説明

刃部材及び刃部材の刃縁の加工装置

【解決手段】真空チャンバー内で、プラズマイオンガンを用いアルゴンを媒体として各刃体群の刃縁に対し特定条件で施すイオンビーム加工と、プラズマイオン注入ガンを用い窒素プラズマにより各刃体群の刃縁に対し特定条件で施すプラズマイオン注入加工とを施す。
【効果】鋭利性をより一層上げて切れ味を高めた刃縁を有する刃部材、硬度をより一層上げて剛性を高めた刃縁を有する刃部材、並びに、そのような刃縁を効率的に加工し得る加工装置を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剃刀等に利用する刃部材、並びに、その刃部材の刃縁を加工する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の刃部材の刃縁を皮砥により加工して刃縁のばりなどを除去していたので、刃縁の鋭利性に欠けて切れ味が悪くなるとともに、刃縁の硬度が小さくて剛性が低くなっていた。
【特許文献1】特公昭54−28379号公報
【特許文献2】特開2007−61212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、上記特許文献1では、切断刃にイオン注入処理を施して切断刃の硬度を改良している。また、特許文献2では、刃縁にリアクティブイオンエッチングを施して刃縁の鋭利性を高めている。
【0004】
この発明は、イオンビーム加工やプラズマイオン注入加工による処理技術を改良して、より一層優れた刃縁を有する刃部材、並びに、そのような刃縁を効率的に加工することができる加工装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
後記実施形態の図面(図1〜4)の符号を援用して本発明を説明する。
請求項1の発明にかかる刃部材においては、真空チャンバー2内で、刃体群9の刃縁11に対し、プラズマイオンガン4を用いアルゴンを媒体として、アルゴンガス圧0.1〜1Pa、刃体群9に対するバイアス電圧0.1〜1000V、処理時間5〜300分でイオンビーム加工を施した。請求項1の発明では、刃縁11の鋭利性を上げて切れ味を高めることができる。
【0006】
請求項2の発明にかかる刃部材においては、真空チャンバー2内で、刃縁11の尖端角10°〜35°、刃縁11のばり12の高さ0.1〜10μmの刃体群9の刃縁11に対し、プラズマイオン注入ガン5を用い窒素プラズマによりプラズマイオン注入加工を施した後に、プラズマイオンガン4を用いアルゴンを媒体としてイオンビーム加工を施した。請求項2の発明では、同じ真空チャンバー2内でプラズマイオン注入加工後にイオンビーム加工を連続させて刃縁11の加工を効率的に行い、刃縁11に硬化層を残して剛性を高めることができるとともに、刃縁11で刃線全体を均質に仕上げて切れ味を高めることができる。このプラズマイオン注入加工とその後に行うイオンビーム加工とを繰り返してもよい。
【0007】
請求項3の発明にかかる刃部材においては、真空チャンバー2内で、刃体群9の刃縁11に対し、プラズマイオンガン4を用いアルゴンを媒体として、刃縁11の尖端11aからの深さ0.1〜1.5μm、刃縁11の厚み方向の深さ0.1〜1.5μmでイオンビーム加工を施した。請求項3の発明では、刃縁11の鋭利性を上げて切れ味を高めることができる。
【0008】
請求項4の発明にかかる刃部材においては、真空チャンバー2内で、串8を挿入して水平方向Hへ積層した複数の刃体群9を互いに公転させながらそれぞれ自転させ、その各刃体群9の刃縁11に対し、プラズマイオンガン4を用いアルゴンを媒体としてイオンビーム加工を施した。請求項4の発明では、各刃体群9がプラズマイオンガン4に対し公転しながら自転するため、イオンビーム加工が平均的に施され、刃縁11の全体で平均的に鋭利性を上げて切れ味を高めることができる。
【0009】
請求項5の発明にかかる刃部材の刃縁の加工装置1においては、真空チャンバー2内で、串8を挿入して水平方向Hへ積層した複数の刃体群9を公転させるとともにそれぞれ自転させる回転体6,7と、並設したプラズマイオンガン4とを備え、その各プラズマイオンガン4を用い各刃体群9の刃縁11に対しアルゴンを媒体としてイオンビーム加工を施す。請求項5の発明では、各刃体群9が各プラズマイオンガン4に対し公転しながら自転するため、各刃体群9の刃縁11に対しイオンビーム加工を平均的に施すことができる。
【0010】
請求項6の発明にかかる刃部材においては、真空チャンバー2内で、刃体群9の刃縁11に対し、プラズマイオン注入ガン5を用い窒素プラズマにより、窒素圧0.5〜5Pa、刃体群9に対するバイアス電圧0.1〜1000V、フィラメント電流100〜200A、処理時間10〜1000分でプラズマイオン注入加工を施した。請求項6の発明では、刃縁11の硬度を上げて剛性を高めることができる。
【0011】
請求項7の発明にかかる刃部材においては、真空チャンバー2内で、刃縁9の尖端角10°〜35°、刃縁11のばり12の高さ0.1〜10μmの刃体群9の刃縁11に対し、プラズマイオンガン4を用いアルゴンを媒体としてイオンビーム加工を施した後に、プラズマイオン注入ガン5を用い窒素プラズマによりプラズマイオン注入加工を施した。請求項7の発明では、同じ真空チャンバー2内でイオンビーム加工後にプラズマイオン注入加工を連続させて刃縁11の加工を効率的に行い、刃縁11の全体で十分に硬化層を設けて剛性を高めることができる。このイオンビーム加工とその後に行うプラズマイオン注入加工とを繰り返してもよい。
【0012】
請求項8の発明にかかる刃部材においては、真空チャンバー2内で、刃体群9の刃縁11に対し、プラズマイオン注入ガン5を用い窒素プラズマにより、刃縁11の尖端11aからの深さ0.1〜1.5μm、刃縁11の厚み方向の深さ0.1〜1.5μmでプラズマイオン注入加工を施した。請求項8の発明では、刃縁11の硬度を上げて剛性を高めることができる。
【0013】
請求項9の発明にかかる刃部材においては、真空チャンバー2内で、串8を挿入して水平方向Hへ積層した複数の刃体群9を互いに公転させながらそれぞれ自転させ、その各刃体群9の刃縁11に対し、プラズマイオン注入ガン5を用い窒素プラズマによりプラズマイオン注入加工を施した。請求項9の発明では、各刃体群9がプラズマイオン注入ガン5に対し公転しながら自転するため、プラズマイオン注入加工が平均的に施され、刃縁11の全体で平均的に硬度を上げて剛性を高めることができる。
【0014】
請求項10の発明にかかる刃部材の刃縁の加工装置1においては、真空チャンバー2内で、串8を挿入して水平方向Hへ積層した複数の刃体群9を公転させるとともにそれぞれ自転させる回転体6,7と、プラズマイオンガン4及びプラズマイオン注入ガン5とを備え、そのプラズマイオンガン4を用いアルゴンを媒体として各刃体群9の刃縁11に対し施すイオンビーム加工と、そのプラズマイオン注入ガン5を用い窒素プラズマにより各刃体群9の刃縁11に対し施すプラズマイオン注入加工とを施す。請求項10の発明では、各刃体群9がプラズマイオンガン4及びプラズマイオン注入ガン5に対し公転しながら自転するため、各刃体群9の刃縁11に対しイオンビーム加工を平均的に施すことができるとともに、各刃体群9の刃縁11に対しプラズマイオン注入加工を平均的に施すことができる。また、同じ真空チャンバー2内でイオンビーム加工とプラズマイオン注入加工とを施すことができるので、それらの加工を互いに連続させて刃縁11の加工を効率的に行うことが可能となる。例えば、このイオンビーム加工とプラズマイオン注入加工とのうち一方の加工後に他方の加工を施したり、このプラズマイオン注入加工とその後に行うイオンビーム加工とを繰り返したり、このイオンビーム加工とその後に行うプラズマイオン注入加工とを繰り返したりしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、イオンビーム加工による処理技術を改良することにより鋭利性をより一層上げて切れ味を高めた刃縁11を有する刃部材、プラズマイオン注入加工による処理技術を改良することにより硬度をより一層上げて剛性を高めた刃縁11を有する刃部材、並びに、そのような刃縁11を効率的に加工し得る加工装置1を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1で概略的に示す加工装置1において、真空チャンバー2内の一側には刃体取付台3が設けられ、真空チャンバー2内の他側にはアルゴンを媒体としてイオンビーム加工を施すプラズマイオンガン4と、窒素プラズマによりプラズマイオン注入加工を施すプラズマイオン注入ガン5とが位置固定されて並設されている。この刃体取付台3においては、公転軸6aを中心に回転する回転体としての公転台6が支持されているとともに、その公転台6上で自転軸7aを中心に回転する回転体としての自転台7が支持され、この各自転台7上で公転軸6aの周囲には刃部材としての刃体10に串8が挿入されて各刃体10が水平方向Hへ積層された刃体群9が取り付けられている。この公転台6及び自転台7が回転すると、この各刃体群9は公転するとともに自転し、例えば図4(a)(b)(c)(d)に示す加工手順により、その各刃体群9にイオンビーム加工が施されるとともにプラズマイオン注入加工が施される。この公転台6と自転台7とは、それぞれ、同一向きの回転(正回転)ばかりでなく、正回転と逆回転とを交互に繰り返してもよい。
【0017】
図4(a)の加工手順では、複数の刃体10(10A)が連結された帯状の刃体素材で各刃体10の刃縁11に生じている高さ0.1〜10μmのばり12が皮砥により除去されてその刃縁11が極僅かに鈍角化され、その刃体素材を各刃体10(10B)ごとに切断した後、その各刃体10(10C1)の刃縁11にイオンビーム加工を施してその刃縁11を鋭利化し、さらにその各刃体10(10D1)の刃縁11にプラズマイオン注入加工を施してその刃縁11を硬化させる。なお、この帯状刃体素材の厚みは0.05mm以上が好ましい。図4(b)の加工手順では、複数の刃体10(10A)が連結された同様な帯状刃体素材で各刃体10の刃縁11に生じている高さ0.1〜10μmのばり12が皮砥により除去されてその刃縁11が極僅かに鈍角化され、その刃体素材を各刃体10(10B)ごとに切断した後、その各刃体10(10D2)の刃縁11にプラズマイオン注入加工を施してその刃縁11を硬化させ、さらにその各刃体10(10C2)の刃縁11にイオンビーム加工を施してその刃縁11を鋭利化する。図4(c)の加工手順では、複数の刃体10(10A)が連結された同様な帯状刃体素材で前記皮砥をせずに各刃体10の刃縁11に生じているばり12を残したまま、その刃体素材を各刃体10ごとに切断した後、その各刃体10(10C3)の刃縁11にイオンビーム加工を施してその刃縁11を鋭利化するとともにばり12を除去し、さらにその各刃体10(10D3)の刃縁11にプラズマイオン注入加工を施してその刃縁11を硬化させる。図4(d)の加工手順では、複数の刃体10(10A)が連結された同様な帯状刃体素材で前記皮砥をせずに各刃体10の刃縁11に生じているばり12を残したまま、その刃体素材を各刃体10ごとに切断した後、その各刃体10(10D4)の刃縁11にプラズマイオン注入加工を施してその刃縁11を硬化させるとともに例えば皮砥しない場合の高さの半分程度以下の高さのばり12を残し、さらにその各刃体10(10C4)の刃縁11にイオンビーム加工を施してその刃縁11を鋭利化するとともにばり12を除去する。図4(c)の加工手順や図4(d)の加工手順により加工された刃縁11では、山13aと谷13bとが交互に連続して刃線13が波形状になり、その山13aと谷13bとの高低差が0.1〜1μmになるとともに、刃わたり10μmあたり山13aまたは谷13bが5〜30回生じている。この刃縁11の尖端角度については、特に皮砥をしない場合、20度以下が好ましく、さらには16度以下が好ましい。なお、前記イオンビーム加工あるいはプラズマイオン注入加工後に真空チャンバー2内のクリーニングを行う。
【0018】
前記イオンビーム加工においては、図2に原理を示すように、前記各プラズマイオンガン4にアルゴンガスが導入されてアルゴンイオン(Ar)と電子eとが電離したプラズマ状態となり、磁気フィールドによりアルゴンイオンのみが抽出されて刃縁に照射され、そのアルゴンイオンが刃縁の金属をはじき飛ばすように加工して刃縁を鋭利化する。ちなみに、そのイオンビーム加工において、イオン化電圧は2〜3kV、刃体群9に対するバイアス電圧は0.1〜1000V、アルゴン圧力は0.1〜1Pa、処理時間は5〜300分に設定され、図5(a)に示す後記両刃面11bに沿う距離1〜30μmにわたり刃縁11の尖端11aからの深さ0.1〜1.5μm、刃縁11の厚み方向の深さ0.1〜1.5μmで行われ、刃縁11の温度は150℃以上になる。
【0019】
前記プラズマイオン注入加工においては、図3(a)(b)に原理を示すように、窒素ガスを注入しながらタングステンフィラメントに電流を流すと、窒素ガスがプラズマ状態となり、刃体にマイナスバイアスをかけると、窒素プラズマ(N)が刃縁に衝突して注入されてFeNが生成され、刃縁を硬化させる。ちなみに、そのプラズマイオン注入加工において、フィラメント電流は100〜200A、ディスチャージ電流は100〜300A、刃体群9に対するバイアス電圧は0.1〜1000V、窒素圧力は0.5〜5Pa、処理時間は10〜1000分に設定され、図5(a)に示す後記両刃面11bに沿う距離0.1〜3mmにわたり刃縁11の尖端11aからの深さ0.1〜1.5μm、刃縁11の厚み方向の深さ0.1〜1.5μmで行われ、刃縁11の温度は200℃以上になり、刃縁11の硬度は1200〜2000Hvになる。
【0020】
前述したように図4(a)(b)(c)(d)に示す手順により加工した刃縁11については、図5(a)に示すように、両刃面11bが互いに交差して形成された尖端11aからの距離L(深さ)で両刃面11b間の厚みをTとした場合、その距離Lにおける厚みTの値を図5(b)に示す。すなわち、尖端11aからの複数の距離L(0.5μm、1μm、2μm,4μm,10μm,20μm、30μm、50μm)で、それぞれ最大厚みT(0.5μm、0.85μm、1.4μm、2.5μm、4.5μm、7.5μm、11.0μm、16.5μm)をなす両刃面11bが、それぞれ最小厚みT(0.4μm、0.65μm、1.1μm、2.1μm、4.0μm、6.5μm、9.0μm、14.0μm)をなす両刃面11bの外側にあって、その最大厚みTをなす両刃面11bとその最小厚みTをなす両刃面11bとの間の厚み範囲にある両刃面11bが刃縁11の理想的な形状である。その結果、尖端11aからの距離Lが4μmまでは比較的厚くなって耐久性を向上させることができ、尖端11aからの距離Lが4μm以降では比較的薄くなって切断抵抗を小さくすることができる。
【0021】
そのような刃縁11に対しDCLやTiCrAlNなどの成膜処理を施して刃縁11の強度を向上させるとともに刃縁11の尖端11aに曲率半径20〜50nmの丸みを付けて皮膚へのくい込みを防止し、さらにその刃縁11にフッ素樹脂コーティング処理を施す。
【0022】
図6に示すフエルト切断試験では、このような後処理を施した本発明の刃体10と皮砥を行った後に同様な後処理を施した従来の刃体とについて、フエルトの切断試験を行い、切断回数ごとに切断荷重を測定して平均値を示した。その結果、本発明にかかる刃体10の切断荷重が従来の刃体の切断荷重よりも小さくなって本発明にかかる刃体10の切れ味とその切れ味にかかる耐久性とが向上したことが分かる。
【0023】
図7に示す官能試験では、このような後処理を施した本発明の刃体10と皮砥を行った後に同様な後処理を施した従来の刃体とについて、30人の試験者が同じ条件で5回髭の剃り味試験を行い、各回ごとに切れ味について5点満点中の点数を付け、各回ごとに30人の点数の平均値を示した。その結果、本発明にかかる刃体10の点数が従来の刃体の点数よりも高くなって本発明にかかる刃体10の切れ味が向上したことが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態にかかる刃部材の刃縁の加工装置を概略的に示す説明図である。
【図2】イオンビーム加工の原理を示す説明図である。
【図3】(a)(b)はそれぞれプラズマイオン注入加工の原理を示す説明図である。
【図4】(a)(b)(c)(d)はそれぞれ刃体の刃縁の加工手順を概略的に示す説明図である。
【図5】(a)は本発明にかかる刃体の刃縁においてその尖端からの所定距離における厚みを概略的に示す説明図であり、(b)は同じく表である。
【図6】本発明にかかる刃体と従来の刃体とについて行ったフエルト切断試験の結果を示すグラフである。
【図7】本発明にかかる刃体と従来の刃体とについて行った官能試験の結果を示す表である。
【符号の説明】
【0025】
1…刃部材の刃縁の加工装置、2…真空チャンバー、4…イオンビーム加工用プラズマイオンガン、5…プラズマイオン注入加工用プラズマイオン注入ガン、6…回転体としての公転台、7…回転体としての自転台、8…串、9…刃体群、10…刃部材としての刃体、11…刃縁、11a…刃縁の尖端、12…刃縁のばり、H…水平方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チャンバー内において、刃体群の刃縁に対し、プラズマイオンガンを用いアルゴンを媒体として、アルゴンガス圧0.1〜1Pa、刃体群に対するバイアス電圧0.1〜1000V、処理時間5〜300分でイオンビーム加工を施したことを特徴とする刃部材。
【請求項2】
真空チャンバー内において、刃縁の尖端角10°〜35°、刃縁のばりの高さ0.1〜10μmの刃体群の刃縁に対し、プラズマイオン注入ガンを用い窒素プラズマによりプラズマイオン注入加工を施した後に、プラズマイオンガンを用いアルゴンを媒体としてイオンビーム加工を施したことを特徴とする刃部材。
【請求項3】
真空チャンバー内において、刃体群の刃縁に対し、プラズマイオンガンを用いアルゴンを媒体として、刃縁の尖端からの深さ0.1〜1.5μm、刃縁の厚み方向の深さ0.1〜1.5μmでイオンビーム加工を施したことを特徴とする刃部材。
【請求項4】
真空チャンバー内において、串を挿入して水平方向へ積層した複数の刃体群を互いに公転させながらそれぞれ自転させ、その各刃体群の刃縁に対し、プラズマイオンガンを用いアルゴンを媒体としてイオンビーム加工を施したことを特徴とする刃部材。
【請求項5】
真空チャンバー内において、串を挿入して水平方向へ積層した複数の刃体群を公転させるとともにそれぞれ自転させる回転体と、並設したプラズマイオンガンとを備え、その各プラズマイオンガンを用い各刃体群の刃縁に対しアルゴンを媒体としてイオンビーム加工を施すことを特徴とする刃部材の刃縁の加工装置。
【請求項6】
真空チャンバー内において、刃体群の刃縁に対し、プラズマイオン注入ガンを用い窒素プラズマにより、窒素圧0.5〜5Pa、刃体群に対するバイアス電圧0.1〜1000V、フィラメント電流100〜200A、処理時間10〜1000分でプラズマイオン注入加工を施したことを特徴とする刃部材。
【請求項7】
真空チャンバー内において、刃縁の尖端角10°〜35°、刃縁のばりの高さ0.1〜10μmの刃体群の刃縁に対し、プラズマイオンガンを用いアルゴンを媒体としてイオンビーム加工を施した後に、プラズマイオン注入ガンを用い窒素プラズマによりプラズマイオン注入加工を施したことを特徴とする刃部材。
【請求項8】
真空チャンバー内において、刃体群の刃縁に対し、プラズマイオン注入ガンを用い窒素プラズマにより、刃縁の尖端からの深さ0.1〜1.5μm、刃縁の厚み方向の深さ0.1〜1.5μmでプラズマイオン注入加工を施したことを特徴とする刃部材。
【請求項9】
真空チャンバー内において、串を挿入して水平方向へ積層した複数の刃体群を互いに公転させながらそれぞれ自転させ、その各刃体群の刃縁に対し、プラズマイオン注入ガンを用い窒素プラズマによりプラズマイオン注入加工を施したことを特徴とする刃部材。
【請求項10】
真空チャンバー内において、串を挿入して水平方向へ積層した複数の刃体群を公転させるとともにそれぞれ自転させる回転体と、プラズマイオンガン及びプラズマイオン注入ガンとを備え、そのプラズマイオンガンを用いアルゴンを媒体として各刃体群の刃縁に対し施すイオンビーム加工と、そのプラズマイオン注入ガンを用い窒素プラズマにより各刃体群の刃縁に対し施すプラズマイオン注入加工とを施すことを特徴とする刃部材の刃縁の加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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