説明

冷凍・冷蔵ショーケース

【課題】スライド棚を出し入れ可能な冷凍・冷蔵ショーケースにおいて、スライド棚が引き出された状態であっても、冷気吸込口に吸い込まれる冷気の流れを妨げない冷凍・冷蔵ショーケースを提供すること。
【解決手段】冷蔵室4内の固定棚11には、前後方向に移動可能なスライド棚12が収納され、固定棚11の前端部及び固定棚11に収納された状態のスライド棚12の前端部よりも後方に冷気吸込口10を配置するとともに、冷気吸込口10に冷気を通風する固定通風孔18を固定棚11に設け、スライド棚12が固定棚11に収納された状態で固定通風孔18と連通されて冷気吸込口10に冷気を通風する第1移動通風孔19aと、スライド棚12が前方に引き出された状態で固定通風孔11と連通されて冷気吸込口10に冷気を通風する第2移動通風孔19bと、をスライド棚12に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に冷凍・冷蔵商品の販売店舗等に設置される商品陳列用の冷凍・冷蔵ショーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ショーケースの最下段にあるスライド陳列板(スライド棚)にスライドレールを取り付けて手前に引き出せるようにし、スライド陳列板を手前に引き出すことで、その上面に載置された陳列商品を取り出し易くしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−41801号公報(第3頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のショーケースにあっては、スライド陳列板(スライド棚)を手前に引き出すと、スライド陳列板の手前直下に配置された吸込口が、スライド陳列板によって覆われるため、冷気のエアフローが吸込口に吸引され難くなるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、スライド棚を出し入れ可能な冷凍・冷蔵ショーケースにおいて、スライド棚が引き出された状態であっても、冷気吸込口に吸い込まれる冷気の流れを妨げない冷凍・冷蔵ショーケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の冷凍・冷蔵ショーケースは、
外箱と内箱とにより、上面または前面が開口する冷蔵室を形成するとともに、前記外箱と前記内箱との間に形成された通風路内に、冷却手段と送風手段とを設け、前記通風路の冷気吹出口から冷気吸込口に向けて吹き出される冷気により前記冷蔵室を冷却する冷凍・冷蔵ショーケースであって、
前記冷蔵室内の固定棚には、前後方向に移動可能なスライド棚が収納され、前記固定棚の前端部及び該固定棚に収納された状態の前記スライド棚の前端部よりも前方に前記冷気吸込口を配置するとともに、前記スライド棚が前方に引き出された状態で前記冷気吸込口に冷気を通風する移動通風孔を該スライド棚に設けることを特徴としている。
この特徴によれば、スライド棚が固定棚に収納された状態では、冷気吸込口に吸い込まれる冷気の流れが妨げられないとともに、スライド棚の移動通風孔が固定棚によって閉塞されるので、冷蔵室内における冷気の流れを乱す虞がなくなり、かつスライド棚が固定棚から引き出された状態であっても、スライド棚に設けられた移動通風孔から冷気が冷気吸込口に向かって流れるため、冷気吸込口に吸い込まれる冷気の流れが妨げないようにできる。
【0007】
本発明の請求項2に記載の冷凍・冷蔵ショーケースは、
外箱と内箱とにより、上面または前面が開口する冷蔵室を形成するとともに、前記外箱と前記内箱との間に形成された通風路内に、冷却手段と送風手段とを設け、前記通風路の冷気吹出口から冷気吸込口に向けて吹き出される冷気により前記冷蔵室を冷却する冷凍・冷蔵ショーケースであって、
前記冷蔵室内の固定棚には、前後方向に移動可能なスライド棚が収納され、前記固定棚の前端部よりも前方及び該固定棚に収納された状態の前記スライド棚の前端部よりも後方に前記冷気吸込口を配置するとともに、前記スライド棚が前記固定棚に収納された状態で前記冷気吸込口に冷気を通風する第1移動通風孔と、前記スライド棚が前方に引き出された状態で前記冷気吸込口に冷気を通風する第2移動通風孔と、を該スライド棚に設けることを特徴としている。
この特徴によれば、スライド棚が固定棚に収納された状態では、スライド棚に設けられた第1移動通風孔から冷気が冷気吸込口に向かって流れるため、冷気吸込口に吸い込まれる冷気の流れが妨げられないとともに、スライド棚の第2移動通風孔が固定棚によって閉塞されるので、冷蔵室内における冷気の流れを乱す虞がなくなり、かつスライド棚が固定棚から引き出された状態であっても、スライド棚に設けられた第2移動通風孔から冷気が冷気吸込口に向かって流れるため、冷気吸込口に吸い込まれる冷気の流れが妨げないようにできる。また、スライド棚を冷気吸込口よりも前方に張り出させて、スライド棚の面積を大きく形成できるようになり、多くの物品を載置できる。
【0008】
本発明の請求項3に記載の冷凍・冷蔵ショーケースは、
外箱と内箱とにより、上面または前面が開口する冷蔵室を形成するとともに、前記外箱と前記内箱との間に形成された通風路内に、冷却手段と送風手段とを設け、前記通風路の冷気吹出口から冷気吸込口に向けて吹き出される冷気により前記冷蔵室を冷却する冷凍・冷蔵ショーケースであって、
前記冷蔵室内の固定棚には、前後方向に移動可能なスライド棚が収納され、前記固定棚の前端部及び該固定棚に収納された状態の前記スライド棚の前端部よりも後方に前記冷気吸込口を配置するとともに、該冷気吸込口に冷気を通風する固定通風孔を前記固定棚に設け、前記スライド棚が前記固定棚に収納された状態で前記固定通風孔と連通されて前記冷気吸込口に冷気を通風する第1移動通風孔と、前記スライド棚が前方に引き出された状態で前記固定通風孔と連通されて前記冷気吸込口に冷気を通風する第2移動通風孔と、を該スライド棚に設けることを特徴としている。
この特徴によれば、スライド棚が固定棚に収納された状態では、固定棚の固定通風孔及びスライド棚の第1移動通風孔から冷気が冷気吸込口に向かって流れるため、冷気吸込口に吸い込まれる冷気の流れが妨げられないとともに、スライド棚の第2移動通風孔が固定棚によって閉塞されるので、冷蔵室内における冷気の流れを乱す虞がなくなり、かつスライド棚が固定棚から引き出された状態であっても、固定棚の固定通風孔及びスライド棚の第2移動通風孔から冷気が冷気吸込口に向かって流れるため、冷気吸込口に吸い込まれる冷気の流れが妨げないようにできる。また、スライド棚及び固定棚を冷気吸込口よりも前方に張り出させて、スライド棚の面積及び固定棚の面積を大きく形成できるようになり、多くの物品を載置できる。
【0009】
本発明の請求項4に記載の冷凍・冷蔵ショーケースは、請求項1ないし3のいずれかに記載の冷凍・冷蔵ショーケースであって、
前記スライド棚は、レール部材により前後方向に移動可能になっており、前記移動通風孔が前記冷気吸込口に連通される位置で、前記スライド棚を移動不能に固定する固定手段が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、レール部材によりスムーズに前後方向に出し入れできるスライド棚を、固定棚から引き出して固定手段により所定の引き出し位置で固定して使用できるようになり、かつ固定手段により移動通風孔を冷気吸込口に連通される位置で固定して使用できる。
【0010】
本発明の請求項5に記載の冷凍・冷蔵ショーケースは、請求項1ないし4のいずれかに記載の冷凍・冷蔵ショーケースであって、
前記移動通風孔が前後方向に長く延びるスリット状に形成されており、該移動通風孔が左右方向に複数並んで配置されていることを特徴としている。
この特徴によれば、スライド棚における移動通風孔が形成された部位に物品を載置して使用できるようになる。
【0011】
本発明の請求項6に記載の冷凍・冷蔵ショーケースは、請求項1ないし5のいずれかに記載の冷凍・冷蔵ショーケースであって、
前記スライド棚の前縁部には、手掛部が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、手掛部を把持すればスライド棚を固定棚から引き出し易くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係る冷凍・冷蔵ショーケースを実施するための最良の形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0013】
本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、先ず図1は、実施例1における冷蔵ショーケースを示す斜視図であり、図2は、冷蔵ショーケースを示す縦断側面図であり、図3は、冷蔵ショーケースを示す平面図であり、図4は、固定棚及びスライド棚を示す縦断側面図である。以下、図2及び図4の紙面左方側を冷蔵ショーケースの正面側(前方側)とし、図3の紙面下方側を冷蔵ショーケースの正面側(前方側)として説明する。
【0014】
図1の符号1は、本発明の適用された冷蔵ショーケースであり、この冷蔵ショーケース1は、主に商店やスーパーマーケットやコンビニエンスストア等の食品等を取り扱う販売店舗に設置され、商品(物品)を低温に保ったままの保冷状態で陳列するために設置される。
【0015】
図2に示すように、冷蔵ショーケース1は、上方側及び前方側が開放された断熱構造を有する外箱2と、その内方に上面及び前面が開放された内箱3とを備えている。尚、内箱3は平面板3aと背面板3bとにより構成されており、この平面板3aと背面板3bとにより囲まれた内部空間が冷蔵室4となっている。
【0016】
図2に示すように、外箱2と内箱3との間には、冷風が通風される通風路5が形成されており、通風路5内部には、空気を冷却するための本実施例における冷却手段としての冷却装置6と、本実施例における送風手段としての送風機7が設置されている。冷蔵ショーケース1の上部の前端には、通風路5内の冷気を吹き出す冷気吹出口8が前向きに開口されて形成されるとともに、この冷気吹出口8よりも前方側には、庇状に前方に向かって突出されたキャノピー9が設けられている。更に、冷蔵ショーケース1の下部の前端には、上方に開口する冷気(空気)の冷気吸込口10が形成されている。
【0017】
送風機7を作動させると、冷気吸込口10から吸入された空気が冷却装置6により冷却され、この冷気が通風路5内を上方に向かって流れて、冷気吹出口8から前下方の冷気吸込口10に向かって吹き出されるようになっている。これにより、冷蔵ショーケース1の前面の開放面に冷気のエアカーテンが形成されるとともに、その冷気が冷蔵室4内に流入されることにより、冷蔵室4内に陳列された商品が保冷(冷蔵)されるようになる。
【0018】
この冷蔵室4の底部には、商品を載置して陳列するための固定棚11が配置されており、この固定棚11は、内箱3に対して固定されている。この固定棚11の上面が、商品を陳列するための商品陳列スペースとなっている。尚、本実施例では、固定棚11を内箱3と別体として構成しているが、固定棚11を内箱3の一部として構成してもよい。
【0019】
固定棚11と内箱3との間には、前後方向に移動可能なスライド棚12が収納されている。このスライド棚12は、その前縁部が下方に向かって湾曲されて形成された手掛部12aが形成されている。手掛部12aを把持して手前に引くことで、スライド棚12を固定棚11から容易に引き出すことができる。このように手掛部12aを把持すればスライド棚を固定棚から引き出し易くなる。この手掛部12aの上方には、スライド棚12上に載置された商品が前方に移動することを防ぐ柵部材13が設けられている。
【0020】
図3及び図4に示すように、冷蔵ショーケース1には、固定棚11が左右方向に3つ並んで設けられており、各々の固定棚11に対応してスライド棚12が設けられている。尚、固定棚11とスライド棚12とは、入れ子構造となっており、スライド棚12の寸法が若干小さくなっている。スライド棚12の左右側部は、内箱3に対して固定された左右一対のレール部材14が設けられており、スライド棚12はレール部材14に対して取り付けられている。そのためスライド棚12は前後方向にスムーズに移動可能となっている。
【0021】
また、スライド棚12は固定手段15によって所定の引き出し位置で固定されて使用されるようになっている。スライド棚12は、図3において、右方側のスライド棚12に示すように、スライド棚12が固定棚11に収納される収納位置と、中央部のスライド棚12に示すように、スライド棚12が途中まで引き出された中間位置と、左方側のスライド棚12に示すように、スライド棚12が最前方まで引き出された最前位置と、の3つの配置位置において固定されるようになっている。
【0022】
図3及び図4を用いて固定手段15について詳述すると、固定手段15は、内箱3の上面に取り付けられた固定部材16と、スライド棚12の下面に取り付けられたレバー部材17とにより構成されている。レバー部材17は、の長手が前後方向に延びているとともに、固定部材16は、その長手方向がレバー部材17と平行をなすように配置されている。レバー部材17の前端部及び後端部は屈曲されており、固定部材16には、レバー部材17の後端部が収まる切欠部16aが前後方向に並んで3箇所に形成されている。
【0023】
レバー部材17の前端部を操作することにより、レバー部材17の後端部が固定部材16に係脱される。レバー部材17の後端部が固定部材16の切欠部16aから外れると、スライド棚12が前後方向に移動自在になり、レバー部材17の後端部を固定部材16に係合させると、スライド棚12が前後方向に移動不能になる。そのためスライド棚12を所定の配置位置で固定することができる。
【0024】
本実施例の冷蔵ショーケース1では、スライド棚12が固定棚11から引き出されると、商品陳列スペースの面積が増大されるようになっている。そのため販売店舗等において、通常時には、スライド棚12を固定棚11に収納しておき、商品が多量に販売される時間帯などには、スライド棚12を固定棚11から引き出して商品陳列スペースを増大させることにより、より多くの商品を陳列できるようになっている。
【0025】
図3及び図4に示すように、冷気吸込口10は、固定棚11の前端部及び固定棚11に収納された状態(収納位置)のスライド棚12の前端部よりも後方に配置されている。そのため冷気吸込口10の上方は、固定棚11及びスライド棚12により覆われている。固定棚11には、冷気吸込口10に冷気を通風する固定通風孔18が形成されるとともに、スライド棚12には、収納位置において固定通風孔18と連通されて冷気吸込口10に冷気を通風する第1移動通風孔19aが形成されている。
【0026】
また、スライド棚12には、中間位置において固定通風孔18と連通されて冷気吸込口10に冷気を通風する第2移動通風孔19bと、最前位置において固定通風孔18と連通されて冷気吸込口10に冷気を通風する第3移動通風孔19cと、がさらに形成されている。
【0027】
固定通風孔18及び移動通風孔19a,19b,19cは、前後方向に長く延びるスリット状に形成されており、固定通風孔18及び移動通風孔19a,19b,19cは、それぞれ固定棚11及びスライド棚12に左右方向に複数並んで形成されている。
【0028】
以上、本実施例における冷蔵ショーケース1では、冷蔵室4内の固定棚11には、前後方向に移動可能なスライド棚12が収納され、固定棚11の前端部及び固定棚11に収納された状態(収納位置)のスライド棚12の前端部よりも後方に冷気吸込口10を配置するとともに、冷気吸込口10に冷気を通風する固定通風孔18を固定棚11に設け、スライド棚12が固定棚に収納された状態で固定通風孔18と連通されて冷気吸込口10に冷気を通風する第1移動通風孔19aと、スライド棚12が前方に引き出された状態(中間位置及び最前位置)で固定通風孔18と連通されて冷気吸込口10に冷気を通風する第2及び第3移動通風孔19b,19cと、をスライド棚12に設けることで、スライド棚12が固定棚11に収納された状態では、固定棚11の固定通風孔18及びスライド棚12の第1移動通風孔19aから冷気が冷気吸込口10に向かって流れるため、冷気吸込口10に吸い込まれる冷気の流れが妨げられないとともに、スライド棚12の第2移動通風孔19bが固定棚11によって閉塞されるので、冷蔵室4内における冷気の流れを乱す虞がなくなり、かつスライド棚12が固定棚11から引き出された状態であっても、固定棚11の固定通風孔18及びスライド棚12の第2移動通風孔19bから冷気が冷気吸込口10に向かって流れるため、冷気吸込口10に吸い込まれる冷気の流れが妨げないようにできる。また、スライド棚12及び固定棚11を冷気吸込口10よりも前方に張り出させて、スライド棚12の面積及び固定棚11の面積を大きく形成できるようになり、多くの商品を載置できる。
【0029】
また、スライド棚12は、レール部材14により前後方向に移動可能になっており、移動通風孔19a,19b,19cが冷気吸込口10に連通される位置で、スライド棚12を移動不能に固定する固定手段15が設けられていることで、レール部材14によりスムーズに前後方向に出し入れできるスライド棚12を、固定棚11から引き出して固定手段15により所定の引き出し位置で固定して使用できるようになり、かつ固定手段15により移動通風孔19a,19b,19cを冷気吸込口10に連通される位置で固定して使用できる。
【0030】
また、移動通風孔19a,19b,19cが前後方向に長く延びるスリット状に形成されており、移動通風孔19a,19b,19cが左右方向に複数並んで配置されていることで、スライド棚12における移動通風孔19a,19b,19cが形成された部位に商品を載置して使用できるようになる。
【実施例2】
【0031】
次に、実施例2に係る冷凍・冷蔵ショーケースにつき、図5を参照して説明する。尚、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。図5は、実施例2における固定棚及びスライド棚を示す縦断側面図である。以下、図5の紙面左方側を冷蔵ショーケースの正面側(前方側)として説明する。
【0032】
図5に示すように、冷気吸込口10は、固定棚11’の前端部よりも前方、及び固定棚11’に収納された状態(収納位置)のスライド棚12’の前端部よりも後方に配置されている。そのため冷気吸込口10の上方は、スライド棚12’により覆われている。スライド棚12’には、収納位置において冷気吸込口10に冷気を通風する第1移動通風孔19aが形成されている。
【0033】
また、スライド棚12’には、中間位置において冷気吸込口10に冷気を通風する第2移動通風孔19bと、最前位置において冷気吸込口10に冷気を通風する第3移動通風孔19cと、がさらに形成されている。尚、実施例2における固定棚11’は、前記実施例1と異なり、冷気吸込口10に冷気を通風する固定通風孔18が形成されていない。更に尚、前記実施例1における固定棚11’よりも前後方向の寸法が短く形成されている。
【0034】
以上、実施例2における冷蔵ショーケース1’では、冷蔵室4内の固定棚11’には、前後方向に移動可能なスライド棚12’が収納され、固定棚11’の前端部よりも前方及び固定棚11’に収納された状態(収納位置)のスライド棚12’の前端部よりも後方に冷気吸込口10を配置するとともに、スライド棚12’が固定棚11’に収納された状態で冷気吸込口10に冷気を通風する第1移動通風孔19aと、スライド棚12’が前方に引き出された状態(中間位置及び最前位置)で冷気吸込口10に冷気を通風する第2及び第3移動通風孔19b,19cと、をスライド棚12’に設けることで、スライド棚12’が固定棚11’に収納された状態では、スライド棚12’に設けられた第1移動通風孔19aから冷気が冷気吸込口10に向かって流れるため、冷気吸込口10に吸い込まれる冷気の流れが妨げられないとともに、スライド棚12’の第2及び第3移動通風孔19b,19cが固定棚11’によって閉塞されるので、冷蔵室4内における冷気の流れを乱す虞がなくなり、かつスライド棚12’が固定棚11’から引き出された状態であっても、スライド棚12’に設けられた第2及び第3移動通風孔19b,19cから冷気が冷気吸込口10に向かって流れるため、冷気吸込口10に吸い込まれる冷気の流れが妨げないようにできる。また、スライド棚12’を冷気吸込口10よりも前方に張り出させて、スライド棚12’の面積を大きく形成できるようになり、多くの商品を載置できる。
【実施例3】
【0035】
次に、実施例3に係る冷凍・冷蔵ショーケースにつき、図6を参照して説明する。尚、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。図6は、実施例3における固定棚及びスライド棚を示す縦断側面図である。以下、図6の紙面左方側を冷蔵ショーケースの正面側(前方側)として説明する。
【0036】
図6に示すように、冷気吸込口10は、固定棚11’’の前端部及び固定棚11’’に収納された状態(収納位置)のスライド棚12’’の前端部よりも前方に配置されている。冷気吸込口10の上方は、前後方向に長く延びるスリット孔20が左右方向に複数並んで形成されたカバー板21が設けられている。スライド棚12’’が収納位置にある場合には、カバー板21のスリット孔20から冷気吸込口10に冷気が通風されるようになっている。
【0037】
また、スライド棚12’’には、中間位置において冷気吸込口10に冷気を通風する移動通風孔19aと、最前位置において冷気吸込口10に冷気を通風する移動通風孔19bと、が形成されている。尚、実施例3における固定棚11’’は、前記実施例2と同様に、冷気吸込口10に冷気を通風する固定通風孔18が形成されていない。更に尚、実施例3における固定棚11’’及びスライド棚12’’は、前記実施例1における固定棚11’’及びスライド棚12’’よりも前後方向の寸法が短く形成されている。
【0038】
以上、実施例3における冷蔵ショーケース1’’では、冷蔵室4内の固定棚11’’には、前後方向に移動可能なスライド棚12’’が収納され、固定棚11’’の前端部及び固定棚11’’に収納された状態(収納位置)のスライド棚12’’の前端部よりも前方に冷気吸込口10を配置するとともに、スライド棚12’’が前方に引き出された状態(中間位置及び最前位置)で冷気吸込口10に冷気を通風する移動通風孔19a,19bをスライド棚12’’に設けることで、スライド棚12’’が固定棚11’’に収納された状態では、冷気吸込口10に吸い込まれる冷気の流れが妨げられないとともに、スライド棚12’’の移動通風孔19a,19bが固定棚11’’によって閉塞されるので、冷蔵室4内における冷気の流れを乱す虞がなくなり、かつスライド棚12’’が固定棚11’’から引き出された状態であっても、スライド棚12’’に設けられた移動通風孔19a,19bから冷気が冷気吸込口10に向かって流れるため、冷気吸込口10に吸い込まれる冷気の流れが妨げないようにできる。
【0039】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0040】
例えば、前記実施例では、商品を低温に保ったままの保冷状態で陳列するための冷蔵ショーケース1に、本発明を適用しているが、商品を凍らせた凍結状態で陳列するための冷凍ショーケースに、本発明を適用してもよい。
【0041】
また、前記実施例では、スライド棚12が固定棚11に収納される構成となっているが、例えば、冷蔵室4の背面板3bに固定される固定棚を複数段設け、各々の固定棚にスライド棚12を収納するとともに、冷気が通風される通風孔を固定棚及びスライド棚12に形成するようにしてもよい。
【0042】
また、前記実施例では、固定棚11の下方にスライド棚12が収納される構成となっているが、固定棚11の上方にスライド棚12を配置して、該スライド棚12を前後方向に移動させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施例1における冷蔵ショーケースを示す斜視図である。
【図2】冷蔵ショーケースを示す縦断側面図である。
【図3】冷蔵ショーケースを示す平面図である。
【図4】固定棚及びスライド棚を示す縦断側面図である。
【図5】実施例2における固定棚及びスライド棚を示す縦断側面図である。
【図6】実施例3における固定棚及びスライド棚を示す縦断側面図である。
【符号の説明】
【0044】
1、1’、1’’ 冷蔵ショーケース
2 外箱
3 内箱
4 冷蔵室
5 通風路
6 冷却装置(冷却手段)
7 送風機(送風手段)
8 冷気吹出口
10 冷気吸込口
11、11’ 固定棚
11’’ 固定棚
12、12’ スライド棚
12’’ スライド棚
12a 手掛部
14 レール部材
15 固定手段
16 固定部材
16a 切欠部
17 レバー部材
18 固定通風孔
19a 第1移動通風孔
19b 第2移動通風孔
19c 第3移動通風孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱と内箱とにより、上面または前面が開口する冷蔵室を形成するとともに、前記外箱と前記内箱との間に形成された通風路内に、冷却手段と送風手段とを設け、前記通風路の冷気吹出口から冷気吸込口に向けて吹き出される冷気により前記冷蔵室を冷却する冷凍・冷蔵ショーケースであって、
前記冷蔵室内の固定棚には、前後方向に移動可能なスライド棚が収納され、前記固定棚の前端部及び該固定棚に収納された状態の前記スライド棚の前端部よりも前方に前記冷気吸込口を配置するとともに、前記スライド棚が前方に引き出された状態で前記冷気吸込口に冷気を通風する移動通風孔を該スライド棚に設けることを特徴とする冷凍・冷蔵ショーケース。
【請求項2】
外箱と内箱とにより、上面または前面が開口する冷蔵室を形成するとともに、前記外箱と前記内箱との間に形成された通風路内に、冷却手段と送風手段とを設け、前記通風路の冷気吹出口から冷気吸込口に向けて吹き出される冷気により前記冷蔵室を冷却する冷凍・冷蔵ショーケースであって、
前記冷蔵室内の固定棚には、前後方向に移動可能なスライド棚が収納され、前記固定棚の前端部よりも前方及び該固定棚に収納された状態の前記スライド棚の前端部よりも後方に前記冷気吸込口を配置するとともに、前記スライド棚が前記固定棚に収納された状態で前記冷気吸込口に冷気を通風する第1移動通風孔と、前記スライド棚が前方に引き出された状態で前記冷気吸込口に冷気を通風する第2移動通風孔と、を該スライド棚に設けることを特徴とする冷凍・冷蔵ショーケース。
【請求項3】
外箱と内箱とにより、上面または前面が開口する冷蔵室を形成するとともに、前記外箱と前記内箱との間に形成された通風路内に、冷却手段と送風手段とを設け、前記通風路の冷気吹出口から冷気吸込口に向けて吹き出される冷気により前記冷蔵室を冷却する冷凍・冷蔵ショーケースであって、
前記冷蔵室内の固定棚には、前後方向に移動可能なスライド棚が収納され、前記固定棚の前端部及び該固定棚に収納された状態の前記スライド棚の前端部よりも後方に前記冷気吸込口を配置するとともに、該冷気吸込口に冷気を通風する固定通風孔を前記固定棚に設け、前記スライド棚が前記固定棚に収納された状態で前記固定通風孔と連通されて前記冷気吸込口に冷気を通風する第1移動通風孔と、前記スライド棚が前方に引き出された状態で前記固定通風孔と連通されて前記冷気吸込口に冷気を通風する第2移動通風孔と、を該スライド棚に設けることを特徴とする冷凍・冷蔵ショーケース。
【請求項4】
前記スライド棚は、レール部材により前後方向に移動可能になっており、前記移動通風孔が前記冷気吸込口に連通される位置で、前記スライド棚を移動不能に固定する固定手段が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の冷凍・冷蔵ショーケース。
【請求項5】
前記移動通風孔が前後方向に長く延びるスリット状に形成されており、該移動通風孔が左右方向に複数並んで配置されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の冷凍・冷蔵ショーケース。
【請求項6】
前記スライド棚の前縁部には、手掛部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の冷凍・冷蔵ショーケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−112670(P2009−112670A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−291556(P2007−291556)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】