説明

内燃機関の排気浄化装置

【課題】内燃機関の排気浄化装置に関し、酸化触媒への無駄な燃料供給を抑制して、燃費を効果的に向上する。
【解決手段】内燃機関10の排気通路14に設けられて酸化触媒31とDPF32とを配置した排気後処理装置30と、酸化触媒31に燃料を供給する排気管内噴射装置18と、排気管内噴射装置18により酸化触媒31に燃料を供給させてフィルタ32の再生を制御すると共に、酸化触媒31の温度を高温状態に維持してフィルタ32を再生できる再生可能状態にあるか否かを判定する制御部44,45とを備え、制御部44,45は、フィルタ32の再生制御中に再生可能状態にないと判定した時は、再生可能状態にあると判定するまで再生制御を停止するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気浄化装置に関し、特に、排気後処理装置に酸化触媒と排気ガス中の粒子状物質を捕集するフィルタとを備えた排気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンから排出される排気ガス中の粒子状物質(Particulate Matter、以下、PMという)を捕集するフィルタとして、例えば、ディーゼル・パティキュレイト・フィルタ(Diesel Particulate Filter、以下、DPFという)が知られている。このDPFは、PMの捕集量に限度がるため、堆積したPMを定期的に焼却除去する再生を行う必要がある。DPFの再生としては、排気管内噴射やポスト噴射により、上流側に設けられた酸化触媒に未燃燃料を供給して、酸化により発生する熱で排気ガスをPM燃焼温度まで昇温することで行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−89479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、配送車等の車両においては、配送エリア内を走行する際は比較的近距離にある複数の目的地を転々と移動しながら、目的地で停車する都度エンジンをオフにするのが一般的である。そのため、配送エリア内では酸化触媒の温度が低下することになり、DPFの再生を実行すべく酸化触媒に未燃燃料を供給しても酸化が進まず、排気ガスをPM燃焼温度まで昇温できない可能性がある。このように、排気ガスが昇温されない状態でDPFの再生を継続すると、酸化触媒に必要量以上の燃料を供給することになり、燃費の悪化を招いてしまう。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、その目的は、DPFの再生に際し、酸化触媒への無駄な燃料供給を抑制して、燃費を効果的に向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の内燃機関の排気浄化装置は、車両に搭載される内燃機関の排気浄化装置であって、前記内燃機関の排気通路に設けられ、排気上流側から順に酸化触媒と排気中の粒子状物質を捕集するフィルタとを配置した排気後処理装置と、前記酸化触媒に燃料を供給する燃料供給手段と、前記燃料供給手段により前記酸化触媒に燃料を供給させて前記フィルタの再生を制御すると共に、前記車両の走行距離に基づいて、前記酸化触媒の温度を高温状態に維持して前記フィルタを再生できる再生可能状態にあるか否かを判定する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記フィルタの再生制御中に、前記フィルタを再生可能状態にないと判定した時は、前記フィルタを再生可能状態にあると判定するまで前記再生制御を停止することを特徴とする。
【0007】
また、前記制御手段は、前記再生制御を停止している場合において、前記フィルタを再生可能状態にあると判定した時は、前記フィルタの再生制御を再開してもよい。
【0008】
また、前記制御手段は、前記フィルタを再生可能状態にないと判定した時点からの前記車両の走行距離を算出すると共に、算出した該走行距離が所定の走行距離に達した時に、前記フィルタを再生可能状態にあると判定してもよい。
【0009】
また、前記制御手段は、前記フィルタを再生可能状態にないと判定した後に前記車両のイグニッションがOFFにされた場合は、このOFFにされた時点までに算出した車両の走行距離を記憶すると共に、その後にイグニッションがONにされると、新たに算出される車両の走行距離からイグニッションOFFにされた時点までに算出して記憶した車両の走行距離を減算して得られる走行距離が前記所定の走行距離に達した時に前記フィルタを再生可能状態にあると判定してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の内燃機関の排気浄化装置によれば、DPFの再生に際し、酸化触媒への無駄な燃料供給を抑制して、燃費を効果的に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置を示す模式的なブロック構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置のECUを示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置の制御内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図1〜3に基づいて、本発明の一実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置を説明する。同一の部品には同一の符号を付してあり、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0013】
本実施形態の内燃機関の排気浄化装置は、例えば配送車等のトラック(以下、車両という)に搭載されるものである。図1に示すように、ディーゼルエンジン(以下、単にエンジンという)10には、吸気マニホールド10aと排気マニホールド10bとが設けられている。吸気マニホールド10aには、図示しない吸気バルブの開弁により新気を導入する吸気通路11が接続され、排気マニホールド10bには、図示しない排気バルブの開弁により排気ガスを排出する排気通路14が接続されている。
【0014】
吸気通路11には、吸気上流側から順に、エアフィルタ15と、ターボ過給機16のコンプレッサ16aと、インタクーラー17とが設けられている。また、排気通路14には、排気上流側から順に、ターボ過給機16のタービン16bと、排気管内噴射装置18と、排気後処理装置30とが設けられている。さらに、排気通路14と吸気通路11とはEGR通路20で接続されており、このEGR通路20にはEGRクーラ21とEGRバルブ22とが設けられている。
【0015】
排気管内噴射装置18は、後述するECU40のDPF再生制御部45から出力される指示信号に応じて、排気下流側に設けられた排気後処理装置30の酸化触媒31に向けて未燃燃料のHC(炭化水素)を噴射する。
【0016】
排気後処理装置30は、排気上流側から順に、酸化触媒31とDPF32とを配置して構成されている。また、排気後処理装置30には、DPF32の排気上流側と下流側との差圧を検出する差圧センサ25が設けられている。
【0017】
酸化触媒31は公知の構造で、コーディエライトハニカム構造体等よりなるセラミック製担体の表面に酸化触媒を担持して形成されている。酸化触媒31は、排気管内噴射装置18から未燃燃料が供給されると、これを酸化して、酸化により発生する熱で排気ガスを昇温する。
【0018】
DPF32は公知の構造で、排気ガス中のPMをフィルタに捕集するとともに、PM堆積量が所定の上限値に達すると、堆積したPMを焼却除去する再生が行われる。このDPF32の再生は、排気管内噴射装置18から酸化触媒31に未燃燃料を供給し、供給された未燃燃料の酸化により発生する熱で排気ガスをPM燃焼温度まで昇温することで行われる。
【0019】
再生実行選択スイッチ35は、ドライバーの手動操作による再生実行の選択が可能なスイッチであって、例えば図示しない車両の運転室内に設けられている。この再生実行選択スイッチ35は、詳細を後述するECU40と電気配線を介して接続されており、ドライバーによりオン操作されると、DPF32の再生が実行されるように構成されている。
【0020】
ECU40は、エンジン10の燃料噴射等の各種制御を行うもので、公知のCPUやROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備え構成されている。この各種制御を行うために、ECU40には、差圧センサ25や、車速センサ26、図示しないアクセル開度センサ等の各種センサの出力信号がA/D変換された後に入力される。
【0021】
また、図2に示すように、ECU40は、PM堆積量演算部41と、再生完了判定部42と、燃料供給量判定部43と、再生実行可否判定部44と、DPF再生制御部45とを一部の機能要素として有する。これら各機能要素は、本実施形態では一体のハードウェアであるECU40に含まれるものとして説明するが、これらのいずれか一部を別体のハードウェアに設けることもできる。
【0022】
PM堆積量演算部41は、DPF32に捕集されて堆積したPMの堆積量を演算する。より詳しくは、ECU40には、予め作成されたDPF32の排気上流側及び下流側の差圧ΔPとPMの堆積量Pとの関係を示すマップ(不図示)が記憶されている。PM堆積量演算部41は、このマップから差圧センサ25の検出値に対応する堆積量Pを読み取ることで、DPF32に堆積したPMの堆積量を演算する。
【0023】
なお、差圧センサ25を用いない場合は、エンジン10の運転状態であるエンジン回転数とエンジン負荷とに応じた単位時間当たりのPM排出量を示すマップ(不図示)を予め記憶させておき、このマップからエンジン10の稼働時間の積算値に対応するPM排出量を読み取ることで、PMの堆積量を演算してもよい。
【0024】
再生完了判定部42は、後述するDPF再生制御部45によるDPF32の再生が完了したか否かを判定する。より詳しくは、ECU40には、DPF32の再生が完了した際のPMの堆積量下限閾値PMINが予め記憶されている。再生完了判定部42は、PM堆積量演算部41により演算された堆積量Pが堆積量下限閾値PMINに達した場合(P≦PMIN)に、DPF再生制御部45によるDPF32の再生を完了したと判定する。
【0025】
燃料供給量判定部43は、DPF再生制御部45による再生制御中に、排気管内噴射装置18から酸化触媒31に供給された燃料の供給量積算値Vが、DPF32を再生させるのに十分な供給量か否かを判定する。より詳しくは、ECU40には、DPF32を再生させることができる酸化触媒31での燃料の消費量下限閾値VMINが予め記憶されている。また、供給量積算値Vは、温度センサ(不図示)でDPF32の温度をモニタしながら目標温度を維持できる燃料供給量をECU40で計算すると共に、この計算される燃料供給量をDPF再生制御の開始時点(堆積量Pが所定の上限値に達した時点)から現在まで積算することで算出される。燃料供給量判定部43は、この算出された供給量積算値Vが消費量下限閾値VMIN以上の場合(V≧VMIN)に、供給量をDPF32の再生に十分と判定する。
【0026】
再生実行可否判定部44は、車両の走行距離が、酸化触媒31の温度を高温状態に維持してDPF32を再生できる所定の走行距離に達した場合にDPF32を「再生可能状態」と判定する。より詳しくは、ECU40には、車両が配送エリアを抜ける走行距離や、営業所に戻ったと想定される走行距離が走行距離判定閾値D0として予め記憶されている。この走行距離判定閾値D0は、車両毎に変えられるように、外部ツールから書き換え可能に構成されている。
【0027】
再生実行可否判定部44は、車両が走行を開始してから燃料供給量判定部43が供給量をDPF32の再生に十分(V≧VMIN)と判定した時点までの絶対走行距離D1を、車速に走行時間を乗算して得た値を積算する方法や、走行メータの値を取得する方法等の周知の手法を用いて算出すると共に、この絶対走行距離D1を基準走行距離としてECU40の記憶部に記憶する。さらに、再生実行可否判定部44は、車両が走行を開始してから現在までの絶対走行距離D2を、車速に現在までの走行時間を乗算して得た値を積算する方法や、走行メータの値を取得する方法等の周知の手法を用いて算出する。そして、再生実行可否判定部44は、算出した絶対走行距離D2から記憶した絶対走行距離D1を減算して得られる相対走行距離D3(=D2−D1)が走行距離判定閾値D0に達した場合(D3≧D0)に、DPF32を「再生可能状態」と判定する。なお、ECU40に記憶された絶対走行距離D1は、車両のイグニッションがOFF操作された場合(例えば、配送のため運転者が車両からキーを抜き取って完全に離れるような場合)も保存されるように構成されている。
【0028】
DPF再生制御部45は、排気管内噴射装置18による燃料噴射を制御して、DPF32の再生を実行する。より詳しくは、ECU40にはDPF32に捕集されて堆積したPMを焼却除去すべき堆積量上限閾値PMAXが予め記憶されている。DPF再生制御部45は、PM堆積量演算部41により演算されるPMの堆積量Pがこの堆積量上限閾値PMAXを超えると、排気管内噴射装置18に燃料を噴射させる指示信号を出力する。
【0029】
一方、DPF再生制御部45は、再生完了判定部42がDPF32の再生を未完了(P>PMIN)と判定し、かつ、燃料供給量判定部43が供給量をDPF32の再生に十分(V≧VMIN)と判定した場合は、再生実行可否判定部44が「再生可能状態」と判定するまで、DPF32の再生を停止させる。これにより、車両が配達エリア内を走行中など、酸化触媒31の温度が低下した状態における無駄な燃料消費が抑止されるように構成されている。
【0030】
なお、DPF再生制御部45は、ドライバーにより再生実行選択スイッチ35がオン操作された場合は、上述の各条件にかかわらずDPF32の再生を実行する。すなわち、DPF32の再生を実行する前に車両が営業所に戻った場合であっても、ドライバーの手動操作でDPF32の再生を確実に行えるように構成されている。
【0031】
次に、本実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置による制御フローを図3に基づいて説明する。なお、本制御はエンジン10の始動(イグニッションのON操作)時に、直前のエンジン10の停止(イグニッションのOFF操作)時の制御状態(制御ステップ、供給量積算値V、絶対走行距離D1)からスタートする。エンジン10の停止(イグニッションのOFF操作)時の制御状態は、ECU40の記憶部に記憶され、イグニッションOFF操作時においても保存される。
【0032】
ステップ(以下、ステップを単にSと記載する)100では、PM堆積量演算部41により演算されるPMの堆積量Pが堆積量上限閾値PMAXを超えたか否かが確認される。堆積量Pが堆積量上限閾値PMAXを超えた場合は、DPF32の再生を実行すべくS110へと進む。
【0033】
S110では、DPF再生制御部45によるDPF32の再生が実行される。すなわち、DPF再生制御部45から排気管内噴射装置18に燃料を噴射させる指示信号が出力されると共に、排気管内噴射装置18から酸化触媒31に未燃燃料が供給される。
【0034】
さらに、S120では、再生完了判定部42によりDPF32の再生が完了したか否かが判定される。PM堆積量演算部41により演算された堆積量Pが堆積量下限閾値PMINに達した場合は、DPF32の再生は完了と判定されてリターンされる。一方、PM堆積量演算部41により演算された堆積量Pが堆積量下限閾値PMIN未満の場合は、DPF32の再生は未完了と判定されてS130に進む。
【0035】
S130では、燃料供給量判定部43により、前述のS110で排気管内噴射装置18から酸化触媒31に供給された燃料の供給量積算値Vが、DPF32の再生に十分な供給量か否かが判定される。燃料の供給量積算値Vが消費量下限閾値VMIN以上の場合(V≧VMIN)は、燃料の供給量はDPF32の再生に十分と判定されてS140に進む。一方、燃料の供給量積算値Vが消費量下限閾値VMIN未満の場合(V<VMIN)は、燃料の供給量はDPF32の再生に不十分と判定されてS110に戻される。すなわち、DPF再生制御部45によるDPF32の再生が再び実行される。
【0036】
S140では、再生実行可否判定部44により、車両が走行を開始してから燃料供給量判定部43が供給量をDPF32の再生に十分(V≧VMIN)と判定した時点までの絶対走行距離D1が算出されると共に、この絶対走行距離D1が基準走行距離としてECU40に記憶される。
【0037】
S150では、再生実行可否判定部44により、車両が走行を開始してから現在までの絶対走行距離D2が算出されると共に、この絶対走行距離D2から前述のS140で記憶した絶対走行距離D1を減算して得られる相対走行距離D3(=D2−D1)が、酸化触媒31の温度を高温状態に維持してDPF32を再生できる走行距離判定閾値D0に達したか否かが確認される。相対走行距離D3が走行距離判定閾値D0に達した場合(D3≧D0)は、DPF32は「再生可能状態」と判定されてS110へと戻される。一方、相対走行距離D3が走行距離判定閾値D0に達していない場合(D3<D0)は、DPF32は「再生可能状態にない」と判定されてS160へと進む。
【0038】
S160では、再生実行選択スイッチ35がドライバーによりオン操作されているか否かが確認される。再生実行選択スイッチ35がオン操作されている場合は、DPF32の再生を実行すべくS110へと戻される。
【0039】
一方、再生実行選択スイッチ35がオン操作されていない場合は、S150へと戻される。すなわち、相対走行距離D3が走行距離判定閾値D0に達してDPF32が「再生可能状態」と判定されるか、又は再生実行選択スイッチ35がオン操作されるまで、DPF32の再生は停止される(S150及びS160のステップを繰返す)。
【0040】
次に、本実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置による作用効果について説明する。
【0041】
本実施形態の内燃機関の排気浄化装置では、車両の走行距離が、酸化触媒31の温度を高温状態に維持できる走行距離に達するまで、DPF32の再生は停止される。すなわち、車両が配送エリアを走行している際など、酸化触媒31の温度が低下した状態においては、酸化触媒31への未燃燃料の供給は停止されるように構成されている。したがって、DPF32の再生に際し、酸化触媒31への無駄な燃料供給が抑制され、燃費を効果的に向上することができる。
【0042】
また、本実施形態の内燃機関の排気浄化装置では、イグニッションがOFF操作された場合においても、燃料の供給量積算値Vを消費量下限閾値VMIN以上と判定した時点での絶対走行距離D2がECU40に記憶されて保存されるので、DPF32の再生制御を停止した状態で設定された走行距離判定閾値D0以上の距離を走行しないように構成されている。したがって、燃費の改善が可能であると共に、再生制御の停止中にDPF32が捕集限界に達して故障することを効果的に回避することができる。
【0043】
また、本実施形態の内燃機関の排気浄化装置では、車両の走行距離が、酸化触媒31の温度を高温状態に維持できる走行距離に達していない場合であっても、ドライバーによる再生実行選択スイッチ35のオン操作でDPF32の再生を実行するように構成されている。したがって、DPF32の再生が実行される前に、車両が営業所に戻った場合であっても、ドライバーの手動操作でDPF32の再生を確実に行うことができる。
【0044】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。
【0045】
例えば、上述の実施形態において、図3の制御フローに示すように、DPF32の再生を停止させるロジック(S150)は、1回目のDPF32の再生(S110)が行われた後に機能するものとして説明したが、この1回目のDPF32の再生が行われる前から機能させても良い。この場合も、上述の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0046】
また、酸化触媒31への燃料の供給は、排気管内噴射装置18に限られず、例えばエンジン10のポスト噴射を用いてもよい。
【符号の説明】
【0047】
10 エンジン
14 排気通路
18 排気管内噴射装置(燃料供給手段)
25 差圧センサ
30 排気後処理装置
31 酸化触媒
32 DPF(フィルタ)
40 ECU(制御手段)
44 再生実行可否判定部(制御手段)
45 DPF再生制御部(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される内燃機関の排気浄化装置であって、
前記内燃機関の排気通路に設けられ、排気上流側から順に酸化触媒と排気中の粒子状物質を捕集するフィルタとを配置した排気後処理装置と、
前記酸化触媒に燃料を供給する燃料供給手段と、
前記燃料供給手段により前記酸化触媒に燃料を供給させて前記フィルタの再生を制御すると共に、前記車両の走行距離に基づいて、前記酸化触媒の温度を高温状態に維持して前記フィルタを再生できる再生可能状態にあるか否かを判定する制御手段とを備え、
前記制御手段は、
前記フィルタの再生制御中に、前記フィルタを再生可能状態にないと判定した時は、前記フィルタを再生可能状態にあると判定するまで前記再生制御を停止することを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記再生制御を停止している場合において、前記フィルタを再生可能状態にあると判定した時は、前記フィルタの再生制御を再開する請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記フィルタを再生可能状態にないと判定した時点からの前記車両の走行距離を算出すると共に、算出した該走行距離が所定の走行距離に達した時に、前記フィルタを再生可能状態にあると判定する請求項1又は2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記フィルタを再生可能状態にないと判定した後に前記車両のイグニッションがOFFにされた場合は、このOFFにされた時点までに算出した車両の走行距離を記憶すると共に、その後にイグニッションがONにされると、新たに算出される車両の走行距離からイグニッションOFFにされた時点までに算出して記憶した車両の走行距離を減算して得られる走行距離が前記所定の走行距離に達した時に前記フィルタを再生可能状態にあると判定する請求項3に記載の内燃機関の排気浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−96246(P2013−96246A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237230(P2011−237230)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】