説明

内燃機関用点火コイル及び点火装置

【課題】一次コイルの一端をアースするアース端子金具と鉄心との間に高電圧を印加してアース端子金具と鉄心との間に介在した樹脂を炭化する処理を確実に行うことができる点火コイルを提供する。
【解決手段】一次ボビン12と鉄心11との間にアース端子金具19の一部を挟み込んだ状態で配置して一次コイル14の一端をアース端子金具19に接続する。アース端子金具19の一次ボビンと鉄心との間に挟み込まれる部分に先端が尖った突起19cを形成してこの突起の先端を鉄心11に接触させる。一次コイル及び二次コイルを含む点火コイルの主要部をケース22内に収容して注型樹脂でモールドする。アース端子金具と鉄心との間に高電圧を印加して突起19cと鉄心との間に入り込んだモールド樹脂を炭化する際に、突起19cと鉄心との間で確実に電流の集中を生じさせて樹脂の炭化を確実に行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関用点火コイル及び該点火コイルを用いた内燃機関用点火装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、内燃機関用の点火コイルは、鉄心と、この鉄心の回りに一次ボビンを介して巻回された一次コイルと、該一次コイルの外側に配置された二次コイルとを有している。この点火コイルは、一次電流制御ユニットとともに、内燃機関用の点火装置を構成する。一次電流制御ユニットは、機関の点火時期に点火コイルの一次電流に急激な変化を生じさせる機能を有する一次電流制御回路の構成部品を回路基板に取りつけて樹脂でモールドするか、または所定のパッケージ内に収容したものである。一次電流制御回路としては、電流遮断形の回路や、コンデンサ放電式の回路が知られている。一次電流制御ユニットが点火コイルの一次電流に急激な変化を生じさせると、点火コイルの一次コイルに高い電圧が誘起する。この電圧は点火コイルの一次、二次間の昇圧比により昇圧されるため、点火コイルの二次コイルに点火用の高電圧が誘起する。二次コイルに誘起した点火用高電圧は、二次コイルの高電位側の端末部に一端が電気的に接続された高圧コードを通して、機関の気筒に取りつけられた点火プラグに印加される。
【0003】
内燃機関用点火装置においては、点火コイルの鉄心をアース電位部として用い、一次コイルの接地側の端末部を、制御ユニットのアース線とともに鉄心に接続している。一次電流制御回路の構成によっては、二次コイルの一端を一次コイルの接地側の端末部と共に鉄心にアースする場合もある。
【0004】
一次コイルの接地側の端末部を鉄心に接続するため、特許文献1に示されているように、一次ボビンと鉄心との間に一部が挟み込まれた状態で配置されたアース端子金具を設けて、このアース端子金具に一次コイルの接地側の端末部を接続した点火コイルが知られている。
【0005】
図6は特許文献1に示された点火コイルに制御ユニットを組み込んで構成した内燃機関用点火装置を示したものである。同図において1は鉄心、2は鉄心1に取りつけられた一次ボビン、3は一次ボビン2に巻回された一次コイル、4は一次コイルを囲むように設けられた二次ボビン、5は二次ボビン4に巻回された二次コイルである。また6は一次ボビン2の鍔部に一体に形成された筒状の高圧コード接続部で、この高圧コード接続部に高圧コードHCの一端が接続されている。鉄心1と一次ボビン2及び一次コイル3と、二次ボビン4及び二次コイル5とにより点火コイルが構成されている。また7は点火コイルの一次電流を制御する制御ユニット、8は点火コイルの主要部を制御ユニット7とともに収容したケースである。
【0006】
9は一次ボビン2と鉄心1との間に一部が挟み込まれたアース端子金具で、このアース端子金具に、一次コイル3の接地側の端末部3aと、制御ユニット7から引き出されたアース線7aとが半田付けされている。
【0007】
図7は図6の点火装置で用いられているアース端子金具を拡大して示したものである。同図に示されているように、特許文献1に示された点火コイルにおいては、アース端子金具9の一次ボビンと鉄心との間に挟み込まれる部分9aに平行な2本の切り込みを入れて、この切り込みの内側の部分を斜めに切り起こすことにより、先端がフラットな(幅方向に直線的に延びる)突起9bを形成して、この突起9bの先端を鉄心1に接触させるようにしていた。
【0008】
内燃機関用の点火コイルは、多くの場合、雨水等が接触する環境下に配置されるため、耐候性を持たせるために、一次コイル及び二次コイルが樹脂でモールドされるのが普通である。制御ユニットが点火コイルとともに設けられる場合には、該制御ユニットも樹脂でモールドされる。図6に示したように、ケース8が設けられる場合には、ケース8内に樹脂を注型することにより、樹脂モールド部が形成される。
【特許文献1】特開平8−306557号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のように、一次ボビンと鉄心との間にアース端子金具9の一部を挟み込んで、このアース端子金具に設けた突起9bを鉄心に接触させることにより、点火コイルの一次コイルの端末部等を鉄心にアースするようにした点火コイルまたは点火装置においては、樹脂モールド部を形成する際に、アース端子金具の突起9bの先端と鉄心1との間に樹脂が入りやすいため、アース端子金具9が鉄心1に対して絶縁された状態になることがしばしばある。そのため、この種の点火コイルまたは点火装置においては、樹脂モールド部を形成した後に、アース端子金具と鉄心との間に高電圧を印加して、アース端子金具の突起と鉄心との間に入り込んだ樹脂に電流を流し、これにより、入り込んだ樹脂を炭化させてアース端子金具と鉄心との間の導通を図るようにしている。
【0010】
しかしながら、特許文献1に示されているように、アース端子金具9に設ける突起9bを、先端がフラットな形状にした場合には、突起9bの先端と鉄心1との間に樹脂が入り込み易く、突起9bと鉄心1との間に多くの樹脂が介在した状態になることがあるため、アース端子金具と鉄心との間に高電圧を印加した際に、突起9bと鉄心1との間に介在している樹脂を通して流れる電流が分散し、大電流を集中して流すことができないことがあった。そのため、アース端子金具の突起と鉄心との間に入り込んだ樹脂を炭化することができず、アース端子金具と鉄心との間の電気的な導通を図ることができないことがあった。
【0011】
アース端子金具の突起9bと鉄心1との間に入り込んだ樹脂の量が多い場合でも、アース端子金具と鉄心との間に非常に高い電圧を印加すれば、入り込んだ樹脂を炭化することが可能であるが、アース端子金具と鉄心との間に印加する電圧をあまり高くすると、点火コイルの絶縁部にかかる負担が大きくなるため、好ましくない。
【0012】
本発明の目的は、アース端子金具と鉄心との間に過大な高電圧を印加することなく、両者間の電気的な導通を確実に図ることができるようにした内燃機関用点火コイル及びこの点火コイルを用いた点火装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、鉄心と、鉄心の周囲に一次ボビンを介して巻回された一次コイルと該一次コイルを外側から囲むように設けられた二次コイルと、一部が一次ボビンと鉄心との間に挟み込まれた状態で配置されたアース端子金具と、一次コイル及び二次コイルを被覆するように設けられた樹脂モールド部とを備えて、一次コイルの接地側の端末部がアース端子金具に接続されている内燃機関用点火コイルに適用される。
【0014】
本発明においては、アース端子金具の一次ボビンと鉄心との間に挟み込まれた部分に、鉄心側に突出した少なくとも1個の突起が形成され、この突起は、鉄心に接触する先端部が尖った形状を有している。
【0015】
本発明はまた、鉄心と、該鉄心の周囲に一次ボビンを介して巻回された一次コイルと該一次コイルを外側から囲むように設けられた二次コイルと、一部が一次ボビンと鉄心との間に挟み込まれた状態で配置されたアース端子金具とを有する点火コイルと、二次コイルの外側に配置されて点火コイルの一次電流を制御する制御回路を構成する制御ユニットと、一次コイル及び二次コイルを制御ユニットとともに被覆するように設けられた樹脂モールド部とを備えて、一次コイルの接地側の端末部及び制御ユニットのアースにつながるアース線がアース端子金具に接続されている内燃機関用点火装置に適用される。
【0016】
この場合も、アース端子金具の一次ボビンと鉄心との間に挟み込まれた部分に、鉄心側に突出した少なくとも1個の突起が形成され、該突起は、鉄心に接触する先端部が尖った形状を有するように形成される。
【0017】
上記のように、アース端子金具に設ける突起の先端を尖らせておくと、樹脂モールド部を形成した際に、アース端子金具の突起と鉄心との間に樹脂が入りにくくすることができるため、アース端子金具の突起と鉄心との間に樹脂が入り込んで、両者間が絶縁された状態になる確率を少なくすることができる。
【0018】
上記のように、本発明によれば、アース端子金具の突起と鉄心との間に樹脂が入り込んで、両者間が絶縁された状態になる確率を少なくすることができるが、両者間に樹脂が入り込むのを完全に防ぐことはできない。そのため、アース端子金具と鉄心との間に高電圧を印加して両者間に介在した樹脂を炭化する処理を行う工程を省略することはできないが、本発明においては、アース端子の突起の先端が尖っているので、仮にアース端子金具の突起と鉄心との間に樹脂が入り込んでいたとしても、アース端子金具と鉄心との間に高電圧を印加した際に、アース端子金具の突起と鉄心との間で確実に電流の集中を生じさせることができる。従って、アース端子金具の突起と鉄心との間に入り込んだ樹脂を確実に炭化することができ、アース端子金具と鉄心との間の電気的な導通を確実に図ることができる。またこの場合、アース端子と鉄心との間に印加する電圧は、従来の点火コイルにおいて、アース端子金具と鉄心との間の導通を図るための処理を行う際に必要とした電圧よりも低くてよいため、点火コイルの絶縁部に過度の負担をかけることなく、アース端子金具と鉄心との間の電気的導通を図る処理を行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、一次コイルの接地側の端末部を鉄心に接続するために用いるアース端子金具の、一次ボビンと鉄心との間に挟み込まれる部分に鉄心側に突出した突起を設けて、この突起の先端を尖った形状としたので、樹脂モールド部を形成した際に、アース端子金具の突起と鉄心との間に樹脂が入りにくくすることができ、アース端子金具の突起と鉄心との間に多くの樹脂が入り込んで、両者間が絶縁された状態になる確率を少なくすることができる。
【0020】
また本発明によれば、アース端子金具の突起の先端を尖った形状としたので、仮にアース端子金具の突起と鉄心との間に樹脂が入り込んだとしても、アース端子金具と鉄心との間に高電圧を印加することにより、アース端子金具の突起と鉄心との間で確実に電流の集中を生じさせて、アース端子金具の突起と鉄心との間に入り込んだ樹脂を確実に炭化することができ、アース端子金具と鉄心との間の電気的な導通を確実に図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
図1及び図2は、本発明の好ましい実施形態を示したもので、図1は同実施形態の縦断面図、図2は鉄心の一部を省略して示した図1の左側面図である。これらの図において11は鋼板の積層体からなる鉄心で、図示の鉄心11は、I状に形成された鉄心本体11Aと、鉄心本体11Aの両端に蟻結合された脚部11B及び11Cとからなっている。脚部11B及び11Cの先端には、内燃機関のクランク軸に取りつけられるロータRTの外周に設けられた磁石界磁の磁極に対向させられる磁極部11B1及び11C1が形成されている。
【0022】
12は、樹脂の成形品からなる一次ボビンで、この一次ボビンの一端には、筒状の高圧コード接続部13が一体に形成されている。一次ボビン12は、コイル巻回用胴部12aを有していて、このコイル巻回用胴部12aに一次コイル14が巻回されている。一次ボビン12の胴部12aの内側には、断面の輪郭形状が正方形状を呈する孔部が形成され、この孔部に鉄心本体11Aを嵌合させることにより、一次コイル14が巻回された一次ボビン12が鉄心11に取りつけられている。
【0023】
15は一次コイル14を外側から囲むように配置された筒状の二次ボビンで、この二次ボビンに二次コイル16が巻回されている。二次コイル16の一端は一次コイル14の非接地側の端末部に接続され、他端は、二次ボビン15の一端側に設けられた鍔部に固定された接触片17に接続されている。接触片17は高圧コード接続部13の端部に取りつけられた木ねじ状の二次端子18の頭部に接触させられている。高圧コード接続部13の内側に高圧コードHCの一端が挿入され、該高圧コードの心線が高圧コード接続部内で二次端子18に接触させられる。
【0024】
一次コイル14の接地側の端末部を鉄心11に接続するため、鉄心11を取りつける前に、一次ボビンのコイル巻回用胴部12aの一端側を延長して形成した角筒状の突出部12bに、導電板を折り曲げることにより形成されたアース端子金具19が取りつけられる。
【0025】
図4に示したように、アース端子金具19は、互いに平行に配置された1対の板状部19a1,19a2とこれらの板状部の一端を連結する連結部19a3とからなるU字状の折り曲げ部19aと、折り曲げ部19aの一方の板状部19a1の他端から外側に直角に折れ曲がって延びる平板状の端子部19bとを一体に有している。折り曲げ部19aの他方の板状部19a2に、先端部側が三角形状を呈するホームベース形の切り込みが形成され、この切り込みの内側の部分を折り曲げ部19aの外側に斜めに切り起こすことにより、先端19c1が一点に収束するように(ピンポイントに)尖った形状を有する突起19cが形成されている。突起19cは少なくとも1つ形成されていればよいが、図示の例では、この突起19cが3個形成されて、これらの突起が三角配置されている。
【0026】
図3に示したように、アース端子金具19の折り曲げ部19aの板状部19a2に形成された突起19cが一次ボビン12の内側に(鉄心側に)斜めに突出した状態で配置されるようにして、折り曲げ部19aが一次ボビンの一端に形成された角筒状の突出部12bに嵌合され、更に端子部19bが一次ボビン12の一端側に設けられたつば部12cに添わせた状態にされて、アース端子金具19が一次ボビン12に取りつけられる。そして、アース端子金具19の端子部19bに、一次コイル14の接地側の端末部14aと、二次コイル16の外側に配置された制御ユニット20から引き出されたアース線20aとが半田付けされている。また図2に示したように、一次ボビン12の他端側に端子板21が固定され、この端子板21に一次コイル14の非接地側の端末部14bと、二次コイル16の一端側の端末部16aと、制御ユニット20から引き出されたリード線20bとが半田付けされている。
【0027】
22は、一端に開口部が設けられ、他端に底部22aが設けられた樹脂製のケースで、このケース内に、一次コイル14が巻回された一次ボビン12と、二次コイル16が巻回された二次ボビン15とを含む点火コイルの主要部と、制御ユニット20とが挿入されている。この状態で、鉄心本体11Aが一次ボビン12の胴部12aの内側に挿入される。鉄心本体11Aの一端はケース22の開口部から外方に突出した状態で配置され、他端はケース22の底部22aに形成された孔22bを通して外方に導出される。このようにして鉄心本体11Aを取りつけた際に、アース端子金具19の板状部19a2が一次ボビンと鉄心本体との間に挟み込まれ、板状部19a2に形成された突起19cの尖った先端19c1が鉄心本体11Aに接触させられる。
【0028】
そして、ケース22内に樹脂が注型されて、樹脂モールド部23が形成され、この樹脂モールド部内に点火コイルの主要部と制御ユニット20とが埋設される。
【0029】
図示の制御ユニット20は、図5に示したようにNPN形の一次電流制御用トランジスタTRと、このトランジスタをオンオフ制御する制御回路(図示せず。)とを備えた周知の電流遮断形のユニットで、トランジスタTRのコレクタが一次コイル14の接地側の端末部に接続され、エミッタが一次コイル14の非接地側の端末部と二次コイル16の低電位側の一端とに接続される。
【0030】
制御ユニット20内に設けられる図示しない制御回路は、ロータRTの回転に伴って一次コイル14に誘起する交流電圧の一方の半サイクル(一次コイル14の接地側の電位が非接地側の電位よりも高くなる極性の半サイクル)においてトランジスタTRにベース電流を流して該トランジスタを導通させ、一次コイル14からトランジスタTRのコレクタエミッタ間を通して一次電流を流す。制御回路はまた、トランジスタTRのコレクタエミッタ間の電圧から一次電流を検出し、一次電流が所定のレベルに達したことを検知したときにトランジスタTRへのベース電流の供給を停止させて、トランジスタTRを遮断状態にする。これにより、それまで流れていた一次電流を遮断して、過渡現象により点火コイルの一次コイルに高い電圧を誘起させ、この電圧を一次、二次間の昇圧比により昇圧して、二次コイル16に点火用の高電圧を誘起させる。
【0031】
上記のように、アース端子金具に設ける突起19cの先端19c1をピンポイントに尖らせておくと、樹脂モールド部23を形成した際に、アース端子金具19の突起19cと鉄心11との間に樹脂が入りにくくすることができるため、アース端子金具19の突起と鉄心との間に樹脂が入り込んで、両者間が絶縁された状態になる確率を少なくすることができる。
【0032】
また仮にアース端子金具の突起と鉄心との間に樹脂が入り込んでいたとしても、アース端子金具19と鉄心11との間に高電圧を印加することにより、アース端子金具の突起の先鋭な先端19c1と鉄心11との間で確実に電流の集中を生じさせることができるため、アース端子金具の突起と鉄心との間に入り込んだ樹脂を確実に炭化することができ、アース端子金具と鉄心との間の電気的な導通を確実に図ることができる。この場合、アース端子と鉄心との間に印加する電圧は、従来の点火コイルにおいて、アース端子金具と鉄心との間の導通を図るための処理を行う際に必要とした電圧よりも低くてよい。従って、点火コイルの絶縁部に過度の負担をかけることなく、アース端子金具と鉄心との間の電気的導通を図る処理を行うことができる。
【0033】
上記の説明では、制御ユニット19として電流遮断形の回路を有するものを用いたが、制御ユニット19はコンデンサ放電式の回路を備えたもの等、他の形式のものでもよい。また上記の例では、点火コイルを収容するケース内に制御ユニットを組み込むことにより、内燃機関用点火装置を構成しているが、制御ユニット19とは別個に設けられる点火コイルにも本発明を適用することができるのはもちろんである。
【0034】
また上記の例では、鉄心に磁極部11B1,11C1を設けて、これらの磁極部を機関に取りつけられたロータ(磁石回転子)の磁極部に対向させることにより、一次コイル14に電圧を誘起させる(一次コイルを電源として用いる)形式の点火コイルに本発明を適用して、点火コイルに一次電流を流す電源を外部に設ける場合にも本発明を適用することができる。この場合には、図1に示された脚部11B及び11Cが省略される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態の構成を示す縦断面図である。
【図2】鉄心の一部を省略して示した図1の左側面図である。
【図3】本実施形態において鉄心を一次ボビンに取りつける前の状態を示した縦断面図である。
【図4】本実施形態で用いるアース端子金具の形状の一例を示した斜視図である。
【図5】本実施形態において点火コイルと制御ユニットにより構成される点火装置の電気的構成を概略的に示した回路図である。
【図6】従来の点火装置の構成を示した縦断面図である。
【図7】従来の点火装置で用いられていたアース端子金具を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
11 鉄心
12 一次ボビン
13 高圧コード接続部
14 一次コイル
15 二次ボビン
16 二次コイル
19 アース端子金具
19a アース端子金具の折り曲げ部
19b 端子部
19c 突起
19c1 突起の尖った先端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄心と、前記鉄心の周囲に一次ボビンを介して巻回された一次コイルと該一次コイルを外側から囲むように設けられた二次コイルと、一部が前記一次ボビンと鉄心との間に挟み込まれた状態で配置されたアース端子金具と、前記一次コイル及び二次コイルを被覆するように設けられた樹脂モールド部とを備え、前記一次コイルの接地側の端末部が前記アース端子金具に接続されている内燃機関用点火コイルにおいて、
前記アース端子金具の前記一次ボビンと鉄心との間に挟み込まれた部分に、前記鉄心側に突出した少なくとも1個の突起が形成され、
前記突起は、前記鉄心に接触する先端部が尖った形状を有していること、
を特徴とする内燃機関用点火コイル。
【請求項2】
鉄心と、前記鉄心の周囲に一次ボビンを介して巻回された一次コイルと該一次コイルを外側から囲むように設けられた二次コイルと、一部が前記一次ボビンと鉄心との間に挟み込まれた状態で配置されたアース端子金具とを有する点火コイルと、前記二次コイルの外側に配置されて前記点火コイルの一次電流を制御する制御回路を構成する制御ユニットと、前記一次コイル及び二次コイルを前記制御ユニットとともに被覆するように設けられた樹脂モールド部とを備え、前記一次コイルの接地側の端末部及び前記制御ユニットのアースにつながるアース線が前記アース端子金具に接続されている内燃機関用点火装置において、
前記アース端子金具の前記一次ボビンと鉄心との間に挟み込まれた部分に、前記鉄心側に突出した少なくとも1個の突起が形成され、
前記突起は、前記鉄心に接触する先端部が尖った形状を有していること、
を特徴とする内燃機関用点火装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−294557(P2007−294557A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−118708(P2006−118708)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【出願人】(000001340)国産電機株式会社 (191)