説明

内視鏡

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、処置具類を挿通するための処置具挿通路を有する内視鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】内視鏡においては、多くの場合、挿入部の先端から吸引をする必要があるが、詰まりの生じないような太い吸引管路を挿入部内に配置すると、挿入部が著しく太くなって患者に与える苦痛が大きくなってしまう。そこで、殆どの場合、処置具挿通路を吸引管路として併用している。
【0003】近年の内視鏡においては、一般に、処置具挿入口は操作部の下端部分に設けられていて、その近傍において、吸引管路の先端が処置具挿通路に連通接続されている。
【0004】図6は、そのような従来の処置具挿通路と吸引管路との接続部を示しており、操作部50の下端部付近に、処置具挿入口金51が斜め上向きに突設されている。
【0005】そして、下方に向けて湾曲して処置具挿通チャンネル52の基端に接続された接続パイプ53の基端が、分岐ブロック54を介して処置具挿入口金51の根部に接続されている。
【0006】分岐ブロック54には、処置具挿入口金51と接続パイプ53とを連通させる真っ直ぐな処置具通過孔55と、それに対してT字状に上方から連通する吸引接続孔56とが形成されており、吸引チャンネル57に連なる吸引接続パイプ58の先端が吸引接続孔56に接続されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述のような従来の内視鏡においては、処置具挿入口金51から処置具挿通チャンネル52内に、処置具通過孔55及び接続パイプ53を介して処置具類をスムーズに挿通することができる。
【0008】しかし、予め体腔内に挿入したガイドワイヤ100を内視鏡の先端側から処置具挿通チャンネル52に通して、体腔内への内視鏡挿入のガイドにしようとする場合には問題が生じる。
【0009】即ち、接続パイプ53が下方に向けて湾曲しているので、図6に示されるように、ガイドワイヤ100の端部が吸引接続孔56の開口部に引っ掛かってしまい、ガイドワイヤ100を内視鏡挿入のガイドとして使用することができなかった。
【0010】そこで本発明は、処置具挿通路内にその先端側からガイドワイヤを挿入したとき、そのガイドワイヤが処置具挿通路の基端部分において吸引管路の開口部に引っ掛からず、処置具挿通路内をスムーズに通過させることができる内視鏡を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡は、処置具類を挿通するための処置具挿通路の両端を内視鏡の挿入部の先端側と基端側とにおいて外部に対して開口させ、吸引を行うための吸引管路の先端を上記処置具挿通路の基端付近に連通接続した内視鏡において、上記処置具挿通路と上記吸引管路とを、互いの中心軸を偏心させて接続したことを特徴とする。
【0012】なお、上記吸引管路の先端と上記処置具挿通路とが、上記吸引管路の軸方向に対して鈍角をなす斜孔を介して滑らかに接続されているとよい。
【0013】
【実施例】図面を参照して実施例を説明する。図2は内視鏡を示しており、可撓性のある挿入部1の基端側に操作部2が連結されている。
【0014】挿入部1との連結部に近い操作部2の下端部には、処置具挿入口金3が斜め上方に向けて突設されており、挿入部1の先端に開口する処置具挿通路10の基端側がその処置具挿入口金3に連通接続されている。100は、処置具挿通路10内に挿通されたガイドワイヤである。
【0015】操作部2の上部前面側には吸引操作弁4が突設されていて、そこに、外部の吸引装置(図示せず)に接続された吸引チューブ5が接続されている。また、操作部2内に配置された吸引管路40の両端が吸引操作弁4と処置具挿通路10とに連通接続されていて、吸引操作弁4を操作することにより、挿入部1の先端から処置具挿通路10及び吸引管路40を経て吸引チューブ5へ吸引が行われる。
【0016】6は、挿入部1の先端付近に形成された湾曲部7を遠隔的に屈曲操作するための湾曲操作ノブ、8は接眼部、9は、ライトガイドファイババンドルが挿通されていて光源装置に接続される可撓性の連結管である。
【0017】図3は、処置具挿通路10と吸引管路40との接続部を示しており、操作部2の外壁に斜め上向きに突出形成された突起部2aに、処置具挿入口金3が外方から差し込まれて、ナット31によってそこに固定されている。32はシール用のOリングである。
【0018】処置具挿入口金3の奥側の端部には、操作部2内において分岐ブロック33が連結されていて、その分岐ブロック33を真っ直ぐに貫通して穿設された処置具挿通孔13が、処置具挿入口金3の処置具挿通孔12と一直線に連通接続されている。
【0019】処置具挿入口金3と分岐ブロック33との接続面には、ドーナツ状のシール材36が挟着されている。また、分岐ブロック33と処置具挿入口金3と操作部2とは、位置決め用係合部37によって互いの間の相対的回転が規制されていて、それによって各々の回転方向の位置決めがされている。
【0020】挿入部1内を通って挿入部1の先端に達する可撓性チューブからなる処置具挿通チャンネル14の基端は、下方にむけて湾曲形成されたステンレスパイプ製の接続パイプ15に接続されていて、その接続部において両者が緊縛固定されている。
【0021】そして、その接続パイプ15の基端が、処置具挿通孔13と同軸に段差なく連通するように、分岐ブロック33に銀ロー付け等によって固着されていて、これら処置具挿通チャンネル14、接続パイプ15、処置具挿通孔12及び13によって処置具挿通路10が形成されている。
【0022】分岐ブロック33には、処置具挿通孔13に対してT字状に上方から連通する吸引接続孔41が穿設されている。また、吸引操作弁4に連通する可撓性チューブからなる吸引チャンネル42の先端がステンレスパイプ製の吸引接続パイプ43に接続固定されている。
【0023】そして、吸引接続パイプ43の先端が、吸引接続孔41に真っ直ぐに接続されるように分岐ブロック33に銀ロー付け等によって固着されていて、これら吸引チャンネル42、吸引接続パイプ43及び吸引接続孔41によって吸引管路40が形成されている。
【0024】但し、図3のI−I断面を示す図1に示されるように、吸引接続孔41と処置具挿通孔13との接続部においては、吸引接続孔41と処置具挿通孔13とが偏心して連通しており、処置具挿通孔13の内周上面壁(即ち、湾曲した接続パイプ15の外周側に連なる面)が、吸引接続孔41によって切り取られていない。
【0025】したがって、図2の矢印Aに示されるように、処置具挿通路10内に先端側からガイドワイヤ100を通すと、図1に示されるように、ガイドワイヤ100が吸引接続孔41の開口部に引っ掛かることなく処置具挿通孔13を通過して、処置具挿入口金3の開口部に達することができる。
【0026】また、図3のIV−IV断面を示す図4に示されるように、吸引接続孔41は処置具挿通孔13に対して、吸引接続パイプ43の軸方向に対して鈍角をなす斜孔41aを介して滑らかに接続されている。
【0027】したがって、図3に示されるように、吸引操作弁4側から吸引管路40内に掃除用ブラシ200を挿通すると、図4に示されるように、掃除用ブラシ200の先端が斜孔41aを通ってスムーズに処置具挿通孔13内にまで達することができ、吸引管路40と処置具挿通路10との接続部をもれなくブラッシングにより掃除することができる。
【0028】したがって、斜孔41aの向きは、吸引接続パイプ43の軸方向に対して105度以上の角度であることが望ましく、120度以上であれば掃除用ブラシ200の挿通がよりスムーズになるのでさらに望ましい。
【0029】なお本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、例えば吸引接続孔41の断面形状は、I−I断面に相当する図5に示されるように、長孔状であってもよい。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、処置具挿通路と吸引管路とを互いの中心軸を偏心させて接続したことにより、処置具挿通路内にその先端側からガイドワイヤを挿入したとき、そのガイドワイヤが処置具挿通路の基端部分において吸引管路の開口部に引っ掛からずに、処置具挿通路内をスムーズに通過することができ、ガイドワイヤをガイドにして内視鏡を容易に挿入することができる。
【0031】そして、吸引管路の先端と処置具挿通路とを、吸引管路の軸方向に対して鈍角をなす斜孔を介して滑らかに接続すれば、吸引管路側から掃除用ブラシを挿通したときに、ブラシの先端が処置具挿通路内にまで容易に達することができるので、吸引管路と処置具挿通路との接続部をもれなくブラッシングにより掃除することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例のI−I断面図である。
【図2】第1の実施例の内視鏡の全体斜視図である。
【図3】第1の実施例の部分拡大縦断面図である。
【図4】第1の実施例のIV−IV断面図である。
【図5】第1の実施例のI−I断面に相当する第2の実施例の断面図である。
【図6】従来例の部分拡大縦断面図である。
【符号の説明】
1 挿入部
10 処置具挿通路
13 処置具挿通孔
40 吸引管路
41 吸引接続孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】処置具類を挿通するための処置具挿通路の両端を内視鏡の挿入部の先端側と基端側とにおいて外部に対して開口させ、吸引を行うための吸引管路の先端を、湾曲した形状に形成された上記処置具挿通路の基端付近に上記湾曲の外面方向から連通接続した内視鏡において、上記処置具挿通路と上記吸引管路との接続部で上記処置具挿通路の湾曲の外面にあたる部分の壁面が切り取られないように、上記処置具挿通路と上記吸引管路とを、互いの中心軸を偏心させて、上記吸引管路の軸方向に対して鈍角をなす斜孔を介して接続したことを特徴とする内視鏡。

【図1】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図6】
image rotate


【特許番号】特許第3435214号(P3435214)
【登録日】平成15年5月30日(2003.5.30)
【発行日】平成15年8月11日(2003.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−131827
【出願日】平成6年6月14日(1994.6.14)
【公開番号】特開平7−327918
【公開日】平成7年12月19日(1995.12.19)
【審査請求日】平成13年2月1日(2001.2.1)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【参考文献】
【文献】実公 昭48−10705(JP,Y1)