説明

剛直系複素環高分子からなる繊維成型体の製造方法

【課題】高分子量の剛直系複素環高分子繊維成型体の製造方法を提供する。
【解決手段】特定の剛直系複素環高分子からなり、0.03g/100mlの濃度のメタンスルホン酸溶液で25℃にて測定した特有粘度が5.0〜15dl/gである繊維成型体(I)を得た後、100〜250℃にて1〜50時間加熱することを特徴とする、
特有粘度が13〜30dl/gの剛直系複素環高分子繊維成型体(II)の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子量の剛直系複素環高分子繊維成型体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリベンゾビスオキサゾールに代表されるポリベンゾアゾール繊維は引っ張り強度、耐熱性に優れた繊維成型体である。ポリベンゾビスオキサゾール系化合物の重合方法、紡糸方法については広範な紹介例があり、一般にはジアミノレゾルシノールおよびその誘導体と、芳香族ジカルボン酸誘導体とをポリリン酸中で過熱攪拌し、得られたポリマードープをそのまま、従来公知のドライジェット湿式紡糸により繊維成型体を得るというものである。この際、プロセス上の問題点として、引っ張り特性に優れた繊維を得るためには、高分子量のポリマーの製造が必要であるが、ポリベンゾビスオキサゾールはその剛直な構造から、分子量を増大させることにより、得られるポリマードープは非常に高粘度となり、攪拌に特殊な装置が必要であるほか、紡糸工程においても高粘度ドープ対応の紡糸装置が必要となる。
【特許文献1】WO85/04178号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、高分子量の剛直系複素環高分子繊維成型体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、下記式(A)及びまたは(B)
【化1】

(nは1〜4の整数、XはO、S、NHいずれかを表し、Arは炭素数4〜20の4価の芳香族基を表し、Arは炭素数6〜20の少なくとも1〜4個のヒドロキシを有する2価の芳香族基を表す。)
で表わされる繰り返し単位、及び下記式(C)及びまたは(D)
【化2】

(XはO、S、NHいずれかを表しArは炭素数4〜20の4価の芳香族基を表わし,YはN、CHのいずれかを表す。)
で表わされる繰り返し単位とからなり、下記式(1)
0.1≦(a+b)/(c+d)≦10.0 (1)
(aは上記式(A)のモル数を表し、bは上記式(B)のモル数を表し、cは上記式(C)のモル数を表し、dは上記式(D)のモル数を表す。)
を満たす剛直系複素環高分子からなり、
0.03g/100mlの濃度のメタンスルホン酸溶液で25℃にて測定した特有粘度が5.0〜15dl/gである繊維成型体(I)を得た後、100〜250℃にて1〜50時間加熱することを特徴とする、
特有粘度が13〜30dl/gの剛直系複素環高分子繊維成型体(II)の製造方法である。
【発明の効果】
【0005】
本発明により高分子量の繊維成型体が提供でき、得られた繊維成型体はよりすぐれた繊維物性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
<剛直系複素環高分子繊維成形体(II)>
本発明で得られる剛直系複素環高分子繊維成形体(II)は、下記式(A)及びまたは(B)
【化3】

(nは1〜4の整数、XはO、S、NHいずれかを表し、Arは炭素数4〜20の4価の芳香族基を表し、Arは炭素数6〜20の少なくとも1〜4個のヒドロキシを有する2価の芳香族基を表す。)
で表わされる繰り返し単位、及び下記式(C)及びまたは(D)
【化4】

(XはO、S、NHいずれかを表しArは炭素数4〜20の4価の芳香族基を表わし,YはN、CHのいずれかを表す。)
で表わされる繰り返し単位とからなり、下記式(1)
0.1≦(a+b)/(c+d)≦10.0 (1)
(aは上記式(A)のモル数を表し、bは上記式(B)のモル数を表し、cは上記式(C)のモル数を表し、dは上記式(D)のモル数を表す。)
を満たす剛直系複素環高分子からなる。
【0007】
剛直系複素環高分子繊維成型体(II)は、0.5g/100mlの濃度のメタンスルホン酸溶液で25℃にて測定した特有粘度が13〜30dl/gである剛直系複素環高分子からなる繊維成型体である。
【0008】
剛直系複素環高分子繊維成型体(II)は、同様の剛直系複素環高分子からなる0.03g/100mlの濃度のメタンスルホン酸溶液で25℃にて測定した特有粘度が5.0〜15dl/gである繊維成型体(I)を得た後、100〜250℃にて1〜50時間加熱することに得られる。
【0009】
この際の加熱処理条件としては、窒素、アルゴン等の不活性気体を用いるあるいは減圧下で行うことが好ましい。加熱温度は100℃〜250℃であり、加熱時間にもよるが120℃〜200℃が好ましく、さらには140℃〜180℃が好ましい。加熱温度が100℃より低いと所定の効果が得られず、250℃より高いと成型体の分解などの問題がある。加熱時間は1〜50時間であり、温度条件にもよるが5〜40時間が好ましく、さらには10〜30時間が好ましい。加熱時間が1時間より短いと所定の効果が得られず、50時間より長いと成型体の分解などの問題がある。
【0010】
上記式(1)において(a+b)/(c+d)が0.1より小さい場合や10.0より大きい場合は所定の効果を得る事が出来ない。(a+b)/(c+d)の下限としては、0.11以上が好ましく、より好ましくは0.125以上、さらに好ましくは0.15以上である。また、(a+b)/(c+d)の上限としては、9.0以下が好ましく、より好ましくは8.0以下、さらに好ましくは7.0以下である。従って、本発明における(a+b)/(c+d)の最適範囲は0.15≦g/h≦7.0ということができる。
【0011】
上記式(A)〜(D)において、Arは炭素数4〜20の4価の芳香族基であり、1〜2個の窒素原子を含んでも良い。
【0012】
上記式(A)のモル数aと上記式(B)のモル数bの割合においてXがNHの場合は実質区別できないが、XがO、Sの場合、aは80%以上であることが好ましく、さらには100%に限りなく近いことが好ましい。、上記式(C)のモル数cと上記式(D)のモル数dの割合においてもXがNHの場合は実質区別できないが、XがO、Sの場合、dが合計の80%以上であることが好ましく、さらには100%に限りなく近いことが好ましい。
【0013】
上記式(A)、(B)、(C)、(D)中、XはO、S、NHいずれか表し、好ましくはSあるいはOのいずれかひとつから選ばれるものである。上記式(C)、(D)中、YはN、CHいずれかから選ばれるものである。
【0014】
上記式(A)のなかで好ましいものとして下記式(A−1)
【化5】

(XはO、S、NHいずれかを表し、Z、ZはN、CHのいずれかを表す。)
で表わされる繰り返し単位が挙げられる。
【0015】
上記式(B)のなかで好ましいものとして下記式(B−1)
【化6】

(XはO、S、NHいずれかを表し、Z、ZはN、CHのいずれかを表す。)
で表わされる繰り返し単位が挙げられる。
【0016】
上記式(C)のなかで好ましいものとして下記式(C−1)
【化7】

(XはO、S、NHいずれかを表し、Y、Z、ZはN、CHのいずれかを表す。)
で表わされる繰り返し単位が挙げられる。
【0017】
上記式(D)のなかで好ましいものとして下記式(D−1)
【化8】

(XはO、S、NHいずれかを表し、Y、Z、ZはN、CHのいずれかを表す。)
で表わされる繰り返し単位が挙げられる。
【0018】
上記式(A)のなかでさらに好ましいものとして下記式(A−2)
【化9】

で表わされる繰り返し単位が挙げられる。
【0019】
上記式(C)のなかで好ましいものとして下記式(C−2)
【化10】

で表わされる繰り返し単位が挙げられる。
【0020】
剛直系複素環高分子には、必要に応じて、各種の副次的添加物を加えていろいろな改質を行うことが出来る。副次的添加物の例としては、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、各種フィラー、静電剤、離型剤、可塑剤、香料、抗菌・抗カビ剤、核形成剤、滑剤、難燃剤、発泡剤、充填剤等その他類似のものが挙げられる。
【0021】
(剛直系複素環高分子の製造方法について)
本発明における剛直系複素環高分子は、次の方法によって良好な生産性で工業的に製造することができる。
【0022】
すなわち下記式(E)または(F)
【化11】

(XはO、S、NHいずれかを表し、Arは炭素数4〜20の4価の芳香族基を表わし、また(E)、(F)は塩酸塩でも構わない。)
で表わされる芳香族アミン誘導体およびその塩酸塩からなる群から選択される少なくとも1種と、下記式(G)または(H)
【化12】

(R,R’、R、R2’は各々独立に水素あるいは炭素数6〜20の芳香族基を表す。)
で表わされる芳香族ジカルボン酸誘導体の少なくとも1種を反応させる方法が挙げられる。
【0023】
上記式(E)、(F)におけるArは全芳香族アゾールの組成に関して説明したArと同じであり、また、一般式(G)、(H)におけるR,R’,R、R2’は各々独立に、水素あるいは炭素数6〜20の1価の芳香族基を表わし、芳香族機の具体例はフェニレン基、ナフタレン基、ビフェニレン基、イソプロピリデンジフェニル基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルスルフィド基、ジフェニルスルホン基、ジフェニルケトン基等である。これらの芳香族基の水素原子のうち1つまたは複数が各々独立にフッ素、塩素、臭素等のハロゲン基;メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数5〜10のシクロアルキル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基等で置換されていてもよい。
【0024】
上記式(E)で表される芳香族アミン誘導体が下記式
【化13】

(Z、ZはN、CHのいずれかを表す。)
で表される芳香族アミン誘導体あるいはその2塩酸塩、及びまたは下記式
【化14】

(Z、ZはN、CHのいずれかを表す。)
で表される芳香族アミン誘導体あるいはその2塩酸塩であることが好ましい。
【0025】
また上記式(F)で表される芳香族アミン誘導体が下記式
【化15】

(Z、ZはN、CHのいずれかを表す。)
で表される芳香族アミン誘導体あるいはその2塩酸塩、及びまたは下記式
【化16】

(Z、ZはN、CHのいずれかを表す。)
で表される芳香族アミン誘導体あるいはその2塩酸塩であることが好ましい。
【0026】
なかでも上記式(E)で表される芳香族アミン誘導体が下記式
【化17】

で表される芳香族アミン誘導体あるいはその2塩酸塩であり、(G)が下記式
【化18】

で表わされる芳香族ジカルボン酸誘導体であり、(H)が下記式
【化19】

で表わされる芳香族ジカルボン酸誘導体であることが好ましい。
【0027】
各モノマー(反応成分)のモル数が上記数式(1)
下記式(2)、(3)
0.8≦ (e+f)/(g+h) ≦1.2 (2)
0.1≦g/h≦10.0 (3)
(eは上記式(E)で表される芳香族アミン誘導体、fは上記式(F)で表される芳香族アミン誘導体、gは上記式(G)で表される芳香族ジカルボン酸誘導体、hは上記式(H)で表される芳香族ジカルボン酸誘導体の各仕込みモル数である。)
を同時に満たすことが好ましい。
【0028】
(e+f)/(g+h)が0.8より小さい場合や1.2より大きい場合には、重合度の十分なポリマーを得ることが困難である場合がある。(e+f)/(g+h)の下限としては、0.9以上が好ましく、より好ましくは0.93以上、さらに好ましくは0.95以上である。また、(e+f)/(g+h)の上限としては、1.1以下が好ましく、より好ましくは1.07以下、さらに好ましくは1.05以下である。従って、本発明における(e+f)/(g+h)の最適範囲は0.95≦(e+f)/(g+h)≦1.05ということができる。
【0029】
g/hが0.1より小さい場合や10.0より大きい場合は所定の効果を得る事が出来ない。g/hの下限としては、0.11以上が好ましく、より好ましくは0.125以上、さらに好ましくは0.15以上である。また、g/hの上限としては、9.0以下が好ましく、より好ましくは8.0以下、さらに好ましくは7.0以下である。従って、本発明におけるg/hの最適範囲は0.15≦g/h≦7.0ということができる。
(E)、(F)はそれぞれ単独で用いても、併用してもよく、(E):(F)のモル比は0:100〜100:0の任意の比率で適宜選択できる。
【0030】
反応は、溶媒中で行う反応、無溶媒の加熱溶融反応のいずれも採用できるが、例えば、後述する反応溶媒中で攪拌下に加熱反応させるのが好ましい。反応温度は、50℃から500℃が好ましく、100℃から350℃がさらに好ましい。50℃より温度が低いと反応が進みにくく、500℃より温度が高いと分解等の副反応が起こりやすくなるためである。反応時間は温度条件にもよるが、通常は1時間から数十時間である。反応は加圧下から減圧下で行うことができる。
【0031】
反応は、通常、無触媒でも進行するが、必要に応じてエステル交換触媒を用いてもよい。本発明で用いるエステル交換触媒としては三酸化アンチモンといったアンチモン化合物、酢酸第一錫、塩化錫、オクチル酸錫、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジアセテートといった錫化合物、酢酸カルシウムのようなアルカリ土類金属塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのようなアルカリ金属塩等、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸トリフェニル等の亜リン酸を例示することができる。
【0032】
反応に際しては、必要に応じて溶媒を用いることが出来る。好ましい溶媒としては1―メチル―2−ピロリドン、1―シクロヘキシル−2―ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジフェニルエーテル、ジフェニルスルホン、ジクロロメタン、クロロロホルム、テトラヒドロフラン、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、りん酸、ポリりん酸等を挙げることが出来るがこれに限定されるものではない。
【0033】
剛直系複素環高分子の分解及び着色を防ぐため、反応は乾燥した不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。
このようにして製造される剛直系複素環高分子は、0.03g/100mlの濃度のメタンスルホン酸溶液で25℃にて測定した値が特有粘度が5.0〜15の範囲のものである。
【0034】
剛直系複素環高分子の製造方法としては下記に示す2通りの方法いずれかが好ましく利用される。すなわち、1.(A)または(B)と(C)または(D)を同時に重合する方法と、2.(A)または(B)と(C)または(D)をそれぞれ単独で重合しポリマーが得られた後混練する方法である。
【0035】
上記記載の2の方法を用いる際、上記の手段にて得られたポリマーは従来公知の方法によっても混練する事が出来、1軸ルーダー、2軸ルーダー、ホモジナイザー等従来公知の混練装置を用いることが出来る。混練方法はポリマー同士、ポリマードープ同士いずれでも構わない。
【0036】
(繊維の成型方法)
繊維成型体(I)の製造方法は湿式紡糸、ドライジェット紡糸等公知の技術が好ましく利用できる。成形の際には上記記載の重合方法により得られたポリマーを溶媒に溶かしポリマードープとする、あるいは、溶液重合によって得られた反応溶液をそのままポリマードープとして用いることが出来る。
【実施例】
【0037】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによっていささかも限定されるものではない。なお、以下の実施例における各測定値は次の方法により求めた値である。
(1)[特有粘度]
メタンスルホン酸を用いてポリマー濃度0.03g/dlで30℃において測定した相対粘度(ηrel)を基に下記式により求めた値である。
ηinh=(lnηrel)/C
(ηinhは特有粘度、ηrelは相対粘度、Cは濃度を表す)
(2)機械特性:オリエンテック株式会社製テンシロン万能試験機1225Aにより引っ張り強度、ヤング率を求めた。
【0038】
[参考例1](モノマーの合成、重合)(N−PBO)
4,6−ジアミノ−1,3−ベンゼンジオール二塩酸塩7重量部を、窒素で脱気した水33重量部に溶解した。ピリジンジカルボン酸5.347重量部を、1M水酸化ナトリウム水溶液64重量部に溶解し窒素で脱気した。4,6−ジアミノ−1,3−ベンゼンジオール二塩酸塩水溶液を、ピリジンジカルボン酸二ナトリウム塩水溶液に10分間かけて滴下し、4,6−ジアミノ−1,3−ベンゼンジオール/ピリジンジカルボン酸塩の白色沈殿を形成させた。この際、反応温度は90℃に維持した。得られた塩を、ろ過し、窒素で脱気した水3000重量部に分散混合し、再度ろ過を行った。この分散混合、ろ過操作を3回繰り返し行った。
【0039】
[参考例2](モノマーの合成)(OH−PBO)
4,6−ジアミノ−1,3−ベンゼンジオール二塩酸塩7重量部を、窒素で脱気した水33重量部に溶解した。2,5−ジヒドロキシテレフタル酸6.180重量部を、1M水酸化ナトリウム水溶液64重量部に溶解し窒素で脱気した。4,6−ジアミノ−1,3−ベンゼンジオール二塩酸塩水溶液を、2,5−ジヒドロキシテレフタル酸二ナトリウム塩水溶液に10分間かけて滴下し、4,6−ジアミノ−1,3−ベンゼンジオール/2,5−ジヒドロキシテレフタル酸塩の白色沈殿を形成させた。この際、反応温度は90℃に維持した。得られた塩を、ろ過し、窒素で脱気した水3000重量部に分散混合し、再度ろ過を行った。この分散混合、ろ過操作を3回繰り返し行った。
【0040】
[参考例3](重合)(OH−PBO/N−PBOの共重合)
参考例1で得られた4,6−ジアミノ−1,3−ベンゼンジオールのピリジンジカルボン酸塩34.9094重量部、参考例2にて得られた4,6−ジアミノ−1,3−ベンゼンジオールの2,5−ジヒドロキシテレフタル酸塩19.2133重量部にポリりん酸173.2重量部、5酸化りん60重量部、塩化スズ0.4重量部を加え80℃にて2時間攪拌混合した。その後6時間かけ170℃に昇温し、170℃にて50時間攪拌を行い反応を終了した。
【0041】
[参考例4]繊維成型体(I)の製造
参考例3にて得られたポリマードープを孔径90μmm、孔数20個のキャップを用いド−プ温度を180℃に保ち、4.6/minでイオン交換水の凝固浴に押し出した。キャップ面と凝固浴との距離は20cmとした。押し出した繊維は40m/minにてステンレス製ボビンに巻き取り、水洗しフィラメントを得た。得られたフィラメントの物性を表1に示す。
【0042】
[実施例1]
参考例4にて得られた繊維をボビンに巻き取ったまま、減圧乾燥機にて窒素雰囲気下、1mmHg、にて150℃で24時間加熱処理を行った。得られた繊維の特有粘度は14.1であり、得られたフィラメントの物性を表1に示す。
【0043】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(A)及びまたは(B)
【化1】

(nは1〜4の整数、XはO、S、NHいずれかを表し、Arは炭素数4〜20の4価の芳香族基を表し、Arは炭素数6〜20の少なくとも1〜4個のヒドロキシを有する2価の芳香族基を表す。)
で表わされる繰り返し単位、及び下記式(C)及びまたは(D)
【化2】

(XはO、S、NHいずれかを表しArは炭素数4〜20の4価の芳香族基を表わし,YはN、CHのいずれかを表す。)
で表わされる繰り返し単位とからなり、下記式(1)
0.1≦(a+b)/(c+d)≦10.0 (1)
(aは上記式(A)のモル数を表し、bは上記式(B)のモル数を表し、cは上記式(C)のモル数を表し、dは上記式(D)のモル数を表す。)
を満たす剛直系複素環高分子からなり、
0.03g/100mlの濃度のメタンスルホン酸溶液で25℃にて測定した特有粘度が5.0〜15dl/gである繊維成型体(I)を得た後、100〜250℃にて1〜50時間加熱することを特徴とする、
特有粘度が13〜30dl/gの剛直系複素環高分子繊維成型体(II)の製造方法。
【請求項2】
上記式(A)が下記式(A−1)
【化3】

(XはO、S、NHを表し、Z、ZはN、CHのいずれかを表す。)
で表わされる繰り返し単位であり、かつ上記式(C)が下記式(C−1)
【化4】

(XはO、S、NHいずれかを表し、Y、Z、ZはN、CHのいずれかを表す。)
で表わされる繰り返し単位である請求項1記載の繊維成型体(II)の製造方法。
【請求項3】
上記式(A)が下記式(A−2)
【化5】

で表わされる繰り返し単位であり、かつ上記式(C)が下記式(C−2)
【化6】

で表わされる繰り返し単位である請求項1に記載の繊維成型体(II)の製造方法。
【請求項4】
下記式(E)または(F)
【化7】

(XはO、S、NHいずれかを表し、Arは炭素数4〜20の4価の芳香族基を表わし、また(E)、(F)は塩酸塩でも構わない。)
で表わされる芳香族アミン誘導体およびその塩酸塩からなる群から選択される少なくとも1種と、下記式(G)または(H)
【化8】

(R,R’R、R’は各々独立に水素あるいは炭素数6〜20の芳香族基を表す。)
で表わされる芳香族ジカルボン酸誘導体の少なくとも1種とを、
下記式(2)および(3)
0.8≦ (e+f)/(g+h) ≦1.2 (2)
0.1≦g/h≦10.0 (3)
(eは上記式(E)で表される芳香族アミン誘導体、fは上記式(F)で表される芳香族アミン誘導体、gは上記式(G)で表される芳香族ジカルボン酸誘導体、hは上記式(H)で表される芳香族ジカルボン酸誘導体の各仕込みモル数である。)
を満足する割合で反応させ、紡糸することにより特有粘度が5.0〜15dl/gである繊維成型体(I)を得ることを特徴とする請求項1に記載の繊維成型体(II)の製造方法。
【請求項5】
上記式(E)で表される芳香族アミン誘導体が下記式
【化9】

(Z、ZはN、CHのいずれかを表す。)
で表される芳香族アミン誘導体あるいはその2塩酸塩、及びまたは下記式
【化10】

(Z、ZはN、CHのいずれかを表す。)
で表される芳香族アミン誘導体あるいはその2塩酸塩である請求項4記載の繊維成型体(II)の製造方法。
【請求項6】
上記式(E)で表される芳香族アミン誘導体が下記式
【化11】

で表される芳香族アミン誘導体あるいはその2塩酸塩であり、(G)が下記式
【化12】

で表される芳香族ジカルボン酸誘導体であり、(H)が下記式
【化13】

で表わされる芳香族ジカルボン酸誘導体である、請求項4記載の繊維成型体(II)の製造方法。

【公開番号】特開2009−179890(P2009−179890A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−17736(P2008−17736)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(000003001)帝人株式会社 (1,209)
【出願人】(303013268)帝人テクノプロダクツ株式会社 (504)
【Fターム(参考)】