説明

分割可能な包装容器

【課題】 分割収容して包装した商品の分割位置で容器を所望の複数部分に分割できるのみならず、分割された複数容器の一方の分割開口部から商品が脱落しないようにした分割可能な包装容器を提案する。
【解決手段】 前側部、後側部、箱体容器の厚さとなる左右両側面部と、上記各部の開放端縁のうちの一個所以上に一体に突出形成された舌片とを備え、これら構成各部を折り立てて箱体形状に組み立てると共に、組み立て状態における箱体側面の中間部所定個所の後記する仕切り片の基端部を除く外周に形成された一本又は所定の間隔を置いて複数本のミシン目線により所定の複数部分に分割可能に構成された包装容器であって、上記各板部のいずれかの面の適宜位置には分割された複数容器のうちの一方の分割開口部の一部を塞いで、収容された包装商品の脱落を防止するための上記舌状の仕切り片による仕切り手段が箱体容器内に折り込むようにして形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陳列販売のために2足以上の複数足(多足組)のストッキング等の商品を分割収容するのに好適な小型の紙製箱体容器であって、わずかな力で所定個所を手で折り割って分割することができる包装容器、さらに詳しくは、容器自体を所望の利用商品部分と事後に使用する商品部分とに分割できるのみならず、分割されて残った事後利用商品部分の紙製容器には商品脱落防止手段が設けられていて、携帯保持用の容器として利用することができるようにした複数に分割可能な包装容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、折り目線を介して連設された天板部、後側部、左右両側板部とこれら各板部の端縁に突出形成された舌片を折り立てて箱体形状に組み立て構成する紙製の包装容器は、必要な構成部材を一枚の台紙から一体に打ち抜いて製作することができると共に、容器の組み立て作業も商品の収容包装作業も簡便であるため、古くから利用されており、さらに、この種箱体容器の側部外周を一周するように2本の細い平行な帯状の破断線や弱化線を形成しておき、これら破断線や弱化線の部分を切り裂きもしくは引き裂いて、箱体容器を上下に分割することができる包装容器も、商品収容包装時の容器強度を保持しながら、簡単に容器を分割開披して商品を取り出すことができるので、多数個の缶飲料やドリンク瓶、レトルト食品等を収容した外装容器など、各種商品の外装容器、包装容器として既に広く用いられている。
【0003】
しかし、従来の上下に分割できる紙製箱体容器は、比較的体積が大きく、段ボール紙や比較的厚手の板紙が用いられ、単一商品を多数収容し、いったん容器を上下分割し開披して収容物を取り出してから、容器全体を廃棄するか、あるいは、例えば分割した下側部分を商品陳列用トレーとして利用する等の方法しかなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−31069号公報
【特許文献2】特開2000−153829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、構成部分を折立てて箱体形状に組み立てると共に、組み立て状態における箱体側面の中間部外周に形成されたミシン目線により複数部分に分割できるよう構成された紙製容器を用い、初めに利用する商品と事後に利用もしくは交換利用に備える商品を容器内に分割して収容して包装すると共に、わずかな力で所定個所を手で折り割って分割することができるようにして、収容包装した商品収容容器を所望の複数部分に分割できるだけに止まらず、事後利用商品や交換利用商品が収容包装された分割後の容器部分の分割開口部から商品が脱落することなく携帯保持容器として利用でき、さらには、容器の組み立てと商品包装の作業量とコストを低減すると共に、利用者の商品の取り出しを容易なものとした分割可能な紙製箱体形状の包装容器を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る包装容器は、1枚の紙を裁断して、前側部、後側部、箱体容器の厚さとなる比較的細幅の左右両側面部と、上記各部の開放端縁のうちの一個所以上に一体に突出形成された舌片とを備え、これら構成各部を折り立てて箱体形状に組み立てると共に、組み立て状態における箱体側面の中間部所定個所の後記する舌状の仕切り片の基端部を除く外周に形成された一本又は所定の間隔を置いて複数本のミシン目線により所定の複数部分に分割可能に構成された包装容器であって、上記各板部のいずれかの面の適宜位置には分割された複数容器のうちの一方の分割開口部の一部を塞いで、収容された包装商品の脱落を防止するための上記舌状の仕切り片による仕切り手段が形成されていることを主要な特徴とする。
【0007】
上記仕切り手段は、組立状態において対向する前側部及び後側部の一方面の一部にその基端部を除いて上方に向けて外周部に舌状に切り込みを入れて折曲自在に形成されてなる舌状の仕切り片を箱体容器内に折り込んで他方対向面の相応個所に穿設されたスリットに挿通するように構成したもので、この場合、前記ミシン目線は上記舌状仕切り片の基端部を基準位置として、該仕切り片の基端部を除く箱体容器の外周全体に形成すると共に、上記スリットは該仕切り片基端部の対向面位置に刻設されたミシン目線より下方位置に穿設するようにする。
【0008】
なお、本発明の包装容器は、上下2個に分割するだけでなく、3個又はそれ以上に分割できるように構成してもよく、その場合には、それに応じて分割個所に前記したミシン目線を刻設する必要があり、同時にそれぞれに内側の商品の抜け出し脱落防止用の仕切り手段も形成する必要がある。
【0009】
また、前記紙製の箱体容器を透明樹脂フィルムからなる外装袋に収容して本発明に係る分割可能な包装容器とすることができ、この場合、該外装フィルム袋には収容した箱体容器の外周に形成された1又は複数本の前記ミシン目線と対応合致する位置にミシン目線を容器外周を一周するように形成する。これにより、透明フイルムの外装袋ごとミシン目線に沿って箱体容器を手で折り割るようにして分割することができる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明の包装容器は、構成各部を折立てて箱体形状に組み立てると共に、組み立て状態における箱体の外周部に形成された一本又は複数本のミシン目線を利用し、この部分でわずかな力で手で折り割って、所望の複数部分に分割でき、上記容器本体を構成する各部のいずれかの面の適宜位置で分割されて残った1個以上の容器のうちの分割開口部を塞いで包装商品の脱落を防止する仕切り手段が設けられているので、上記構成の容器を用いて最初に利用する商品と事後に利用もしくは交換利用に備えるための商品を容器内に分割収容して包装すると共に、収容包装した商品の分割位置で容器を複数部分に分割するよう構成できるに止まらず、事後利用商品や交換利用商品が収容包装された分割後の容器部分の分割開口部から商品が抜け出したり脱落することがないから、分割して商品を使用して残った部分の商品収納容器は携帯保持用容器として利用することができる利点がある。
【0011】
また、前記仕切り手段を、組立状態において対向する一組の面部自体の一方対向面に屈曲自在に形成された仕切り片と他方対向面に穿設されたスリットによって構成すれば、別部材からなる仕切り手段を付設もしくは貼着形成する必要がなく、しかも紙製箱体容器全体を透明樹脂フィルムの外装袋内に密着収容することにより、箱体容器の所定の2〜3個所をセロファンテープ等で仮止めし、あるいは箱体容器の紙質によっては、特に仮止めしなくても、容器形態を外装袋により確実に保形維持できるので、容器の組み立てと商品包装における糊着けやステイプル止めなどの繁雑な作業を不要とすることができる。
【0012】
しかも、上記紙製箱体容器全体を透明樹脂フィルムの外装袋内に密着収容し、該外装フィルム袋には収容した箱体容器の外周に形成された1又は複数本の前記ミシン目線と対応合致する位置にミシン目線を容器外周を一周するように形成しておくことにより、透明フイルムの外装袋ごとミシン目線に沿って箱体容器を手で簡単に折り割るようにして分割することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る分割可能な包装容器を構成する容器の一例を示す展開図である。(実施例1)
【図2】本発明に係る分割可能な包装容器を収納した透明樹脂フィルム製の外装袋の一例を示す正面図である。(実施例1)
【図3】本発明に係る分割可能な包装容器を構成する容器を折り立てる途中の状態と容器内に収容するストッキング(計3足のパンティストッキング)との関係を示す斜視図である。(実施例1)
【図4】本発明に係る分割可能な包装容器を外装袋内に収容した包装状態の一例を示す正面図である。(実施例1)
【図5】本発明に係る分割可能な包装容器の分割状態の一例を示す斜視図である。(実施例1)
【図6】本発明に係る分割可能な包装容器の分割後の状態の使用方法の一例を示す斜視図である。(実施例1)
【図7】本発明に係る分割可能な包装容器内に2種類のストッキングを計5足を収容した容器の他の例を示す斜視図である。(実施例2)
【図8】図7に示す包装容器を用いた包装状態を示す正面図である。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0014】
以下、本発明に係る分割可能な包装容器の一実施例を、包装内容物としてストッキングを例にして、図1〜6により説明する。
【0015】
本実施例に係る分割包装容器には、最初に使用する商品と事後利用もしくは交換利用に備えて携帯保持すべき商品とを分割収容して包装すると共に、収容包装商品の分割位置に対応する位置の箱体容器外周に形成されたミシン目線により分割するよう構成された容器1と、該容器1を商品の包装状態で密着して収容することができる透明樹脂フィルム製の外装袋2とからなっており、箱体の容器1の構成は下記の通りである。
【0016】
すなわち、図1の展開図に示す通り、容器1は、例えば厚紙コート紙のような適厚の台紙を裁断して得られる比較的腰の強い一枚の紙材に構成部材の全てが形成されてなるもので、縦長長方形状の箱体容器の正面となる前側部11の左辺部に箱体容器の厚さ分に等しい幅の2本の折り目線20a、20bを介して第1側面部12並びに容器背面となる後側部13が一連に連設されてなると共に、前側部11の右辺部にも折り目線20cを介して箱体容器の厚さ分に等しい幅の第2側面部14が連設され、前側部11の上下辺部と第2側面部14の右辺部下方には折り目線20d、20e、20fを介して舌片15a、15b、15cが一体に延設されており、前側部11と後側部13、および第1側面部12と第2側面部14はそれぞれ相互に同形に形成されている。
【0017】
容器1の後側部13の略中央下部位置には、基端部を除く外周部が略台形をなす舌片状の切り込みを入れた仕切り片16が形成され、該仕切り片16の基端部を基準位置としかつ該仕切り片16の基端部を除き水平方向に前記各部11、12、13、14の全体にわたってミシン目線18が刻設されており、前側部11に形成されたミシン目線18のやや下方位置にはスリット17が水平方向に穿設されている。また、この仕切り片16はミシン目線18の延長線上で裏面側に向けて起立させ、更にその上方の所定間隔を置いて水平に形成された2本の折り目線20g、20hで下方へ折曲できるようになっている。
【0018】
上記ミシン目線18は、容器1内に収容包装する商品の分割収容位置を画すると共に、容器1を該ミシン目線18位置において分割するためのものであり、また、後側部13に形成された舌片状の仕切り片16は、容器1の分割後に対向する前側部11に穿設された上記スリット17方向に向けて屈曲させ、該スリット17内に挿通係止するためのものであるが、これらの詳細については、後述する容器1の組み立て包装とその後の分割についての説明で述べることとする。
【0019】
本実施例に係る分割可能な包装容器を構成する他方の部材である外装袋2は、図2に示す如く、商品を包装した箱体容器1を密着収容する体積を有する袋体であり、収容した箱体容器1の外周に刻設されたミシン目線18と対応合致する上下位置の全周にわたってミシン目線28が形成されており、また商品を包装した容器1を緊密に収容し、外部から商品を視認容易とすることが望ましいので、例えばポリプロピレンの透明樹脂フィルムを素材として用いると共に、商品を包装した容器1の外形と同形の内形を有する扁平な袋体として容器1を包皮収容するよう構成されている。
【0020】
本実施例の分割可能な包装容器の構成部材となる紙製箱体容器1及び透明樹脂フィルム製外装袋2は以上の通りであるから、容器1の前側部11,第1側面部12,後側部13,第2側面部14と舌片15a、15b、15cをそれぞれの折り目線20に沿って図1における紙材の上面側に折り立てる(実際は、図1は商標や商品説明等の印刷を施した表面を表示しているので、裏面側に向けて折り立てる)ことで、商品を分割収容して包装するための空間を有する箱体形状の容器1を組み立て形成することができ、さらに、分割収容商品を包装した状態の容器1外周部を樹脂フィルム材で包皮して袋体に形成し、あるいは上下開口状態の外装袋2内に商品包装状態の容器1を封入し外装袋2の上下開口を圧着閉止するなどの方法によって、本実施例に係る分割可能な包装容器を簡便に得ることができる(図2〜4参照)。
【0021】
図面に基づいて更に詳しく説明すると、図3では、箱型容器1に分割収容して包装すべき商品のうち、初めに利用する商品として厚紙台紙に巻装された1足のパンティーストッキングPSを、また、事後利用に備える商品としてそれぞれ俵巻きされてフィルム包装された2足のパンティーストッキングPSの計3足のパンティーストッキングPSを例として図示しており(なお、これを1足のパンティーストッキングPSと2足のショートストッキングSSの3足の組合せ、あるいは2〜4足のショートストッキングSSのみの組合せであっても差支えない)、図3に示す通り、前側部11、第1側面部12、後側部13を折り立てて形成された箱体容器1の収容空間のうち、容器1外周に刻設されたミシン目線18で画される上部空間には初めに利用する商品である台紙に巻装された1足のパンティーストッキングPSを収容し、またミシン目線18より下部空間には事後利用に備える俵巻きされた2足のパンティーストッキングPSを上下に収容し、第2側面部14、各舌片15a、15b、15cを折り立てて箱体形状に組み立て包装した後、フィルム外装袋2に収容して、図4に示すような商品包装状態の分割可能な包装容器とする。
【0022】
ここで、本実施例では、複数足のストッキング包装状態の箱体容器1を外装袋2が密着するようにして収容しており、箱体容器の紙質によっては、あえて粘着セロファンテープ等で仮止めしなくても、容器1の箱体形状は外装袋2によって効果的に保形維持されているから、この種一般の箱体容器に比べて容器1の舌片15の数を減らし、糊代や綴じ代を省略することが可能な上、容器1の折り立て組み立て時や商品包装時に煩わしい作業となっていた糊止めやステイプル止めが不要となり、作業性と経済性が大きく向上し、分割利用時の容器1からの商品の取り出しや、さらには利用後の容器廃棄も簡便なものとなる。
【0023】
なお、図3では、容器1の後側部13に形成された仕切り片16をミシン目線18の延長線で内側方向に直角に折り曲げてから、先端部を折り下げ、更に内側に向けて折り曲げた折り曲げ状態を示しているが、これは容器1分割後に仕切り片16をスリット17に挿通係止する一態様を事後の説明のため便宜的に描いたに止まり、本実施例では容器1の組み立てと商品の収容包装段階における仕切り片16はその形成位置に起立した状態のまま保持されるように、仕切り片16の先端部を直角に折り曲げて容器1内に挿入しておけばよい。
【0024】
また、図3に示す通り、前記した容器1の後側部13に形成された仕切り片16を内側方向に折り曲げ起立させると、該仕切り片16形成個所には仕切り片16と同形状の開口部21が形成されることとなり、この開口部21から容器1内の商品を視認、確認することができ、さらに、容器1の側面外周部を構成する前側部11及び後側部13の面の適宜の位置に所望形状の窓部19を打ち抜き開設し、容器1内部に収容された包装商品の全てを直接視認することができるようにすれば、例えば本実施例のように複数のパンティーストッキングPSやショートストッキングSSを収納包装する場合には、このような開口部21や窓部19は欠かせない商品選択手段となる。
【0025】
次に、本実施例に係る分割可能な包装容器の分割利用の方法と状態について説明する。まず、本実施例に係る分割可能な包装容器にあっては、商品を収容包装した箱体容器1と該容器1を収容したフィルム外装袋2との対応位置には、それぞれ一本のミシン目線18と28が形成されているので(図4参照)、その上下部分を手でポキンと折り割り、あるいは軽く捻じるように引き回すだけで、箱体容器1とフィルム外装袋2を一体の状態のまま、上下に簡単に二分割することができる(図5参照)。
【0026】
そして、まず初めに使用する商品として、2分割された上部の容器内に収容包装されて台紙に巻回された1足目のパンティーストッキングPSをその分割開口部から簡単に取り出すことができるのである(図5参照)。なお、図5では、明確には表示されていないが、舌状の仕切り片16はあらかじめ仕切り部16a部分を箱体内側に向けて直角に折曲し、更に折り目線20gで内側に直角に折曲して先端部を箱体内に折り込み挿入してある。
【0027】
ただし、このままの状態では、一応商品抜け出し防止のために、仕切り部16a部分が箱体内側に向けて直角に折曲して仕切り部16先端を箱体内に挿入してあるものの、分割されて残った下部容器の分割開口部から収容包装された2足のパンティーストッキングPS(事後利用に備えて携帯すべき商品)が脱落してしまう恐れがある。
【0028】
そこで、このため、ミシン目線28より下方のフィルム外装袋2に囲まれて事後利用商品や交換商品を収容包装した下部容器の分割開口部を確実に塞いで商品脱落を防ぐ仕切り手段として、前記したように仕切り片16とスリット17があり、この仕切り片16の容器1の左右両側面部12、14の幅と等しい幅を有する仕切り部16aをあらかじめ箱体内側に向けて折曲して起立状態にしておき、更に、その先方の折下げ部16b及びスリット挿通部16cが折り目線20g、20hを介して連設されている。
【0029】
上記のスリット17は、容器1の折り立て組み立て状態において仕切り片16と対向する前側部11に形成されたミシン目線18より若干下側位置に穿設されており、仕切り片16の先端に位置する挿通部16cを圧挿できるような細幅であり、かつ該挿通部16cを挿通するに足りる長さに形成されている(図1、図3、図6参照)。
【0030】
そこで、箱体容器1を上記のようにして分割した後、ミシン目線28より下方のフィルム外装袋2にくるまれて事後利用に備えて携帯すべき2足のパンティーストッキングPSを収容包装した下部容器は、いったん仕切り片16を分割開口部から引き出し、仕切り片16の仕切り部16aは折り曲げたまま、その先方を下部容器の内側から前側部11に開設したスリット17に挿通し、その先端部を下部容器とフィルム外装袋2との間に露呈させるようする(図6参照)。
【0031】
なお、仕切り片16の先端部に近い部分の折り目線20hは、先端部16cを更に若干内側に折り曲げることにより、スリット17の内側から挿通して下部容器に密着しているフィルム外装袋2内に挿入するのに便ならしめるためのもので、必ずしもこの折り目線20hは必要不可欠なものではない。
【0032】
また、上記は、仕切り片16先端部を下部容器の内側から外側に向けてスリット17に挿通したが、下部フィルム外装袋2内の下部容器の外側から内側に向けてスリット17に挿通するようにしてもよい。
【0033】
このようにして、仕切り片16の先端挿通部16cをスリット17に圧入挿通することにより、仕切り片16はスリット17からは簡単には抜け出さず、下部容器の分割開口部は仕切り部16aによって塞がれるので、収容包装商品の脱落が効果的に防止され、分割された下部容器を事後利用に備える2足のパンティーストッキングPSをバッグ内等に携帯保持することが可能となる。
【0034】
また、携帯保持した下部容器から事後利用に備えたパンティーストッキングPSを取り出して利用する際も、スリット17に挿通されて前側部11表面側に露呈した仕切り片16の挿通部16c先端を軽く引き抜くことにより、下部容器の分割開口部を簡単に開披できるので、何ら面倒なことはない。
【実施例2】
【0035】
図7〜8に示す本実施例は、実施例1と同様の構成に係る分割可能な包装容器であるが、箱体容器1の外周部に所定の間隔を置いて2本のミシン目線を刻設しており、商品をミシン目線が画する上段部、中段部、下段部の3部分に分割して収容包装することができると共に、商品の収容分割位置において3分割できるよう構成したもので、この実施例も上記実施例1同様に、箱体容器1と該容器1を密着包装するフィルム外装袋2との対応位置に、それぞれ2本のミシン目線を刻設し、容易に上下3分割できるようになっている。
【0036】
この実施例に係る分割可能な包装容器を構成する容器1の構成は、図7に示す通りであり、縦長長方形状の前側部11の左辺部に折り目線を介して第1側面部12並びに後側部13が連設されると共に、前側部11の右辺部に折り目線を介して第2側面部14が連設され,前側部11の下辺部と第2側面部14の右辺部に折り目線を介して舌片15b、15cが延設されており、前側部11および後側部13と第1側面部12および第2側面部14はそれぞれ相互に同形に形成されている。
【0037】
そして、前側部11の略上部の若干右側に寄った位置と後側部13の略下部の若干左側に寄った位置には、基端部を残して外周に切り込みを入れた折曲自在の仕切り片16、16が起立状態に形成されていると共に、各仕切り片16、16の基端部を基準位置としかつ該仕切り片16、16の基端部を除く水平方向に箱体容器1の外周部を構成する部分11、12、13、14の全体にわたる2本のミシン目線18、18が所定の間隔を置いて刻設されており、前側部11に刻設された2本のミシン目線18、18のそれぞれその若干下部位置にはスリット17、17が穿設されている。
【0038】
この実施例に係る箱体容器1では、例えば、上下3個所の収容空間のうち、上部のミシン目線18より上側の上段部空間には初めに利用する商品である台紙に巻回した1足のパンティーストッキングPSを、上下2本のミシン目線18,18の間に挟まれた中段部空間には事後利用もしくは交換利用のために各1足づつのパンティーストッキングPSとショートストッキングSSを、また下部のミシン目線18より下側の下段部空間にも中段部空間と同様に各1足づつのパンティーストッキングPSとショートストッキングSSをそれぞれ収容する例を示しており、これにより上下3段に分割可能な包装容器としてある。
【0039】
この実施例による分割可能な包装容器は、実施例1におけると同様の方法で、各ミシン目線18、18を利用して、容易にフィルム外装袋2ごと3分割することができ、また3分割した中段部容器及び下段部容器には、実施例1と同様構成の仕切り片16とスリット17とによる分割開口部からの商品脱落防止手段が設けられている。
【0040】
なお、上記の実施例1および実施例2は、いずれも本発明の実施の一例を示すに止まるもので、例えば、容器に収容包装する商品の種類や内容、ミシン目線の数(容器の分割数)、箱体容器1を構成する前側部11、第1側面部12、後側部13、及び第2側面部14から延設される舌片15の位置と数、窓部の有無やその形状及びその個数のなど、全くの任意に委ねられていることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0041】
1 箱体容器
2 透明樹脂フィルムの外装袋
11 前側部
12 第1側面部
13 後側部
14 第2側面部
15 舌片
16 舌状仕切り片
16a 仕切り部
16b 折り曲げ部
16c スリット挿通部
17 スリット
18 ミシン目線
19 窓部
20 折り目線
21 開口部
28 外装袋のミシン目線
PS パンティーストッキング
SS ショートストッキング



【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚の紙を裁断して、前側部、後側部、箱体容器の厚さとなる左右両側面部と、上記各部の開放端縁のうちの一個所以上に一体に突出形成された舌片とを備え、これら構成各部を折り立てて箱体形状に組み立てると共に、組み立て状態における箱体側面の中間部所定個所の後記する仕切り片の基端部を除く外周に形成された一本又は所定の間隔を置いて複数本のミシン目線により所定の複数部分に分割可能に構成された包装容器であって、上記各板部のいずれかの面の適宜位置には分割された複数容器のうちの一方の分割開口部の一部を塞いで、収容された包装商品の脱落を防止するための上記舌状の仕切り片による仕切り手段が箱体容器内に折り込むようにして形成されてなることを特徴とする分割可能な包装容器。
【請求項2】
前記仕切り手段は、前記容器の組立状態において対向する前側部及び後側部の一方の面の一部にその基端部を除いて上方に向けて外周部に舌状に切り込みを入れて折曲自在に形成されてなる舌状の仕切り片と、他方対向面の相応個所に上記仕切り片の先端部を挿通するために穿設されたスリットとからなり、前記ミシン目線は上記舌状仕切り片の基端部を基準位置として該仕切り片の基端部を除く箱体容器の外周全体に形成すると共に、上記スリットは該仕切り片基端部の対向面位置に刻設されたミシン目線より下方位置に穿設されてなることを特徴とする請求項1記載の分割可能な包装容器。
【請求項3】
前記箱体形状の容器が、透明樹脂フィルムからなる外装袋に収容されてなり、該フィルム外装袋には、前記箱体容器の外周に刻設されたミシン目線に対応合致する位置に、同様のミシン目線を外装袋の外周を一周するように形成されてなるることを特徴とする請求項1又は2記載の分割可能な包装容器。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−76801(P2012−76801A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224239(P2010−224239)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(000000398)アツギ株式会社 (13)
【Fターム(参考)】