説明

分岐型スタンディングパウチ

【課題】高粘度の内容物を注出する際にも内容物を最後まで安定して迅速に取り出すことができるとともに、充填前には嵩ばらずに輸送コストを節約することが可能で、かつ内容物の充填を迅速に行なうことができ、しかも廃棄処分が容易な分岐型スタンディングパウチを提供する。
【解決手段】折返すことにより注出ノズル裏面となる注出ノズル裏面部とこれに連続するパウチ本体表面部を有するパウチ表面材、パウチ本体裏面を構成するパウチ裏面材、注出ノズル表面材、及び底部材の周縁部をヒートシールすることにより、パウチ本体頂部から注出ノズルを分岐状に形成した分岐型スタンディングパウチにおいて、パウチ表面材の中央上部にパウチ本体表面上部から折り返し部を越えて注出ノズル裏面部のノズル中央先端方向に延びる山折り稜線を設けるとともに、パウチ裏面材中央部に山折り開口補助線を、注出ノズル表面材の中央上部に山折り開口線を、それぞれ設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウチ内に収容した調味料、化粧品、洗剤等の内容物を取り出すためのノズル部を、パウチ本体の頂部から分岐させて設けた分岐型スタンディングパウチに関する。
【背景技術】
【0002】
購入後、プラスチックボトル、ガラス瓶、あるいは他の容器に詰め替える調味料、化粧品、洗剤等に用いられる詰め替えパウチとしては、内容物の取り出しが容易で、最後まで安定した流れを保ちながら取り出すことができるものが求められている。
【0003】
このような詰め替えパウチとしては、パウチのコーナー部に、パウチ本体とは別体の部材でノズル部を形成したものや(特許文献1参照)、パウチ本体を構成する包材を加工してノズル部を形成したもの(特許文献2参照)が提案されている。
また、パウチの上端中央部に開口部と折目線によりノズル部を形成するスタンディングパウチも知られている。(特許文献3参照)
【0004】
【特許文献1】特開平5−132069号公報
【特許文献2】特開2003−137319号公報
【特許文献3】特開平10−129683号公報
【0005】
しかしながら、パウチのコーナー部にノズル部を形成した詰め替えパウチでは、高粘度の内容物を注出する際に、加圧によりノズルの閉塞が生じ、高粘度内容物の注出が困難となることがある。また、残量が少なくなった内容物を絞り出そうとしてパウチを底部から巻き上げていくと、パウチを斜めに巻いていくことになり、巻きにくい上サイドに液逃げが生じて残量が多くなるという欠点がある。
さらに、別体の部材によりノズル部を形成したパウチでは、特別な部材や工程を必要とするので製造コストが高くなり、また、充填前のパウチが嵩ばるので輸送コストも高くなる等の問題点がある。
一方、特許文献3に記載されたパウチの上端中央部に開口部と折目線によりノズル部を形成したパウチでは、内容物を注出するためにパウチを加圧した際に、ノズル部の形状が安定せずに内容物がこぼれたり、ノズル部の閉塞が生じて内容物の注出が困難になる等の欠点がある。
【0006】
本発明者等は、これら従来技術の問題点を解消するパウチとして、スタンディングパウチ本体の頂部から分岐状に形成したノズル部の中央に、長手方向に延びる山折り稜線と、その両側にノズル基部形成線を設けたパウチを提案した(特願2004−366308号)。このパウチは、パウチを開封しパウチ上部両側の押圧部を押圧することによって、分岐状に形成したノズル部を135度程度上方に立ち上げて、大口径の立体ノズルをワンタッチで形成するものである。
このパウチは、ノズルの形状が安定しており、片手で容易に操作して内容物を注出することができるといった優れた効果を奏するものであるが、内容物の詰め替え中にパウチ胴部が容器の真上に位置しないために、パウチ内に収容する内容物が高粘度のものである場合には、内容物の絞り出し作業が不安定になるという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明はこれら従来技術の問題点を解消して、特別な部材や工程を必要とせずに、高粘度の内容物を注出する際にも内容物を最後まで安定して迅速に取り出すことができるとともに、充填前には嵩ばらずに輸送コストを節約することが可能で、かつ内容物の充填を迅速に行なうことができ、しかも廃棄処分が容易な分岐型スタンディングパウチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は鋭意検討した結果、スタンディングパウチ本体の頂部から分岐状に形成したノズル部の表裏両面の中央に、ノズル部からパウチ本体上部にかけて長手方向に延びる山折り線を設け、パウチを使用する際にノズル部を180度上方に立ち上げて開封するように構成することによって、上記課題が解決されることを見出し本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は次の1乃至10の構成をとるものである。
1.それぞれ単層又は多層のプラスチックフイルムにより構成された、折返すことにより注出ノズル裏面となる注出ノズル裏面部とこれに連続するパウチ本体表面部を有するパウチ表面材、パウチ本体裏面を構成するパウチ裏面材、注出ノズル表面材、及び底部材の周縁部をヒートシールすることにより、パウチ本体頂部から注出ノズルを分岐状に形成した分岐型スタンディングパウチにおいて、パウチ表面材の中央上部にパウチ本体表面上部から折り返し部を越えて注出ノズル裏面部のノズル中央先端方向に延びる山折り稜線を設けるとともに、パウチ裏面材中央部に山折り開口補助線を、注出ノズル表面材の中央上部に山折り開口線を、それぞれ設けたことを特徴とする分岐型スタンディングパウチ。
2.パウチ裏面材中央部に設ける山折り開口補助線及び注出ノズル表面材の中央上部に設ける山折り開口線を、それぞれパウチ表面材に設ける山折り稜線に略対応する位置に設けたことを特徴とする1に記載の分岐型スタンディングパウチ。
3.パウチ表面材の山折り稜線を、パウチ表面材の折返し部が間に介在するように、間隔を空けて2本形成したことを特徴とする1又は2に記載の分岐型スタンディングパウチ。
4.2本の山折り稜線の間に、稜線形成補助線を設けたことを特徴とする3に記載の分岐型スタンディングパウチ。
5.パウチ表面材の山折り稜線を、パウチ表面材の折返し部近傍で注出ノズル裏面部のノズル先端方向に向けて末広がり状に分岐させたことを特徴とする1又は2に記載の分岐型スタンディングパウチ。
6.ノズル先端部の周縁シール部にストッパーを設けたことを特徴とする1〜5のいずれかに記載の分岐型スタンディングパウチ。
7.ノズル先端部の外形が開封時に略円筒状ないし略多角柱状になるように形成したことを特徴とする1〜6のいずれかに記載の分岐型スタンディングパウチ。
8.パウチを開封したときに、パウチの周縁シール部内側の形状が略円錐台形となるように構成したことを特徴とする1〜7のいずれかに記載の分岐型スタンディングパウチ。
9.分岐状のノズル先端部に開封予定線となる易開封加工部を設けたことを特徴とする1〜8のいずれかに記載の分岐型スタンディングパウチ。
10.パウチ表面材の注出ノズル裏面部中央に設ける山折り稜線、及び注出ノズル表面材に設ける山折り開口線をノズル先端部の開封予定線と交差するように形成したことを特徴とする1〜9のいずれかに記載の分岐型スタンディングパウチ。
【発明の効果】
【0010】
本発明の分岐型スタンディングパウチは、つぎのような顕著な効果を奏する。
(1)パウチを使用する際に、ノズル部を180度上方に立ち上げて開封することによって、大口径の立体ノズルをワンタッチで形成することができる。
(2)内容物の詰め替え中に、パウチ胴部が容器の真上に位置するので、手を離してもノズルが容器から離脱しない。
(3)ノズルの形状が安定しており、内容物を安定かつ迅速に最後まで注出することができる。
(4)ノズル先端部にストッパーを設けることにより、ノズル先端部が必要以上に容器内に進入し、ノズル先端部が閉塞するのを防止することができる。
(5)特別な部材や工程を必要とせず、従来の設備を使用して低コストで製造することができる。
(6)充填前のサイズがコンパクトで輸送コストを抑えるとともに、内容物の充填を迅速に行なうことができる。
(7)パウチ使用後の廃棄処分が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の分岐型スタンディングパウチは、プラスチックフイルムをヒートシールすることによって構成されるが、パウチに使用するプラスチックフイルムの材料としては特に制限はない。
プラスチックフイルムを構成するのに適したプラスチック材料としては、例えば結晶性ポリプロピレン、結晶性プロピレン−エチレン共重合体、結晶性ポリブテン−1、結晶性ポリ4−メチルペンテン−1、低−、中−、或いは高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)等のポリオレフィン類;ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体等の芳香族ビニル共重合体;ポリ塩化ビニル、塩化ビニリデン樹脂等のハロゲン化ビニル重合体;アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体の如きニトリル重合体;ナイロン6、ナイロン66、パラまたはメタキシリレンアジパミドの如きポリアミド類;ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート等のポリエステル類;各種ポリカーボネート;ポリオキシメチレン等のポリアセタール類等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。
これらの材料からなるプラスチックフイルムは、未延伸、一軸延伸、或いは二軸延伸して用いられる。
【0012】
本発明のスタンディングパウチに使用するプラスチックフイルムは、これらのプラスチックフイルムを単層で、或いは、二種以上を積層して構成することができ、また、これらのプラスチックフイルムの一種、或いは、二種以上と、アルミニウム等の金属箔、紙、セロファン等を貼合わせて構成することもできる。
好ましいプラスチックフイルムとしては、例えば、延伸ナイロンフイルムを外層とし、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンフイルムを内層とする二層構成、延伸ポリエステルフイルムを外層とし、ポリオレフィンフイルムを内層とする二層構成、及びこれらの内、外層フイルム間にアルミニウム等の金属箔を積層した三層構成のフイルム等が挙げられ、これらの積層フイルムの製造に際しては、各層間に必要に応じて接着剤、アンカー剤を介在させることもできる。
【0013】
そして、上記プラスチックフイルムの層構成は、スタンディングパウチに充填する内容物の性状に応じて選択され、例えば、詰替洗剤用のスタンディングパウチのように低コストが要求される場合は、単層或いは二層構成の積層フイルムを使用し、調味料のスタンディングパウチのように保存性が要求される場合は、アルミニウム箔を含む三層構成以上の積層フイルムを使用すれば良い。
【0014】
つぎに、図面を参照しながら本発明の分岐型スタンディングパウチについて説明する。
図1〜図3は、本発明の分岐型スタンディングパウチの1例を示す図である。図1のAは内容物を未充填の状態のパウチの正面図、同Bはパウチの背面図、また同CはAの注出ノズル部を180度上方に立上げた状態のパウチの正面図である。また、図2はこのパウチを構成する各部材の模式図である。そして、図3はパウチを開封して使用する状態を説明する図で、Aは内容物を充填した未開封のパウチの断面模式図、BはAの矢印方向に注出ノズルを180度立上げて先端部を開封した状態のパウチの断面模式図、そしてCは開封したパウチのノズル先端部を詰め替容器に挿入した状態を示す断面模式図である。
【0015】
このスタンディングパウチは、パウチ本体1の頂部から注出ノズル2を分岐状に設けたもので、注出ノズル2は折返し部3からパウチ上方に向って180度折返し可能に形成されている。また、注出ノズル2の先端部には、開封予定線4に沿ってミシン目、スコア加工、レーザー加工等による易開封加工が施こされ、ノズルの基部よりの周縁シール部両側にはストッパー9、9が設けられている。
【0016】
パウチ本体は、底部から上部にかけて徐々にその幅が狭くなるように構成されており、パウチ本体1及び注出ノズル部2の周縁部をヒートシールすることによって、周縁シール部6及び底シール部7が形成されている。パウチ上縁部には未シール状の充填口8が設けられ、この充填口8は内容物を充填した後にヒートシールにより密封される。
【0017】
このスタンディングパウチは、図2に示した、折返し部3から折返すことにより注出ノズル2の裏面となる注出ノズル裏面部12とこれに連続するパウチ本体表面部11を有するパウチ表面材21、パウチ本体裏面を構成するパウチ裏面材22、注出ノズル表面を構成する注出ノズル表面材23、及び2つ折りしてパウチ底部を構成する底部材24の、各周縁部をヒートシールすることにより構成される。
【0018】
パウチ表面材21の注出ノズル裏面部の中央には、開封予定線4からパウチを開封して断面が略円形乃至略四角形のノズル2を形成する際に、ノズルの片側の稜線となる山折り稜線13をノズル2の長手方向の略全長から折返し部3を超えてパウチ本体表面部11の上部にかけて形成してある。また、この山折り稜線13の他端部は、ノズル先端部の開封予定線4と交差するものとし、ノズル先端部を開封した際に山折り稜線13が開口端部に到達するように構成したので、内容物を注出する際にノズル先端部が閉塞するのを防止することができる。
【0019】
また、パウチ裏面材22には、中央部上端からパウチ表面材21に設ける山折り稜線13に略対応する位置に、該山折り稜線13よりは短かい山折り開口補助線14が形成してある。そして、注出ノズル表面材23の中央部には、上端部から折返し部3を超えてノズル先端部にかけて山折り開口線15が形成してある。
【0020】
このスタンディングパウチには、図1のAに示すパウチ上縁部の未シールの充填口8からパウチ本体1内に内容物が充填される。その際に、充填口8はパウチ上端の横幅全長のサイズを有するので、高粘度の内容物の場合にも効率良く充填することができる。内容物の充填後には充填口8は注出ノズル2の折返し部3よりもわずかに上の位置で、注出ノズル部と合わせてヒートシールされる。
【0021】
このスタンディングパウチを開封するには、図3のAに矢印で示したように、注出ノズル部2の先端部を指でつまんで180度上方に立上げ、ノズル先端部の開封予定線4に沿ってノズルを開封する(図3のB参照)。ついで、パウチをひっくり返して詰め替え用容器30に挿入し内容物を注出する。
【0022】
このパウチでは、図3のBにみられるように、開封したパウチは折れ曲がりがなくほぼ直線状となり、詰め替え用容器30の真上に位置させて内容物を注出することができる(図3のC参照)。したがって、パウチの自重によりパウチを安定に保持することができ、内容物の注出が進んでパウチが軽くなったときにも、ノズル先端部が詰め替え用容器30から離脱せず、内容物の注出を安定してスムースに行うことができる。また、ノズル先端部に設けたストッパー9、9によって、ノズル先端部が必要以上に詰め替え用容器30内に進入し、先端開口部が閉塞されるのを防止することができるので、内容物の注出を効率良く行うことができる。
【0023】
図4は、本発明の分岐型スタンディングパウチの他の例を示す図であり、図4のAは内容物を未充填の状態のパウチの正面図、同Bはパウチの背面図、また同CはAの注出ノズル部を180度上方に立上げた状態のパウチの正面図である。このパウチでは、パウチ裏面材22に設ける山折り開口補助線14を、折返し部3で交差する2本の不連続な山折り線で構成することにより(図4B参照)、注出ノズル部を折返し部3から180度上方に立ち上げてパウチを開封する際に、山折り開口補助線14が重なり合ってノズルを閉塞する方向に力が作用するのを防止したものである。
また、パウチ表面材21に設ける山折り稜線13を、折返し部3でノズル先端方向に向けて末広がり状に分岐させたることにより、パウチの開封時にノズル先端部の形状が略5角形となり、開口部が安定するように構成したものである。パウチの他の構成は、図1〜3のパウチと同様である。
【0024】
図5は、本発明の分岐型スタンディングパウチの他の例を示す図であり、図5のAは内容物を未充填の状態のパウチの正面図、同Bはパウチの背面図、また同CはAの注出ノズル部を180度上方に立上げた状態のパウチの正面図である。このパウチでは、パウチ裏面材22に設ける山折り開口補助線14の上端を折返し部3で止めることにより(図5B参照)、注出ノズル部を折返し部3から180度上方に立ち上げてパウチを開封する際に、山折り開口補助線14が重なり合ってノズルを閉塞する方向に力が作用するのを防止したものである。
また、パウチ表面材21に設ける山折り稜線13を、間に折返し部3が介在するように、ノズル先端方向に向けて末広がり状となる同じ長さの2本の山折り線13、13で構成している。このような構成とすることにより、パウチの開封時にノズル先端部の形状が略5角形となり、開口部が安定するようにしたものである。パウチの他の構成は、図1〜3のパウチと同様である。
【0025】
図6は、本発明の分岐型スタンディングパウチの他の例を示す図であり、図6のAは内容物を未充填の状態のパウチの正面図、同Bはパウチの背面図、また同CはAの注出ノズル部を180度上方に立上げた状態のパウチの正面図である。このパウチでは、一方の山折り稜線131と他方の山折り稜線132を、パウチ表面材の折返し部3で、折返し部3と交差する稜線形成補助線133で連結することによって、注出ノズル部2を立ち上げてノズルを形成する際に、稜線形成補助線133の部分でパウチ表面材21がよじれて、ノズルの立ち上りと拡径が一段と容易になるようにしたものである。パウチの他の構成は、図5のパウチと同様である。
【0026】
図7は、本発明の分岐型スタンディングパウチの他の例を示す図であり、図7のAは内容物を未充填の状態のパウチの正面図、同Bはパウチの背面図、また同CはAの注出ノズル部を180度上方に立上げた状態のパウチの正面図である。このパウチでは、図4のパウチにおいて、未充填の状態のノズル先端部の外形を略矩形状に形成することによって、開封時にノズル先端部の外形が略円筒状乃至略多角柱状となり、詰替え容器への注出が容易となるようにしたものである。パウチの他の構成は、図4のパウチと同様である。
【0027】
図8は、本発明の分岐型スタンディングパウチの他の例を示す図であり、図8のAは内容物を未充填の状態のパウチの正面図、同Bはパウチの背面図、また同CはAの注出ノズル部を180度上方に立上げた状態のパウチの正面図である。このパウチは、図1〜3のパウチにおいて、パウチの周縁シール部6の内側の形状がパウチ底部からノズル先端部にかけて徐々に幅が狭くなる略台形状に構成したものである。このような構成とすることにより、パウチを開封したときに、パウチの周縁シール部内側の形状が略円錐台形となり、内容物の注出が容易になる。パウチの他の構成は、図1〜3のパウチと同様である。
【0028】
図9は、本発明の分岐型スタンディングパウチの他の例を示す図であり、図9のAは内容物を未充填の状態のパウチの正面図、同Bはパウチの背面図、また同CはAの注出ノズル部を180度上方に立上げた状態のパウチの正面図である。このパウチは、図8のパウチにおいて、パウチ本体1の上部の内側周縁シール部を、図8のパウチよりも外側よりに設けることによって充填口8を広くし、より充填し易くしたものである。パウチの他の構成は、図8のパウチと同様である。
【0029】
上記の各例では、パウチに形成する山折り稜線13、山折り開口補助線14、山折り開口線15、稜線形成補助線133等を連続する線として形成したが、これらの線を不連続の線として形成できることは勿論である。また、これらの線の形状や寸法を適宜変更できることは、言うまでもない。
【0030】
本発明の分岐型スタンディングパウチは、高粘度の内容物を注出する際に流路抵抗の小さい大口径のノズル部を簡単な操作で安定に形成して、内容物を最後まで迅速に取り出すことができる。また、特別な部材や工程を必要とせずに、通常の製造設備を使用して低コストで製造することができ、充填前には嵩ばらずに輸送コストを節約することが可能であり、しかも廃棄処分も容易である。
なお、本発明では、パウチの形態を詰め替え用スタンディングパウチとして述べているが、本発明のノズル部の形成は、平パウチ等他のパウチに対しても適用することが可能である。
【0031】
本発明の分岐型スタンディングパウチに収容する内容物としては特に制限はなく、調味料、食品、飲料、化粧品、洗剤等幅広い分野に用いることができるが、特に、シャンプー、リンス、コンディショナー、ハンドソープ、ボディソープ、ドレッシング、食用油、マヨネーズ、ゼリー状飲料、クリーム等の内容物を収容するパウチとして好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の分岐型スタンディングパウチの1例を示す図で、内容物を未充填の状態のパウチの図である。
【図2】図1のパウチを構成する各部材の模式図である。
【図3】図1のパウチを開封して使用する状態を説明する模式図である。
【図4】本発明の分岐型スタンディングパウチの他の例を示す図である。
【図5】本発明の分岐型スタンディングパウチの他の例を示す図である。
【図6】本発明の分岐型スタンディングパウチの他の例を示す図である。
【図7】本発明の分岐型スタンディングパウチの他の例を示す図である。
【図8】本発明の分岐型スタンディングパウチの他の例を示す図である。
【図9】本発明の分岐型スタンディングパウチの他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
1 パウチ本体
2 ノズル
3 折返し部
4 開封予定線
6 周縁シール部
7 底シール部
8 充填口
9 ストッパー
11 パウチ本体表面部
12 注出ノズル裏面部
13,131,132 山折り稜線
14 山折り開口補助線
15 山折り開口線
21 パウチ表面材
22 パウチ裏面材
23 注出ノズル表面材
24 底部材
30 詰め替え用容器
133 稜線形成補助線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ単層又は多層のプラスチックフイルムにより構成された、折返すことにより注出ノズル裏面となる注出ノズル裏面部とこれに連続するパウチ本体表面部を有するパウチ表面材、パウチ本体裏面を構成するパウチ裏面材、注出ノズル表面材、及び底部材の周縁部をヒートシールすることにより、パウチ本体頂部から注出ノズルを分岐状に形成した分岐型スタンディングパウチにおいて、パウチ表面材の中央上部にパウチ本体表面上部から折り返し部を越えて注出ノズル裏面部のノズル中央先端方向に延びる山折り稜線を設けるとともに、パウチ裏面材中央部に山折り開口補助線を、注出ノズル表面材の中央上部に山折り開口線を、それぞれ設けたことを特徴とする分岐型スタンディングパウチ。
【請求項2】
パウチ裏面材中央部に設ける山折り開口補助線及び注出ノズル表面材の中央上部に設ける山折り開口線を、それぞれパウチ表面材に設ける山折り稜線に略対応する位置に設けたことを特徴とする請求項1に記載の分岐型スタンディングパウチ。
【請求項3】
パウチ表面材の山折り稜線を、パウチ表面材の折返し部が間に介在するように、間隔を空けて2本形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の分岐型スタンディングパウチ。
【請求項4】
2本の山折り稜線の間に、稜線形成補助線を設けたことを特徴とする請求項3に記載の分岐型スタンディングパウチ。
【請求項5】
パウチ表面材の山折り稜線を、パウチ表面材の折返し部近傍で注出ノズル裏面部のノズル先端方向に向けて末広がり状に分岐させたことを特徴とする請求項1又は2に記載の分岐型スタンディングパウチ。
【請求項6】
ノズル先端部の周縁シール部にストッパーを設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の分岐型スタンディングパウチ。
【請求項7】
ノズル先端部の外形が開封時に略円筒状ないし略多角柱状になるように形成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の分岐型スタンディングパウチ。
【請求項8】
パウチを開封したときに、パウチの周縁シール部内側の形状が略円錐台形となるように構成したことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の分岐型スタンディングパウチ。
【請求項9】
分岐状のノズル先端部に開封予定線となる易開封加工部を設けたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の分岐型スタンディングパウチ。
【請求項10】
パウチ表面材の注出ノズル裏面部中央に設ける山折り稜線、及び注出ノズル表面材に設ける山折り開口線をノズル先端部の開封予定線と交差するように形成したことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の分岐型スタンディングパウチ。








【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−232281(P2006−232281A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−45243(P2005−45243)
【出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】