説明

冷凍食品及びその製造方法

【課題】子供や大人が興味を強く感じることのできる揚げ食品を容易に得ることのできる冷凍食品を提供する。
【解決手段】揚げ材料の全周面を覆う水分含有のころもの外周面に、パン粉が付着されてころも揚げに供される冷凍食品10において、該ころもの外周面の一部に、小麦粉から形成されたシート状体12が凍結されたころもによって一体に結着され、且つシート状体12の表面が、前記パン粉が付着されておらず露出していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷凍食品及びその製造方法に関し、更に詳細には揚げ材料の全周面を覆う水分含有のころもの外周面に、パン粉が付着されてころも揚げに供される冷凍食品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コロッケ等のころも揚げは、具材を所定形状に成形した揚げ材料の全周面を覆う水分含有のころもの外周面にパン粉を付着した後、油で揚げて得ることができる。得られたころも揚げは、揚げ材料の全周に付着したパン粉が狐色となって、面白味に欠ける外観となっている。
一方、ころも揚げを家庭で容易に揚げることができるように、ころも揚げ用の冷凍食品として一般に供給されており、子供の弁当等にも使用されている。
かかるころも揚げ用の冷凍食品として、下記特許文献には、フライ等のころも揚に供される揚材料の外周面全体を覆う水分含有のころもの一部に、野菜等の揚げて食することのできる小片を、その表面側がころもによって実質的に覆われることなく付着され、且つ野菜等の小片と揚材料とが凍結されたころもによって一体に結着されている冷凍食品が提案されている。
【特許文献1】特公平7−48986号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に提案された冷凍食品を油で揚げて得られたころも揚げは、野菜等の小片の形状や色彩を肉眼で直接見ることができ、ころも揚げ食品に新鮮な視覚を付与できる。更に、このころも揚げを食したとき、口の中でころも揚の味と揚げられた野菜等の小片の味とを同時に味わうことができ、ころも揚げに新鮮な味覚も付与できる。
しかし、野菜等の素揚げが付着したころも揚げでも、子供にとって面白味(興味)を感じるには不充分であり、更にころも揚げに面白味を付加することが要請されている。
また、大人にとっても、ころも揚げは、通常の食事のみならず、お祝いの席でも食されるものであり、お祝いの席にマッチしたメッセージ等を描くことができれば、更に一層お祝いの席を盛り上げることができるものと考えられる。
そこで、本発明の課題は、子供や大人が興味を強く感じることのできるころも揚げを容易に得ることのできる冷凍食品及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、前記課題を解決すべく、ころも揚げに子供が興味を感じる絵等を描くことを試みたところ、表面がパン粉で覆われているころも揚げでは、その表面が狐色で且つ凹凸面であるため、ケッチャプやマヨネーズで簡単な模様等を描くことができる程度であって、子供が満足し得る種々な絵等を自由に描くことは困難であった。
このため、本発明者は、表面にパン粉が付着されるころも揚げについて更に検討を重ねた結果、揚げ材料のパン粉で覆われていない部分を、小麦粉で形成したシート状体によって形成することによって、このシート状体に種々の絵等を容易に描くことができることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、揚げ材料の全周面を覆う水分含有のころもの外周面に、パン粉が付着されてころも揚げに供される冷凍食品において、該ころもの外周面の一部に、食することのできるシート状体が凍結されたころもによって一体に結着され、且つ前記シート状体の表面が、前記パン粉が付着されておらず露出していることを特徴とする冷凍食品にある。
また、本発明は、揚げ材料の全周面を覆う水分含有のころもの外周面に、パン粉が付着されてころも揚げに供される冷凍食品を製造する際に、該揚げ材料の全周面を覆うように、水分含有のころもを付着した後、前記ころもの外周面の一部に、食することができ且つ前記パン粉が付着することのない水分含有量のシート状体を付着し、次いで、前記ころもの外周面にパン粉を付着した後、前記パン粉が付着せずに表面が露出するシート状体が付着されている揚げ材料を冷凍雰囲気中で冷凍することを特徴とする冷凍食品の製造方法でもある。
【0005】
かかる本発明において、シート状体として、油成分を含有したシート状体を用いることによって、冷凍食品を油で揚げたとき、シート状体が可及的に平坦状態に保持されたころも揚げを得ることができる。
また、シート状体として、食品材料によって絵や文字を描いたシート状体を用いることによって、シート状体の部分に絵等が描かれたころも揚げを容易に得ることができる。
尚、本発明で言う「ころも揚げ」とは、揚げ材料の外周面全体に付着した水を含有するころもにパン粉を付着して油で揚げたものをいい、カツレツやコロッケ等のフライを代表的に挙げることができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る冷凍食品によれば、油で揚げて得られたころも揚げには、絵等を容易に描くことができる部分が確保されている。このため、この部分に、子供が興味を強く感じる絵等を描くことができ、子供にころも揚げに興味を抱かせることが可能である。
また、大人でも、そのお祝いの席にマッチしたメッセージ等を、ころも揚げに容易に描くことができ、お祝いの席を盛り上げることができる。
更に、予め子供や大人が興味を強く感じる絵等を描いたシート状体を用いた冷凍食品の場合には、油で揚げたころも揚げには、その絵等がシート状体の部分に浮かびあがる。このため、ころも揚げに絵等を描く手間を省略できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明に係る冷凍食品の一例を図1に示す。図1の冷凍食品10は、コロッケ用の冷凍食品であって、コロッケに用いる具材をおむすび状に成形した揚げ材料の外周面全体に付着した水分含有のころもに、小麦粉等の穀物粉から形成したシート状体12が付着さていると共に、シート状体12が付着されている部分を除いてパン粉が付着されている。このシート状体12は、パン粉が付着されておらず表面が露出しており、且つ凍結されたころもによって冷凍食品10の本体14に一体に結着されている。このため、冷凍食品10を冷凍状態で移送しても、冷凍食品10の本体14からシート状体12が剥離することはない。
このコロッケの具材としては、通常のコロッケに用いられるタルタルソースやコーン等の材料を用いることができる。
また、シート状体12としては、小麦粉等の穀物粉に所定量の水を加えて練った後、シート状に平坦に伸ばしたものを用いることができる。かかる穀物粉としては、小麦粉の他にそば粉を好適に用いることができる。
【0008】
図1に示す冷凍食品10を油で揚げて得られるころも揚げでは、本体14のパン粉が付着されている部分は狐色で凹凸面となるが、本体14のシート状体12が付着されている部分の表面は、パン粉が付着されておらず、パン粉が付着されている部分よりも薄い狐色であって、表面状態もパン粉が付着されている部分に比較して平坦面である。
このため、本体14に付着しているシート状体12の部分に、任意の絵や文字を容易に描くことができる。この絵や文字は、マヨネーズやケッチャプで描いてもよいが、食紅で描いてもよく、カカオ粉を熱湯や水でペースト状としたものを用いて描いてもよい。
図1に示す冷凍食品10では、油で揚げて得られたころも揚げ本体のシート状体12が付着している部分に絵や文字を描いていたが、シート状体12を油で揚げると、その表面は多少とも凹凸面或いはザラツキ面となる。
このため、図2に示す様に、冷凍食品10の本体14に付着しているシート状体12に、予め絵16を描いておくことによって、絵等を更に容易に描くことができる。この絵16を描く材料は、油で揚げても消滅することのない材料、例えば食紅、又はカカオ粉を熱湯や水でペースト状にしたものを好適に用いることができる。
図2に示す冷凍食品10を油で揚げると、シート状体12の部分が、パン粉の付着した部分よりも薄い狐色であって、絵16が浮かび上がる。
【0009】
図1及び図2に示す冷凍食品10のシート状体12には、油成分を含有することによって、油で揚げた後のシート状体12の表面を更に一層平坦面とすることができる。かかる油成分としては、植物油を好適に用いることができる。
この様に、油成分をシート状体12に含有させることによって、油で揚げてもシート状体12の表面を平坦面に保持できることについては、下記のように推察される。
冷凍食品10を油で揚げる際に、シート状体12が柔らかい間に、シート状体12中の油成分が抜けて、シート状体12及び本体14中の水分が抜ける通路が形成され、その後、形成された通路が閉じられてから硬化されることによるものと考えられる。
【0010】
図1に示す冷凍食品10を製造する際には、コロッケの具材をおむすび状に成形した揚げ材料の全周面を覆うように、水分含有のころもを付着する。かかるころもの付着は、小麦粉を水に添加し攪拌して得た溶液、いわゆる「との粉」に揚げ材料を潜らすことによって行うことができる。
この水分含有のころもには、小麦粉等の穀物粉から形成されていると共に、パン粉が付着することのないように水分調整されたシート状体12を付着する。
シート状体12としては、小麦粉等の穀物粉に水を加えて練った後、シート状に平坦に伸ばしたもの、例えば餃子の皮に用いるシート状体を用いることができる。かかる穀物粉としては、小麦粉の他にそば粉を用いることができる。
ここで、小麦粉等の穀物粉に水と共に油成分、好ましくは植物油を加え、油成分が均一に分散されるまで練った後、シート状に平坦に伸ばしたシート状体12を用いれば、前述した様に、油で揚げたシート状体の表面を可及的に平坦面に形成できる。
【0011】
次いで、揚げ材料の全周面を覆うように付着した水分含有のころもの外周面にパン粉を付着する。このパン粉の付着は、水分含有のころもが付着した揚げ材料を、堆積されたパン粉中を通過させることによって行うことができる。この際に、シート状体12は、パン粉が付着しないように水分調整されているため、シート状体12の表面にはパン粉が付着せず、表面が露出している。
その後、水分含有のころもの外周面が露出している部分にパン粉が付着していると共に、パン粉が付着せずに表面が露出するシート状体が付着されている揚げ材料を、冷凍雰囲気中で冷凍することによって、ころもの外周面に、パン粉及び表面が露出するシート状体12が、凍結されたころもによって一体に結着されている図1に示す冷凍食品10を得ることができる。
ここで、水分含有のころもに、パン粉が付着することのないように水分調整されたシート状体12を付着する際に、予め絵16を描いたシート状体12を用いることによって、図2に示す冷凍食品10を得ることができる。
【0012】
これまでの図1及び図2に示す冷凍食品10として、コロッケ用の冷凍食品について説明してきたが、ころも揚げに供される魚介、鳥獣肉、野菜、果物等の材料の外周面を覆う水分含有のころもの外周面に、パン粉が付着されてころも揚げに供される冷凍食品ついても本発明を適用できる。
また、シート状体12には、絵16の他に、文字、図形、記号等を描くことができる。このため、子供のみならず、例えば食紅で「寿」の文字を描いて、老人の誕生日用のころも揚げに用いることも考えられる。
更に、シート状体12としては、穀物粉から形成したシート状体の他に、食することのできるシート状体、例えば卵焼きやのりを用いることができる。ここで、シート状体として「のり」を用いた場合、「のり」は黒色であるため、マヨネーズやケッチャプを用いて絵等を描くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る冷凍食品の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る冷凍食品の他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0014】
10 冷凍食品
12 シート状体
14 本体
16 絵

【特許請求の範囲】
【請求項1】
揚げ材料の全周面を覆う水分含有のころもの外周面に、パン粉が付着されてころも揚げに供される冷凍食品において、
該ころもの外周面の一部に、食することのできるシート状体が凍結されたころもによって一体に結着され、
且つ前記シート状体の表面が、前記パン粉が付着されておらず露出していることを特徴とする冷凍食品。
【請求項2】
シート状体には、油成分が含有されている請求項1記載の冷凍食品。
【請求項3】
シート状体の表面には、食品材料によって絵や文字が描かれている請求項1又は請求項2記載の冷凍食品。
【請求項4】
揚げ材料の全周面を覆う水分含有のころもの外周面に、パン粉が付着されてころも揚げに供される冷凍食品を製造する際に、
該揚げ材料の全周面を覆うように、水分含有のころもを付着した後、前記ころもの外周面の一部に、食することができ且つ前記パン粉が付着することのない水分含有量のシート状体を付着し、
次いで、前記ころもの外周面にパン粉を付着した後、前記パン粉が付着せずに表面が露出するシート状体が付着されている揚げ材料を冷凍雰囲気中で冷凍することを特徴とする冷凍食品の製造方法。
【請求項5】
シート状体として、油成分を含有したシート状体を用いる請求項4記載の冷凍食品の製造方法。
【請求項6】
シート状体として、食品材料によって絵や文字を描いたシート状体を用いる請求項4又は請求項5記載の冷凍食品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−195428(P2007−195428A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−16078(P2006−16078)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(391064647)株式会社大福食品工業 (4)
【Fターム(参考)】