説明

凹凸のトレッド表面を有するタイヤ

【目的】 フィラメント群よりなるトレッド部の表面に、0.3〜1.0mmの凹凸接地面を形成することによって、摩耗初期のトラクションを向上できるようにした凹凸のトレッド表面を有するタイヤを提供するものである。
【構成】 トレッド部1にサイプ5を形成して該サイプ5を介して互いに独立したフィラメント7を形成しているタイヤTである。前記フィラメント7はその高さが異なっており、サイプ5の長手方向と交差する方向において0.3〜1.0mmの凹凸接地面7Aを形成している。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、凹凸のトレッド表面を有するタイヤに係り、例えば、乗用車用スタッドレスタイヤ等に利用される。
【0002】
【従来の技術】乗用車用スタッドレスタイヤにおいては、雪上、氷上グリップ向上等の見地から、ブロックパターン、リブパターン、リブ・ブロックパターンにおけるトレッドに多数のサイプを形成している。すなわち、トレッド部にサイプを形成して該サイプを介して互いに独立したフィラメントを形成することにより、エッジ効果とフィラメントの弾性変形等によって氷上グリップ等を向上させている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来のフィラメント群よりなるトレッド部の表面(接地面)は、円周方向において平坦面に形成されていたため、物理的な路面をひっかく効果が小さいことから、摩耗初期のトラクションが低下しているという課題があった。
【0004】そこで本発明は、フィラメント群よりなるトレッド部の表面に、0.3〜1.0mmの凹凸接地面を形成することによって、摩耗初期のトラクションを向上できるようにした凹凸のトレッド表面を有するタイヤを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、トレッド部1にサイプ5を形成して該サイプ5を介して互いに独立したフィラメント7を形成しているタイヤTにおいて、前述の目的を達成するために、次の技術的手段を講じている。すなわち、本発明は、前記フィラメント7はその高さが異なっており、サイプ5の長手方向と交差する方向において0.3〜1.0mmの凹凸接地面7Aを形成しているものである。
【0006】
【作用】本発明に係るタイヤTを乗用車に装着して雪路、氷上等を走行すると、サイプ5,6によるエッジ効果とフィラメント7,8の弾性変形によって雪上、氷上のグリップ性は確保される。加えて、フィラメント7,8は0.3〜1.0mmの凹凸接地面1A,8Aとされていることにより、摩耗初期のトラクションを確保し、しかも、ノイズ等の悪化も抑える。
【0007】
【実施例】以下、図を参照して本発明の実施例を説明する。本発明の第1実施例を示しているスタッドレス空気入りタイヤTは図1(A)(B)において、ブロックパターンとされたトレッド部1にセンターブロック2とショルダブロック3とを列設しており、各ブロック2,3にはそれぞれサイプ5,6が形成されていて該サイプ5,6を介して互いに独立した短冊状のフィラメント7,8が形成されている。
【0008】サイプ5,6はセンターブロック2においては、横サイプ5とされていてタイヤTがX方向に回転するときの氷上グリップ性を確保しており、サイドブロック3においては縦サイプ6とされていて横滑りを防止している。サイプ5,6は、横サイプ5で代表して示しているように該横サイプ5を介して互いに独立したフィラメント7はその高さが異なっており、横サイプ5の長手方向と交差する方向において0.3〜1.0mmの段差hを有する凹凸接地面7Aとされている。
【0009】ここで、段差hが0.3mm未満であれば、摩耗初期のトランクション効果は少なく、一方、1.0mm以上であるとノイズ等の悪化を招くことから0.3〜1.0mmとされている。図2(A)(B)は本発明の第2実施例を示しており、横サイプ5および縦サイプ6の形状を波形に形成するとともに、フィラメント7,8はフィラメント7で代表して示すように、つま先7Bが先鋭とされた点が前述した第1実施例と異なり、その他は、共通するので共通部分は共通符号で示している。
【0010】図3〜6は本発明の他の有用な実施例であり、図3はつま先7Bを有するフィラメント7で鋸歯状の凹凸接地面7Aとしたものであり、図4はサイプ5の奥部に球状の応力緩和部5Aを形成したものであり、図5R>5はサイプ5は角波形に形成したものであり、図6はサイプ5はイナズマ形に形成したものである。図7(A)(B)(C)は、第7〜9実施例を示し、フィラメント7,8の表面自体に凹凸面を形成したものであり、これによれば回転方向及び軸方向の双方においてのトラクションを向上する。
【0011】なお、上述した各実施例の組合わせは任意であり、縦サイプ6についても同じように構成することができるし、リブパターンのトレッド部、リブ・ブロックパターンのトレッド部にも適用することができる。
【0012】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によればサイプによるエッジ効果、フィラメントの弾性変形等による雪上、氷上でのグリップ性を向上できながら、0.3〜1.0mmの凹凸接地面によってノイズを抑制しながら摩耗初期のトラクションを向上できる。
【0013】従って、乗用車用スタッドレスタイヤを初め、凹凸のトレッド表面を有するタイヤとして有益である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示し、(A)は展開平面図、(B)は要部の斜視図である。
【図2】本発明の第2実施例を示し、(A)は展開平面図、(B)は要部の斜視図である。
【図3】本発明の第3実施例を示す要部の側面図である。
【図4】本発明の第4実施例を示す要部の側面図である。
【図5】本発明の第5実施例を示す要部の平面図である。
【図6】本発明の第6実施例を示す要部の平面図である。
【図7】本発明の第7〜9実施例を示し、(A)は第7実施例の、(B)は第8実施例の、(C)は第9実施例の各斜視図である。
【符号の説明】
T タイヤ
1 トレッド
2 ブロック
5 サイプ
7 フィラメント
7A 凹凸接地面

【特許請求の範囲】
【請求項1】 トレッド部(1)にサイプ(5)を形成して該サイプ(5)を介して互いに独立したフィラメント(7)を形成しているタイヤ(T)において、前記フィラメント(7)はその高さが異なっており、サイプ(5)の長手方向と交差する方向において0.3〜1.0mmの凹凸接地面(7A)を形成していることを特徴とする凹凸のトレッド表面を有するタイヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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