説明

冷却装置

【課題】加熱された被処理物を冷却する冷却室を具備する冷却装置を、簡易構造で且つ安価に提供することを課題とする。
【解決手段】加熱された被処理物を風冷によって冷却する冷却室(第一冷却室30)を具備する、冷却装置1であって、冷却室(第一冷却室30)は、一定方向の風Aを冷却室(第一冷却室30)内に発生させる風発生手段53と、前記一定方向の風Aを冷却室(第一冷却室30)の壁面と被処理物との間に通させる通風手段とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、殺菌のために加熱された被処理物を冷却する冷却室を具備する、冷却装置に関する技術は公知となっている。例えば、特許文献1に示す如くである。
ここでの被処理物とは、生麺、野菜、漬物、果物、水産食品等の食品を保存する目的で袋や容器内に封入したものを示す。
【0003】
そして、前記被処理物の加熱は、品質(食感や食味)を損なわないようにこれを殺菌するために、80℃前後の温度域で被処理物を加熱することによって行われている。詳細には、前記被処理物の加熱は、加熱室にて、食品を封入した容器を熱水に浸漬させて当該食品を加熱、または、食品を封入した容器に蒸気を噴霧して当該食品を加熱することによって行われている。
【0004】
さらに、加熱された後に放置された状態が続くことにより品質が損なわれることを防止するために、前記加熱された被処理物は、加熱された後冷却装置が具備する冷却室にて直ちに冷却されることとなる。前記冷却装置における被処理物の冷却は、その冷却室にて、食品を封入した容器を冷却水に浸漬させて当該食品を冷却、または、食品を封入した容器に冷却水を噴霧して当該食品を冷却することによって行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−142735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記冷却装置は、冷却水の温度管理や品理管理をするための制御装置や冷却水の給排水管構造等を要し、また、防水性のある部品を用いる必要があるため、その装置構成が複雑となってしまう。また、前記冷却装置では、これの冷却水に用いる水道の水道費用がかかってしまう。また、殺菌後、そのまま冷却装置に入れると冷却庫の負荷が大きくなり、大きな冷凍機が必要となり、多額な電気代がかかる。
【0007】
即ち、本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、加熱された被処理物を冷却する冷却室を具備する冷却装置を、簡易構造で且つ安価でランニングコストが安いものを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、加熱された被処理物を風冷によって冷却する冷却室を具備する、冷却装置であって、前記冷却室は、一定方向の風を前記冷却室内に発生させる風発生手段と、前記一定方向の風を前記冷却室内の壁面と前記被処理物との間に通させる通風手段と、を具備するものである。
【0010】
請求項2においては、前記加熱された被処理物を前記冷却室の上流側から下流側へ搬送する搬送機構を備え、前記風発生手段は、前記冷却室において下流側から上流側への風を発生させるものである。
【0011】
請求項3においては、前記風発生手段は、前記冷却室の上流側に配置され、前記冷却室内の気体を吸引することによって前記冷却室において下流側から上流側への風を発生させる吸引装置によって構成されるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0013】
本発明によれば、加熱された被処理物を冷却する冷却室を具備する冷却装置を、簡易構造で且つ安価に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る冷却装置の全体的な構成を示した模式図。
【図2】本発明に係る冷却装置の第一冷却室を示した側面断面図。
【図3】本発明に係る冷却装置の第一冷却室を示した平面断面図。
【図4】冷却室で搬送される収納箱の状態を示した正面図。
【図5】被処理物を処理する工程を示したフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明に係る冷却装置の実施形態を、図1から図5を用いて説明する。なお、図1、図2、および図3に示す白色矢印は、被処理物の搬送方向を示す。
【0016】
図1に示す如く、冷却装置1は、加熱室20と、第一冷却室30と、第二冷却室40と、制御手段(不図示)と、を具備する。
加熱室20は、被処理物を殺菌のために加熱する機構である。加熱室20は、加熱室20と第一冷却室30と第二冷却室40とのうち最も上流側に配置される。
第一冷却室30は、被処理物が加熱された後に放置された状態が続くことによりこれの品質が損なわれることを防止するために、加熱された被処理物を風冷によって冷却する機構である。第一冷却室30は、加熱室20の下流側に配置される。
第二冷却室40は、第一冷却室30にて風冷によって冷却された被処理物をさらに冷却する機構である。第二冷却室40は、第一冷却室30の下流側に配置される。
【0017】
なお、ここでの被処理物とは、生麺、野菜、漬物、果物、水産食品、揚げ物、焼き物等の食品を保存する目的で容器(ケースや袋等)内に封入したものを示す。
また、被処理物は、冷却装置1にて処理が施される際には、複数個の被処理物同士が上下に互いに重ならないように収納箱に収納される。
【0018】
収納箱は、冷却装置1にて被処理物を処理する際に用いられる、通気性の良い樹脂製の箱である。収納箱は、通気性をよくする為に、例えば、上方が開口して構成され、格子状に形成される長方形の下面と側面とを備える。
また、収納箱は、複数段に積み上げることができるように構成されている(図4参照)。本実施形態においては、収納箱が30段に積み上げられたものが一つの搬送単位とされる。そして、収納箱は、冷却装置1にて被処理物に処理が施される際には、当該30段に積み上げられて一つの搬送単位とされたもの毎に各搬送機構21・31・41によって搬送されることとなる。収納箱は、これが各搬送機構21・31・41によって搬送される際には、収納箱における下面の短手方向が搬送方向に対して略垂直方向を向くように搬送される。なお以下において便宜上、前記収納箱が30段に積み上げられて一つの搬送単位とされたものを、収納箱ブロック4と称する。
【0019】
加熱室20は、蒸煮管と、ファンと、第一搬送機構21と、を具備する(図1参照)。
蒸煮管は、加熱室20内の下側壁面に設置されており、加熱室20内で蒸気を噴出すように構成されている。蒸煮管が噴出する蒸気は、被処理物を殺菌のために加熱するものであり、その温度は、80℃前後の温度域となるように設定されている。加熱室20内で前記蒸気が結露してなる排出物は、加熱室20内の下部に設けられる排出管から排出されることとなる。
なお、被処理物を加熱する温度は、80℃前後の温度域であることに限定するものではなく、被処理物の品質を損なわないようにこれを適切に殺菌するための温度域であればよいものとする。
【0020】
ファンは、加熱室20の上部に設置されており、加熱室20内の場所によって温度にバラツキがないようにして被処理物を均一に加熱(殺菌)するために、加熱室20内の気体(蒸気)を攪拌するものである。
また、ファンは、加熱室20の容量や設定される蒸気の温度等にしたがってその回転数が設定可能に構成される。さらに、ファンは、これの正転や逆転の切替えも可能に構成せれ、また正転から逆転或いは逆転から正転の切替えタイミングも任意に設定可能に構成される。
【0021】
第一搬送機構21は、被処理物を加熱室20の上流側から下流側へ搬送する機構であり、加熱室20の上流側から下流側に渡って、加熱室20内の下方に配置される。
第一搬送機構21における被処理物を搬送する搬送速度は、第一搬送機構21の上流側に配置された被処理物が搬送されて第一搬送機構21の下流側(出口)に至った際に、適切に殺菌されているような搬送速度に設定されている。例えば、第一搬送機構21における被処理物を搬送する搬送速度は、第一搬送機構21の上流側に配置された被処理物が搬送されて第一搬送機構21の下流側(出口)に至るまでの時間が約30分となるように設定されている。
【0022】
第一冷却室30は、加熱室20で加熱された被処理物を直ちに風冷によって冷却することができるように、加熱室20の近傍に配置される。また、第一冷却室30は、図2または図3に示す如く、上流部50と下流部70と中途部60とから構成されており、風発生手段53と、通風手段と、を具備する。
【0023】
第一冷却室30の上流部50および下流部70は、その中途部60に比べて、上下方向に若干大きく、搬送方向に対して左右方向が若干大きく、且つ、搬送方向に対して前後方向が小さい箱状に形成されている。
また、第一冷却室30の中途部60の上流側における上方の壁面62には排気口51が形成され、第一冷却室30内の下流部70における上方の壁面62には吸気口71が形成されている。第一冷却室30における排気口51の上方には、排気フード52が設けられている。
【0024】
第一冷却室30の中途部60は、その上流部50および下流部70に比べて、上下方向に若干小さく、搬送方向に対して左右方向が若干小さく、且つ、搬送方向に対して前後方向が大きい箱状に形成されている。
また、第一冷却室30の中途部60における床面61と上方の壁面62との幅は、収納箱ブロック4の上下方向の幅よりも、若干大きく構成されている(図4参照)。
また、第一冷却室30の中途部60には、上下方向に立設する中央壁面64が設けられている。中央壁面64は、中途部60において、搬送方向に対して左右中央部に上流側から下流側に渡って設けられている。中途部60における中央壁面64と一方の側方の壁面63との間の幅、および中央壁面64と他方の側方の壁面63との間の幅は、収納箱(収納箱ブロック4)の短手方向の幅よりも、それぞれ若干大きく構成されている(図4参照)。
【0025】
そして、第一冷却室30は、中途部60の上流側と上流部50の下流側とが連通し、中途部60の下流側と下流部70の上流側とが連通するように構成されている。
【0026】
風発生手段53は、一定方向の風Aを第一冷却室30内に発生させるものであり、吸引装置53aによって構成される。
吸引装置53aは、第一冷却室30内の気体を吸引することによって第一冷却室30において下流側から上流側への風(一定方向の風A)を発生させる装置である。
吸引装置53aは、中途部60の排気フード52内に配置されて、第一冷却室30の中途部60の上流側(第一冷却室30全体として上流側)に配置される。
【0027】
そして、第一冷却室30は、吸引装置53aがそのファンの回転によって第一冷却室30内の気体を吸引することによって、当該吸引した気体を排気口51から排気するように構成されている。また、第一冷却室30は、吸引装置53aが第一冷却室30内の気体を吸引することによって、第一冷却室30外の気体を吸気口71から吸気するように構成されている。このように構成された第一冷却室30では、吸引装置53aが第一冷却室30内の気体を吸引することによって、吸気口71から気体が吸気され且つ排気口51から気体が排気されて、第一冷却室30内において下流側から上流側への一定方向の風Aが発生することとなる。
【0028】
また、第一冷却室30内において吸引装置53aによって発生される風Aの風量は、加熱室20で加熱されて略80℃の温度になった被処理物を風冷して、当該被処理物が略22℃の温度となるような風量に設定されている。また、第一冷却室30内において吸引装置53aによって発生される風Aの風量は、加熱室20にて加熱される過程で被処理物に付着した水分を吹き飛ばす事ができる程度の風量に設定されている。
また、被処理物に付着した水分は、差圧により蒸発する。そして、当該水分は、気化熱により蒸発するため、蒸発潜熱が奪われ、被処理物付近の湿球温度が下がる。このようにして、効率的に被処理物が冷却される。
なお、第一冷却室30内において吸引装置53aによって発生される風Aの風量は、被処理物が略22℃となるような風量であること、および加熱された被処理物に結露した水分も吹き飛ばす事ができる程度の風量であることに限定するものではなく、被処理物の温度がこれの品質が直ちに損なわれない範囲の温度となるような風量であれば良いものとする。
【0029】
また、第一冷却室30内には、差圧センサが設けられている。差圧センサは、第一冷却室30内における上流側と下流側との圧力差の状態を検知するものである。差圧センサが検知した圧力差の状態に基づいて、制御手段によって吸引装置53aの風量が制御されている。
【0030】
通風手段は、第一冷却室30に発生する一定方向の風Aを、第一冷却室30内の壁面と被処理物との間に通させる手段である。
本実施形態における通風手段は、第一冷却室30の中途部60における中央壁面64と一方の側方の壁面63との間の幅および中央壁面64と他方の側方の壁面63との間の幅と、収納箱(収納箱ブロック4)の短手方向の幅と、の関係によって構成される。
第一冷却室30の中途部60では、その中央壁面64と一方の側方の壁面63との間の幅および中央壁面64と他方の側方の壁面63との間の幅を、収納箱(収納箱ブロック4)の短手方向の幅よりも、それぞれ若干大きく構成している。具体的には、第一冷却室30の中途部60を搬送される収納箱と、中途部60における中央壁面64および側方の壁面63と、の間隔が、それぞれ10mmから30mm程度空くように、第一冷却室30の中途部60は構成されている。
即ち、このように第一冷却室30の中途部60を構成することによって、収納箱ブロック4を第二搬送機構31(二台の搬送機構のうちいずれか一方または両方)で搬送させ、吸引装置53aによって第一冷却室30に下流側から上流側への一定方向の風Aを発生させた際には、当該一定方向の風Aは、第一冷却室30内の壁面(中途部60における中央壁面64および側方の壁面63)と収納箱(被処理物)との間を通ることとなる。
【0031】
また、第一冷却室30の中途部60では、第一冷却室30の中途部60における床面61と上方の壁面62との幅は、収納箱ブロック4の上下方向の幅よりも、若干大きく構成している。具体的には、第一冷却室30の中途部60を搬送される収納箱ブロック4の上部と、中途部60における上方の壁面62と、の間隔が、10mmから30mm程度空くように、第一冷却室30の中途部60は構成されている。
即ち、このように第一冷却室30の中途部60を構成することによって、収納箱ブロック4を第二搬送機構31(二台の搬送機構のうちいずれか一方または両方)で搬送し、吸引装置53aによって第一冷却室30に下流側から上流側への一定方向の風Aを発生させた際には、当該一定方向の風Aは、第一冷却室30内の壁面(中途部60における上方の壁面62)と収納箱ブロック4(被処理物)との間を通ることとなる。
【0032】
第二搬送機構31とは、加熱室20で加熱された被処理物を第一搬送機構21から引き受けて、第一冷却室30の上流側(上流部50)から下流側(下流部70)へ搬送する機構である。
また、第二搬送機構31は、二台の搬送機構によって構成される。前記第二搬送機構31における二台のうち一方の搬送機構は、中途部60の上流側から下流側に渡って、中途部60内の下方であって、中途部60における中央壁面64を隔てて搬送方向に対して左側に配置される。前記第二搬送機構31における二台のうち他方の搬送機構は、中途部60の上流側から下流側に渡って、中途部60内の下方であって、中途部60における中央壁面64を隔てて搬送方向に対して左側に配置される。このように第二搬送機構31が構成されることにより、2つの収納箱ブロック4を、当該中央壁面64を隔てて搬送方向に対して左側と右側とに配置される二台の搬送機構で同時に搬送することができる。
【0033】
第二搬送機構31における被処理物を搬送する搬送速度は、第二搬送機構31の上流側に配置された被処理物が搬送されて第二搬送機構31の下流側(出口)に至った際に、加熱室20で加熱されて略80℃の温度になった被処理物が冷却されて略22℃の温度となるような搬送速度に設定されている。例えば、第二搬送機構31における被処理物を搬送する搬送速度は、第二搬送機構31の上流側に配置された被処理物が搬送されて第二搬送機構31の下流側(出口)に至るまでの時間が約25分となるように設定されている。
【0034】
第二冷却室40とは、第一冷却室30で発生させた風Aの温度より低温の冷風にて、第一冷却室30にて風冷によって冷却された被処理物をさらに冷却する機構である。第一冷却室30は、第一冷却室30で冷却された被処理物を直ちに冷却することができるように、第一冷却室30の近傍に配置される。また、第二冷却室40は、冷凍機と、第三搬送機構41とを具備する(図1参照)。
【0035】
冷凍機とは、水の温度を冷水(例えば、5℃の冷水)にしてこれから冷風を作り出し、第二冷却室40内に冷風を発生すための機構であり、第二冷却室40内に配置される。当該冷凍機によって第二冷却室40内に発生された冷風によって、第二冷却室40内を搬送される被処理物は、冷却されることとなる。
また、前記第二冷却室40内において発生される冷風の風量および風温は、第一冷却室30で冷却されて略22℃の温度になった被処理物をさらに風冷して、当該被処理物が略20℃の温度となるような風量および風温に設定されている。
【0036】
第三搬送機構41とは、第一冷却室30で冷却された被処理物を第二搬送機構31から引き受けて、第二冷却室40の上流側から下流側へ搬送する機構であり、第二冷却室40の上流側から下流側に渡って、第二冷却室40の下方に配置される。
第三搬送機構41における被処理物を搬送する搬送速度は、第三搬送機構41の上流側に配置された被処理物が搬送されて第三搬送機構41の下流側(出口)に至った際に、第一冷却室30で冷却されて略22℃の温度になった被処理物がさらに冷却されて略20℃の温度となるような搬送速度に設定されている。例えば、第三搬送機構41における被処理物を搬送する搬送速度は、第三搬送機構41の上流側に配置された被処理物が搬送されて第二搬送機構31の下流側(出口)に至るまでの時間が約25分となるように設定されている。
【0037】
制御手段は、加熱室20における蒸煮管およびファン、第一冷却室30における吸引装置53a、第二冷却室40における冷凍機、および各搬送機構21・31・41、の各種の動作を制御するものである。
制御手段が各室における温度の制御や各搬送機構21・31・41の搬送速度を制御することによって、冷却装置1は、連続的に被処理物に処理を施すように構成されている。
【0038】
次に、冷却装置1を用いて被処理物を処理する工程を説明する。
当該被処理物を処理する工程は、図5に示す如く、加熱工程S1と、第一冷却工程S2と、第二冷却工程S3と、を具備する。
【0039】
加熱工程S1は、被処理物を殺菌のために加熱する工程をいい、冷却装置1における加熱室20で行われる。
本工程では、まず、収納箱ブロック4を、加熱室20における第一搬送機構21の上流側に配置する。第一搬送機構21の上流側端に配置された収納箱ブロック4は、下流側に搬送されていくこととなる。また本工程では、第一搬送機構21の上流側に配置された収納箱ブロック4が搬送されて第一搬送機構21の下流側(出口)に至った際に、被処理物が適切に殺菌されているようにこれを80℃前後の温度域で加熱する。
本工程は、第一搬送機構21で搬送される収納箱ブロック4が、第一搬送機構21の下流側(出口)に至った際に終了する。
【0040】
第一冷却工程S2は、加熱室20で加熱された被処理物を冷却する工程をいい、冷却装置1における第一冷却室30で行われる。
本工程では、第一搬送機構21の下流側(出口)に搬送された収納箱ブロック4を、第一搬送機構21から第二搬送機構31が引き受けて、これを第一冷却室30の上流側(上流部50)から下流側(下流部70)へ搬送する。また本工程では、第二搬送機構31の上流側に配置された収納箱ブロック4が搬送されて第二搬送機構31の下流側(出口)に至った際に、加熱室20で加熱されて略80℃の温度になった被処理物が略22℃の温度となるように、これを風冷によって冷却される。
本工程は、第二搬送機構31で搬送される収納箱ブロック4が、第二搬送機構31の下流側(出口)に至った際に終了する。
【0041】
第二冷却工程S3は、第一冷却室30で発生させた風Aの温度より低温の冷風にて、第一冷却室30で冷却された被処理物をさらに冷却する工程をいい、冷却装置1における第二冷却室40で行われる。
本工程では、第二搬送機構31の下流側(出口)に搬送された収納箱ブロック4を、第二搬送機構31から第三搬送機構41が引き受けて、これを第二冷却室40の上流側から下流側へ搬送する。また本工程では、第三搬送機構41の上流側に配置された収納箱ブロック4が搬送されて第三搬送機構41の下流側(出口)に至った際に、第一冷却室30で冷却されて略22℃の温度になった被処理物が略20℃の温度となるように、さらにこれを風冷によって冷却される。
本工程は、第三搬送機構41で搬送される収納箱ブロック4が、第三搬送機構41の下流側(出口)に至った際に終了する。
【0042】
以上のように冷却装置1は通風手段を備える。通風手段は、第一冷却室30の中途部60の中央壁面64と一方の側方の壁面63との間の幅および中央壁面64と他方の側方の壁面63との間の幅を、収納箱(収納箱ブロック4)の短手方向の幅よりも、それぞれ若干大きく構成して、構成されている。
このため、冷却装置1では、収納箱ブロック4を第二搬送機構31(二台の搬送機構のうちいずれか一方または両方)で搬送させ、吸引装置53aによって第一冷却室30に下流側から上流側への一定方向の風Aを発生させた際には、当該一定方向の風Aは、第一冷却室30内の壁面(中途部60における中央壁面64および側方の壁面63)と収納箱(被処理物)との間を通ることとなる。
このように、冷却装置1では、第一冷却室30に発生する一定方向の風Aを第一冷却室30内の壁面と被処理物との間に通させるため、被処理物を効率良く冷却することができ、吸気能力の小さな吸気装置でも被処理物を冷却することができる。また冷却装置1では、冷却水の温度管理や品理管理をするための制御装置や冷却水の給排水管構造等を要さず、防水性のある部品を用いる必要がなく、また、これの冷却水に用いる水道の水道費用がかからずに、加熱された被処理物を冷却することができる。
したがって、加熱された被処理物を冷却する第一冷却室30を具備する冷却装置1を、簡易構造で且つ安価に実現することができる。
【0043】
冷却装置1における第一冷却室30の第二搬送機構31は、加熱室20で加熱された被処理物を第一冷却室30の上流側から下流側へ搬送する機構である。また、冷却装置1の風発生手段53は、第一冷却室30において下流側から上流側への風Aを発生させるものである。即ち、第一冷却室30においては、被処理物の搬送方向と風Aの方向とが逆方向に構成されている。
したがって、冷却装置1では、被処理物をより効率良く冷却することができる。
【0044】
冷却装置1にて被処理物を処理する際に用いられる収納箱は、通気性の良い箱である。
このため、第一冷却室30内で発生される下流側から上流側への風Aは、収納箱内を通過することとなる。
したがって、冷却装置1によれば、収納箱に被処理物が収納されていても、加熱された被処理物を、確実に且つ均等に冷風によって冷却することができる。
【0045】
第一冷却室30内において吸引装置53aによって発生される風Aの風量は、加熱室20にて加熱される過程で被処理物に付着した水分を吹き飛ばす事ができる程度の風量に設定されている。このため、冷却装置1では、加熱された後に乾燥工程を経ることなく、被処理物を直ちに冷却することができる。
【0046】
冷却装置1における吸引装置53aは、第一冷却室30の上流側(中途部60の上流側)に配置されて、第一冷却室30内の気体を吸引することによって第一冷却室30において下流側から上流側への風(一定方向の風A)を発生させる装置である。
このため、冷却装置1では、収納箱ブロック4を第二搬送機構31(二台の搬送機構のうちいずれか一方または両方)で搬送させ、吸引装置53aによって第一冷却室30に下流側から上流側への一定方向の風Aを発生させた際には、当該一定方向の風Aは、上流側においても下流側においても極力均等に流れることなる。したがって、冷却装置1によれば、搬送される収納箱ブロック4の搬送位置が上流側である下流側であえるかによらず、収納箱に収納された被処理物をより均等に冷却することができる。
【0047】
第一冷却室30の中途部60では、第一冷却室30の中途部60を搬送される収納箱ブロック4と、中途部60における中央壁面64および側方の壁面63と、の間隔が、それぞれ10mmから30mm程度空くように、第一冷却室30の中途部60は構成されている。また、第一冷却室30の中途部60を搬送される収納箱ブロック4の上部と、中途部60における上方の壁面62と、の間隔が、10mmから30mm程度空くように、第一冷却室30の中途部60は構成されている。また、冷却装置1にて被処理物を処理する際に用いられる収納箱は、通気性の良い箱である。
このため、冷却装置1では、収納箱ブロック4を第二搬送機構31(二台の搬送機構のうちいずれか一方または両方)で搬送させ、吸引装置53aによって第一冷却室30に下流側から上流側への一定方向の風Aを発生させた際には、当該一定方向の風Aは、収納箱ブロック4の搬送方向に対して前方の面に向かって極力均等に流れることなり、効率よく当該風Aを利用して、収納箱に収納された被処理物をより均等に冷却することができる。
【0048】
なお、冷却装置1は、加熱室20と第二冷却室40とを具備することに限定されるものではない。冷却装置1は、加熱室20と第二冷却室40とを具備することなく、加熱室20と第一冷却室30と第二冷却室40とのうち、第一冷却室30のみを具備する構成であっても良いものとする。
【0049】
なお、被処理物は、前記食品を袋や容器内に封入したものに限定されるものではなく、品質を損なわないように加熱され、且つ当該加熱された後、直ちに冷却されるもの、例えば、容器内に封入されない状態の食品や、医療品、医薬品、生体材料、生物材料等でもよいものとする。
被処理物は、収納箱に収納された状態で冷却装置1にて処理が施されることに特に限定するものではなく、所定の台に被処理物が載置されて処理が施される場合であってもよく、被処理物が収納や載置等がされていないそのままの状態で、処理が施される場合であってもよい。
【0050】
収納箱ブロック4は、収納箱が30段に積み上げられたものを一つの搬送単位とされることに限定するものではなく、例えば、収納箱が1段でも一つの搬送単位としてもよく、また、収納箱が20段に積み上げられたものを一つの搬送単位としてもよい。
【0051】
収納箱は、通気性がよい構成であることに限定するものではない。即ち、収納箱の側面と下面とは、格子状に形成されていなくてもよいものとする。また、収納箱は、複数の被処理物が収納されるものでなくともよく、単数の被処理物が収納されるものでもよいものとする。
【符号の説明】
【0052】
1 冷却装置
30 第一冷却室
53 風発生手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱された被処理物を風冷によって冷却する冷却室を具備する、冷却装置であって、
前記冷却室は、一定方向の風を前記冷却室内に発生させる風発生手段と、前記一定方向の風を前記冷却室内の壁面と前記被処理物との間に通させる通風手段と、を具備する、冷却装置。
【請求項2】
前記加熱された被処理物を前記冷却室の上流側から下流側へ搬送する搬送機構を備え、
前記風発生手段は、前記冷却室において下流側から上流側への風を発生させる、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記風発生手段は、前記冷却室の上流側に配置され、前記冷却室内の気体を吸引することによって前記冷却室において下流側から上流側への風を発生させる吸引装置によって構成される、請求項2に記載の冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−13314(P2012−13314A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150143(P2010−150143)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(391057395)株式会社ヤスジマ (8)
【Fターム(参考)】