説明

冷凍冷蔵ショーケースにおける照明装置

【課題】キャノピーに設けられた照明装置による照射面の照度を充分に高めることができる冷凍冷蔵ショーケースにおける照明装置を提供すること。
【解決手段】冷凍冷蔵ショーケース1のキャノピー13、頂板3c、棚板6の下面に設けられ、それぞれ下方の商品陳列スペースSに照明を行うようにした冷凍冷蔵ショーケース1における照明装置14,15,16であって、照明装置14,15,16には、LEDが左右方向に複数配設され、キャノピー13に設けられる照明装置15の各LEDの光束を、頂板3c及び棚板6に設けられる照明装置14,15の各LEDの光束よりも大きくした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍冷蔵ショーケースのキャノピー、頂板、棚板の下面に設けられ、それぞれ下方の商品スペースに照明を行うようにした冷凍冷蔵ショーケースにおける照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ショーケースなどで用いられる照明装置には、商品棚(棚板)の下面に設けられた取付体に形成された取付孔に蛍光灯ホルダを取り付け、この蛍光灯ホルダに対して蛍光灯(光源)を取り付けることで、商品棚に設けられた商品を明るく照らせるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、冷凍冷蔵ショーケースにおいて、商品陳列用空間部の前方上部に設けられた吐出口から下方に向けて冷気が吐出され、商品陳列用空間部の前面にエアカーテンを作り出すようになっており、冷気が吐出される吐出口よりも上方も設けられたキャノピーと呼ばれる庇の部分や吐出口近傍の天井面(頂板)に、蛍光灯で構成される照明装置が設けられている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−158324号公報(第3頁、第1図)
【特許文献2】特開2001−169879号公報(第3頁、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、照明装置に用いられる新しい光源として、低消費電力、長寿命、小型であるLED(発光ダイオード)が使用されつつある。しかしながら、特許文献1及び2に記載のショーケースにあっては、照明装置の光源である蛍光灯を多数のLEDに置き換えることで、照明装置を低消費電力、長寿命、小型にすることができるが、照明装置が照射対象としている棚板の上面等の照射面までの照射距離は、天井面(頂板)及び棚板の下面に設けられる照明装置の照射距離よりも、キャノピー(庇の部分)の下面に設けられる照明装置の照射距離の方が長くなってしまい、キャノピーに設けられた照明装置による照射面の照度を充分に高められないという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、キャノピーに設けられた照明装置による照射面の照度を充分に高めることができる冷凍冷蔵ショーケースにおける照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の冷凍冷蔵ショーケースにおける照明装置は、
冷凍冷蔵ショーケースのキャノピー、頂板、棚板の下面に設けられ、それぞれ下方の商品陳列スペースに照明を行うようにした冷凍冷蔵ショーケースにおける照明装置であって、
前記照明装置には、LEDが左右方向に複数配設され、前記キャノピーに設けられる照明装置の各LEDの光束を、前記頂板及び前記棚板に設けられる照明装置の各LEDの光束よりも大きくしたことを特徴としている。
この特徴によれば、冷凍冷蔵ショーケースの照明装置としてLEDを用いることにより、照明装置の小型化、低消費電力、長寿命に加えて冷却による長寿命化が図られ、かつ光束が大きなLEDを用いた照明装置をキャノピーに設けることにより、頂板及び棚板と比較して照射対象となる棚板の上面等の照射面までの距離が遠いキャノピーに設けられた照明装置であっても、照射面の照度を充分に高めることができる。
【0008】
本発明の請求項2に記載の冷凍冷蔵ショーケースにおける照明装置は、請求項1に記載の冷凍冷蔵ショーケースにおける照明装置であって、
前記キャノピーに設けられる照明装置の各LED同士の間隔が、前記頂板及び前記棚板に設けられる照明装置の各LED同士の間隔よりも大きくなっていることを特徴としている。
この特徴によれば、キャノピーに設けられる照明装置に光束が大きなLEDを用いて発熱量が多くなっても、LED同士の間隔を大きくすることで、キャノピーに設けられた照明装置の発熱量を抑えることができる。
【0009】
本発明の請求項3に記載の冷凍冷蔵ショーケースにおける照明装置は、請求項1または2に記載の冷凍冷蔵ショーケースにおける照明装置であって、
前記照明装置には、広指向性のLEDが用いられることを特徴としている。
この特徴によれば、照射の対象となる照射面との距離が近くであっても、広指向性LEDを用いることで広い範囲の照射面を照らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係る冷凍冷蔵ショーケースにおける照明装置を実施するための最良の形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0011】
本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、先ず図1は、実施例における冷凍冷蔵ショーケースを示す縦断側面図であり、図2は、棚板に設けられた照明装置を示す横断底面図であり、図3は、棚板に設けられた照明装置を示す縦断側面図であり、図4は、キャノピーに設けられた照明装置を示す横断底面図であり、図5は、キャノピーに設けられた照明装置を示す縦断側面図であり、図6は、PWMにより制御されたLEDの点灯状態を示すタイムチャートであり、図7は、PWMにより制御されたLEDの点灯状態を示すタイムチャートであり、図8は、LEDの電力と照度の関係を示すグラフである。以下、図1、図3、図5の紙面左側を冷凍冷蔵ショーケースの正面側(前方側)とし、図2及び図4の紙面上側を冷凍冷蔵ショーケースの正面側(前方側)として説明する。
【0012】
図1の符号1は、本発明の適用された商品陳列棚としての冷凍冷蔵ショーケースであり、この冷凍冷蔵ショーケース1は、主に商店やスーパーマーケットやコンビニエンスストア等の食品等を取り扱う販売店舗に設置され、商品を低温に保ったまま保冷、または冷凍した状態で陳列するために設置される。
【0013】
図1に示すように、冷凍冷蔵ショーケース1は、前方側が開放された略コ字形をなす断熱構造の外箱2と、その内方に前面が開放された略コ字形の内箱3とを備え、内箱3の内部空間は冷蔵室5となっている。この冷蔵室5の内部には、商品を陳列するための棚板6が上下方向に複数段配置されており、棚板6の後端は、内箱3を形成する背面板3aに取り付けられている。この各棚板6の上面が商品(図示略)が陳列される商品陳列スペースSとなっているとともに、内箱3を形成する底板3bの上面も商品が陳列される商品陳列スペースSになっている。
【0014】
また、外箱2と内箱3との間には、冷風が通風される通風路7が形成されており、底板3bの下方における通風路7内部には、空気を冷却するための冷却装置8と送風機9が設置されている。冷凍冷蔵ショーケース1の上部の前端には、通風路7内の冷気を吐出する吐出口10が下向きに開口して形成されるとともに、この吐出口10よりも前方側には、庇状に前方に向かって突出されたキャノピー13が設けられている。更に、冷凍冷蔵ショーケース1の下部の前端には、上方に開口する空気(冷気)の吸込口11が形成されている。
【0015】
送風機9を作動させると、吸込口11から吸入された空気が冷却装置8により冷却され、この冷気が通風路7内を上方に向かって流れて、吐出口10から下方の吸込口11に向かって吹き出されるようになっている。これにより、冷凍冷蔵ショーケース1の前面の開放面に冷気のエアカーテン12が形成されるとともに、その冷気の一部が冷蔵室5内に流入することにより、棚板6及び底板3bにおける商品陳列スペースSに陳列された商品が保冷されるようになる。
【0016】
本実施例における冷凍冷蔵ショーケース1には、各棚板6の下面前部にそれぞれ設けられた棚板6用の照明装置14と、最上段の棚板6の上方に配置された内箱3の天井面を形成する頂板3c(インナー)に設けられた頂板3c用の照明装置16と、キャノピー13の下面に設けられたキャノピー13用の照明装置15と、が設けられている。
【0017】
棚板6用の照明装置14は、その下方に配置された棚板6及び底板3bの上面に陳列される商品を照らすとともに、頂板3c用の照明装置16は、最上段の棚板6の上面に陳列される商品と照らすようになっている。また、キャノピー13用の照明装置15は、各棚板6及び底板3bに陳列される商品を照らすとともに、後述する棚板6の前面で商品の価格等を表示する表示板19(図3参照)なども照らせるようになっている。
【0018】
図3に示すように、各棚板6は、商品を上面に載置するように平板状に形成された平板部6aと、平板部6aの前面側に下方に向けて略直角に屈曲された屈曲部6bと、が形成されている。また、棚板6は、棚板6の下面左右両端部に設けられた棚板用支持部材17を介して背面板3aに支持されている。更に、棚板6の下面前側には、側面視で略V字形状に屈曲された補強板18が固着されており、この補強板18により商品を載置して荷重の掛かったる棚板6を補強している。尚、屈曲部6bの前面には、棚板6に陳列された商品の商品名や価格等の情報を表示できる表示板19が取り付けられている。
【0019】
次に、図2及び図3を用いて棚板6用の照明装置14について詳述する。棚板6用の照明装置14は直方体状の略箱体をなしており、その長手方向が左右幅方向を向いて各棚板6の下面前部に沿って設けられている。棚板6用の照明装置14には、側面視下方に開口する断面視で略コ字形状をなし、アルミニウム合金で形成された本実施例におけるケース体としてのアルミケース23が設けられており、このアルミケース23内部には、基板24、LED25、反射板27が配置されている。
【0020】
アルミケース23の内部に装着された基板24に、左右幅方向に所定間隔おきにLED25が点在して設けられ、このLED25から発せられる光を下方側に反射させるように、反射板27が配置されている。反射板27は、その前後縁辺がアルミケース23の内壁に形成された係合溝23aに係合され、反射板27が上方に向かって膨出するように湾曲されている。
【0021】
また、アルミケース23の開口を被覆するようにグレア26が取り付けられている。このグレア26は、透光性を有する平板形状をなし、その前後縁辺がアルミケース23の開口端に形成された凹溝23bに嵌合され、アルミケース23内部に収容したLED25及び基板24等を保護している。
【0022】
更に、アルミケース23の外周面には、複数の突起(凹凸部)からなる本実施例における放熱部としての放熱フィン23cが形成されている。この放熱フィン23cによりLED25を発光させたときに、LED25及び基板24の発熱をアルミケース23の外部に効率よく放熱できるようになっている。また、熱伝導率の高いアルミニウム合金で形成されたアルミケース23により照明装置14のケース体を構成していることで、LED25の冷却効果を一層高めることができる。
【0023】
尚、アルミケース23の外周面、すなわち放熱フィン23cは、棚板6の下面から所定距離離間した状態で配置されている。そのため照明装置14から発生する熱が棚板6に伝わることを防止でき、照明装置14の熱の影響を棚板6上の商品に与えずに済むようになる。また、照明装置14の放熱フィン23cと棚板6の下面との間に、冷蔵室5の冷気が入り込み、この冷気により放熱フィン23c、すなわち照明装置14が効率よく冷やされるため、照明装置14の内部に熱が蓄積されてLED25が高温になることを防止できる。
【0024】
棚板6用の照明装置14は、棚板6の下面前部、すなわち補強板18の前側において、後述のように棚板6に対して所定角度傾斜した状態で取り付けられている。より具体的には、LED25等を収容した状態でアルミケース23の左右両端を塞ぐ塞ぎ材32が、固定ねじ30により取り付けられおり、補強板18に固着されたブラケット22が、塞ぎ材32に近接して沿うように前方に向かって延設されている。
【0025】
そして、塞ぎ材32に形成された挿通孔32aと、該挿通孔32aと略同径にブラケット22に形成された挿通孔22aとに、円筒状の軸体33を棚板6の左右幅方向に挿通する。すなわち照明装置14は、補強板18を介して棚板6に設けたブラケット22に軸体33を介して装着されている。尚、照明装置14はブラケット22に対して揺動不能に取り付けられおり、照明装置14の所定角度の傾斜は、照明装置14の取付作業の際に任意に設定されており、放熱フィン23cが棚板6の下面に当接しないようになっている。
【0026】
また、ブラケット22を介して照明装置14を棚板6に取り付けることで、照明装置14と棚板6とを離間させた状態で、照明装置14を棚板6に簡単に取り付けることができ、かつ棚板6と照明装置14との間のブラケット22により照明装置14内部で発生する熱が棚板6に殆ど伝導しなくなる。
【0027】
また、軸体33には、両端が内部で連通する挿通孔33aが穿設されており、各LED25に電力を供給する電源ケーブル34が、この挿通孔33aに挿設されている。そのためブラケット22に対して照明装置14を取り付ける際に、電源ケーブル34を捻れないようにでき、電源ケーブル34の破損や漏電を防止できる。
【0028】
更に、ブラケット22には、軸体33の挿通孔33aを外方から被覆するように形成された保護カバー31が取り付けられている。そのため軸体33の挿通孔33aに挿通した電源ケーブル34を、挿通孔33aを被覆するように形成された保護カバー31により保護することができる。
【0029】
尚、特に詳細な図示はしないが、頂板3c用の照明装置16には、前述した棚板6用の照明装置14と同様の構成をなす照明装置16が用いられており、頂板3c用の照明装置16に用いられている基板(図示略)やLED(図示略)は、棚板6用の照明装置14の基板24やLED25と同様な構成となっている。
【0030】
次に、図4及び図5を用いてキャノピー13用の照明装置15について詳述する。キャノピー13用の照明装置15におけるアルミケース35(ケース体)は、前述した棚板6用の照明装置14のアルミケース23よりも若干大型に形成された略箱体をなしており、その長手方向が左右幅方向を向いてキャノピー13の下面前部に沿って設けられており、このアルミケース35内部には、基板36、LED37、反射板38が配置されている。
【0031】
アルミケース35の内部には、左右幅方向に所定間隔おきにLED37が点在して設けられ、このLED37を制御する基板36や、LED37及び基板36に接続される電源ケーブル39が配設されている。更に、アルミケース35の開口を被覆するようにグレア40が取り付けられている。
【0032】
また、アルミケース35の外周面には、複数の突起(凹凸部)からなる放熱フィン35c(放熱部)が形成されている。この放熱フィン35cによりLED37を発光させたときに、LED37及び基板36の発熱をアルミケース35の外部に放熱できるようになっている。
【0033】
キャノピー13用の照明装置15は、キャノピー13の下面前部において、所定角度傾斜した状態で取り付けられている。より詳述すると、ブラケット41がキャノピー13の下面前部に前下方に突設されており、このブラケット41に対して、照明装置15のアルミケース35の左右両端が固定ねじ42により取り付けられている。尚、ブラケット41がアルミケース35の左右両端の塞ぎ材となっている。
【0034】
そして、ブラケット41に形成された挿通孔41aに軸体43が設けられ、軸体43には、両端が内部で連通する挿通孔43aが穿設されており、各LED37に電力を供給する電源ケーブル39が、この挿通孔43aに挿設されている。
【0035】
本実施例における冷凍冷蔵ショーケース1では、照明装置14,15,16の光源としてLED25,37を用いることにより、照明装置14,15,16の小型化、低消費電力、長寿命に加えて冷却による長寿命化が図られるようになっている。次に、本実施例における照明装置14,15,16に用いられているLED25,37について詳述する。
【0036】
図2及び図3に示すように、棚板6及び頂板3c用のLED25は、平面視で円形状をなし、側面視で半球形状に膨出されている。また、図4及び図5に示すように、キャノピー13用のLED37は、前述した棚板6及び頂板3c用のLED25と比較して、平面視で横長の矩形状をなし、側面視で平板状をなしている。
【0037】
また、棚板6及び頂板3c用の照明装置14,16には、定格電力が1.2WのLED25が用いられているとともに、キャノピー13用の照明装置15には、定格電力が3.5WのLED37が用いられている。尚、一般的にLED25,37は、定格電力の1.5倍程度の最高使用電力を供給して使用可能となっており、本実施例におけるLED25,37は、LED25,37が発する光の量、すなわち光束を増大させるために、LED25,37に対して定格電力以上の最高使用電力近傍の電力を供給して使用するようになっている。
【0038】
図1に示すように、それぞれの照明装置14,15,16が照射対象としている本実施例における照射面(商品陳列スペースS)、すなわち商品が陳列される棚板6及び底板3bの上面までの距離は、棚板6及び頂板3c用の照明装置14,16よりもキャノピー13用の照明装置15の方が長くなっている。そのため各々の照明装置14,15,16に同じ定格電力のLED25,37を用いてしまうと、照射面までの距離が長いキャノピー13用の照明装置15の照度が低下してしまう虞がある。
【0039】
しかしながら、本実施例における照明装置14,15,16では、キャノピー13用の照明装置15に光束を増大させることができる定格電力の大きなLED37を使用するようになっている。そのため頂板3c及び棚板6の照明装置14,16と比較して、照射面までの距離が遠いキャノピー13に設けられた照明装置15であっても、照射面の照度を充分に高めることができる。
【0040】
尚、頂板3c及び棚板6用の照明装置14,16の各LED25同士の所定間隔αよりも、キャノピー13用の照明装置15の各LED37同士の間隔βが大きくなっている。そのため冷蔵室5よりも外方に設けられ放熱がし難いキャノピー13用の照明装置15に、光束が大きなLED37、すなわち定格電力の大きなLED37を用いてその発熱量が増大しても、LED37同士の間隔βを大きくすることで、キャノピー13用の照明装置15の放熱性を高め、その発熱量を抑えることができる。
【0041】
尚、各々の照明装置14,15,16には、広指向性のLED25,37が用いられている。そのため棚板6用の照明装置14など、照射の対象となる照射面(商品陳列スペースS)との距離が近くであっても、広指向性LED25を用いることで広い範囲の照射面を照らすことができ、棚板6及び底板3bなどの商品陳列スペースSの前端から後端まで、ほぼ同じ照度で照らすことが可能になっている。
【0042】
本実施例における各々の照明装置14,15,16に用いられているLED25,37に供給される電力は、各LED25,37の最高使用電力よりも低減させた状態で点灯されるようになっている。各LED25,37に入力される電力は、各LED25,37の最高使用電力の80〜95%の電力となるように制御される。
【0043】
より詳しくは、各々の照明装置14,15,16のLED25,37に供給される電力は、矩形状のパルス波のデューティー比を変化させて変調するパルス幅変調、すなわちパルス・ワイド・モジュレーション(以下PWMと称する)により制御されている。PWMを棚板6用の照明装置14を例により詳述すると、図6に示すように、PWMを用いた制御では、LED25に供給する電力スイッチのON−OFF状態を切り換えながら点滅発光させる制御を行っている。
【0044】
図6に示すタイムチャートの例では、PWMにより制御されたLED25の点灯時間が8割で消灯時間2割の点滅発光を繰り返すよう制御している。すなわち点滅発光しない状態と比較して単位時間あたりのLED25の消費電力を2割ほど低下できるようになっている。尚、本実施例のLED25が点滅発光される際の消灯時間は、非常に短い時間となっているため、商品陳列スペースSを視認している人間の目には、常時点灯されるLEDを用いた際と同じ照明効果が得られるようになっている。
【0045】
尚、PWMによるLED25の点灯制御は、照明装置14に設けられた基板24で行われるようになっている。このようにPWMによる制御を行う基板24が本実施例における電力低減手段を構成している。更に尚、パルス幅変調(PWM)を用いてLED25を点滅発光させることで、LED25に最高使用電力よりも少ない電力を入力する制御を基板24によって容易に行うことができる。また、PWMによる制御を行うのは、基板24に限らず、照明装置14に電力を供給する電源装置(図示略)などで行うようにしてもよい。
【0046】
図7に示すタイムチャートは、少なくとも2つ(複数個)のLED25を用いてLED25のPWMによる点灯制御を行う変形例を示している。図7(a)のタイムチャートに示したLED25と、図7(b)のタイムチャートに示したLED25とが交互に点滅点灯されるようになっている。すなわち図7(a)のLED25が点灯している間、図7(b)のLED25が消灯されるとともに、図7(b)のLED25が点灯している間、図7(a)のLED25が消灯されるようになっている。このように複数のLED25の点滅点灯を交互に繰り返すことで、LED25に供給される電力を低減させることができる。
【0047】
本実施例では、各LED25の最高使用電力よりも少ない電力を入力することで、LED25を最高使用電力で使用する際と比較して、LED25の明るさを殆ど落とすことなく、LED25の発熱量を減少させてLED25が高温状態になることを防止し、その使用寿命を延ばすことができるようになっている。
【0048】
尚、キャノピー13用の照明装置15と頂板3c及び棚板6用の照明装置14,16とを別々に制御するようにしてもよく、例えば、キャノピー13用の照明装置15の全てのLED37をPWMによる制御によって同時に点滅点灯させるとともに(図6参照)、頂板3c及び棚板6用の照明装置14,16を各々のLED25が交互に点滅点灯される構成としてもよい(図7参照)。
【0049】
図8に示したのは、棚板6用の照明装置14に供給される電力(W)と、棚板6の上面、すなわち商品陳列スペースSにおける照度(LX)との関係を示したグラフである。このグラフに示すように、照明装置14に対する入力電力が最高使用電力である100%から入力電力を2割ほど低減させた80%まで範囲では、商品陳列スペースSにおける照度が2000LX以上となっており、照明装置14に対する入力電力を80%程度低減させても、最高使用電力(100%)のときとほぼ同じ照度を確保できることが分かる。
【0050】
このことから考察すると、各LED25に入力される電力を、最高使用電力の80〜95%の電力にしても、LED25の明るさを殆ど落とすことなく、消費電力を低減させることができ、最も効率的よくLED25使用しながら照明装置14の発熱量を減少させることができる。
【0051】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0052】
例えば、前記実施例では、キャノピー13用の照明装置15に用いられているLED37は、光束を増大させることができる定格電力の大きなLED37となっているが、全ての照明装置14,15,16に同じ定格電力のLEDを用いるようにしてもよく、その場合には、キャノピー13用の照明装置15には、頂板3c及び棚板6用の照明装置14,16よりも多くの個数のLEDを設けることで、照明装置15の光束を増大させ、商品陳列スペースS(照射面)までの距離が遠いキャノピー13用の照明装置15であっても、照射面の照度を充分に高めることができる。
【0053】
また、前記実施例では、照明装置14,15,16のLED25,37に供給される電力が、PWMにより低減されるように制御されていたが、LED25,37に供給される電力を低減させる手段としてはPWMに限らず、電流値や電圧値を直接低減させるように制御してもよい。
【0054】
また、前記実施例では、照明装置14はブラケット22に対して揺動不能に取り付けられているが、照明装置14の放熱フィン23cが棚板6の下面に当接しない揺動範囲で、照明装置14を、軸体33を中心軸として前後方向に揺動可能にして、照明装置14から発せられる光を任意の方向に向けられるようにしてもよく、その場合には、照明装置14の揺動範囲を任意に規制できる規制手段を設けるようにしてもよい。
【0055】
また、前記実施例では、照明装置14内で発生する熱を外部に放熱する放熱部としての放熱フィンがアルミケース23の外周面に形成されているが、放熱部はフィン状のものに限らず、例えば、アルミケース23の外周面に内部に貫通する貫通孔を設け、この貫通孔から照明装置14内で発生する熱を外部に放熱できるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】実施例における冷凍冷蔵ショーケースを示す縦断側面図である。
【図2】棚板に設けられた照明装置を示す横断底面図である。
【図3】棚板に設けられた照明装置を示す縦断側面図である。
【図4】キャノピーに設けられた照明装置を示す横断底面図である。
【図5】キャノピーに設けられた照明装置を示す縦断側面図である。
【図6】PWMにより制御されたLEDの点灯状態を示すタイムチャートである。
【図7】PWMにより制御されたLEDの点灯状態を示すタイムチャートである。
【図8】LEDの電力と照度の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0057】
1 冷凍冷蔵ショーケース(商品陳列棚)
3 内箱
3c 頂板
6 棚板
10 吐出口
13 キャノピー
14,15,16 照明装置
22 ブラケット
23 アルミケース(ケース体)
23c 放熱フィン(放熱部)
24 基板(電力低減手段)
25 LED
35 アルミケース
35c 放熱フィン(放熱部)
36 基板(電力低減手段)
37 LED
41 ブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍冷蔵ショーケースのキャノピー、頂板、棚板の下面に設けられ、それぞれ下方の商品陳列スペースに照明を行うようにした冷凍冷蔵ショーケースにおける照明装置であって、
前記照明装置には、LEDが左右方向に複数配設され、前記キャノピーに設けられる照明装置の各LEDの光束を、前記頂板及び前記棚板に設けられる照明装置の各LEDの光束よりも大きくしたことを特徴とする冷凍冷蔵ショーケースにおける照明装置。
【請求項2】
前記キャノピーに設けられる照明装置の各LED同士の間隔が、前記頂板及び前記棚板に設けられる照明装置の各LED同士の間隔よりも大きくなっていることを特徴とする請求項1に記載の冷凍冷蔵ショーケースにおける照明装置。
【請求項3】
前記照明装置には、広指向性のLEDが用いられることを特徴とする請求項1または2に記載の冷凍冷蔵ショーケースにおける照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−210669(P2008−210669A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−46753(P2007−46753)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】