説明

制振間仕切パネル装置

【課題】地震等の災害時における衝撃により生じる天井の破損や間仕切パネルの転倒および破損を防止できる制振間仕切パネル装置を提供する。
【解決手段】左右に立設した中空の断面視略矩形状の支柱2,2’と、支柱2,2’の前後の面にそれぞれ取り付けられる、クロス等のパネル部材5と、パネル部材5の下辺側に設けられ、支柱2,2’に接続されるとともに、制振間仕切パネル装置1を床面に固定する固定部Kと、パネル部材5の上辺側に設けられ、支柱2,2’に接続されるとともに、天井面Tに接触する接触面Mを備える天井側接触部Sとを少なくとも有し、天井側接触部Sは、前記接触面と前記天井面との接触状態を維持する押圧力を発生させる制振機構である制振ユニット6を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右に立設した支柱の前後にパネル部材を取り付けてなる複数枚の間仕切パネルを、直線上に連設して室内を仕切るようにした間仕切パネル装置に関し、特に地震による天井の破損、間仕切パネルの転倒や破損を防止する制振間仕切パネル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内を複数の部屋に仕切る場合、複数本にわたり所定距離離間して立設された支柱の前後にパネル部材を取り付けて構成される複数枚の間仕切パネルを、直線上に連設した間仕切パネル装置が用いられており、主な間仕切パネル装置の態様としては、たとえば特許文献1に記載されているように、間仕切パネルにおける下辺部が床面に、上辺部が天井面にボルトを用いて固定されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−016526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら前記特許文献1に記載されている間仕切パネル装置においては、上下共に強固に固定されるため、特に地震により生じる衝撃等に対して衝撃を逃がすことができず、天井の破損や間仕切パネルの転倒および破損を引き起こす恐れがあるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、地震等の災害時における衝撃により生じる天井の破損や間仕切パネルの転倒および破損を防止できる制振間仕切パネル装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の制振間仕切パネル装置は、
二本の支柱の間にパネル部材を取り付ける制振間仕切パネル装置において、
前記パネル部材の下辺側に設けられ、前記支柱に接続されるとともに、当該制振間仕切パネル装置を床面に固定する固定部と、
前記パネル部材の上辺側に設けられ、前記支柱に接続されるとともに、天井面に接触する接触面を備える天井側接触部とを有し、
前記天井側接触部は、前記接触面と前記天井面との接触状態を維持する押圧力を発生させる制振機構を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、制振間仕切パネル装置は、パネル部材の下辺側に設けられた固定部により床面に固定され、天井側接触部は、パネル部材の上辺側に設けられ、天井面に接触面が接触して押圧する。固定部および天井側接触部は、支柱に接続され、二本の支柱の間にはパネル部材が取り付けられて、制振間仕切パネル装置が、床面に固定された状態で、天井面まで配置される。地震等の災害時における衝撃が起こった場合には、天井側接触部の制振機構により、接触面と前記天井面との接触状態を維持する押圧力を発生させるので、地震等の災害時における衝撃等による振動エネルギーを吸収することができるとともに、床面と天井面との高さ方向の長さが変形などにより変わったときにも、その長さに制振機構が追従して天井面を押圧して、衝撃により生じる天井の破損や間仕切パネルの転倒および破損を防止することができる。ここでいう制振機構とは、接触面と前記天井面との接触状態を維持する押圧力を発生させるような機構をいい、機械的に、地震等の災害時における衝撃等による振動エネルギーを吸収して振動を低減させることができる機構などであり、例えば、バネ等による付勢手段により構成される。また、天井側接触部は、天井面に接触面で接触するので、押圧力が一点に集中することなく、面上に分散されるようにできる。
【0007】
本発明の請求項2に記載の制振間仕切パネル装置は、
前記制振機構の前記押圧力を発生させる状態の作動状態と、非作動状態とを切り替える切り替え手段を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、切り替え手段は、制振機構の前記押圧力を発生させる状態の作動状態と、非作動状態とを切り替えることができるため、設置前には、制振機構を非作動状態に切り替えておき、設置場所に設置後、制振機構を作動状態に切り替えることで、押圧力を発生させるようにできる。これにより、設置前の移動時や設置時には、制振機構を非作動状態のままで取り扱うことができるので、移動や設置作業が簡単になる。例えば、制振機構がバネ等による付勢手段により構成される場合には、バネの付勢が働かないような縮んだ非作動状態としておくことで、取り扱いや設置作業が簡単になり、また、移動時や設置作業時にバネが必要以上に伸びたりするのを防ぐことができ、さらに、設置後に作動状態に切り替えることで、バネが良好に作動されるようになる。
【0008】
本発明の請求項3に記載の制振間仕切パネル装置は、
前記制振機構は、当該制振機構の前記天井面までの高さ方向の寸法並びに前記押圧力を調整する押圧力調整手段を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、押圧力調整手段は、当該制振機構の前記天井面までの高さ方向の寸法並びに押圧力を調整することができるので、設置場所の状況に応じて、任意の天井面までの高さ方向の寸法と、押圧力を調整することができる。例えば、制振機構がバネ等による付勢手段により構成される場合には、バネの長さを調整できるような構成とすればよい。また、押圧力調整手段は、切り替え手段を兼ねることもできる。この場合、制振機構の天井面までの高さ方向の寸法並びに前記押圧力を、非作動状態に維持しておき、設置後に、押圧力が作動状態となるように、制振機構の天井面までの高さ方向の寸法を調整するようにすることで、切り替えることができる。
【0009】
本発明の請求項4に記載の制振間仕切パネル装置は、
前記パネル部材の上辺側に設けられ、前記支柱に連結されるとともに、前記天井側接触部に連結する連結部を有し、
前記天井側接触部は、前記連結部に対して着脱可能にユニット化されていることを特徴としている。
この特徴によれば、連結部は、パネル部材の上辺側に設けられ、前記支柱に連結されるとともに、前記天井側接触部を着脱可能に連結することができるように構成されているため、制振間仕切パネル装置の設置時に、設置場所にてユニット化された天井側接触部を、連結部に取り付けることができる。
【0010】
本発明の請求項5に記載の制振間仕切パネル装置は、
前記連結部は、前記天井側接触部の前記天井面までの高さ方向の配置位置を、当該連結部に対して上下に移動させる移動手段を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、連結部の移動手段により、前記天井側接触部の前記天井面までの高さ方向の配置位置を、当該連結部に対して上下に移動させることができるので、制振間仕切パネル装置の設置時に、設置場所にて、床面から天井面までの空間の高さに対応するような配置位置に設定することができる。例えば、床面から天井面までの空間の高さが通常よりも高い場合などには、移動手段で、天井側接触部を上方に移動させることで、天井側接触部を天井面に接触させることができる。
【0011】
本発明の請求項6に記載の制振間仕切パネル装置は、
前記天井側接触部は、前記パネル部材の上辺に則して延びるとともに、断面が下向きに開口するコ字状に形成された第1チャネル材と、前記パネル部材の上辺に則して延びるとともに、断面が上向きに開口するコ字状に形成され、前記第1チャネル材に係合する第2チャネル材とを備え、
前記制振機構は、前記第1チャネル材と前記第2チャネル材の間であって、前記パネル部材の上辺に則して延びている方向の所定の位置に少なくとも一つ設けられることを特徴としている。
この特徴によれば、天井側接触部は、第1チャネル材とそれに係合する第2チャネル材とから構成され、制振機構は、この前記第1チャネル材と前記第2チャネル材の間であって、前記パネル部材の上辺に則して延びている方向の所定の位置に少なくとも一つ設けられる。例えば、制振機構を二つ設ける場合には、前記パネル部材の上辺方向の両側に設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1における制振間仕切パネル装置の斜視図である。
【図2】第1の間仕切パネルユニットの正面視横断面図である。
【図3】第1の間仕切パネルユニットの側面図である。
【図4】天井接触部の一部拡大横断正面図である。
【図5】図4における天井接触部のA−A断面矢視図である。
【図6】制振機構における各部材の側断面図である。
【図7】支柱に連結部を構成する連結金具が連結された状態を示す一部横断正面図である。
【図8】支柱に連結部を構成する連結金具と上部連結材が連結された状態を示す一部横断正面図である。
【図9】支柱が床面に固定されるとともに、連結部に天井側接触部が取り付けられた状態を示す一部横断正面図である。
【図10】移動手段により接触面が天井面に接触された状態を示す一部横断正面図である。
【図11】切り替え手段により制振機構が非作動作動状態から作動状態に切換えられた状態を示す一部横断正面図である。
【図12】第1および第2の間仕切パネルユニットの連設状態を示す上面図である。
【図13】第2の間仕切パネルユニットの連設状態における変形例の上面図である。
【図14】第1および第2の間仕切パネルユニットの他の連設状態を示す上面図である。
【図15】実施例2における制振間仕切パネル装置の一部拡大横断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る制振間仕切パネル装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0014】
実施例1に係る制振間仕切パネル装置につき、図1から図11を参照して説明する。図1は、本発明の制振間仕切パネル装置1の全体斜視図である。なお本発明における制振間仕切パネル装置1における支柱は直線上に複数本、立設して構成されるが、本実施例においては無作為に選んだ隣接する2本の支柱2,2’を用いて説明し、以下、図2の紙面手前側を制振間仕切パネル装置1の正面側として説明する。
【0015】
図1および図2に示されるように制振間仕切パネル装置1は、左右に立設した中空の断面視略矩形状の支柱2,2’と、支柱2,2’の前後の面にそれぞれ取り付けられる、クロス等のパネル部材5と、パネル部材5の下辺側に設けられ、支柱2,2’に接続されるとともに、制振間仕切パネル装置1を床面に固定する固定部Kと、パネル部材5の上辺側に設けられ、支柱2,2’に接続されるとともに、天井面Tに接触する接触面Mを備える天井側接触部Sとを少なくとも有し、天井側接触部Sは、接触面Mと天井面Tとの接触状態を維持する押圧力を発生させる制振機構である制振ユニット6を備える。また、制振間仕切パネル装置1は、直線上に複数連接される第1の間仕切パネルユニット51と、後述する、第1の間仕切パネルユニットに対して互いに倒れにくい方向に連設される第2の間仕切パネルユニット52とを有することができる。なお、実施例1においては、制振間仕切パネル装置1として、第1の間仕切パネルユニット51単体の構成について説明する。
【0016】
本実施例において、天井側接触部Sの制振ユニット6は、後述するように、バネ等による付勢手段を備え、天井面Tに接触面Mが接触し接触状態を維持する押圧力を発生させることで、地震などにより制振間仕切パネル装置1が振動したときに、制振ユニット6の付勢力でその振動エネルギーを吸収するとともに、床面Yと天井面Tとの高さ方向の長さMが変形などにより変わったときにも、追従して天井面Tを押圧して、衝撃により生じる天井の破損や間仕切パネルの転倒および破損を防止することができるように構成されている。また、天井側接触部Sは、天井面Tに接触面Mで接触するようになっているので、押圧力が一点に集中することなく、面上に分散されるようにできる。
【0017】
制振間仕切パネル装置1は、支柱2,2’を連結するとともに、これらの支柱2,2’の上部側に設けられ、天井側接触部Sに連結する連結部Rとして、上部連結材3と、支柱に2,2’を連結するとともに、これらの支柱2,2’の下部側に設けられ、固定部Kに連結される下部連結材4とを備える。断面視上向きに開口するコ字状に形成された上部連結材3の上部に制振ユニット6が嵌合されることで、支柱2,2’と天井側接触部Sとが上部連結材3を介して接続される。制振ユニット6は上部連結材3に対して着脱可能にユニット化されている。支柱2と支柱2’とを接続する連結部Rとしては、上部連結材3を少なくとも備えていればよいが、下部連結材4や、さらに補助杆33により連結させるようにできる。また、連結部Rとしては、上部連結材3と支柱2,2とを連結する支柱連結金具9,9’を備える。
【0018】
図2および図3に示されるように、制振間仕切パネル装置1を床面に固定する固定部Kは、L字板7、固着ネジ35およびアンカー・プラグ8を備え、左右の支柱2,2’それぞれの下端部における左右のうち一方の側面または両面に、L字板7が固着ネジ35で取り付けられ、このL字板7がアンカー・プラグ8により下部連結材4に設けられた貫通孔19を通して床面に固定され、それぞれの支柱2,2’が立設されて床面に固定されるとともに、下部連結材4が床面Yに固定されるようになっている。左右の支柱2,2’それぞれの下端部の奥行き方向の厚みは前後方向に僅かに短くなっており、床面Y上に載置された断面視上向きに開口するコ字状の下部連結材4内に嵌合するようになっている。固定部Kとしては、下部連結材4を設けずに、支柱2,2’だけを床面に固定するようにしてもよい。下部連結材4の長手方向の長さは、パネル材5の幅方向の長さとほぼ同じとして、隣り合う下部連結材4を、それぞれ支柱2,2’を介して連結するように構成できる。もしくは、下部連結材4の長手方向の長さは、パネル材5を複数枚連設させた場合の長さとほぼ同じ長さにしてもよい。
【0019】
また図3に示されるように、パネル材5の背面左右縁部には縦方向に複数の係合凹部29が設けられ、支柱2,2’の左右には、正面および背面に向けて上方に向けた鉤部301を有する係合鉤部材30が縦方向に複数設けられており、これらの鉤部301に対し係合凹部29がそれぞれ係合することでパネル材5が支柱2,2’に係合支持されるようになっている。
【0020】
図2、図4および図5に示されるように、T字状の支柱連結金具9,9’は、左右方向に延びる板状の連結棒10,10’と、支柱2,2’に嵌合する下方杆部11,11’とを備えており、下方杆部11,11’が、左右の支柱2,2’の上方より支柱中空部21,21’にそれぞれ嵌合支持され、支柱2,2’の左右両側面より螺進するビス36によって支柱連結金具9,9’と支柱2,2’とがそれぞれ固定される。
【0021】
図4および図5に示すように、連結部Rとしての上部連結材3は、その長手方向の長さがパネル部材5の幅の長さとほぼ同じであり、断面視上向きに開口するコ字状に形成された上板31および下板32の2枚のコ字状の金属板を備え、それら上板31および下板32が、お互いの底板同士を所定距離離間して側面を熱溶着されて形成されている。上板31の底板には後述する昇降タップ穴12および第1調整孔16が設けられているとともに、上板31の上面には制振ユニット6が遊嵌載置できるようになっている。なお、上部連結材3は、断面視上向きに開口するコ字状に形成された上板31および下板32の2枚のコ字状の金属板で形成されているが、本発明はこの限りではなく、一枚のコ字状の金属板で形成されていてもよい。
【0022】
下板32の底板には長手方向に直線上、かつ幅方向複数列にわたり固定タップ穴14が螺設されており、これらの固定タップ穴14と固定ネジ15が前述の支柱連結金具9,9’の連結棒10,10’に設けられる挿通孔28を介して螺合することにより支柱連結金具9,9’と上部連結材3とが固定されるようになっている。さらに下板32の底板には第1調整孔16の真下に第2調整孔17が、前記昇降タップ穴12の真下に第1昇降孔18が、それぞれ設けられている。なお、支柱連結金具9,9’と上部連結材3とが連結された際の連結棒10,10’における第1昇降孔18の真下に位置する箇所には、第2昇降孔39が穿設されている。
【0023】
また図2および図4に示されるように、上部連結部3に備える昇降ネジ13を下方より第1昇降孔18、第2昇降孔39および昇降タップ穴12を挿通させ、制振ユニット6の底面に設けられたリング状の誘導凹部60の内周面601に遊嵌して昇降ネジ13の先端部が制振ユニット6底面を当接支持するようになっており、昇降ネジ13の螺進または螺退によって制振ユニット6の上下移動が可能となっている。昇降ネジ13が昇降タップ穴12に螺合して制振ユニット6の底面の誘導凹部60を押圧することで、上部連結材3の上板31の底板の位置に対して制振ユニット6の底面位置を上下方向に調整でき、制振ユニット6の天井面までの高さ方向の配置位置を上部連結部3に対して上下に移動させる移動手段として機能する。また、昇降ネジ13により、制振ユニット6の底面の誘導凹部60を押圧することで制振ユニット6の高さ方向の寸法Hも調整することができる。
【0024】
図6に示されるように、天井側接触部Sの制振ユニット6は、制振機構である制振コイルばね20と、断面視下向きに開口し、上部に弾性体40を有する第1チャネル材22と、第1チャネル材22と係合する断面視上向きに開口するコ字状の第2チャネル材23とを備え、制振コイルばね20は、第1チャネル材22と第2チャネル材23の間であって、パネル部材5の上辺に則して延びている方向の所定の位置に少なくとも一つ設けられている。制振コイルばね20は、例えば、図1に示すように、パネル部材5の上辺方向の両側に一つずつ配置して二つ設けることができる。天井側接触部Sの制振ユニット6の第1チャネル材22と第2チャネル材23とは、パネル部材5の上辺に則して延び、パネル部材5の上辺の長さとほぼ等しい長さを有している。また、パネル部材5を連接させた場合には、隣接する天井側接触部Sの制振ユニット6同士を連結させるようにしてもよい。制振ユニット6は、図6に示すように、調整ネジ24が、第2チャネル材23の底板に穿設された貫通孔25および制振コイルばね20を通して、第1チャネル材22の天板内面26に設けられるネジ筒27と螺合する。これらの螺合の深さにより調整ネジ24の頭部が、第2チャネル材23の底板に当接するか、もしくは第2チャネル材23の底板から離間した位置になるように切り替えられるようになっている。また、調整ネジ24のネジ筒27との螺合の深さを調整することで、第1チャネル材22と第2チャネル材23との高さ方向の寸法Hを調整することができる。制振ユニット6は、制振間仕切パネル装置1の設置時や搬入時には、調整ネジ24のネジ筒27との螺合の深さを適当な任意の深さとしておき、この状態では、第1チャネル材22と第2チャネル材23との間に制振コイルばね20が挿入されているので、調整ネジ24の頭部が、第2チャネル材23の底板に当接した状態の非作動状態となっている。制振間仕切パネル装置1を後述するような工程で設置する際に、調整ネジ24のネジ筒27との螺合の深さが短くなるように調整ネジ24をゆるめて調整することで、調整ネジ24の頭部が第2チャネル材23の底板から離間した位置になる状態の作動状態に切り替えることができる。調整ネジ24とネジ筒27とにより、非作動状態から制振機構の押圧力を発生させる状態の作動状態に切り替える切り替え手段として機能するようになっている。また、第1チャネル材22と第2チャネル材23との高さ方向の寸法Hを調整ネジ24により調整することで、制振コイルばね20の伸長可能な長さが調整され、地震などの振動発生時に発揮される、接触面Mと天井面Tとの接触状態を維持する押圧力を調整することができ、押圧力調整手段を構成することができる。なお、支柱連結金具9,9’の連結棒10,10’には、第1調整孔16および第2調整孔17の真下に、第3調整孔38が穿設されている。そのため、第1調整孔16、第2調整孔17および第3調整孔38を通してドライバー等の先端部を挿入することで、連結棒10,10’の下方より前記調整ネジ24の調整が行えるようになっている(図2、図4参照)。
【0025】
続いて、本発明における制振間仕切パネル装置1の組み立て設置方法を図7から図11を用いて説明する。
【0026】
制振間仕切パネル装置1は、搬入時には、支柱2,2’、パネル部材5、固定部Kの部品、天井側接触部Sの制振ユニット6、連結部Rの部品は、必要個数、それぞれ連結されていない状態で搬入され、設置場所にて組み立てられて設置される。天井側接触部Sの制振ユニット6は、図6に示すネジ筒27に制振コイルばね20を遊嵌設置し、第1チャネル材22と第2チャネル材23とにより上下から制振コイルばね20を囲繞した後、第2チャネル材23の底板に穿設された貫通孔19および制振コイルばね20を通して調整ネジ24をネジ筒27に螺合して、予め組み立てられた非作動状態で搬入される。この場合、第1チャネル材22と第2チャネル材23との高さ方向の寸法Hは、第2チャネル材23の底面が押下されたときに制振コイルばね20の縮み幅を残した状態で一番小さくなるように、調整ネジ24をネジ筒27にいちばん深く螺合した状態としておくことで取り扱いやすく設置を簡単にすることができる。この状態では、調整ネジ24をネジ筒27に螺合して調整ネジ24の頭部が第2チャネル材23の底板に当接した状態にあり、第1チャネル材22と第2チャネル材23との高さ方向の寸法Hがそれ以上伸びることがないので、制振コイルばね20がそれ以上伸長しない状態の非作動状態となっている。設置前の移動時や設置時には、制振ユニット6を非作動状態のままで取り扱うことができるので、移動や設置作業を簡単にすることができる。また、移動時や設置作業時に制振コイルばね20が必要以上に伸びたりするのを防ぎ、設置後に作動状態に切り替えることで、制振コイルばね20が良好に作動されるようになっている。
【0027】
このような状態で搬入されると、まず、配置工程として、支柱2,2’、天井側接触部Sの制振ユニット6および連結部Rを連結して組み立てておき、設置場所に配置する。この場合の連結は、図7に示すように、連結部Rの支柱連結金具9,9’の下方杆部11,11’を左右の支柱2,2’の上方より支柱中空部21,21’にそれぞれ嵌合し、ビス36により固定する。つぎに、図8に示すように、支柱連結金具9,9’における左右方向に延びる連結棒10,10’の上側に上部連結材3の上板31および下板32を配置し、下板32の底板に複数螺設された固定タップ穴14に、連結棒10,10’の挿通孔28を介して固定ネジ15で螺合して、支柱連結金具9,9’と上部連結材3とを、それぞれ固定する。そして図9に示すように、予め組み立てられた制振ユニット6を非作動状態を維持した状態で上部連結材3のコ字状の上板31の上に配置して、支柱2,2’、天井側接触部Sの制振ユニット6および連結部Rを組み立てた状態とする。その後、設置場所に、組み立てた状態の左右の支柱2,2’を所定距離離間して配置し、固定部KのL字板7およびアンカー・プラグ8により下部連結材4を介してそれぞれ床面に固定する。
【0028】
つぎに、高さ調整工程として、上部連結材3上へ配置された制振ユニット6の天井面Tまでの高さ方向の配置位置を調整するため、上板31の底板の左右にある昇降タップ穴12に昇降ネジ13を螺進させ、昇降ネジ13の先端部をそれぞれ制振ユニット6の底面にあるリング状の誘導凹部60内周面に遊嵌させて制振ユニット6の底面に昇降ネジ13の先端部を当接させる。このとき制振ユニット6を、非作動状態を維持した状態で取り扱うとことで、制振ユニット6の接触面M部と天井面Tとの間に空間Uを作ることができるため、所定位置に対する制振間仕切パネル装置1の設置を容易に行える。続いて図10に示すように、更に左右の昇降ネジ13をそれぞれ上方へ螺進させ、昇降ネジ13それぞれの先端部により制振ユニット6底面を押圧して制振ユニット6の接触面Mを天井面Tに押圧させる。これにより床面Yと天井面Tに対する左右の支柱2,2’の固定が完了する。
【0029】
つぎに、切り替え工程として、図11に示すように、上部連結材3の上板31に設けられた第1調整孔16、下板32の第2調整孔17および連結棒10,10’の第3調整孔38を通してドライバー等の先端部を挿入し、調整ネジ24を所定距離螺退させて、制振ユニット6における制振コイルばね20が押圧力を発生させる状態となるように、非作動状態から作動状態に切り替える。
【0030】
最後に、パネル取付工程として、図2に示すパネル材5の背面左右縁部に複数設けられた係合凹部29を、左右の支柱2,2’の正面および背面に複数設けられた上方に向く鉤部301を左右に有する係合鉤部材30にそれぞれ係合し(図3参照)、パネル材5を支柱2,2’に係合支持させて制振間仕切パネル装置1における第1の間仕切パネルユニット51の組み立て設置工程を完了する。第1の間仕切パネルユニット51を複数連接する場合には、各工程において複数の第1の間仕切パネルユニット51を並行して組み立てて設置するようにできる。
【0031】
続いて、前述した第2の間仕切パネルユニット52を図1および図12を用いて説明する。第2の間仕切パネルユニット52は、第1の間仕切パネルユニット51に対して互いに倒れにくい方向に連設されるパネルユニットであり、例えば、図1に示すように、第2の間仕切パネルユニット52が、第1の間仕切パネルユニット51に対して直交する方向に連結されて設けられる。第2の間仕切パネルユニット52の構成は、前述した第1の間仕切パネルユニット51の構成とほぼ同じ構成であるが、第2の間仕切パネルユニット52の袖パネル部材50の幅方向の長さは、第1の間仕切パネルユニット51のパネル材5の幅方向の長さより小さくするようにすることで邪魔にならないようにできる。第2の間仕切パネルユニット52は、三方向に間仕切パネルユニットを連結することができる中空の断面視略矩形状の袖パネル用支柱200,200’と、袖パネル用支柱200,200’の前後の面にそれぞれ取り付けられる、クロス等の袖パネル部材50と、袖パネル部材50の下辺側に設けられ、袖パネル用支柱200,200’に接続されるとともに、第2の間仕切パネルユニット52を床面に固定する固定部K2と、袖パネル部材50の上辺側に設けられ、袖パネル用支柱200,200’に接続されるとともに、天井面Tに接触する接触面を備える天井側接触部S2とを少なくとも有し、天井側接触部S2は、天井面Tを押圧するとともに、接触面Mと天井面Tとの接触状態を維持する押圧力を発生させる制振機構である制振ユニット61を備える。また、制振間仕切パネル装置1は、これらの袖パネル用支柱200,200’の上辺側に設けられ、袖パネル用支柱200,200’に連結されるとともに、天井側接触部S2に連結するここでは図示しない連結部としての上部連結材と、これらの支柱2,2’の下辺側に設けられ、袖パネル用支柱200,200’に連結されるとともに、固定部Kに連結される下部連結材41とを備え、上部連結材(図示せず)の上部に制振ユニット61が嵌合されており、制振ユニット61は上部連結材(図示せず)に対して着脱可能に構成され、第1の間仕切パネルユニット51と反対方向に立設された袖パネル連結用支柱200の端面には化粧板63が固定されるようになっている。下部連結材41と上部連結材の構成も前述した下部連結材4と上部連結材3と同じ構成とすることができる。袖パネル用支柱200は、三方向に第1の間仕切パネルユニット51または第2の間仕切パネルユニット52を連結するような構成となっているが、四方向に連結するような構成としてもよい。
【0032】
また、袖パネル用支柱200の他の構成例を図14に示す。図14に示されるように、袖パネル用支柱210は断面視略六角形に形成されており、袖パネル用支柱210における第1の間仕切パネルユニット51が連設されていない辺に対し、第2の間仕切パネルユニット52を連設することができるようになっている。これによれば、斜め方向(本実施例においては約60度)に第2の間仕切パネルユニット52を連設が可能であり、制振間仕切パネル装置1の設置場所に合わせて間仕切の設計を行うことができる。なお、本実施例における袖パネル用支柱210は断面視略六角形に形成されているが、袖パネル用支柱210の形状はこの限りではなく、たとえば断面視八角形や断面視多角形等に形成されていてもよく、各側面に第1の間仕切パネルユニット51または第2の間仕切パネルユニット52を連設するようにできる。このように袖パネル用支柱210の形状を変えることで、第2の間仕切パネルユニット52の第1の間仕切パネルユニット51に対する所定の角度(180度を除く)を任意の角度にすることができる。
【0033】
第1の間仕切パネルユニット51と同様に袖パネル材50は、袖パネル連結用支柱200の側面に複数設けられた袖パネル係合鉤部材300に対し、ここでは図示しない袖パネル材50の背面左右縁部に複数設けられた係合凹部がそれぞれ係合して袖パネル連結用支柱200に対し固定されるようになっている。また、袖パネル係合鉤部材300には第1の間仕切パネルユニット51におけるパネル部材5の背面左右縁部に複数設けられた係合凹部29もそれぞれ係合するようになっている。このように、袖パネル係合鉤部材300は、第1の間仕切パネルユニット51と第2の間仕切パネルユニット52とを係合する係合部として機能する。また、袖パネル係合鉤部材300の代わりに、前述した係合鉤部材30を、各間仕切パネルユニットに対応するように設けてもよい。
【0034】
本実施例によれば、第2の間仕切パネルユニット52は、第1の間仕切パネルユニット51に対して互いに倒れにくい方向に連設されることができる。互いに倒れにくい方向に連接されるとは、第2の間仕切パネルユニット52が第1の間仕切パネルユニット51に対して所定の角度(180度を除く)で連接されることをいい、例えば、図12に示されるように、第2の間仕切パネルユニット52が第1の間仕切パネルユニット51に対して90度で連接されて、第1の間仕切パネルユニット51と第2の間仕切パネルユニット52とが直交するように連接される場合である。これによれば、第2の間仕切パネルユニット52は、第1の間仕切パネルユニット51に互いに倒れにくい方向に連設されるため、第1の間仕切パネルユニット51と第2の間仕切パネルユニット52とで支え合い、制振間仕切パネル装置1の転倒をより防ぐことができる。
【0035】
また、図12に示されるように、第1の間仕切パネルユニット51と前記第2の間仕切パネルユニット52とは、左右一方の袖パネル連結用支柱200を共有する態様になっており、第1の間仕切パネルユニット51と第2の間仕切パネルユニット52との連設が袖パネル連結用支柱200で簡単に行うことができる。
【0036】
また図13に示されるように、第2の間仕切パネルユニット52は、所定間隔を置いて互いに他方に向けて袖パネル連結用支柱200に連接される態様になっていてもよい。これによれば、第2の間仕切パネルユニット52を第1の間仕切パネルユニット51に対して、前後双方に倒れにくい方向に連設することができる。
【実施例2】
【0037】
次に、上記実施例1における切り替え手段の他の構成について、実施例2として、図15を参照して説明する。尚、前記実施例1と同一構成で重複する構成の説明は省略する。
【0038】
実施例2においては、制振コイルばね20の制振機構6の押圧力を発生させる状態の作動状態と、非作動状態とを切り替える切り替え手段が、図15に示されるように、第2チャネル23の底板に穿設された規制孔110と、規制孔110を挿通可能なように第1チャネル22天板内側面26に固着された軸芯100と、軸芯100の下方に穿設されたピン孔111と、このピン孔111に貫通して遊嵌されるピン101とにより構成されている。また、ピン101は、ピン101をスライドさせるときに取っ手となる取手105を備えている。
【0039】
続いて本実施例における切り替え手段の動作について説明する。制振ユニット6の設置前に、制振コイルばね20の付勢力を規制し、規制孔110から軸芯100の下方に穿設されたピン孔111を突出させた状態で、ピン孔111にピン101を遊嵌させ、制振コイルばね20を非作動状態にする。制振ユニット6の設置後には、上部連結材3の上板31に設けられた第1操作孔102と、第1操作孔102の真下に位置するように上部連結材3の下板32に設けられた第2操作孔103および連結棒10に設けられた第3操作孔104を利用して、取手105を持ってピン孔111よりピン101をスライドさせて引き抜き、制振コイルばね20を作動状態に切り替えることができる。この場合、昇降ネジ13により、制振ユニット6の底面の誘導凹部60を押圧することで制振ユニット6の高さ方向の寸法Hを調整することができる。
【0040】
実施例2によれば、切り替え手段を、軸芯100に設けたピン孔111にピン101を抜き差しすることで、非作動状態から、制振機構の押圧力を発生させる状態の作動状態に簡単に切り替えることができる。
【0041】
以上説明したように、本発明の制振間仕切パネル装置1は、左右に立設した中空の断面視略矩形状の支柱2,2’と、支柱2,2’の前後の面にそれぞれ取り付けられる、クロス等のパネル部材5と、パネル部材5の下辺側に設けられ、支柱2,2’に接続されるとともに、制振間仕切パネル装置1を床面に固定する固定部Kと、パネル部材5の上辺側に設けられ、支柱2,2’に接続されるとともに、天井面Tに接触する接触面Mを備える天井側接触部Sとを少なくとも有し、天井側接触部Sは、接触面Mと天井面Tとの接触状態を維持する押圧力を発生させる制振機構である制振ユニット6を備えることで、地震等の災害時における衝撃が起こった場合には、天井側接触部Sの制振機構により、接触面Mと前記天井面Sとの接触状態を維持する押圧力を発生させるので、地震等の災害時における衝撃等による振動エネルギーを吸収することができるとともに、床面Yと天井面Tとの高さ方向の長さが変形などにより変わったときにも、その長さに制振機構が追従して天井面Tを押圧して、衝撃により生じる天井の破損や間仕切パネルの転倒および破損を防止することができる。また、天井側接触部Sは、天井面Tに接触面Mで接触するので、押圧力が一点に集中することなく、面上に分散されるようにできる。
【0042】
また、本発明の制振間仕切パネル装置1は、非作動状態から制振機構の押圧力を発生させる状態の作動状態に切り替える切り替え手段として、調整ネジ24およびネジ筒27、またはピン孔111を設けた軸芯100およびピン101を備えることで、制振ユニット6の押圧力を発生させる状態の作動状態と、非作動状態とを切り替えることができるため、設置前には、制振ユニット6を非作動状態に切り替えておき、設置場所に設置後、制振ユニット6を作動状態に切り替えることで、押圧力を発生させるようにでき、設置前の移動時や設置時には、制振機構を非作動状態のままで取り扱うことができるので、移動や設置作業が簡単になる。
【0043】
また、本発明の制振間仕切パネル装置1は、制振ユニット6が、制振ユニット6の天井面Tまでの高さ方向の寸法H並びに押圧力を調整する押圧力調整手段として、調整ネジ24およびネジ筒27、または、昇降ネジ13を備えることで、設置場所の状況に応じて、任意の天井面までの高さ方向の寸法と、押圧力を調整することができる。
【0044】
本発明の制振間仕切パネル装置1は、パネル部材5の上辺側に設けられ、支柱2,2’に連結されるとともに、天井側接触部Sに連結する連結部Rを有し、天井側接触部Sは、連結部Rに対して着脱可能にユニット化されているため、制振間仕切パネル装置1の設置時に、設置場所にてユニット化された天井側接触部Sを、連結部Rに取り付けることができ、制振間仕切パネル装置1の設置を迅速に行うことが可能である。
【0045】
また本発明の制振間仕切パネル装置1は、上部連結材3に直線上に複数穿設された昇降タップ穴12の下方より昇降ネジ13(移動手段)が螺合して貫通し、昇降ネジ13の先端部が制振ユニット6底面に当接するようになっており、昇降ネジ13の螺進または螺退によって制振ユニット6の天井面Tまでの高さ方向の配置位置を上部連結材3に対して上下に移動させることができる移動手段を有しているため、制振間仕切パネル装置1の設置時に、設置場所にて、床面Yから天井面Tまでの空間の高さに対応するような配置位置に設定することができる。例えば、床面Yから天井面Tまでの空間の高さが通常よりも高い場合などには、移動手段で、制振ユニット6を上方に移動させることで、制振ユニット6を天井面Tに接触させることができる。
【0046】
天井側接触部Sの制振ユニット6は、第1チャネル材22とそれに係合する第2チャネル材23とから構成され、制振コイルばねは、この前記第1チャネル材と前記第2チャネル材の間であって、前記パネル部材5の上辺に則して延びている方向の所定の位置に少なくとも一つ設けられため、例えば、制振コイルばねを二つ設ける場合には、前記パネル部材5の上辺方向の両側に設けることができる。
【0047】
また、地震等の災害時における衝撃等により、瞬間的に床面と天井面との高さ方向の長さが変形した際など、万一制振間仕切パネル装置1が傾いた際にも、制振コイルばね20が伸びて天井側接触部Sが天井面Tに斜めに押圧されるため、制振間仕切パネル装置1がそれ以上傾くのを防止して、転倒および破損を防止することができる。
【0048】
本実施例においては、搬入時や設置時に、制振ユニット6の非作動状態として、第1チャネル材22と第2チャネル材23との高さ方向の寸法を、一番小さくなるようにしていたが、調整ネジ24とネジ筒27との螺合を中間位置ぐらいの任意の位置に調整しておいてもよい。この場合、上板31の底板の昇降タップ穴12に昇降ネジ13を螺進させることで、昇降ネジ13の先端部により制振ユニット6の第2チャネル材23の底面を押圧して制振ユニット6の接触面Mを天井面Tに押圧させるとともに、制振ユニット6の第2チャネル材23と第1チャネル材22との高さ方向の長さHを縮めるようにすることで、高さ調整と切り替え工程とを同時に行うようにできる。
【0049】
また、本発明における制振間仕切パネル装置1の設置工程は上述の限りではなく、たとえば、制振ユニット6における第1チャネル材22と第2チャネル材23との高さ方向の寸法H並びに押圧力を調整することにより制振ユニット6における押圧力調整手段を発揮させるような工法を行うことができる。
【0050】
詳しくは、昇降ネジ13により制振ユニット6の底面位置を上方に移動させる際、制振ユニット6の接触面Mと天井面Tとの間に任意の距離で空間Uが設けられた位置まで制振ユニット6を移動させ、次に調整ネジ24のネジ筒27との螺合の深さが短くなるように調整ネジ24をゆるめて調整して、第1チャネル材22と第2チャネル材23との高さ方向の寸法Hを伸ばすことで、制振ユニット6の接触面M部を天井面Tに押圧させるような工法を行うことができる。これによれば、制振ユニット6の天井面Tまでの高さ方向の寸法並びに押圧力を調整することができるので、設置場所の状況に応じて、任意の天井面までの高さ方向の寸法と、押圧力を調整することができる。たとえば、上述したように第1チャネル材22と第2チャネル材23との高さ方向の寸法Hを伸ばした状態で天井面Tに押圧すれば、天井面Tにかかる押圧力を低減させることができ、天井面Tの劣化および破損を防ぐことができる。
【0051】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0052】
天井側接触部Sには、連結部Rを含めるように構成されるようにしてもよい。また天井側接触部Sとしては、支柱の上部部分のみに制振ユニット6を組み込むようにしてもよい。
【0053】
制振機構には制振コイルばね20が用いられているが、付勢力を持つものであればよく、たとえば板ばね等が用いられてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 制振間仕切パネル装置
2,2’ 支柱
3 上部連結材(連結部)
4 下部連結材
5 パネル部材
6 制振ユニット
9,9’ 支柱連結金具
10,10’ 連結棒
12 昇降タップ穴
13 昇降ボルト
14 固定タップ穴
15 固定ネジ
20 制振コイルばね(制振機構)
22 第1チャネル材
23 第2チャネル材
24 調整ネジ
27 ネジ筒
29 係合凹部
30 係合鉤部材
50 袖パネル
60 誘導凹部
301 鉤部
T 天井面
Y 床面
S 天井側接触部
K 固定部
R 連結部
M 接触面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二本の支柱の間にパネル部材を取り付ける制振間仕切パネル装置において、
前記パネル部材の下辺側に設けられ、前記支柱に接続されるとともに、当該制振間仕切パネル装置を床面に固定する固定部と、
前記パネル部材の上辺側に設けられ、前記支柱に接続されるとともに、天井面に接触する接触面を備える天井側接触部とを有し、
前記天井側接触部は、前記接触面と前記天井面との接触状態を維持する押圧力を発生させる制振機構を備えることを特徴とする制振間仕切パネル装置。
【請求項2】
前記制振機構の前記押圧力を発生させる状態の作動状態と、非作動状態とを切り替える切り替え手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の制振間仕切パネル装置。
【請求項3】
前記制振機構は、当該制振機構の前記天井面までの高さ方向の寸法並びに前記押圧力を調整する押圧力調整手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の制振間仕切パネル装置。
【請求項4】
前記パネル部材の上辺側に設けられ、前記支柱に連結されるとともに、前記天井側接触部に連結する連結部を有し、
前記天井側接触部は、前記連結部に対して着脱可能にユニット化されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の制振間仕切パネル装置。
【請求項5】
前記連結部は、前記天井側接触部の前記天井面までの高さ方向の配置位置を、当該連結部に対して上下に移動させる移動手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の制振間仕切パネル装置。
【請求項6】
前記天井側接触部は、前記パネル部材の上辺に則して延びるとともに、断面が下向きに開口するコ字状に形成された第1チャネル材と、前記パネル部材の上辺に則して延びるとともに、断面が上向きに開口するコ字状に形成され、前記第1チャネル材に係合する第2チャネル材とを備え、
前記制振機構は、前記第1チャネル材と前記第2チャネル材の間であって、前記パネル部材の上辺に則して延びている方向の所定の位置に少なくとも一つ設けられることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の制振間仕切パネル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−96132(P2013−96132A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239542(P2011−239542)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)