説明

加水素水の製造方法

【課題】装置構成を小型化して取扱性を向上させた加水素水の製造装置を用いて、目的とする酸化還元電位の加水素水を容易に製造する方法を提供する。
【解決手段】エジェクタ効果により原料水に水素ガスを混合させた混合流体を生成し、該混合流体を多孔質要素に通過させることで水素ガスの微細気泡を含有する加水素水を連続して製造する加水素水製造部5を具備してなる加水素水の製造装置1を用いた加水素水の製造方法であって、加水素水製造部5に、水素ガス用の原料水を電気分解して水素ガスを発生させる一又は複数の水素ガス発生部2で発生された水素ガスと、機外の原料水供給源から供給される加水素水用の原料水とを供給し、水素ガスの流量と原料水の流量とを対比して、加水素水製造部5にて製造される加水素水が所定範囲の酸化還元電位となるように、予め所定流量に調整された原料水に対して水素ガスを所定流量に調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加水素水の製造方法の技術に関し、より詳細には、エジェクタ効果により原料水に水素ガスを混合させた混合流体を生成し、該混合流体を多孔質要素に通過させることで水素ガスの微細気泡を含有する加水素水を連続して製造する加水素水製造部を具備してなる加水素水の製造装置を用いた加水素水の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、水の改質方法として原料水(水)に水素ガスを混入させて加水素水を得る方法が公知となっている。このようにして得られる加水素水は、pHが9.0以下と中性に近いながらも、例えば−100mV以下という非常に低い酸化還元電位を有しており、還元性の水としてその活用方法が各種方面で注目されている。
【0003】
ところで、ヒトの生体内反応の酸化還元反応は、通常−100mV〜−400mVの範囲であり、体液の酸化還元電位が高くなると活性酸素が滞留し易いと言われている。また、近年では、ガン・糖尿病・動脈硬化症、胃炎、アトピー性皮膚炎、脳機能障害などの多くの疾患や老化の原因に、かかる活性酸素の影響が示唆されているところでもある。このように、日常生活において、どのような水を摂取あるいは接触するかによって健康や美容に重大な影響が及んでくるのである。
【0004】
通常、我が国の水道水(13.0℃)は、酸化還元電位は+400〜+800mV、pHが7.0〜7.5、溶存酸素量が約10.0ppmの範囲であり、溶存酸素量が多く、さらに酸化還元電位がプラスなので酸化力はあっても還元力がない。そのため、かかる水道水を摂取等することで、ヒトの生体内の酸化還元反応とバランスがとれず、生体に対して活性酸素が生成され易い状態になる。一方、加水素水は、酸化還元電位が低いことから、かかる加水素水を摂取等することで、反ってその還元性により上述した活性酸素が消去される効果が期待される。
【0005】
確かに、水の酸化還元電位だけに注目すると、地下水など自然から取れる天然水の中には、酸化還元電位が水道水よりも低く、酸化還元電位がマイナスのものも見受けられる。しかし、かかる酸化還元電位は取水場所によって変化したり、酸化還元電位が経時変化してしまったりすることもあり、かかる水の安定供給が困難であった。
【0006】
以上のような観点から、これまでにも酸化還元電位の低い還元性の水を安定供給するための方法が提案されているところであり、原料水に水素ガスを供給することで原料水の酸化還元電位を低電位に維持した還元性の水(加水素水)を製造する製造装置の構成が提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0007】
特に、特許文献3には、原料水に水素ガスをエジェクタにより混合させて、加水素水を連続して製造する加水素水の製造装置が開示されている。
また、特許文献4には、酸化還元電位が−600mV〜−400mVに安定的に調整された加水素水を得るために、製造された加水素水の酸化還元電位を測定しながら、かかる値が予め定めた酸化還元電位(−600mV〜−400mV)となるように、原料水に水素ガスを混合して加水素水を製造する加水素水製造部としての水素給気モジュールへの原料水及び水素ガスの供給量(流量)を制御するコントローラを備えた加水素水の製造装置の構成が開示されている。
【0008】
しかしながら、上述した特許文献1〜4に開示される従来の加水素水の製造装置では、水素ガスの供給源として主に水素ガスボンベと接続されるため、装置構成が大型化してしまうとともに、水素ガスボンベの安全性や交換の際の取扱性などが悪かった。そのため、従来の加水素水の製造装置では、一般の施設や家庭に簡易に導入することができず、広範な普及が困難な状態であった。
【0009】
普及型の加水素水の製造装置とするには、従来のような水素ガスボンベに換わって、取扱性に優れた水素ガスの供給源を備えた装置構成とすることが好ましい。水素ガスの供給源としては、具体的には、水素ガス用の原料水を電気分解して水素ガスを発生させる水素ガス発生装置の構成が公知であるが、加水素水の製造装置において、水素ガスボンベに換わってこのような水素ガス発生装置を設けた場合には、水素ガスを所定の圧力及び流量に調整して供給する必要があり、加水素水の酸化還元電位の調整を容易に調整することができないという課題があった。
【0010】
原料水と水素ガスの流量制御という観点では、上述した特許文献4に開示される加水素水の製造方法では、確かに、水素給気モジュールへの原料水と水素ガスの流量を制御することで、所定の酸化還元電位に調整された加水素水を製造することができるが、水素ガスの供給源については水素ガスボンベ以外に言及されておらず、また、上述したような水素ガス発生装置を具備した構成の特有の問題は依然として解消されていない。
【0011】
特に、上述した特許文献3に開示されるように、原料水に水素ガスをエジェクタにより混合させて加水素水を連続して製造する加水素水製造部を具備する加水素水の製造装置を用いた製造方法において、エジェクタ効果を発揮させつつ、かつ、混合流体を多孔質要素に通過させるには、原料水を所定流量で加水素水製造部に供給する必要がある一方で、かかる加水素水製造部にて所定範囲の酸化還元電位(特に、−400mV〜−680mV)の加水素水を連続して製造するためには、加水素水製造部に供給する原料水(の流量)に対する水素ガスの流量が特に重要となってくる。
【0012】
しかしながら、上述した引用文献4に開示される発明は、所定の酸化還元電位を有する水素水を製造するものであって、脱気水(原料水)の流量を計測する流量計、及び水素給気モジュールに供給する水素ガス量を制御する水素量制御弁を有するものであるが、製造される水素水の酸化還元電位の測定値に応じて水素量制御弁を制御するものであって、かかる水素ガス量を流量計により計測される脱気水の流量に応じて制御するものではなく、つまり、閉密容器に供給する水素ガスの流量を液状媒体(原料水)の流量に応じて調整するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2005−13833号公報
【特許文献2】特許第4000568号公報
【特許文献3】特許第3984279号公報
【特許文献4】特開2005−218885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで、本発明においては、加水素水の製造方法に関し、前記従来の課題を解決するもので、装置構成を小型化して取扱性を向上させた加水素水の製造装置を用いて、目的とする酸化還元電位の加水素水を容易に製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0016】
すなわち、請求項1においては、エジェクタ効果により原料水に水素ガスを混合させた混合流体を生成し、該混合流体を多孔質要素に通過させることで水素ガスの微細気泡を含有する加水素水を連続して製造する加水素水製造部を具備してなる加水素水の製造装置を用いた加水素水の製造方法であって、前記加水素水製造部に、水素ガス用の原料水を電気分解して水素ガスを発生させる一又は複数の水素ガス発生部で発生された水素ガスと、機外の原料水供給源から供給される加水素水用の原料水とを供給し、水素ガスの流量と原料水の流量とを対比して、前記加水素水製造部にて製造される加水素水が所定範囲の酸化還元電位となるように、予め所定流量に調整された原料水に対して水素ガスを所定流量に調整するものである。
【0017】
請求項2においては、前記加水素水の製造装置には、前記加水素水製造部に供給される水素ガスの流量を検出する水素ガス用流量検出センサと、前記加水素水製造部に供給される水素ガスの流量を調整する流量調整弁と、前記加水素水製造部に供給される原料水の流量を検出する原料水用流量検出センサとが設けられ、前記水素ガス用流量検出センサにより検出された水素ガスの流量と前記原料水用流量検出センサにより検出された原料水の流量とを対比して、前記加水素水製造部にて製造される加水素水が所定範囲の酸化還元電位となるように、予め所定流量に調整された原料水に対して前記流量調整弁を制御して水素ガスを所定流量に調整するものである。
【0018】
請求項3においては、前記水素ガス発生部で発生された水素ガスは、予め設定された所定値となるように圧力及び流量を調整した後に、原料水の流量に基づいて微調整して前記加水素水製造部に供給するものである。
【0019】
請求項4においては、前記水素ガス発生部は、陽子交換膜型の電解セルを有するものである。
【0020】
請求項5においては、前記水素ガス発生部は、水素ガス用の原料水が貯溜される原料水タンクが循環路を介して接続されるものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の効果としては、原料水を電気分解して水素ガスを発生させる水素ガス発生部が設けられるため、従来の水素ガスボンベを用いた装置構成と比べて装置構成を小型化することができ、また、その取扱性を向上できる。特に、エジェクタ効果を利用した加水素水製造部に供給する水素ガスの流量を、原料水の流量に基づいて調整することで、目的とする酸化還元電位の加水素水を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施例に係る加水素水の製造装置の全体的な構成を示した概略的な系統図。
【図2】水素ガス発生部のセル本体の構成を示した断面図。
【図3】加水素水製造部の管体の構成を示した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
なお、以下の実施例では、加水素水の製造装置1において、加水素水製造部5に対して原料水及び水素ガスが供給される側を上流側、製造された加水素水が排出される側を下流側とする(図1における矢印を参照)。
【0024】
まず、本実施例の加水素水の製造装置1の構成について、以下に詳述する。
図1に示すように、本実施例の加水素水の製造装置1は、所定の酸化還元電位(特に、−400mV〜−680mV)の加水素水を連続して製造する装置であって、具体的には、水素ガス用の原料水を電気分解して水素ガスを発生させる一又は複数の水素ガス発生部2と、水素ガス発生部2からの水素ガスを加水素水製造部5に供給する水素ガス供給路3と、機外の原料水供給源(水道蛇口)と接続され、加水素水用の原料水を加水素水製造部5に供給する原料水供給路4と、原料水に水素ガスを混合させて加水素水を連続して製造する加水素水製造部5等とで構成されている。
【0025】
本実施例の加水素水の製造装置1では、水素ガス発生部2からの水素ガスが水素ガス供給路3を介して加水素水製造部5に供給されるとともに、原料水が原料水供給路4を介して加水素水製造部5に供給され、加水素水製造部5(の管体50等)にて原料水に水素ガスが混合されることで、所定の加水素水が製造される。
【0026】
なお、本実施例の「加水素水」とは、水素を大量に含み、酸化還元電位が−400mV〜−680mVであって、略中性(pHが7より僅かに高く)に維持されたものをいう。特に、本実施例の加水素水は、後述する加水素水製造部5によって、ミリバブル、マイクロバブル、およびマイクロナノバブルまで広範な直径の水素ガスの微細気泡が大量に含まれている。
【0027】
図1及び図2に示すように、水素ガス発生部2は、後述する加水素水製造部5への水素供給源として構成されており、本実施例では、公知の固体高分子型の電解槽が構成されている。具体的には、水素ガス発生部2に構成される電解槽は、セル本体20に、陽電極を有する陽極部21と、陰電極を有する陰極部22と、陽極部21と陰極部22とを分離する固定電解質膜23等とが設けられている。また、セル本体20には、水素ガス用の原料水が供給される原料水入口20aと、水素ガス供給路3に接続されて発生した水素ガスが排出される水素ガス出口20bと、原料水を排出する原料水出口20cとで形成されている。
【0028】
固体電解質膜23としては、例えば、ポリフルオロカーボンなどの高分子主鎖にスルホン基やカルボン酸基などの側鎖が置換された導電性物質が用いられる。この固体電解質膜23は、両面に白金が付着され、かかる白金膜の表面に陽極部21及び陰極部22が一体的に取り付けられた電極膜複合体として構成されている。このように、水素ガス発生部2には、固体電解質膜23等が電極膜複合体として構成された陽子交換膜型の電解セルが形成されており、アルカリ等の薬液(電解液)を用いないために安全でメンテナンス容易に構成されている。
【0029】
水素ガス発生部2における水素ガス発生のメカニズムについて概説すると、まず、セル本体20に原料水が供給され、陽極部21及び陰極部22間に所定の電圧が印加されることで、陽極部21上で水分子が電子を電極へ放出して酸素分子と水素イオンが生成する。この反応は陽極部21と固体電解質膜23の界面で起こるため、生成した酸素はめっきされた陽極部21の微小隙間を通って陽極部21の外側へ放出される。一方、生成された水素イオンは、固体電解質膜23内を通過して陰極部22の表面へと移動し、陰極部22にて水素イオンへの電子の受渡しが起こることで、水素ガスが生成するのである。
【0030】
陰極部22にて発生された水素ガスは、水素ガス出口20bを介して水素ガス供給路3の下流側へ向けて排出される。また、セル本体20に供給された原料水は、副生成物である酸素ガスとともに原料水出口20cを介してセル本体20の外に排出され、後述する循環路25(の排出路25b)を介して気液分離された後に原料水タンク24に還流される。
【0031】
図1に示したように、本実施例の水素ガス発生部2は、水素ガス用の原料水が貯溜される原料水タンク24と接続されており、この原料水タンク24とセル本体20との間で、原料水タンク24からの原料水がセル本体20へと供給され、かつ、セル本体20からの原料水が原料水タンク24へと戻される循環路25が構成されている。
【0032】
原料水タンク24は、加水素水の製造装置1の装置本体に対して交換可能に構成されており、原料水として主にイオン交換水などの純水が貯溜される。また、原料水タンク24には、ポンプ装置24aが接続されており、このポンプ装置24aにより原料水タンク24内の水素ガス用の原料水が循環路25の供給路25a内を圧送され、水素ガス発生部2のセル本体20に供給される。
【0033】
循環路25は、水素ガス発生部2のセル本体20の原料水入口20aと原料水タンク24と接続する供給路25aと、セル本体20の原料水出口20cと原料水タンク24と接続する排出路25bとで構成されている。原料水タンク24の原料水は、供給路25aを介してセル本体20の原料水入口20aに向けて供給されるとともに、一方でセル本体20からの酸素ガスや水素ガス等を含む原料水が排出路25bを介して原料水タンク24に向けて排出される。
【0034】
循環路25には、供給路25aの中途部に逆止弁25cが配設され、逆止弁25cの下流側にドレンバルブ26が配設されている。原料水タンク24から水素ガス発生部2に必要量以上の原料水が供給された場合には、かかるドレンバルブ26を介して原料水が機外に排出される。また、排出路25bの中途部に気液分離器25dが配設されており、セル本体20より排出される原料水は、気液分離器25dにて気体分(酸素ガス等)と分離された後に原料水タンク24に戻される。
【0035】
また、水素ガス発生部2には、セル本体20に接続された圧力調整路27が接続されており、圧力調整路27に設けられたリリーフバルブ27aにより、セル本体20内の圧力が所定の値以上とならないように調整されている。すなわち、セル本体20内の圧力が所定の値以上となると、リリーフバルブ27aが開放されて、圧力調整路27を介してセル本体20内の気体(水素ガス等)が機外(大気中)へと放出される。
【0036】
なお、本実施例の加水素水の製造装置1には、後述するように一又は複数の水素ガス発生部2が設けられることから、上述したセル本体20、原料水タンク24、及び循環路25等も対応する水素ガス発生部2の個数に応じて同数ずつ設けられる
【0037】
図1に示したように、水素ガス供給路3は、水素ガス発生部2からの水素ガスを加水素水製造部5に供給する経路として構成されており、本実施例では、水素ガス発生部2と加水素水製造部5との中途で分岐される合流部30と、上流端が水素ガス発生部2に接続されるとともに下流端が合流部30に接続される複数の上流側供給路31と、上流端が合流部30に接続されるとともに下流端が加水素水製造部5に接続される下流側供給路32等とで構成されている。
【0038】
特に、本実施例の加水素水の製造装置1では、水素ガス発生部2及び上流側供給路31等からなる複数(本実施例では4つ)の水素ガスの供給ユニット10・10・・・が構成されている。すなわち、加水素水の製造装置1では、合流部30に複数の上流側供給路31が接続可能とされていることから、各供給ユニット10が上流側供給路31を介して合流部30に接続されることで、各供給ユニット10(の水素ガス発生部2)からの水素ガスが合流部30にて合流されるように構成されている。
【0039】
なお、以下の実施例では、合流部30に接続された一の上流側供給路31について説明するが、他の上流側供給路31の構成についても同様である。
【0040】
合流部30は、公知の合流バルブや接続バルブなどを用いて構成され、合流部30に対して複数(4つ)の上流側供給路31、及び一の下流側供給路32が接続されている。また、合流部30には、リリーフバルブ30aが接続されており、合流部30内を圧送される水素ガスの圧力が所定の値以上となると、リリーフバルブ30aが開放されて、合流部30内の水素ガスが機外(大気中)へと放出される。
【0041】
上流側供給路31は、上流端が(水素ガス発生部2の)セル本体20の水素ガス出口20bに接続され、下流端が合流部30に接続される。本実施例の上流側供給路31には、上流側(水素ガス発生部2に近い側)から順に、水素ガス精製器33、第一の圧力調整部34、絞り弁35、逆止弁36等がそれぞれ配設されている。
【0042】
水素ガス精製器33は、水素ガス発生部2により生成された水素ガスの純度を高めるべく、水素ガス中の水分等の不純物を濾過・乾燥して精製するための装置である。本実施例の水素ガス精製器33としては、乾燥剤としてのシリカゲル等が管状に充填されたものが用いられる他、好ましくは、パラジウム薄膜(水素分離膜)を用いた精製器が用いられる。また、この水素ガス精製器33は、加水素水の製造装置1の装置本体に対して交換可能に配設されている。ただし、パラジウム薄膜の水素ガス精製器33が用いられる場合には、乾燥剤を用いた場合と比べて交換・メンテナンス頻度が少なくて済むため取扱性がよい。
【0043】
水素ガス精製器33に用いられるパラジウム薄膜としては、耐熱性の多孔質体に無電解メッキ法により薄膜形成させたものや、パラジウムまたはパラジウムを主成分とするパラジウム合金を圧延して薄膜形成させたもの等が用いられる。このようにパラジウム薄膜を用いて水素ガス精製器33を構成することで、水素ガス精製器33をコンパクトに構成することができるとともに、パラジウム薄膜の水素ガス透過能力により水素ガスの精製精度を飛躍的に向上させて、高純度ガス(純度99.99999%以上)とすることができる。
【0044】
第一の圧力調整部34は、水素ガス発生部2から送出された水素ガスの圧力を個別に予め設定された所定値となるように調整するものであり、具体的には、上流側供給路31中の水素ガスの圧力を電気信号に変換する圧力変換器34aと、圧力変換器34aからの電気信号を出力表示する圧力計34bと、上流側供給路31の下流側に圧送される水素ガス圧力を調整する電磁弁34c等とで構成されている。
【0045】
第一の圧力調整部34では、圧力変換器34a及び圧力計34bにより上流側供給路31中を圧送される水素ガスの圧力が測定され、測定された圧力に基づいて電磁弁34cが開閉制御されることで、水素ガス発生部2から送出された水素ガスの圧力が予め設定された所定値となるように調整される。そのため、上流側供給路31において、第一の圧力調整部34により、下流側に向けて圧送される水素ガスの圧力が所定値となるように調整される。換言すると、水素ガス供給路3においては、水素ガス発生部2から送出された水素ガスは、第一の圧力調整部34により圧力が所定値に調整された後に、下流側(合流部30)へと圧送されるのである。
【0046】
第一の圧力調整部34で調整される水素ガスの圧力の所定値は、例えば、水素ガス発生部2にて発生される水素ガス量や、合流部30に供給される水素ガス量や、目的とする溶存水素量の加水素水を製造するための製造条件等などに応じて適宜設定される。
【0047】
絞り弁35は、上流側供給路31において合流部30に到達される水素ガスの流量を調整する流量調整弁として構成され、合流部30と第一の圧力調整部34との間に配設されている。すなわち、この絞り弁35により、水素ガス発生部2から送出されて合流部30に到達される水素ガスの流量が微調整される。また、逆止弁36は、上流側供給路31において最下流側に位置に配設されており、合流部30から上流側供給路31内に大気が流入するのが防止される。
【0048】
このように、本実施例の水素ガス供給路3では、上流側供給路31に水素ガス精製器33、第一の圧力調整部34、絞り弁35、及び逆止弁36がそれぞれ配設された水素ガスの供給ユニット10が構成されており、供給ユニット10が上流側供給路31を介して合流部30に接続されることで、上流側供給路31の上流端に接続された水素ガス発生部2より送出された水素ガスが、上流側供給路31の第一の圧力調整部34及び絞り弁35により圧力及び流量が調整された後に合流部30へと圧送される。そのため、水素ガス発生部2で発生された水素ガスの圧力及び流量を調整した後に合流部30へと圧送させることで、合流後に加水素水製造部5へ供給される水素ガスの圧力及び流量を容易に微調整することができる。
【0049】
一方、下流側供給路32は、上流端が合流部30に接続されるとともに、下流端が後述する(加水素水製造部5の)管体50の水素ガス供給口50bに接続される。本実施例の下流側供給路32には、上流側(合流部30に近い側)から順に、第二の圧力調整部37、流量調整部38、逆止弁39等がそれぞれ配設されている。
【0050】
第二の圧力調整部37としては、合流部30から加水素水製造部5に供給される水素ガスの圧力を予め設定された所定値となるように調整するレギュレータ37aが配設されている。レギュレータ37aとしては、一次側圧力(下流側供給路32の上流側の圧力)及び二次側圧力(下流側供給路32の下流側の圧力)をバランスさせて二次側圧力を調整するダイヤフラム型やピストン型の汎用レギュレータなどが用いられる。このレギュレータ37aにより、上流側供給路31を介して合流部30に供給された水素ガス発生部2からの水素ガスは、圧力が予め設定された所定値となるように調整されて、加水素水製造部5に供給される。
【0051】
なお、第二の圧力調整部37で調整される水素ガスの圧力の所定値は、例えば、水素ガス発生部2にて発生される水素ガス量や、合流部30から供給される水素ガス量や、目的とする溶存水素量の加水素水を製造するための製造条件等などに応じて適宜設定される。
【0052】
流量調整部38は、加水素水製造部5に供給される水素ガスの流量を、後述する原料水供給路4から供給される原料水の流量に基づいて調整するものであって、具体的には、下流側供給路32中の水素ガスの流量を検出するする水素ガス用流量検出センサとしてのガス流量計38aと、下流側供給路32の下流側に圧送される水素ガスの流量、すなわち加水素水製造部5に供給される水素ガスの流量を調整する流量調整弁としての電磁弁38b等とで構成されている。
【0053】
電磁弁38bは電磁弁式の流量調整弁として構成されており、流量調整部38では、この電磁弁38bが開閉制御されることで、加水素水製造部5に供給される水素ガスの流量が原料水供給路4から供給される原料水の流量に基づいて調整される。具体的には、電磁弁38bは、ガス流量計38aにより検出された水素ガスの流量と、後述する原料水供給路4に設けられたフロースイッチ40により検出された原料水の流量が対比されて、加水素水製造部5に供給される水素ガスの流量が調整される。このように、上流側供給路31を介して合流部30に供給された水素ガス発生部2からの水素ガスは、電磁弁38bにより流量が調整された後に加水素水製造部5に供給される。
【0054】
逆止弁39は、下流側供給路32の最下流側であって加水素水製造部5との接続端部に配設されており、この逆止弁39により加水素水製造部5の管体50から水素ガスが下流側供給路32内に逆流するのが防止される。
【0055】
図1に示したように、原料水供給路4は、上流端が機外の原料水供給源としての水道蛇口(図略)と連結ホース等を介して接続されるとともに、下流端が加水素水製造部5に接続されており、水道蛇口から圧送された加水素水用の原料水が原料水供給路4を介して加水素水製造部5に供給される。原料水供給路4には、加水素水製造部5に供給される原料水の流量を検出する原料水用流量検出センサとしてのフロースイッチ40が配設されている。
【0056】
フロースイッチ40では、原料水供給路4から加水素水製造部5へと送出される原料水の流量が検出される。本実施例では、原料水供給路4が原料水供給源として水道蛇口と接続されるため、原料水供給路4を圧送される原料水の流量は水道蛇口の出力に依存される。そして、上述したように、このフロースイッチ40により検出された原料水の流量に基づいて、加水素水製造部5に供給される水素ガスの流量が流量調整部38(の電磁弁38b)により調整されるのである。
【0057】
なお、原料水供給路4には、その他に、水道水に含まれる遊離残留塩素や鉛等を取り除くための浄水カートリッジ(図略)が配設されている。浄水カートリッジとしては、公知の構成を採用することができるが、例えば、活性炭を包含するカーボンフィルタや、ミネラルセラミックスや、天然鉱石を包含するミネラルフィルタなどが所定形状に配設されたものが用いられる。
【0058】
図1及び図3に示すように、加水素水製造部5は、原料水に水素ガスを混合させるためのエジェクタ構造が採用されており、ダブルチューブ状構造の管体50に水素ガス供給路3及び原料水供給路4が接続され、管体50に原料水と水素ガスが供給されることで、原料水と水素ガスとが気液混合されて、所定の加水素水が製造される。具体的には、管体50には、原料水供給路4と水密結合された原料水供給口50aと、水素ガス供給路3と水密結合され、原料水に対してほぼ直角に水素ガスを噴射する水素ガス供給口50bと、製造された加水素水が管体50外に排出されて後述する排出路54に送られる加水素水排出口50c等とが形成されている。また、管体50内には、原料水供給口50aの先端に形成された先細りノズル51と、両端から中央に向かって縮径された拡散室52と、拡散室52に配設された多孔質要素53等とが設けられている。
【0059】
拡散室52は、両端から中央に向かって縮径構造(絞り構造)となるように構成され、かかる絞り部で負圧が形成される。このような絞り構造とすることで、水素ガス供給路3から管体50に供給された水素ガスと、原料水供給路4から管体50に供給された原料水の混合流体の吸引効果を増強させることができる。また、拡散室52の下流部の先端に加水素水排出口50cが形成されている。
【0060】
多孔質要素53は、所定の孔径を有するフィルタ構造に形成され、具体的には、直径が120μm〜2μmの範囲の孔を有し、厚さが5〜20mm(好ましくは5〜10mm)のものが用いられる。多孔質要素53の材料は特段に限定されず、例えば、砲金、ブロンズ、ニッケル、ステンレススティール、セラミックスなどの焼結体や、金網等が用いられる。ただし、加水素水を飲用に供する場合には、ステンレススティールの焼結体が好ましい。
【0061】
多孔質要素53は、拡散室52に充填され、拡散室52に導入される水素ガスと原料水から成る混合流体が多孔質要素53を介して噴射されることで、多孔質要素53に形成されている孔の直径と略同じ直径の気泡が形成される。この多孔質要素53は、主に水圧や水量の条件によって適宜選択される。例えば、焼結体のTylerメッシュを用いて、直径が10μm以下の微細気泡を形成させる場合には、好ましくは120メッシュ以上のものが選択される。Tylerメッシュが大きくなるほど、高濃度の溶存水素量を得ることがきるが、一方で、水圧水量の圧損が大きくなって製造効率が低下する。
【0062】
本実施例の加水素水製造部5では、まず、エジェクタ効果を利用して拡散室52にて原料水に対して水素ガスが混合され、原料水に水素ガスが溶解された加水素水(混合流体)が形成される。そして、加水素水が多孔質要素53に通過されることで、加水素水に微細な気泡が含有される。この加水素水に含有される気泡には、原料水に溶解した空気の気泡の他に、水素ガスの気泡が含有されている。すなわち、加水素水製造部5により製造される加水素水は、水素ガスを気泡状態で原料水に混合させるのではなく、一度原料水と水素との加水素水を形成し、その後に多孔質要素53に通過させることで水素ガスの気泡が含有されるものである。
【0063】
このように、加水素水製造部5を構成することで、原料水と水素との混合流体(加水素水)を多孔質要素53に通過させて、水素ガスの微細気泡を含有した加水素水を容易に製造することができる。このようにして製造される加水素水には、微細気泡として、直径が120μm以下のミリバブルからマイクロバブル、およびマイクロナノバブルまで広範な直径の水素ガスの気泡が含まれており、均一性と分散性に優れ、液体中への吸収効率が高められる。
【0064】
加水素水製造部5には、管体50の加水素水排出口50cに加水素水を機外に排出するための排出路54が接続されている。排出路54には、製造された加水素水を一時的に貯溜する反応槽55と、下流側端部に機外に取り出す手動バルブ56が設けられている。また、排出路54は中途部にて分岐され、別途手動バルブ57が設けられており、この手動バルブ57にて管体50及び排出路54(反応槽55)内の加水素水が強制的に機外に排出(ドレン)される。
【0065】
ここで、加水素水製造部5に供給される水素ガスの圧力及び流量の調整方法について、以下に概説する。
本実施例の加水素水の製造装置1では、上述したポンプ装置24a、第一の圧力調整部34(圧力計34b及び電磁弁34c)、流量調整部38(ガス流量計38a及び電磁弁38b)等は、図示せぬ制御装置に接続されており、かかる制御装置によって加水素水製造部5に供給される水素ガスの圧力及び流量が調整される。
【0066】
すなわち、水素ガス発生部2で発生された水素ガスは、まず供給ユニット10(上流側供給路31)にて予め設定された所定値となるように圧力及び流量が調整される。そして、合流部30にて各供給ユニット10から供給された水素ガスが合流された後は、下流側供給路32にて第二の圧力調節部37にて圧力が微調整されるとともに、流量調整部38にてフロースイッチ40にて検出された原料水の流量に基づいて流量が微調整されるのである。
【0067】
具体的には、本実施例の加水素水の製造装置1では、加水素水製造部5にて所定の酸化還元電位(−400mV〜−680mV)の加水素水を製造するには、加水素水製造部5に供給される水素ガスは、水圧0.1〜0.5MPa及び供給量5〜20リットル/分となるように調整された原料水に対して、好ましくは、圧力0.2〜0.8MPa及び供給流量0.1〜10リットル/分となるように調整される。
【0068】
次に、本実施例の加水素水の製造装置1を用いた加水素水の製造例について、以下に詳述する。
【0069】
なお、以下の全ての製造例では、酸化還元電位測定は東亜ディーケーケー社製ポータブルORP計RM−20Pを、pH測定は東亜ディーケーケー社製ポータブルpH計HM−20Pを、及び溶存水素量測定は東亜ディーケーケー社製DHD−1型溶存水素計をそれぞれ用いて測定した。
【0070】
製造例1では、上述した加水素水の製造装置1を用いて溶存水素量0.7ppm以上の加水素水を製造するために、活性炭フィルターを介して脱塩素処理された広島県福山市水道局の水道水(水温15.3℃、溶存水素量0.01ppm)を流量7リットル/分、水圧0.2MPaに調整し、かかる原料水に対して水素ガスを流量0.4リットル/分、ガス圧0.5MPaに調整した状態で、加水素水製造部5にそれぞれ供給した。その結果、溶存水素量0.775ppm、酸化還元電位−610mV、pHが7.3の加水素水を連続して得た。
【0071】
製造例2では、上述した加水素水の製造装置1を用いて、溶存水素量1.2ppm以上の加水素水を製造するために、活性炭フィルターを介して脱塩素処理された広島県福山市水道局の水道水(水温15.3℃、溶存水素量0.01ppm)を供給した。加水素水の製造装置1では、原料水を流量7リットル/分、水圧0.2MPaに調整し、かかる原料水に対して水素ガスを流量1.2リットル/分、ガス圧0.5MPaに調整した状態で、加水素水製造部5にそれぞれ供給した。その結果、溶存水素量1.25ppm、酸化還元電位−618mV、pHが7.35の加水素水を連続して得た。
【0072】
製造例3では、上述した加水素水の製造装置1を用いて、溶存水素量1.5ppm以上の加水素水を製造するために、活性炭フィルターを介して脱塩素処理された広島県福山市水道局の水道水(水温15.3℃、溶存水素量0.01ppm)を供給した。加水素水の製造装置1では、原料水を流量7リットル/分、水圧0.2MPaに調整し、かかる原料水に対して水素ガスを流量5.0リットル/分、ガス圧0.5MPaに調整した状態で、加水素水製造部5にそれぞれ供給した。その結果、溶存水素量1.835ppm、酸化還元電位−625mV、pHが7.45の加水素水を連続して得た。
【0073】
以上のように、本実施例の加水素水の製造装置1は、原料水に水素ガスを混合させて加水素水を連続して製造する加水素水製造部5が設けられた加水素水の製造装置1において、水素ガス用の原料水を電気分解して水素ガスを発生させる一又は複数の水素ガス発生部2と、一又は複数の水素ガス発生部2からの水素ガスを加水素水製造部5に供給する水素ガス供給路3と、機外の原料水供給源と接続され、加水素水用の原料水を加水素水製造部5に供給する原料水供給路4とを具備してなり、水素ガス供給路3の下流側には、加水素水製造部5に供給される水素ガスの流量を、原料水供給路4から供給される原料水の流量に基づいて調整する流量調整部38が設けられるため、従来の構成と比べて、装置構成を小型化して取扱性を向上させることができる。
【0074】
すなわち、本実施例の構成では、加水素水製造部5に対する水素ガスの供給源として水素ガス用の原料水を電気分解して水素ガスを発生させる一又は複数の水素ガス発生部2が設けられるため、所定の溶存水素量の加水素水を製造するために必要な水素ガスの供給を確保しつつ、従来のように水素ガスボンベを用いる場合と比べて、装置構成を小型化することができる。特に、高圧ガスの交換や取扱資格が不要となって、取扱性が向上されるとともに、安全性も高められる。また、水素ガス発生部2では、電気分解して水素ガスを発生させるため、高効率で電力消費量が小さく経済的である。
【0075】
また、これまでの見地より、加水素水製造部5で製造される加水素水の溶存水素量は、原料水に対する水素ガスの流量を変更することで調整できることが明らかとなっていることから、本実施例では、エジェクタ効果により原料水に水素ガスを混合させた混合流体を生成し、該混合流体を多孔質要素に通過させることで水素ガスの微細気泡を含有する加水素水を連続して製造する加水素水製造部5を具備してなる加水素水の製造装置1を用いた加水素水の製造方法であって、加水素水製造部5に、水素ガス用の原料水を電気分解して水素ガスを発生させる一又は複数の水素ガス発生部2で発生された水素ガスと、機外の原料水供給源から供給される加水素水用の原料水とを供給し、水素ガスの流量と原料水の流量とを対比して、加水素水製造部5にて製造される加水素水が所定範囲の酸化還元電位となるように、予め所定流量に調整された原料水に対して水素ガスを所定流量に調整するものである。
【0076】
特に、本実施例では、加水素水の製造装置1に、加水素水製造部5に供給される水素ガスの流量を検出するガス流量計38aと、加水素水製造部5に供給される水素ガスの流量を調整する電磁弁38bと、加水素水製造部5に供給される原料水の流量を検出するフロースイッチ40とを設け、ガス流量計38aにより検出された水素ガスの流量とフロースイッチ40により検出された原料水の流量とを対比して、加水素水製造部5にて製造される加水素水が所定範囲の酸化還元電位となるように、予め所定流量に調整された原料水に対して電磁弁38bを制御して水素ガスを所定流量に調整するものであり、このような製造方法によって、目的とする酸化還元電位の加水素水を容易に製造することができるのである。
【0077】
また、本実施例の流量調整部38は、加水素水製造部5に供給される水素ガスの流量を検出する流量検出センサとしてのガス流量計38aと、ガス流量計38aにより検出された水素ガスの流量と原料水供給路4から供給される原料水の流量とを対比して、加水素水製造部5に供給される水素ガスの流量を調整する流量調整弁としての電磁弁38bが設けられるため、流量調整部38を簡易に構成でき、原料水の流量を応答性よく微調整できる。
【0078】
また、本実施例の水素ガス供給路3は、水素ガス発生部2と加水素水製造部5との中途で分岐される合流部30と、上流端が一の水素ガス発生部2に接続されるとともに下流端が合流部30に接続される1又は複数の上流側供給路31と、上流端が合流部30に接続されるとともに下流端が加水素水製造部5に接続され、流量調整部38が設けられる下流側供給路32とが設けられるため、合流部30に対して複数の上流側供給路31を接続することで複数の水素ガス発生部2からの水素ガスを合流させて、水素ガスの供給量を容易に増減でき、製造される加水素水の酸化還元電位の調整幅を拡大できる。
【0079】
また、本実施例の水素ガス供給路3には、合流部30の上流側にて、水素ガス発生部2から送出された水素ガスの圧力を予め設定された所定値となるように調整する第一の圧力調整部34が設けられ、合流部30の下流側にて、加水素水製造部5に供給される水素ガスの圧力を予め設定された所定値となるように調整する第二の圧力調整部37が設けられるため、水素ガス発生部2で発生された水素ガスの圧力を調整した後に合流部30へと圧送させることで、合流後に加水素水製造部5へ供給される水素ガスの圧力を容易に微調整することができる。
【0080】
なお、本実施例の加水素水の製造装置1としては、上述した構成等に限定されない。
【0081】
すなわち、上述した実施例では、複数(4つ)の供給ユニット10が設けられた構成について説明したが、かかる供給ユニット10(水素ガス発生部2や下流側供給路32等を含む)の個数は特に限定されず、少なくとも一つ以上設けられればよい。例えば、合流部30に一の下流側供給路32が接続されて一の水素ガス発生部2が設けられる場合には、上述した実施例のように、合流部30でのリリーフバルブ30a、絞り弁35、逆止弁36及び第二の圧力調整部37等は、必ずしも設けられなくてもよい。
【0082】
圧力調整部34・37の構成としては、上述した構成に限定されないが、上述した実施例のように第二の圧力調整部37としては、第一の圧力調整部34の構成と比べて簡易に構成することができる。また、一の供給ユニット10が設けられる場合には、水素ガス供給路3に少なくとも位置の圧力調整部が設けられればよい。
【0083】
流量調整部38の構成としては、流量調整弁として、例えば、チェック弁付流量調整弁、パイロット操作流量調整弁、パイロット操作チェック弁付流量、及び一方向絞り弁などが用いられてもよい。また、流量検出センサと流量調整弁とがモジュール化されたものが用いられてもよい。
【0084】
原料水供給路4が接続される機外の原料水供給源としては、上述した実施例のように水道蛇口に限定されるものではなく、加水素水用の原料水が貯溜された貯溜タンクであってもよい。かかる場合には、原料水供給路4に原料水が供給される際に、圧力及び流量が所定値に調整される。
【0085】
加水素水製造部5の構成においては、上述した実施例のように、管体50が単体で用いられるだけではなく、長手方向に沿って略直線上に複数配設されてもよい。かかる構成とすることで、隣接する管体50に供給される原料水と水素ガスとの混合流体(加水素水)に対してさらに水素ガスを混合させて、原料水に水素ガスを飽和状態にまで溶解させることができるとともに、下流側の管体50に供給されるにつれて徐々に混合流体(加水素水)に含有される気泡を微細化することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 加水素水の製造装置
2 水素ガス発生部
3 水素ガス供給路
4 原料水供給路
5 加水素水製造部
38 流量調整部(流量調整手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エジェクタ効果により原料水に水素ガスを混合させた混合流体を生成し、該混合流体を多孔質要素に通過させることで水素ガスの微細気泡を含有する加水素水を連続して製造する加水素水製造部を具備してなる加水素水の製造装置を用いた加水素水の製造方法であって、
前記加水素水製造部に、水素ガス用の原料水を電気分解して水素ガスを発生させる一又は複数の水素ガス発生部で発生された水素ガスと、機外の原料水供給源から供給される加水素水用の原料水とを供給し、
水素ガスの流量と原料水の流量とを対比して、前記加水素水製造部にて製造される加水素水が所定範囲の酸化還元電位となるように、予め所定流量に調整された原料水に対して水素ガスを所定流量に調整する、
ことを特徴とする加水素水の製造方法。
【請求項2】
前記加水素水の製造装置には、
前記加水素水製造部に供給される水素ガスの流量を検出する水素ガス用流量検出センサと、
前記加水素水製造部に供給される水素ガスの流量を調整する流量調整弁と、
前記加水素水製造部に供給される原料水の流量を検出する原料水用流量検出センサとが設けられ、
前記水素ガス用流量検出センサにより検出された水素ガスの流量と前記原料水用流量検出センサにより検出された原料水の流量とを対比して、前記加水素水製造部にて製造される加水素水が所定範囲の酸化還元電位となるように、予め所定流量に調整された原料水に対して前記流量調整弁を制御して水素ガスを所定流量に調整する、
ことを特徴とする請求項1に記載の加水素水の製造方法。
【請求項3】
前記水素ガス発生部で発生された水素ガスは、予め設定された所定値となるように圧力及び流量を調整した後に、原料水の流量に基づいて微調整して前記加水素水製造部に供給することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の加水素水の製造方法。
【請求項4】
前記水素ガス発生部は、陽子交換膜型の電解セルを有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の加水素水の製造方法。
【請求項5】
前記水素ガス発生部は、水素ガス用の原料水が貯溜される原料水タンクが循環路を介して接続されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の加水素水の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−29841(P2010−29841A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−116002(P2009−116002)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【出願人】(000167820)広島化成株式会社 (65)
【Fターム(参考)】