説明

再帰反射シート

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は道路標識や工事標識等の標識類、自動車及びオートバイ等のナンバープレート類、あるいは救命具衣服等の安全資材類等において有用な再帰反射シートに関し、特にポリカーボネート樹脂(以下PCと略称することがある)板や繊維強化樹脂(以下FRPということがある)板等のガスを発生し易い被着体への貼り付けにおいて有用な再帰反射シートに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より光を光源に向けて再帰反射させる再帰反射シートは良く知られており、その再帰反射性を利用して該シートは上記のごとき利用分野で利用されているが、近年になって再帰反射シートの再帰反射性能に基づく夜間の優れた視認性が広く一般に認められる様になるに従って再帰反射シートは上記以外の様々な分野でも広く利用される様になってきた。
【0003】それに伴い再帰反射シートには従来一般に貼り付け基材として用いられてきたアルミニウム板、鉄板等の金属製の被着体に加えて、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂、PC、FRP、ウレタン樹脂等のごとき様々な樹脂を用いた被着体にも貼り付け可能であることが望まれる様になってきた。これら樹脂を用いた被着体(以下、樹脂製被着体ということがある)は従来一般的に用いられてきた金属製被着体とは異なり、用いられる樹脂の種類により、また、その成形方法により様々な特性を有する。このため樹脂製被着体に貼り付ける再帰反射シートにおいては、用いられる樹脂に合わせた接着剤の選定が重要で、この接着剤の選定が不適当だと様々なトラブルが発生することがある。
【0004】中でも樹脂製被着体には、該被着体よりガス等を発生するものがいくつもあり、これらガス等を発生する樹脂製被着体に通常の再帰反射シートを貼り付けると、発生ガス等により再帰反射シートが膨れてしまい著しい外観不良になる。また、ひどい場合には再帰反射シートが剥がれてしまうというトラブルがあり大きな問題となっている。
【0005】例えば被着体が溶剤を含有する樹脂を塗装等の手段により成形したものである場合、成形後も被着体中には通常小量の溶剤が残留しており、この残留溶剤は経時的に被着体表面よりガス状物として大気中に放出される。また、例えば被着体が成形時に化学反応によりガスを発生するような樹脂を用いたものである場合においても、該被着体中に残留するガス又は未反応樹脂が経時的反応により発生するガス等が、該被着体表面より大気中に放出されることがある。さらに、例えば、被着体が水分等を含有しやすい樹脂を用いたものである場合は、経時により水分が液状物として、または水蒸気状のガス状物として被着体表面より大気中に放出されることがある。
【0006】これらガス等を発生する被着体に再帰反射シートを貼り付けると、発生したガス等は大気中に放出されることができなくなるため、再帰反射シートの接着剤層と被着体との界面等に溜まることになり、結果として再帰反射シートにフクレを生じさせ、ひどい場合は剥離トラブルを発生させてしまうのである。
【0007】従来より、この様なトラブルを改善しようとする改良については、いくつか試みがなされており、例えば、接着剤層として被着体に対する接着力が良好なものを用い、被着体よりのガス等の発生を抑さえてしまおうとする試みがなされている。しかしながら本発明者等の検討によれば、接着剤層の被着体に対する接着力を向上させるだけでは、一時的にはフクレの発生をおさえることが可能であっても、長期にわたってガス等の発生をおさえることは非常に困難であって、結果として再帰反射シートのフクレを防止することができないことが判った。
【0008】また、例えば接着剤層中、または接着剤層上にガス等を透過させることが可能な多数の空隙を有する特殊な層を設け、この層によりガス等を捕獲し、又はこの特殊な層を通してガス等を大気中に放出しようとする試みもなされている。しかしながらこの試みにおいては、この特殊な層を設けることにより再帰反射シートの厚さが厚くなってしまって作業性等が悪くなり、また、特殊な層を製造することが非常に煩雑で、コスト的にも不利益であり、または接着剤層中にこの様な特殊な層を設けると接着力が低下してしまう等の欠点を有している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、接着剤層中に前述のごとき特殊な空隙保有層等を用いることなく、簡単な構成で優れた耐フクレ特性を有する卓越した再帰反射シートを提供することにある。
【0010】本発明者等は再帰反射シートの接着剤層について種々検討を重ねた結果、凝集力に優れ、且つヌレ特性に優れた接着剤層を再帰反射シートに設けることによって優れた耐フクレ性が得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
【課題を解決するための手段】かくして本発明によれば、再帰反射性要素の層と、該再帰反射性要素の背面に位置する接着剤層と、該接着剤層の背面に位置する剥離基材とよりなる再帰反射シートにおいて、該接着剤層の100℃における保持力が10mm/1000min以下で、且つ、ポリカ−ボネ−ト樹脂板に対するヌレが貼り付け30分後に50%以上であることを特徴とする再帰反射シートが提供される。
【0012】以下、本発明の再帰反射シートについてさらに詳細に説明する。
【0013】本発明の再帰反射シートにおいて、接着剤層は100℃における保持力が10mm/1000min以下のものを用いることが必要であり、該保持力が5mm/1000min以下、特には2mm/1000min以下とするのが好ましい。該保持力が該上限値を超える接着剤層を用いると優れた耐フクレ特性は得られない。ガス等の発生は通常被着体が高温になればなるほど発生量が大になる傾向にあり、一方、接着剤層は通常高温になればなるほど軟らかくなって凝集力が低下し、ガス等の発生に基づくフクレをおさえる機能が低下してくる傾向にある。このため、高温時の接着剤層の凝集力を高くすることが優れた耐フクレ特性を得るためには特に重要で、そのためには、接着剤層の100℃における保持力を10mm/1000min以下とするようにすればよいのである。
【0014】本発明の再帰反射シートにおいて接着剤層はPC板に対するヌレが貼り付け30分後において50%以上のものである必要があり、好ましくはこのヌレの値が70%以上、さらに好ましくは90%以上とするのがよい。このヌレの値が該下限値50%未満では貼り付け初期における優れた耐フクレ特性が得られない。ガス等の発生は、通常被着体が成形された直後が最もその発生量が大で経時的に減少していく傾向にある。このため、被着体に貼り付けた再帰反射シートは、貼り付け直後にフクレが発生する傾向にあり、従って優れた耐フクレ性を有する再帰反射シートを得るためには、貼り付け直後のフクレを防止することが重要である。そのためには接着剤層の被着体に対するヌレ特性を向上させることが重要で、ヌレ特性の目安として接着剤層のPC板に対する貼り付け30分後におけるヌレを50%以上とすればよい。
【0015】尚、ヌレ特性は表面平滑度が850秒の透明PC板に再帰反射シートを2kgローラーを使用し貼り付け、30分後に該PC板の側より再帰反射シートの接着剤層を観察し、PC板と接着剤層が完全にヌレた状態にある部分の面積%を求めることにより測定できる。
【0016】接着剤層の接着力は特に制限されるものではないが、接着力が高い方がより好ましいフクレ防止効果が得られる傾向にあり、PC板に再帰反射シートを貼り付け、60分後の接着力が200g/25mm以上であるのが好ましく、300g/25mm以上であるのがより好ましく、500g/25mm以上であるのが更に好ましい。
【0017】接着剤層を形成する樹脂の分子量は特に制限されるものではないが、分子量の高い樹脂ほど好適な保持力が得られやすい傾向にあり、重量平均分子量(以下Mwと略称することがある)50万以上の樹脂、より好ましくは60万〜100万の樹脂、更に好ましくは80万〜100万の樹脂を用いることが好適である。中でも官能基を有するMw 50万以上の樹脂をイソシアネート系架橋剤等の架橋剤を用いて架橋反応させた樹脂を用いると特に優れた保持力が得られ最も好適である。
【0018】接着剤層を形成する樹脂の種類は特に制限されるものではなく、通常の接着剤用樹脂として用いられる樹脂を使用すればよく、例えば、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、ゴム系樹脂、フェノール系樹脂等が用いられる。中でも耐候性に優れ、接着特性の良好なアクリル系樹脂またはシリコン系樹脂が好適に用いられる。
【0019】接着剤層は前述のごとき保持力を有し、ヌレ特性に優れるものである限り、その厚さは特に制限されるものではないが、通常20〜60μm程度の厚さのものが用いられ、好ましくは30〜50μmのものが好適に用いられる。
【0020】本発明の再帰反射シートに用いられる剥離基材は特に限定されるものではなく、通常の剥離紙、剥離フィルム等を用いればよいが、より好ましいヌレ特性を得るためにはできるだけ剥離基材の平滑度が高いものを用いることが好ましく、平滑度1000秒以上の平滑表面を有する剥離基材が好適に用いられ、最も好適にはシリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレート(以下PETと略称することがある)の剥離基材が用いられる。
【0021】本発明の再帰反射シートは、接着剤層を前述した保持力及びヌレ特性を有する層として形成することを除けば、従来より既知の材料及び方法を用いて製造することができ、例えば、溶剤に溶解させた接着剤形成用樹脂に、架橋剤等の添加剤を加え十分に攪拌した混合液を、剥離基材の上にダイレクトコーティング法、リバースコーティング法等によりコーティングし、大部分の溶剤を除去して接着剤層を形成する。そして別途形成した従来より既知のオープンレンズ型再帰反射性要素、封入レンズ型再帰反射性要素、カプセルレンズ型再帰反射性要素、または、カプセルキューブコーナー型再帰反射性要素等の再帰反射性要素の層を有するシートを積層、貼り合わせる等の方法を用いて簡単に製造することができる。
【0022】図1は、本発明の再帰反射シートの一態様である封入レンズ型再帰反射シートの断面構成概略図を示したものである。図1において8は封入レンズ型再帰反射性要素の層であり、表面に耐摩耗性等を付与するための透明樹脂層等よりなる表面層1、レンズとして機能する屈折率2.1〜2.3程度のガラス球等よりなる微小球レンズ層2、微小球レンズを結合・固定するための透明樹脂等よりなる結合層3、アルミニウム蒸着膜のごとき光反射層5をレンズの光学的焦点位置に形成するための透明樹脂等よりなるスペース層4よりなっている。再帰反射性要素の層の背面には保持力に優れ、ヌレ適性に優れる接着剤層6が形成されており、接着剤層の背面には接着剤層を保護するための剥離基材7が設けられている。
【0023】本発明の再帰反射シートは、接着剤層の保持力が良好で、かつ、ヌレ特性に優れるているため、ガス等を発生する樹脂等を用いた被着体に貼り付けた場合においてもフクレが発生することなく、優れた外観を長期にわたって維持することができる。
【0024】
【実施例】以下実施例、比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお実施例及び比較例において用いた測定方法は以下のとおりである。
【0025】(1) 保持力圧着から測定までの時間を1時間とし、100℃の加熱下、1000分後の保持力を測定したこと以外は全てJIS Z-0237に準拠して行った。
【0026】(2) ヌレ特性試料を50mm×50mmにカットし、平滑度が850秒の透明なPC板に2kgローラーで貼り合わせ後、23℃で30分間放置し、PC板側より目視で試料の接着剤がPC板に接している面積の割合を測定した。
【0027】(3) 接着力25mm×250mmの試料を3枚作製し、PC板に2kgローラーを用いて貼り合わせて23℃で1時間放置後、300mm/minの速度で180方向に試料を引き剥し、接着力を測定した。測定はすべてJIS Z-0237に準拠して行った。
【0028】(4) 剥離基材の平滑度試験片の測定面を標準面にあて、裏面より規定の圧力で押さえ、真空ポンプで器内を減圧して水銀が380mmの標線より10〜20mm上に達した時にコックを閉じ、切り替えコックを回し、1mlの通過時間を測定した。測定はJIS P-8119に準拠して行った。
測定機器:ベック平滑度試験機
【0029】(5) フクレの評価方法25mm×75mmの試料をPC板又はFRP板に2kgローラーで貼り合わせ、23℃で30分間放置後70℃で24時間加熱し、目視にてフクレの状態を観察し判定した。なお判定は以下評点に従った。
5:フクレの発生が全く無い。
4:最大径が2mm未満のフクレが1〜10個発生した。
3:最大径が2mm未満のフクレが10個以上発生した。
2:最大径が2〜5mmのフクレが発生した。
1:最大径が5mm超のフクレが発生した。
【0030】実施例1まず、下記A〜Cの手順で再帰反射性要素の層を作製した。
A. ポリエステル系樹脂「Q-203」〔商品名;三井東圧化学(株)製〕80重量部、同じくポリエステル系樹脂「P-647BC」〔商品名;三井東圧化学(株)製〕20重量部、メラミン系架橋剤「ニカラック MS-11」〔商品名;三和ケミカル(株)製〕8重量部、セルロース系剥離剤「CAB」〔商品名;特殊色料工業(株)製〕8重量部、レベリング剤液〔アクリル系レベリング剤「RL-4」{商品名;三井東圧(株)製}をメチルイソブチルケトン(MIBK)で固形分10重量%となるように希釈したもの〕3.2重量部、消泡剤液〔シリコーン系消泡剤「TSF-4445」{商品名;東芝シリコーン(株)製}をMIBKで固形分10重量%となるように希釈したもの〕0.055重量部、MIBK 39.2重量部、及び、トルエン 16.8重量部を攪拌混合して均一な配合液として調製した。この配合液を厚さ約75μmのPET上に塗布し、大部分の溶剤を除去して厚さ約26μmの透明樹脂表面層を形成した。
【0031】B. アクリル系樹脂「ST-310」〔商品名;特殊色料工業(株)製〕100重量部、架橋剤「デュラネート D-201」〔商品名;ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)系;旭化成(株)製〕11重量部、架橋剤「スミジュール N-75」〔商品名;HMDI系;住友バイエルウレタン(株)製〕1重量部、MIBK 19.1重量部、トルエン 8.1重量部、及び、石油系炭化水素系溶剤「スーパーゾール 1500」〔商品名;三菱石油(株)製〕16重量部を攪拌混合した配合液を、前記Aで作製した透明樹脂表面層の上に塗布し、大部分の溶剤を除去して厚さ約21μmの結合層を形成した。
【0032】この結合層上に平均粒径約40μm、屈折率約2.2のビーズ「K-43」〔商品名;日本電気硝子(株)製〕を単層で密に付着させ、熱と圧力をかけガラスビーズを結合層中に直径の約1/2が埋没するようにして埋め込んだ。
【0033】C. アクリル系樹脂「ST-400」〔商品名;特殊色料工業(株)製〕100重量部、メラミン系架橋剤「ニカラック MS-11」5.5重量部、MIBK 31.8重量部、及び、トルエン 47.7重量部を攪拌混合した配合液を上記結合層及びガラスビーズ上に塗布して大部分の溶剤を除去して厚さ約14μmの透明層を形成した。
【0034】さらに、この層の上にアクリル系樹脂「ST-400」20重量部、アクリル系樹脂「ST-540」〔商品名;特殊色料工業(株)製〕80重量部、メラミン系架橋剤「ニカラック MS-11」5.5重量部、MIBK 46.6重量部、及び、トルエン 69.9重量部を攪拌混合した配合液を塗布し、大部分の溶剤を除去して総厚さ約21μmのスペース層を形成した。尚このスペース層はガラスビーズの球状面に沿うような形状で形成した。然る後、上記スペース層の上にアルミニウムを蒸着させて厚さ約0.3μmの光反射層を形成した。
【0035】次に、接着剤用樹脂としてMw約80万で固形分30重量%のアクリル系樹脂「ニッセツ KP-1749」〔日本カーバイド工業(株)製:商品名〕100重量部、酢酸エチル 20重量部、及び、架橋剤「ニッセツ CK-401」〔商品名;HMDI系;日本カーバイド工業(株)製〕3重量部を攪拌混合し、これを平滑度1900秒のPETの剥離基材「RFT-100」〔商品名;サンエー化学工業(株)製〕上に塗布し、大部分の溶剤を除去して厚さ約35μmの接着剤層を形成した。
【0036】次いで、上記A〜Cの手順で作製した再帰反射性要素の層と接着剤層を光反射層が接着剤層と接着するようにして貼り合わせて本発明の再帰反射シートを作製した。得られた再帰反射シートは表1に示す様に本発明の目的を十分に満足するものであった。
【0037】実施例2剥離基材を平滑度2100秒の紙の剥離基材「E2P-L」〔商品名;リンテック(株)製〕にした以外はすべて実施例1と同様にして再帰反射シートを作製した。得られた再帰反射シートは表1に示す様に本発明の目的を満足するものであった。
【0038】実施例3接着剤層の架橋剤である「ニッセツ CK-401」の添加量を10.5重量部とし、剥離基材を平滑度3500秒のPETの剥離基材「PET 7511」〔商品名;リンテック(株)製〕にした以外はすべて実施例1と同様にして再帰反射シートを作製した。得られた再帰反射シートは表1に示す様に本発明の目的を十分に満足するものであった。
【0039】実施例4接着剤用樹脂をMw約75万で固形分35重量%のアクリル系樹脂「ニッセツ KP-1477」〔商品名;日本カーバイド工業(株)製〕にした以外はすべて実施例1と同様にして再帰反射シートを作製した。得られた再帰反射シートは表1に示す様に本発明の目的を満足するものであった。
【0040】実施例5接着剤用樹脂をMw約50万で固形分40重量%のアクリル系樹脂「ニッセツ SX-4096」〔商品名;日本カーバイド工業(株)製〕とし、酢酸エチルの添加量を60重量部とした以外はすべて実施例1と同様にして再帰反射シートを作製した。得られた再帰反射シートは表1に示す様に本発明の目的を満足するものであった。
【0041】比較例1接着剤用樹脂をMw約48万で固形分39重量%のアクリル系樹脂「ニッセツ KP-802L」〔商品名;日本カーバイド工業(株)製〕とし、架橋剤「ニッセツ CK-401」を1重量部、酢酸エチルを60重量部とした以外はすべて実施例1と同様にして再帰反射シートを作製した。得られた再帰反射シートは表1に示す様にフクレの発生を抑さえることができないものであった。
【0042】比較例2剥離基材を平滑度250秒の紙の剥離基材「セパック」〔商品名;王子化工(株)製〕にした以外はすべて実施例4と同様にして再帰反射シートを作製した。得られた再帰反射シートは表1に示す様にフクレの発生を抑さえることができないものであった。
【0043】
【表1】


【0044】
【発明の効果】本発明は、再帰反射性要素の層と、該再帰反射性要素の背面に位置する接着剤層と、該接着剤層の背面に位置する剥離基材とよりなる再帰反射シートにおいて、その接着剤層として保持力が特定値以下で、且つ、ポリカ−ボネ−ト樹脂板に対するヌレ挙動が特定のものを用いることを特徴とするものである。
【0045】このことにより、接着剤層にガス透過可能な多数の空隙を設けるなど煩雑で問題点の多い手段を用いることなく、残留溶剤や吸着水分等の揮散、化学反応などによりガス等を発生する被着体に貼り付けても、再帰反射シートがふくれて外観不良となったり、剥がれてしまうなどのトラブル発生を回避しうる卓越した再帰反射シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の再帰反射シートの一態様である封入レンズ型再帰反射シートの断面構成概略図を示したものである。
【符号の説明】
・・・・・・表面層
・・・・・・微小球レンズ
・・・・・・結合層
・・・・・・スペース層
・・・・・・光反射層
・・・・・・接着剤層
・・・・・・剥離基材
・・・・・・封入レンズ型再帰反射性要素の層

【特許請求の範囲】
【請求項1】再帰反射性要素の層と、該再帰反射性要素の背面に位置する接着剤層と、該接着剤層の背面に位置する剥離基材とよりなる再帰反射シートにおいて、該接着剤層が重量平均分子量が50万以上の樹脂を架橋反応により架橋させた樹脂であって、100℃における保持力が10mm/1000min以下で、且つ、ポリカ−ボネ−ト樹脂板に対するヌレが貼り付け30分後に50%以上であることを特徴とするガス発生被着体用再帰反射シート。
【請求項2】接着剤層のポリカ−ボネ−ト樹脂板に対する接着力が貼り付け60分後に200g/25mm以上である請求項1に記載の再帰反射シート。
【請求項3】接着剤層がアクリル系樹脂又はシリコン系樹脂により形成されている請求項1〜2のいずれか1項に記載の再帰反射シート。
【請求項4】剥離基材が平滑度1000秒以上の平滑表面を有する請求項1に記載の再帰反射シート。
【請求項5】剥離基材がシリコーン処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムである請求項4に記載の再帰反射シート。

【図1】
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【特許番号】特許第3278299号(P3278299)
【登録日】平成14年2月15日(2002.2.15)
【発行日】平成14年4月30日(2002.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−193830
【出願日】平成6年7月27日(1994.7.27)
【公開番号】特開平8−43615
【公開日】平成8年2月16日(1996.2.16)
【審査請求日】平成11年9月1日(1999.9.1)
【出願人】(000004592)日本カーバイド工業株式会社 (165)
【参考文献】
【文献】特開 平4−86701(JP,A)
【文献】特開 平5−173008(JP,A)