説明

切断機

【課題】固定刃の取付作業を容易にすることができる切断機を得る。
【解決手段】本切断機では、回転刃38、42が回転刃40、44に対して回転体26の回転軸線方向へ自らの長さ寸法分程度ずれた状態で回転体26に取り付けられており、上記各回転刃の長さ寸法が回転体26の幅寸法の半分程度に短く設定されている。このため、上記回転刃が被切断物に当った際の衝撃を低減するために、上記各回転刃の直線状の刃先46が回転体26の回転軸線方向に対して所定角度傾斜して配置されていても、刃先46の両端部の旋回半径と刃先46の中央部の旋回半径との差hを小さくすることができる。したがって、固定刃48の直線状の刃先50が回転体26の回転軸線方向に沿って配置されていても、刃先46の旋回軌跡と刃先50との間の隙間を小さく設定することができるので、上記各回転刃と固定刃48との間で被切断物を良好に切断することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、草藁や樹木の剪定枝等を切断処理する切断機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の切断機(例えば、特許文献1参照)では、機枠に対して回転可能に支持され、回転駆動される刃物取付金(回転体)と、この回転体に取り付けられ、円筒状の旋回軌跡を描いて回転体の回転軸線周りを旋回すると共に、前記旋回軌跡の外周部に直線状の刃先を配置させた平板状の回転刃と、前記旋回軌跡に対して径方向において対向する位置で機枠に固定され、直線状の刃先を有すると共に、当該刃先と前記複数の回転刃の刃先との間で被切断物を切断する平板状の固定刃と、を備えている。
【0003】
上記構成の切断機では、回転刃が被切断物に当った際の衝撃を低減して切れ味を良好にするために、回転刃が刃先を回転体の回転軸線方向に対して所定角度傾斜された状態で回転体に取り付けられている。
【特許文献1】特公平4−38554号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、回転体の回転軸線方向に対して回転刃の刃先を傾斜させると、当該刃先の端部における旋回軌跡の半径と当該刃先の中央部における旋回軌跡の半径とが大きく相違する。このため、回転刃の刃先の旋回軌跡と固定刃の刃先との間の隙間を小さくするためには、固定刃が刃先を回転体の回転軸線方向に対して正確に所定角度傾斜された状態で機枠に固定される必要がある。このため、固定刃の取付作業が煩雑である。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、固定刃の取付作業を容易にすることができる切断機を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明に係る切断機は、機体に対して回転可能に支持され、回転駆動される回転体と、互いに前記回転体の回転軸線方向にずれた状態で前記回転体に取り付けられ、円筒状の旋回軌跡を描いて前記回転軸線周りを旋回すると共に、前記旋回軌跡の外周部に配置された直線状の刃先が前記回転軸線方向に対して傾斜した複数の回転刃と、前記旋回軌跡に対して径方向において対向する位置で前記機体に固定されると共に、直線状の刃先を有し、当該刃先と前記複数の回転刃の刃先との間で被切断物を切断する固定刃と、を備えたことを特徴としている。
【0007】
請求項1に記載の切断機では、複数の回転刃が互いに回転体の回転軸線方向にずれた状態で回転体に取り付けられており、複数の回転刃の直線状の刃先が各々前記回転軸線方向に対して傾斜した状態で配置されている。すなわち、背景技術の欄で説明した従来の回転刃が回転体の回転軸線方向に複数に分割されたような構成(各回転刃の長さ寸法が従来の回転刃よりも短くされた構成)になっている。このため、各回転刃の刃先の端部における旋回軌跡の半径と、各回転刃の刃先の中央部における旋回軌跡の半径との差を小さくすることができる。したがって、固定刃が、直線状の刃先を回転体の回転軸線方向に沿わせた状態で配置されていても、固定刃の刃先と各回転刃の刃先の旋回軌跡との間の隙間を小さく設定することができるので、各回転刃と固定刃との間で被切断物を良好に切断することができる。しかも、上記隙間を小さくするために、固定刃の刃先が回転体の回転軸線方向に対して傾斜した状態で固定刃を機体に固定する必要がないため、固定刃の取付作業を容易にすることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明に係る切断機は、請求項1に記載の切断機において、前記複数の回転刃は、互いに前記回転体の回転方向にずれて配置されていることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の切断機では、複数の回転刃が被切断物に対して同時に当たることを抑制できるため、複数の回転刃が取り付けられた回転体などに大きな衝撃が加わることを抑制できる。
【0010】
請求項3に記載の発明に係る切断機は、請求項1又は請求項2に記載の切断機において、前記回転体は、自らの回転軸線方向に並んだ3つ以上の刃物取付板を有し、前記複数の回転刃の各々は、隣り合う前記刃物取付板の径方向端部間に掛け渡された状態で前記回転体に取り付けられていることを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の切断機では、回転刃の刃先に当った被切断物が、傾斜した刃先によって回転体の回転軸線方向へ移動された場合(被切断物が前記回転軸線方向に逃げた場合)でも、当該移動方向に配置された刃物取付板に被切断物が当ることで被切断物の移動が制限される。したがって、被破砕物の不要な移動を抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明に係る切断機では、固定刃の取付作業を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1には、本発明の実施形態に係る切断機としてのカッタ10の縦断面図が示されている。また、図2には、このカッタ10の主要部を構成する切断機構24の側面図が示されている。さらに、図3には、この切断機構24の上面図が示されており、図4には、この切断機構24を構成する回転体26の展開図が示されている。なお、説明の都合上、これらの図では、装置上方向を矢印UPで示し、装置前方向を矢印FRで示し、装置幅方向を矢印Wで示してある。
【0014】
図1に示されるように、カッタ10は、中空状に形成された機体12を有しており、機体12の内部には、ドラム状に形成された切断室14が設けられている。機体12の装置後方側には、供給口16が形成されており、供給口16には、装置後方側へ突出する供給樋18が接続されている。供給樋18は、機体12に対して斜め上方を向くように取り付けられている。このため、供給樋18の開口部18Aから供給樋18内に供給(投入)された剪定枝等の被切断物Mは、供給樋18の底板18B上を滑り、供給口16側へ流下するようになっている。
【0015】
供給口16と切断室14との間で機体12の内部には、上送りローラ20及び下送りローラ22が上下に対向して配設されている。下送りローラ22は、機体12の側壁に対して回転可能に軸支されている。また、上送りローラ20は、機体12の側壁に対して上下動可能に取り付けられた図示しない軸受板に軸支されており、機体12に対して上下方向に相対移動可能とされている。これらの上送りローラ20及び下送りローラ22は、図示しない駆動力伝達機構を介して伝達される図示しないモータの駆動力によって、各々図1の矢印方向へ回転する。
【0016】
供給樋18の内部に投入されて供給口16側へ流下した被切断物Mは、上送りローラ20と下送りローラ22との間に挿入されて両者に挟持されると共に、両送りローラ20、22の回転速度に応じた一定の速度で切断室14へと強制的に送り込まれるようになっている。
【0017】
切断室14の内部には、本カッタ10の主要部を構成する切断機構24が設けられている。この切断機構24は、回転体26を備えている。回転体26は、機体12の幅方向を軸方向として配置された主軸28を有している。主軸28は、機体12の側壁に取り付けられた図示しない軸受によって回転可能に支持されており、図示しない駆動力伝達機構を介して伝達される図示しないモータの駆動力によって図1及び図2の矢印A方向へ回転する。
【0018】
図3に示されるように、主軸28には、複数(本実施形態では3枚)の刃物取付板30、32、34が軸線方向に等間隔に並んで取り付けられている。これら3枚の刃物取付板30、32、34は、図2に示されるように、円板状に形成されており、軸心部に形成された貫通孔36を主軸28が貫通した状態で主軸28に対して同軸的かつ一体的に固定されている。このため、刃物取付板30、32、34は、主軸28と一体で回転する。
【0019】
回転体26の外周部には、複数(本実施形態では4枚)の平板状の回転刃38、40、42、44が取り付けられている。これらの回転刃38、40、42、44は、平面視で長尺な平行四辺形状に形成されている。各回転刃38、40、42、44の長さ寸法は、回転体26の幅寸法L(刃物取付板30の軸線方向外側端部から刃物取付板34の軸線方向外側端部までの距離)の半分程度に設定されている。また、各回転刃38、40、42、44の幅方向一端部には、それぞれ直線状の刃先46が設けられている。
【0020】
回転刃38は、刃物取付板30の径方向端部と刃物取付板32の径方向端部との間に掛け渡されており、長手方向一端部(図3及び図4では右側の端部)が刃物取付板30に締結され、長手方向他端部(図3及び図4では左側の端部)が刃物取付板32に締結されている。なお、刃物取付板30、32の径方向端部には、それぞれ回転刃38を取り付けるための段部30A、32Aが形成されている。
【0021】
また、回転刃38は、長手方向一端部が長手方向他端部に対して回転体26の回転方向後方側に配置されており、回転刃38及びその刃先46は、回転体26の回転軸線方向に対して所定角度傾斜して配置されている。
【0022】
一方、刃物取付板32の径方向端部には、刃物取付板30の段部30Aに対して回転体26の回転方向前方側へ90度位相がずれた位置に、回転刃40を取り付けるための段部32Bが形成されている。また、刃物取付板34の径方向端部には、刃物取付板32の段部32Aに対して回転体26の回転方向前方側へ90度位相がずれた位置に、回転刃40を取り付けるための段部34Aが形成されている。
【0023】
回転刃40は、刃物取付板32の径方向端部と刃物取付板34の径方向端部との間に掛け渡されており、長手方向一端部(図3及び図4では右側の端部)が刃物取付板32に締結され、長手方向他端部(図3及び図4では左側の端部)が刃物取付板34に締結されている。
【0024】
また、回転刃40は、長手方向一端部が長手方向他端部に対して回転体26の回転方向後方側に配置されており、回転刃40及びその刃先46は、回転体26の回転軸線方向に対して所定角度傾斜して配置されている。
【0025】
この回転刃40は、回転刃38に対して回転体26の回転軸線方向一側へ自らの長さ寸法分程度ずれて配置されると共に、回転刃38に対して回転体26の回転方向前方側へ90度位相がずれて配置されている。
【0026】
一方、刃物取付板30の径方向端部には、刃物取付板32の段部32Bに対して回転体26の回転方向前方側へ90度位相がずれた位置に、回転刃42を取り付けるための段部30Bが形成されている。また、刃物取付板32の径方向端部には、刃物取付板34の段部34Aに対して回転体26の回転方向前方側へ90度位相がずれた位置に、回転刃42を取り付けるための段部32Cが形成されている。
【0027】
回転刃42は、刃物取付板30の径方向端部と刃物取付板32の径方向端部との間に掛け渡されており、長手方向一端部(図3及び図4では右側の端部)が刃物取付板30に締結され、長手方向他端部(図3及び図4では左側の端部)が刃物取付板32に締結されている。
【0028】
また、回転刃42は、長手方向一端部が長手方向他端部に対して回転体26の回転方向後方側に配置されており、回転刃42及びその刃先46は、回転体26の回転軸線方向に対して所定角度傾斜して配置されている。
【0029】
この回転刃42は、回転刃40に対して回転体26の回転軸線方向他側へ自らの長さ寸法分程度ずれて配置されると共に、回転刃40に対して回転体26の回転方向前方側へ90度位相がずれて配置されている。また、この回転刃42は、回転刃38に対して回転体26の回転方向前方側へ180度位相がずれて配置されている。
【0030】
一方、刃物取付板32の径方向端部には、刃物取付板30の段部30Bに対して回転体26の回転方向前方側へ90度位相がずれた位置に、回転刃44を取り付けるための段部32Dが形成されている。また、刃物取付板34の径方向端部には、刃物取付板32の段部32Cに対して回転体26の回転方向前方側へ90度位相がずれた位置に、回転刃44を取り付けるための段部34Bが形成されている。
【0031】
回転刃44は、刃物取付板32の径方向端部と刃物取付板34の径方向端部との間に掛け渡されており、長手方向一端部(図3及び図4では右側の端部)が刃物取付板32に締結され、長手方向他端部(図3及び図4では左側の端部)が刃物取付板34に締結されている。
【0032】
また、回転刃44は、長手方向一端部が長手方向他端部に対して回転体26の回転方向後方側に配置されており、回転刃44及びその刃先46は、回転体26の回転軸線方向に対して所定角度傾斜して配置されている。
【0033】
この回転刃44は、回転刃42に対して回転体26の回転軸線方向一側へ自らの長さ寸法分程度ずれて配置されると共に、回転刃42に対して回転体26の回転方向前方側へ90度位相がずれて配置されている。また、回転刃44は、回転刃40に対して回転体26の回転方向前方側へ180度位相がずれて配置されている。
【0034】
すなわち、本実施形態では、回転体26の外周部には、その周方向に沿って90度おきに回転刃38、40、42、44が取り付けられており、これらの回転刃38、40、42、44が左右に互い違いに配置されている。これらの回転刃38、40、42、44は、回転体26が回転した際に、円筒状の旋回軌跡を描いて回転体26の回転軸線周り(主軸28周り)を旋回する。また、これらの回転刃38、40、42、44は、前記旋回軌跡の外周部に刃先46を配置させるようになっており、刃先46の一端部の旋回半径と刃先46の他端部の旋回半径とが同一になるように回転体26に取り付けられている。
【0035】
なお、前述したように、回転刃38、40、42、44が回転体26の回転軸線方向に対して所定角度傾斜した状態で回転体26の外周部に取り付けられているため、刃先46の中間部の旋回半径は、刃先46の両端部の旋回半径よりも僅かに小さくなる(図2の符号h参照)。
【0036】
一方、図1に示されるように、回転体26と、前述した下送りローラ22との間には、切断機構24を構成する平板状の固定刃48が設けられている。固定刃48は、平面視で長尺な矩形状に形成されており、長手方向が機体12の幅方向に沿う状態で図示しないステーを介して機体12に固定されている。固定刃48の長さ寸法は、回転体26の幅寸法Lよりも長く設定されており、固定刃48は、回転刃38、40、42、44の旋回軌跡に対して径方向に対向している。また、固定刃48の幅方向一端部(図1及び図2では上側の端部)には、直線状の刃先50が設けられている。この刃先50は、回転刃38、40、42、44の旋回軌跡に近接して配置されている。
【0037】
なお、回転刃38、40、42、44の各刃先46と固定刃48の刃先50とが擦れ合うように固定刃48を機体12に固定することも可能である。但し、前述したように刃先46の中間部の旋回半径が、刃先46の両端部の旋回半径よりも僅かに小さいため、刃先46の両端部が固定刃48の刃先50に擦れ合った状態でも、刃先46の中間部と刃先50の中間部との間には、僅かな隙間h(図2参照)が確保される。
【0038】
ここで、本実施形態では、前述したように上送りローラ20と下送りローラ22との間で挟持された被切断物Mが切断室14へと送り込まれると、被切断物Mの端部が固定刃48の上側に供給される。そして、被切断物Mの端部が回転刃38、40、42、44の旋回軌跡内へ送り込まれると(すなわち、旋回する回転刃38、40、42、44と固定刃48との間に被切断物Mが供給されると)、回転刃38、40、42、44がその刃先46から被切断物Mの端部に衝突する。これにより、被切断物Mの端部は、回転刃38、40、42、44と固定刃48との間で切断され、細かい切断片に分割される構成になっている。
【0039】
一方、切断室14の装置前方側には、排出口52が形成されている。この排出口52には、装置前方側へ突出する排出樋54が接続されている。排出樋54は、機体12に対して斜め上方を向くように取り付けられており、排出口52を介して切断室14から排出された切断片は、この排出樋54を介して装置外部に排出される構成になっている。
【0040】
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0041】
上記構成のカッタ10では、図示しないモータが駆動されると、このモータの駆動力が図示しない駆動力伝達機構を介して上送りローラ20、下送りローラ22、及び主軸28に伝達され、各々図1の矢印方向へ所定の回転速度で回転される。
【0042】
この状態で、供給樋18の開口部18Aから剪定小枝等の被切断物Mが投入される。投入された被切断物Mは、供給樋18の底板18B上を滑り、上送りローラ20と下送りローラ22との間に供給され、上送りローラ20と下送りローラ22とによって切断室14(固定刃48の上側)へと送り込まれる。
【0043】
切断室14では、回転刃38、40、42、44が主軸28周りを旋回しており、各回転刃38、40、42、44の刃先46が、固定刃48の近傍を順次通過している。このため、固定刃48の上側へ送り込まれた被切断物Mの端部が、回転刃38、40、42、44の旋回軌跡内に侵入すると、各回転刃38、40、42、44がその刃先46から被切断物Mの端部に衝突する。これにより、被切断物Mの端部は、各回転刃38、40、42、44と固定刃48との間で切断されて細かい切断片に分割される。
【0044】
ここで、本実施形態では、回転刃38、40、42、44の直線状の刃先46が回転体26の回転軸線方向に対して所定角度傾斜して配置されている。このため、回転刃38、40、42、44の刃先46が被切断物Mに衝突した際の衝撃が低減され、切れ味が良好になる。
【0045】
しかも、回転刃38、42が回転刃40、44に対して回転体26の回転軸線方向へ自らの長さ寸法分程度ずれた状態で回転体26に取り付けられている。このため、各回転刃38、40、42、44の長さ寸法が回転体26の幅寸法Lの半分程度に短く設定されていても、回転体26の幅寸法Lと同等の幅寸法の被切断物Mを切断することができる。
【0046】
さらに、上述のように各回転刃38、40、42、44の長さ寸法が短く設定されているため、固定刃48の直線状の刃先50が回転体26の回転軸線方向に沿って配置されていても、各回転刃38、40、42、44の刃先46の旋回軌跡と固定刃48の刃先50との間の隙間を小さく設定することができる。
【0047】
すなわち、回転体26の回転軸線方向に対して所定角度傾斜した回転刃38、40、42、44において、刃先46の両端部の旋回半径と刃先46の中央部の旋回半径との差h(刃先46の中央部と刃先50の中央部との間に生じる隙間の最小値)は、回転刃38、40、42、44の長さ寸法の増減に比例して増減する。このため、回転体26の幅寸法Lの半分程度の長さ寸法の回転刃38、40、42、44では、回転体26の幅寸法Lと同等の長さ寸法の回転刃(背景技術の欄で説明した従来の回転刃)に対して、上記隙間hを半分程度に小さくすることができる。
【0048】
したがって、本実施形態では、回転刃38、40、42、44の直線状の刃先46が回転体26の回転軸線方向に対して所定角度傾斜した状態で配置され、固定刃48の直線状の刃先50が回転体26の回転軸線方向に沿って配置されていても、各回転刃38、40、42、44と固定刃48との間で被切断物Mを良好に切断することができる。
【0049】
したがって、本実施形態では、固定刃48の刃先50が回転体26の回転軸線方向に対して正確に所定角度傾斜した状態で固定刃48を機体12に固定する必要がない。このため、固定刃48の取付作業を容易にすることができると共に、固定刃48と各回転刃38、40、42、44との刃合わせ(隙間調節)も容易にすることができる。また、固定刃48及び回転刃38、40、42、44が何れも平板状に形成されているため、これらを容易に製造することができ、製造コストを低減させることができると共に、刃先46、50の研磨も容易に行うことができる。
【0050】
また、本実施形態では、上述のように回転刃38、40、42、44の長さ寸法が、従来の回転刃の長さ寸法の半分程度に短いため、切断時における回転刃38、40、42、44の撓みが小さくなる。したがって、当該撓みによる切断効率の低下を抑制できると共に、繰り返し撓むことによる回転刃38、40、42、44の疲労を抑制することができ、回転刃38、40、42、44の寿命を長くすることができる。
【0051】
さらに、本実施形態では、回転刃38、40、42、44が互いに回転体26の回転方向にずれて配置されている。このため、回転刃38、40、42、44が被切断物Mに対して同時に当たることがないため、回転刃38、40、42、44が取り付けられた回転体26などに一度に大きな衝撃が加わることを抑制できる。したがって、切断時においても回転体26の滑らかな回転を確保することができる。
【0052】
またさらに、本実施形態では、回転体26が自らの回転軸線方向に並んだ3つの刃物取付板30、32、34を有しており、回転刃38、40、42、44が刃物取付板30、32の径方向端部間、又は刃物取付板32、34の径方向端部間に掛け渡されている。このように、刃物取付板30、34の間に刃物取付板32が設けられているため、回転刃40又は回転刃44の刃先46に当った被切断物Mが、傾斜した刃先46によって回転体26の回転軸線方向他側へ移動された場合(被切断物Mが図3の矢印B方向へ逃げた場合)でも、刃物取付板32に被切断物Mが当ることで被切断物Mの移動が制限される。したがって、被破砕物Mの不要な移動を抑制することができ、切断効率を向上させることができる。
【0053】
なお、上記実施形態では、回転体26が、主軸28の軸線方向に並んだ3枚の刃物取付板30、32、34を備えた構成にしたが、刃物取付板は3枚以上であればよく、例えば、刃物取付板30を介して刃物取付板32と反対側に別の刃物取付板が追加された構成にしてもよい。この場合、回転刃38、42を介して回転刃40、44と反対側に、別の回転刃を追加することができるため、各回転刃の長さ寸法を回転体26の幅寸法Lの1/3程度に短くすることができる。したがって、各回転刃の刃先46と固定刃48の刃先46との間の隙間を、上記実施形態よりも更に小さくすることが可能になる。
【0054】
また、上記実施形態において、供給樋18の底板18Bにベルトコンベヤを付加して被切断物Mを強制的に切断室14へ送り込む構成を採ってもよい。
【0055】
さらに、上記実施形態に係るカッタ10は、定置式であったが、機体12の底面にキャスタや車輪を取付けてキャリヤ式にしてもよいし、エンジンを搭載して自走式にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施形態に係るカッタの縦断面図である。
【図2】図1に示されるカッタを構成する切断機構の側面図である。
【図3】図2に示される切断機構の上面図である。
【図4】図1及び図2に示される切断機構を構成する回転体の展開図である。
【符号の説明】
【0057】
10 カッタ(切断機)
12 機体
26 回転体
30、32、34 刃物取付板
38、40、42、44 回転刃
46 刃先
48 固定刃
50 刃先

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体に対して回転可能に支持され、回転駆動される回転体と、
互いに前記回転体の回転軸線方向にずれた状態で前記回転体に取り付けられ、円筒状の旋回軌跡を描いて前記回転軸線周りを旋回すると共に、前記旋回軌跡の外周部に配置された直線状の刃先が前記回転軸線方向に対して傾斜した複数の回転刃と、
前記旋回軌跡に対して径方向において対向する位置で前記機体に固定されると共に、直線状の刃先を有し、当該刃先と前記複数の回転刃の刃先との間で被切断物を切断する固定刃と、
を備えた切断機。
【請求項2】
前記複数の回転刃は、互いに前記回転体の回転方向にずれて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の切断機。
【請求項3】
前記回転体は、自らの回転軸線方向に並んだ3つ以上の刃物取付板を有し、前記複数の回転刃の各々は、隣り合う前記刃物取付板の径方向端部間に掛け渡された状態で前記回転体に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の切断機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−289453(P2008−289453A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−140830(P2007−140830)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(000144898)株式会社山本製作所 (144)
【Fターム(参考)】