説明

制御弁誤操作防止装置

【課題】部品構成が同じでも設定条件のことなる制御弁が同じ場所に取り付けないようにする。
【解決手段】制御弁誤操作防止装置10は、バルブ本体11と、該バルブ本体11にねじ機構により螺着された制御弁、例えば流量設定が調整済の流量制御弁12と、該流量制御弁12を上方より被覆しバルブ本体11に取り付ける識別カバー13と、識別カバー13に形成され前記流量制御弁12を識別する識別マーク14と、識別マーク14に嵌挿して流量制御弁12を識別する識別ピン15と、識別カバー13に挿通し該識別カバー13をバルブ本体11に取り付けるプラグ部材16と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は制御弁に関し、さらに詳細には設定条件の異なる制御弁が同じ取付位置に誤って配設されることを防止する制御弁誤操作防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、設定流量が異なる流量制御弁の誤操作を防止する手段としては、経験則として設定流量毎に流量制御弁の取付寸法、例えば(1)ボルトピッチを変更したり、(2)流量制御弁のガスケット面(取付面)に位置決めピンを配置して設定流量毎に取付位置を変更している。
(1)の設定流量毎に流量制御弁の取付寸法、例えばボルトピッチを変更した場合は、取付寸法が異なるので、流量制御弁を構成するバルブ本体の加工が異なるのでコストアップとなる。
(2)の流量制御弁のガスケット面(取付面)に位置決めピンを配置して設定流量条件毎に取付位置を変更している場合は、位置決めの位置が異なるため、バルブ本体の加工も異なりコストアップとなる。さらに、位置決めピンはガスケット面に当たるため取付状態では見えず、外観でチェックすることが困難であった。仮に位置決めピンがない状態で取り付けられていても外側からは判らないので、取り付けの誤操作を防止したことにならない。
なお、前記の(1)及び(2)の技術を開示する刊行物等は見出せなかった。
【0003】
一方、油圧機器であるバルブの誤操作防止装置としては、バルブ3を覆うカバー6に形成されてバルブ操作用のバルブレバー5が挿通するレバー挿通孔7、7´の一部を円孔部8に形成し、前記バルブレバー5に該バルブレバー5の移動に自重で移動して前記円孔部8に着脱可能に嵌合するキャップ11を設けている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
さらに、ボディ4の上面に突出状態に設けられたプランジャ形操作子3の外周に、係止溝7a,7bを形成し、筒形をしたカバー5には、前記係止溝7a又は7bに弾性的に係
止するフック10を設けると共に、操作子3に連結しておくことによって該カバー5の紛失を防止する紐状の連結部材12を設け、かつ該カバー5の高さを、非操作位置にある操作子3の高さと少なくとも同じに形成することがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平1−78781号公報
【特許文献2】特許2000−266210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1はマニアルバルブのようなバルブの誤操作防止装置に関するものであり、キャップでバルブレバーの動きを阻止し、該バルブレバーに誤って接触してもバルブレバーは動かずバルブが作動しないようにしている。
また、特許文献2では手動操作用の操作子に被着する誤操作防止用のカバーを確実に着脱できると共に、取り外したときでも紛失しないようにしている。
【0007】
このため、特許文献1及び2には設定条件が異なる流量制御弁の誤操作を防止する手段について示唆もしくは開示されていない。
一方、製品への機能として制御弁、例えば流量制御弁の場合、搭載する機械に対応した流量に設定すること、及び異なる設定条件のバルブは取付不可能にすることが要求されることがある。
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、部品構成が同じでも設定条件の異なる制御弁が同じ場所に取り付けないようにする制御弁誤操作防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明は、所定の設定条件に調整された制御弁と、
前記制御弁を取り付けたバルブ本体と、
前記バルブ本体に取り付られ前記制御弁を被覆する共に、該制御弁の設定条件を識別し、該設定条件を判別する識別部を設けた識別プレートと一体になった識別カバー部材と、
前記識別プレートの識別部により前記制御弁の設定条件と一致した際に前記位置に合致し該識別部に嵌挿する識別部材と、
前記バルブ本体に螺着されて前記識別カバー部材を該バルブ本体に取り付けるプラグ部材と、
を備え、
前記識別部と前記識別部材とを合致させて前記制御弁の設定条件を識別することを特徴とする。
本発明によれば、前記識別部と前記識別部材とを合致させて前記制御弁の設定条件を識別し確認することができるで、誤組防止、誤操作防止を容易に判断でき、保守管理を簡素化にすることができる。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記識別カバー部材に設けた前記識別部を該識別カバー部材に代わって前記バルブ本体に取り付ける識別プレートに設けたので、識別カバー部材の形状が簡素化し、加工コストを低減できるのでよい。
請求項3記載の発明では、前記識別部は半円もしくは円形状または逆V字状溝にすると、加工コストを低減でき、形状がシンプルになるのでよい。
請求項4記載の発明では、前記識別部材はピン部材であると前記半円もしくは円形状または逆V字状溝との係合が容易になり、組付作業が簡素化され、コストを低減できるのでよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、設定条件に対応した識別カバー部材をバルブ本体に取り付けることにより、設定条件を選別した設定条件別の制御弁を提供できる。この場合、バルブ本体は共通で、制御弁と識別カバー部材との組合せは容易なため、制御弁と識別カバー部材との組合せに多様性があるのでよい。
さらに、前記識別部と前記識別部材とを合致させて前記制御弁の設定条件を識別し確認することができるで、誤組防止、誤操作防止を容易に判断でき、保守管理を簡素化にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第一の実施の形態に係る制御弁誤操作防止装置の概略構造を示す縦断面図である。
【図2】図1の左側面図である。
【図3】バルブ本体にプラグ部材が螺着された状態を示す断面図である。
【図4】バルブ本体に形成された加工穴の要部拡大図である。
【図5】図1の平面図である。
【図6】本発明の第一の実施の形態に係る制御弁誤操作防止装置の斜視図である。
【図7】本発明の第二の実施の形態に係る制御弁誤操作防止装置の斜視図である。
【図8】本発明の第三の実施の形態に係る制御弁誤操作防止装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の電磁弁につき好適な実施の形態を挙げ、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の第一の実施の形態に係る制御弁誤操作防止装置10の概略構造を示す縦断面図である。
制御弁誤操作防止装置10は、バルブ本体11と、該バルブ本体11にねじ機構により螺着された制御弁、例えば流量設定が調整済の流量制御弁12と、該流量制御弁12を上方より被覆しバルブ本体11に取り付ける識別カバー(識別カバー部材)13と、前記識別カバー13に形成され流量設定が設定済の前記流量制御弁12を識別する識別マーク(識別部)14(図5参照)と、前記識別マーク14に嵌挿して前記流量制御弁12を識別する識別ピン(識別部材)15(図5参照)と、前記識別カバー13を取り付け、該識別カバー13の取り外しを機械的に阻止するプラグ部材16(図5参照)と、を備える。
【0013】
断面矩形状のバルブ本体11には、その下面11aがベース17に取り付けられて図示しない圧力供給源に連通する入口18及び流量制御弁12により設定流量の圧油を図示しない油圧機器に供給する出口19が設けられており、前記入口18及び出口19は通路20により連通している。参照符号21は通路20の開口端を閉塞する閉止栓である。また、前記流量制御弁12は必要とする設定流量に調整されて前記バルブ本体11に螺着されている。この場合、流量制御弁12の構成は公知であり、本発明の要旨ではないので詳細な説明は省略する。
【0014】
図3はプラグ部材16をバルブ本体11に螺着した状態を示す概略構造図である。プラグ部材16は本体28の両端部形成されたねじ部29と、該ねじ部29に隣接した鍔部30と、溝31と、六角頭部32と、を備えるが、実公平5−34369号公報に記載されているので、主要部のみ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0015】
図4は、プラグ部材16をバルブ本体11に螺着した状態を示す構造図である。図4に
示すように、バルブ本体11の加工穴25には平行ねじ穴26と加工穴25の口縁の60度のテーパ部27とを加工している。なお、テーパ部27と鍔部30(図3参照)のテーパ度の大小は任意である。
プラグ部材16により識別カバー13をバルブ本体13に取り付けた際に、工具によりプラグ部材16の六角頭部32を切り取って識別カバー13が容易に取り外しできないようにしている。これにより流量設定済の流量制御弁12の設定条件の変更を不可にしている。従って、初期の設定条件を確保することができる。
【0016】
図1及び図5に示すように、識別カバー13は断面矩形状を形成して流量制御弁12を被覆するように上方が遮蔽され、下方は開口されてバルブ本体11の外側面の二面に少なくとも二方向からプラグ部材16で取り付けられている。この場合、識別カバー13はプラグ部材16に取り付けられない他の二面は下方がバルブ本体11の上面11b(図1参照)に載置されている。前記プラグ部材16は工具による識別カバー13の取り外しができないようにしている。
よって、プラグ部材16で識別カバー13をバルブ本体13に取り付けた際に、工具により該プラグ部材16の六角頭部32(図3参照)を切り取って識別カバー13が容易に取り外しできないようにしている。これにより流量設定済の流量制御弁12の設定条件の変更を不可にしている。従って、初期の設定条件を確保することができる。
【0017】
図2及び図5に示すように、前記識別マーク14は識別カバー13の下方に設けられた識別プレート23に半円形状の開口部に形成されており、識別マーク14が形成された位置と流量制御弁12とが対応している。すなわち、識別マーク14の位置により設定流量に調整された流量制御弁12の識別ができるようになっている。
よって、図5のように、識別プレート23に同一寸法で同一形状の識別マーク14が点線に示すように複数個設けることにより、該識別マーク14の位置によって流量設定された流量制御弁12の識別することができる。識別部14の形状は半円状に形成したが円形状に形成してもよく又は逆V字状に形成してもよい。
【0018】
識別マーク14に係合する識別ピン15はベース17に取り付けられており、識別マーク14の形状に容易に嵌挿できるように断面円形状のピン部材が望ましく、識別マーク14の位置と識別ピン15の位置とが対応するようになっている。このため、識別マーク14と識別ピン15との位置が合致しないと流量制御弁12は取り付けることができないので、流量制御弁12の誤組防止が可能である。
さらに、設定条件に対応した識別カバー13をバルブ本体11に取り付ければ、流量個別の流量制御弁12として管理することが可能である。
【0019】
本発明の第一の実施の形態に係る制御弁誤操作防止装置10は基本的には以上のように構成されており、該制御弁誤操作防止装置10を組み付ける順序について説明する。
所定の設定条件に調整された流量制御弁12をバルブ本体11に螺着する。次いで、流量制御弁12を識別する識別マーク14を形成した識別プレート23を有する識別カバー13で選択し、該識別カバー13を流量制御弁12に被覆してバルブ本体11にプラグ部材16で取り付け、該プラグ部材16の六角頭部32(図3参照)を工具(図示しない)により切り取る。このため、流量制御弁12及び識別カバー13はバルブ本体11より容易に着脱することができない。
よって、識別カバー13をバルブ本体11より取り外したときは、流量制御弁12は人為的操作され、設定条件を変更したと判断することができる。
【0020】
一体になったバルブ本体11、流量制御弁12及び識別カバー13をベース17に取り付けるには、識別プレート23に形成された識別マーク14に合致する識別ピン15を取り付けたベース17を選択し、該識別ピン15に識別マーク14を嵌め込む。
これにより、流量制御弁12側の識別マーク14とベース17側の識別ピン15が合致して、流量制御弁12の設定条件に対応する識別カバー13は、流量制御弁12の流量設定に対応する識別ピン15を取り付けるベース17に固定することができる。
本発明の第一の実施の形態では、設定流量に対応した識別カバー13をバルブ本体11に固定すれば、流量個別のバルブとして管理することができる。
さらに、バルブ本体11及び流量制御弁12を共通にして識別カバー13との組み合わせは容易である。
【0021】
図7は、第二の実施の形態に係る制御弁誤操作防止装置40の斜視図である。図7中、図1乃至図3の構成要素と同一の構成要素については同一符号を付して詳細の説明を省略する。以下、同様とする。
図7に示す制御弁誤操作防止装置40の特徴は、識別マーク14を形成する識別プレート41を識別カバー13と別体にして、ベース17に取り付ける識別カバー13の取付面13aに対して直交した方向にバルブ本体11に取り付けたことにある。
図8は、第三の実施の形態に係る制御弁誤操作防止装置50の斜視図である。制御弁誤操作防止装置50の特徴は、識別カバー13と別体にした識別プレート51を識別カバー13の取付面13aと同方向にバルブ本体11に取り付けたことにある。
本発明の第一乃至第三の実施の形態に係る制御弁誤操作防止装置10、40、50においては、流量制御弁について説明したが、他の制御弁、例えば圧力制御弁、手動操作切換弁についても適用できる。
【符号の説明】
【0022】
10、40、50 制御弁誤操作防止装置 11 バルブ本体
12 制御弁 13 識別カバー
14 識別マーク 15 識別ピン
16 プラグ部材17 ベース 18 入口
19 出口 20 通路
23、41、51 識別プレート 25 加工穴
26 ねじ穴 27 テーパ部
28 本体 29 ねじ部
30 鐔部 31 溝
32 六角頭部





【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の設定条件に調整された制御弁と、
前記制御弁を取り付けたバルブ本体と、
前記バルブ本体に取り付られ前記制御弁を被覆して該制御弁の設定条件を識別し、該設定条件を判別する位置に識別部を設けた識別カバー部材と、
前記識別カバー部材による前記制御弁の設定条件と一致した際に前記の位置と合致し該識別部に嵌挿する識別部材と、
前記バルブ本体に螺着されて前記識別カバー部材を該バルブ本体に取り付けるプラグ部材と、を備え、
前記識別部と前記識別部材とを合致させて前記制御弁の設定条件を識別することを特徴とする制御弁誤操作防止装置。
【請求項2】
請求項1記載の制御弁誤操作防止装置において、前記識別カバー部材に設けた前記識別部を該識別カバー部材に代わって前記バルブ本体に取り付ける識別固定板に形成したことを特徴とする制御弁誤操作防止装置。
【請求項3】
請求項2記載の制御弁誤操作防止装置において、
前記識別部は半円もしくは円形状または逆V字状溝にすることを特徴とする制御弁誤操作防止装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1記載の制御弁誤操作防止装置において、
前記識別部材はピン部材であることを特徴とする制御弁誤操作防止装置前記。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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