説明

円筒形支持体を有する印刷版形成用装置およびプロセス

【課題】円筒形支持体を有する印刷版を形成する装置およびプロセス
【解決手段】本発明は、円筒形支持体を有する感光性要素から印刷版を形成する装置およびプロセスに、特にレリーフパターンを形成し、特に円筒形のフレキソ印刷版を形成するために感光性要素を熱処理する装置およびプロセスに関する。装置およびプロセスは、様々なサイズの円筒形支持体で、感光性要素の熱処理に対応する円筒形支持体を支持することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性要素から印刷版(printing form)を形成する装置およびプロセスに、特に熱現像プロセスによって印刷版を形成する装置およびプロセスに、さらに特には円筒形支持体を有し、感光性要素を熱現像する装置およびプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
フレキソ印刷版は、紙、段ボール、薄膜、箔およびラミネートのような様々な被印刷物の凸版印刷で使用するためによく知られている。フレキソ印刷版は、例えば特許文献1および特許文献2に記載されているような感光性組成の層を含む感光性要素から準備することができる。感光性組成は、光重合性組成と呼ぶことができ、一般的にエラストマ結合剤、少なくとも1つの単量体、および光開始剤を含む。感光性要素は一般的に、支持体とカバーシートまたは多層カバー要素の間に挿入した光重合性組成の層を有する。感光性要素を化学線で像面にて露光すると、感光性組成の光重合が露光区域で生じ、それによって層の露光区域が硬化し、不溶性になる。従来、要素は適切な溶液、例えば溶剤または溶剤混合物または水性溶液で処理して、露光しなかった光重合性層の区域を除去し、フレキソ印刷に使用可能な印刷レリーフを残す。
【0003】
しかし、溶液で要素を処理する現像システムは、要素内に閉じこめた現像溶液を除去するために長期間(0.5時間から24時間)の乾燥が必要であるので、時間がかかる。また、溶剤溶液を使用する現像システムは、現像中に揮発性の有機蒸気、さらに潜在的に有害な副産物を廃棄物(溶剤および溶剤によって運び去られる任意の材料の両方)として生成することもある。
【0004】
溶液現像の代替方法として、非常に時間がかかる乾燥ステップなしで未露光区域を除去する「乾式」熱現像プロセスを使用することができる。熱現像プロセスでは、像面が化学線に露光されている組成層を、感光性層の未露光部分の組成が軟化するか、溶融し、吸収性材料に流入するのに十分な温度で吸収性材料と接触する。Burgその他の特許文献3、Cohenその他の特許文献4、Martensの特許文献5、Martensの特許文献6参照、Martensの特許文献7およびPetersonその他の特許文献8参照のこと。組成層の露光部分は、未露光部分の軟化温度でも硬質のままである。つまり軟化も溶融もしない。吸収性材料は、軟化した未照射材料を収集し、次に組成層から分離かつ/または除去される。組成層の加熱および接触のサイクルは、未照射区域から流動性組成を十分に除去して、印刷に適切なレリーフ構造を形成するために、数回繰り返す必要がある。そのように、所望の印刷像を表わす照射し、硬化した組成の隆起レリーフ構造を残す。
【0005】
フレキソ印刷要素を熱現像するプロセッサが知られている。Petersonその他の特許文献8は、像面で照射した感光性シートを熱処理して、望ましくない部分を除去し、シート上に放射線で硬化したレリーフ像を残す自動化のプロセスおよび装置について記載している。特許文献9も、感光性要素を熱処理する方法および装置について記載している。両方の熱処理装置で、支持体および組成層を備えた照射感光性印刷要素をドラム上に装着し、吸収性材料の連続ウェブをホットロール上に通過させる。ホットロールは強制的にドラムへと向かい、ウェブを感光性要素に押しつけて、ニップを形成する。ホットロールは、電気的芯加熱装置または可撓性薄膜支持体上に組成の一部を溶融するのに十分な温度を提供する他の手段によって加熱することができる。熱は、接触するとホットロールから伝導によって吸収性ウェブを通して、感光性要素へと伝達され、したがって組成層の温度は、組成層の未照射部分を液化させ、吸収性材料に吸収させることが可能なほど十分に上昇する。ドラムとホットロールとは相互に接触した状態で回転するので、ウェブが感光性要素に押しつけられて、液化した未照射組成を吸収し、次に要素から分離する。要素がホットロールを数サイクル通過することを繰り返して、未照射組成を印刷要素から漸進的に除去する。未照射組成が除去された後、結果の要素は、印刷版として使用するのに適切である硬化した区域の隆起レリーフ表面を有する。
【0006】
特許文献8によると、組成層を未照射区域の融点付近の温度まで予熱するためにドラムを加熱する。しかし、加熱したドラムは、支持体が歪んだり、収縮したりして、印刷版のレリーフ区域の寸法安定性に影響し得るような程度まで、要素の支持体を加熱することがある。特許文献9は、組成層の加熱と同時に支持体を冷却することによって、このような支持体の望ましくない歪みおよび/または収縮を回避する。支持体の冷却は、赤外線加熱装置で組成層の外面を追加的に加熱する間に、ドラムの周表面に空気を吹き付けることによって実行される。
【0007】
現在まで、通常は平坦または平面の感光性印刷要素が、商業的な熱現像プロセッサで処理されていた。継ぎ目なし感光性樹脂スリーブ、またはいわゆるスリーブ上印刷版などの円筒形感光性印刷要素を熱処理することも可能であった。継ぎ目なし感光性樹脂スリーブは、円筒形支持体上に光重合可能な組成の少なくとも連続的な、またはほぼ連続的な層を含む。スリーブ上印刷版は、円筒形支持体上に装着した平坦な感光性印刷要素を含む。しかし、円筒形印刷要素に可能なスリーブの各直径で、余分な支持シリンダ、つまりドラムまたは空気シャフトを熱処理装置に装備する必要があるか、支持シリンダに特殊な1つまたは複数のアダプタスリーブを装備する必要があった。様々な直径のスリーブに対応するために、熱処理装置内の支持シリンダを交換することは、実際的ではない。処理装置の作動に多大な停止時間ができ、処理装置の工具類に費用がかかるからである。
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,323,637号明細書
【特許文献2】米国特許第4,427,759号明細書
【特許文献3】米国特許第3,060,023号明細書
【特許文献4】米国特許第3,264,103号明細書
【特許文献5】米国特許第5,015,556号明細書
【特許文献6】米国特許第5,175,072号明細書
【特許文献7】米国特許第5,215,859号明細書
【特許文献8】米国特許第5,279,697号明細書
【特許文献9】国際公開第2001/18604号パンフレット
【特許文献10】米国特許公報第2004/0048199A1号明細書
【特許文献11】日本特許公報第53−008655号明細書
【特許文献12】米国特許第6,797,454号明細書
【特許文献13】米国特許第5,972,565号明細書
【特許文献14】米国特許第4,323,636号明細書
【特許文献15】米国特許第4,753,865号明細書
【特許文献16】米国特許第4,726,877号明細書
【特許文献17】米国特許第4,894,315号明細書
【特許文献18】米国特許第4,427,749号明細書
【特許文献19】米国特許第5,301,610号明細書
【特許文献20】米国特許第5,798,019号明細書
【特許文献21】米国特許第5,916,403号明細書
【特許文献22】米国特許第4,337,220号明細書
【特許文献23】米国特許第4,868,090号明細書
【特許文献24】米国特許第4,869,997号明細書
【特許文献25】米国特許第3,871,650号明細書
【特許文献26】米国特許第4,883,742号明細書
【特許文献27】米国特許第6425,327号明細書
【特許文献28】米国特許公報第2002/0069777A1号明細書
【特許文献29】ドイツ特許第2844426号明細書
【特許文献30】英国特許第1579817号明細書
【特許文献31】米国特許第4,758,500号明細書
【特許文献32】米国特許第6,773,859B2号明細書
【特許文献33】米国特許第4,460,675号明細書
【特許文献34】国際公開第94/03838号パンフレット
【特許文献35】国際公開第94/3839号パンフレット
【特許文献36】国際公開第03/079114号パンフレット
【特許文献37】ドイツ特許第C19909152号明細書
【特許文献38】米国特許第5,262,275号明細書
【特許文献39】米国特許第5,719,009号明細書
【特許文献40】米国特許第3,036,913号明細書
【特許文献41】米国特許第2,760,863号明細書
【特許文献42】欧州特許第0741330B1号明細書
【特許文献43】米国特許第5,607,814号明細書
【特許文献44】米国特許第5,766,819号明細書
【特許文献45】米国特許第5,840,463号明細書
【特許文献46】国際公開第98/13730号パンフレット
【特許文献47】米国特許第4,806,506号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、商用処理装置上の様々な直径のスリーブ上で円筒形感光性印刷要素を熱現像することは、困難で、時間がかかり、費用もかかる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によると、円筒形支持体と、支持体に隣接して支持体の内面とは反対側の組成層とを備える感光性要素から印刷版(printing form)を形成する装置が提供され、組成層を部分的に液化することができる。装置は、円筒形支持体の内面の第1部分に接触することによって、感光性要素を支持する第1手段と、第1部分とは異なる円筒形支持体の内面の第2部分と接触することによって、感光性要素を支持する第2手段とを含み、円筒形支持体は、第1部分と第2部分との間に支持されていない1つまたは複数の部分を有し、さらに要素にレリーフ表面を形成するために、支持体とは反対側の感光性要素の外面を処理する手段を含む。
【0011】
本発明の別の態様によると、円筒形支持体と、支持体の内面の反対側にある支持体上の組成層とを備える感光性要素から印刷版を形成するプロセスが提供され、組成層を部分的に液化することができる。プロセスは、円筒形支持体の内面の第1部分を第1支持部材と接触させ、第1部分とは異なる円筒形支持体の内面の第2部分を第2支持部材と接触させることによって、感光性要素を支持することを含み、円筒形支持体は、第1部分と第2部分との間に支持されていない1つまたは複数の部分を有し、さらにレリーフ表面を形成するために、支持体とは反対側の感光性要素の外面を処理することを含む。
【0012】
本発明は、添付図面との関連で本発明に関する以下の詳細な説明から、さらに十分に理解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、円筒形支持体と、支持体上で部分的に液化可能な少なくとも1つの組成層とを有する感光性要素から、印刷版を形成する装置およびプロセスを提供する。本発明は、組成層の少なくとも一部を溶融または軟化または液化するのに十分な温度まで感光性要素を加熱可能な装置を想定する。特に、装置およびプロセスは、要素を熱現像して、フレキソ印刷版で印刷するのに適切なレリーフ構造を生成する。
【0014】
本発明によると、装置およびプロセスは、円筒形またはほぼ円筒形との関連を有する感光性要素を熱現像する。つまり、感光性要素自体の支持体が円筒形であるか、感光性要素を、円筒形である少なくとも1つの他の構造と一緒にしてもよい。その結果の印刷版が、最終的に印刷用シリンダに装着されるので、支持体または構造の形状は概ね円筒形である。しかし、要素は円筒形でなくてもよいか、本発明の装置およびプロセスと作動状態で係合する間に、または印刷用シリンダに装着されていない場合にのみほぼ円筒形であってよい。円筒形の支持体または構造を、スリーブとも呼ぶことができる。感光性要素は、円筒形支持体に隣接して、またはその上に、連続的、継ぎ目なし、またはほぼ継ぎ目なしの光重合可能な組成層を含む。感光性要素は、スリーブ上印刷版システムも含んでよい。通常、スリーブ上印刷版は、平面の支持体、つまり印刷版上に少なくとも組成層を含む感光性要素であり、次にこれが円筒形支持体に装着される。印刷版の端部は、スリーブ上に巻き付けた場合に合っても、合わなくてもよい。スリーブ上印刷版は、様々な隔置された位置で複数の印刷版または印刷版の一部がスリーブに装着される実施形態も含む。感光性要素として、両縁部を突き合わせ接合することによって円筒形に形成した基礎支持体上にあることが好ましい少なくとも1つの光重合可能な組成層を有する感光性印刷版も想定される。印刷版の縁部は、溶融融合、テープ留め、縫合、締め付け、ステープル留め、テープ留め、接着および縫製などの任意の方法で接合することができるが、それに制限されない。この実施形態では、基礎支持体が円筒形支持体になる。上述した実施形態のいずれも、円筒形感光性要素または円筒形印刷版と呼ぶことができる。感光性要素は、円筒形支持体と、支持体の内面の反対側で支持体上にあるか、それに隣接する組成層とを含む。円筒形支持体は、軸方向長さ、および内面の周(長)である内周を有する。
【0015】
本発明は、直径ごとに特定の支持シリンダ、つまりドラムを必要とせずに、同じ装置上で異なる直径(つまり内周)を有する円筒形感光性要素を処理する簡単な方法を提供する。これは、装置の工具類の削減、および熱現像プロセスの単純化に大いに有利である。また、直径ごとに特殊なアダプタスリーブを使用する必要はないが、任意選択の事項である。さらに、本発明は、様々な直径を有する円筒形感光性要素から様々な繰り返し長さの円筒形印刷版を準備する簡単かつ経済的な方法を提供する。特定の円筒形感光性要素の繰り返し長さとは、印刷された被印刷物上で像領域が繰り返される前に、印刷された被印刷物上の像領域の開始から終了までの距離である。繰り返し長さは、感光性要素の外面の周、つまり外周(長)とも見なすことができる。
【0016】
感光性要素を熱現像するプロセスは、特許文献8にてPetersonその他によって、および、特許文献9にてJohnsonその他によって開示されている。両方の参考文献は、感光性要素、つまり平面のフレキソ印刷要素を、熱処理のために平面の表面またはドラム上に配置できることを示す。しかし、これらのプロセスとは対照的に、本発明によって熱現像される円筒形感光性要素は、熱現像中に十分に支持されない。円筒形感光性要素は、本発明の装置の第1支持手段および第2支持手段によって部分的に支持されるだけである。本発明の装置およびプロセスの特徴は、円筒形感光性要素が、熱処理中にドラムなどの支持シリンダ上にしっかり固定されず、いわゆる「動き嵌め」モードで処理されることである。動き嵌めモードでは、感光性要素の円筒形支持体の内面が、支持シリンダと十分に接触または支持されず、内面の1つまたは複数の部分のみが、支持手段によって接触するか、支持される。つまり、円筒形支持体の内周面の2つ以上の部分が、支持手段によって接触するか、支持され、したがって感光性要素が帯状に支持手段の周囲に存在する。円筒形支持体は、支持された部分の間に、支持されていない内面の1つまたは複数の部分を有する。熱現像中に円筒形感光性要素の支持が不完全であると、その結果、印刷版および/またはそのレリーフ表面に欠点が生じると当業者には予想されるが、本発明の装置およびプロセスは、驚くことにレリーフ表面の不十分な現像または変形によって引き起こされる欠点がない印刷表面を有するフレキソ印刷版を提供する。動き嵌めモードは、円筒形支持体が可撓性スリーブであり、スリーブ上に連続的な光重合性層を含む感光性要素の熱処理に、特に有用である。
【0017】
図1は、本発明により円筒形感光性要素12から印刷版を形成する装置10の略図である。単純にするために、円筒形支持体、円筒形感光性要素、および円筒形要素を全て、要素12と呼ぶ。本発明の装置10は、感光性要素12を支持する第1手段14、感光性要素を支持する第2手段16、および支持体の反対側で感光性要素12の外面19を処理する手段18を含む。図1は、要素ごとに別個の支持ドラムを必要とせずに、それぞれが異なる直径(つまり異なる内周)を有する2つの円筒形感光性要素12および12aを同じ装置10上で熱処理することを示す。第2支持手段16は、第1円筒形感光性要素12を支持する第1位置20にあり、仮想線で図示された第2支持手段16は、第2円筒形感光性要素12aを支持する第2位置20aにある。第1感光性要素12aの円筒形支持体の内周は、第2感光性要素12の円筒形支持体の内周より小さい。
【0018】
感光性要素を支持する第1手段14は、円筒形支持体12の内面24の第1部分22と接触する。円筒形支持体12の内周の部分22または区画は、第1支持手段14と接触して、要素を支持するか、強化し、軟化、溶融または液化した部分は、処理中に除去されている。第1支持手段14は、円筒形支持体12の内面24の第1部分22と接触する弓形形状を有する外面26を含む。第1支持手段14は制限されず、例えばドラム、ローラ、心棒、および台部材を含むことができる。図示の実施形態では、第1支持手段14は、回転するために装置10の第1副枠(図示せず)上に装着されたローラ28である。ローラ28の一方端は第1副枠に固定され、ローラの他方端は副枠またはビーム部材から係合解除することができ、したがってローラは、円筒形支持体12を装填し、下ろすために、固定した端部から片持ち式に飛び出す。
【0019】
本発明の装置およびプロセスでは、アダプタスリーブなしに、特に薄い可撓性感光性樹脂スリーブの場合に最小繰り返し長さと最大繰り返し長さの間の全ての繰り返し長さを熱現像することができる。しかし、比較的大きい最大繰り返し長さは、第1支持手段14のローラ28上に装着したアダプタスリーブを使用して達成することができる。アダプタスリーブは、現像プロセスを補助するために、ローラに代替表面を提供することができる。アダプタスリーブは、感光性要素のレリーフ形成を補助する弾性または圧縮性表面も提供することができる。1つの実施形態では、ローラ14は、ローラの外面26に空気を供給する半径方向通路を有する空気シャフトである。外面26に供給された空気は、任意選択のアダプタスリーブがローラ28に沿って軸方向に、およびその周囲で回転方向に動作するのを促進する。装置は空気圧システムを含んでよく、これは1つの実施形態では、通常は空気シャフトの端部に接続されて、加圧空気源または発生装置からローラ28の空隙へ、さらに通路を通して外面26へと空気を供給する。外面26に空気を供給する代替実施形態を想定することが、当業者には十分可能である。
【0020】
任意選択のアダプタスリーブは、印刷用スリーブまたは橋形スリーブを印刷用シリンダに装着するのと同じ方法、または同様の方法で空気シャフトに装着される。空気シャフトの外面にある空気は、スリーブがローラの長手方向軸線に沿って滑動し、その周囲で回転できる程度まで、アダプタスリーブを拡張させるクッションを生成する。アダプタスリーブが空気シャフト上の所定の位置に着いたら、空気の供給を止めて、スリーブが収縮し、ローラとの締まり嵌めを有する。アダプタスリーブを熱現像に使用している場合、円筒形感光性要素の内面は、アダプタスリーブの最外面に接触する。アダプタスリーブは、均一の厚さを有さなければならず、任意の特定の構造に制限されない。印刷用シリンダ上で使用するのに適切な任意のスリーブまたは橋形スリーブは、アダプタスリーブとして使用することができる。1つの実施形態では、アダプタスリーブは、10mmから15mm、好ましくは12mmから14mmの全厚さを有する薄い支持スリーブである。別の実施形態では、アダプタスリーブは、その外面に圧縮性材料の層、好ましくは弾性材料、例えはポリウレタン発泡体の層を含む。圧縮性層または弾性層は、好ましくは最大6mm、さらに好ましくは最大3mmの厚さを有する。
【0021】
代替実施形態では、第1支持手段14、つまりローラ28の外面26は、改造するか、1つまたは複数の層を含んで、外面に弾性、粘着性、保護などの追加的な機能を提供することができる。弾性層としての追加層は、天然ゴムおよびエラストマ材料および合成ゴムおよびエラストマ材料、例えばゴム、シリコンゴム、および圧縮性発泡体などの、約30と約75の間のショアA硬度を提供するのに適切な任意の材料で構成することができる。特に好ましいのは、シリコンゴムとゴムである。層の硬度は重要であるが、本発明に不可欠ではない。弾性層によって弾性表面が提供されると、処理手段によって加えられた圧力で表面が撓む結果、ニップ区域が長くなることがある。ゴムの弾性も、ローラと処理手段の間の些細な位置合わせ不良に対応する。弾性層は、ローラの熱伝達特性を改良するために、アルミ粒子のような金属粒子を含むことができる。
【0022】
1つの実施形態では、ローラ28または空気シャフトは、感光性要素12の表面の速度(表面速度)が、感光性要素12と接触した現像媒体30のウェブの速度と同期化するように回転する。円筒形感光性要素12を支持するローラ28、および現像媒体30を送出する加熱されたロール32は、感光性要素の表面に高い剪断または滑動状態を誘発しないために、モータ(図示せず)によって独自に駆動される。加熱されるロール32が駆動されない代替構成も可能である。現像媒体30は、装置を通して(巻いてない状態から、加熱されたロール上を通過して巻き付けた状態まで)引っ張られる。現像媒体30のウェブの速度は、伝達ニップ点を過ぎる駆動ローラによって調整され、ニップに入るウェブの張力は、伝達ニップ点の上流で制動されたローラによって制御される。台部材のように回転しない第1支持手段14の代替実施形態では、感光性要素12の表面速度を現像媒体30のウェブの速度と同期させる同等の手段を含むことが、当技術分野の技術に入る。
【0023】
円筒形感光性要素を支持する第2手段16は、円筒形支持体12の内面24の第2部分33と接触する。第2部分33は、内面24の第1部分22とは異なる。円筒形支持体12の内周の部分33または区画は、第2支持手段と接触して、処理中に要素を支持するか、これに張力を与える。第2支持手段16は、円筒形支持体12の内面24の第2部分33と接触する弓形を有する外面36を含む。
【0024】
第2支持手段16は制限されず、例えばドラム、ローラ、心棒および台部材を含むことができる。第2支持手段16は、装置の第1副枠(図示せず)上の可動台アセンブリ40に装着される。1つの実施形態では、第2支持手段16は、可動台アセンブリ40上で回転するために装着されたローラである。図示の実施形態では、第2支持手段16は、弓形外面36を提供する弓形断面を有する台部材42である。円筒形感光性要素が熱現像のために所定の位置にある場合、円筒形支持体12の内面24の第2部分33が、台部材42の弓形表面36と接触する。
【0025】
台部材42は、単体で、図示のように円弧に固定された曲率を有してよい。この実施形態は、台部材42の弓形形状に容易に一致することができる可撓性円筒形支持体12に特に適している。あるいは、台部材42は、少なくとも2つの部分に分割することができる。分割した部分は、例えば可撓性帯によって相互に可撓状態で結合し、台部材42が円弧の曲率を変化させることができる。分割した台部材42は、「剛性」円筒形支持体を含む感光性要素の熱現像に特に有用である。分割した台部材42は、円筒形支持体の内面にさらによく一致し、台部材の外面と円筒形支持体との接触を増加させ、したがって円筒形支持体の位置制御を容易にすることができる。剛性円筒形支持体は、台部材の固定した曲率に合わせて十分に屈曲したり一致したりしない任意の支持体である。剛性円筒形支持体は、例えばその壁厚、直径、および構造の材料など、異なる弓形に一致する能力を阻止するか、低下させる1つまたは複数の要素を有してよい。例えば、ガラス繊維強化樹脂で形成されるか、600ミクロンのオーダの壁厚を有する、あるいはその両方である円筒形支持体は、本発明の装置の作動位置にある場合に、台部材(およびローラ)の弓形に一致しないほど十分に剛性であり得る。分割した台部材、つまり可撓性帯の1つまたは複数の区画は、温度制御用流体が通り抜けるための空隙を有してよい。
【0026】
第2支持手段16の外面36には、その全体または一部に、TEFLON(登録商標)フルオロポリマなどの摩擦を軽減する材料を設ける。円筒形支持体12の内面24が第2支持手段16の外面36に接触すると、熱現像中に円筒形要素の回転を防止するか、禁止するような摩擦を引き起こすことがある。摩擦軽減材料(つまり非付着性材料)によって、円筒形支持体12は熱現像中に第2支持手段16の外面を容易に通り抜けることができる。
【0027】
円筒形支持体12の内面24は、第2支持手段16の外面36の少なくとも一部と接触し、好ましくは内面が第2支持手段の外面全体と接触する。内面24と外面36との接触は、熱現像中に円筒形要素12の温度を管理し、円筒形支持体の動作を制御するのに役立つほど十分でなければならない。例えば熱現像中に、円筒形支持体の温度を組成層の温度より低く維持して、円筒形支持体の歪みを最小限に抑えるか、防止すると有利である。歪みは、円筒形支持体の収縮特徴と、組成層がプロセス中の熱現像のために上昇すべき温度との間に不一致があった場合に生じ得る。組成層の現像温度で高い収縮率(または低い寸法安定性)を有する支持体は、加熱プロセス中に組成層の現像温度より非常に低い温度に維持しなければならない。感光性要素の温度が、現像に必要な温度を超えて上昇しないように、その温度を維持することも有利である。円筒形支持体12と第2支持手段16との接触は、特に第2支持手段が冷却手段を含む場合に、感光性要素内に残っている熱を効果的に除去し、要素を所望の現像温度に維持するのに役立つ。さらに、第1支持手段14、つまりローラ28および/または第2支持手段16、つまり台部材42に沿った円筒形要素の横方向の動作を引き起こす任意の力を解消するか、減少させるために、円筒形支持体12の内面24と第2支持手段16の外面36との間に十分な接触を維持することが望ましい。
【0028】
本発明の装置は、熱現像可能である感光性要素12の内面24の最小および最大周(長)を決定する。要素の内周の最小サイズは、ローラの周囲など、第1支持手段の外周の長さから決定される。要素の内周の最大サイズは、第2支持手段の外面の最外位置から、第2支持手段から最も外側の第1支持手段の外面までの総距離によって決定される。
【0029】
図示の実施形態では、装置10は、第2支持手段16を移動させる手段45を含む。移動手段45は、感光性要素12を装置10に装填し、そこから下ろし、円筒形支持体を熱現像のために張力がかかった状態で支持するための位置へと第2支持手段16に移動する。移動手段45は、第1支持手段14と第2支持手段16の間で円筒形支持体12に張力を加える手段と見なすこともできる。熱現像するために、移動手段45は第2支持手段16を位置決めして、円筒形支持体12を非円筒形へと拡張させ、第1支持手段14と第2支持手段16の間の相対的張力で、円筒形感光性要素を張りつめた状態で保持する。
【0030】
移動手段45は、少なくともアーム47および起動装置48を備える移動アセンブリを含む。アーム47は、第2支持手段16の各軸方向端部、つまり図1の台部材42に結合する。台部材42の一方の軸方向端部は、ねじまたは止めピンなどの着脱式締結具で第1アーム47の一方端に取り外し可能な状態で結合される。台部材42の反対側の軸方向端部(図示せず)は、第2アームの一方端部に取り付けられる。円筒形支持体12を装填し、下ろすために、締結具49および旋回部を台部材から外すことによって、第1アーム47を台部材42から結合解除する。円筒形支持体12を装置10に装着するか、そこから取り外す間、台部材42は、第2アームの取り付けた端部から片持ち式に飛び出している。第1アーム47と第2アームの両方で、第2支持手段16に結合した端部とは反対側のアーム47の端部50は、可動台アセンブリ40の可動台52に旋回自在に接続される。アーム47は、アームが、台部材42の周囲で旋回して、それを位置決めし、様々な直径の様々な感光性要素12に対応できるように装着される。2つの端部の間で、第1アーム47は起動装置48の端部に結合される。同様に、第2アームは第2起動装置の端部に結合される。起動装置48は連携して作動し、第2支持手段16を動作させる。第2支持手段16の移動手段45の代替実施形態を提供することは当業者の技術の範囲内であるが、本明細書に記載された実施形態は、円筒形支持体12を装着し、取り外すために第2支持手段の軸方向全長へと容易なアクセスを提供する。
【0031】
図1では、アーム47が2つの位置で図示されている。大きい直径(または内周)を有する第1感光性要素に、第1支持手段14と第2支持手段16の間で張力を加える1つの位置20と、小さい方の直径の第2感光性要素12aに、第1支持手段14と第2支持手段16の間で張力を加える第2位置20a(仮想線で図示)である。
【0032】
アーム47とは反対側の起動装置48の端部は、可動台52の端部に結合される。起動装置48は制限されず、空気圧または液圧シリンダのような直線アクチュエータ、またはステッパ電動機を含むことができる。起動装置48は、円筒形感光性要素12を第1および第2支持手段に装填する(またはそこから下ろす)ことができるように、アーム47を動作させて、第2支持手段16を第1支持手段14に十分に近づけて位置決めする。第2支持手段16は、円筒形支持体12の内周24が、円筒形支持体と接触する第1支持手段14の外面26の長さ(円弧)と、円筒形支持体と接触する第2支持手段16の外面36の長さ(円弧)と、第1支持手段と第2支持手段14、16の間に介在する任意のギャップの全長との合計より大きい場合、十分に近づく。装填する位置および下ろす位置で、円筒形支持体12は第1および第2支持手段14、16を囲み、場合によっては円筒形支持体の内面24の一部が、第2支持手段16の外面36と接触する。円筒形感光性要素12は、円筒形感光性要素が第1支持手段と第2支持手段の間で比較的張りつめた状態にて保持されるように、起動装置48がアーム47および第2支持手段16を第1支持手段14から離すと、熱現像の準備が整う。円筒形支持体12の内面24の第1部分22が、第1支持手段14の外面26の少なくとも一部と接触し、第1部分22とは異なる円筒形支持体の内面24の第2部分33が、第2支持手段16の外面36の少なくとも一部と接触する。円筒形支持体12の内面24の第1部分22および第2部分33は相互に対向するか、ほぼ対向している。円筒形支持体12は、第1支持手段と第2支持手段14、16の間で比較的張りつめた状態にて保持される。円筒形支持体の内面24が、第1および第2支持手段14、16と接触していない第1部分と第2部分22、23の間に支持されていない部分55を有し、したがって要素が装置10上で動き嵌めモードにあるからである。1つまたは複数の起動シリンダ48内の圧力は、熱現像中に制御して、要素にかかる機械的応力を最小限に抑えて、要素の熱膨張をなくしながら、第2支持手段16が円筒形支持体12内で一定の、またはほぼ一定の張力を維持することを保証することができる。円筒形支持体12にかかる張力を維持すると、第1支持手段14、つまりローラ28の長手方向軸線に沿った円筒形支持体の横断(横方向)動作を回避するのに役立つ。起動装置48内の圧力は、円筒形支持体12の内面24と第2支持手段16の外面36との接触を維持するが、熱現像に伴う高温で円筒形支持体または要素を歪めるほど高くないように設定する。例えば、3インチ(7.62cm)の直径を有する空気シリンダの圧力は、1バールと2バールの間である。熱現像中に、第1部分22および第2部分33は、ある時間から次の時間では内面24の異なる部分でよいことが理解されるべきである。円筒形支持体12が、第1および第2支持手段14、16の周囲で回転するからである。
【0033】
可動台アセンブリ40は、装置10の第1副枠に固定され、可動台52およびアクチュエータまたは起動機構56を含む。可動台52は、アクチュエータまたは起動機構56上へと動作するように装着された直立ビームである。第2支持手段16および移動手段45が可動台アセンブリ40に装着される。図1には図示されていないが、第1支持手段14も可動台アセンブリ40に装着される。アクチュエータまたは起動機構56は、矢印58にしたがって可動台ビーム52を垂直またはほぼ垂直に動作させ、第1支持手段14および第2支持手段16を搬送して、熱現像のために円筒形感光性要素12を処理手段18に隣接して位置決めし、要素を装填し、下ろすために要素を処理手段から離して位置決めする。1つの実施形態では、可動台アセンブリ40は、感光性要素12を処理手段18へと、特に現像媒体30へと送出する手段60である。可動台ビーム52の各側では、起動装置48とは反対側の端部を、電動機(図示せず)で駆動されたスピンドル62上に装着し、スピンドルを回転して、それによって可動台ビームを上下させる。
【0034】
装置10が第1支持手段14を動作させる手段を含む代替実施形態も想定される。1つの実施形態では、第1支持手段14を移動する手段を単独で使用することができる。つまり、移動する手段が第1支持手段を位置決めして、円筒形支持体12を装填して、下ろし、第2支持手段16を移動させる手段45に関して上述したように、円筒形感光性要素に張力を加えることができる。第2支持手段16は、これらの作動中に静止状態のままである。代替実施形態では、第1および第2支持手段の位置決めをさらに迅速にするために、第1支持手段14を移動させる手段を、第2支持手段16を移動させる手段45と組み合わせて使用することができる。第1支持手段14を移動させる手段は、上述したのと同様に可動台アセンブリ40に装着することができる。円筒形支持体を装填して、下ろし、円筒形感光性要素に張力を加えるために、第1支持手段14、第2支持手段16、または第1および第2支持手段の両方を移動させる代替手段を想定することも、十分に当業者の技術の範囲内である。
【0035】
装置10は、第1支持手段14の温度(図示せず)および/または第2支持手段16の温度を変更する少なくとも1つの手段を含んでよい。特に、変更手段は、第1支持手段14の外面26の温度および/または第2支持手段16の外面36の温度を変化させる。熱現像は、円筒形感光性要素12を現像温度、または組成層の未硬化部分が液化、つまり溶融または軟化または流れるのに適切な温度範囲まで加熱する。円筒形感光性要素12を所望の現像温度または温度範囲に確立かつ/または維持するために、第1および第2支持手段14、16それぞれの温度を変更することが必要なこともある。感光性要素を構成する材料の熱慣性、所望の現像温度または温度範囲、形成レリーフ構造、熱現像サイクルなどの様々な要素に応じて、所望の特徴を獲得するために円筒形要素を加熱または冷却する必要があることもある。温度を変更する手段64は、加熱手段、冷却手段、または加熱および冷却手段を含んでよい。第1支持手段14および第2支持手段16はそれぞれ、構造の内部で、好ましくは外面26、36を形成する壁に隣接して空隙を含んでよく、ここに温度を変更する手段64が配置される。加熱手段は、周囲環境とは独立して安定した開始温度に円筒形感光性要素12を維持するか、熱現像の準備で要素を予熱するために設けることができる。加熱装置または電気毛布のような任意の加熱手段は、加熱装置の電力容量が外面の温度を非常に一定に維持するのに十分である限り許容可能である。冷却手段は、感光性要素12を熱現像中に比較的安定した温度に維持するために設けることができる。冷却手段は制限されず、空隙を通る水または油のような強制循環流体を含むことができる。空気のように好ましくない冷却気体を使用することができるが、システムを冷却し、そこから熱を除去する能力は制限される。1つの実施形態では、水は、空隙を通して特に効果的に循環し、加熱および/または冷却を遂行する。好ましい実施形態では、冷水を、台部材42の空隙66およびローラの空隙に通して循環させ、熱現像中に円筒形感光性要素の温度を維持するか、円筒形支持体を十分に冷却して、支持体の熱歪みを軽減するか、解消する、あるいはその両方を実行する。第1支持手段14および/または第2支持手段16を加熱することは有用であり、おそらくは状況によって必要なことさえあるが、好ましい実施形態は、少なくとも第2支持手段を冷却する。装置10は、第1および第2支持手段14、16の温度を制御する手段として、流体を冷却または加熱する熱電対のような温度制御システムを含んでよい。
【0036】
本発明の装置10はさらに、組成層の未硬化部分が液化、つまり溶融または軟化または流れるのに適切な現像温度まで加熱することによって、感光性要素12の外面19を処理する手段18を含む。未硬化部分は、特許文献10に記載されたように圧力で、特許文献11に記載されたように真空で、並びに、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8および特許文献12に記載されたように吸収性材料との接触によって、空気または液体の流れを含む任意の手段で組成層の硬化部分から除去することができる。
【0037】
1つの実施形態では、現像媒体30を支持体とは反対側の感光性要素12の外面19に接触させる手段68が、感光性要素を現像媒体に送出する手段によって達成することができる。この実施形態では、送出手段は可動台アセンブリ40である。代替実施形態では、接触手段68が、現像媒体30を感光性要素12に供給する手段70によって達成することができる。さらに別の実施形態では、供給手段と送出手段との両方によって、感光性要素12と現像媒体30を接触させることができる。
【0038】
1つの実施形態では、現像媒体30を供給する手段70は、媒体を感光性要素の外面へと搬送するロール32である。ロール32は、装置10の第2副枠(図示せず)内で回転するように装着され、第1支持手段14に隣接して配置される。1つの実施形態では、ロール32は第1支持手段14および送出手段に対して移動しない。つまり、可動台アセンブリ40が、第1支持手段14を現像媒体30に向かって移動させる。代替実施形態では、現像媒体30を供給する手段70が、例えば1つまたは複数のアクチュエータに駆動されてロールを移動するビームに取り付けられたアームにロール32を装着することによって達成することができる。現像媒体30を供給するためにロール32を移動する代替手段が、十分に当業者の技術の範囲内である。1つまたは複数のアクチュエータとして使用するのに適切なのは、空気シリンダ、またはステッパ電動機、またはサーボ電動機である。現像媒体30と感光性要素12の外面19を接触手段によって接触させると、ロール32とローラ28の間にニップ74が形成される。
【0039】
図1では、現像媒体30を供給する手段70は、現像媒体の連続ウェブを感光性要素12に供給する加熱されたロール32またはホットロールである。ホットロール32は、組成層の外面19の温度を維持するか、さらに上昇させる。したがって、ホットロール32は感光性要素12を加熱する手段、さらに現像媒体30を支持する手段としても機能する。現像媒体30の連続ウェブがホットロール32上を通過するにつれ、要素12の温度が、組成層の溶融温度を超える温度まで急速に上昇する。好ましい実施形態では、カートリッジ加熱装置のような芯加熱装置によってホットロール32に熱を提供する。芯加熱装置は、ホットロール32の外面の外皮温度を維持して、ウェブを通る組成層の部分を溶融させるのに十分なエネルギを提供する寸法および電力を有するように選択される。通常、外皮温度は、約120℃と200℃の間であり、好ましくは140℃と170℃の間である。ホットロール32を加熱するために想定された代替実施形態は、ウェブを通る組成層の部分を溶融するために十分な外皮温度を提供するために、流れ、油、暖気、および様々な他の加熱源を使用することを含む。ホットロール32は、エラストマ材料の層で被覆した外面を有する金属であることが好ましい。ホットロール32は、クラウニングする、つまり側縁から中心へとロールの直径が増加するか、直線のロールでよい。ホットロール32が直線のロールである場合、ホットロールは、その裏側、つまりニップと反対側の側にて1つまたは複数の耐熱性ローラで支持されてもよく、特に圧迫されて感光性要素と接触する場合に、ニップに沿った直線ロールに起こり得る偏向を相殺することができる。
【0040】
1つの実施形態では、ホットロール32は、その外面76と、ホットロールと接触する連続ウェブ30との摩擦によって駆動される。代替実施形態では、ホットロール32およびローラ28はそれぞれ、ローラ上の感光性要素の外面の直線速度と、ホットロールの外面上で移送するウェブの直線速度とを同期するために、サーボ電動機で別個に駆動される。この実施形態では、ホットロール、ウェブ、および感光性要素の直線速度は、要素にかかる剪断応力を回避するか、最小限に抑えるために、ほぼ同じである。このような応力は、不均一なレリーフ深さおよび歪んだ像を引き起こし、これは望ましくない。
【0041】
現像媒体30の連続ウェブが、供給ロールから解かれて、ホットロール32上で案内され、巻き取りロールに巻き取られる。装置10は、プロセッサを通して必要に応じて連続ウェブ30を移送、案内、アンドリングおよび/または張力付与するために、1つまたは複数の追加ロールを含んでよい。現像媒体30のウェブは、プロセッサに通してこれを移送するために、張力制御、速度制御、またはその組み合わせを実行してよい。1つの実施形態では、現像媒体30に張力を適用する手段(図示せず)は、ウェブの滑りを防止する研磨性外面を有する駆動ロール、および一定またはほぼ一定の張力をウェブに提供するように、一定のトルクを駆動ロールに提供するトルク電動機を含む。ウェブを要素から外すために必要な張力は、任意の感光性要素を除去する各サイクルまたはその後のサイクルとともに変化することがある。したがって、トルク電動機の制御装置(図示せず)は、ウェブの張力が相応して変化するようにトルクを調節することができる。代替実施形態では、処理装置は、ローラ28上の要素12の外面19の直線速度と同期した直線速度で、処理装置を通してウェブ30を引っ張る電動機を含む。代替実施形態を想定し、処理装置を通るウェブの移送を所望通りに制御するために必要な構成要素を含むことは、十分に当業者の技術の範囲内である。供給ロール、巻き取りロール、および1つまたは複数の追加ロールを、回転のために処理装置の枠または第2副枠に装着することができる。第2副枠は、保守のために必要な場合に、処理装置の枠から巻き出すことができるように動作可能にすることができる。
【0042】
本発明の装置10は、組成層の液化した材料のうち少なくとも一部が現像媒体に吸収されるのに十分な圧力で、円筒形感光性要素12と現像倍外30とを接触させる圧力手段も含む。ホットロール32が第1支持手段14に隣接している場合は、要素とホットロールの間に現像媒体30がある状態で、感光性要素12とホットロール32の間にニップ74が形成される。ニップ74は、ウェブを搬送するホットロール32が、ローラ28によって支持された感光性要素12の外面19と接触する位置である。処理中に、ニップ74にて要素12の幅にわたって均一の、またはほぼ均一の圧力を適用することが望ましい。この均一な圧力は、ニップ全体の像が均一であると仮定し、像要素がニップを通過するにつれて、適用される圧力が局所的に変動することが、当業者には認識される。圧力を適用して、吸収性ウェブを感光性要素と強制的に密接に接触させる。ニップ区域の1平方センチメートル当たり約0.70キログラムと1平方センチメートル当たり約24キログラムの間、好ましくは1平方センチメートル当たり約2キログラムと1平方センチメートル当たり約12キログラムの間の圧力が、複合感光性要素を歪めずに要素表面から吸収性ウェブへの吸収を強化するのに十分である。
【0043】
2005年7月29日出願の仮ではない(non-provisional)米国特許出願第11/193224号明細書(代理人整理番号IM−1323)で支持手段として記載されたような現像媒体30を支持する手段70の代替実施形態も想定される。供給手段70は、支持部材が、感光性要素12の外面19と接触した現像媒体30を支持する非回転表面を有する実施形態を含むことができる。支持部材の非回転表面は、費用を削減し、装置の製造、操作、および保守、さらに装置を使用する方法を単純化するので、利点を有する。支持部材は、制限されない断面形状を有し、例えば楕円形、凸状表面と凹状表面を含む弓形、放物形、円形、半円形、楔形、三角形、長方形、および他の多角形などを含むことができる。支持部材の形状は対称または非対称でよい。支持部材は、中実であるか、支持部材を加熱する熱源を収容するか、加熱した流体を循環させるための空隙(図示せず)を含むことができる。支持部材は、温度変化に対する応答をさらに急速にするか、望ましくない位置での熱損を最小限に抑えるように、重量を最低限に抑えるか、熱質量を最低限に抑える、あるいはその両方のために空隙を有することもできる。支持部材を構築する1つまたは複数の材料は制限されず、薄板金、鋳造金属、機械加工した金属、合金、ポリマ複合材料、熱可塑性材料、熱硬化性材料、およびその組み合わせを含むが、それに制限されない。支持部材に選択された材料は、熱処理に関連する温度で熱歪みに耐性があり、プロセスの操作力で変位、つまり屈曲および捩りに抗することができねばならない。
【0044】
相対的運動を提供する手段は、熱現像が生じるために、第1支持手段14、第2支持手段16、および処理手段18のうちいずれか1つまたはその組み合わせを、相互に近づけるか、離す、あるいはその両方によって達成することができる。第1および第2支持手段14、16は、相互から独立して動作可能であることが好ましい。可動台アセンブリ40、第2支持手段16を移動する手段45、および感光性要素12と現像媒体30を接触させる手段68(感光性要素を送出する手段、および現像媒体を供給する手段も含むことができる)が、相対的運動を提供する手段と見なすことができる。感光性要素と現像媒体の間に相対的動作を提供する代替手段が、Petersonその他の特許文献8および特許文献9に記載されている。
【0045】
さらに、本発明の装置10は、感光性要素12の外面19を、層の少なくとも一部を液化させるのに十分な温度まで加熱する少なくとも1つの追加的加熱手段を含んでもよい。追加的加熱手段(図示せず)は、未硬化部分を除去する手段の前に、支持体とは反対側の感光性要素12の外面19(通常は組成層)に熱を適用する。1つの実施形態では、追加的加熱手段は、現像媒体30が感光性要素12に接触する接触手段68と隣接する。追加的加熱手段として赤外線加熱装置を使用できることが好ましい。
【0046】
温度センサを処理装置全体に装着して、第1支持手段、第2支持手段、処理手段、および放射加熱器の加熱および/または冷却要素の温度を制御する目的で、温度を監視することができる。
【0047】
第1支持手段14および第2支持手段16は、装置10の第1副枠上にある。少なくともホットロール32を含む処理手段18は、装置10の第2副枠上にある。各副枠は、装置内の着脱式モジュールであり、したがって装置の基本的要素を迅速に交換し、装置の汎用性を向上させることができる。各モジュールは、モジュールが保守または改良を必要とする状況のために、同じ基本的要素を担持するバックアップモジュールと交換するか、異なるタイプの円筒形要素を処理するために、基本的要素を担持する代替モジュールと交換することができる。
【0048】
円筒形感光性要素を熱現像するプロセスの操作について、図1で示した実施形態に関して説明する。プロセスは、始めに、第1支持手段14(ローラ28)および第2支持手段16(弓形台部材42)の周囲に、像面を露光してある感光性要素12を配置する。円筒形支持体12の内周が、台部材およびローラの周囲に嵌合できるように、台部材42を移動する手段45を起動して、台部材をローラ28に十分に近づける。着脱式締結具49を外すことによって、台部材42の一方の軸方向端部をアーム47から結合解除する。アーム47が離れ、台部材42が反対側の端部から片持ち式に飛び出す。同様に、台部材42の結合解除した端部と同じローラ28の端部が、副枠から結合解除され、ローラを反対側の端部から片持ち式に飛び出させる。任意選択のアダプタスリーブを使用すべき場合は、ローラへの空気をオンに切り換え、アダプタスリーブをローラ上で滑動させ、空気をオフに切り換える。円筒形支持体12が、台部材42およびローラ28上を軸方向に滑動する。副枠から延在するローラ28の端部支持体を、再度取り付ける。アーム47を台部材42との結合位置に復帰させ、締結具49を固定する。移動手段45のアクチュエータ48は、台部材とローラの間で円筒形支持体12に張力が加えられるまで、アーム47および台部材42をローラ28から離す。張力を加えた位置で、円筒形支持体12が拡張し、比較的張りつめた状態で保持され、台部材42の外面36、および台部材とは反対側のローラ28の外面26と接触する。感光性要素12が、本発明の装置10の熱現像位置にある場合、円筒形支持体19の内面24の第1部分22は、第1支持手段14の外面22の少なくとも一部と接触し、円筒形支持体12の内面24の第2部分33が、第2支持手段16の弓形表面のような外面36の少なくとも一部と接触する。また、円筒形支持体12は、第1部分22と第2部分33の間に、支持されていない、つまり支持手段14、16の一方と接触していない内面24の1つまたは複数の部分55を有する。第1および第2支持手段14、16のうち1つまたは複数の温度を変更する手段64をオンに切り換えて、水が台部材42の空隙66を通って移動するか、ローラ28が円筒形支持体12を加熱(予熱)する、あるいはその両方が可能であるようにする。追加的加熱手段、放射加熱装置(図示せず)もオンに切り換えて、円筒形感光性要素12の外面19を加熱(予熱)することができる。放射加熱装置は、要素が加熱装置に近くなる前に電球を予熱し、動作設定に切り換えて、要素上の組成層を溶融するために所望の温度を達成することができる。ホットロール32内の加熱装置をオンに切り換えて、ホットロールの外面76を所望の現像温度まで暖める。ローラ28とホットロール32の両方のサーボ電動機を、オンに切り換える。円筒形感光性要素12は、台部材42およびローラ28の周囲で回転し始め、連続ウェブ30が、ニップ74を通して移動し始め、感光性要素12と同じ、またはほぼ同じ直線速度でホットロール32とともに回転する。可動台アセンブリ40の電動機をオンに切り換えて、可動台52を動作させ、要素12の外面19を位置決めして、ホットローラ32上に存在する現像媒体30と圧縮接触させる。感光性要素の組成層を、現像媒体30と接触させながら、40℃と230℃(104°Fと394°F)の間に加熱する。現像媒体30が、加熱した感光性要素12の組成層の外面19と接触し、組成層の未照射(未硬化)部分から弾性重合体の液化部分を吸収して、レリーフパターンまたは表面を形成するために部分が除去されているフレキソ印刷版を形成する。現像媒体30と、未硬化領域で溶解している組成層との多少密接な接触を維持することによって、光重合性層から現像媒体30へと未硬化感光性材料が移動する。光重合性層への現像媒体30の密接な接触は、層と現像媒体を相互に押しつけることによって維持することができる。現像媒体30は、ニップ区域74を通り過ぎた直後に除去することができる。任意選択で、まだ加熱した状態で、ウェブ30が要素12に接触した位置から離れた位置にある状態で、現像媒体は、剥離縁(図示せず)を通り過ぎることができ、これによってウェブは要素とともに移動する方向からほぼ反対方向へと方向転換し、それによって現像媒体を要素の外面から外すことができる。円筒形感光性要素12は、熱現像中に台部材42およびローラ28の周囲で連続的に回転し、要素の加熱、ウェブ30と要素の接触、および要素からのウェブの取り外しを連続的に循環する。温度64を変更する手段は、台部材42および/またはローラ28を通して冷却水を送り、感光性要素12の温度を一定に維持することができる。放射加熱装置を冷却するか、オフに切り換える。組成層を加熱するステップ、溶融(部分)層を現像媒体と接触させるステップ、および現像媒体を外すステップのサイクルを、未硬化材料を組成層から十分に除去し、十分なレリーフ深さを生成するために必要な回数だけ、繰り返すことができる。しかし、適切なシステム性能のためにはサイクル数を最小限に抑えることが望ましく、通常、光重合性要素は5サイクルから15サイクル熱処理される。
【0049】
[感光性要素]
本発明のプロセスの第1ステップは、感光性要素を提供することである。感光性要素は、熱現像で部分的に液化可能である少なくとも1つの組成層を備える。つまり、熱現像中に、未硬化組成は、妥当な処理温度または現像温度で軟化または溶解または流れるが、通常の保管中は低温流れ、つまり寸法変化があってはならない。感光性要素は、フレキソ印刷版として使用するのに適切なエラストマ印刷要素であることが好ましい。組成層は、感光性層であることが好ましく、エラストマ配合物の光重合性層であることが最も好ましく、感光性層は、化学線で選択的に硬化することができる。本明細書では、「光重合性」という用語は、光重合可能、光架橋可能、またはその両方であるシステムを含むものとする。本明細書を通して、化学線は、紫外線および/または可視光線を含む。
【0050】
エラストマ配合物の好ましい例は、少なくとも1つの熱可塑性エラストマブロック共重合体、少なくとも1つの単量体、および少なくとも1つの光開始剤または光開始剤システムを備える。熱可塑性エラストマブロック共重合体は、A−B−Aタイプのブロック共重合体であり、ここでAは非エラストマブロック、好ましくはビニル重合体および最も好ましくはポリスチレンを表し、Bはエラストマブロック、好ましくはポリブタジエンまたはポリイソプレンを表す。このタイプの適切な熱可塑性エラストマ結合剤は、ポリ(スチレン/イソプレン/スチレン)ブロック共重合体およびポリ(スチレン/ブタジエン/スチレン)ブロック共重合体を含み、これが好ましい。ポリ(スチレン/イソプレン/スチレン)ブロック共重合体とポリ(スチレン/ブタジエン/スチレン)ブロック共重合体との混合物も、使用に適している。非エラストマとエラストマとの比率は、10:90から35:65の範囲であることが好ましい。熱可塑性エラストマ結合剤は、Dudekその他が特許文献13にて記載したように、少なくとも2つのポリ(スチレン/イソプレン/スチレン)ブロック共重合体の混合物であることが、最も好ましい。結合剤が、感光性層の重量の少なくとも60%の量で存在することが好ましい。
【0051】
使用してよい他の適切な感光性エラストマは、ポリウレタンエラストマを含む。適切なポリウレタンエラストマの例は、(i)有機ジイソシアナート、(ii)イソシアナート基と重合可能であり、1分子につき少なくとも1つのエチレン不飽和付加重合性基を有する少なくとも2つの自由水素基を有する少なくとも1つの連鎖延長剤、および(iii)最小分子量が500で、イソシアナート基と重合可能な基を含む少なくとも2つの自由水素がある有機ポリオールの反応生成物である。これらの材料の幾つかに関する説明は、特許文献5を参照されたい。
【0052】
光重合可能な組成は、透明で曇っていない感光性層が生成される程度まで、結合剤と適合性である付加重合可能な少なくとも1つの化合物を含む。付加重合可能な少なくとも1つの化合物は、単量体と呼んでもよく、単一の単量体または単量体の混合物でよい。光重合性組成に使用可能な単量体は、当技術分野でよく知られ、少なくとも1つの末端エチレン基がある付加重合エチレン不飽和化合物を含むが、それに制限されない。一般的に、単量体は比較的低い分子量(約30,000未満)を有する。単量体は、約5000未満の比較的低い分子量を有することが好ましい。適切な単量体の例は、t−ブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、アルカノールのようなポリオールとアルコールのアクリレートおよびメタクリレートモノエステルおよびポリエステル、例えばヘキサンジオールジアクリレートおよびヘキサンジオールジメタクリレート、さらにアルキレングリコール、例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、およびジエチレングリコールジアクリレート、さらにトリメチロールプロパン、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、さらにエトキシ化トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、ポリアクリロールオリゴマー、などを含むが、それに制限されない。ポリアクリロールオリゴマーを使用する場合、オリゴマーは1000より大きい分子量を有することが好ましい。単官能性および多官能性アクリレートまたはメタクリレートの混合物を使用することができる。適切な単量体の他の例は、イソシアナートのアクリレートおよびメタクリレート誘導体、エステル、エポキシドなどを含む。単量体は、光重合性組成にエラストマ特性を提供するために、当業者が適切に選択することができる。エラストマ単量体の例は、アクリレート化した液体ポリイソプレン、アクリレート化した液体ブタジエン、ビニル含有率が高い液体ポリイソプレン、およびビニル含有率が高い液体ポリブタジエン(つまり1−2ビニル基の含有率が重量で20%を超える)を含むが、それに制限されない。単量体のさらなる例は、Chenの特許文献14、Frydその他の特許文献15、Frydその他の特許文献16、およびFeinbergその他の特許文献17に見られる。付加重合可能な化合物(単量体)は、エラストマ配合体の重量の少なくとも5%、好ましくは10%から20%の量で存在する。
【0053】
光開始剤は、化学線に対する感受性があり、過度の停止反応がない状態で1つまたは複数の単量体の重合を開始する遊離基を生成する単体の化合物または化合物の組み合わせでよい。知られているクラスの光開始剤のいずれか、特に遊離基光開始剤、例えばキノン、ベンゾフェノン、ベンゾインエーテル、アリルケトン、過酸化物、バイイミダゾール(biimidazoles)、ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシルアルキルフェニルアセトフォン(acetophone)、ジアルキルアセトフェノン、トリメチルベンゾイルホスフィン(trimethylbenzoyl phosphine)酸化物誘導体、アミノケトン、ベンゾイルシクロヘキサノール、メチルチオフェニルモルホリノケトン、モルフォリノフェニルアミノケトン、アルファハロゲンアセトフェノン、オキシスルホニルケトン、スルホニルケトン、オキシスルホニルケトン、ベンゾイルオキシム(oxime)エステル、チオキサントン(thioxanthones)、カンフルキノン、ケトクマリン、ミヒラーケトンを使用してよい。あるいは、光開始剤は化合物の混合物でよく、その1つは、放射線によって活性化した増感剤によって促されると、遊離器を提供する。開始剤は、可視放射線または紫外線に対して感受性があることが好ましい。光開始剤は一般的に、重量に基づいて光重合性組成の0.001%から10.0%の量だけ存在する。
【0054】
任意選択で、光重合性層は、分光増感剤を含むことができる。概して、分光増感剤は、反応開始組成、つまり光開始剤とは異なる波長で放射線を吸収する材料であり、吸収したエネルギを光開始剤に伝達することができる。したがって、活性化放射線の波長を調節することができる。
【0055】
光重合性層は、所望の最終的特性に応じて他の添加物を含むことができる。光重合性層の追加の添加物は、増感剤、可塑剤、流動学的変性剤、熱重合開始剤、着色剤、加工助剤、酸化防止剤、オゾン分解防止剤、紫外線吸収剤および充填剤を含む。加工助剤は、低い分子量のアルファメチルスチレンポリマまたは共重合体のようなエラストマブロック共重合体と適合性の低分子量重合体のようなものでよい。オゾン分解防止剤は、炭化水素、ワックス、ノルボルナン、および植物油を含む。適切な酸化防止剤はアルキル化フェノール、アルキル化ビスフェノール、重合化トリメチルジヒドロキノン、およびジラウリルチオプロピノエートを含む。
【0056】
可塑剤は、エラストマの薄膜形成特性を調節するために使用される。適切な可塑剤の例は、ナフテン系オイルおよびパラフィン系オイルのような脂肪族炭化水素オイル、液体ポリブタジエンのような液体ポリジエン、および液体ポリイソプレンを含む。一般的に、可塑剤は、約5000未満の分子量を有する液体であるが、約30,000までの分子量を有してよい。低い分子量を有する可塑剤は、約30,000未満の分子量を含む。
【0057】
特定の流動学的特性を有する光重合性層を含む特に好ましい感光性要素が、国際公開第01/88615A1号パンフレットでMengelその他によって開示されている。
【0058】
水、半水性、または有機溶剤現像剤(いわゆる湿式現像)中での可溶性、膨張性、または分散性を有する光重合性組成から形成するフレキソ印刷版は、光重合性組成も、熱現像すると液化可能になり、レリーフ表面を形成する程度まで、本発明で使用するのに適切である。溶剤現像に適切な組成の例が、例えばChenその他の特許文献1、Gruetzmacherその他の特許文献18およびFeinbergその他の特許文献19で開示されている。
【0059】
光重合性層の厚さは、所望の印刷版のタイプに応じて広範囲にわたって変化可能であり、例えば約0.010インチから約0.250インチまたはそれ以上(約0.025cmから約0.64cmまたはそれ以上)である。いわゆる「薄板」では、通常、光重合層は厚さが約0.010インチから約0.067インチ(約0.025cmから約0.17cm)の範囲でよい。
【0060】
支持体は、フレキソ印刷版の準備に使用する感光性要素で従来使用されている任意の材料でよい。支持体は、それ自体が円筒形であるか、上記で説明したように、スリーブ上印刷版の場合、平面であるか、円筒形支持体に装着してよい、あるいは任意の方法で端縁部を相互に固定することによって円筒形に形成した感光性板の平面シートでよい。支持体は、支持体を通る「バックフラッシュ(backflash)」露光に対応するために化学線に対して透明であることが好ましい。適切な支持体材料の例は、追加の重合体および直線縮合重合体、透明発泡体および織物で形成したような重合体薄膜を含む。特定の最終用途の状態では、金属支持体が放射線に透明ではないが、アルミのような金属も支持体として使用することができる。好ましい支持体はポリエステル薄膜であり、特に好ましいのはポリエチレンテレフタレートである。支持体は、シートの形態であるか、スリーブのような円筒形形態でよい。スリーブまたは円筒形支持体のタイプは、本発明によって制限されない。スリーブは、単層または多層の可撓性材料から形成することができる。重合体薄膜で作成した可撓性スリーブが好ましい。通常は紫外線に対して透明であり、円筒形印刷要素の床を構築するためのバックフラッシュ露光に対応するからである。多層スリーブは、可撓性材料の層の間に接着層またはテープを含む。多層スリーブの例が、特許文献19で開示されている。スリーブは、ニッケルまたはガラスエポキシのような不透明の化学線遮断材料で作成してもよい。支持体は通常、0.002から0.050インチ(0.0051から0.127cm)の厚さを有する。シート形態の好ましい厚さは、0.003から0.016インチ(0.0076から0.040cm)である。スリーブは、10ミル(0.025cm)から80ミル(0.203cm)またはそれ以上の肉厚を有することができるが、通常は10から40ミル(0.025から0.10cm)の肉厚を有する。一般的に、好ましい肉厚は所望の最終用途の状態によって決定される。
【0061】
光重合性層自体は、結合剤、単量体、開始剤および他の成分を混合することによって、多くの方法で準備することができる。光重合性混合物でホットメルトを形成し、次に所望の厚さまでカレンダ仕上げすることが好ましい。押し出し機を使用して、組成の溶融、混合、脱気および濾過の機能を実行することができる。押し出した混合物は、次に支持体と一時的カバーシートの間でカレンダ仕上げする。あるいは、光重合性材料を型の中で支持体と一時的カバーシートの間に配置することができる。次に、熱および/または圧力を加えて、材料の層を平坦に圧縮する。
【0062】
円筒形で継ぎ目なし、またはほぼ継ぎ目なしの光重合性要素の準備および形成は制限されず、例えば特許文献20および特許文献21でCushnerその他が、特許文献22でArimatsuが、特許文献23でKitamuraその他が、特許文献24でKochその他が、特許文献25および特許文献26でWallbillichその他が、特許文献27でFanその他が、および特許文献28でRossiniその他が開示した方法および装置に従って準備することができる。継ぎ目なし光重合性層とは、光重合性層が光重合材料の連続体であり、要素の少なくとも外周面、つまり印刷面に、層として光重合材料の境界または接合の線、または印刷の品質に影響する他の欠点がない、という意味である。光重合材料の層は、層の厚さ全体で、つまり支持体の表面から光重合性層の外面まで半径方向に、および要素の軸方向長さに沿って連続的であることが好ましい。継ぎ目なし光重合性印刷形態の例が、欧州特許出願公開第0766142A1号明細書でFanその他によって開示されている。また、平坦な光重合性シート要素は、要素を切断して、縁部がギャップまたは重なりがない状態で接触するように、円筒形支持体(通常は印刷用スリーブ)に巻き付け、縁部を相互に融着または接合して、連続的な円筒形要素を形成することによって再処理することができる。さらに別の実施形態では、平坦な光重合性シート要素の縁部は、溶融融合、テープ留め、縫合、締め付け、ステープル留め、テープ留め、および接着などの方法で突き合わせ接合し、縁部を相互に融着または接合して、円筒形要素を形成することができる。顧客の必要性に応じて、突き合わせ接合した円筒形形態の熱現像後、突き合わせ接合した部分を切り離し、次に(平面)板として印刷用シリンダに装着することができる。あるいは、平坦な光重合性シート要素は、精密切断し、突き合わせ接合時に見当を合わせることができ、したがって熱現像後に、(印刷用シリンダと円筒形形態の間に圧縮性の印刷アダプタスリーブを入れるか、入れない状態で)結果の円筒形要素をそのまま印刷用シリンダに装着することができる。板の縁部を接合して、円筒形形態にするプロセスが、例えば特許文献29、特許文献30、および特許文献31で開示されている。
【0063】
追加的層が、光重合性層の頂部、つまり光重合性層の支持体とは反対側に存在してよい。このような層は、特許文献32でFanその他が開示したように、光重合性層の上に少なくとも熱で除去可能な1つの層を備えてよい。所望の使用法に応じて、追加的層は化学線に対して不透明または透明でよい。これは、剥離層、化学線不透明層、遮断層、接着性変性層、および感光性要素の表面特徴を変化させる層を含むが、これに制限されない感光性要素にとって1つまたは複数の機能を有する。
【0064】
適切な層は、特許文献2および特許文献33に記載された多層カバー要素のエラストマ層として開示されたものである。このようなエラストマ層は、それ自体は化学線に対する感受性がないが、光重合性層、さらに自身が感光性であるような層と接触すると感光性になる層を備える。このような感光性エラストマ層は、エラストマ結合剤、単量体、および光開始剤、および任意選択で充填剤または他の添加物を含む。光重合性層と接触すると感光性になるエラストマ層は、いかなる単量体も備えない。結合剤、単量体、および他の化合物は、光重合性層に含まれる化合物と同じ、または同様でよい。このようなエラストマ層を光重合性層に載せる。
【0065】
1つの実施形態では、感光性要素は光重合性層の頂部に、またはエラストマ層が存在する場合は、その頂部に赤外線(IR)感受性層を備える。IR感受性層は、感光性要素の統合マスキング層を形成することができる。好ましいIR感受性層は化学線に対して不透明である、つまり≧2.5の光学密度を有し、好ましくは削摩によって赤外線レーザで描像することができ、処理中に除去可能である、つまり現像溶液中で、または熱現像中に溶解または分散可能である。IR感受性層は、750nmと20,000nmの間の波長(赤外線)範囲で高い吸収率を有する材料を含む。例えば多置換フタロシアニン化合物、シアニン染料、メロシアニン染料など、無機顔料、例えばカーボンブラック、グラファイト、二酸化クロムなど、または金属、例えばアルミ、銅などである。赤外線吸収材料の量は、通常は層の総重量に対して重量で0.1〜40%である。化学線を遮断するために≧2.5の光学密度を達成するために、赤外線感受性層は、化学線の透過を防止する材料を含む。この化学線遮断材料は、赤外線吸収材料と同じ、またはそれと異なってよく、例えば染料または顔料、特に前述した無機顔料でよい。この材料の量は、通常は層の総重量に対して重量で1〜70%である。赤外線感受性層は、任意選択で重合体結合剤、例えばニトロセルロース、アクリレートの同種重合体または共重合体、メタクリレートおよびスチレン、ポリアミド、ポリビニルアルコールなどを含む。可塑剤、被覆補助剤などの他の補助的薬剤が可能である。赤外線感受性層は通常、カバーシート上に層として前述した組成の溶液または分散物を被覆または印刷し、その後にカバーシートを光重合性層の頂部に適用する前に乾燥することによって準備する。赤外線感受性層の厚さは、通常は2nm〜50μmであり、4nmから40μmであることが好ましい。このような赤外線感受性層およびその準備については、例えば特許文献34および特許文献35に詳細に記載されている。
【0066】
さらに、感光性要素は、任意選択で光重合性層の頂部、またはエラストマ層が存在する場合はその頂部に剥離層を備えてよい。剥離層によって、感光性要素の像面の露光に使用するマスクを容易に除去することができる。剥離層は、可撓性で透明、かつ非粘着性でなければならない。通常は薄い層で、好ましくは少なくとも0.5ミクロンであるが、10ミクロン未満、好ましくは4ミクロン未満の厚さを有する。剥離層は、通常の現像プロセス中に除去可能であることが好ましい。適切な剥離層は、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリビニルピロリドン、両性共重合体、ヒドロキシセルロース重合体、ポリエチレン酸化物、エチレンと酢酸ビニルの共重合体、およびその組み合わせを含む。任意選択で、剥離層は、無機または有機艶消剤、着色料など、染料および/または顔料、さらに光互変異性添加剤を備えてよい。つまり像面を露光した直後、または像面を露光して、現像した後に、感光性要素の描像区域と非描像区域とを識別するか、コントラストを向上させるためのものである。特に、艶消剤を備えて、光重合性層の表面に固定可能な剥離層は、特許文献36に記載されたように適切である。
【0067】
感光性要素は、任意選択で、特許文献37で開示されたようなワックス層、または遮断層をIR感受性層と光重合性層の間、またはIR感受性層とエラストマ層が存在する場合はそれとの間に含むことができる。適切なワックスは、ポレオレフィンワックス、パラフィンワックス、カルナウバワックス、ステアリンワックス、およびステアラミドワックスなどの全ての天然および合成ワックスである。好ましいのは、軟化温度が70℃以上のワックス、特に90℃以上の軟化温度を有するポリエチレンワックスである。鋳造、印刷、または噴霧被覆のような従来通りの方法を使用して、適切な溶剤中にワックスの分散物からワックス層を準備する。ワックス層は通常、0.02〜1.0μmの厚さ、好ましくは0.05〜0.5μmである。IR感受性層が感光性要素に存在する場合、遮断層を、光重合性層またはエラストマ層とIR感受性層の間に配置してよい。上述した剥離層として適切な材料は、特許文献38および特許文献39に記載されているように、遮断層としても適切である。
【0068】
感光性要素は任意選択で、支持体と光重合性層の間に接着層を含むことができる。このような接着材料が、特許文献40または特許文献41で開示されている。あるいは、支持体は、火炎処理または電子処理によって接着性促進表面を有するか、支持体への光重合性層の接着を、支持体を通して化学線に露光することによって強化することができる。
【0069】
さらに、感光性要素は、任意選択で支持体と光重合性層の間にハレーション防止層を含むことができる。このようなハレーション防止層は、化学線をほぼ吸収する染料または顔料を細かく分割し、支持体および光重合性層の両方に接着する樹脂または重合体の溶液または水性分散物内に分散させ、それを支持体に被覆して、乾燥することによって作成することができる。適切なハレーション防止顔料および染料は、カーボンブラック、二酸化マンガン、Acid Blue Black(CI 20470)およびAcid Magenta O(CI 42685)を含む。適切な重合体または樹脂担体は、ポリビニル化合物、例えばポリ塩化ビニルの単独および共重合体、アクリル酸およびメタアクリル酸の共重合体などを含む。
【0070】
感光性要素は任意選択で、感光性要素の最外層の頂部に一時的カバーシートを備える。有用なカバーシートは、可撓性重合体薄膜、例えばポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、フルオロポリマ、ポリアミドまたはポリエステルで構成される。ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートを使用することが好ましい。大抵、カバーシードはサブコーティングしないが、任意選択で薄いシリコン層でサブコーティングすることができる。
【0071】
本発明による熱処理の前に、感光性要素を化学線に露光する。像面を露光した後、光重合性層の放射線露光区域は不溶性状態に変換され、層の非露光区域では有意の重合または架橋が実行されない。この露光には、従来通りの任意の化学線源を使用することができる。適切な放射線源の例は、キセノンランプ、水銀灯、炭素アーク、アルゴングローランプ、UV放射を発する蛍光材料および電子フラッシュユニット(flash units)がある蛍光灯、および写真用投光照明を含む。通常、水銀蒸気アークまたは太陽灯を、感光性要素から約1.5から約60インチ(約3.8から約153cm)の距離で使用することができる。このような放射線源は通常、310〜400nmの長波UV放射線を発光する。露光時間は、放射線の強度およびスペクトルエネルギ分布、感光性要素からのその距離、および光重合性材料の性質および量に応じて、数秒から数分まで変化してよい。
【0072】
像面への露光は、像を有するフォトマスクを通して感光性要素を露光することによって実行することができる。フォトマスクは別個の薄膜、つまり像を有する透明画またはフォトツール(phototool)、例えばハロゲン化銀薄膜でよいか、上述したように、フォトマスクを感光性要素と統合することができる。フォトマスクが別個の薄膜である場合は、通常、像面の露光前に任意選択のカバーシートを剥ぎ取り、感光性要素上に剥離層を残す。フォトマスクは、通常の真空プロセスによって、例えば一般的な真空枠を使用して、感光性要素の剥離層に密着させる。したがって、その後に感光性要素とフォトマスクとのほぼ均一かつ完全な接触を許容可能な時間で達成することができる。
【0073】
円筒形の感光性要素上に、統合したフォトマスクを形成することが好ましい。特に好ましい実施形態では、感光性要素は、統合したフォトマスクになるIR感受性層を含む。IR感受性層は、像面をIRレーザ放射線に露光して、感光性要素上にフォトマスクを形成する。750から20,000nmの範囲で発光する様々なタイプの赤外線レーザを使用して、赤外線レーザ露光を実行することができる。780から2,000nmの範囲で発光するダイオードレーザ、および1064nmで発光するNd:YAGレーザを含む赤外線レーザが好ましい。いわゆるディジタル描像では、放射線不透明層は、像面を赤外線レーザ放射線に露光して、光重合性層、つまりインサイチュマスク(in-situ mask)上に像を形成するか、配置する。赤外線レーザ放射線は、特許文献38および特許文献39でFanが、および特許文献42でFanが開示しているように、光重合性層から赤外線感受性層(つまり放射線不透明層)を選択的に除去、例えば削摩または蒸発させることができる。統合したフォトマスクは、その後のUV事前露光ステップ、像面の化学線への主要露光ステップ、および現像ステップのために感光性要素上に残る。
【0074】
マスク形成のディジタル方法の代替実施形態では、感光性要素は最初は、赤外線感受性層を含まない。この場合、赤外線感受性層は、上述したような感光性層に含まれる赤外線感受性層と同じであるか、ほぼ同じである。赤外線感受性層を有する別個の要素は、感光性要素との集合体を形成し、したがって赤外線感受性層は、通常は光重合性層である支持体とは反対側の感光性要素の表面に隣接する。別個の要素は、ディジタル露光プロセスを補助するために、放出層または加熱層のような1つまたは複数の他の層を含んでよい。集合体は、特許文献43でFanその他が、特許文献44および特許文献45でBlanchettが、および欧州特許出願公開第0891877A号明細書で開示するように、赤外線レーザ放射線で像面を露光し、赤外線感受性層を選択的に転写し、光重合性層上に像を形成するか、配置する。転写した赤外線感受性層の部分のみが、感光性要素上に残り、インサイチュマスクを形成する。
【0075】
さらに、別個の担体上にマスク像を生成し、次に熱および/または圧力を加えて、支持体とは反対側の光重合性層の表面に転写することができる。光重合性層は通常、粘着性であり、転写した像を保持する。次に、事前露光および/または像面露光の前に、別個の担体を要素から除去することができる。別個の担体は赤外線感受性層を有し、これは像面をレーザ放射線で露光して、材料を選択的に除去して、像を形成する。このタイプの担体の例は、Rexam,Inc.によるLaserMask(登録商標)描像薄膜である。
【0076】
ディジタルマスク形成は、インクジェット式インクの形態で放射線不透明材料の像面に適用することによって遂行できることも想定される。インクジェット式インクの像面への適用は、光重合性層上に直接実行するか、感光性要素の光重合性層の上に配置する。
【0077】
像面の露光の前、後、またはその最中、好ましくはその後に、支持体を通る全体的な背面露光を実行して、支持体に隣接する所定の厚さの光重合体層を重合化することができる。光重合体層のこの重合化部分を床と呼ぶ。床は、光重合性層と支持体の間の接着性を改善し、ハイライトドット解像度に役立ち、版のレリーフ深さも確立する。床厚さは露光時間、露光源などによって変わる。この露光は、拡散または指向性放射線でよい。像面主要露光に適切な全ての放射線源を使用することができる。露光は一般的に、1〜30分である。
【0078】
マスクを通して像面を化学線に露光し、別個の薄膜である場合は、フォトマスクを除去した後に、感光性印刷要素を熱処理して、光重合性層の非重合化区域を除去し、それによってレリーフ像を形成する。熱処理ステップは、光重合性層の化学線に露光しなかった区域、つまり未露光区域または未硬化区域で、少なくとも光重合性層を除去する。エラストマのキャッピング(capping)層を除き、通常は光重合性層上に存在する追加の層を、光重合性層の重合した区域から除去するか、ほぼ除去する。マスクのディジタル形成のために別個のIR感受性層を含む感光性要素では、光重合性層にレリーフ像を形成する処理ステップが、(化学線に露光している)マスク像の除去も実行してよい。
【0079】
要素の熱処理は、少なくとも1つの組成層、つまり少なくとも1つの光重合性層(および追加の1つまたは複数の層)を有する感光性要素を、光重合性層の未硬化部分を軟化または溶融または流すのに十分な温度へと加熱することを含む。感光性要素の組成層の外面は、層の一部を液化するのに十分な温度まで加熱する。熱現像プロセスは、通常、未硬化重合体を適切なレリーフ深さまで除去するために、要素を加熱することと、要素を現像媒体に接触させることとの複数のサイクルで実行される。というのは、組成層の未硬化部分が、加熱すると部分的にしか液化しないからである。好ましい実施形態では、加熱することは、要素の最外表面を吸収性表面に接触させて、溶融部分または流れ部分を吸収するか、吸い取ることも含む。光重合性層の重合化区域は、重合化していない区域より高い融点を有し、したがって熱現像温度では溶融、軟化、または流れることがない。フレキソ印刷版を形成する感光性要素の熱現像については、特許文献5、特許文献6、特許文献7でMartensが、特許文献46でWangその他が説明している。
【0080】
「溶融」という用語は、高温を経験した光重合性エラストマ層の未照射部分が、軟化し、粘性が低下して、流れ、現像媒体で吸収できるようにする挙動を述べるために使用される。光重合性層の溶融可能な部分の材料は通常、固体と液体の間に鮮明な遷移がない粘弾性材料であり、したがってプロセスは、吸収性材料内に吸収するための何らかの閾値より高い任意の温度で、加熱した組成層を吸収するように機能する。本発明の目的のために、広い温度範囲を使用して、組成層を「溶解」することができる。吸収は、プロセスの順調な作業中に、温度が低下すると遅くなり、温度が上昇すると速くなる。
【0081】
感光性要素を加熱する熱処理ステップと、要素の最外層を現像媒体に接触させる熱処理ステップは、同時に実行するか、現像媒体との接触時に、光重合性層の未硬化部分がまだ軟性か、溶融状態である場合に、順番に実行することができる。少なくとも1つの光重合性層(および追加の1つまたは複数の層)を、誘導、対流、照射、または他の加熱方法で、未硬化部分の溶解を実行するのに十分であるが、層の硬化部分を歪めるほど高くはない温度まで加熱する。光重合性層に配置された1つまたは複数の追加層が軟化または溶融または流れて、吸収性材料で吸収することもできる。感光性要素は、光重合性層の未硬化部分を溶融するか、流すために、約40℃以上、好ましくは約40℃から約230℃(104〜446°F)の表面温度まで加熱する。光重合性層と、未硬化領域で溶融している光重合性層との多少密接な接触を維持することによって、硬化していない感光性材料が光重合性層から現像媒体へと移動する。まだ加熱した状態で、現像媒体を、支持層に接触して硬化した光重合性層から分離し、レリーフ構造を表す。光重合性層を加熱するステップと、溶融(部分)層を吸収性材料と接触させるステップとのサイクルを、未硬化材料を十分に除去して、十分なレリーフ深さを生成するのに必要な回数だけ繰り返すことができる。しかし、適切なシステム性能のために、サイクル数を最低限に抑えることが望ましく、通常、光重合性要素は5サイクルから15サイクル熱処理される。(未硬化部分が溶融している間に)現像媒体と光重合性層との密接な接触は、層と現像媒体を相互に押しつけることによって維持することができる。
【0082】
現像媒体は、吸収性材料、ウェブ、および連続ウェブとも呼ぶことができる。光重合性層の未硬化部分の融点より高い融点を有し、同じ使用温度で良好な引き裂き抵抗を有する現像媒体を選択する。選択された材料は、加熱中に感光性要素を処理するために必要な温度に耐えることが好ましい。現像媒体は、不織材料、紙原料、繊維質織物材料、連続気泡材料、空隙率として内包体積の有意の部分を多少含む多孔性材料から選択する。現像媒体は、ウェブまたはシートの形態でよい。現像媒体は、現像媒体の1平方センチメートル当たりで吸収可能なエラストマ組成をミリグラム単位で測定して、溶融エラストマ組成に対して高い吸収性も有していなければならない。好ましいのは不織ウェブである。
【0083】
感光性要素は、レリーフを形成するために未硬化部分を十分に除去するように、1つまたは複数の処理ステップを経験することも想定される。感光性要素は、レリーフを形成するために、湿式現像と乾式現像との両方を経験してよい。追加層が洗浄用容液および/または加熱によって除去可能でない場合は、光重合性上に配置されたこのような1つまたは複数の追加層を除去するために、現像前処理ステップが必要なことがある。
【0084】
光重合プロセスが完全であり、このように形成したフレキソ印刷版が印刷および保管中に安定したままであることを保証するために、現像ステップの後、感光性要素を均一に後露光することができる。この後露光ステップは、像面の主要露光と同じ放射線源を使用することができる。さらに、フレキソ印刷版の表面がなお粘着質である場合は、粘着性除去処理を適用することができる。このような方法は、「仕上げ」とも呼ばれ、当技術分野でよく知られている。例えば、粘着性は、フレキソ印刷版を硼素または塩素の溶液で処理することによって解消することができる。粘着性除去は、300nmを超えない波長を有するUV放射線源に露光して実行することが好ましい。このいわゆる「光仕上げ」が、欧州特許出願公報第0017927号明細書および特許文献47で開示されている。様々な仕上げ方法を組み合わせてもよい。通常、後露光および仕上げの露光は、両方の放射線源を有する露光装置を使用して、感光性要素で同時に実行する。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】要素の円筒形支持体の第1部分と接触することによって、感光性要素を支持する第1手段と、第1部分とは異なる第2部分と接触することによって、要素を支持する第2手段と、支持体とは反対側の要素の外面を現像媒体で処理する手段とを示す、本発明の装置の実施形態の略断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形支持体と、前記支持体の内面とは反対側で前記支持体に隣接する組成層とを備えた感光性要素から印刷版を形成する装置であって、前記組成層は部分的に液化することができ、
前記円筒形支持体の内面の第1部分と接触することによって、前記感光性要素を支持する第1手段と、
前記第1部分とは異なる前記円筒形支持体の前記内面の第2部分と接触することによって、前記感光性要素を支持する第2手段とを備え、前記円筒形支持体が、前記第1部分と前記第2部分との間に1つまたは複数の支持されていない部分を有し、さらに、
前記要素にレリーフ表面を形成するために、前記支持体とは反対側の前記感光性要素の外面を処理する手段を備える装置。
【請求項2】
さらに、前記組成層を、前記層の一部を液化させるのに十分な温度まで加熱する手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記処理手段が、現像媒体を前記外面に接触させる手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記接触手段が、前記現像媒体を前記要素の前記外面に供給する手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記接触手段が、前記要素の前記外面を前記現像媒体に送出する手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記現像媒体が、前記第1支持手段に隣接する前記外面と接触することを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項7】
さらに、前記感光性要素を前記現像媒体から分離する手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項8】
さらに、
前記感光性要素と現像媒体とを、液化した前記材料の少なくとも一部が前記現像媒体によって吸収されるのに十分な圧力で押しつけて接触させる手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項9】
さらに、前記組成層を、前記層の一部を液化するのに十分な温度まで加熱する手段を備え、前記処理手段が、空気流、液体流、および真空で構成されたグループから選択されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記第1部分および前記第2部分が、相互に対向するか、ほぼ対向することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
さらに、前記第1手段と前記第2手段の間に相対的運動を提供する手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記第1手段が静止し、前記第2手段が前記第1手段に対して動作可能であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項13】
さらに、前記第2支持手段を移動する手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項14】
さらに、前記装置に旋回自在に装着された一方端部、および前記第2支持手段の端部と係合する反対側の端部を有するアームを備えた可動アセンブリと、前記アームに結合した起動装置とを備えた、前記第2支持手段を移動する手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項15】
さらに、前記第1手段と第2手段の間で前記円筒形支持体に張力を与える手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項16】
さらに、前記第1支持手段および前記第2支持手段の周囲で前記円筒形支持体を装填し、下ろす手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項17】
さらに、前記第1支持手段と、前記外面に現像媒体を供給する手段との間に相対的運動を提供する手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項18】
さらに、自身上に装着された少なくとも前記第1支持手段を有する可動台と、前記可動台を移動させ、それによって前記処理手段に対して前記第1支持手段を位置決めするために回転する電動機駆動のスピンドルとを備えた可動台アセンブリを備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記感光性要素が軸方向長さを有し、前記第1手段が、前記要素の前記軸方向長さに沿って前記第1部分を支持することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記感光性要素が軸方向長さを有し、前記第2手段が、前記軸方向長さに沿って前記第2部分を支持することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記第1支持手段がローラを備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項22】
さらに、前記ローラを回転する手段を備えることを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記ローラが外周面を有し、前記装置がさらに、前記外面の前記周を増加させる手段を備えることを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項24】
前記ローラが、前記ローラの外周面に空気を供給する半径方向の通路を有する空気シャフトであることを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項25】
さらに、前記空気シャフトに装着したアダプタスリーブを備えることを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記アダプタスリーブが弾性層を備えることを特徴とする請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記アダプタスリーブが、最外周面として弾性層を備えることを特徴とする請求項25に記載の装置。
【請求項28】
前記第2支持手段が、前記第2部分に接触する弓形を有する外面を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項29】
前記第2支持手段が、ローラおよび台部材で構成したグループから選択されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項30】
前記第2支持手段が、弓形外面を有する台部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項31】
前記台部材の前記外面が固定した曲率を有することを特徴とする請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記台部材の前記外面が、前記円筒形支持体の前記内面の曲率と一致するか、ほぼ一致する変化可能な曲率を有することを特徴とする請求項30に記載の装置。
【請求項33】
前記台部材が、可撓状態で相互に結合した少なくとも2つの部分に分割されることを特徴とする請求項30に記載の装置。
【請求項34】
前記第2支持手段の前記外面が、摩擦を軽減した材料の層であることを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項35】
さらに、前記要素の前記外面に現像媒体を供給する手段を備え、前記供給手段が、ロールおよび非円筒形供給部材で構成したグループから選択されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項36】
前記非円筒形供給部材が、楕円、弓形、放物形、円形、半円形、楔形、三角形、長方形、および多角形で構成したグループから選択した断面形状を有することを特徴とする請求項31に記載の装置。
【請求項37】
さらに、前記組成層を、前記層の一部を液化するのに十分な温度まで加熱する手段を備え、前記加熱手段が、
現像媒体が前記層と接触する位置の隣で、前記組成層の前記外面に熱を適用する第1加熱手段と、
前記現像媒体が前記層の前記外面に接触している間に、前記現像媒体を供給する手段を、前記組成層の前記外面を加熱できる温度まで加熱する第2加熱手段と、
前記第1支持手段を、前記組成層の前記外面を加熱できる温度まで加熱する第3加熱手段と、
前記第1加熱手段と前記第2加熱手段との組み合わせと、
前記第1加熱手段と前記第3加熱手段との組み合わせと、
前記第2加熱手段と前記第3加熱手段との組み合わせと、
前記第1加熱手段と前記第2加熱手段と前記第3加熱手段との組み合わせと
で構成したグループから選択され、
前記第1加熱手段、前記第2加熱手段、および前記第3加熱手段が、個々に、または上記の組み合わせで、前記組成層の前記外面を、前記層の一部を液化させるのに十分なだけ加熱することができることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項38】
前記第1加熱手段が赤外線加熱装置を備えることを特徴とする請求項37に記載の装置。
【請求項39】
さらに、前記加熱手段の温度の少なくとも1つを感知する少なくとも1つのセンサと、前記少なくとも1つの感知温度を所定の温度に維持する制御装置とを備えることを特徴とする請求項37に記載の装置。
【請求項40】
前記加熱手段が、前記第1加熱手段と前記第2加熱手段との組み合わせであることを特徴とする請求項37に記載の装置。
【請求項41】
さらに、前記感光性要素を冷却する手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項42】
前記冷却手段が、
前記第1支持手段を冷却する第1冷却手段と、
前記第2支持手段を冷却する第2冷却手段と、
前記第1冷却手段と前記第2冷却手段との組み合わせと
で構成したグループから選択されることを特徴とする請求項41に記載の装置。
【請求項43】
前記第2支持手段が、温度を制御した流体を移送する空隙を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項44】
前記温度制御流体が水であることを特徴とする請求項43に記載の装置。
【請求項45】
前記水が前記第2支持手段の外面を冷却し、それによって前記円筒形支持体の前記内面の前記第2部分を冷却することを特徴とする請求項44に記載の装置。
【請求項46】
前記水が、前記第2支持手段の外面を加熱し、それによって前記円筒形支持体の前記内面の前記第2部分を加熱することを特徴とする請求項44に記載の装置。
【請求項47】
さらに、
前記組成層を、前記層の一部を液化させるのに十分な温度まで加熱する手段と、
現像媒体を前記外面と接触させる手段とを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項48】
前記第1支持手段がローラであり、前記接触手段が、前記現像媒体のウェブを供給するホットロールであることを特徴とする請求項47に記載の装置。
【請求項49】
さらに、前記ローラ上で回転する前記感光性要素の前記外面の直線速度を、前記ホットロールを移送する前記ウェブの直線速度と同期させる手段を備えることを特徴とする請求項48に記載の装置。
【請求項50】
前記第1支持手段および前記第2支持手段が、前記装置の第1枠に装着され、前記処理手段が前記装置の第2枠に装着され、前記第1枠および前記第2枠がそれぞれ、前記装置から取り外し可能なモジュールであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項51】
さらに、前記第1支持手段および前記第2支持手段の周囲で前記円筒形支持体を回転させる手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項52】
円筒形支持体と、前記支持体の内面とは反対側で前記支持体上にある組成層とを備えた感光性要素から印刷版を形成する装置であって、前記組成層は部分的に液化することができ、
前記内面の第1部分と接触することによって前記感光性要素を支持し、前記第1部分と接触する外面を有するローラを備える第1手段と、
前記第1部分とは異なる前記円筒形支持体の前記内面の第2部分と接触することによって、前記感光性要素を支持する第2手段とを備え、前記円筒形支持体が、前記第1部分と前記第2部分との間に1つまたは複数の支持されていない部分を有し、さらに前記第2部分と接触する弓形外面を有する台部材を備え、さらに、
現像媒体を、前記支持体とは反対側で前記感光性要素の前記外面に接触させ、供給部材を備える手段と
前記組成層の前記外面を、前記層の一部を液化させるのに十分な温度まで加熱する手段とを備える装置。
【請求項53】
さらに、前記ローラを回転する手段と、前記外面の直線速度を前記現像媒体のウェブの直線速度と同期させる手段とを備えることを特徴とする請求項52に記載の装置。
【請求項54】
さらに、前記ローラと前記台部材と前記供給部材との間に相対的運動を提供する手段を備えることを特徴とする請求項52に記載の装置。
【請求項55】
円筒形支持体と、前記支持体の内面とは反対側で前記支持体上にある組成層とを備えた感光性要素から印刷版を形成するプロセスであって、前記組成層は部分的に液化することができ、
前記円筒形支持体の前記内面の第1部分を第1支持部材と接触させ、前記第1部分とは異なる前記円筒形支持体の前記内面の第2部分を第2支持部材と接触させることによって前記感光性要素を支持することを含み、前記円筒形支持体が、前記第1部分と前記第2部分の間に1つまたは複数の支持されていない部分を有し、さらに、
レリーフ表面を形成するために、前記支持体とは反対側の前記感光性要素の外面を処理することを含むプロセス。
【請求項56】
さらに、前記組成層を、前記層の一部を液化させるのに十分な温度まで加熱することを含むことを特徴とする請求項55に記載のプロセス。
【請求項57】
前記処理することが、現像媒体を前記外面に接触させることを含むことを特徴とする請求項55に記載のプロセス。
【請求項58】
前記接触することが、前記現像媒体を前記要素の前記外面に供給することを含むことを特徴とする請求項57に記載のプロセス。
【請求項59】
前記接触することが、前記要素の前記外面を前記現像媒体に送出することを含むことを特徴とする請求項57に記載のプロセス。
【請求項60】
前記現像媒体を前記外面に前記接触することが、前記第1支持部材に隣接することを特徴とする請求項57に記載のプロセス。
【請求項61】
さらに、前記感光性要素を前記現像媒体から分離することを含むことを特徴とする請求項57に記載のプロセス。
【請求項62】
さらに、前記感光性要素と現像媒体とを、前記液化材料の少なくとも一部が前記現像媒体によって吸収されるのに十分な圧力で圧迫して、接触させることを含むことを特徴とする、請求項56に記載のプロセス。
【請求項63】
さらに、前記組成層を、前記層の一部を液化させるのに十分な温度まで加熱することを含み、前記処理することが、空気流、液体流、および真空で構成したグループから選択されることを特徴とする請求項55に記載のプロセス。
【請求項64】
前記第1部分および前記第2部分が、相互に対向するか、ほぼ対向することを特徴とする請求項55に記載のプロセス。
【請求項65】
さらに、前記第1支持部材と前記第2支持部材の間に相対的運動を提供することを含むことを特徴とする請求項55に記載のプロセス。
【請求項66】
前記第1支持部材が静止状態であり、前記第2支持部材が、前記第1支持部材に対して移動可能であることを特徴とする請求項55に記載のプロセス。
【請求項67】
さらに、前記第2支持部材を移動することを含むことを特徴とする請求項55に記載のプロセス。
【請求項68】
さらに、前記第1支持部材と前記第2支持部材の間で前記円筒形支持体に張力を加えることを含むことを特徴とする請求項55に記載のプロセス。
【請求項69】
さらに、前記第1支持部材と現像媒体の供給部材との間に相対的運動を提供することを含むことを特徴とする請求項55に記載のプロセス。
【請求項70】
前記感光性要素が軸方向長さを有し、前記第1支持部材が、前記要素の前記軸方向長さに沿って前記第1部分を支持することを特徴とする請求項55に記載のプロセス。
【請求項71】
前記感光性要素が軸方向長さを有し、前記第2支持部材が、前記軸方向長さに沿って前記第2部分を支持することを特徴とする請求項55に記載のプロセス。
【請求項72】
前記第1支持部材がローラを備えることを特徴とする請求項55に記載のプロセス。
【請求項73】
さらに、前記ローラを回転することを含むことを特徴とする請求項72に記載のプロセス。
【請求項74】
前記ローラが、前記ローラの外周面に空気を供給する半径方向通路を有する空気シャフトであることを特徴とする請求項72に記載のプロセス。
【請求項75】
さらに、アダプタスリーブを前記空気シャフトに装着することを含むことを特徴とする請求項74に記載のプロセス。
【請求項76】
前記アダプタスリーブが弾性層を備えることを特徴とする、請求項75に記載のプロセス。
【請求項77】
前記アダプタスリーブが、最外周面として弾性層を備えることを特徴とする請求項75に記載のプロセス。
【請求項78】
前記第2支持部材が、前記第2部分に接触する弓形を有する外面を有することを特徴とする、請求項55に記載のプロセス。
【請求項79】
前記第2支持部材が、ローラおよび台部材で構成したグループから選択されることを特徴とする請求項55に記載のプロセス。
【請求項80】
前記第2支持部材が、弓形外面を有する台部材を備えることを特徴とする請求項55に記載のプロセス。
【請求項81】
前記台部材の前記外面が固定した曲率を有することを特徴とする請求項80に記載のプロセス。
【請求項82】
前記台部材の前記外面が、前記円筒形支持体の前記内面の曲率と一致する、またはほぼ一致することができる変更可能な曲率を有することを特徴とする請求項80に記載のプロセス。
【請求項83】
前記台部材が、可撓状態で相互に結合する少なくとも2つの部分に分割されることを特徴とする請求項80に記載のプロセス。
【請求項84】
前記第2支持手段の前記外面が、摩擦を軽減した材料の層であることを特徴とする請求項78に記載のプロセス。
【請求項85】
さらに、現像部材を供給部材で前記要素の前記外面に供給することを含み、前記供給部材が、ロール、および楕円、弓形、放物形、半円形、楔形、三角形、長方形、および多角形で構成したグループから選択した断面形状を有する非円筒形供給部材で構成したグループから選択されたことを特徴とする請求項55に記載のプロセス。
【請求項86】
さらに、前記組成層を、前記層の一部を液化させるのに十分な温度まで加熱することを含み、前記加熱することが、
現像媒体が前記層と接触する位置の隣で、前記組成層の前記外面に熱を適用する第1加熱と、
前記現像媒体が前記層の前記外面に接触している間に、前記現像媒体を支持する供給部材を、前記組成層の前記外面を加熱できる温度まで加熱する第2加熱と、
前記第1部分に接触する前記第1支持部材を、前記組成層の前記外面を加熱できる温度まで加熱する第3加熱と、
前記第1加熱と前記第2加熱との組み合わせと、
前記第1加熱と前記第3加熱との組み合わせと、
前記第2加熱と前記第3加熱との組み合わせと、
前記第1加熱と前記第2加熱と前記第3加熱との組み合わせと
で構成したグループから選択され、
前記第1加熱、前記第2加熱、および前記第3加熱が、個々に、または上記の組み合わせで、前記組成層の前記外面を、前記層の一部を液化させるのに十分なだけ加熱することができることを特徴とする請求項55に記載のプロセス。
【請求項87】
前記第1加熱が赤外線加熱装置を備えることを特徴とする請求項86に記載のプロセス。
【請求項88】
さらに、前記第1加熱、前記第2加熱、および前記第3加熱の温度のうち少なくとも1つを感知することと、少なくとも1つの感知温度を所定の温度で維持するために制御することとを含むことを特徴とする請求項86に記載のプロセス。
【請求項89】
前記加熱が、前記第1加熱と前記第2加熱の組み合わせであることを特徴とする請求項85に記載のプロセス。
【請求項90】
さらに、前記感光性要素を冷却することを含むことを特徴とする請求項55に記載のプロセス。
【請求項91】
前記冷却が、
前記第1支持部材を冷却する第1冷却と、
前記第2支持部材を冷却する第2冷却と、
前記第1冷却と前記第2冷却との組み合わせと
で構成したグループから選択されることを特徴とする請求項90に記載のプロセス。
【請求項92】
前記第2支持部材が、温度を制御した流体を移送する空隙を含むことを特徴とする請求項55に記載のプロセス。
【請求項93】
前記温度制御流体が水であることを特徴とする請求項92に記載のプロセス。
【請求項94】
前記水が前記第2支持部材の外面を冷却し、それによって前記円筒形支持体の前記内面の前記第2部分を冷却することを特徴とする請求項93に記載のプロセス。
【請求項95】
前記水が前記第2支持部材の外面を加熱し、それによって前記円筒形支持体の前記内面の前記第2部分を加熱することを特徴とする請求項93に記載のプロセス。
【請求項96】
さらに、
前記組成層を、前記層の一部を液化させるのに十分な温度まで加熱することと、
現像媒体を前記外面に接触させることとを含むことを特徴とする請求項55に記載のプロセス。
【請求項97】
前記第1支持部材がローラであり、前記接触ステップが、ホットロールで前記現像媒体のウェブに供給することを含むことを特徴とする請求項96に記載のプロセス。
【請求項98】
さらに、前記ローラ上で回転する前記感光性要素の前記外面の直線速度を、前記ホットロール上で移動する前記ウェブの直線速度と同期させることを含むことを特徴とする請求項97に記載のプロセス。
【請求項99】
さらに、前記第1支持部材および前記第2支持部材の周囲で前記円筒形支持体を回転することを含むことを特徴とする請求項55に記載のプロセス。
【請求項100】
円筒形支持体と、前記支持体の内面とは反対側で前記支持体上にある組成層とを備えた感光性要素から印刷版を形成するプロセスであって、前記組成層は部分的に液化することができ、
前記円筒形支持体の前記内面の第1部分と接触し、前記第1部分とは異なる前記円筒形支持体の前記内面の第2部分と接触することによって前記感光性要素を支持することを含み、前記円筒形支持体が、前記第1部分と前記第2部分の間に1つまたは複数の支持されていない部分を有し、さらに、
現像媒体を、前記支持体とは反対側の前記感光性要素の前記外面と接触させることと、
前記組成層の前記外面を、前記層の一部を液化させるのに十分な温度まで加熱することとを含むプロセス。
【請求項101】
前記支持することが、前記第1部分と接触する外面を有するローラ上で前記第1部分を支持することと、前記第2部分と接触する弓形外面を有する台部材上で前記第2部分を支持することとを含むことを特徴とする請求項100に記載のプロセス。
【請求項102】
前記接触することが、前記現像媒体のウェブを供給部材の前記外面に供給することを含むことを特徴とする請求項101に記載のプロセス。
【請求項103】
さらに、前記ローラを回転することと、前記外面の直線速度を前記現像媒体のウェブの直線速度と同期させることとを含むことを特徴とする請求項101に記載のプロセス。
【請求項104】
さらに、前記ローラと前記台部材と前記供給部材との間に相対的運動を提供することとを含むことを特徴とする請求項102に記載のプロセス。
【請求項105】
前記プロセスがさらに、前記組成層を、前記層の一部を液化させるのに十分な温度まで加熱することと、現像媒体を前記外面に接触させることとを含み、前記円筒形支持体が、前記第1支持部材および前記第2支持部材の周囲で連続的に回転し、それによって前記加熱および接触ステップを連続的に繰り返すことを特徴とする請求項55に記載のプロセス。
【請求項106】
さらに、支持および処理の前に、前記感光性要素の像面を化学線に露光することを含むことを特徴とする請求項55に記載のプロセス。
【請求項107】
像面の露光が、フォトツールおよび統合マスクで構成したグループから選択されたマスクを通ることを特徴とする請求項106に記載のプロセス。
【請求項108】
さらに、前記要素の前記支持体を通して化学線に露光することと、前記処理後に前記要素を化学線に後露光することと、300nm未満の放射線に前記要素を仕上げ露光することとで構成したグループから選択した少なくとも1つの追加露光を含むことを特徴とする請求項55に記載のプロセス。
【請求項109】
前記感光性要素が、前記円筒形支持体上の連続的光重合性層、前記円筒形支持体上の1つまたは複数の感光性シート、および前記組成層および前記円筒形支持体に形成した基礎支持体を備える感光性印刷版で構成したグループから選択されることを特徴とする請求項55に記載のプロセス。
【請求項110】
さらに、処理中の前記第1支持部材の温度、前記第2支持部材の温度、前記現像媒体を前記外面に供給する供給部材の温度、前記供給部材と前記第1支持部材の間の圧力、および前記感光性要素の前記外面の線回転速度で構成したグループから選択したプロセスパラメータのうち少なくとも1つを変更したことを含むことを特徴とする請求項55に記載のプロセス。
【請求項111】
前記組成層がエラストマであり、結合剤、少なくとも1つの単量体および光開始剤または光開始剤システムであることを特徴とする請求項55に記載のプロセス。
【請求項112】
前記感光性要素がさらに、処理中に熱で除去可能である前記組成層上の少なくとも1つの追加層を備え、前記追加層が、感光性になり得るエラストマ層、第2感光性エラストマ層、剥離層、ワックス層、および赤外線感受性マスク層で構成したグループから選択され、前記組成層とは反対側の前記最外追加層の表面が、前記感光性要素の前記外面を形成することを特徴とする請求項55に記載のプロセス。
【請求項113】
さらに、平面の感光性要素の対向する端部を接合して、前記円筒形支持体を形成することによって、円筒形の感光性要素を形成することを含むことを特徴とする請求項55に記載のプロセス。
【請求項114】
前記接合ステップが、溶融融合、締め付け、縫合、テープ留め、接着およびステープル留めで構成したグループから選択されることを特徴とする請求項113に記載のプロセス。
【請求項115】
前記処理ステップ後に、前記プロセスがさらに前記印刷版を印刷用シリンダ上に装着することを含むことを特徴とする請求項55に記載のプロセス。
【請求項116】
前記処理ステップ後に、前記プロセスがさらに、平面の印刷版を生成するために前記円筒形支持体を切削することと、前記平面印刷版を印刷用シリンダに装着することとを含むことを特徴とする請求項55に記載のプロセス。
【請求項117】
請求項106の前記プロセスによって生成された円筒形フレキソ印刷版。

【図1】
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【公開番号】特開2006−168349(P2006−168349A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−327957(P2005−327957)
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】