説明

再転写方式の印刷装置及び再転写方式の印刷方法

【課題】不可視インクを用い印刷レイアウトの制限がなく高セキュリティ性を有する印刷が可能で昇華性インクの退色が抑制された再転写方式の印刷装置(60)を提供する。
【解決手段】昇華性インク領域(Y,M,C)と不可視インク領域(UVS)とを有するインクフィルム(33)及び各インクの受容層(11c)を有する中間転写フィルム(11)を用い、印刷像を昇華性インク及び不可視インクを受容層に転写して転写像を形成しその像を被印刷物に再転写する印刷装置を、印刷像での昇華性インク像(18)と不可視インク像(20)との重畳を判定する重畳判定部(76-5)とその判定結果に応じて転写動作を制御する制御部(6)とを備え、重畳有では、制御部が昇華性インク像と不可視インク像とを受容層の被印刷物に各対応した異なる領域(21,22)にそれぞれ転写させ、重畳無では、制御部が昇華性インク像と不可視インク像とを受容層における被印刷物に対応した同じ領域(212)に転写させる構成にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再転写方式の印刷装置及び再転写方式の印刷方法に係り、特に、被印刷物に印刷した情報のセキュリティ性を高めつつ、経済性にも優れた技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カードなどの被印刷物の改竄や偽造を防止しそのセキュリティ性を高める技術が種々検討され実用化されてきている。
このような技術は、特にカード、具体的には、クレジットカード,IDカード,身分証明用カードなど、に広く適用されることが望まれている。
また、個人を特定するためのカードには、その所有者の顔写真を印刷する場合が多く、文字などに好適に用いられる溶融型インクに加えて、高品位な写真印刷に適した昇華型インクを用いる例が増加している。
【0003】
セキュリティ性を高める技術としては、可視光においては不可視であるが特定の波長域(例えば紫外線)で蛍光して可視となるいわゆる不可視インクを用いて、写真やデータなどを常態で不可視に印刷しておく技術が知られており、例えば、特許文献1には、カードに不可視インクで認証コードを印刷する技術について記載されている。
【0004】
また、昇華性インクと不可視インクとを用いてカードを作成する技術の一例が特許文献2に記載されている。
この特許文献2に記載されたカードは、改竄や偽造を防止してセキュリティー性を高めたIDカードであり、昇華性インクにより印刷された顔写真画像領域上に、紫外線の照射により蛍光して目視可能となる蛍光インキを用いて固有情報が重ねて印刷されて成るものである。
【0005】
そして、このカードの製造においては、昇華転写リボンとして、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(B)の順に昇華染料層を設けると共に、これに続けて蛍光インキと保護層とを設けたものを用いることが記載されている。
【特許文献1】特開平5−52069号公報
【特許文献2】特開平11−321166号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、一般に、昇華性インクは溶融型インクと比べて耐光性に改善の余地が多い。
具体的には、光の照射により退色する傾向があるのでこの退色が抑制されることが望まれている。
【0007】
しかしながら、特許文献2に記載されたカードのような、昇華性インクで印刷した領域上に不可視インクを重ね印刷する構成においては、不可視インクで印刷された情報の確認のため紫外線が照射される毎に、昇華性インクは不可視インクの蛍光を直接浴びることになる。
そのため、退色がより促進されて印刷画像が早く劣化し、カードとして有効に利用できる期間が短くなることが懸念される。
【0008】
また、カードなどの被印刷物の印刷レイアウトは自由であって、昇華性インク上に不可視インクが重ね印刷されないレイアウトでも印刷を行えることが望まれる。
すなわち、仮に、印刷装置が、昇華性インクと不可視インクとが重なるようなレイアウトの印刷のみに特化したものでは、使い勝手が良くなく、コストアップになるので、印刷レイアウト上の制限がなく良好に印刷が可能で、しかも高いセキュリティ性を発揮する印刷装置や印刷方法であることが望まれている。
【0009】
また、高いセキュリティ性が求められる情報は、いわゆるトレーサビリティにも良好に対応できていることが望ましい。
従って、例えば、印刷装置側の製造情報や、修理及び改訂履歴などが、被印刷物に印刷された情報から特定できることは極めて有効である。
【0010】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、被印刷物への印刷レイアウト上の制限がなく不可視インクを用いた高いセキュリティ性を有する印刷が可能で、そのレイアウトにおいて昇華性インクと不可視インクとを同じ領域に重なったとしても、被印刷物は、昇華性インクの退色が抑制されて長期にわたり利用可能であり、また、印刷物の印刷に関するトレーサビリティ性に優れた、再転写方式の印刷装置及び再転写方式の印刷方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本願発明は手段として次の構成及び手順を有する。
1) 装着された、昇華性インクによる昇華性インク領域(Y,M,C)と不可視インクによる不可視インク領域(UVS)とを有するインクフィルム(33)、及び、前記昇華性インク及び不可視インクを受容する受容層(11c)を有する中間転写フィルム(11)、を用い、
被印刷物(1AA)に印刷する印刷像を、前記インクフィルム(33)の前記昇華性インク及び不可視インクを前記受容層(11c)に転写して転写像を形成し、前記転写像を前記被印刷物(1AA)に再転写する再転写方式の印刷装置において、
前記印刷像における前記昇華性インクで印刷する昇華性インク像(18)と前記不可視インクで印刷する不可視インク像(20)との重畳の有無を判定する重畳判定部(76−5)と、
前記重畳判定部(76−5)の判定結果に応じて前記転写動作を制御する制御部(6)と、を備え、
前記重畳判定部(76−5)が重畳有りと判定した場合には、前記制御部(6)が、前記昇華性インク像(18)と前記不可視インク像(20)とを、前記受容層(11c)における前記被印刷物(1AA)に各対応した異なる領域(21,22)にそれぞれ転写させ、
前記重畳判定部(76−5)が重畳無しと判定した場合には、前記制御部(6)が、前記昇華性インク像(18)と前記不可視インク像(20)とを前記受容層(11c)における前記被印刷物(1AA)に対応した同じ領域(212)に転写させるよう構成したことを特徴とする再転写方式の印刷装置(60)である。
2) 前記インクフィルム(33)が溶融インクによる溶融インク領域(K)を有し前記受容層(11c)が該溶融インクを受容する場合に、前記インクフィルム(33)の昇華性インク,不可視インク,及び前記溶融インクを前記受容層(11c)に転写して転写像(18,19,20)を形成し、
前記重畳判定部(76−5)は、前記溶融インクで印刷する溶融インク像(19)と前記不可視インクで印刷する不可視インク像(20)との重畳の有無を判定し、
前記制御部(6)は、前記重畳判定部(76−5)の重畳の有無の判定結果に応じて前記中間転写フィルム(11)に対する前記溶融インクと前記不可視インクとの転写順を制御することを特徴とする1)に記載の再転写方式の印刷装置(60)である。
3) 前記不可視インクで印刷する不可視インク像(20)は、当該再転写方式の印刷装置(60)の固有情報(KJ)を含むことを特徴とする1)または2)に記載の再転写方式の印刷装置(60)である。
4) 前記固有情報(KJ)は、当該再転写方式の印刷装置(60)の製造番号またはMACアドレスであることを特徴とする3)に記載の再転写方式の印刷装置である。
5) 装着された、昇華性インクによる昇華性インク領域(Y,M,C)と不可視インクによる不可視インク領域(UVS)とを有するインクフィルム(33)、及び、前記昇華性インク及び不可視インクを受容する受容層(11c)を有する中間転写フィルム(11)、を用い、
被印刷物(1AA)に印刷する印刷像を、前記インクフィルム(33)の前記昇華性インク及び不可視インクを前記受容層(11c)に転写して転写像を形成し、前記転写像を前記被印刷物(1AA)に再転写する再転写方式の印刷方法において、
前記印刷像における前記昇華性インクで印刷する昇華性インク像(18)と前記不可視インクで印刷する不可視インク像(20)との重畳の有無を判定する重畳判定ステップ(S3)と、
前記重畳判定ステップ(S3)で重畳有りと判定した場合に、前記昇華性インク像(18)と前記不可視インク像(20)とを、前記受容層(11c)の長手方向において前記被印刷物(1AA)に各対応した異なる領域(21,22)にそれぞれ転写させ、
前記重畳判定ステップ(S3)で重畳無しと判定した場合には、前記昇華性インク像(18)と前記不可視インク像(20)とを前記受容層(11c)における前記被印刷物(1AA)に対応した同じ領域(212)に転写させる転写ステップを有することを特徴とする再転写方式の印刷方法である。
6) 前記インクフィルム(33)が溶融インクによる溶融インク領域(K)を有し前記受容層(11c)が該溶融インクを受容する場合に、前記インクフィルム(33)の昇華性インク,不可視インク,及び前記溶融インクを前記受容層(11c)に転写して転写像を形成し、
前記溶融インクで印刷する溶融インク像と前記不可視インクで印刷する不可視インク像との重畳の有無を判定する溶融インク像重畳判定ステップ(S4,S5)をさらに有し、
前記転写ステップは、前記溶融インク像重畳判定ステップ(S4,S5)での重畳の有無の判定結果に応じて前記中間転写フィルムに対する前記溶融インクと前記不可視インクとの転写順を制御することを特徴とする5)に記載の再転写方式の印刷方法である。
7) 前記不可視インクで印刷する不可視インク像(20)は、当該再転写方式の印刷方法で前記転写を行う印刷装置(60)の固有情報(KJ)を含むことを特徴とする5)または6)に記載の再転写方式の印刷方法である。
8) 前記固有情報KJは、当該再転写方式の印刷方法で前記転写を行う前記印刷装置(60)の製造番号またはMACアドレスであることを特徴とする7)に記載の再転写方式の印刷方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、被印刷物への印刷レイアウト上の制限がなく不可視インクを用いた高いセキュリティ性を有する印刷が可能で、そのレイアウトにおいて昇華性インクと不可視インクとを同じ領域に重なったとしても、被印刷物は、昇華性インクの退色が抑制されて長期にわたり利用可能であり、また、印刷物の印刷に関するトレーサビリティ性に優れる、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の形態を、好ましい実施例により図1〜図16を用いて説明する。
【0014】
実施例の再転写方式の印刷装置は、この装置に装着され昇華性インクなどのインク層を面順次に形成したインクフィルムを用い、そのインクを、この装置に装着されインク受容層が設けられた中間転写フィルムに像として転写し、この転写された像を、この装置に供給された被印刷物であるカード基体に再度転写してカードを作成するものである。これはいわゆる再転写印刷方式と呼ばれる。
【0015】
この印刷装置はカード製造装置60であり、図1(a),図1(b)に示すように、カード基体1AAの搬送駆動源であるモータM3とこのモータM3に連結されカード基体1AAを挟持して搬送する挟持ローラ2とを有するカード搬送部KHと、カード基体1AAの搬送位置を検出するセンサ7Bと、詳細を後述するインクフィルム33を張架した一対のリール4と各リール4を回転駆動するモータM1,M2とを有するインクフィルム搬送部IFHと、インクフィルム33にその各インク層の位置を特定するために設けられたポジションマークPM11〜PM14(後述)を非接触で検出するセンサ7Aと、インクフィルム33を加熱して昇華性インクあるいは溶融型インクを昇華あるいは溶融させるサーマルヘッド5と、ローラ5Bとの間でインクフィルム33を中間転写フィルム11(後述する)に押圧させるようにこのサーマルヘッド5を図1(a)における左右方向に移動させるヘッド駆動部HAと、この装置全体の動作を制御する制御部6と、印刷するデータを処理するデータ処理部76と、を有する。
【0016】
さらに、このカード印刷装置60は、中間転写フィルム11を張架した一対のリール12及び各リール12を回転駆動するモータM4,M5を有する中間転写フィルム搬送部TFHと、中間転写フィルム11にその搬送位置を特定するため設けられたポジションマークを非接触で検出するセンサ7Cと、中間転写フィルム11を加熱して昇華性インクあるいは溶融型インクを昇華あるいは溶融させるサーマルヘッド13と、中間転写フィルム11をカード基体1AAに押圧させるようにこのサーマルヘッド13を図1(a)における上下方向に移動させるヘッド駆動部HA2と、を備えている。
【0017】
インクフィルム33は、その部分平面図である図2に示すように、帯状の基材シート33aと、その一面に面順次に形成された昇華性インク層Y,M,Cと、紫外線発光インク層UVと、溶融型インク層Kとを有する。
以下、インクフィルム33に形成されたこれらの層を、それぞれ昇華性インク領域,昇華性紫外線発光インク(不可視インク)領域,溶融型インク領域とも称する。
具体的配列は、長手方向順に、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)の各昇華性インク層Y,M,Cと、昇華性紫外線発光インク層UVSと、黒色の溶融型インク層Kと、であり、これらを一組(KM2)として複数の組が繰り返し形成されている。
【0018】
また、各インク層の位置をセンサ7Aで判別して検出できるようにポジションマークPM11〜PM15が各インク層に対応して設けられている。
【0019】
一方、中間転写フィルム11は、その一例を断面図である図3に示すように、帯状の基部11aと、その一面上に積層された剥離層11b,保護層11c及びインク受容層11dとを有する。
これらの積層された層の内、表面側の保護層11c及びインク受容層11dが転写層11cdとされ、剥離層11bはこの転写層11cdの剥離を容易にするために設けられている。
【0020】
ここで、保護層11cは、例えばポリウレタン系樹脂,アクリル系樹脂,ポリエチレン系樹脂等により形成されている。
【0021】
この構成において、制御部6は、センサ7A,7Bからの出力信号に基づいて、中間転写フィルム11の未使用領域におけるこれからインクを転写する領域の頭出しと、この転写領域に転写する像の最初に転写する色の昇華性インク(例えばY)のインク層の頭出しとを行い、その頭出し位置をサーマルヘッド5の位置とするようにインクフィルム搬送部IFH及び中間転写フィルム搬送部TFHとを制御する。
【0022】
また、制御部6は、インクフィルム33と中間転写フィルム11との位置出しに伴い、ヘッド駆動部HAを駆動し、サーマルヘッド5とローラ5Bとの間にインクフィルム33と中間転写フィルム11とを挟みつつ両フィルムを搬送すると共に、サーマルヘッド5を加熱してインクを昇華させ、所定の転写像を中間転写フィルム11上に転写するよう制御する。
【0023】
この際、昇華したインクは、中間転写フィルム11のインク受容層11dに保持されることで転写される。
【0024】
データ処理部76は、ユーザの入力操作によって不可視インクで印刷する印刷データを生成するとともに、被印刷物への印刷レイアウトを基に各インクで印刷する領域の重なりの有無を検出し、その検出結果に応じて中間転写フィルムを効率よく利用できるように中間転写フィルムへの転写モードを設定する。
この転写モードは、再転写にも適用され、AモードおよびBモードに大別され、さらに、それぞれA1モードおよびA2モード、B1モードおよびB2モードに小別される。以下、モード毎に詳述する。
【0025】
制御部6は、このデータ処理部76で設定された転写モードに基づいて転写動作や再転写動作などを実行させる。
【0026】
<A1モード>
図4には、データ処理部76により設定されたA1モードに基づいて制御部6の指示により転写動作が実行された後の中間転写フィルム11を概略断面図として示している。
この中間転写フィルム11への転写において、昇華性インクの各色Y,M,Cは同一領域である第1の転写領域21に重ねて転写される。
【0027】
一方、この第1の転写領域21に所定の間隔を有して隣接する第2の転写領域22に、紫外線発光インク層UVSのインクと溶融型インク層Kのインクとが重ねて転写される。
すなわち、昇華性インクについては、第1の転写領域21の頭出しとインクフィルム33における各色の頭出しとを繰り返して、複数色Y,M,Cの各インクが第1の転写領域21のインク受容層11d(11d1)に転写される。これにより、インク受容層11d(11d1)には、昇華性インク像18が形成される。
この像は、フルカラーで極めて高品位に印刷できるので顔写真などが好適である。
【0028】
また、第2の転写領域22のインク受容層11d(11d2)に対しては、まず、紫外線発光インク層UVSのインクが転写されて不可視インク像20が形成され、次いで溶融型インク層Kのインクが重ねて転写されて溶融型インク像19が形成される。
従って、後から転写される溶融型インク像19は、第2の転写領域22のインク受容層11dにおいてその表面側に形成される。
以下、第1及び第2の転写領域21,22のインク受容層11dについて符号を各11d1,11d2と付与し、同様に保護層11cについて符号を各11c1,11c2と付与する場合がある。
【0029】
このように、各インク像18〜20が形成される第1,第2転写領域21,22は、中間転写フィルム11において予め領域が設定されると共に、その各転写領域21,22の間には各転写領域21,22を特定できるポジションマークPM16,PM17がそれぞれ設けられている。これらのポジションマークはセンサ7Bにより検出され、その検出信号に基づいてその位置が制御部6にて判定できるよう構成されている。
【0030】
このように中間転写フィルム11に転写された各インク像18〜20は、カード基体1AAに再転写される。
すなわち、制御部6は、センサ7Cにより検出されたカード基体1AAの搬送位置情報に基づいて、そのカード基体1AA上の再転写領域の頭出しをするようカード搬送部KHを制御する。
この頭出しは、再転写開始位置がサーマルヘッド13〔図1(a)参照〕に対応する位置となるように行われる。
【0031】
また、制御部6は、センサ7Cの検出信号に基づき、中間転写フィルム11の第1,第2の転写領域21,22の内、先に再転写する領域として第1の転写領域21を選択し、第1の転写領域21の再転写開始位置がサーマルヘッド13に対応する位置となるように中間転写フィルム搬送部TFHを制御する。
【0032】
制御部6は、中間転写フィルム11とカード基体1AAとの位置出しに伴い、ヘッド駆動部HA2を駆動し、サーマルヘッド13により中間転写フィルム11をカード基体1AAに押圧させつつ両者を搬送すると共に、そのサーマルヘッド13を加熱して、中間転写フィルム11の第1の転写領域21におけるインク受容層11d1及び保護層11c1(転写層11cd)を剥離層11bから剥離してカード基体1AAに転写(再転写)させるように制御する。
【0033】
従って、カード基体1AAには、第1の転写領域21における転写層11cdが、インク受容層11d1を内側に、そして、保護層11c1が外側になるように再転写される。
【0034】
次に、カード基体1AA上における再転写領域の再度の頭出しと、中間転写フィルム11における第2の転写領域22の頭出しとが行われ、第1の転写領域21の再転写と同様にして、中間転写フィルム11の第2の転写領域22におけるインク受容層11d2及び保護層11c2(転写層11cd)を剥離層11bから剥離してカード基体1AA上の先に再転写された第1の転写領域21の転写層11cd上に重ねて再転写させる。
【0035】
この重ね再転写については、一部繰り返しとなるが図5を用いて詳述する。図5は、被印刷物であるカード52A1における、カード基体1AAに転写された第1及び第2の転写領域21,22に対応する再転写領域の概略断面図である。
【0036】
まず、カード基体1AAにおける所定の再転写領域に対して、中間転写フィルム11において昇華性インク像18が形成された第1の転写領域21の転写層11cdを再転写する。これにより、カード基体1AA上には、転写層11cdが、インク受容層11d1,保護層11c1の順に積層される。
【0037】
次に、溶融型インク像19及び不可視インク像20が形成された第2の転写領域22を、先に第1の転写領域21を再転写した領域に重ねて再転写する。
【0038】
以上の再転写工程を経て、データ処理部76で選択されたA1モードによるカード52A1が形成される。
【0039】
このカード52A1は、昇華性インク像18が形成された層が、不可視インク像20が形成された層よりもカード基体1AA側に形成されると共に、両層の間に保護層11c1が介在する構成となっている。
【0040】
従って、カード52A1において、昇華性インク像18と紫外線発光インクの像である不可視インク像20とが直接接していないので、不可視インク像20を視認するために紫外線を照射した際に、昇華性インク像18に照射される不可視インク像20からの蛍光光量が、保護層11c1を透過することにより拡散減少して昇華性インクの退色が抑制され昇華性インク像18は長期間にわたり良好に維持される。
さらに、蛍光インクである紫外線発光インクが昇華性インクに接触していると、互いに直接反応して昇華性インクの退色が促進される場合があるが、本実施例によれば、両インクは、保護層11c1によって接触せずに離隔しているので、昇華性インクの退色が防止され、昇華性インク像18は長期間良好に維持される。
また、保護層11c1に周知の紫外線吸収剤や紫外線拡散剤を混合させた場合は、さらに紫外線による影響も抑制することができる。
【0041】
また、カード52A1において、不可視インク像が、昇華性インク像18及び溶融型インク像19よりも表面側に設けられているので、不可視インク像20の蛍光をより明瞭に視認することができる。
【0042】
上述したように、A1モードは、中間転写フィルム11において、昇華性インク像18の生成領域と不可視インク像20の形成領域とを分離し、さらに、溶融性インク像19を、不可視インク像20と同じ領域に形成すると共に不可視インク像20よりも先に形成するモードである。
【0043】
<A2モード>
次にA2モードについて説明する。
A2モードは、昇華性インク像18の生成領域と不可視インク像20の形成領域とを分離する点はA1モードと共通であり、溶融インク像19を、昇華性インク像18と同じ領域に形成している点でA1モードと異なる。
【0044】
図7は、データ処理部76によりA2モードが選択され、このA2モードで形成されたカード52Aを示す。この例は、上述から明らかなように、溶融型インク像19の積層方向における再転写位置が異なるものである。
このカード52Aへの再転写工程について図6,図7を用いて具体的に説明する。
【0045】
まず、図6において、インクフィルム33の昇華性インク層Y,M,Cそれぞれのインクによる印刷像を、中間転写フィルム11の所定の第1の転写領域21に重ねて転写する。これにより、第1の転写領域21におけるインク受容層11dに昇華性インク像18が形成される。
【0046】
また、インクフィルム33の溶融型インク層Kのインクを、同じ第1の転写領域21に転写する。これにより、溶融型インク像19が、第1の転写領域21のインク受容層11d1における表面側に形成される。
【0047】
一方、第1の転写領域21に対して所定の間隔を隔てて隣接する第2の転写領域22のインク受容層11d2に対して、紫外線発光インク層UVSのインクを転写し、不可視インク像20を形成する。
【0048】
この場合においても、各インク像18〜20が形成される第1及び第2転写領域21,22は中間転写フィルム11において予め領域が設定されると共に、その各転写領域21,22の間には各転写領域21,22を特定できるポジションマークPM16,PM17がそれぞれ設けられている。これらのポジションマークはセンサ7Bにより検出され、その検出信号に基づいてその位置が制御部6にて判定できるよう構成されている。
【0049】
このように中間転写フィルム11に転写された各インク像18〜20は、カード基体1AAに再転写される。
【0050】
これについて、図6及び図7を用いて詳述する。図7は、カード52Aにおける、カード基体1AAに転写された第1及び第2の転写領域21,22に概ね対応する範囲の概略断面図である。
【0051】
まず、図7に示すように、カード基体1AAにおける所定の再転写領域に対して、中間転写フィルム11における昇華性インク像18及び溶融型インク像19が転写形成された第1の転写領域21の転写層11cdを再転写する。
これにより、カード基体1AA上には、転写層11cdが、インク受容層11d1、保護層11c1の順に積層される。
【0052】
ここで、溶融型インク像19は、中間転写フィルム11のインク受容層11d1においてその表面側に形成されているので、この再転写により溶融型インク像19はインク受容層11d1のカード基体1AA側に位置する。
【0053】
次に、不可視インク像20が形成された第2の転写領域22の転写層11cdを、先に第1の転写領域21を再転写した領域に重ねて再転写する。
【0054】
これにより、不可視インク像20が形成されたインク受容層11d2は、両面側から保護層11c1と保護層11c2とに挟まれた状態となる。
以上の再転写工程を経て、データ処理部76で選択されたA2モードによるカード52A2が形成される。
【0055】
この例によれば、昇華性インク像18が形成された層が、不可視インク像20が形成された層よりも、カード基体1AA側に形成されると共に、両層の間に保護層11c1が介在する構成となっている。
【0056】
従って、カード52A2において、昇華性インク像18と紫外線発光インクの像である不可視インク像20とが直接接していないので、不可視インク像20を視認するために紫外線を照射した際に、昇華性インク像18に照射される不可視インク像20からの蛍光光量が、保護層11c1を透過することにより拡散減少して昇華性インクの退色が抑制され昇華性インク像18は長期間にわたり良好に維持される。
さらに、蛍光インクである紫外線発光インクが昇華性インクに接触していると、互いに直接反応して昇華性インクの退色が促進される場合があるが、本実施例によれば、カード52A2において、両インクは、保護層11c1によって接触せずに離隔しているので、昇華性インクの退色が防止され、昇華性インク像18は長期間良好に維持される。
また、保護層11cに周知の紫外線吸収剤や紫外線拡散剤を混合させた場合は、さらに紫外線による影響も抑制することができる。
特に、保護層11c1に周知の紫外線吸収剤や紫外線散乱剤を混合させることで、より高効率で抑制効果を得ることができる。
【0057】
また、カード52A2において、不可視インク像が、昇華性インク像18及び溶融型インク像19よりも表面側に設けられているので、不可視インク像20の蛍光をより明瞭に視認することができる。
【0058】
以上、詳述した実施例において、一部記載が重複するが、各インクやフィルム等に用いることのできる材料例などを以下に示す。
インクフィルム3,33の基材シート33a: ポリエステル,ポリプロピレン,ポリエチレン等のプラスチック、又はコンデンサ紙等(厚さ0.003mm〜0.010mm)。
昇華性インク層: 各色の分散染料を樹脂系のバインダーとともに基材シート33aに塗布して形成する。
溶融型インク層: カーボンブラックを発色剤とし、樹脂系のバインダーとともに基材シート33aに塗布して形成する。
第1,第2保護インクOC1,OC2: アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等。
不可視インクUVS:不可視(無色)の蛍光体として、金属の酸化物または硫化物等の結晶を主成分とする顔料や、有機化合物を用いる。
また、不可視インクとしては、紫外線蛍光性に限らず、赤外線蛍光性を有するものであってもよい。また、いずれにおいても、各保護層OC1,11cは、不可視インクの蛍光の波長領域を透過させ難い性質であるとより好ましい。
中間転写フィルム11の基部11a: ポリエステル,ポリプロピレン,ポリエチレン等のプラスチック、又はコンデンサ紙等(厚さ0.01mm〜0.05mm)。
剥離層11b: 例えば、アクリル樹脂,ポリエステル樹脂,ポリウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂に離型材料を添加してなる。
インク受容層11c: 例えば、ポリエステル樹脂,ビニル系樹脂,セルロース系樹脂等からなる。
保護層11d: 例えば、ポリウレタン樹脂,アクリル樹脂,ポリエチレン系樹脂等からなる。
【0059】
以上、詳述したA1モード及びA2モードは、中間転写フィルム11において、昇華性インク像18の形成領域(第1の転写領域21)と不可視インク像20の形成領域(第2の転写領域22)と、を分離し、再転写において、被印刷物に対して第1の転写領域21、第2の転写領域22の順に重畳印刷するモードである。
従って、カードを1枚作成するにあたり、中間転写フィルム11の2つの領域(2つのパネルとも称する)が消費されることになる。
【0060】
印刷レイアウト上、昇華性インク像18と不可視インク像20とが、重畳するものであれば、効果が常に発揮されるが、非重畳の場合、不可視インクで印刷された情報の確認のため紫外線が照射されても、昇華性インクは不可視インクの蛍光を直接浴びることはないので、退色は促進されず、カードとして有効に利用できる期間が短くなることはない。
従って、印刷レイアウト上、昇華性インク像18と不可視インク像20とが非重畳であれは、昇華性インクの退色を回避するための上述したA1モード、A2モードによる中間転写フィルムの2パネル消費は、行わなくてもよい。
【0061】
そこで、実施例のカード印刷装置60に備えられたデータ処理部76は、印刷レイアウトにおいて、昇華性インク像18と不可視インク像20との重なりの有無を検出し、重なりがある場合には、A1モードまたはA2モードを選択し、重なりがない場合には、さらに、溶融性インク像19と不可視インク像20との重なりの有無を検出し、溶融性インク像19と不可視インク像20との重なりがある場合には、B1モードを選択し、重なりがない場合にはB2モードを選択する。
【0062】
そこで、データ処理部76を詳述する前に、まず、B1モード及びB2モードについて説明する。
【0063】
B1モード及びB2モードは、昇華性インク像18,溶融性インク像19,及び不可視インク像20を一つの像形成領域(1パネルとも称する)に形成するものである。
また、B1モードとB2モードとの違いは、溶融性インク像19と不可視インク像20との形成順が逆になっていることにある。
【0064】
<B1モード>
まず、図8には、データ処理部76により設定されたB1モードに基づいて制御部6の指示により転写動作が実行された後の中間転写フィルム11を概略断面図として示している。
この中間転写フィルム11への転写において、昇華性インクの各色Y,M,Cは同一領域である転写領域212に重ねて転写される。
【0065】
一方、この転写領域212の昇華性インクが転写されていない領域には、紫外線発光インク層UVSのインクと溶融型インク層Kのインクとが重ねて転写される。
すなわち、昇華性インクについては、転写領域212の頭出しとインクフィルム33における各色の頭出しとを繰り返して、複数色Y,M,Cの各インクが転写領域212のインク受容層11dに転写される。これにより、インク受容層11dには、昇華性インク像18が形成される。
この像は、フルカラーで極めて高品位に印刷できるので顔写真などが好適である。
【0066】
また、転写領域212における、昇華性インク像18が形成されていない領域のインク受容層11dに対しては、まず、紫外線発光インク層UVSのインクが転写されて不可視インク像20が形成され、次いで溶融型インク層Kのインクが不可視インク像20と重ねて転写されて溶融型インク像19が形成される。
従って、後から転写される溶融型インク像19は、インク受容層11dにおいてその表面側に形成される。
【0067】
このように、各インク像18〜20が形成される転写領域212は、中間転写フィルム11において予め領域が設定されると共に、その転写領域212を特定できるポジションマークPM116が設けられている。このポジションマークはセンサ7Bにより検出され、その検出信号に基づいてその位置が制御部6にて判定できるよう構成されている。
【0068】
このように中間転写フィルム11に転写された各インク像18〜20は、カード基体1AAに再転写される。
すなわち、制御部6は、センサ7Cにより検出されたカード基体1AAの搬送位置情報に基づいて、そのカード基体1AA上の再転写領域の頭出しをするようカード搬送部KHを制御する。
この頭出しは、再転写開始位置がサーマルヘッド13〔図1(a)参照〕に対応する位置となるように行われる。
【0069】
また、制御部6は、センサ7Cの検出信号に基づき、中間転写フィルム11の転写領域212の再転写開始位置がサーマルヘッド13に対応する位置となるように中間転写フィルム搬送部TFHを制御する。
【0070】
制御部6は、中間転写フィルム11とカード基体1AAとの位置出しに伴い、ヘッド駆動部HA2を駆動し、サーマルヘッド13により中間転写フィルム11をカード基体1AAに押圧させつつ両者を搬送すると共に、そのサーマルヘッド13を加熱して、中間転写フィルム11の転写領域212におけるインク受容層11d及び保護層11c(転写層11cd)を剥離層11bから剥離してカード基体1AAに転写(再転写)させるように制御する。
【0071】
従って、カード基体1AAには、転写領域212における転写層11cdが、インク受容層11dを内側に、そして、保護層11cが外側になるように再転写される。
【0072】
この再転写については、一部繰り返しとなるが図9を用いて詳述する。図9は、被印刷物であるカード52における、カード基体1AAに転写された転写領域212に対応する再転写領域の概略断面図である。
【0073】
まず、カード基体1AAにおける所定の再転写領域に対して、中間転写フィルム11において各インク像18〜20が形成された転写領域212の転写層11cdを再転写する。これにより、カード基体1AA上には、転写層11cdが、インク受容層11d,保護層11cの順に積層される。
【0074】
以上の再転写工程を経て、データ処理部76で選択されたB1モードによるカード52B1が形成される。
【0075】
このB1モードによれば、カード52B1において、昇華性インク像18と不可視インク像20は、同じインク受容層11dの別々の領域に形成され、この受容層11dを覆うように保護層11cが積層される構成となっている。
【0076】
従って、カード52B1において、昇華性インク像18と紫外線発光インクの像である不可視インク像20とが重ならず、また、直接には接していないので、不可視インク像20を視認するために紫外線を照射した際に、昇華性インク像18に照射される不可視インク像20からの蛍光光量が、直接不可視インクに当たることがなく、昇華性インクの退色は抑制され昇華性インク像18は長期間にわたり良好に維持される。
【0077】
また、カード52B1において、不可視インク像20が、溶融型インク像19よりも表面側に設けられているので、不可視インク像20の蛍光をより明瞭に視認することができる。
【0078】
<B2モード>
次にB2モードについて説明する。まず、図10には、データ処理部76により設定されたB2モードに基づいて制御部6の指示により転写動作が実行された後の中間転写フィルム11を概略断面図として示している。
この中間転写フィルム11への転写において、昇華性インクの各色Y,M,Cは同一領域である転写領域213に重ねて転写される。
【0079】
一方、この転写領域213において、昇華性インクが転写されていない領域には、紫外線発光インク層UVSのインクが転写される。また、転写領域213において、昇華性インクと紫外線発光層のインクとの双方が転写されていない領域に溶融型インク層Kのインクが転写される。
すなわち、昇華性インクについては、転写領域213の頭出しとインクフィルム33における各色の頭出しとを繰り返して、複数色Y,M,Cの各インクが転写領域213のインク受容層11dに転写される。これにより、インク受容層11dには、昇華性インク像18が形成される。
この像は、フルカラーで極めて高品位に印刷できるので顔写真などが好適である。
【0080】
また、転写領域213における、昇華性インク像18が形成されていない領域のインク受容層11dに対しては、まず、溶融型インク層Kのインクが転写されて溶融型インク像19が形成され、次に、昇華性インク像18及び溶融型インク像19が転写されていない領域のインク受容層11dに対して、紫外線発光インク層UVSのインクが転写されて不可視インク像20が形成される。
【0081】
このように、各インク像18〜20が独立した領域に形成される転写領域213は、中間転写フィルム11において予め領域が設定されると共に、その転写領域213を特定できるポジションマークPM117が設けられている。このポジションマークはセンサ7Bにより検出され、その検出信号に基づいてその位置が制御部6にて判定できるよう構成されている。
【0082】
このように中間転写フィルム11に転写された各インク像18〜20は、カード基体1AAに再転写される。
すなわち、制御部6は、センサ7Cにより検出されたカード基体1AAの搬送位置情報に基づいて、そのカード基体1AA上の再転写領域の頭出しをするようカード搬送部KHを制御する。
この頭出しは、再転写開始位置がサーマルヘッド13〔図1(a)参照〕に対応する位置となるように行われる。
【0083】
また、制御部6は、センサ7Cの検出信号に基づき、中間転写フィルム11の転写領域213の再転写開始位置がサーマルヘッド13に対応する位置となるように中間転写フィルム搬送部TFHを制御する。
【0084】
制御部6は、中間転写フィルム11とカード基体1AAとの位置出しに伴い、ヘッド駆動部HA2を駆動し、サーマルヘッド13により中間転写フィルム11をカード基体1AAに押圧させつつ両者を搬送すると共に、そのサーマルヘッド13を加熱して、中間転写フィルム11の転写領域213におけるインク受容層11d及び保護層11c(転写層11cd)を剥離層11bから剥離してカード基体1AAに転写(再転写)させるように制御する。
【0085】
従って、カード基体1AAには、転写領域213における転写層11cdが、インク受容層11dを内側に、そして、保護層11cが外側になるように再転写される。
【0086】
この再転写については、一部繰り返しとなるが図11を用いて詳述する。図11は、被印刷物であるカード52における、カード基体1AAに転写された転写領域212に対応する再転写領域の概略断面図である。
【0087】
この再転写においては、カード基体1AAにおける所定の再転写領域に対して、中間転写フィルム11において各インク像18〜20が形成された転写領域213の転写層11cdを再転写する。これにより、カード基体1AA上には、転写層11cdが、インク受容層11d,保護層11cの順に積層される。
【0088】
以上の再転写工程を経て、データ処理部76で選択されたB2モードによるカード52B2が形成される。
【0089】
このB2モードによれば、カード52B2において、昇華性インク像18と不可視インク像20と溶融型インク像19とは、同じインク受容層11dの別々の領域に互いに独立して形成され、この受容層11dを覆うように保護層11cが積層される構成となっている。
【0090】
従って、カード52B2において、昇華性インク像18と紫外線発光インクの像である不可視インク像20とが重ならず、また、直接には接していないので、不可視インク像20を視認するために紫外線を照射した際に、昇華性インク像18に照射される不可視インク像20からの蛍光光量が、直接不可視インクに当たることがなく、昇華性インクの退色は抑制され昇華性インク像18は長期間にわたり良好に維持される。
【0091】
以上、詳述したB1モード及びB2モードにおいては、1つのカードを作成する際の中間転写フィルム33の消費量は、1パネル分のみであるから、A1モードやA2モードに対して消費量は半分で済む。
【0092】
次に、データ処理部76について詳述する。
このデータ処理部76の一実施形態についてそのブロック図を図12に示す。
【0093】
図12においては、カード搬送部KH,インクフィルム搬送部IFH,各センサ7A〜7C,サーマルヘッド5,13ヘッド駆動部HA,HA2,及び中間転写フィルム搬送部THFをまとめて転写及び再転写動作部TSTとしている。
【0094】
データ処理部76は、データ入力部76−1,データ合成部76−2,固有情報不可視印刷データ発生部76−3,装置固有情報記憶部76−4,及びデータ重なり検出部76−5を有して構成されている。
【0095】
<データ入力部76−1>
データ入力部76−1は、各インクで印刷するデータをユーザが入力する入力装置である。キーボードや画像表示装置とマウスポインタなど、いわゆる入力装置として周知の装置を適用することができる。
【0096】
<装置固有情報記憶部76−4(以下、記憶部76−4とも称する)>
この記憶部には、固有情報KJとして、このカード製造装置60の製造番号が記憶されている。
他の固有情報KJとしては、このカード製造装置60を特定できる情報として、たとえば、ネットワーク接続用のMACアドレス(Media Access Control Addres)がある。
MACアドレスの場合は、カード製造装置60がネットワーク接続されていたとしても、その装置を特定でき、また、修理やメンテナンスなどで基板を交換した場合にも交換した基板特有の情報として更新記憶させることで、装置の履歴を精度よく追跡することができるので、トレーサビリティの点で特に有効である。
【0097】
<固有情報不可視印刷データ発生部76−3(以下、不可視データ発生部76−3とも称する)>
記憶部76−4に記憶された固有情報KJを呼び出し、カードのどの領域にその情報を印刷させるかの印刷データを領域データとして生成する。
固有情報が複数ある場合は、データ入力部76−1からの指示によって複数の中から1または複数の固有情報を選択する。
【0098】
<データ合成部76−2>
データ入力部76−1に入力された印刷データと、不可視データ発生部76−3で生成された固有情報とを合成して印刷レイアウトデータを生成する。
各インクで印刷する領域の大きさや位置などは、あらかじめ設定された定型モードと、ユーザが任意で設定できるマニュアルモードとが用意されており、ユーザが自由にレイアウトできるようになっている。
【0099】
<データ重なり検出部76−5(以下、重畳検出部76−5とも称する)>
不可視データ合成部76−2で設定された印刷レイアウトに基づき、不可視インク像20と昇華性インク像18との重なりの有無、及び不可視インク像20と溶融型インク像19との重なりの有無、を検出し、後述するモード信号MSを印刷データPDと共に出力する。
この検出動作について、印刷の一レイアウト例である図13及びフローチャートである図14を用いて説明する。
【0100】
図13は、印刷済みのカード152を示す図である。この印刷内容は、溶融型インク像19と不可視インク像20とが重畳し、不可視インク像20と昇華性インク像18とが非重畳の、B1モードで転写及び再転写されたカード52B1に相当するものを示す。また、この例では、不可視インク像20の形成領域が2カ所独立して設けられている(下記〔2〕及び〔3〕)
【0101】
カード152は、全体の印刷領域〔1〕の範囲内に、印刷領域〔5〕としてY,M,Cの各昇華性インクで形成されたフルカラー写真の昇華性インク像18と、印刷領域〔4〕として溶融型インクで形成された文字列の溶融型インク像19と、印刷領域〔2〕として不可視インクで形成された固有情報KJを含む不可視インク像20aと、印刷領域〔3〕として不可視インクで形成された禁止マークの不可視インク像20bと、が印刷されている。以下、不可視インク像20aと20bとをまとめて不可視インク像20とも称する。
上述したように、この例では、印刷領域〔3〕と〔4〕とが重畳している。
【0102】
次に、図14を用い、例として、このカード152の印刷情報に対する重畳検出部76−5の重畳検出動作を説明する。
(ステップS1)
昇華性インク像形成領域〔5〕及び溶融型インク像形成領域〔4〕の印刷データをデータ合成部76−2から入手する。
(ステップS2)
不可視インク像形成領域〔2〕,〔3〕の印刷データを不可視データ発生部76−3から入手する。
(ステップS3)
昇華性インク像形成領域〔5〕と、不可視インク像形成領域〔2〕または〔3〕とが重畳しているか否かを判定する。
(ステップS4)
ステップS3で重畳していると判定した場合(Yes)は、さらに、溶融型インク像形成領域〔4〕と、不可視インク像形成領域〔2〕または〔3〕とが重畳しているか否かを判定し、重畳していると判定した場合(Yes)、転写及び再転写モードをA1モードに設定する(S4−1)。
また、重畳していないと判定した場合(No)、転写及び再転写モードをA2モードに設定する(S4−2)。
(ステップS5)
ステップS3で重畳していないと判定した場合(No)は、溶融型インク像形成領域〔4〕と、不可視インク像形成領域〔2〕または〔3〕とが重畳しているか否かを判定し、重畳していると判定した場合(Yes)、転写及び再転写モードをB1モードに設定し、重畳していないと判定した場合(No)、転写及び再転写モードをB2モードに設定する。
【0103】
カード152は、上述したように、溶融型インク像形成領域〔4〕と不可視インク像形成領域〔3〕とが重畳しているので、重畳検出部76−5は、ステップ5においてYesと判定して転写及び再転写をB1モードに設定する。
【0104】
重畳検出部76−5は、設定したモードの種別をモード信号MSとして出力する。
【0105】
このように重畳検出部76−5で設定され、出力されたモード信号MSに応じて、制御部6は、この装置の動作を制御する。
また、重畳検出部76−5は、転写及び再転写モードを設定すると共に、印刷データを送出する。
また、制御部6は、サーマルヘッド5に対してこの印刷データの転写動作を実行させる。
【0106】
以上、詳述したカード製造装置60は、印刷レイアウトにおける不可視インク像形成領域と昇華性インク像形成領域との重畳有無を検出し、その結果に応じて、被印刷物を1つ作成するために2パネル分消費するA1モード又はA2モードか、1パネル分のみ消費するB1モード又はB2モードか、を選択して設定するよう構成されている。
そして、B1モード又はB2モードの選択時は、不可視インク像と昇華性インク像との重畳がない場合であるから元来不可視インクの退色等の問題が生じにくいので中間転写フィルムの浪費を防ぎ、A1モード又はA2モードの選択時は、不可視インク像と昇華性インク像との重畳がある場合であるが、この2パネルを使用するA1及びA2モードを選択して、不可視インクの退色等の問題発生を回避する。
【0107】
すなわち、この製造装置及び製造方法は、中間転写フィルムの無駄な消費を防止しつつ、不可視インクの退色等の問題発生を常に防止することができるという効果を奏する。
【0108】
また、さらに、不可視インク像と溶融型インク像との重畳の有無によりA1モードとA2モードとの選択、あるいはB1モードとB2モードとの選択を行う。
そして、これらのインク像の重畳がない場合には、この選択によりそれぞれA2モード,B2モードに設定される。このA2モード,B2モードにおいては、不可視インク像の転写が溶融型インク像の転写よりも後に行われるので、不可視インク像は溶融型インク像の転写動作の影響を受けることがない。
【0109】
<他の実施例(実施例2)>
上述した実施例に対し、不可視インク像と溶融型インク像との重畳を検出せずに、不可視インクと溶融型インクとを所定の転写順で転写するカード製造装置であってもよい。
ここで所定の転写順とは、インクフィルム33のインク層の形成順であり、まず不可視インクを転写して不可視インク像を形成し、次に溶融型インクを転写して溶融型インク像を形成する、という転写順である。
【0110】
この、実施例2における重畳検出部76−5の重畳検出動作を図16のフロー図を用いて説明する。
【0111】
(ステップS61)
昇華性インク像形成領域〔5〕の印刷データをデータ合成部76−2から入手する。
(ステップS62)
不可視インク像形成領域〔2〕,〔3〕の印刷データを不可視データ発生部76−3から入手する。
(ステップS63)
昇華性インク像形成領域〔5〕と、不可視インク像形成領域〔2〕または〔3〕とが重畳しているか否かを判定する。
【0112】
ここで、重畳している(Yes)と判定したら、転写及び再転写モードをA1モードに設定する(ステップS64)。
重畳していない(No)と判定したら、転写及び再転写モードをB1モードに設定する(ステップS65)。
【0113】
この実施例2によれば、溶融型インクと不可視インクの転写動作が、インクリボン33のインク層の配列順に行われる。従って、不可視インクに対する溶融型インクの転写動作の影響を考慮しなくてよい場合には、動作が簡単になるので好ましい。
【0114】
本発明の実施例は、上述した構成及び手順に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよいのは言うまでもない。
【0115】
インクフィルム33については、各インク領域の配列順は上述した例で説明したものに限らない。実施例においては、いかなる順に配列されていても、カード製造装置60の制御部6は、各インク領域の種類を判別し、少なくとも、中間転写フィルム11上の所定の領域(第1の転写領域)昇華性インクを重畳して昇華性インク像18を形成し、その領域とは別の領域(第2の転写領域)に不可視インク像20を形成するように装置60自体を制御する。
【0116】
図12のブロック図で示す構成の変形例として、図15(a)に示すように、カード製造装置60に備えたデータ処理部76を外部のパーソナルコンピュータ(以下、PC)から制御するように構成してもよい。この場合、PCからはデータ処理部に対して制御信号SSが送出される。
【0117】
さらに別の変形例として、図15(b)に示すように、カード製造装置60Bは、入力インターフェースI/Fを設け、データ処理部76を外部の処理機器76SK(パーソナルコンピュータPCなど)に設ける一方、印刷レイアウトをデザインし上述した重畳を判定するプログラムによって、その処理機器76SKに転写及び再転写モードを設定させると共に、カード製造装置60Bに、処理機器76SKから出力された転写及び再転写モード信号MSと印刷データPDとに基づいて転写及び再転写動作を実行させるよう構成してもよい。
【0118】
記憶部76−4には、製造段階で製造番号を記憶させておいてもよく、サービスマンにより後から記憶させるようにしてもよい。
また、上述したように、メンテナンスの履歴や修理の履歴に応じて、記憶された固有情報は、最新の情報が書き込まれる(追記)ことが望まれ、これは、この印刷装置に外部との通信手段を設け、この通信手段を介して外部から実行してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の再転写方式の印刷装置の実施例を説明するための概略の構成図およびブロック図である。
【図2】本発明の再転写方式の印刷装置の実施例で用いるインクフィルムを説明するための平面図である。
【図3】本発明の再転写方式の印刷装置の実施例で用いる中間転写フィルムを説明するための断面図である。
【図4】本発明の再転写方式の印刷装置の実施例におけるA1モードの転写工程を説明するための断面図である。
【図5】本発明の再転写方式の印刷装置の実施例におけるA1モードの転写及び再転写工程で製造したカードを説明するための断面図である。
【図6】本発明の再転写方式の印刷装置の実施例におけるA2モードの転写工程を説明するための断面図である。
【図7】本発明の再転写方式の印刷装置の実施例におけるA2モードの転写及び再転写工程で製造したカードを説明するための断面図である。
【図8】本発明の再転写方式の印刷装置の実施例におけるB1モードの転写工程を説明するための断面図である。
【図9】本発明の再転写方式の印刷装置の実施例におけるB1モードの転写及び再転写工程で製造したカードを説明するための断面図である。
【図10】本発明の再転写方式の印刷装置の実施例におけるB2モードの転写工程を説明するための断面図である。
【図11】本発明の再転写方式の印刷装置の実施例におけるB2モードの転写及び再転写工程で製造したカードを説明するための断面図である。
【図12】本発明の再転写方式の印刷装置の実施例を説明するブロック図である。
【図13】本発明の再転写方式の印刷装置の実施例で製造したカードの印刷レイアウト例である。
【図14】本発明の再転写方式の印刷装置の実施例の動作を説明するフローチャートである。
【図15】本発明の再転写方式の印刷装置の実施例に対する変形例を説明する概略のブロック図である。
【図16】本発明の再転写方式の印刷装置の他の実施例の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0120】
1AA カード基体
2 挟持ローラ
33 インクフィルム
33a 基材シート
4,12 リール
5,13 サーマルヘッド
5B ローラ
6 制御部
7A〜7C センサ
18 昇華性インク像
19 溶融型インク像
20 不可視インク像(紫外線発光インク像)
11 中間転写フィルム
11a 基部
11b 剥離層
11c インク受容層
11d 保護層
11cd 転写層
21,22 第1,第2の転写領域
33 インクフィルム
33a 基材シート
52A1,52A2,52B1,52B2 カード
60 カード製造装置
76 データ処理部
76−1 データ入力部
76−2 装置固有情報記憶部(記憶部)
76−3 固有情報不可視印刷データ発生部(不可視データ発生部)
76−4 データ合成部
76−5 データ重なり検出部(重畳検出部)
76SK 処理機器
HA,HA2 ヘッド駆動部
IFH インクフィルム搬送部
K 溶融型インク(層)(領域)
KH カード搬送部
KJ 固有情報
KM2 (層の)一組
M1〜M5 モータ
OC1,OC2 第1,第2保護インク層
PM1〜PM17 ポジションマーク
TFH 中間転写フィルム搬送部
TST 転写及び再転写動作部
UVS 紫外線発光(不可視)インク(層)(領域)
Y,M,C 昇華性インク(層)(領域)
MS モード信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着された、昇華性インクによる昇華性インク領域と不可視インクによる不可視インク領域とを有するインクフィルム、及び、前記昇華性インク及び不可視インクを受容する受容層を有する中間転写フィルム、を用い、
被印刷物に印刷する印刷像を、前記インクフィルムの前記昇華性インク及び不可視インクを前記受容層に転写して転写像を形成し、前記転写像を前記被印刷物に再転写する再転写方式の印刷装置において、
前記印刷像における前記昇華性インクで印刷する昇華性インク像と前記不可視インクで印刷する不可視インク像との重畳の有無を判定する重畳判定部と、
前記重畳判定部の判定結果に応じて前記転写動作を制御する制御部と、を備え、
前記重畳判定部が重畳有りと判定した場合には、前記制御部が、前記昇華性インク像と前記不可視インク像とを、前記受容層における前記被印刷物に各対応した異なる領域にそれぞれ転写させ、
前記重畳判定部が重畳無しと判定した場合には、前記制御部が、前記昇華性インク像と前記不可視インク像とを前記受容層における前記被印刷物に対応した同じ領域に転写させるよう構成したことを特徴とする再転写方式の印刷装置。
【請求項2】
前記インクフィルムが溶融インクによる溶融インク領域を有し前記受容層が該溶融インクを受容する場合に、前記インクフィルムの昇華性インク,不可視インク,及び前記溶融インクを前記受容層に転写して転写像を形成し、
前記重畳判定部は、前記溶融インクで印刷する溶融インク像と前記不可視インクで印刷する不可視インク像との重畳の有無を判定し、
前記制御部は、前記重畳判定部の重畳の有無の判定結果に応じて前記中間転写フィルムに対する前記溶融インクと前記不可視インクとの転写順を制御することを特徴とする請求項1記載の再転写方式の印刷装置。
【請求項3】
前記不可視インクで印刷する不可視インク像は、当該再転写方式の印刷装置の固有情報を含むことを特徴とする請求項1または請求項2記載の再転写方式の印刷装置。
【請求項4】
前記固有情報は、当該再転写方式の印刷装置の製造番号またはMACアドレスであることを特徴とする請求項3記載の再転写方式の印刷装置。
【請求項5】
装着された、昇華性インクによる昇華性インク領域と不可視インクによる不可視インク領域とを有するインクフィルム、及び、前記昇華性インク及び不可視インクを受容する受容層を有する中間転写フィルム、を用い、
被印刷物に印刷する印刷像を、前記インクフィルムの前記昇華性インク及び不可視インクを前記受容層に転写して転写像を形成し、前記転写像を前記被印刷物に再転写する再転写方式の印刷方法において、
前記印刷像における前記昇華性インクで印刷する昇華性インク像と前記不可視インクで印刷する不可視インク像との重畳の有無を判定する重畳判定ステップと、
前記重畳判定ステップで重畳有りと判定した場合に、前記昇華性インク像と前記不可視インク像とを、前記受容層の長手方向において前記被印刷物に各対応した異なる領域にそれぞれ転写させ、
前記重畳判定ステップで重畳無しと判定した場合には、前記昇華性インク像と前記不可視インク像とを前記受容層における前記被印刷物に対応した同じ領域に転写させる転写ステップと、を有することを特徴とする再転写方式の印刷方法。
【請求項6】
前記インクフィルムが溶融インクによる溶融インク領域を有し前記受容層が該溶融インクを受容する場合に、前記インクフィルムの昇華性インク,不可視インク,及び前記溶融インクを前記受容層に転写して転写像を形成し、
前記溶融インクで印刷する溶融インク像と前記不可視インクで印刷する不可視インク像との重畳の有無を判定する溶融インク像重畳判定ステップをさらに有し、
前記転写ステップは、前記重畳判定ステップでの重畳の有無の判定結果に応じて前記中間転写フィルムに対する前記溶融インクと前記不可視インクとの転写順を制御することを特徴とする請求項5記載の再転写方式の印刷方法。
【請求項7】
前記不可視インクで印刷する不可視インク像は、当該再転写方式の印刷方法で前記転写を行う印刷装置の固有情報を含むことを特徴とする請求項5または請求項6記載の再転写方式の印刷方法。
【請求項8】
前記固有情報は、当該再転写方式の印刷方法で前記転写を行う前記印刷装置の製造番号またはMACアドレスであることを特徴とする請求項7記載の再転写方式の印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−72949(P2009−72949A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−241998(P2007−241998)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】