説明

冷凍焼餃子の再焼成方法

【課題】業務用に大量の冷凍焼餃子を良好に再焼成することができる冷凍焼餃子の再焼成方法を提供する。
【解決手段】スチームコンベクションオーブンのホテルパン11に、複数の冷凍焼餃子21を焼面22を下に向けて並べる。複数の冷凍焼餃子22の上部全体に、水を含ませた吸水性及び耐熱性を備えたシート12を被せる。ホテルパン11に蓋13をしてスチームコンベクションオーブン内に配置し、加熱して焼成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理済みの焼餃子を冷凍保存した冷凍焼餃子を、喫食前に再焼成する冷凍焼餃子の再焼成方法に係り、特に、スチームコンベクションオーブンを使用して、業務用に大量の冷凍焼餃子を一度に再焼成する冷凍焼餃子の再焼成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
調理後冷凍保存した冷凍焼餃子を再焼成する方法として、一般家庭では、フッ素樹脂加工されたフライパンやホットプレートに冷凍焼餃子を並べて加熱し、餃子の底を適度に焼いた後、熱湯を注いで蓋をして全体を蒸し焼きにしていた。しかし、餃子の焼面をパリッとさせると共に、皮はもっちりと、中の餡はしっとりと焼くためには、熟練を要することから、冷凍餃子を収容するトレーにとろみ液を収容するとろみ収容部を備え、冷凍餃子の底面にとろみ液を一体に凍結させ、焼成時には、とろみ液の部分が、熱した鉄板等やフライパンに接触するように載置するようにし、焼面が平らで食感の良い焼餃子が得られるようにしたものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、近年、調理食品を提供する食品製造分野で、大量の食材をむら無く調理することができるスチームコンベクションオーブンが広く用いられるようになっている。このスチームコンベクションオーブンは、通常のオーブン機能に加えて蒸気を用いて食材を加熱でき、焼き物や蒸し料理に多用されているが、煮物料理にも適用できるように、具材を入れた容器の上に吸水性のシートを被せ、該シートの上から調味液をかけ、落としぶたをした状態で加熱調理し、具材に味を染み込ませるようにした調理方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−56313号公報
【特許文献2】特許第3935130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述の特許文献1のような冷凍餃子をフライパンやホットプレートを用いて再焼成する方法は、少量の冷凍焼餃子の再焼成には適しているものの、業務用に大量の冷凍焼餃子を一度に再焼成することはできなかった。また、特許文献1のような冷凍餃子をスチームコンベクションオーブンを用いて一度に大量に再焼成すると、皮の合わせ部分(耳部)が硬くなり、良好な焼餃子が得られなかった。これは、冷凍餃子が有する凍結潜熱により、調理解凍時間が長くなることと、耳部に含有される水分が他の部分に比べて少ないことが要因と考えられる。
【0006】
さらに、特許文献2に示されるような一般の吸水性のシートを利用する調理方法は、液体部が多い具材を160度程度で調理する煮物の調理には適しているが、調理温度帯が約250度となる冷凍焼餃子の再焼成には適用しがたかった。また、高温で調理するとシートが焦げて品質が低下する虞があった。
【0007】
そこで本発明は、業務用に大量の冷凍焼餃子を良好に再焼成することができる冷凍焼餃子の再焼成方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の冷凍焼餃子の再焼成方法は、スチームコンベクションオーブンのホテルパンに、複数の冷凍焼餃子を焼面を下に向けて並べ、該複数の冷凍焼餃子の上部全体に、水を含ませた吸水性及び耐熱性を備えたシートを被せた後に、前記ホテルパンに蓋をしてスチームコンベクションオーブン内に配置し、焼成することを特徴としている。さらに、前記冷凍焼餃子は、生餃子の焼面に、水,油脂,乳化剤に対し、穀物粉及び/又はタンパク質を添加して乳化させたエマルジョンをつけて焼成した後、冷凍して形成されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の冷凍焼餃子の再焼成方法によれば、業務用の大量の冷凍焼餃子を、焼面をパリッとさせると共に、皮はもっちりと、中の餡はしっとりとした状態に再焼成することができる。また、大量に冷凍焼餃子を再焼成しても、再焼成後の焼餃子の品質にばらつきがなく、簡単、且つ、良好に冷凍焼餃子の再焼成をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一形態例を示す冷凍焼餃子の再焼成方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本形態例の冷凍焼餃子の再焼成方法は、まず、図1(A)に示されるように、スチームコンベクションオーブンのホテルパン11に、調理済みの複数の冷凍焼餃子21を焼面22を下に向けて並べる。
【0012】
次に、吸水性及び耐熱性を備えたシート12に水を含ませ、図1(B)に示されるように、このシート12を、ホテルパン11に並べた複数の冷凍焼餃子21の上部全体に被せる。
【0013】
次いで、図1(C)に示されるように、ホテルパン11に蓋13をして、スチームコンベクションオーブン内に配置し、所定時間、加熱して焼成する。加熱温度は200℃〜300℃、好ましくは225℃〜275℃、湿度は好ましくは60%以上にすればよい。冷凍焼餃子21は、ホテルパン11に接触している焼面22が焼き状態となると共に、焼面22よりも上方が水を含ませたシート12で覆われていることにより蒸し状態となる。
【0014】
所定時間経過後、スチームコンベクションオーブンからホテルパン11を取り出し、蓋13を開け、シート12を外した状態で、再焼成された焼餃子を2〜3分間放置し、粗熱を取ってから適宜盛りつける。
【0015】
本形態例で用いられる冷凍焼餃子は、周知のように餃子の餡を皮で包み、皮をひだ状に合わせたミミを備えた生餃子の焼面に、水,油脂,乳化剤に対し、穀物粉及び/又はタンパク質を添加して乳化させたエマルジョンをハケやローラ等で塗布した後、通常の方法で焼成して冷凍したもので、均一で良好な焼面が既に形成されている。
【0016】
また、シート12は、水分を保持し、餃子のミミが加熱により乾燥することを防止する目的なので、所定の加熱時間の間、水分を保持し耐熱性のあるものであれば良い。薄めの布巾やキッチンペーパーでは加熱時間が15分程度かかる場合は水分を保持できず、乾燥してしまうので、焼餃子は目的とする品質にはならず、複数枚(2〜4枚)重ねることにより湿度は保持できる。
【0017】
上述のように冷凍焼餃子を再焼成することにより、再焼成された焼餃子の焼面はパリッと良好に焼かれると共に、耳部を含めた皮はもっちりと、また、中の餡はしっとりと良好な状態に蒸される。さらに、一度に再焼成する冷凍焼餃子の数を予め決めておけば、加熱温度、湿度及び調理時間をスチームコンベクションオーブンに記憶させることにより、簡単、且つ、確実に大量の冷凍餃子を良好に再焼成でき、品質にばらつきが生じない。
【0018】
実施例1
使用した冷凍焼餃子:味の素冷凍食品株式会社製「焼ギョーザ(ニンニク抜き)(焼き調理済み)」
スチームコンベクションオーブンの調理条件:
コンビモード(スチーム90%)
温度 250℃
加熱時間 15分
一回の調理個数 300個
使用したシート:普通の家庭で使う布巾を2枚重ねた。
【0019】
比較例1
実施例1と同じ焼き済み餃子を蒸し器で調理(加熱時間8分)した。なお、1回で調理可能な個数は、10個である。
【0020】
比較例2
焼き済み餃子として味の素冷凍食品株式会社製「焼き目がきれいな野菜餃子」を使用し、20cm径のフライパンに水80mlを入れて中火で焼き蒸しすることで調理(加熱時間6分)した。なお、1回で調理可能な個数は、8個である。
【0021】
比較例3
実施例1と同じ焼き済み餃子を同じ調理条件で、シートを使用することなく調理した。
【0022】
各実施例及び各比較例について、調理直後とパックに詰めて1時間後に、外観、味・風味・ミミの食感、焼面の食感について評価した。これらの結果を表1にまとめて示す。
【表1】

【0023】
実施例1と比較例3を比べれば分かるように、冷凍焼餃子の上部全体にシートを被せることにより、ミミが硬すぎることなく、蒸し器(比較例1)やフライパン(比較例2)で調理した餃子と同等以上の品質の餃子に調理することができ、蒸し器やフライパンで調理するよりも大量の餃子を一度に調理することが可能となる。
【0024】
11…ホテルパン、12…シート、13…蓋、21…冷凍焼餃子、22…焼面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理済みの冷凍焼餃子を喫食前に再焼成する冷凍焼餃子の再焼成方法において、スチームコンベクションオーブンのホテルパンに、複数の冷凍焼餃子を焼面を下に向けて並べ、該複数の冷凍焼餃子の上部全体に、水を含ませた吸水性及び耐熱性を備えたシートを被せた後に、前記ホテルパンに蓋をしてスチームコンベクションオーブン内に配置し、焼成することを特徴とする冷凍焼餃子の再焼成方法。
【請求項2】
前記冷凍焼餃子は、生餃子の焼面に、水,油脂,乳化剤に対し、穀物粉及び/又はタンパク質を添加して乳化させたエマルジョンをつけて焼成した後、冷凍して形成されることを特徴とする請求項1記載の冷凍焼餃子の再焼成方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−10654(P2012−10654A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150764(P2010−150764)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(000000066)味の素株式会社 (887)
【Fターム(参考)】