説明

凝集沈殿装置

【課題】被処理水の性状によらず、洗浄水を使わずに、運転開始時に汚泥を遅滞なく引き抜くことができる凝集沈殿装置を提供する
【解決手段】被処理水が導入される導入カラム12の下端部に回転可能に配置され、被処理水を沈殿槽10内の下方に向かって吐出する吹き出し口22が形成されている吹き出し管20を有するディストリビュータ14と、吹き出し口22の下方に設置され、ディストリビュータ14と共に回転する阻流板16と、沈殿槽10の底部に配置された集泥ピット30と、集泥ピット30の側面に接続された排泥配管31と、集泥ピット30内を回転し汚泥を撹拌する補助レーキ19と、上部口を沈殿槽10の直胴部下端から阻流板16の下面の間に有し、下部口を集泥ピット30内に有し、回転シャフト42の回転とともに回転する少なくとも1つの回転配管18と、を備えるスラリブランケット型の凝集沈殿装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、沈殿槽内で、被処理水中の懸濁物質、凝集フロック等を沈降分離させ、スラリブランケット層を沈殿槽内に形成して被処理水を清澄化する凝集沈殿装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水処理装置の1つとして、凝集沈殿装置が知られており、用水処理、排水処理などに広く普及している。排水処理や用水処理等において、懸濁物質等を多く含む被処理水を処理対象とする場合には、ポリ塩化アルミニウム等のアルミニウム系凝集剤、塩化第二鉄等の鉄系凝集剤等を添加して、被処理水中の懸濁物質をフロック化させて、沈降分離を行う凝集沈殿装置が用いられる。このような凝集沈殿装置の中にスラリブランケットタイプのものがある(例えば、特許文献1参照)。この凝集沈殿装置では、沈殿槽内で、被処理水を槽内の下方に向かって吐出させる吹き出し口を有するディストリビュータを槽内で回転させる。また、吹き出し口の下方には、ディストリビュータと共に回転する阻流板が設けられている。
【0003】
この装置によれば、被処理水を沈殿槽内へ略均一に供給できるため、処理水の水質を向上することができる。また、阻流板によって、吹き出し口から噴出された被処理水が直接、沈殿槽底部へ流下することが抑制されるため、沈殿槽底部に堆積した汚泥が撹拌されにくく、汚泥の濃縮性能が改善され、引き抜き汚泥の固形物濃度を高く維持することが可能になる。
【0004】
このような凝集沈殿装置によれば、清澄な処理水と、濃縮度の高い汚泥を得ることが可能であった。しかし、被処理水の性状によっては、沈降性の高いフロック形成され、沈殿槽底部において高濃度で粘度の高い汚泥が形成される。通常、装置は、被処理水の流入の有無に応じて運転と停止を繰り返すが、停止時において、高濃度で粘度の高い汚泥がさらに重力沈降濃縮し、非常に高濃度で粘度の高い状態となることがある。この装置は、沈降濃縮汚泥を集めるために槽底部中心に配置された集泥ピットと、濃縮汚泥を外部に排出するため集泥ピットの側面に接続された排泥配管と、ディストリビュータの回転シャフトに固定され、集泥ピット内を回転し汚泥を撹拌する補助レーキを有するが、集泥ピットでは高濃度で粘度の高い状態の汚泥が補助レーキにより集められて固まり、固まったまま補助レーキとともに集泥ピット内を回転することがある。
【0005】
この状態で運転に入っても、排泥ポンプの起動またはバルブを開く操作により、排泥配管から汚泥を排出させようとしても、十分な量の汚泥を排出させることができず、ブランケット界面を所定の位置以下に安定して維持することができず、ブランケットフロックを処理水に流出させてしまうという問題があった。また、著しい場合には、排泥配管や、それに接続したバルブ、ポンプにおいて汚泥が閉塞してしまうこともあった。
【0006】
この問題を解決する方法として、運転開始の前後に、沈殿槽底部や集泥ピット、あるいは排泥配管に清澄な洗浄水をポンプで圧入して固まった汚泥をほぐすことも考えられるが、多量の洗浄水およびそれを自動で圧入するためのポンプや自動バルブが必要となり、設備費や運転コストの上昇を招くことになる。また、洗浄水の流入ノズルを集泥ピットの壁面に設置すると、流入ノズルが汚泥によって閉塞したり、あるいは閉塞を防ぐために洗浄水流量を上げると集泥ピットを始めとする底部の汚泥を激しく乱して汚泥が舞い上がり、処理水質が悪化するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−184179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、運転と停止を繰り返すスラリブランケット型の凝集沈殿装置において、被処理水の性状によらず、洗浄水を使わずに、運転開始時に汚泥を遅滞なく引き抜くことができる凝集沈殿装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、沈殿槽内で、被処理水中の懸濁物質、凝集フロックを沈降分離させ、スラリブランケット層を形成して被処理水を清澄化する凝集沈殿装置であって、前記沈殿槽内に設置され、前記被処理水が導入される導入カラムと、前記導入カラムの下端部に回転可能に配置され、前記導入カラム内の被処理水を前記沈殿槽内の下方に向かって吐出する吹き出し口が形成されている吹き出し管を有するディストリビュータと、前記吹き出し口の下方に設置され、前記ディストリビュータと共に回転する阻流板と、前記沈殿槽の底部に配置された集泥ピットと、濃縮汚泥を外部に排出するため前記集泥ピットの側面に接続された排泥配管と、前記ディストリビュータの回転シャフトに固定され、前記集泥ピット内を回転し汚泥を撹拌する補助レーキと、上部口を前記沈殿槽の直胴部下端から前記阻流板下面の間に有し、下部口を前記集泥ピット内に有し、前記ディストリビュータの回転シャフトに固定され、前記回転シャフトの回転とともに回転する少なくとも1つの回転配管と、を備える凝集沈殿装置である。
【0010】
また、前記凝集沈殿装置において、前記集泥ピットの側面に固定されたフィンを有し、前記フィンの上方を前記回転配管が通過することが好ましい。
【0011】
また、前記凝集沈殿装置において、前記回転配管の内面積が、前記集泥ピットの平均水平断面積の0.4〜4%以下であることが好ましい。
【0012】
また、前記凝集沈殿装置において、前記回転配管の上部口が下向きに配され、U字または鋭角のエルボ管により下部口に接続されていることが好ましい。
【0013】
また、前記凝集沈殿装置において、起動後の所定の時間、前記排泥配管より汚泥を、前記凝集沈殿装置の直前に配され、被処理水に凝集剤を添加するための反応槽に移送する移送手段を備えることが好ましい。
【0014】
また、前記凝集沈殿装置において、起動後に汚泥を前記反応槽に移送する時間を、前記集泥ピットの容積を汚泥移送流量で除した時間の3倍以上とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、運転と停止を繰り返すスラリブランケット型の凝集沈殿装置において、所定の上部口および下部口を有し、ディストリビュータの回転シャフトの回転とともに回転する少なくとも1つの回転配管を備えることにより、被処理水の性状によらず、洗浄水を使わずに、運転開始時に汚泥を遅滞なく引き抜くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る凝集沈殿装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る凝集沈殿装置の槽底部の拡大図である。
【図3】本発明の実施形態に係る凝集沈殿装置を含む凝集沈殿システムの一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0018】
図1は、本実施形態に係る凝集沈殿装置の構成の一例を示す概略図である。凝集沈殿装置1は、沈殿槽10と、沈殿槽10内に設置され、被処理水が導入される導入カラム12と、導入カラム12の下端部に回転可能に配置され、導入カラム12内の被処理水を沈殿槽10内の下方に向かって吐出する吹き出し口22が形成されている吹き出し管20を有するディストリビュータ14と、吹き出し口22の下方に設置され、ディストリビュータ14と共に回転する阻流板16と、沈殿槽10の底部に配置された集泥ピット30と、濃縮汚泥を外部に排出するため集泥ピット30の側面に接続された排泥配管31と、ディストリビュータ14の回転シャフト42に固定され、集泥ピット30内を回転し汚泥を撹拌する補助レーキ19と、上部口を沈殿槽10の直胴部下端から阻流板16の下面の間に有し、下部口を集泥ピット30内に有し、ディストリビュータ14の回転シャフト42に固定され、回転シャフト42の回転とともに回転する少なくとも1つの回転配管18と、を備える。
【0019】
沈殿槽10は、例えば、底部がすり鉢状のホッパ部29となった円筒状等の槽体である。沈殿槽10の上部には、側方より中央部まで伸びる流入路24が設けられている。例えば凝集剤が添加混合された被処理水がこの流入路24を介し流入される。流入路24には、縦方向に伸びる筒状の導入カラム12が接続されており、被処理水はこの導入カラム12に流入される。導入カラム12は、上端が水面上に出ており、被処理水を導入カラム12内に限定する導入カラムとして機能する。
【0020】
導入カラム12の底部は、下に向かうにつれ内径が徐々に小さくなっており、下端部には、垂直方向に伸びる円筒状等の内筒管26が接続されている。なお、導入カラム12の底面は水平面で形成されてもよい。導入カラム12の内筒管26の下端部には、ディストリビュータ14が接続されている。このディストリビュータ14は、内筒管26の下端部から斜め下外方に向けて伸び、その後、下方に向けて伸びる複数の吹き出し管20を有しており、複数の吹き出し管20の下端が吹き出し口22になっている。ここで、吹き出し管20の本数に特に制限はないが、通常2〜4本程度を沈殿槽10の水平面の円周に沿って等間隔に配置するのがよい。
【0021】
吹き出し口22に対向する直下の位置には、阻流板16が設けられている。この阻流板16は、吹き出し口22の径よりも大きな径を有する略水平方向の板状部材であり、吹き出し口22から吹き出される被処理水の流れの方向を変え、略水平方向に拡散させる。ここで、阻流板16は、被処理水の下方への直接的な流下を阻むことができるものであれば、どのような形状でもよいが、円板など製作が容易なものが好ましい。また、阻流板16は、吹き出し口22の中心と同一の中心を有することが好ましい。
【0022】
沈殿槽10は様々な処理水量に対応可能であるが、沈殿槽LVは処理水量に関わらずある程度一定になるように設計されるのがよい。すなわち処理水量が増加するほど、沈殿槽10の槽径は大きくなる。また吹き出し口22から吐出される被処理水はある程度の流速をもって略水平方向へ拡散されるのがよく、またこの略水平方向への流速は処理水量に関わらずある程度一定であることが好ましい。ゆえに吹き出し管20の数やその管径、および吹き出し口22から阻流板16までの距離も処理水量が増加するほど、大きな値とするのがよい。たとえば、吹き出し口22から阻流板16までの距離は50mmから500mm程度の間で調整されるのがよい。
【0023】
さらに沈殿槽10のホッパ部29上には、汚泥掻き寄せ機28が設けられている。この汚泥掻き寄せ機28は、掻き寄せ羽根を有し、これがホッパ部29で移動されることで、ホッパ部29上に堆積する沈殿汚泥が中央側に掻き寄せされる。沈殿槽10底部の中央の最深部分には、円筒状等の集泥ピット30が設けられており、汚泥掻き寄せ機28によって掻き寄せされた汚泥が、この集泥ピット30に集められる。
【0024】
ここで、沈殿槽10の中心には、底部から水面上に伸びる回転シャフト42が配置され、この回転シャフト42がモータ、減速機等によって、回転される。回転シャフト42には、汚泥掻き寄せ機28と、ディストリビュータ14が固定されており、したがって、ディストリビュータ14と汚泥掻き寄せ機28とが共に回転される構成となっている。さらに、阻流板16は、その下方の汚泥掻き寄せ機28に固定されているため、阻流板16もディストリビュータ14と共に回転される構成となっている。したがって、ディストリビュータ14が回転しても、阻流板16は、常に吹き出し口22の下方に位置するようになっている。なお、導入カラム12もディストリビュータ14に固定されているので共に回転されるが、いずれかの接続部分において相対回転されるようにしておけば、導入カラム12は回転しなくてもよい。導入カラム12が回転される場合には、流入路24は導入カラム12の上方から被処理水を導入カラム12内に注入する構成とすればよい。
【0025】
また、回転シャフト42には、補助レーキ19が固定されており、集泥ピット30内の汚泥を撹拌するようになっている。補助レーキ19は、四角状、三角状等の板状部材または板状部材の組み合わせ等により構成され、集泥ピット30内の汚泥を撹拌することができればよく、形状については特に制限はない。
【0026】
さらに、図2に沈殿槽10の底部の拡大図を示すように、回転シャフト42には、上部口を沈殿槽10の直胴部下端から阻流板16の下面の間に有し、下部口を集泥ピット30内に有し、ディストリビュータ14の回転シャフト42に固定され、回転シャフト42の回転とともに略水平方向に回転する少なくとも1つの回転配管18が固定されている。回転配管18は1本または複数設けられるが、沈殿槽10の径が2m程度またはそれ未満の小規模の装置では1本でもよいが、沈殿槽10の径が2mを超える大規模装置であれば2本以上あることが好ましい。
【0027】
回転配管18の内面積(回転配管が複数ある場合はその合計)は、集泥ピット30の平均水平断面積の0.4〜4%とすることが好ましい。回転配管18の内面積が集泥ピット30の平均水平断面積の0.4%より小さいと、回転配管18を通って集泥ピット30に流入する水またはブランケット汚泥の量が少なく、集泥ピット30内の汚泥の流動性を高める効果が小さくなることがある。一方、回転配管18の内面積が集泥ピット30の平均水平断面積の4%より大きいと、回転配管18を通って集泥ピット30に流入する水またはブランケット汚泥の量が多すぎて、排出汚泥濃度が薄くなり、汚泥界面維持のため排出汚泥量を増やさなければならなくなることがある。このことから、回転配管18の内面積が集泥ピット30の平均水平断面積の0.4〜4%とすることで、集泥ピット30内汚泥の濃度や流動性をより適正なものとすることができる。
【0028】
回転配管18は、例えば、円筒形状のものであり、形状については特に制限はない。回転配管18の上部口は下向きに配され、U字または鋭角のエルボ管により下部口に接続されているのが好ましく、その垂直位置は、沈殿槽10の直胴部下端から阻流板16の下面の間の中でも、特に上半分の範囲にあることが好ましい。排泥配管31の上部は、運転開始後しばらくすると、沈降濃縮汚泥あるいはブランケット汚泥の中に埋まるため、汚泥の性状や配管口径によっては、汚泥が降り積もって堆積し、閉塞させてしまうことがある。これを防ぐため、回転配管18の上部口をU字管等で下向きにすると閉塞が抑制される。
【0029】
集泥ピット30の側面には、排泥配管31が接続され、この排泥配管31には、排泥ポンプ32、排泥バルブ34が設けられている。したがって、排泥バルブ34を開いた状態で、排泥ポンプ32が駆動されることによって、所定量の汚泥が沈殿槽10から排出される。
【0030】
沈殿槽10内の汚泥は装置の停止時に沈降濃縮し、回転シャフト42の回転とともに略水平に回転する回転配管18の上部口は、運転開始直後には汚泥界面より上の清澄な水の中にあるため、運転開始直後から上部口が汚泥界面より下になるまでに排泥配管31により汚泥を引き抜くと、ほとんどフロックを含まない水が集泥ピット30内に流入し、集泥ピット30内の固まっていた濃厚汚泥を流動性の高いものにし、排泥配管31から汚泥が遅滞なく排出されることになる。排泥配管31から排出を繰り返す、または常時排出をするうちに、排出汚泥濃度は下がってくるが、上部口が汚泥界面より下になると、スラリブランケットの汚泥が回転配管18から集泥ピット30に流入するようになる。スラリブランケットの汚泥は、集泥ピット30の上から汚泥掻き寄せ機28等で流入してくる沈降濃縮汚泥ほど濃厚ではないが、1/3〜1/10程度の濃度を有し、流動性も高いため、排出汚泥濃度を著しく低下させることなく、沈降濃縮汚泥とスラリブランケット汚泥の混合汚泥として汚泥を排出させることができる。
【0031】
さらに、集泥ピット30の側面にはフィン21が固定されている。フィン21の上端は、排泥配管31と集泥ピット30の接続部中心と最上端の間に位置し、下端が排泥配管31の接続部最下端より下に位置するのが好ましく、そのフィン21の上方を回転配管18が通過するよう配置されているのが好ましい。フィン21は四角状等の板状部材等により構成され、形状については特に制限はない。フィン21は、1枚でも複数でもよいが、1枚は、補助レーキ19や回転配管18の回転方向に向かって、排泥配管31の接続部の手前90°以内に配置されるなど、回転する汚泥がフィン21の周りを通過することによって乱れて、排泥配管31の接続部付近で流動性が高まるように配置されることが好ましい。
【0032】
このフィン21により、集泥ピット30内で汚泥がより共回りし固化するのを抑制し、排泥配管31の接続部付近で流動性をある程度保持することができ、回転配管18の回転に回転配管18から集泥ピット30内に水またはブランケット汚泥が流入してきた際に、これらと集泥ピット30内の汚泥を混合して、一層流動性を高め、排泥配管31からの排出をさらに行いやすくすることができる。フィン21の上端が、排泥配管31と集泥ピット30の接続部中心と最上端の間に位置しないと、排泥配管31の接続部付近で流動性が高まらない場合があり、フィン21の下端が排泥配管31の接続部最下端より下に位置しないと、汚泥の共回りして固化する部分が排泥配管31の接続部を通過し、汚泥の引き抜きが滞る場合がある。
【0033】
沈殿槽10の上部の周辺部には、流出路36が設けられている。この流出路36は沈殿槽10上部の周辺全体に設けられてもよいし、一部のみでもよい。流出路36と沈殿槽10の液面部との間には越流堰37が設けられており、越流堰37を越えた上澄み水が処理水として流出路36に流入される。流出路36の底部には、流出管38が接続されており、この流出管38から処理水が系外に排出される。
【0034】
沈殿槽10の上部には、超音波式等の汚泥界面計測装置として汚泥界面計40が配置されている。この汚泥界面計40は、沈殿槽10内の汚泥(スラリブランケット層)界面を計測するものであって、計測された汚泥界面に応じて、制御装置(図示省略)により排泥ポンプ32、排泥バルブ34が制御されて、沈殿槽10からの汚泥排出が制御されてもよい。なお、汚泥界面計40は、超音波式の他に、光学的に汚泥界面を計測するものなどでもよい。
【0035】
被処理水は、図1に示す流入路24から導入カラム12内に流入され、ここに滞留される。そして、導入カラム12の内筒管26を介しディストリビュータ14の吹き出し口22から下方に向けて吹き出され、阻流板16によって水平方向に拡散される。そして、阻流板16の上方の上向流部分にスラリブランケット層が形成され、これを通過し得られた上澄み液が処理水として排出される。一方、阻流板16から下方の部分が汚泥濃縮領域となり、ここにおいて凝集フロックなどが沈降濃縮され、高濃度の汚泥が集泥ピット30に得られる。
【0036】
そして、上述したように、スラリブランケット層の界面位置は、沈殿槽10の上部に設けられた汚泥界面計40によって計測されており、排泥の制御によって界面位置が所定位置に制御される。例えば、スラリブランケット層の界面位置が所定位置を超えて上昇した場合には、排泥バルブ34が開かれ、排泥される。この排泥は、所定の時間間隔で、間欠的に行われ、界面位置が所定位置以下に至るまで行われる。これによって、界面位置が上限位置に至った場合に排泥が開始され、界面位置を下限位置にまで下降させることができ、汚泥界面位置は上下限内に制御される。排泥が行われる時間間隔は任意に設定が可能であるが、例えば180秒毎に10秒間の排泥を行うなど比較的頻繁に行うのがよい。
【0037】
スラリブランケット層の界面の制御位置は、任意に設定可能であるが、被処理水の性状の変化によって、スラリブランケット層を構成するフロックの性状に変化が生じることがあり、これによって界面の急降下、急上昇が起こることもあり得る。そこで、このような界面の変動に対する緩衝能を持たせるため、阻流板16の上方1000mm〜1500mmの範囲の位置に設定するのが好ましい。また、懸濁物質等の越流を確実に抑制するために、水面より1000mm以上下方であることが好ましい。
【0038】
本実施形態に係る凝集沈殿装置1において、凝集処理を施し、凝集フロックを形成させたものであれば、いかなる水でも被処理水となる。被処理水としては、例えば、半導体工場等からのフッ素含有排水、河川水、湖沼水などが挙げられる。
【0039】
本実施形態において、例えば、図3に本実施形態に係る凝集沈殿装置1を含む凝集沈殿システムの一例を示すように、原水を無機凝集剤反応槽48に導入し、ポリ塩化アルミニウム(PAC)等の無機凝集剤を添加混合して凝集フロックを形成し、これを必要に応じて高分子凝集剤反応槽50に導入し、ポリアクリルアミド等の高分子凝集剤を添加して凝集フロックを粗大化したものが被処理水として凝集沈殿装置1に導入される。反応槽は、1槽または2槽以上有する。運転開始(起動)後の所定の時間、集泥ピット30から移送手段としての排泥配管31と排泥ポンプ32により、汚泥を沈殿槽10の直前に配された高分子凝集剤反応槽50等の反応槽に移送してもよい。排泥ポンプ32の出口の排泥配管31は高分子凝集剤反応槽50等の反応槽に接続された移送配管52と、汚泥を汚泥貯槽等の系外に排出するための排出配管54に分岐している。それぞれの配管に設置されたバルブ56,58の開閉を行うことで、運転開始後の所定の時間は高分子凝集剤反応槽50等の反応槽に汚泥を移送し、界面が所定の高さになったら、汚泥を系外に排出させてもよい。
【0040】
汚泥を反応槽に移送する所定の時間は、集泥ピット30の容積を汚泥移送流量で除した時間の3倍以上、すなわち汚泥滞留時間の3倍以上とすることが好ましい。例えば、集泥ピット30の容量が80L、汚泥移送流量が1000L/hであれば、80(L)÷1000(L/h)×60(分/h)×3=14.4分であるから、運転開始後15分程度の間、汚泥を反応槽に移送するのが好ましい。
【0041】
回転配管18は、排泥配管31から汚泥を排出する際にはじめて水またはスラリブランケット汚泥が上から下へ流れて機能する。このため、起動直後から所定の時間続けて汚泥排出を行うことで、集泥ピット30内の汚泥が流動性の高いものとなる。スラリブランケット型沈殿槽の場合、ブランケット界面高さを維持するために所定の高さになってから汚泥を排出するが、運転開始直後に汚泥流動性を高めておくことで、所定の高さになって汚泥を排出する際に、遅滞なく汚泥を排出させ界面高の調整をスムーズに行うことができる。ただし、起動直後から所定の時間続けて汚泥排出を行うことにおいて、汚泥を系外に排出させてしまうと、沈殿槽10内でブランケットができないなど、スラリブランケット型沈殿槽の特長を生かせなくなる場合があるので、集泥ピット30から排出させた汚泥をポンプで沈殿槽10の直前に配された反応槽に流入させ、再度沈殿槽10に流入するようにすることで、ブランケットを早く立ち上げることができる。起動後に汚泥を反応槽に移送する所定の時間を、集泥ピット30の容積を汚泥移送流量で除した時間の3倍以上、すなわち汚泥滞留時間の3倍以上とすることで、停止前に集泥ピット30内に溜まっていた汚泥の大部分を排出させて、新たな汚泥に置き換えることができ、集泥ピット30内の汚泥の流動性を回復させることができる。
【0042】
本実施形態に係る凝集沈殿装置により、運転と停止を繰り返すスラリブランケット型の凝集沈殿装置において、被処理水の性状によらず、汚泥を遅滞なく引き抜くことができ、装置の安定運転が可能となる。洗浄水をほとんど使わないため、洗浄水を流入させるための設備費やランニングコストが低減される。また、洗浄水を流入させることにより、汚泥が巻き上がり、フロックが処理水に流出して、処理水が悪化する問題も回避することができる。
【実施例】
【0043】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0044】
実施例で用いた凝集沈殿装置には、回転配管および集泥ピットの壁面のフィンが脱着可能となっており、それらを取り付けない場合(比較例)と取り付けた場合(実施例)とを比較することにより、実施例の効果を検証した。
【0045】
<実験装置説明>
実施例で用いた凝集沈殿装置は、全体構造は図1に示すとおりであり、容量等は下記の装置仕様に示すとおりである。なお、回転配管1本および集泥ピットの壁面のフィン1枚を有し、取り外すことも可能である。
【0046】
実施例で用いた凝集沈殿システムは、図3に示すように、沈殿槽の前段に、無機凝集剤反応槽、高分子凝集剤反応槽を備える。懸濁物質を含む被処理水は、まず無機凝集剤反応槽に導入され、ここでpH調整用の水酸化ナトリウムおよび無機凝集剤としてのポリ塩化アルミニウム(PAC)が添加され、懸濁物質が凝集される。無機凝集剤反応槽からの凝集フロックを含む処理液は、高分子凝集剤反応槽に導入され、高分子凝集剤としてポリアクリルアミドが添加され、凝集フロックの粗大化が図られる。そして、凝集フロックを含む処理液が沈殿槽に導入され、ここでスラリブランケット層において固液分離が図られ、処理水が沈殿槽上部から流出する。また、沈殿槽底部の集泥ピットから伸びる排泥配管には汚泥ポンプが接続されている。汚泥ポンプ出口からの配管は、汚泥を高分子凝集剤反応槽に移送する配管と汚泥を汚泥貯槽に排出する配管に分岐し、それぞれの配管には自動バルブが付けられ、汚泥の移送先に応じて自動バルブが開閉する機構となっている。
【0047】
なお、実験装置の詳細の仕様は下記のとおりである。
<装置仕様>
無機凝集剤反応槽:1m(機械撹拌)
高分子凝集剤反応槽:1m(機械撹拌)
沈殿槽:6.5m(直胴部高さ3m、塔径1.6m、有効面積2.0m
集泥ピット上端〜阻流板までの高さ:300mm
集泥ピット 内径0.5m、高さ0.4m、容積0.078m
回転配管
(1)内径32mm(集泥ピット平均水平断面積の0.4%)、上部U字、上部口〜下端口550mm
(2)内径25mm(集泥ピット平均水平断面積の0.25%)、上部U字、上部口〜下端口550mm
(3)内径80mm(集泥ピット平均水平断面積の2.6%)、上部U字、上部口〜下端口550mm
(4)内径100mm(集泥ピット平均水平断面積の4.0%)、上部U字、上部口〜下端口550mm
(5)内径125mm(集泥ピット平均水平断面積の6.3%)、上部U字、上部口〜下端口550mm
フィン 幅50mm、高100mm、厚8mm
汚泥ポンプ容量(規定吐出量):1m/h
汚泥排出ラインに付けられている流量計60により、排泥流量計測した。
【0048】
<実験条件>
被処理水:地下水にカオリンを2000mg/Lとなるように懸濁させた模擬排水
無機凝集剤:ポリ塩化アルミニウム(PAC) 300mg/L
高分子凝集剤:ポリアクリルアミド 2mg/L
通水量:10m/h(LV 5m/h)
運転停止期間中もディストリビュータ、阻流板、汚泥掻き寄せ機、補助レーキ、回転配管が接続された回転シャフトを回転させたままとした。ブランケットの界面が沈殿槽直胴部下端より1mの位置を超えたら、300秒間隔で10秒間排泥バルブを開き、汚泥ポンプを稼動して汚泥を排出した。
【0049】
<実験方法>
[実験1]
はじめに比較例として、回転配管およびフィンを付けない状態で運転と停止の繰り返しを行い、次いで、実施例として、回転配管(1)およびフィンを付けた状態で運転と停止の繰り返しを行った。ただし、運転開始直後に排出汚泥を高分子凝集剤反応槽に移送する操作は行わなかった。比較例、実施例ともに、90分の運転と60分の停止とを繰り返し10回行い、沈殿槽からの汚泥の排出状況を確認した。
【0050】
[実験2]
はじめに比較例として、実験1と同様に回転配管およびフィンを付けない状態で運転と停止の繰り返しを行った。次いで、回転配管(1)およびフィンを付けた状態で運転と停止の繰り返しを行ったが、このとき、運転開始毎に開始から5分間汚泥ポンプで汚泥を引抜き、高分子凝集剤反応槽へ移送した。比較例、実施例ともに、90分の運転と60分の停止とを繰り返し10回行い、沈殿槽からの汚泥の排出状況を確認した。
【0051】
[実験3]
回転配管(2)〜(5)を取り付け、実験2の実施例と同様に、90分の運転と60分の停止の繰り返しを10回行った。
【0052】
<結果>
[実験1]
(比較例)
沈殿槽に汚泥が溜まっていない状態から実験を開始し、運転と停止を繰り返した。
【0053】
3回目の運転で汚泥界面が阻流板より高くなり、ブランケットが形成された。
【0054】
4回目の運転で界面は沈殿槽直胴部下端より1mの位置に達し、間欠的に沈殿槽底部から排泥され、界面高は沈殿槽直胴部下端より1m付近に維持された。この時の排泥流量は、ほぼ汚泥ポンプ容量(規定吐出量)である1m/hであった。また、汚泥濃度は約110g/Lであった。
【0055】
5回目の運転でも界面は沈殿槽直胴部下端より1mの位置付近に維持されたが、この運転での排泥流量は0.7m/h程度に低下していた。汚泥濃度は約130g/Lに上昇していた。
【0056】
6回目の運転では、界面が沈殿槽直胴部下端より1m高い位置で維持されず上昇し、運転終了時には1.5mまで上昇した。この運転での排泥流量は0.5m/h程度に低下し、汚泥濃度は約160g/Lであった。
【0057】
7回目、8回目の運転では、さらに界面が高い位置まで上昇し、8回目運転終了時には沈殿槽直胴部下端より2mの位置まで上昇した。この運転での排泥流量は0.4m/h程度に低下し、汚泥濃度は約170g/Lであった。
【0058】
9回目、10回目の運転では、さらに界面が高い位置まで上昇し、各運転終了時には界面が沈殿槽上部よりあふれた。この運転での排泥流量は0.3〜0.2m/h程度に低下し、汚泥濃度は約190g/Lであった。
【0059】
(実施例)
比較例の実験終了後、一旦沈殿槽から汚泥を掻き出し、回転配管(1)とフィンを設置し、再び沈殿槽に汚泥を入れて、実験を開始し、運転と停止を繰り返した。
【0060】
1回目の運転では、最初の排泥流量は0.4m/h程度であったが、運転終了間際の排泥流量は0.6m/h程度に増大した。界面高は沈殿槽直胴部下端より1m付近に維持されず、運転終了時には1.5mまで上昇したが、あふれることはなかった。運転終了時の排出汚泥濃度は約150g/Lであった。
【0061】
2回目の運転では、最初の排泥流量は0.5m/h程度であったが、運転終了間際の排泥流量は0.7m/h程度に増大した。界面高は、運転終了時には、沈殿槽直胴部下端より1m付近に維持されるようになった。運転終了時の排出汚泥濃度は約130g/Lであった。
【0062】
3回目の運転では、最初の排泥流量は0.6m/h程度であったが、運転終了間際の排泥流量は0.9m/h程度に増大した。界面高は、沈殿槽直胴部下端より1m付近に維持されるようになった。運転終了時の排出汚泥濃度は約120g/Lであった。
【0063】
4回目の運転では、最初の排泥流量は0.8m/h程度であったが、しばらくすると排泥流量は1.0m/hとなった。界面高は、沈殿槽直胴部下端より1m付近に維持され、排出汚泥濃度は約100g/Lであった。
【0064】
以後、5〜10回目の運転においては、排泥流量は1.0m/h程度であり、界面高は沈殿槽直胴部下端より1m付近に安定して維持することができた。
【0065】
以上より、比較例においては、運転停止を繰り返すうちに、沈殿槽底部での汚泥濃度が高まり、汚泥を十分に引き抜くことが次第にできなくなり、沈殿槽での界面制御ができなくなったが、実施例においては、排泥濃度が高まりすぎることなく、汚泥を所定量排出させることができ、安定して界面維持をすることができた。このことから実施例の装置、特に回転配管とフィンの効果が確認できた。
【0066】
[実験2]
(比較例)
回転配管(1)とフィンをはずし、実験1の比較例と同様の操作を行った。実験1の比較例とほぼ同様の経過をたどり、10回目の運転では、運転終了時には界面が沈殿槽上部よりあふれていた。この運転での排泥流量は0.2m/h程度に低下し、汚泥濃度は約200g/Lであった。
【0067】
(実施例)
比較例の実験終了後、一旦沈殿槽から汚泥を掻き出し、回転配管(1)とフィンを設置し、再び沈殿槽に汚泥を入れて、実験を開始し、運転と停止を繰り返した。各運転時には、運転開始毎に開始から15分間、汚泥ポンプで汚泥を引抜き、高分子凝集剤反応槽へ返送した。なお、集泥ピット容積0.078m、汚泥ポンプ規定吐出量1m/hであり、汚泥滞留時間は4.7分であり、15分はその3倍以上の時間となっている。
【0068】
1回目の運転では、運転開始直後の汚泥返送初期は、排泥流量が0.4m/h程度しかなかったが、次第に増大し、15分後の返送終了時には0.8m/hとなった。返送汚泥濃度は、返送初期に190g/Lであったが、15分後には130g/Lであった。90分後の運転終了時には120g/Lであった。界面高は、汚泥返送後しばらくして、一時的に2mに達したが、90分後の運転終了時には1m付近で安定して推移した。
【0069】
2回目の運転では、運転開始直後の汚泥返送初期は、排泥流量が0.7m/h程度しかなかったが、次第に増大し、10分後には1.0m/hとなった。返送汚泥濃度は、返送初期に約140g/Lであったが、15分後には約110g/Lであった。90分後の運転終了時も約110g/Lであった。界面高は、沈殿槽直胴部下端より1m付近に安定して維持されるようになった。
【0070】
以後、3〜10回目の運転においては、汚泥返送初期から排泥流量を1.0m/h程度であり、界面高は沈殿槽直胴部下端より1m付近に安定して維持することができた。なお、汚泥を反応槽に返送したことによる処理水質の悪化は、特に認められなかった。
【0071】
以上の結果より、回転配管(1)とフィンを設置に加えて、運転開始毎に開始から所定の時間、汚泥ポンプで汚泥を引抜き沈殿槽直前の反応槽へ汚泥を返送する工程を行うことにより、さらに排泥流量を安定させ、沈殿槽の界面を安定して制御できることが確認された。
【0072】
[実験3]
(実施例)
実験1の比較例と同様の操作を行い、排泥流量が低下し、運転終了時には界面が沈殿槽上部よりあふれる状態とした(0.2m/h程度、汚泥濃度は約190g/L)。この後、各回転配管とフィンを付けて、90分の運転と60分の停止を繰り返し10回行った。
【0073】
まず、回転配管(2)(内径25mm)を付けた場合、10回目の運転でも排泥流量は0.5m/h程度までしか増大せず、界面高は沈殿槽直胴部下端より1m付近に安定して維持することができなかった。排出汚泥濃度は140g/Lであった。
【0074】
回転配管(3)(内径80mm)を付けると、2回目の運転で排泥流量は1.0m/h程度となり、界面高は沈殿槽直胴部下端より1m付近に安定して維持することができた。排出汚泥濃度は80g/Lであった。
【0075】
回転配管(4)(内径100mm)を付けた場合、1回目の運転でも排泥流量は1.0m/h程度であり、界面高は沈殿槽直胴部下端より1m付近に安定して維持することができた。排出汚泥濃度は60g/Lであった。
【0076】
回転配管(5)(内径125mm)を付けた場合、いずれの運転でも排泥流量は1.0m/h程度だが、界面高は沈殿槽直胴部下端より1m付近に安定して維持することができず、7回目の運転で界面が沈殿槽上部に達した。排出汚泥濃度は30g/Lであった。これは、回転配管から濃度が薄い汚泥が多量に流入し、排出汚泥濃度も薄くなり過ぎ、排出汚泥の固形物量よりも沈殿槽の流入固形物が上回ったためと考えられる。汚泥ポンプの稼動間隔や稼働時間を変更すれば界面の維持は可能であるが、排出汚泥量が多くなり、汚泥処理にそれだけ負荷を与える状態となる。
【0077】
以上の結果から、回転配管は、その内面積が、集泥ピット面積の0.4%〜4%の範囲であるときに、よりよく機能することが確認された。
【符号の説明】
【0078】
1 凝集沈殿装置、10 沈殿槽、12 導入カラム、14 ディストリビュータ、16 阻流板、18 回転配管、19 補助レーキ、20 吹き出し管、21 フィン、22 吹き出し口、24 流入路、26 内筒管、28 汚泥掻き寄せ機、29 ホッパ部、30 集泥ピット、31 排泥配管、32 排泥ポンプ、34 排泥バルブ、36 流出路、37 越流堰、38 流出管、40 汚泥界面計、42 回転シャフト、48 無機凝集剤反応槽、50 高分子凝集剤反応槽、52 移送配管、54 排出配管、56,58 バルブ、60 流量計。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
沈殿槽内で、被処理水中の懸濁物質、凝集フロックを沈降分離させ、スラリブランケット層を形成して被処理水を清澄化する凝集沈殿装置であって、
前記沈殿槽内に設置され、前記被処理水が導入される導入カラムと、
前記導入カラムの下端部に回転可能に配置され、前記導入カラム内の被処理水を前記沈殿槽内の下方に向かって吐出する吹き出し口が形成されている吹き出し管を有するディストリビュータと、
前記吹き出し口の下方に設置され、前記ディストリビュータと共に回転する阻流板と、
前記沈殿槽の底部に配置された集泥ピットと、
濃縮汚泥を外部に排出するため前記集泥ピットの側面に接続された排泥配管と、
前記ディストリビュータの回転シャフトに固定され、前記集泥ピット内を回転し汚泥を撹拌する補助レーキと、
上部口を前記沈殿槽の直胴部下端から前記阻流板下面の間に有し、下部口を前記集泥ピット内に有し、前記ディストリビュータの回転シャフトに固定され、前記回転シャフトの回転とともに回転する少なくとも1つの回転配管と、
を備えることを特徴とする凝集沈殿装置。
【請求項2】
請求項1に記載の凝集沈殿装置であって、
前記集泥ピットの側面に固定されたフィンを有し、前記フィンの上方を前記回転配管が通過することを特徴とする凝集沈殿装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の凝集沈殿装置であって、
前記回転配管の内面積が、前記集泥ピットの平均水平断面積の0.4〜4%以下であることを特徴とする凝集沈殿装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の凝集沈殿装置であって、
前記回転配管の上部口が下向きに配され、U字または鋭角のエルボ管により下部口に接続されていることを特徴とする凝集沈殿装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の凝集沈殿装置であって、
起動後の所定の時間、前記排泥配管より汚泥を、前記凝集沈殿装置の直前に配され、被処理水に凝集剤を添加するための反応槽に移送する移送手段を備えることを特徴とする凝集沈殿装置。
【請求項6】
請求項5に記載の凝集沈殿装置であって、
起動後に汚泥を前記反応槽に移送する時間を、前記集泥ピットの容積を汚泥移送流量で除した時間の3倍以上とすることを特徴とする凝集沈殿装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−78715(P2013−78715A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219339(P2011−219339)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000004400)オルガノ株式会社 (606)