説明

冷蔵庫

【課題】冷蔵庫の野菜室に関し、緑色葉菜類の鮮度保持を目的とし、野菜室で効率の良い弱光照射を行わせる。
【解決手段】野菜収納用の収納容器25の上面部に仕切り板40を設けて野菜からの水分蒸散により高湿状態を保つ野菜室32と、野菜室32内において収納容器25の外側に対面して配置されて可視光線領域波長を発光照射する半導体発光素子を有する弱光照射装置26とを備え、収納容器25を透光性材料で形成し、半導体発光素子の光を収納容器25を透過して25収納容器内に収納された野菜に対して照射することにより、発熱量を小さく抑えて、野菜室32内の温度上昇を抑制しながら野菜にクロロフィルの分解抑制による弱光照射効果をもたらすことができ、野菜の貯蔵性が高まり、栄養成分を保持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷蔵庫に関し、特に緑色葉菜類の保存に関するものである。
【背景技術】
【0002】
野菜の鮮度低下の影響因子としては、温度、湿度、環境ガス、微生物、光などが上げられる。野菜は生き物であり呼吸と蒸散作用が行われており、鮮度を維持するには呼吸と蒸散作用の抑制が必要となる。低温障害をおこす野菜など一部の野菜を除き、多くの野菜は低温により呼吸が抑制され、高湿により蒸散を防止する事ができる。近年、家庭用冷蔵庫では野菜の保存を目的とし、密閉された野菜専用容器が設けられ、野菜を適正な温度に冷却すると共に、野菜から蒸散する水分により湿度を保つように制御されている。これにより、野菜は栄養成分を保持し、鮮度が維持できるようになる。
【0003】
従来は上記のように温度、湿度管理により野菜の鮮度低下の抑制を図っていたが、鮮度低下の影響因子である「光」を利用した野菜の鮮度保持方法が開発されている。光は強光では色の変化や蒸散を促進するなど悪影響を及ぼすが、弱い光は特に、緑色葉菜類の鮮度保持に効果がある事が分かっている。緑色葉野菜は葉部にクロロフィルを含み、このクロロフィル濃度の低下は品質の低下をもたらすとされている。弱い光を照射する事により、クロロフィルの分解が抑制され、ビタミンCの保持にも効果が望めるものである。
【0004】
従来の光照射による緑色野菜の保存方法としては、例えば特許文献1に示されているものがある。
【0005】
以下図面を参照しながら上記従来の冷蔵庫を説明する。
【0006】
図9は、従来の冷蔵庫の断面図である。図9において1は冷蔵庫本体であり、前面が開口した筺体2を備えており、この筐体2の内部は横方向に沿って配置された仕切り壁2A、2Bによって上下に並んだ3つの室、すなわち、上室3、中室4、下室5に仕切られている。上室3及び中室4の開口側にはそれぞれ開閉扉6、7が取り付けられている。
【0007】
また、下室5には主として野菜などが貯蔵される引き出し8が収容されている。引き出し8は開口した略筐体状であり、前面側の前壁9は下室5の開口部より大きく、引き出し8が下室5に収容されたときに、前壁9の側面9A、9B、下面9Cがそれぞれ筐体2の側面2C、2D、下面2Eと同一面に位置するようになっている。この前壁9が当接する筐体2の部位には、引き出し8の開閉を検出するためのスイッチ10が取り付けられている。
【0008】
また、中室4と下面5とを仕切る仕切り壁2Bの下面の略中央部には白色蛍光灯11が取り付けられ、仕切り壁2Bの下面の前方側にはランプ12が取り付けられている。
【0009】
図10には白色蛍光灯11及びランプ12に電源を供給するための電気回路が示されている。スイッチ10と、白色蛍光灯11及びランプ12に電源を供給する電源供給回路13とは直列に接続され、電源供給回路13から供給される電源を白色蛍光灯11に適した電源に調整するための電源調節回路14及び白色蛍光灯11とランプ12とは並列に接続され、スイッチ10の切替えにより白色蛍光灯11とランプ12が交互にオン・オフされるものである。
【0010】
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作を説明する。
【0011】
筐体2は、図示しない冷蔵装置又は冷凍装置が取り付けられており、上室3、中室4、下室5はこれらの冷蔵装置又は冷凍装置によりそれぞれ所定の温度に維持されるものである。
【0012】
引き出し8内には主として野菜が収納されており、下室5に収容されて密閉されている時は、白色蛍光灯11が点灯し、野菜を照射する。この時、ランプ12は消灯するよう制御される。白色蛍光灯11の光強度は、緑色葉菜類のクロロフィル濃度の低下を低減するのに有効とされる範囲に設定されており、野菜は、光の照射により、クロロフィル濃度の低下が抑制され、鮮度を保持できるものである。また、引き出し8が開放している時は、ランプ12が点灯し、かつ白色蛍光灯11が消灯するよう制御される。
【特許文献1】特開平9−28363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記従来の構成は、白色蛍光灯11は下室5が密閉されている時に点灯する制御手段を特徴としており、種々の野菜が混在して保存される家庭用の冷蔵庫の使用状況を考慮されていない欠点がある。
【0014】
冷蔵庫で光照射を行うには、湿度保持や結露の問題、ドアの開閉による影響、また野菜の収納状態などに配慮して光源の種類また、取り付け位置を設定する必要がある。
【0015】
本発明は従来の課題を解決するもので、保存した野菜に効率よく弱光照射を行い、野菜の鮮度を保持することができる冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記従来の課題を解決するために、本発明の冷蔵庫は、野菜収納用の収納容器の上面部に仕切り板を設けて野菜からの水分蒸散により高湿状態を保つ野菜室と、前記野菜室内において前記収納容器の外側に対面して配置されて可視光線領域波長を発光照射する半導体発光素子を有する弱光照射装置とを備え、前記収納容器を透光性材料で形成し、前記半導体発光素子の光を前記収納容器を透過して前記収納容器内に収納された野菜に対して照射するものである。
【0017】
これによって、発熱量を小さく抑えることができ、野菜室内の温度上昇を抑制しながら野菜に弱光照射効果をもたらすことができ、クロロフィルの分解が抑制され、緑色が維持されると共に、ビタミンCの減少も抑制されるものである。
【0018】
また、対面する透光性材料の収納容器の外側から透過して野菜類に弱光照射し、鮮度低下を抑制できる。また、弱光照射装置は高湿条件下にさらされることがなく、結露などによる装置の信頼性を高めながら弱光照射効果を発揮できる。
【0019】
さらに、収納容器内を高湿に保つための蓋体は仕切り板が兼用することにより、野菜室の収納スペースが向上するものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の請求項1に記載の発明は、発熱量を抑えて野菜室内の温度上昇を抑制しながら野菜に弱光照射効果をもたらすことができ、クロロフィルの分解が抑制され、ビタミンCの減少も抑制されるものである。
【0021】
また、透光性材料の収納容器の外側から透過して野菜類に弱光照射するので、弱光照射装置は高湿条件下にさらされることがなく、結露などによる装置の信頼性を高めながら弱光照射効果を発揮できる。
【0022】
さらに、収納容器内を高湿に保つための蓋体は仕切り板が兼用し、野菜室の収納スペースを拡大できる。
【0023】
請求項2に記載の発明は、弱光照射効果を期待する野菜を区分管理して保存することができる。
【0024】
請求項3に記載の発明は、弱光照射装置は高湿条件下によりさらされることがなく、結露による装置の信頼性を高めながら弱光照射効果を発揮できる。
【0025】
請求項4に記載の発明は、葉菜類の光合成が効率的に行われて鮮度低下が抑制されると共に、発熱量が抑制されて野菜室内の温度上昇が防止できる。さらに、使用者が光照射の有無を容易に認知することができる。
【0026】
請求項5に記載の発明は、半導体発光素子を保護し、結露を防止することができる。
【0027】
請求項6に記載の発明は、野菜の貯蔵性が高まり、栄養成分を保持することができる。また、扉開時には、使用者に弱光照射装置の点灯が認知できるようになり、鮮度保持手段の視覚的効果が得られる。
【0028】
請求項7に記載の発明は、過点灯を防止して省エネルギー化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の請求項1に記載の発明は、野菜収納用の収納容器の上面部に仕切り板を設けて野菜からの水分蒸散により高湿状態を保つ野菜室と、前記野菜室内において前記収納容器の外側に対面して配置されて可視光線領域波長を発光照射する半導体発光素子を有する弱光照射装置とを備え、前記収納容器を透光性材料で形成し、前記半導体発光素子の光を前記収納容器を透過して前記収納容器内に収納された野菜に対して照射するものであり、発熱量を小さく抑えることができ、野菜室内の温度上昇を抑制しながら野菜に弱光照射効果をもたらすことができ、クロロフィルの分解が抑制され、緑色が維持されると共に、ビタミンCの減少も抑制されるものである。これにより、野菜の貯蔵性が高まり、栄養成分を保持することができる。
【0030】
また、対面する透光性材料の収納容器の外側から透過して野菜類に弱光照射し、鮮度低下を抑制できる。また、弱光照射装置は高湿条件下にさらされることがなく、結露などによる装置の信頼性を高めながら弱光照射効果を発揮できる。
【0031】
さらに、収納容器内を高湿に保つための蓋体は仕切り板が兼用することにより、野菜室の収納スペースが向上するものである。
【0032】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、収納容器を上下に2つ備え、少なくとも上部の収納容器を透光性材料で形成して弱光照射装置の発光照射が野菜に作用するものであり、種々の野菜が混在して保存する冷蔵庫において、弱光照射効果を期待する野菜を区分管理して保存することができる。
【0033】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、弱光照射装置を収納容器の外側に形成した野菜室の冷却風路内に設けたものであり、弱光照射装置は高湿条件下によりさらされることがなく、結露による装置の信頼性を高めながら弱光照射効果を発揮できる。
【0034】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、半導体発光素子は赤色波長を含むものであり、葉菜類の光合成が効率的に行われて鮮度低下が抑制されると共に、発熱量が抑制されて野菜室内の温度上昇が防止できる。さらに、使用者が光照射の有無を容易に認知することができる。
【0035】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明において、半導体発光素子は透光性のカバーで覆われたものであり、半導体発光素子を保護し、結露を防止する。
【0036】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明において、弱光照射装置を野菜室の扉の閉時以外に開時にも点灯させるものであり、野菜の貯蔵性が高まり、栄養成分を保持することができる。また、扉開時には、使用者に弱光照射装置の点灯が認知できるようになり、鮮度保持手段の視覚的効果が得られる。
【0037】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、弱光照射装置の作動を解除するスイッチを設置したものであり、過点灯を防止して省エネルギーにもつながる。
【0038】
以下、本発明による冷蔵庫の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。尚、従来と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0039】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による冷蔵庫の断面図である。図2は、同実施の形態による冷蔵庫の弱光照射装置の斜視図である。
【0040】
図1において、15は冷蔵庫本体、16は冷蔵室、17は野菜室であり、17aは野菜室17の冷却風路、18a、18bは冷凍室であり、冷蔵室16、野菜室17は仕切り板19により区画されており、冷凍室18は仕切り板20により区画されている。21は冷蔵室16の扉、22は野菜室17の扉、23、24はそれぞれ、冷凍室の扉である。25は野菜室17内の一画に設けられ、主として葉菜類を収納する収納容器である。26は収納容器25の上方に取り付けられた弱光照射装置であり、可視光線領域の波長を発光する半導体発光装置などから構成されている。また、弱光照射装置26には結露を防止するための保護機能(図示せず)が備えられている。そして、26aは、冷蔵庫15の前面に設けた、弱光照射装置26の点灯を制御する弱光照射スイッチである。弱光照射スイッチ26aはなくてもよく、ない場合は自動的に弱光照射装置26が作動するものである。
【0041】
27は圧縮機、28は冷却器であり、29は冷却器28により冷却された冷気を冷蔵室16、冷凍室18内に送風する送風機、30は、冷蔵室16内への冷気量を調節するダンパー装置であり、31は冷却器28により冷却された冷気を冷蔵室16内に導入するための通風路である。
【0042】
次に、弱光照射装置26の具体構成について説明する。弱光照射装置26は、実装基板26bと実装基板26bに併設する半導体発光素子26cと半導体発光素子26cを保護する透過性のカバー26dで構成される。
【0043】
半導体発光素子26cは可視光線領域波長を発光するものであり、赤色波長を多く有するものである。可視光線は最も短い波長の紫色光から、藍、青、緑、黄、橙の各色の光を経て、最も波長の長い赤色光まである。クロロフィルが吸収する割合は青藍色光が最も大きく、ついて赤色光であり、緑、黄などの色光の割合は小さい。一方、光合成のエネルギー効率は赤色光が最も高く、短波長になるほど低くなる。このことより、光合成速度は赤色光>青藍色光>緑色光の順となるものである。したがって、可視光線領域で且つ赤色光を多く発光する事により、光合成の速度が高まり、緑色保持効果が望めることとなる。
【0044】
また、半導体発光素子26cを約660nmの波長光を出力する赤色LEDとする事により、より一層光合成の速度が高まり、緑色保持効果が増すと共に、LEDを使用する事により、発熱が抑えられ、野菜の温度上昇を防止する事ができ、蒸散作用を抑える事ができるものである。また、赤色光は使用者にも認知されやすく、鮮度保持手段の視認効果が高まる。
【0045】
また、高輝度タイプのLEDや拡散タイプのLEDを使用する事により、LEDの個数を減らすことが可能であり、低コストで弱光照射装置26を作る事ができることとなる。
【0046】
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作を説明する。
【0047】
冷却器29で冷却された冷気は、送風機29により冷凍室18a、18b内に送り込まれ、冷凍室18a、18b内は所定の温度(約−18〜−20℃)に冷却される。一方、冷却器29で冷却された冷気の一部は通風路31に導入され、ダンパー装置31の開閉制御により、冷蔵室16内に送り込まれ、冷蔵室16内は所定の温度(約1〜4℃)に冷却される。冷蔵室16内を循環した冷気は、野菜室17の冷却風路17aに導入され、野菜室17は所定の温度(約2〜5℃)に冷却されるものである。
【0048】
野菜室17内には収納容器25が設けられ、野菜室扉22を開け、野菜室17に野菜を収納する場合、主としてホウレンソウなどの緑色葉菜類は収納容器25に収納区分される。野菜室の扉22が閉じると収納された緑色葉菜類は、収納容器25の上方にある弱光照射装置26により照射される事となる。この時、弱光照射装置26の作動は、弱光照射スイッチ26aにより使用者が選択する事ができる。弱光照射スイッチ26aがない場合は、自動的に弱光照射装置の作動を制御されるものである。
【0049】
緑色葉菜類の葉は暗黒条件下におかれると、光合成系や葉緑体の崩壊、タンパク質、クロロフィルの分解などが進行する事が知られているが、弱光照射装置26からの照射により、これら老化に伴う種々の変化が抑制されるものである。具体的には葉に含まれるクロロフィルの分解が抑制され、濃度の低下が抑えられる事により緑色が維持されると共に、ビタミンCの減少も抑制されるものである。これにより、野菜の貯蔵性が高まり、栄養成分を保持する事ができる。
【0050】
弱光照射の効果は緑色葉菜類に認められるとされ、種々雑多な野菜を収納される冷蔵庫においては、緑色葉菜類を収納容器25内に収納区分する事により、弱光照射装置26の照射範囲を特定する事ができるため、効果のある食品に効率よく弱光照射できものである。
【0051】
以上のように本実施の形態の冷蔵庫は、野菜室17内の一画に、主として葉菜類を収納する収納容器25を備え、収納容器の上方に弱光照射装置26を配置したので、野菜室内の葉采類を低温保存した上で、弱光照射効果の葉に含まれるクロロフィルの分解が抑制され、濃度の低下が抑えられる事により緑色が維持されると共に、ビタミンCの減少も抑制されるものである。これにより、野菜の貯蔵性が高まり、栄養成分を保持する事ができる。
【0052】
さらに、種々雑多な野菜を収納される冷蔵庫においては、緑色葉菜類を収納容器25内に収納区分する事により収納野菜の整理が可能になるとともに、弱光照射装置26の照射範囲を特定する事ができるため、効果のある食品に効率よく弱光照射できものである。
【0053】
なお、弱光照射装置26から照射される光は可視光線領域の波長とし、特に光合成の効率が最も大きい赤色光(660nm)が多く含まれる事が望ましく、照度は、野菜室17の高さ及び収納容器25の高さにより設定される。
【0054】
また、弱光照射装置26には結露を防止するための保護機能が備えられ、野菜室17内がドア開閉などにより結露しても弱光照射装置26は結露の影響を受けずに点灯する事ができる。
【0055】
また、弱光照射装置26の点灯制御時間は扉の開閉や野菜の収納量などにより自由に設計できるものである。例えば野菜室の扉22が閉じている間以外に、開いた時に所定時間照射される制御を設けると、使用者に弱光照射装置26の点灯が認知できるようになり、鮮度保持手段の視覚的効果が得られる。また、野菜室の扉22が閉じている間常時点灯するのではなく、野菜への効果が得られる範囲内で間欠制御する事により従来技術よりも省エネルギーが図れるようになる。
【0056】
更に、収納容器25内に野菜が収容されていない時には弱光照射スイッチ26aにより弱光照射装置26の作動を解除すれば過点灯する事を防止でき、省エネルギーにもつながる。
【0057】
また収納容器25は、容器形状に限ったものではなく、たとえば、仕切り板や仕切り棒などの仕切部材でも良く、緑色葉菜類を立てて保存する事ができるものであり、野菜室17の前面部に配置する事もできる。立てて保存された緑色葉菜類は、弱光照射装置26により点灯されるが、この時、立てて収納している事により、一方からの照射ではなく、上方から、弱光の効果がある葉全体に照射する事ができる。また、野菜を立てて収納する事により野菜の整理整頓もしやすい。
【0058】
更に、収納容器25を前面部に設置する事により、野菜の出し入れがしやすくなる。また上方に弱光照射装置26が配置されるので、弱光照射装置26が消費者に視認されやすくなり、鮮度保持技術の視覚効果が高まる。
【0059】
(実施の形態2)
図3は本発明の実施の形態2による冷蔵庫の断面図である。
【0060】
図3において32は野菜室であり、33は野菜室32の前面に設けた扉である。34は野菜室32内に設けた収納容器であり、収納容器34の上部には主として葉菜類を収納する第2の収納容器34aが設けられている。35は、第2の収納容器34aの上方に配置した弱光照射装置である。
【0061】
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作を説明する。
【0062】
野菜室32内の上部には収納容器34aが設けられ、野菜室扉33を開け、野菜室32に野菜を収納する場合、主としてホウレンソウなどの緑色葉菜類は収納容器34aに収納区分される。野菜室の扉32が閉じると収納された緑色葉菜類は、収納容器34aの上方にある弱光照射装置35により照射される事となる。
【0063】
このとき、弱光照射装置35の照度は収納容器34a内に収納される緑色葉菜類との距離が影響する。野菜の表面に照射される適性な照度が決まれば、野菜との距離が短いほど弱光照射装置35から発光する光強度を低下する事ができる。したがって、収納容器34aを野菜室の上部に配置する事により、弱光照射装置35との距離が短くなり、照射効率が向上する。また野菜を横向きに収納する事により、茎部から葉部にかけて全体に照射しやすくなるものである。
【0064】
以上のように本実施の形態の冷蔵庫は、野菜室32内に備えた収納容器33の上部に、主として葉菜類を収納する第2の収納容器34aを備え、第2の収納容器34aの上方に弱光照射装置35を配置したので、種々の野菜が混在して保存する冷蔵庫において、葉菜類とそれ以外の野菜類を分けて保存する事が可能となるとともに、主として葉菜類を収納する第2の収納容器34aの上方に弱光照射装置35を配置する事により、弱光照射効果の現れる葉菜類にのみ効率的に照射する事ができる。
【0065】
(実施の形態3)
図4は本発明の実施の形態3による冷蔵庫の断面図である。
【0066】
図4において、36は野菜室であり、収納容器37を備えている。38は収納容器37を一体に引き出す野菜室の扉である。39は収納容器37内に備えた第2の収納容器であり、主に緑色葉菜類を収納するものである。40は冷蔵室16と野菜室37を仕切る仕切り板であり、41は弱光照射装置であり、仕切り板40の下面で且つ、第2の収納容器39内を照射するように配置している。42は、仕切り板40の下面に取り付けられた調湿手段である。
【0067】
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作を説明する。
【0068】
野菜室36は、上面部の仕切り板40と収納容器37により密閉されており、野菜からの蒸散により高湿状態となる。この時、収納容器37の蓋体は仕切り板40が兼用する事により、野菜室の収納スペースが向上するものである。野菜室の扉38を引き出すと、野菜室36内の野菜収納容器37が一緒に引き出される。野菜を収納する場合、ホウレンソウなどの緑色葉菜類は収納容器37内にある第2の収納容器39に収納保存する。収納された緑色葉菜類は上方に設置された弱光照射装置41により弱光照射される事となり、クロロフィルの濃度低下が抑制され、野菜の緑色が維持されると共に、ビタミンCなどの栄養成分を保持する事ができる。
【0069】
また、野菜室36内は野菜収納容器37の蓋体を仕切り板40で兼用する事により、収納スペースを大きくする事ができるため、仕切り板40の下面に弱光照射装置41をとりつけても野菜の収納スペースを確保する事ができる。また、仕切り板40に弱光照射装置41を取り付ける事により、野菜室の扉38を開閉されても弱光照射装置41は邪魔になる事がない。
【0070】
また、仕切り板40の下面に取り付けられた調湿手段42は、飽和湿度以上の水分が付着しても結露する事なく吸水し、湿度が低下すれば放湿する機能を有すため、葉菜類は結露により水腐れする事がなく、且つ高湿に保たれるため、蒸散が抑制されるものである。
【0071】
以上のように本実施の形態の冷蔵庫は、収納容器37を一体に引き出す引き出し式の扉38を備えた野菜室36にあって、収納容器37の一画に主として葉菜類を収納する第2の収納容器39を設け、野菜室36の上面を仕切る仕切り板40の下面に第2の収納容器39内を照射する弱光照射装置41を設けたので、扉38と一体に収納容器39を引き出すことができ、野菜室36の使い勝手が向上するとともに、第2の収納容器39に保存した葉菜類に弱光照射する事ができる。また、仕切り板40を野菜室36の上面に設け、その下面に弱光照射装置41を取り付けているので、野菜室36の扉38が開閉されても弱光照射装置41が邪魔になる事はなく、野菜室36の収納スペースが増し、野菜の収納スペースが阻害されることはない。
【0072】
さらに、仕切り板40の下面に調湿手段42を設けたので、野菜室36内の余分な水分が放出されて、野菜室36内は適度な湿度が保たれるようになり、野菜の蒸散が防止されると共に、弱光により葉菜の鮮度低下が抑制され、鮮度保持効果が高まるものである。
【0073】
(実施の形態4)
図5は本発明の実施の形態4による冷蔵庫の断面図である。
【0074】
図5において42aは冷蔵室16内の一画にあり、仕切り板43により区画された野菜室(区画室)である。44は野菜室42a内に備えた収納容器であり、45は収納容器44の上方の仕切り板43の下面に取り付けられ、収納容器44内を照射する弱光照射装置である。
【0075】
以上のように構成された冷蔵庫の野菜室(区画室)について以下その動作を説明する。
【0076】
野菜室(区画室)42aは仕切り板43により区画された密閉空間であり、冷蔵室16内に導入された冷気により間接的に冷却され、所定の温度に制御されるものである。野菜室42a内に野菜を収納すると、室内は野菜の水分により高湿状態となり、野菜の蒸散を抑制する。また、ホウレンソウなどの緑色葉菜類は収納容器44内に収納区分でき、収納された野菜は、上方に設置された弱光照射装置45により弱光照射され、葉に含まれるクロロフィルの濃度低下が抑制される。これにより、緑色が保持されると共に、ビタミンCなどの栄養成分の減少を抑制するものである。
【0077】
以上のように本実施の形態の冷蔵庫は、冷蔵室16内の一画を仕切り板43で区画され、少なくとも野菜を保存するように構成された野菜室42aと、野菜室42a内に備えた収納容器44と、収納容器44内を照射する弱光照射装置45を仕切り板43に設けたので、冷蔵室16内の一画に野菜室42aがある形態の冷蔵庫においても、弱光照射を行う事ができるものである。
【0078】
(実施の形態5)
図6は本発明の実施の形態5による冷蔵庫の断面図である。
【0079】
図6において、46は野菜室であり、収納容器47を備えている。48は収納容器47の上面開口部に設置する蓋体であり、蓋体48には調湿手段49を設けている。また、蓋体48はアクリルなどの透光性材料で形成されている。50は収納容器47の一画に設けた第2の収納容器であり、51は野菜室46の扉、52は野菜室46と冷蔵室16を仕切る仕切り板。53は仕切り板52の下面に取り付けられた弱光照射装置である。
【0080】
以上のように構成された冷蔵庫の野菜室について以下その動作を説明する。
【0081】
野菜室46の収納容器47内は上面開口部に設置した蓋体48により密閉される。野菜が収納されると野菜の水分により高湿状態となり、収納された野菜の蒸散を抑制するものである。この時、蓋体48は、飽和湿度以上の水分が付着しても結露する事なく吸水し、湿度が低下すれば放湿する調湿手段49を有するため、葉菜類は結露により水腐れする事がなく、且つ高湿に保たれるため、蒸散が抑制されるものである。野菜を収納する場合、ホウレンソウなどの緑色葉菜類は第2の収納容器50に収納する。仕切り板52の下面に設置されている弱光照射装置53の弱光は、蓋体48を透過し、収納容器50内を照射する事となり、収納された緑色葉菜類の葉に含まれるクロロフィル濃度の低下が抑制され、緑色を保持すると共に、ビタミンCなどの栄養成分が保持されるものである。
【0082】
また、弱光照射装置53は仕切り板52に設置する事により、扉51の開閉の妨げにならず、野菜室46内を広くすることができる。さらに、弱光照射装置53は高湿状態にさらされる事がないため、結露防止機能を持たせる必要がなくなる。
【0083】
以上のように本実施の形態の冷蔵庫は、野菜室46内に備えた収納容器50の上面開口部に調湿手段を備えた蓋体48を設け、野菜室46の上部を仕切る仕切り板52の下面に、弱光照射装置53を設けると共に、蓋体48を透光性材料で形成したので、野菜室46内の収納容器50は調湿手段49により容器内の余分な水分を放湿し、適正な湿度を保つ事により野菜の鮮度低下が抑制できるとともに、上方からの弱光照射の光は蓋体48を透過し、下方の収納容器50に保存した葉菜類の鮮度低下は一層抑制される事となる。さらに弱光照射装置53は蓋体48の上部にあり、弱光照射装置53は高湿条件下にさらされる事がなく結露などの影響を受けないため、弱光照射装置53への信頼性が向上するものである。
【0084】
(実施の形態6)
図7は本発明の実施の形態6による冷蔵庫の断面図である。
【0085】
図7において、54は弱光照射手段で、調湿手段49を備えた蓋体48の下面に配置され、収納容器50内を照射する。この時、蓋体48の材料は透過性の有無を問わないものである。
【0086】
以上のように構成された冷蔵庫について以下その動作を説明する。
【0087】
野菜を収納する場合、ホウレンソウなどの緑色葉菜類は収納容器50に収納される。この時、収納容器50内は、上方に設置された弱光照射装置54により照射され、収納された緑色葉菜類は葉に含まれるクロロフィル濃度の低下が抑制され、緑色が維持されると共に、ビタミンCなどの栄養成分が保持できるものである。この時、野菜室46の収納容器47は高湿に制御されるため、野菜の蒸散も抑制されるものである。更に、収納容器47の上面開口部に設置の蓋体48に弱光照射装置54を設置する事により、仕切り板52に取り付けるよりも、野菜との距離が短いため、照度を低下する事ができ省エネルギーになる。また蓋体48を透過性の材料に変更する必要もなくなるものである。
【0088】
以上のように本実施の形態の冷蔵庫は、野菜室46内に備えた収納容器47の上面開口部に調湿手段49を備えた蓋体48を設け、蓋体48に弱光照射手段54を設けたので、野菜と弱光照射装置54との距離が短くなり、照射強度を低下する事ができ、省エネルギーにつながる。
【0089】
(実施の形態7)
図8は本発明の実施の形態7による冷蔵庫の断面図である。
【0090】
図8において、55は野菜室であり収納容器56を備えている。収納容器56は透過性材料からなるものである。57は収納容器56の上面開口部に設けられた蓋体であり、調湿手段58が設けられている。59は収納容器56の一画に設置する第2の収納容器であり、透過性材料からなるものである。60は蓋体57の下面に設置され、第2の収納容器59内を照射する第1の弱光照射装置であり、61は、冷凍室18a、18bと野菜室55を仕切る仕切り板である。62は第2の弱光照射装置であり、収納容器56の下方にあり、仕切り板61に取り付けられ、第2の収納容器59内を下方から照射する。つまり、第1の弱光照射装置60と第2の弱光照射装置62は対面するように配置している。
【0091】
以上のように構成された冷蔵庫の野菜室について以下その動作を説明する。
【0092】
野菜室55内に備えた収納容器56は蓋体57により密閉され、野菜の水分により高湿に保たれるものである。この時、蓋体57にとり付けられた調湿手段58により、余分な水分は吸湿、放湿され、収納容器56内は結露することなく、適正な湿度を保つことができ、収納された野菜の蒸散を抑制するものである。また、野菜を収納する場合、緑色葉菜類は第2の収納容器59に収納区分される。収納された野菜は、上方に設置された第1の弱光照射装置60及び下方に設置された第2の弱光照射装置62により照射され、葉に含まれるクロロフィルの濃度低下が抑制され、緑色を維持し、ビタミンCなどの栄養成分を保持するものである。この時、下方に取り付けた第2の弱光照射装置62は、収納容器56及び第2の収納容器59が透過性材料でできている事により、弱光を照射する事ができるものである。
【0093】
第1及び第2の複数の弱光照射装置60,62を設け、更に、第1の弱光照射装置60と第2の弱光照射装置62を対面するように配置する事により、収納容器59内に収納された野菜は上下から照射される事となり、全体に照射する事ができ、照射バラツキをなくす事ができるものである。
【0094】
なお、弱光照射装置は上下に対面するのみならず、左右対面でも良く、また第3、第4の弱光照射装置を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明による冷蔵庫の実施の形態1の断面図
【図2】同実施の形態の冷蔵庫に備えた弱光照射装置の斜視図
【図3】本発明による冷蔵庫の実施の形態2の断面図
【図4】本発明による冷蔵庫の実施の形態3の断面図
【図5】本発明による冷蔵庫の実施の形態4の断面図
【図6】本発明による冷蔵庫の実施の形態5の断面図
【図7】本発明による冷蔵庫の実施の形態6の断面図
【図8】本発明による冷蔵庫の実施の形態7の断面図
【図9】従来の冷蔵庫の断面図
【図10】従来の冷蔵庫の電気回路図
【符号の説明】
【0096】
17、32、36、46、55 野菜室
25、37、47、56 収納容器
26、35、41、45、53、54、 弱光照射装置
26a 弱光照射スイッチ
26c 赤色LED(半導体発光素子)
32 野菜室
34、39、44、50、59 第2の収納容器
38 野菜室の扉
40、43、52 仕切り板
42、49 調湿手段
42a 野菜室(区画室)
48 蓋体
60 第1の弱光照射装置
62 第2の弱光照射装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
野菜収納用の収納容器の上面部に仕切り板を設けて野菜からの水分蒸散により高湿状態を保つ野菜室と、前記野菜室内において前記収納容器の外側に対面して配置されて可視光線領域波長を発光照射する半導体発光素子を有する弱光照射装置とを備え、前記収納容器を透光性材料で形成し、前記半導体発光素子の光を前記収納容器を透過して前記収納容器内に収納された野菜に対して照射することを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
収納容器を上下に2つ備え、少なくとも上部の収納容器を透光性材料で形成して弱光照射装置の発光照射が野菜に作用することを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
弱光照射装置を収納容器の外側に形成した野菜室の冷却風路内に設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
半導体発光素子は赤色波長を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
半導体発光素子は透光性のカバーで覆われたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
弱光照射装置を野菜室の扉の閉時以外に開時にも点灯させることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
弱光照射装置の作動を解除するスイッチを設置したことを特徴とする請求項6に記載の冷蔵庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−183999(P2006−183999A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−39031(P2006−39031)
【出願日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【分割の表示】特願2001−69985(P2001−69985)の分割
【原出願日】平成13年3月13日(2001.3.13)
【出願人】(000004488)松下冷機株式会社 (25)
【Fターム(参考)】