる。
【0048】
図示した例は以上のとおりとしたが、L字アームのヒンジ一方の金具を軸受とし、門扉本体のヒンジ他方の金具を支軸として開閉ヒンジを構成し、必要に応じて同様にピボットヒンジ形式のものとすることを含めて、内外双方向開閉自在の門扉、門柱、門扉本体、開閉ヒンジ、そのベース金具、L字アーム、ヒンジ一方の金具、ヒンジ他方の金具、必要に応じて用いる施錠装置、キャッチャー、プッシャー等の材質、形状、構造、これらの関係、これらに対する付加等は、上記発明の要旨に反しない限り様々な形態のものとすることができる。
【符号の説明】
【0049】
A 内外双方向開閉自在の門扉
1a 吊元側門柱
1b 戸先側門柱
11 突出部
12 キャップ
2 門扉本体
21 縦框
22 横框
3 ハンドル
31 回転軸
4 開閉ヒンジ
41 ベース金具
42 進行ガイド
43 L字アーム
44 直線部
45 屈曲部
46 長孔
47 支軸
48 軸受
49 台座部
5 ワッシャー
6 施錠装置
61 キャッチャー
62 ケース
63 ラッチボルト
64 プッシャー
65 ケース
66 プッシュプレート
67 回動リンク
68 バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
門柱の内側面に配置した上下のベース金具と、該上下のベース金具から門柱の内外中間位置に向けて屈曲突出した平面L字状にして屈曲側の先端に起立した支軸又は軸受によるヒンジ一方の金具を有する上下のL字アームと、門扉本体の吊元側に配置した軸受又は支軸による上下のヒンジ他方の金具を備え、上記ヒンジ一方の金具とヒンジ他方の金具による上下の開閉ヒンジによって門扉本体を内外双方向に向けて押開き開閉自在に支持してなることを特徴とする内外双方向開閉自在の門扉。
【請求項2】
上記上下のL字アームの突出配置間隔を、門扉本体の高さに対してやや大きい略同等とし且つ上記上下のヒンジ他方の金具の配置を、該ヒンジ他方の金具の上下端を門扉本体の吊元側の上下端と面一又は略面一とし、該ヒンジ一方の金具及びヒンジ他方の金具をピボットヒンジ形式に配置し、上記上下のL字アームの間に内外双方に門扉本体の煽り状の回動スペースを確保することによって、門扉本体の回動開閉角度をその閉鎖状態から内外にそれぞれ90度を上回る角度としてなることを特徴とする請求項1に記載の内外双方向開閉自在の門扉。
【請求項3】
上記上下のベース金具を、上下のL字アームの突出幅を調整自在の調整金具としてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の内外双方向開閉自在の門扉。
【請求項4】
上記内外双方に開閉自在とした門扉本体を、一対の門柱間に2枚直列に配置した両開き門扉としてなることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の内外双方向開閉自在の門扉。
【請求項5】
上記両開き門扉の門扉本体戸先間に施錠装置を配置するとともに該施錠装置を、門扉本体の閉鎖によって戸先同士を自動保持自在とし且つ一方の門扉本体のハンドル操作によって上記施錠保持を自動解除自在とした双方向開閉用としてなることを特徴とする請求項4に記載の内外双方向開閉自在の門扉。
【請求項6】
上記施錠装置を、一方の門扉本体の戸先に配置した、個別突没自在として突出時に他方の門扉本体の戸先を挟持する内外一対のキャッチャーと、他方の門扉本体の戸先に配置した、上記内外一対のキャッチャーを同時没入することによってその戸先の挟持を解除自在としたハンドル操作連動の内外一対のプッシャーとを備えてなることを特徴とする請求項5に記載の内外双方向開閉自在の門扉。
【請求項7】
上記内外双方に開閉自在とした門扉本体を、一対の門柱間に1枚配置した片開き門扉としてなることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の内外双方向開閉自在の門扉。
【請求項8】
上記片開き門扉の門扉本体と門柱間に施錠装置を配置するとともに該施錠装置を、門扉本体の閉鎖によって戸先を戸先側の門柱に自動保持自在とし且つ門扉本体のハンドル操作によって上記施錠保持を自動解除自在とした双方向開閉用としてなることを特徴とする請求項7に記載の内外双方向開閉自在の門扉。
【請求項9】
上記施錠装置を、戸先側の門柱に配置した、個別突没自在として突出時に門扉本体の戸先を挟持する内外一対のキャッチャーと、門扉本体の戸先に配置した、上記内外一対のキャッチャーを同時没入することによってその戸先の挟持を解除自在としたハンドル操作連動の内外一対のプッシャーとを備えてなることを特徴とする請求項8に記載の内外双方向開閉自在の門扉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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