内燃機関の点火時期制御方法
【課題】ノック発生が検出された場合に、ノックが発生した気筒の点火時期を遅角側に補正し、ノックの発生を抑制する構成において、エンジンの回転数が上昇すると各サイクル間の間隔が速くなるため、次に点火する気筒の通電開始時間に間に合わず、遅角制御の反映を行うことができない。また、エンジンが高回転の時には燃料の薄い混合気で燃焼を行うため高回転時にノックが発生すると温度が上昇し、ピストンが溶ける等が起こる。このようにエンジンの高回転時に発生するノックは低回転時に発生するノックに比べてエンジンがオーバーヒートや破損する危険なノックであることが多い。
【解決手段】ノック検出手段が1番目の気筒のノッキングを検出し、2番目の気筒に対してのECUからノッキングの発生を抑制する点火信号が反映できないと判断されたときには、点火コイルの当該2番目の気筒に対する通電終了時間を遅角させ、点火信号のオン時間を延長させる。
【解決手段】ノック検出手段が1番目の気筒のノッキングを検出し、2番目の気筒に対してのECUからノッキングの発生を抑制する点火信号が反映できないと判断されたときには、点火コイルの当該2番目の気筒に対する通電終了時間を遅角させ、点火信号のオン時間を延長させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車エンジン等の内燃機関の燃焼状態に対する点火時期制御方法において、特に、ノッキングに対する点火制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、内燃機関が発する金属性の音や振動する現象をノッキング(以下「ノック」)といい、ノックの原因としては点火時期が早すぎることや圧縮比が高すぎること、極端に薄い混合気による燃焼等が上げられ、エンジンブローに繋がる恐れがある。ノック対策においては、ノック発生が検出された場合に、ノックが発生した気筒の点火時期を遅角側に補正し、ノックの発生を抑制することが知られているが、この他にも複数の気筒の何れかにノックが発生した場合に全ての気筒の点火時期を一律に遅角制御するものが提案されており、例えば特開昭58−165574号公報(以下「特許文献1」)が知られている。
【0003】
特許文献1において、エンジン振動を表わす信号からノッキング状態を検出するノッキング検出回路と、エンジンのクランク角に対応する信号を発生するクランク角センサと、エンジンの運転状態を支配する各種運転状態制御装置と、上記クランク角センサの出力と上記ノッキング検出回路の出力とによりノッキングの発生した気筒を判別するとともに上記ノッキング検出回路の出力が所定値以下の時上記運転状態制御装置による制御をノッキングの発生した気筒のみ補正し上記出力が所定値以上の時上記制御を全気筒について補正する気筒制御補正回路とを備えた多気筒エンジンの制御装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭58−165574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の内燃機関の制御装置では次のような問題が生じている。即ち、特許文献1において、複数の気筒のいずれかにノックが発生した場合にすべての気筒の点火時期を一律に遅角制御し、ノックの発生を抑制しているが、エンジンの回転数の上昇に応じて各サイクル間の間隔が速くなるため、次に点火する気筒の通電開始時間に間に合わず、遅角制御の反映を行うことができない。また、エンジンが高回転の時には燃料の薄い混合気で燃焼を行うため高回転時にノックが発生すると温度が上昇し、ピストンが溶ける等が起こる。このようにエンジンの高回転時に発生するノックは低回転時に発生するノックに比べてエンジンがオーバーヒートや破損する危険なノックであることが多い。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、エンジンの回転数が上昇しても次に点火する気筒からノックの発生を抑制することができる内燃機関の点火時期制御方法を提供することを目標とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は次のような構成とする。即ち、複数の気筒を有する内燃機関と、当該内燃機関の電気的制御を行うECUと、前記内燃機関の点火を行う1次コイルと2次コイルとからなる点火コイルと、前記内燃機関のノックの発生を検出するノック検出手段とから構成され、当該ノック検出手段が前記内燃機関の何れかの気筒からノッキングを検出した際に、前記ECUからの前記点火コイルの点火信号を遅角させてノッキングの発生を抑制する内燃機関の点火時期制御方法において、前記ノック検出手段が1番目の気筒のノッキングを検出し、2番目の気筒に対しての前記ECUからノッキングの発生を抑制する点火信号が反映できないと判断されたときには、前記点火コイルの当該2番目の気筒に対する通電終了時間を遅角させ、点火信号のオン時間を延長させることを特徴とする内燃機関の点火時期制御方法とする。
【0008】
上記構成においては、前記ノック検出手段は前記内燃機関の振動を検知するノックセンサ又は前記内燃機関の燃焼時に発生するイオン電流を検出するイオン電流検出装置としてもよい。また、前記点火コイルの通電終了時間の遅角は、前記内燃機関の出力に問題が生じない範囲で行ってもよいし、前記点火コイルの通電終了時間の遅角は、前記点火コイルの放電性能の限界以内の範囲で行ってもよい。さらに、前記内燃機関は3気筒エンジンであってもよい。
【発明の効果】
【0009】
上記の通り、ノック検出手段が1番目の気筒のノッキングを検出し、2番目の気筒に対してのECUからノッキングの発生を抑制する点火信号が反映できないと判断されたときには、点火コイルの当該2番目の気筒に対する通電終了時間を遅角させ、点火信号のオン時間を延長させることで、エンジンの回転数が上昇しても次に点火する気筒からノックの発生を抑制し、エンジンを保護するとともに出力トルクのロスを防ぐことができる内燃機関の点火時期制御方法が実現できる。
【0010】
また、内燃機関の高回転時に発生するノックは低回転時に発生するノックに比べて内燃機関がオーバーヒートや破損する危険なノックであることが多いため、内燃機関の保護に一層効果が生じる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施例とする内燃機関の構成を示す図である。
【図2】第1の実施例とする内燃機関の点火装置の回路図である。
【図3】第1の実施例とする内燃機関の各気筒の燃焼期間及び点火信号を示すタイムチャートである。
【図4】第1の実施例とする内燃機関の気筒♯1の燃焼に対するノック判定制御を示すタイムチャートである。
【図5】第1の実施例とする内燃機関の気筒♯1の燃焼に対して気筒♯2の点火信号に行う点火時期制御を示すタイムチャートである。
【図6】第1の実施例とする内燃機関のノックに対する点火時期制御を表すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施例とする内燃機関の構成を示す図である。
【図8】第2の実施例とする内燃機関の点火装置の回路図である。
【図9】第2の実施例とする内燃機関の気筒♯1の燃焼に対するノック判定制御を示すタイムチャートである。
【図10】第2の実施例とする内燃機関の気筒♯1の燃焼に対して気筒♯2の点火信号に行う点火時期制御を示すタイムチャートである。
【図11】第2の実施例とする内燃機関のノックに対する点火時期制御を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施の形態を示す実施例を図1乃至図11に基づいて説明する。
【実施例1】
【0013】
本発明の第1の実施例とする内燃機関の構成を示す図を図1に、内燃機関の点火装置の回路図を図2に、内燃機関の各気筒の燃焼期間及び点火信号を示すタイムチャートを図3に、内燃機関の気筒♯1の燃焼に対するノック判定制御を示すタイムチャートを図4に、内燃機関の気筒1の燃焼に対して気筒2の点火信号に行う点火時期制御を示すタイムチャートを図5に、内燃機関のノックに対する点火時期制御を表すフローチャートを図6にそれぞれ示す。
【0014】
図1及び図2において、内燃機関は3つの気筒30からなる3気筒エンジンであり、当該気筒30毎に1個ずつ形成されるシリンダ32内に燃料と空気からなる混合気を供給するためのインテークマニホールド36を備え、当該インテークマニホールド36内に燃料を噴射するためのインジェクション50を備え、当該シリンダ32内からの排気ガスを排出するためのエキゾーストマニホールド42を備えている。また、当該インテークマニホールド36には当該シリンダ32内への吸気量を調整する吸気バルブ38を備え、当該エキゾーストマニホールド42には当該シリンダ32内からの排気量を調整する排気バルブ44を備えている。さらに、当該吸気バルブ38及び当該排気バルブ44の開閉動作を行うために、当該吸気バルブ38側には吸気カム40が備えられ、当該排気バルブ44側には排気カム46が備えられている。
【0015】
また、前記内燃機関には前記シリンダ32内の混合気を圧縮するためのピストン34と、当該ピストン34に伝わる前記シリンダ32内の燃焼による上下運動を回転運動に変換するクランク48を備えている。さらに、当該クランク48及び前記吸気カム40、前記排気カム46はタイミングベルトによって連動して駆動している。
【0016】
また、前記内燃機関にはエンジンルーム内に備えられたバッテリ22の電圧を昇圧する点火コイル10と前記シリンダ32内の混合気に点火を行う点火プラグ20を備え、当該点火コイル10は1次巻線を巻き回した1次コイル12と2次巻線を巻き回した2次コイル14、鉄芯16、当該点火コイル10に点火信号を供給するFET18からなるイグナイタとで構成されている。さらに、当該エンジンルームに前記内燃機関の電気的制御を行うECU54が備えられ、当該ECU54は前記インジェクション50から噴射する燃料の量を制御するとともに、当該ECU54は当該点火コイル10と接続されていて、前記内燃機関の燃焼サイクルに応じて当該ECU54から当該点火コイル10へ点火信号を供給している。
【0017】
また、前記内燃機関には前記点火コイル10からの点火が早過ぎる場合や前記シリンダ32内の圧縮比が高すぎる場合、希薄燃焼の場合等での運転時に起こる前記内燃機関が発する金属性の音や振動するノッキング(以下「ノック」)を検出するノックセンサ52が備えられており、当該ノックセンサ52は前記ECU54と接続されている。さらに、当該ノックセンサ52は前記内燃機関のエンジンブロックに直接取り付けられ、ノックが発生すると当該ノックセンサ52内にある圧電素子が振動を検出し、前記ECU54にセンサ信号を伝達している。
【0018】
次に、図3において、前記内燃機関を構成する気筒♯1及び気筒♯2、気筒♯3の燃焼期間と当該気筒♯1に対する点火信号及び当該気筒♯2に対する点火信号、当該気筒♯3に対する点火信号は図3の実線で示すような波形となり、前記内燃機関の当該気筒♯1及び当該気筒♯2、当該気筒♯3の前記シリンダ32内の燃焼は等間隔で行われ、当該気筒♯1及び当該気筒♯2、当該気筒♯3の各TDC(上死点)以降に燃焼が開始されるように当該♯1点火信号及び当該♯2点火信号、当該♯3点火信号をTON時間前記点火コイル10に供給している。また、前記内燃機関の回転数が上昇すると当該気筒♯1及び当該気筒♯2、当該気筒♯3のサイクルが進角され、当該気筒♯1及び当該気筒♯2、当該気筒♯3の燃焼期間も短くなるため、当該♯1点火信号及び当該♯2点火信号、当該♯3点火信号も合わせて進角され、当該♯1点火信号及び当該♯2点火信号、当該♯3点火信号の通電時間TONも短くなる。
【0019】
また、前記気筒♯1のTDC以前に前記気筒♯1の燃焼が開始され、前記気筒♯1でノックが発生した場合は、前記♯2点火信号の破線に示すように前記♯2点火信号TONを矢印A方向に遅角させた斜線部の前記♯2点火信号TONにし、ノックの発生を抑制している。さらに、前記♯2点火信号TONを矢印A方向に遅角させてからノックの発生が抑制された場合は斜線部の前記♯2点火信号TONを実線で示す初期の点火信号に進角させている。
【0020】
また、図4において、前記内燃機関の燃焼に対して前記ノックセンサ52による前記内燃機関の振動を検出及び、前記ノックセンサ52から前記ECU54へセンサ信号を伝達に掛かる時間を示している。ノック判定制御の動作としては、前記ノックセンサ52は前記気筒♯1のTDCより前に燃焼が開始されることによって発生する前記内燃機関の振動を検出し、前記ノックセンサ52が前記内燃機関の振動を検出すると、前記ノックセンサ52から前記ECU54へセンサ信号を伝達している。
【0021】
また、前記♯1点火信号及び前記♯2点火信号、前記♯3点火信号は前記内燃機関の回転数が上昇すると進角され、前記♯1点火信号及び前記♯2点火信号、前記♯3点火信号の通電時間TONも短くなるが、前記ノックセンサ52による前記内燃機関の振動検出及び前記ノックセンサ52から前記ECU54へセンサ信号を伝達に掛かる時間は一定のため、前記内燃機関の回転数が上昇すると図3に示すように前記ECU54が前記♯2点火信号の供給を開始している。このような状態となると、前記ノックセンサ52によって前記内燃機関に発生したノックを検出しても、前記♯2点火信号TONを遅角させることができず、ノックの発生を抑制させる点火制御が反映されるのが前記♯3点火信号以降となってしまう。
【0022】
図5において、前記内燃機関の前記気筒♯1の燃焼に対して前記ノックセンサ52による前記内燃機関の振動を検出及び、前記ノックセンサ52から前記ECU54へセンサ信号を伝達に掛かる時間を示している。点火時期制御の動作として、前記内燃機関の回転数が上昇すると図3に示すように前記ECU54が前記♯2点火信号の供給を開始している場合は、前記♯2点火信号の通電終了時間のみを矢印B方向に遅角させ前記♯2点火信号TONを斜線部分延長した♯2点火信号TON’にし、ノックの発生を抑制している。また、前記♯2点火信号の通電終了時間のみを矢印B方向に遅角させてからノックの発生が抑制された場合は斜線部分延長した当該♯2点火信号TON’を実線で示す初期の前記♯2点火信号TONに進角させている。
【0023】
また、前記ECU54は前記内燃機関の点火に最低限必要な前記点火コイル10からの放電エネルギーの限界範囲内で点火信号の通電終了時間のみを遅角させ前記点火信号TONを延長した前記点火信号TON’としている。さらに、前記内燃機関の前記気筒30が燃焼する順番に1番目の気筒、2番目の気筒、3番目の気筒として、最初にノックを検出した気筒を1番目の気筒、点火信号の通電終了時間のみを遅角させる気筒を2番目の気筒として実施している。
【0024】
次に、内燃機関の点火時期制御方法の動作を図6に基づいて説明する。図6において、前記ノックセンサ52は前記内燃機関で発生する振動を検出し(S1)、前記ノックセンサ52が振動を検出したかを判定し(S2)、(S2)で前記ノックセンサ52が振動を検出した場合、最初にノックを検出した前記気筒30を1番目の気筒として前記ノックセンサ52は前記ECU54へセンサ信号を伝達し(S3)、前記ECU54は前記ノックセンサ52からのセンサ信号に基づいて前記内燃機関の2番目の気筒に対して供給する点火信号を前記内燃機関のノックの発生を抑制する点火信号TONの遅角する量を演算し、当該点火信号TONは当該1番目の気筒に対する点火信号の通電終了時間と当該2番目の気筒に対する点火信号の通電終了時間との時間差から演算している(S4)。
【0025】
また、前記ECU54は(S4)で演算した点火信号TONの遅角を実際に次に燃焼が行われる気筒に対して反映できるかの判定、即ち、次に燃焼が行われる気筒に対して点火信号の供給が開始されていないかの判定を行い(S5)、(S5)で前記ECU54は(S4)で演算した点火信号TONの遅角を実際に次に燃焼が行われる気筒に対して反映できると判定された場合、即ち、次に燃焼が行われる気筒に対して点火信号の供給が開始されていないと判定された場合、前記ECU54は(S4)で演算した点火信号TONを反映する(S6)。
【0026】
また、(S5)で前記ECU54は(S4)で演算した点火信号TONの遅角を実際に次に燃焼が行われる気筒に対して反映できないと判定された場合、即ち、次に燃焼が行われる気筒に対して点火信号の供給が開始されていると判定された場合、前記ECU54は(S4)で演算した点火信号TONの通電終了時間のみを延長した点火信号TON’を反映する(S11)。
【0027】
上記構成により、前記ECU54は演算した点火信号TONの遅角を実際に次に燃焼が行われる気筒に対して反映できる場合、前記点火信号TONを遅角させた前記点火信号TONにし、前記ECU54は演算した点火信号TONの遅角を実際に次に燃焼が行われる気筒に対して反映できない場合、前記点火信号の通電終了時間のみを遅角させ前記点火信号TONを延長した前記点火信号TON’にすることで、内燃機関の回転数の上昇に応じてノックの発生を抑制し、内燃機関を保護するとともに出力トルクのロスを防ぐことができる。また、前記内燃機関の高回転時に発生するノックは低回転時に発生するノックに比べて前記内燃機関がオーバーヒートや破損する危険なノックであることが多いため、前記内燃機関の保護に一層効果が生じる。
【0028】
なお上記実施例1の変形例として、前記内燃機関は3つの前記気筒30からなる3気筒エンジンとしたが、複数の気筒を有した内燃機関であれば実施してもよい。また、前記内燃機関の前記エンジンブロックに取り付けられる前記ノックセンサ52の個数は設計事情によって任意の数に変更してもよい。さらに、前記ノックセンサ52は、振動板と圧電素子から構成された共振型ノックセンサ又は加速度センサから構成された非共振型ノックセンサのどちらを用いてもよい。
【0029】
また、前記点火コイル10の放電性能は前記1次コイル12及び前記2次コイル14の巻数によって決定され、前記点火コイル10の放電性能は前記内燃機関の仕様等の設計事情によって任意に変更してもよい。さらに、前記ECU54は演算した点火信号TONの遅角を実際に次に燃焼が行われる気筒に対して反映できない場合に対する前記点火コイル10の通電終了時間の遅角量は前記内燃機関の出力に問題が生じない範囲内であれば任意の遅角量にしてよいし、前記ECU54は演算した点火信号TONの遅角を実際に次に燃焼が行われる気筒に対して反映できない場合に対する前記点火コイル10の通電終了時間の遅角量は前記点火コイル10の放電エネルギーの限界範囲以内であれば任意の遅角量にしてよい。
【実施例2】
【0030】
次に、本発明の第2の実施例とする内燃機関の構成を示す図を6に、内燃機関の燃焼制御装置の回路図を図8に、内燃機関の気筒♯1の燃焼に対する燃焼制御を示すタイムチャートを図9に、内燃機関の気筒♯1の燃焼に対して気筒♯2の点火信号に行う燃焼制御を示すタイムチャートを図10に、内燃機関のノックに対する燃焼制御を表すフローチャートを図11にそれぞれ示す。
【0031】
当該第2の実施例においては前記第1の実施例で説明した前記点火コイル10からの点火が早過ぎる場合や前記シリンダ32内の圧縮比が高すぎる場合、希薄燃焼の場合等での運転時に起こる前記ピストン34が金属性の音や振動を発するノックを検出するノックセンサ52を備える点を除いた他の構造は前記第1の実施例と同一であるため説明は省略する。
【0032】
図7及び図8において、前記内燃機関には前記気筒30の燃焼によって前記点火プラグ20に発生するイオン電流を検出するイオン電流電出装置56が備えられ、当該イオン電流検出装置56は前記点火コイル10の前記2次コイル14の低圧側及び前記ECU54と接続されている。また、当該イオン電流検出装置56は検出したイオン電流波形から前記内燃機関にノックが発生しているかの演算を行い、CAN通信によって前記ECU54に伝達している。
【0033】
次に、図9において、前記内燃機関の燃焼に対して前記イオン電流検出装置56による前記点火プラグ20に発生するイオン電流の検出及び、検出したイオン電流波形から前記内燃機関に発生するノックの判定を演算、前記イオン電流検出装置56から前記ECU54へのCAN通信に掛かる時間を示している。ノック判定制御の動作としては、前記イオン電流検出装置56は前記気筒♯1のTDCより前に燃焼が開始されることによる前記点火プラグ20に発生するイオン電流の検出し、前記イオン電流検出装置56は検出したイオン電流波形から前記内燃機関にノックが発生しているかの演算後に、前記イオン電流検出装置56から前記ECU54に通信されている。
【0034】
また、前記♯1点火信号及び前記♯2点火信号、前記♯3点火信号は前記内燃機関の回転数が上昇すると進角され、前記♯1点火信号及び前記♯2点火信号、前記♯3点火信号の通電時間TONも短くなるが、前記内燃機関の燃焼に対して前記イオン電流検出装置56による前記点火プラグ20に発生するイオン電流の検出及び、検出したイオン電流波形から前記内燃機関に発生するノックの判定を演算、前記イオン電流検出装置56から前記ECU54へのCAN通信に掛かる時間は一定のため、イオン電流から前記内燃機関に発生したノックを検出しても、前記♯2点火信号TONを遅角させることができず、ノックの発生を抑制させる点火制御が反映されるのが前記♯3点火信号以降となってしまう。
【0035】
図10において、前記内燃機関の前記気筒♯1の燃焼に対して前記イオン電流検出装置56による前記点火プラグ20に発生するイオン電流の検出及び、検出したイオン電流波形から前記内燃機関に発生するノックの判定を演算、前記イオン電流検出装置56から前記ECU54へのCAN通信に掛かる時間を示している。点火時期制御の動作として、前記内燃機関の回転数が上昇すると図9に示すように前記ECU54が前記♯2点火信号の供給を開始している場合は、前記♯2点火信号の通電終了時間のみを矢印C方向に遅角させ前記♯2点火信号TONを斜線部分延長した♯2点火信号TON’にし、ノックの発生を抑制している。また、前記♯2点火信号の通電終了時間のみを矢印B方向に遅角させてからノックの発生が抑制された場合は斜線部分延長した当該♯2点火信号TON’を実線で示す初期の前記♯2点火信号TONに進角させている。
【0036】
また、前記ECU54は前記内燃機関の点火に最低限必要な前記点火コイル10からの放電エネルギーの限界範囲内で点火信号の通電終了時間のみを遅角させ前記点火信号TONを延長した前記点火信号TON’としている。さらに、前記内燃機関の前記気筒30が燃焼する順番に1番目の気筒、2番目の気筒、3番目の気筒として、最初にノックを検出した気筒を1番目の気筒、点火信号の通電終了時間のみを遅角させる気筒を2番目の気筒として実施している。
【0037】
次に、内燃機関の点火時期制御方法の動作を図11に基づいて説明する。図11において、前記イオン電流検出装置56は前記内燃機関の燃焼により前記点火プラグ20に発生するイオン電流を検出し(S1)、前記イオン電流検出装置56は検出したイオン電流波形から前記内燃機関にノックが発生したかの判定を演算し(S2)、前記イオン電流検出装置56は(S2)で演算結果から前記内燃機関にノックが発生しているかの判定をし(S3)、(S3)で前記内燃機関にノックが発生していると判定した場合、最初にノックを検出した前記気筒30を1番目の気筒として前記イオン電流検出装置56から前記ECU54へCAN通信を行い(S4)、前記ECU54は前記イオン電流検出装置56からのCAN通信に基づいて前記内燃機関の2番目の気筒に対して供給する点火信号を前記内燃機関のノックの発生を抑制する点火信号TONの遅角する量を演算し、当該点火信号TONは当該1番目の気筒に対する点火信号の通電終了時間と当該2番目の気筒に対する点火信号の通電終了時間との時間差から演算している(S5)。
【0038】
また、前記ECU54は(S5)で演算した点火信号TONの遅角を実際に次に燃焼が行われる気筒に対して反映できるかの判定、即ち、次に燃焼が行われる気筒に対して点火信号の供給が開始されていないかの判定を行い(S6)、(S6)で前記ECU54は(S5)で演算した点火信号TONの遅角を実際に次に燃焼が行われる気筒に対して反映できると判定された場合、即ち、次に燃焼が行われる気筒に対して点火信号の供給が開始されていないと判定された場合、前記ECU54は(S5)で演算した点火信号TONを反映する(S7)。
【0039】
また、(S6)で前記ECU54は(S5)で演算した点火信号TONの遅角を実際に次に燃焼が行われる気筒に対して反映できないと判定された場合、即ち、次に燃焼が行われる気筒に対して点火信号の供給が開始されていると判定された場合、前記ECU54は(S5)で演算した点火信号TONの通電終了時間のみを延長した点火信号TON’を反映する(S11)。
【0040】
上記構成により、前記ECU54は演算した点火信号TONの遅角を実際に次に燃焼が行われる気筒に対して反映できる場合、前記点火信号TONを遅角させた前記点火信号TONにし、前記ECU54は演算した点火信号TONの遅角を実際に次に燃焼が行われる気筒に対して反映できない場合、前記点火信号の通電終了時間のみを遅角させ前記点火信号TONを延長した前記点火信号TON’にすることで、内燃機関の回転数の上昇に応じてノックの発生を抑制し、内燃機関を保護するとともに出力トルクのロスを防ぐことができる。また、前記内燃機関の高回転時に発生するノックは低回転時に発生するノックに比べて前記内燃機関がオーバーヒートや破損する危険なノックであることが多いため、前記内燃機関の保護に一層効果が生じる。
【0041】
なお上記実施例2の変形例として、前記内燃機関は3つの前記気筒30からなる3気筒エンジンとしたが、複数の気筒を有した内燃機関であれば実施してもよい。また、前記イオン電流検出装置56の構成は設計事情によって任意の構成に変更してもよい。さらに、前記点火コイル10の放電性能は前記1次コイル12及び前記2次コイル14の巻数によって決定され、前記点火コイル10の放電性能は前記内燃機関の仕様等の設計事情によって任意に変更してもよい。
【0042】
また、前記ECU54は演算した点火信号TONの遅角を実際に次に燃焼が行われる気筒に対して反映できない場合に対する前記点火コイル10の通電終了時間の遅角量は前記内燃機関の出力に問題が生じない範囲内であれば任意の遅角量にしてよいし、前記ECU54は演算した点火信号TONの遅角を実際に次に燃焼が行われる気筒に対して反映できない場合に対する前記点火コイル10の通電終了時間の遅角量は前記点火コイル10の放電エネルギーの限界範囲以内であれば任意の遅角量にしてよい。
【符号の説明】
【0043】
10:点火コイル
12:1次コイル
14:2次コイル
16:鉄芯
18:FET(スイッチング素子)
20:点火プラグ
22:バッテリ
30:気筒
32:シリンダ
34:ピストン
36:インテークマニホールド
38:吸気バルブ
40:吸気カム
42:エキゾーストマニホールド
44:排気バルブ
46:排気カム
48:クランク
50:インジェクション
52:ノックセンサ
54:ECU
56:イオン電流検出装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車エンジン等の内燃機関の燃焼状態に対する点火時期制御方法において、特に、ノッキングに対する点火制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、内燃機関が発する金属性の音や振動する現象をノッキング(以下「ノック」)といい、ノックの原因としては点火時期が早すぎることや圧縮比が高すぎること、極端に薄い混合気による燃焼等が上げられ、エンジンブローに繋がる恐れがある。ノック対策においては、ノック発生が検出された場合に、ノックが発生した気筒の点火時期を遅角側に補正し、ノックの発生を抑制することが知られているが、この他にも複数の気筒の何れかにノックが発生した場合に全ての気筒の点火時期を一律に遅角制御するものが提案されており、例えば特開昭58−165574号公報(以下「特許文献1」)が知られている。
【0003】
特許文献1において、エンジン振動を表わす信号からノッキング状態を検出するノッキング検出回路と、エンジンのクランク角に対応する信号を発生するクランク角センサと、エンジンの運転状態を支配する各種運転状態制御装置と、上記クランク角センサの出力と上記ノッキング検出回路の出力とによりノッキングの発生した気筒を判別するとともに上記ノッキング検出回路の出力が所定値以下の時上記運転状態制御装置による制御をノッキングの発生した気筒のみ補正し上記出力が所定値以上の時上記制御を全気筒について補正する気筒制御補正回路とを備えた多気筒エンジンの制御装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭58−165574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の内燃機関の制御装置では次のような問題が生じている。即ち、特許文献1において、複数の気筒のいずれかにノックが発生した場合にすべての気筒の点火時期を一律に遅角制御し、ノックの発生を抑制しているが、エンジンの回転数の上昇に応じて各サイクル間の間隔が速くなるため、次に点火する気筒の通電開始時間に間に合わず、遅角制御の反映を行うことができない。また、エンジンが高回転の時には燃料の薄い混合気で燃焼を行うため高回転時にノックが発生すると温度が上昇し、ピストンが溶ける等が起こる。このようにエンジンの高回転時に発生するノックは低回転時に発生するノックに比べてエンジンがオーバーヒートや破損する危険なノックであることが多い。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、エンジンの回転数が上昇しても次に点火する気筒からノックの発生を抑制することができる内燃機関の点火時期制御方法を提供することを目標とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は次のような構成とする。即ち、複数の気筒を有する内燃機関と、当該内燃機関の電気的制御を行うECUと、前記内燃機関の点火を行う1次コイルと2次コイルとからなる点火コイルと、前記内燃機関のノックの発生を検出するノック検出手段とから構成され、当該ノック検出手段が前記内燃機関の何れかの気筒からノッキングを検出した際に、前記ECUからの前記点火コイルの点火信号を遅角させてノッキングの発生を抑制する内燃機関の点火時期制御方法において、前記ノック検出手段が1番目の気筒のノッキングを検出し、2番目の気筒に対しての前記ECUからノッキングの発生を抑制する点火信号が反映できないと判断されたときには、前記点火コイルの当該2番目の気筒に対する通電終了時間を遅角させ、点火信号のオン時間を延長させることを特徴とする内燃機関の点火時期制御方法とする。
【0008】
上記構成においては、前記ノック検出手段は前記内燃機関の振動を検知するノックセンサ又は前記内燃機関の燃焼時に発生するイオン電流を検出するイオン電流検出装置としてもよい。また、前記点火コイルの通電終了時間の遅角は、前記内燃機関の出力に問題が生じない範囲で行ってもよいし、前記点火コイルの通電終了時間の遅角は、前記点火コイルの放電性能の限界以内の範囲で行ってもよい。さらに、前記内燃機関は3気筒エンジンであってもよい。
【発明の効果】
【0009】
上記の通り、ノック検出手段が1番目の気筒のノッキングを検出し、2番目の気筒に対してのECUからノッキングの発生を抑制する点火信号が反映できないと判断されたときには、点火コイルの当該2番目の気筒に対する通電終了時間を遅角させ、点火信号のオン時間を延長させることで、エンジンの回転数が上昇しても次に点火する気筒からノックの発生を抑制し、エンジンを保護するとともに出力トルクのロスを防ぐことができる内燃機関の点火時期制御方法が実現できる。
【0010】
また、内燃機関の高回転時に発生するノックは低回転時に発生するノックに比べて内燃機関がオーバーヒートや破損する危険なノックであることが多いため、内燃機関の保護に一層効果が生じる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施例とする内燃機関の構成を示す図である。
【図2】第1の実施例とする内燃機関の点火装置の回路図である。
【図3】第1の実施例とする内燃機関の各気筒の燃焼期間及び点火信号を示すタイムチャートである。
【図4】第1の実施例とする内燃機関の気筒♯1の燃焼に対するノック判定制御を示すタイムチャートである。
【図5】第1の実施例とする内燃機関の気筒♯1の燃焼に対して気筒♯2の点火信号に行う点火時期制御を示すタイムチャートである。
【図6】第1の実施例とする内燃機関のノックに対する点火時期制御を表すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施例とする内燃機関の構成を示す図である。
【図8】第2の実施例とする内燃機関の点火装置の回路図である。
【図9】第2の実施例とする内燃機関の気筒♯1の燃焼に対するノック判定制御を示すタイムチャートである。
【図10】第2の実施例とする内燃機関の気筒♯1の燃焼に対して気筒♯2の点火信号に行う点火時期制御を示すタイムチャートである。
【図11】第2の実施例とする内燃機関のノックに対する点火時期制御を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施の形態を示す実施例を図1乃至図11に基づいて説明する。
【実施例1】
【0013】
本発明の第1の実施例とする内燃機関の構成を示す図を図1に、内燃機関の点火装置の回路図を図2に、内燃機関の各気筒の燃焼期間及び点火信号を示すタイムチャートを図3に、内燃機関の気筒♯1の燃焼に対するノック判定制御を示すタイムチャートを図4に、内燃機関の気筒1の燃焼に対して気筒2の点火信号に行う点火時期制御を示すタイムチャートを図5に、内燃機関のノックに対する点火時期制御を表すフローチャートを図6にそれぞれ示す。
【0014】
図1及び図2において、内燃機関は3つの気筒30からなる3気筒エンジンであり、当該気筒30毎に1個ずつ形成されるシリンダ32内に燃料と空気からなる混合気を供給するためのインテークマニホールド36を備え、当該インテークマニホールド36内に燃料を噴射するためのインジェクション50を備え、当該シリンダ32内からの排気ガスを排出するためのエキゾーストマニホールド42を備えている。また、当該インテークマニホールド36には当該シリンダ32内への吸気量を調整する吸気バルブ38を備え、当該エキゾーストマニホールド42には当該シリンダ32内からの排気量を調整する排気バルブ44を備えている。さらに、当該吸気バルブ38及び当該排気バルブ44の開閉動作を行うために、当該吸気バルブ38側には吸気カム40が備えられ、当該排気バルブ44側には排気カム46が備えられている。
【0015】
また、前記内燃機関には前記シリンダ32内の混合気を圧縮するためのピストン34と、当該ピストン34に伝わる前記シリンダ32内の燃焼による上下運動を回転運動に変換するクランク48を備えている。さらに、当該クランク48及び前記吸気カム40、前記排気カム46はタイミングベルトによって連動して駆動している。
【0016】
また、前記内燃機関にはエンジンルーム内に備えられたバッテリ22の電圧を昇圧する点火コイル10と前記シリンダ32内の混合気に点火を行う点火プラグ20を備え、当該点火コイル10は1次巻線を巻き回した1次コイル12と2次巻線を巻き回した2次コイル14、鉄芯16、当該点火コイル10に点火信号を供給するFET18からなるイグナイタとで構成されている。さらに、当該エンジンルームに前記内燃機関の電気的制御を行うECU54が備えられ、当該ECU54は前記インジェクション50から噴射する燃料の量を制御するとともに、当該ECU54は当該点火コイル10と接続されていて、前記内燃機関の燃焼サイクルに応じて当該ECU54から当該点火コイル10へ点火信号を供給している。
【0017】
また、前記内燃機関には前記点火コイル10からの点火が早過ぎる場合や前記シリンダ32内の圧縮比が高すぎる場合、希薄燃焼の場合等での運転時に起こる前記内燃機関が発する金属性の音や振動するノッキング(以下「ノック」)を検出するノックセンサ52が備えられており、当該ノックセンサ52は前記ECU54と接続されている。さらに、当該ノックセンサ52は前記内燃機関のエンジンブロックに直接取り付けられ、ノックが発生すると当該ノックセンサ52内にある圧電素子が振動を検出し、前記ECU54にセンサ信号を伝達している。
【0018】
次に、図3において、前記内燃機関を構成する気筒♯1及び気筒♯2、気筒♯3の燃焼期間と当該気筒♯1に対する点火信号及び当該気筒♯2に対する点火信号、当該気筒♯3に対する点火信号は図3の実線で示すような波形となり、前記内燃機関の当該気筒♯1及び当該気筒♯2、当該気筒♯3の前記シリンダ32内の燃焼は等間隔で行われ、当該気筒♯1及び当該気筒♯2、当該気筒♯3の各TDC(上死点)以降に燃焼が開始されるように当該♯1点火信号及び当該♯2点火信号、当該♯3点火信号をTON時間前記点火コイル10に供給している。また、前記内燃機関の回転数が上昇すると当該気筒♯1及び当該気筒♯2、当該気筒♯3のサイクルが進角され、当該気筒♯1及び当該気筒♯2、当該気筒♯3の燃焼期間も短くなるため、当該♯1点火信号及び当該♯2点火信号、当該♯3点火信号も合わせて進角され、当該♯1点火信号及び当該♯2点火信号、当該♯3点火信号の通電時間TONも短くなる。
【0019】
また、前記気筒♯1のTDC以前に前記気筒♯1の燃焼が開始され、前記気筒♯1でノックが発生した場合は、前記♯2点火信号の破線に示すように前記♯2点火信号TONを矢印A方向に遅角させた斜線部の前記♯2点火信号TONにし、ノックの発生を抑制している。さらに、前記♯2点火信号TONを矢印A方向に遅角させてからノックの発生が抑制された場合は斜線部の前記♯2点火信号TONを実線で示す初期の点火信号に進角させている。
【0020】
また、図4において、前記内燃機関の燃焼に対して前記ノックセンサ52による前記内燃機関の振動を検出及び、前記ノックセンサ52から前記ECU54へセンサ信号を伝達に掛かる時間を示している。ノック判定制御の動作としては、前記ノックセンサ52は前記気筒♯1のTDCより前に燃焼が開始されることによって発生する前記内燃機関の振動を検出し、前記ノックセンサ52が前記内燃機関の振動を検出すると、前記ノックセンサ52から前記ECU54へセンサ信号を伝達している。
【0021】
また、前記♯1点火信号及び前記♯2点火信号、前記♯3点火信号は前記内燃機関の回転数が上昇すると進角され、前記♯1点火信号及び前記♯2点火信号、前記♯3点火信号の通電時間TONも短くなるが、前記ノックセンサ52による前記内燃機関の振動検出及び前記ノックセンサ52から前記ECU54へセンサ信号を伝達に掛かる時間は一定のため、前記内燃機関の回転数が上昇すると図3に示すように前記ECU54が前記♯2点火信号の供給を開始している。このような状態となると、前記ノックセンサ52によって前記内燃機関に発生したノックを検出しても、前記♯2点火信号TONを遅角させることができず、ノックの発生を抑制させる点火制御が反映されるのが前記♯3点火信号以降となってしまう。
【0022】
図5において、前記内燃機関の前記気筒♯1の燃焼に対して前記ノックセンサ52による前記内燃機関の振動を検出及び、前記ノックセンサ52から前記ECU54へセンサ信号を伝達に掛かる時間を示している。点火時期制御の動作として、前記内燃機関の回転数が上昇すると図3に示すように前記ECU54が前記♯2点火信号の供給を開始している場合は、前記♯2点火信号の通電終了時間のみを矢印B方向に遅角させ前記♯2点火信号TONを斜線部分延長した♯2点火信号TON’にし、ノックの発生を抑制している。また、前記♯2点火信号の通電終了時間のみを矢印B方向に遅角させてからノックの発生が抑制された場合は斜線部分延長した当該♯2点火信号TON’を実線で示す初期の前記♯2点火信号TONに進角させている。
【0023】
また、前記ECU54は前記内燃機関の点火に最低限必要な前記点火コイル10からの放電エネルギーの限界範囲内で点火信号の通電終了時間のみを遅角させ前記点火信号TONを延長した前記点火信号TON’としている。さらに、前記内燃機関の前記気筒30が燃焼する順番に1番目の気筒、2番目の気筒、3番目の気筒として、最初にノックを検出した気筒を1番目の気筒、点火信号の通電終了時間のみを遅角させる気筒を2番目の気筒として実施している。
【0024】
次に、内燃機関の点火時期制御方法の動作を図6に基づいて説明する。図6において、前記ノックセンサ52は前記内燃機関で発生する振動を検出し(S1)、前記ノックセンサ52が振動を検出したかを判定し(S2)、(S2)で前記ノックセンサ52が振動を検出した場合、最初にノックを検出した前記気筒30を1番目の気筒として前記ノックセンサ52は前記ECU54へセンサ信号を伝達し(S3)、前記ECU54は前記ノックセンサ52からのセンサ信号に基づいて前記内燃機関の2番目の気筒に対して供給する点火信号を前記内燃機関のノックの発生を抑制する点火信号TONの遅角する量を演算し、当該点火信号TONは当該1番目の気筒に対する点火信号の通電終了時間と当該2番目の気筒に対する点火信号の通電終了時間との時間差から演算している(S4)。
【0025】
また、前記ECU54は(S4)で演算した点火信号TONの遅角を実際に次に燃焼が行われる気筒に対して反映できるかの判定、即ち、次に燃焼が行われる気筒に対して点火信号の供給が開始されていないかの判定を行い(S5)、(S5)で前記ECU54は(S4)で演算した点火信号TONの遅角を実際に次に燃焼が行われる気筒に対して反映できると判定された場合、即ち、次に燃焼が行われる気筒に対して点火信号の供給が開始されていないと判定された場合、前記ECU54は(S4)で演算した点火信号TONを反映する(S6)。
【0026】
また、(S5)で前記ECU54は(S4)で演算した点火信号TONの遅角を実際に次に燃焼が行われる気筒に対して反映できないと判定された場合、即ち、次に燃焼が行われる気筒に対して点火信号の供給が開始されていると判定された場合、前記ECU54は(S4)で演算した点火信号TONの通電終了時間のみを延長した点火信号TON’を反映する(S11)。
【0027】
上記構成により、前記ECU54は演算した点火信号TONの遅角を実際に次に燃焼が行われる気筒に対して反映できる場合、前記点火信号TONを遅角させた前記点火信号TONにし、前記ECU54は演算した点火信号TONの遅角を実際に次に燃焼が行われる気筒に対して反映できない場合、前記点火信号の通電終了時間のみを遅角させ前記点火信号TONを延長した前記点火信号TON’にすることで、内燃機関の回転数の上昇に応じてノックの発生を抑制し、内燃機関を保護するとともに出力トルクのロスを防ぐことができる。また、前記内燃機関の高回転時に発生するノックは低回転時に発生するノックに比べて前記内燃機関がオーバーヒートや破損する危険なノックであることが多いため、前記内燃機関の保護に一層効果が生じる。
【0028】
なお上記実施例1の変形例として、前記内燃機関は3つの前記気筒30からなる3気筒エンジンとしたが、複数の気筒を有した内燃機関であれば実施してもよい。また、前記内燃機関の前記エンジンブロックに取り付けられる前記ノックセンサ52の個数は設計事情によって任意の数に変更してもよい。さらに、前記ノックセンサ52は、振動板と圧電素子から構成された共振型ノックセンサ又は加速度センサから構成された非共振型ノックセンサのどちらを用いてもよい。
【0029】
また、前記点火コイル10の放電性能は前記1次コイル12及び前記2次コイル14の巻数によって決定され、前記点火コイル10の放電性能は前記内燃機関の仕様等の設計事情によって任意に変更してもよい。さらに、前記ECU54は演算した点火信号TONの遅角を実際に次に燃焼が行われる気筒に対して反映できない場合に対する前記点火コイル10の通電終了時間の遅角量は前記内燃機関の出力に問題が生じない範囲内であれば任意の遅角量にしてよいし、前記ECU54は演算した点火信号TONの遅角を実際に次に燃焼が行われる気筒に対して反映できない場合に対する前記点火コイル10の通電終了時間の遅角量は前記点火コイル10の放電エネルギーの限界範囲以内であれば任意の遅角量にしてよい。
【実施例2】
【0030】
次に、本発明の第2の実施例とする内燃機関の構成を示す図を6に、内燃機関の燃焼制御装置の回路図を図8に、内燃機関の気筒♯1の燃焼に対する燃焼制御を示すタイムチャートを図9に、内燃機関の気筒♯1の燃焼に対して気筒♯2の点火信号に行う燃焼制御を示すタイムチャートを図10に、内燃機関のノックに対する燃焼制御を表すフローチャートを図11にそれぞれ示す。
【0031】
当該第2の実施例においては前記第1の実施例で説明した前記点火コイル10からの点火が早過ぎる場合や前記シリンダ32内の圧縮比が高すぎる場合、希薄燃焼の場合等での運転時に起こる前記ピストン34が金属性の音や振動を発するノックを検出するノックセンサ52を備える点を除いた他の構造は前記第1の実施例と同一であるため説明は省略する。
【0032】
図7及び図8において、前記内燃機関には前記気筒30の燃焼によって前記点火プラグ20に発生するイオン電流を検出するイオン電流電出装置56が備えられ、当該イオン電流検出装置56は前記点火コイル10の前記2次コイル14の低圧側及び前記ECU54と接続されている。また、当該イオン電流検出装置56は検出したイオン電流波形から前記内燃機関にノックが発生しているかの演算を行い、CAN通信によって前記ECU54に伝達している。
【0033】
次に、図9において、前記内燃機関の燃焼に対して前記イオン電流検出装置56による前記点火プラグ20に発生するイオン電流の検出及び、検出したイオン電流波形から前記内燃機関に発生するノックの判定を演算、前記イオン電流検出装置56から前記ECU54へのCAN通信に掛かる時間を示している。ノック判定制御の動作としては、前記イオン電流検出装置56は前記気筒♯1のTDCより前に燃焼が開始されることによる前記点火プラグ20に発生するイオン電流の検出し、前記イオン電流検出装置56は検出したイオン電流波形から前記内燃機関にノックが発生しているかの演算後に、前記イオン電流検出装置56から前記ECU54に通信されている。
【0034】
また、前記♯1点火信号及び前記♯2点火信号、前記♯3点火信号は前記内燃機関の回転数が上昇すると進角され、前記♯1点火信号及び前記♯2点火信号、前記♯3点火信号の通電時間TONも短くなるが、前記内燃機関の燃焼に対して前記イオン電流検出装置56による前記点火プラグ20に発生するイオン電流の検出及び、検出したイオン電流波形から前記内燃機関に発生するノックの判定を演算、前記イオン電流検出装置56から前記ECU54へのCAN通信に掛かる時間は一定のため、イオン電流から前記内燃機関に発生したノックを検出しても、前記♯2点火信号TONを遅角させることができず、ノックの発生を抑制させる点火制御が反映されるのが前記♯3点火信号以降となってしまう。
【0035】
図10において、前記内燃機関の前記気筒♯1の燃焼に対して前記イオン電流検出装置56による前記点火プラグ20に発生するイオン電流の検出及び、検出したイオン電流波形から前記内燃機関に発生するノックの判定を演算、前記イオン電流検出装置56から前記ECU54へのCAN通信に掛かる時間を示している。点火時期制御の動作として、前記内燃機関の回転数が上昇すると図9に示すように前記ECU54が前記♯2点火信号の供給を開始している場合は、前記♯2点火信号の通電終了時間のみを矢印C方向に遅角させ前記♯2点火信号TONを斜線部分延長した♯2点火信号TON’にし、ノックの発生を抑制している。また、前記♯2点火信号の通電終了時間のみを矢印B方向に遅角させてからノックの発生が抑制された場合は斜線部分延長した当該♯2点火信号TON’を実線で示す初期の前記♯2点火信号TONに進角させている。
【0036】
また、前記ECU54は前記内燃機関の点火に最低限必要な前記点火コイル10からの放電エネルギーの限界範囲内で点火信号の通電終了時間のみを遅角させ前記点火信号TONを延長した前記点火信号TON’としている。さらに、前記内燃機関の前記気筒30が燃焼する順番に1番目の気筒、2番目の気筒、3番目の気筒として、最初にノックを検出した気筒を1番目の気筒、点火信号の通電終了時間のみを遅角させる気筒を2番目の気筒として実施している。
【0037】
次に、内燃機関の点火時期制御方法の動作を図11に基づいて説明する。図11において、前記イオン電流検出装置56は前記内燃機関の燃焼により前記点火プラグ20に発生するイオン電流を検出し(S1)、前記イオン電流検出装置56は検出したイオン電流波形から前記内燃機関にノックが発生したかの判定を演算し(S2)、前記イオン電流検出装置56は(S2)で演算結果から前記内燃機関にノックが発生しているかの判定をし(S3)、(S3)で前記内燃機関にノックが発生していると判定した場合、最初にノックを検出した前記気筒30を1番目の気筒として前記イオン電流検出装置56から前記ECU54へCAN通信を行い(S4)、前記ECU54は前記イオン電流検出装置56からのCAN通信に基づいて前記内燃機関の2番目の気筒に対して供給する点火信号を前記内燃機関のノックの発生を抑制する点火信号TONの遅角する量を演算し、当該点火信号TONは当該1番目の気筒に対する点火信号の通電終了時間と当該2番目の気筒に対する点火信号の通電終了時間との時間差から演算している(S5)。
【0038】
また、前記ECU54は(S5)で演算した点火信号TONの遅角を実際に次に燃焼が行われる気筒に対して反映できるかの判定、即ち、次に燃焼が行われる気筒に対して点火信号の供給が開始されていないかの判定を行い(S6)、(S6)で前記ECU54は(S5)で演算した点火信号TONの遅角を実際に次に燃焼が行われる気筒に対して反映できると判定された場合、即ち、次に燃焼が行われる気筒に対して点火信号の供給が開始されていないと判定された場合、前記ECU54は(S5)で演算した点火信号TONを反映する(S7)。
【0039】
また、(S6)で前記ECU54は(S5)で演算した点火信号TONの遅角を実際に次に燃焼が行われる気筒に対して反映できないと判定された場合、即ち、次に燃焼が行われる気筒に対して点火信号の供給が開始されていると判定された場合、前記ECU54は(S5)で演算した点火信号TONの通電終了時間のみを延長した点火信号TON’を反映する(S11)。
【0040】
上記構成により、前記ECU54は演算した点火信号TONの遅角を実際に次に燃焼が行われる気筒に対して反映できる場合、前記点火信号TONを遅角させた前記点火信号TONにし、前記ECU54は演算した点火信号TONの遅角を実際に次に燃焼が行われる気筒に対して反映できない場合、前記点火信号の通電終了時間のみを遅角させ前記点火信号TONを延長した前記点火信号TON’にすることで、内燃機関の回転数の上昇に応じてノックの発生を抑制し、内燃機関を保護するとともに出力トルクのロスを防ぐことができる。また、前記内燃機関の高回転時に発生するノックは低回転時に発生するノックに比べて前記内燃機関がオーバーヒートや破損する危険なノックであることが多いため、前記内燃機関の保護に一層効果が生じる。
【0041】
なお上記実施例2の変形例として、前記内燃機関は3つの前記気筒30からなる3気筒エンジンとしたが、複数の気筒を有した内燃機関であれば実施してもよい。また、前記イオン電流検出装置56の構成は設計事情によって任意の構成に変更してもよい。さらに、前記点火コイル10の放電性能は前記1次コイル12及び前記2次コイル14の巻数によって決定され、前記点火コイル10の放電性能は前記内燃機関の仕様等の設計事情によって任意に変更してもよい。
【0042】
また、前記ECU54は演算した点火信号TONの遅角を実際に次に燃焼が行われる気筒に対して反映できない場合に対する前記点火コイル10の通電終了時間の遅角量は前記内燃機関の出力に問題が生じない範囲内であれば任意の遅角量にしてよいし、前記ECU54は演算した点火信号TONの遅角を実際に次に燃焼が行われる気筒に対して反映できない場合に対する前記点火コイル10の通電終了時間の遅角量は前記点火コイル10の放電エネルギーの限界範囲以内であれば任意の遅角量にしてよい。
【符号の説明】
【0043】
10:点火コイル
12:1次コイル
14:2次コイル
16:鉄芯
18:FET(スイッチング素子)
20:点火プラグ
22:バッテリ
30:気筒
32:シリンダ
34:ピストン
36:インテークマニホールド
38:吸気バルブ
40:吸気カム
42:エキゾーストマニホールド
44:排気バルブ
46:排気カム
48:クランク
50:インジェクション
52:ノックセンサ
54:ECU
56:イオン電流検出装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の気筒を有する内燃機関と、
当該内燃機関の電気的制御を行うECUと、
前記内燃機関の点火を行う1次コイルと2次コイルとからなる点火コイルと、
前記内燃機関のノックの発生を検出するノック検出手段とから構成され、
当該ノック検出手段が前記内燃機関の何れかの気筒からノッキングを検出した際に、前記ECUからの前記点火コイルの点火信号を遅角させてノッキングの発生を抑制する内燃機関の点火時期制御方法において、
前記ノック検出手段が1番目の気筒のノッキングを検出し、2番目の気筒に対しての前記ECUからノッキングの発生を抑制する点火信号が反映できないと判断されたときには、前記点火コイルの当該2番目の気筒に対する通電終了時間を遅角させ、点火信号のオン時間を延長させることを特徴とする内燃機関の点火時期制御方法。
【請求項2】
前記ノック検出手段は前記内燃機関の振動を検知するノックセンサ又は前記内燃機関の燃焼時に発生するイオン電流を検出するイオン電流検出装置であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の点火時期制御方法。
【請求項3】
前記点火コイルの通電終了時間の遅角は、前記内燃機関の出力に問題が生じない範囲で行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の点火時期制御方法。
【請求項4】
前記点火コイルの通電終了時間の遅角は、前記点火コイルの放電性能の限界以内の範囲で行うことを特徴とする請求項1乃至3に記載の内燃機関の点火時期制御方法。
【請求項5】
前記内燃機関は3気筒エンジンであることを特徴とする請求項1乃至4に記載の内燃機関の点火時期制御方法。
【請求項1】
複数の気筒を有する内燃機関と、
当該内燃機関の電気的制御を行うECUと、
前記内燃機関の点火を行う1次コイルと2次コイルとからなる点火コイルと、
前記内燃機関のノックの発生を検出するノック検出手段とから構成され、
当該ノック検出手段が前記内燃機関の何れかの気筒からノッキングを検出した際に、前記ECUからの前記点火コイルの点火信号を遅角させてノッキングの発生を抑制する内燃機関の点火時期制御方法において、
前記ノック検出手段が1番目の気筒のノッキングを検出し、2番目の気筒に対しての前記ECUからノッキングの発生を抑制する点火信号が反映できないと判断されたときには、前記点火コイルの当該2番目の気筒に対する通電終了時間を遅角させ、点火信号のオン時間を延長させることを特徴とする内燃機関の点火時期制御方法。
【請求項2】
前記ノック検出手段は前記内燃機関の振動を検知するノックセンサ又は前記内燃機関の燃焼時に発生するイオン電流を検出するイオン電流検出装置であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の点火時期制御方法。
【請求項3】
前記点火コイルの通電終了時間の遅角は、前記内燃機関の出力に問題が生じない範囲で行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の点火時期制御方法。
【請求項4】
前記点火コイルの通電終了時間の遅角は、前記点火コイルの放電性能の限界以内の範囲で行うことを特徴とする請求項1乃至3に記載の内燃機関の点火時期制御方法。
【請求項5】
前記内燃機関は3気筒エンジンであることを特徴とする請求項1乃至4に記載の内燃機関の点火時期制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−108383(P2013−108383A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252680(P2011−252680)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000109093)ダイヤモンド電機株式会社 (387)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000109093)ダイヤモンド電機株式会社 (387)
【Fターム(参考)】
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