説明

冷却装置

【課題】密閉された筐体内に配置された発熱量の異なる複数の発熱部品を効果的に冷却することができる、熱交換器を用いた冷却装置を提供する。
【解決手段】発熱素子が収容された筐体の内部の熱を外部に放散するための冷却装置であって、筐体の内外を接続するヒートパイプとヒートパイプに熱的に接続された複数のフィンとを有する第1の熱交換器と、筐体の内部に配置された冷却部と放熱部とを備えた熱電冷却素子を有する第2の熱交換器と、筐体内で第1の熱交換器から第2の熱交換器へ向かう方向へ気体を循環させる循環器とを備えた冷却装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、密閉筐体の内部を冷却する冷却装置、特に発熱量の異なる複数の発熱部品が内部に配置された密閉筐体の内部の熱を外部に放散するための冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷媒(流体A)と水(流体B)との間で熱交換する熱交換器、筐体内の昇温した空気と、筐体外の外気との間で熱交換する熱交換器等が広く用いられている。熱交換器の例として、特許文献1に開示された熱交換器がある。即ち、図6に示すように、熱交換器101aは、二酸化炭素が流通する複数の流路102aを備えた扁平形状の多穴管103aと、水が流通し断面が扁平形状の扁平管104aを備えており、多穴管103aと扁平管104aの扁平部は多穴管103aと扁平管104aが直交するように接合されている。
【0003】
多穴管103aに設けられた流路102aには、高温加圧された二酸化炭素が循環しており、流路102aに高温の二酸化炭素が流れることにより、多穴管103aは加熱される。多穴管103aに伝わった熱は、扁平管104aとの接触面より扁平管104aに伝わり、扁平管104aが加熱される。扁平管104aには低温の水が循環しており、扁平管104aが加熱されることにより、扁平管104a内を循環している水が加熱される。
【0004】
上述するように、流体Aが流通する多穴管103aと流体Bが流通する断面が扁平形状の扁平管104aを備え、多穴管103aと扁平管104aとが直交するように重ね合わせられて、単位容積当りの熱交換器の不要な空間が小さくなるので、熱交換器の体積を小さくすることができる。
【0005】
熱交換器のその他の例として、特許文献2に開示された熱交換器がある。即ち、図7に示すように、熱交換器201は、略直方体形状の筐体211内に、通路壁212を用いて水が流通する流路を形成し、水の入口には給湯配管と接続できるように水入口部213、水の出口には給湯配管と接続できるように水出口部214、冷媒の入口には冷媒配管と接続できるように冷媒入口部215、冷媒の出口には冷媒配管と接続できるように冷媒出口部216が設けられている。筐体211内には、冷媒が流通する内管217が通路壁212によって形成された水流路に沿って配設されており、水と冷媒が対向流をなして熱交換が行われる。また、筐体の底部には内管と密着して放熱板218が配設されている。
【0006】
水入口部213から流入した水は、通路壁212によって形成された流路に沿って筐体211の内部を循環し、水出口部214から出て行く。一方、圧縮機により高温に圧縮された二酸化炭素冷媒は、冷媒入口部215から流入し、分配器219によって分配された内管217内を流通し、筐体211内に流通している水と熱交換しながら冷媒出口から出て行く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−201536号公報
【特許文献2】特開2007−285639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したような熱交換器によると、熱交換力を高め、コンパクトな熱交換器が提供され、特定の対象物の効果的な冷却に適している。しかし、これらの熱交換器によって、筐体内に配置された発熱量の異なる複数の発熱部品を同時に効果的に冷却することは難しい。特に、ある一定の温度を超えると作動に影響が現われ、または、破壊されてしまう精密な発熱部品を含む筐体内の温度を一定の温度以下に保つためには、適用することができないという問題点がある。
【0009】
従って、この発明の目的は、密閉された筐体内に配置された発熱量の異なる複数の発熱部品を効果的に冷却することができる、熱交換器を用いた冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上述した従来の問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、以下のことが判明した。
【0011】
即ち、筐体内に断熱材で密閉された空間を設けて、動作温度の低い精密な発熱部品を配置し、筐体の素の外の空間に動作温度の高い発熱部品を配置し、動作温度の低い発熱部品を配置する密閉された空間にヒートパイプを備えた第1の熱交換器と、熱電冷却素子を備えた第2の熱交換器とを組み合わせて使用すると、第1の熱交換器で冷却された内気を第2の熱交換器で更に冷却することができるので、発熱量の異なる複数の発熱部品を効果的に冷却することができることが判明した。
【0012】
この発明は、上記研究結果に基づいてなされたものであって、この発明の冷却装置の第1の態様は、発熱素子が収容された筐体の内部の熱を外部に放散するための冷却装置であって、前記筐体の内外を接続するヒートパイプと前記ヒートパイプに熱的に接続された複数のフィンとを有する第1の熱交換器と、前記筐体の内部に配置された冷却部と放熱部とを備えた熱電冷却素子を有する第2の熱交換器と、前記筐体内で前記第1の熱交換器から前記第2の熱交換器へ向かう方向へ気体を循環させる循環器とを備えた冷却装置である。
【0013】
この発明の冷却装置の第2の態様は、前記第1の熱交換器及び前記第2の熱交換器は、前記筐体の外部において相互に干渉しない方向に気体を送る送風手段をそれぞれ備えることを特徴とする冷却装置である。
【0014】
この発明の冷却装置の第3の態様は、前記筐体内に、断熱材で密閉された空間を備え、前記空間内に前記第1の熱交換器、前記第2の熱交換器および前記循環器が配置され、前記筐体内における前記空間以外の空間に、少なくとも第1の熱交換器が配置されていることを特徴とする冷却装置である。
【0015】
この発明の冷却装置の第4の態様は、前記第1の熱交換器は、相互に仕切られた第1の外気循環部および第1の内気循環部を備え、前記第1の熱交換器における前記ヒートパイプは、前記第1の外気循環部および前記第1の内気循環部に渡って配置されて、前記第1の外気循環部と第1の内気循環部との間で熱交換を行うことを特徴とする冷却装置である。
【0016】
この発明の冷却装置の第5の態様は、前記第2の熱交換器は、相互に仕切られた第2の外気循環部および第2の内気循環部を備え、前記第2の外気循環部および前記第2の内気循環部のそれぞれに、ベースプレートと、前記ベースプレートに熱的に接続されたヒートパイプと、前記ヒートパイプに熱的に接続された複数のフィンとを備え、前記熱電冷却素子の冷却部が、前記第2の内気循環部の前記ベースプレートに熱的に接続され、前記熱電冷却素子の放熱部が、前記第2の外気循環部の前記ベースプレートに熱的に接続され、前記第2の外気循環部と前記第2の内気循環部との間で熱交換を行うことを特徴とする冷却装置である。
【0017】
この発明の冷却装置の第6の態様は、前記熱電冷却素子を制御する制御器を更に備えていることを特徴とする冷却装置である。
【発明の効果】
【0018】
この発明によると、冷却装置は、第1の熱交換器と第2の熱交換器とを組み合わせることによって、動作温度の低い発熱部品および動作温度の高い発熱部品が混在する状況においても、密閉筐体の内部の温度を外気の温度よりも低く保つことができるため、個々の発熱部品を効果的に冷却することができる。
【0019】
更に、この発明の冷却装置によると、第1の熱交換器および第2の熱交換器は操作が個別に制御されるので、発熱部品の動作温度、発熱部品の数等によって、断熱材によって密閉される空間の設定、第1の熱交換器、第2の熱交換器の組み合わせ、および、配置が適切に設定される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、この発明の冷却装置の1つの態様を説明する図である。
【図2】図2は、断熱材壁3で仕切られて密閉された空間4内の第1の熱交換器および第2の熱交換器の配置および送風状況を説明する部分拡大図である。
【図3】図3は、第1の熱交換器と第2の熱交換器の別の組み合わせを説明する部分拡大摸式図である。
【図4】図4は、第1の熱交換器の1つの例を説明する模式図である。図4(a)は、筐体の外側に一部が突き出た状態で配置される熱交換器である。図4(b)は、筐体の内部に全体が収納された熱交換器である。
【図5】図5は、第2の熱交換器7の1例を説明する部分断面図である。
【図6】従来の熱交換器を説明する部分拡大図である。
【図7】従来の熱交換器を説明する部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明の冷却装置の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
この発明の冷却装置の1つの態様は、発熱素子が収容された筐体の内部の熱を外部に放散するための冷却装置であって、筐体の内外を接続するヒートパイプとヒートパイプに熱的に接続された複数のフィンとを有する第1の熱交換器と、筐体の内部に配置された冷却部と放熱部とを備えた熱電冷却素子を有する第2の熱交換器と、筐体内で第1の熱交換器から第2の熱交換器へ向かう方向へ気体を循環させる循環器とを備えた冷却装置である。
即ち、第1の熱交換器で冷却した空気を、熱電冷却素子(例えばペルチェ素子)を備えた第2の熱交換器に送って、熱電冷却素子の冷却を容易にし、より効果的な冷却を行う。
【0022】
図1は、この発明の冷却装置の1つの態様を説明する図である。図1に示すように冷却装置1は、密閉された筐体2の中の一部に、断熱材で密閉された空間4を備え、その空間4内に動作温度の低い発熱部品8を配置し、動作温度の高い発熱部品10は空間4以外の筐体2内の空間に配置して、第1の熱交換器6、9および第2の熱交換器7を適切に組み合わせて、これらの発熱量の異なる複数の発熱部品8、10を効果的に冷却するものである。
【0023】
図1に示すように、密閉された筐体2は、断熱材壁3で仕切られて密閉された空間4と、筐体内のその他の空間5とを備えている。密閉された空間4の中には動作温度の比較的低い(例えば、35℃以下)発熱部品8、例えば通信機器のモデム等が配置されている。筐体内のその他の空間5には、動作温度の比較的高い(例えば35℃以上)発熱部品10、例えばUPS等が配置されている。断熱材壁3で仕切られて密閉された空間4には、筐体2の内外を接続する(図示しない)ヒートパイプとヒートパイプに熱的に接続された複数のフィンとを有する第1の熱交換器6と、筐体の内部に配置された冷却部と放熱部とを備えた熱電冷却素子(例えばペルチェ素子)を有する第2の熱交換器7とを備えている。
【0024】
後述するように、第1の熱交換器と第2の熱交換器を組み合わせて、動作温度の低い発熱部品を効果的に冷却する。筐体2内のその他の空間5には、筐体2の内外を接続するヒートパイプとヒートパイプに熱的に接続された複数のフィンとを有する第1の熱交換器9を備えている。第1の熱交換器6、9および第2の熱交換器7の数は、発熱部品8、10の数に対応して適切に選定される。
【0025】
図2は、断熱材壁3で仕切られて密閉された空間4内の第1の熱交換器6および第2の熱交換器7の配置および筐体2の内部の気体の循環状況を説明する部分拡大図である。図2に示すように、先ず、筐体の内外を接続するヒートパイプとヒートパイプに熱的に接続された複数のフィンとを有する第1の熱交換器6によって、矢印(A)で示すように空気が流れて、空間4内の空気を冷却し、次いで、冷却された空気を、矢印(B)で示すように、熱電冷却素子を有する第2の熱交換器7に直接送り、熱電冷却素子の冷却性能を高めて、更に冷却する。
【0026】
次いで、矢印(C)で示すように、熱電冷却素子によって一層冷却された空気を動作温度の低い発熱部品8に送り、発熱部品8を冷却する。発熱部品8の熱によって昇温した空気が、再び第1の熱交換器6に送り込まれて、冷却される。このように断熱材壁3で仕切られて密閉された空間4内を空気が循環する。なお、第1の熱交換器6および第2の熱交換器7は、密閉された空間5内の温度をセンサー等によって測定し、所定の温度よりも低くなったときには、図示しない制御器によって、第1の熱交換器および第2の熱交換器の動作が制御される。すなわち、筐体の内部の温度が、第1の所定の温度T1よりも低いときには、いずれの熱交換器も稼動せず、第1の所定の温度T1よりも高く第2の所定の温度T2よりも低いときには、第1の熱交換器のみ稼動し、第2の所定の温度T2よりも高くなったときには、第1の熱交換器6および第2の熱交換器7が稼動する。
【0027】
図4は、第1の熱交換器の1つの例を説明する模式図である。図4(a)は、第1の熱交換器6が筐体2の外側に一部が突き出た状態で配置される場合を示す側面図である。図4(b)は、第1の熱交換器6が筐体2の内部に全体が収納された場合を示す側面図である。図4(a)に示す第1の熱交換器6は、仕切り板13で仕切られた2つの流体循環部11、12を備えている。流体循環部11は外気が循環し、流体循環部12は筐体内の内気が循環して熱交換が行われる。2つの流体循環部11、12の内部を貫通して複数本(図4(a)では2本)の棒状のヒートパイプ14が配置されている。ヒートパイプ14には、複数の薄板状の放熱フィン15が熱的に接続されている。例えば、プレス加工によって中央部に孔部を備えた放熱フィン15の孔部にヒートパイプ14が挿入されている。
【0028】
流通循環部11、12には、それぞれ外気または内気を循環させる循環器16または送風手段16を備えている。筐体内に位置する流通循環部12においては、循環器16によって吸気部から筐体内部の空気を取り入れ、排気部から筐体内に空気を排出する。その際、筐体2内に配置された発熱部品の熱によって内気の温度が上昇し、昇温した内気が放熱フィン15または直接ヒートパイプ14の下端部に伝わり、ヒートパイプ14に内蔵された作動液を蒸発させる。気化した作動液はヒートパイプ14内を移動して、筐体2外部に位置する流体循環部11内に配置されたヒートパイプ14の他方の端部に達する。
【0029】
流体循環部11内のヒートパイプ14の他方の端部では、送風手段16によって吸気部から取り入れた外気によって冷却されて、気化した作動液が放熱して凝縮し、液状に戻る。この際、放熱フィン15に伝わった熱は、外気によって排気部から排出される。液状に戻った作動液は毛管力、重力によって筐体2内に位置する流体循環部12のヒートパイプ14の下端部に還流する。このように、ヒートパイプ14を用いた第1の熱交換器6を使用することによって、ヒートパイプ14の作動液が気相、液相と相変化を繰り返して、大量の熱が2つの流体循環部11、12間を上方に向かって移動する。
【0030】
図4(b)に示す第1の熱交換器6は、筐体2の内部に全体が配置されている。図4(a)を参照して説明した第1の熱交換器6と同様に、仕切り板13で仕切られた2つの流体循環部11、12を備えている。流体循環部11は外気が循環し、流体循環部12は筐体内の内気が循環して熱交換が行われる。2つの流体循環部11、12の内部を貫通して複数本(図4(b)では2本)の棒状のヒートパイプ14が配置されている。ヒートパイプ14には、複数の薄板状の放熱フィン15が熱的に接続されている。
【0031】
この態様の第1の熱交換器においても、筐体2内に位置する流通循環部12においては、循環器16によって吸気部から筐体2内部の空気を取り入れ、排気部から筐体2内に空気を排出する。その際、筐体2内に配置された発熱部品の熱によって内気の温度が上昇し、昇温した内気が放熱フィン15または直接ヒートパイプ14の下端部に伝わり、ヒートパイプ14に内蔵された作動液を蒸発させる。気化した作動液はヒートパイプ14内を移動して、筐体内の上部に位置する流体循環部11内に配置されたヒートパイプ14の他方の端部に達する。図4(a)を参照して説明した第1の熱交換器6と同様にして、ヒートパイプ14の作動液が気相、液相と相変化を繰り返して、大量の熱が2つの流体循環部11、12間を上方に向かって移動して筐体2外に放熱される。
【0032】
第2の熱交換器7は、筐体の内部に配置された冷却部と放熱部とを備えた熱電冷却素子を有する。熱電冷却素子は、一般にp型の熱電半導体素子とn型の熱電半導体素子を金属電極により直列に接続し、pn接合対を形成することにより作成される。熱電素子は、pn接合対に電流を流すことにより、接合部の一方で冷却、他方の接合部では発熱を発生するペルチェ効果と、接合対の間に温度差を与えることにより電力を発生するゼーベック効果があり、冷却装置又は発電装置として利用される。
【0033】
図5は、第2の熱交換器7の1例を説明する部分断面図である。熱電冷却素子17は、例えば、交互に隣り合うように配置された複数対のp型およびn型熱電半導体素子と、複数対のp型およびn型熱電半導体素子を接合層を介して直列に電気的に連結する電気回路金属層とを備えている。
【0034】
上述した熱電冷却素子17が、筐体2の壁面に設けられた開口部に配置される。熱電冷却素子17のそれぞれの面に金属製のベースプレート18および放熱フィン19が熱的に接続されて配置されている。熱電冷却素子17は、一方の面が冷却部を形成し、他方の面が放熱部を形成する。従って、筐体2の内部に位置する面が冷却部を形成して、筐体2内に配置された発熱部品によって昇温した内気の温度を低下させる。筐体2の外部に位置する面が放熱部を形成して、熱を外部に放散させる。
【0035】
この発明の冷却装置1は、図4を参照して説明した第1の熱交換器6と図5を参照して説明した第2の熱交換器7とを組み合わせて、動作温度の低い発熱部品、動作温度の高い発熱部品が混在する状況で、個々の発熱部品を効果的に冷却する。
【0036】
図3は、第1の熱交換器と第2の熱交換器の別の組み合わせを説明する部分拡大摸式図である。図3に示す態様では、第1の熱交換器6は、図4(a)を参照して説明した第1の熱交換器6と実質的に同一である。即ち、第1の熱交換器6は、仕切り板13で仕切られた2つの流体循環部11、12を備えている。流体循環部11は外気が循環し、流体循環部12は筐体内の内気が循環して熱交換が行われる。2つの流体循環部11、12の内部を貫通して少なくとも1本の棒状のヒートパイプ14が配置されている。ヒートパイプ14には、複数の薄板状の放熱フィン15が熱的に接続されている。ヒートパイプは丸型、扁平型等各種のヒートパイプを用いることができる。流体循環部12は、筐体の内部に位置し、流体循環部11は、筐体の外部に位置している。
【0037】
第2の熱交換器7は、仕切り板13で仕切られた2つの流体循環部21、22を備えている。流体循環部21は外気が循環し、流体循環部22は筐体内の内気が循環して熱交換が行われる。流体循環部21内には、金属製のベースプレート23、ヒートパイプ24、放熱フィン25からなるヒートシンク30を備えている。流体循環部22内には、金属製のベースプレート23、ヒートパイプ24、放熱フィン25からなるヒートシンク30と、冷却部が金属製のベースプレートに熱的に接続され、放熱部が仕切り板13に熱的に接続された熱電冷却素子27とを備えている。即ち、仕切り板13で仕切られた2つのヒートシンク30、30の間の筐体内側に熱電冷却素子27が配置されている。
【0038】
この態様の冷却装置1においては、筐体2の外側に配置されている流体循環部11、21は、それぞれ、外気を循環させるための送風手段、例えば、図4を参照して説明したようなファン16を備えている。2つの流体循環部11、21から排出される昇温した空気が他方の吸気口付近に導かれないように、即ち、相互に干渉しないように、送風手段が配置される。筐体2の内側に配置されている流体循環部12、22は、第1の熱交換器6の流体循環部12から排出された内気が第2の熱交換器7の流体循環部22に直接導かれるように、循環器が配置される。
【0039】
図3に示すように、第1の熱交換器6と第2の熱交換器7を組み合わせると、先ず、第1の熱交換器6の流体循環部12に矢印のように、循環器によって、内気が取り込まれる。流体循環器12内に取り込まれた内気の熱は、ヒートパイプおよび放熱フィンに移動し、図4を参照して説明したように、ヒートパイプ内の作動液の気相・液相間の相変化によって、大量の熱が仕切り板13に仕切られた流体循環部11内に位置するヒートパイプ14に移動する。移動した熱は放熱フィン15を介して、流体循環部11内に取り込まれた外気によって筐体2外に放熱される。
【0040】
流体循環部12において、上述したように冷却された内気は、直ちに、流体循環部22に取り込まれる。流体循環部22には、金属製のベースプレート23、ヒートパイプ24、放熱フィン25からなるヒートシンク30と、冷却部が金属製のベースプレートに熱的に接続され、放熱部が仕切り板13に熱的に接続された熱電冷却素子27とが配置されている。
【0041】
従って、流体循環部12において冷却された内気が、流体循環部22において、更に、冷却される。即ち、ヒートパイプ内の作動液の気相・液相間の相変化によって、大量の熱が仕切り板13に仕切られた流体循環部21内に位置するヒートパイプに移動すると共に、仕切り板13とベースプレート23との間に配置された熱電冷却素子27によって冷却される。このように冷却された内気が矢印の方向に循環して、筐体内に配置された発熱部品を冷却する。なお、2つの流体循環部11、21から排出される昇温した空気が他方の吸気口付近に導かれないように、即ち、相互に干渉しないように、送風手段が配置される。
【0042】
第1の熱交換器6と第2の熱交換器7の別の組み合わせとして、図4を参照して説明した第1の熱交換器6と図5を参照して説明した第2の熱交換器7とを、図1および図2を参照して説明したように組み合わせてもよい。この場合も、第1の熱交換器6によって冷却された内気が直接第2の熱交換器に導かれて、筐体内の内気を更に冷却する。
【0043】
上述したこの発明の冷却装置の各態様において、第1の熱交換器および第2の熱交換器は個別に操作が制御される。従って、発熱部品の動作温度、発熱部品の数等によって、断熱材によって密閉される空間の設定、第1の熱交換器、第2の熱交換器の組み合わせ、配置が適切に設定される。
【0044】
上述したように、この発明によると、密閉された筐体内に配置された発熱量の異なる複数の発熱部品を効果的に冷却することができる、熱交換器を用いた冷却装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 冷却装置
2 筐体
3 断熱材壁
4 密閉された空間
5 筐体のその他の空間
6 第1の熱交換器
7 第2の熱交換器
8 発熱部品
9 第2の熱交換器
10 発熱部品
11、21 流体循環部
12、22 流体循環部
13 仕切り板
14、24 ヒートパイプ
15、25 放熱フィン
16 循環器、送風手段
17 熱電冷却素子
18 ベースプレート
19 フィン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱素子が収容された筐体の内部の熱を外部に放散するための冷却装置であって、
前記筐体の内外を接続するヒートパイプと前記ヒートパイプに熱的に接続された複数のフィンとを有する第1の熱交換器と、
前記筐体の内部に配置された冷却部と放熱部とを備えた熱電冷却素子を有する第2の熱交換器と、
前記筐体内で前記第1の熱交換器から前記第2の熱交換器へ向かう方向へ気体を循環させる循環器とを備えた冷却装置。
【請求項2】
前記第1の熱交換器及び前記第2の熱交換器は、前記筐体の外部において相互に干渉しない方向に気体を送る送風手段をそれぞれ備えることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記筐体内に、断熱材で密閉された空間を備え、前記空間内に前記第1の熱交換器、前記第2の熱交換器および前記循環器が配置され、前記筐体内における前記空間以外の空間に、少なくとも第1の熱交換器が配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記第1の熱交換器は、相互に仕切られた第1の外気循環部および第1の内気循環部を備え、前記第1の熱交換器における前記ヒートパイプは、前記第1の外気循環部および前記第1の内気循環部に渡って配置されて、前記第1の外気循環部と第1の内気循環部との間で熱交換を行うことを特徴とする、請求項1から3の何れか1項に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記第2の熱交換器は、相互に仕切られた第2の外気循環部および第2の内気循環部を備え、前記第2の外気循環部および前記第2の内気循環部のそれぞれに、ベースプレートと、前記ベースプレートに熱的に接続されたヒートパイプと、前記ヒートパイプに熱的に接続された複数のフィンとを備え、前記熱電冷却素子の冷却部が、前記第2の内気循環部の前記ベースプレートに熱的に接続され、前記熱電冷却素子の放熱部が、前記第2の外気循環部の前記ベースプレートに熱的に接続され、前記第2の外気循環部と前記第2の内気循環部との間で熱交換を行うことを特徴とする、請求項1から4の何れか1項に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記熱電冷却素子を制御する制御器を更に備えていることを特徴とする、請求項1から5の何れか1項に記載の冷却装置。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−96983(P2011−96983A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−252253(P2009−252253)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(597165618)株式会社ネクスコ東日本エンジニアリング (18)
【Fターム(参考)】