説明

切屑検知装置

【課題】 ワークに付着した切屑を簡素な構成で検出する。
【解決手段】 先端に測定子7が取り付けられた測定子アーム6の前方に、ワーク20を外径計測器5のスライド方向から見た場合の外形と所定の間隔をあけて整合するように形成された検知プレート2を配置する。計測部21の計測を行うためにスライド機構8が外径計測器5をスライドさせる際に、タッチセンサ10によって検知プレート2とワーク20とが通電状態となったことが検出されると、ワーク20に切屑30が付着しているものとして検出する。このように、外径計測器5に検知プレート2とタッチセンサ10とを追加するだけで、ワーク20に付着する切屑30を確実に検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに付着した切屑を検出する切屑検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークの外周部に対して切削加工等を行い、加工後のワークの外周部が規定の大きさに加工されているかどうかを、外径計測器を用いて測定するといったことが行われていた。
この外径計測器は、所定の間隔で配置された1対の測定子を有し、この1対の測定子間にワークの測定を行いたい部分を通過させ、測定子にワークが触れるかどうかを検出することによってワークの外径が所定の大きさに加工されているかどうかを判断するものである。
【0003】
このような外径計測器を用いてワークの計測を行う場合、ワークの測定を行いたい部分に切削加工等によって発生した切屑が付着していると、測定子が切屑に絡まり、測定子が破損することがあった。
この切屑を検出するため、ワークに光を投射して、投射した光が設定通りに検出されなかった場合に、ワークに切屑が付着しているものとして検出していた。
【特許文献1】特開平8−197382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ワークに光を投射して光学的に切屑の検出を行う場合には、光学装置が必要となり、切屑検出のための構造が複雑となるといった問題があった。
【0005】
そこで本発明はこのような問題点に鑑み、ワークに付着した切屑を簡素な構成で検出することができる切屑検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ワーク形状を計測する測定子を有する計測器と、ワークの計測を行うことができる位置まで計測器をスライドさせるスライド機構と、計測器のワーク側に配置され、計測器に固定された検知部と、ワークと検知部とが通電状態となったかどうかを検出する通電検出器とを有し、計測器、検知部およびワークは導電性を有し、検知部は、ワークを計測器のスライド方向から見た場合の外形と所定の間隔をあけて整合するように形成され、計測器をスライドさせたときに、通電検出器によって通電状態が検出されると、通電検出器は、ワークと検知部とがワークに付着した切屑を介して通電状態となり、ワークに切屑が付着しているものとして検出するものとした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、計測器のワーク側に、ワークを計測器のスライド方向から見た場合の外形と所定の間隔をあけて整合する検知部を配置し、ワークと検知部とが通電状態となった場合に、ワークに切屑が付着しているものとして検出する。
これにより、簡素な構成でワークに付着した切屑を検出することができる。
また計測器のワーク側に検知部を配置したので、測定子が切屑に接触する前に切屑の検出を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に本発明の実施の形態を実施例により説明する。
図1は、実施例を示す正面図であり、図2は、実施例を示す側面図である。
なお、ワーク20の計測部21には、切削加工等によって発生した切屑30が絡みついているものとする。
切屑を検出するための検知プレート2と、ワーク20の外径を計測するための外径計測器5と、外径計測器5をスライドさせるスライド機構8と、検知プレート2に切屑が接触したかどうかを検出するタッチセンサ10とより、切屑検知装置1が構成される。
【0009】
外径計測器5は、所定間隔で配置された1対の測定子アーム6を備え、測定子アーム6の先端には、1対の測定子アーム6の内側に向けて測定子7が取り付けられている。
外径計測器5はスライド機構8に接続され、スライド機構8は、ワーク20の測定を行う計測部21に向けて外径計測器5をスライドさせることができる。外径計測器5をワーク20に向けてスライドさせ、1対の測定子アーム6の先端にそれぞれ取り付けた測定子7間にワーク20の計測部21を通過させることによって、計測部21の外径を計測する。
ワーク20の計測後、スライド機構8は外径計測器5をスライドさせて所定位置まで戻す。
【0010】
外径計測器5のワーク20側(外径計測器5とワーク20の間)には、プレートアーム3によって外径計測器5に固定された検知プレート2が配置される。
検知プレート2は、ワーク20を外径計測器5のスライド方向から見た場合の外形と所定の間隔をあけて整合するように形成されている。
【0011】
ワーク20は、その両端が1対のワーク保持具9によって挟み込まれて保持される。
なおワーク保持具9、ワーク20、検知プレート2は、導電性を有するものとする。
ワーク保持具9が、導線Aによってタッチセンサ10に接続される。検知プレート2が、導線Bによってタッチセンサ10と接続される。
【0012】
タッチセンサ10は、導線A、Bが通電した場合、すなわち検知プレート2とワーク20とが、ワーク20の外周に絡まる切屑30を介して接続状態となったことを検出するものである。
タッチセンサ10は、導線A、Bの通電状態を検出すると、スライド機構8に対して切屑検出信号を出力する。
【0013】
次に切屑検知装置の動作について説明する。
図3の(a)、(b)、(c)は、外径計測器5の動きを示す図である。
なお、外径計測器5は、ワーク20の計測部21の外径を計測するものとし、計測部21には、図3の(a)、(b)に示されるように計測部21の切削加工時に発生した切屑30が、その外周を取り囲むようにして絡まっているものとする。
【0014】
まず図3の(a)に示すように、ワーク20が図示しない搬入機構によって測定子アーム6の進行方向前方に搬入され、ワーク保持具9によって保持される。
このときワーク20は、計測部21の中心位置が、外径計測器5をスライド機構8によってワーク20側にスライドさせた場合に一対の測定子7の間の中間位置と整合するように搬入される。
ワーク20が搬入されると、外径計測器5は図3の(a)に矢印で示すように、スライド機構8によってワーク20側へのスライドを開始する。
【0015】
外径計測器5がワーク20側へスライドすると、図3の(b)に示すように、計測部21の外周に切屑30が絡まっているため、まず測定子アーム6の前方に取り付けられた検知プレート2が切屑30と接触する。
検知プレート2が切屑30と接触すると、タッチセンサ10によってワーク20と検知プレート2が切屑30を介して通電状態となったことが検出される。
【0016】
通電状態となるとタッチセンサ10は、切屑検出信号をスライド機構8へ送信する。
スライド機構8は、切屑検出信号を受信すると、外径計測器5のスライドを停止する。
【0017】
これにより、測定子7が切屑30に接触する前に外径計測器5のスライドを停止させることができる。
切屑30が計測部21に絡まっていることが検出されると、スライド機構8は外径計測器5を元の位置まで戻す。切屑30が絡まったワーク20は、計測部21の計測が不可能であるものとして、図示しない搬出機構によって搬出される。
【0018】
一方、ワーク20の計測部21に切屑が絡まっていない場合には、図3の(c)に示すように、検知プレート2とワーク20とが通電状態となることなく、外径計測器5が測定子7によって計測部21を計測可能な位置までスライドする。
測定子7による計測部21の計測後、スライド機構8は外径計測器5を元の位置まで戻す。ワーク20は図示しない搬出機構によって搬出される。
【0019】
本実施例は以上のように構成され、先端に測定子7が取り付けられた測定子アーム6の前方に、ワーク20を外径計測器5のスライド方向から見た場合の外形と所定の間隔をあけて整合するように形成された検知プレート2を配置する。計測部21の計測を行うためにスライド機構8が外径計測器5をスライドさせる際に、タッチセンサ10によって検知プレート2とワーク20とが通電状態となったことが検出されると、スライド機構8は外径計測器5のスライドを停止させる。
これにより、計測部21に切屑30が絡み付いている場合に、測定子アーム6の先端に取り付けられた測定子7が切屑30に接触する前に外径計測器5のスライドを停止させることができるので、切屑30が絡まることによって測定子7が破損するといったことがない。
【0020】
ワーク20や切屑30およびワーク20を保持するワーク保持具9が導電性を有する特性を利用して、検知プレート2とワーク20とが導電状態となったときに、ワーク20に切屑30が付着しているものとして検出することにより、簡素な構成で、ワーク20に付着する切屑30を確実に検出することができる。
【0021】
また、導線Aが接続されたワーク保持具9によってワーク20の保持を行うことにより、ワーク20と検知プレート2とが通電状態であるかどうかを調べるためにワーク20に導線を接続する作業と、ワーク20の保持とを同時に行うことができる。
さらに、切屑30と接触する部分を検知プレート2としたが、これに限定されず、たとえば、ワーク20を外径計測器5のスライド方向から見た場合の外形と所定の間隔をあけて整合するように形成された金属棒などを用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施例を示す正面図である。
【図2】実施例を示す側面図である。
【図3】外径計測器の動作を示す図である。
【符号の説明】
【0023】
1 切屑検知装置
2 検知プレート (検知部)
3 プレートアーム
5 外径計測器 (計測器)
6 測定子アーム
7 測定子
8 スライド機構
9 ワーク保持具
10 タッチセンサ (通電検出器)
20 ワーク
21 計測部
30 切屑

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク形状を計測する測定子を有する計測器と、
ワークの計測を行うことができる位置まで前記計測器をスライドさせるスライド機構と、
前記計測器のワーク側に配置され、前記計測器に固定された導電性の検知部と、
ワークと前記検知部とが通電状態となったかどうかを検出する通電検出器とを有し、
前記検知部は、ワークを前記計測器のスライド方向から見た場合の外形と所定の間隔をあけて整合するように形成され、
前記計測器をスライドさせたときに、前記通電検出器によって通電状態が検出されると、
前記通電検出器は、ワークと前記検知部とがワークに付着した切屑を介して通電状態となり、ワークに切屑が付着しているものとして検出することを特徴とする切屑検知装置。
【請求項2】
前記通電検出器は、ワークに切屑が付着していることを検出すると、前記スライド機構に対して切屑検出信号を送信し、
前記スライド機構は、前記切屑検出信号を受信すると前記計測器のスライドを停止することを特徴とする請求項1記載の切屑検知装置。
【請求項3】
前記検知部は、板状であることを特徴とする請求項1または2記載の切屑検知装置。
【請求項4】
ワークを保持する導電性のワーク保持具を備え、
前記通電検出器は、前記検知部とワーク保持具とが通電状態となったかどうかの検出を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか1に記載の切屑検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−26832(P2006−26832A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−211000(P2004−211000)
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【出願人】(000231350)ジヤトコ株式会社 (899)
【Fターム(参考)】