説明

加熱調理器

【課題】操作パネルの操作性及び表示器の見易さを向上させた加熱調理器を構築する。
【解決手段】食品1を収納する加熱室2と、食品1を加熱室2に出し入れするドア3と、このドア3の前部を覆うガラス5と、このガラス5の下端のドア3部に左右方向に長い形状で設けられた食品1の加熱開始等を操作する操作パネル9と、前記ガラス5の裏面に設けられ食品1の加熱情報を表示する表示器10を備えた加熱調理器において、メニュー選択ボタン群6や調理開始ボタン7、取消ボタン8などを操作パネル9内の左右方向に一列に配置する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、操作パネルの操作性及び表示器の見易さを向上させた加熱調理器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、電子レンジやオーブンレンジなどの加熱調理器においては、各社とも、外観上デザインによる差別化を手がけてきており、特長付けをするために、色や操作ボタンの形状、調理時間や調理情報を伝達する表示器の配置や大きさなどにさまざまな工夫を施している。
【0003】
図6に示すものは、加熱室に食品23を出し入れする際に使用するドア21が手前に開く縦開きタイプの加熱調理器の外観正面図である。この図の24は食品23の加熱開始等を操作する操作パネルで、ドア21の下部に左右に長い形状で配置されている。この操作パネル24内には次に説明するものが設けられている。
【0004】
25は表示器で、操作パネル24の左端に設けられ加熱時間等の情報を表示するものである。この表示器25の配置は表示器25が下記に説明するボタン類を操作しているとき手暗がりにならないように配慮されている。
【0005】
26は食品23の調理の開始を指示する調理ボタンである。27はメニュー選択ボタン群で、電子レンジ機能やオーブン機能などを選択する機能ボタン27a、メニューを選択するメニューボタン27b、時間を設定する時間ボタン27bや温度調節や仕上がりなどを設定する仕上がりボタン27dなどが操作パネル24内に上下二列に配置されていたものであった。
【0006】
【特許文献1】特開2001−317745号公報
【発明が解決しようとする課題】
従来の加熱調理器においては、ユーザーが操作パネルを操作する上で不具合を感じてしまう商品が少なくない。一例を上げれば、自動調理のメニューを増やすために限られた範囲内に小さなボタンを多数設けているため、そのボタンが押しにくい、また、間違ってボタンを押してしまう。また、メニューの文字なども小さくなり判読しにくく、デザインもスッキリ感がでないなどの問題があった。
【0007】
図6に示した加熱調理器においても、調理開始ボタン26やメニュー選択ボタン群27が2列に配置されているため視覚範囲が広がり、とっさのとき希望するメニュー選択ボタン群27などが選択しにくい問題があった。
【0008】
また、表示器25が左方面に偏って設けられているため、右側にあるメニュー選択ボタン群27を操作しているときは表示器25が視野から外れてしまい、視線の移動動作が必要となり操作性が悪くなる問題があった。
【0009】
さらに、表示器の存在が常に表示されているためスッキリ感がなく目障りとなるなどの問題があった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の課題を解決するために、食品を収納する加熱室と、食品を加熱室に出し入れするドアと、このドアの前部を覆うガラスと、このガラスの下端のドア部に左右方向に長い形状で設けられた食品の加熱開始等を操作する操作パネルと、前記ガラスの裏面に設けられ食品の加熱情報を表示する表示器を備えた加熱調理器において、メニュー選択ボタン群や調理開始ボタン、取消ボタンなどを操作パネル内の左右方向に一列に配置したものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、食品を収納する加熱室と、食品を加熱室に出し入れするドアと、このドアの前部を覆うガラスと、このガラスの下端のドア部に左右方向に長い形状で設けられた食品の加熱開始等を操作する操作パネルと、前記ガラスの裏面に設けられ食品の加熱情報を表示する表示器を備えた加熱調理器において、メニュー選択ボタン群や調理開始ボタン、取消ボタンなどを操作パネル内の左右方向に一列に配置したものである。
【0012】
また、表示器を操作パネルの近傍の上部中央付近に設けたものである。
【0013】
さらに、表示器にネガタイプの液晶表示を使用したものである。
【0014】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。
【0015】
図において、1は食品である。2は食品1を収納する加熱室である。3は食品1を出し入れするドアである。このドア3にはガラス5、操作パネル9そして表示器10などが装着されている。これらについては下記にて詳しく説明する。
【0016】
このドア3は鋼板で構成されており、このドア3の裏側(加熱室2側)はドア3が閉じたとき加熱室2の開口部全周辺に設けられた平面部2aと密接することによりマイクロ波で食品1を加熱中、マイクロ波が加熱室2から漏洩しないようにしている。
【0017】
また、ドア3の加熱室2と相対する部分には加熱室2内の食品1が観察できるよう図3で示すところに透視部4が設けられている。この透視部4は加熱時に加熱室2内のマイクロ波が加熱室2から漏洩しないよう多数の小孔(図示せず)で構成されている。
【0018】
5はドア3の前面に配置されているガラスである。このガラス3は食品1の加熱中にユーザーが針金など細い金属を差し込まれないようにするため設けられているものである。本発明ではこのガラス5はハーフミラーになっている。従って、表面が鏡のようになっているため光が透過しにくく、裏側に光源がなければガラス5越しに加熱室2内が見えにくい構造となっている。つまり、加熱室2内はオーブン灯(図示せず)で照明されればよく見えるが、オーブン灯が消えると殆ど見えない状態になる。
【0019】
9は操作パネルで、食品1の加熱条件などを設定したり、加熱開始等を操作するところである。図4にこの操作パネル9の拡大図を示す。この図の6aは機能選択ボタンで、電子レンジ機能を選ぶレンジボタン6a1、オーブン機能を選ぶオーブンボタン6a2そしてグリル機能を選ぶグリルボタン6a3で構成されている。6bは食品1の加熱時間を設定する加熱時間ボタンである。6cはメニューボタンで、食品1の代表的な複数のメニューが予め設定されており、必要とするメニューを選び出すものである。これらのメニューは予め加熱機能や加熱時間、加熱温度などが設定されている。6dは加熱温度や食品1の仕上がり具合を調節する仕上がり設定ボタンである。以上説明した番号6a〜6dを総称してメニュー選択ボタン群6と称す。
【0020】
7は食品1の加熱開始を指示する調理開始ボタンである。8は誤って設定したとき設定を取消す取消ボタンである。11は加熱室2内を脱臭する脱臭ボタンである。
【0021】
操作パネル9には、上記で説明したメニュー選択ボタン群6や調理開始ボタン7、取消ボタン8、脱臭ボタン11などが一列に配置されている。そしてこの操作パネル9はガラス5の下端のドア3部に左右に長い形状で配置されている。
【0022】
また、ドア3部の横幅は選択ボタン群6を左右に一列に配置するのに十分なスペースが確保されている。
【0023】
10は食品1の加熱情報を表示する液晶の表示器で、操作パネル9の近傍の上部中央付近に、ガラス5とドア3間に設けられている。この表示器10は非通電時、図5(a)に示すように表面全体が黒色(液晶色)になっている。通電時に図5(b)に示すような設定した文字や数字などが白く(背面色)見え点灯状態となる。このような表示器10をネガタイプの液晶表示と称している。
【0024】
次に、上記にて構成された本発明の動作について説明する。
【0025】
初めに電子レンジ加熱の例で説明する。食品1を加熱室2に載置しドア3を閉じる。次にメニュー選択ボタン群6の機能選択ボタン6aからレンジボタン6a1を操作する。すると表示器10に図5(b)に示すように「レンジ」の文字が表示される。次に加熱時間ボタン6bで加熱時間、例えば15分を設定する。そして調理開始ボタン7を操作すると加熱が始まり食品1が加熱され、設定時間になると加熱は終了する。
【0026】
次に、オーブン機能で焼き物をする場合について説明する。まず、加熱室2に食品1を載置しドア3を閉じる。そして、メニュー選択ボタン群6の機能選択ボタン6aからオーブンボタン6a2を操作する。すると図5(c)に示すように表示器10に「オーブン」の文字が表示される。次に加熱時間ボタン6bで加熱時間、例えば15分を設定する。さらに仕上がり設定ボタン6dで焼く温度、例えば180℃を設定し、調理開始ボタン7を操作すると加熱が始まり食品1が加熱され、設定時間になると加熱は終了する。
【0027】
また、使用頻度の高いメニューはメニューボタン6cに予め設定されているため、メニューボタン6cから必要なメニューを選び出す。加熱機能や加熱時間、加熱温度などは予め設定されているためメニューを選び出しすれば表示器10には加熱機能や加熱時間などの加熱条件が表示され、調理開始ボタン7を操作すれば加熱が始まる。メニューの選定が誤った場合は取消ボタン8で取消す。
【0028】
以上説明したように、食品1を加熱する場合は一列に配置されたメニュー選択ボタン群6などを操作するため、戸惑うことなく操作することができる。また、表示器10は操作パネル9の近傍の上部中央付近に設けられているため、どの位置のメニュー選択ボタン群6を操作していても常に視野範囲内に入り、操作がしやすい。
【0029】
また、表示器10はハーフミラーのガラス5越しに設けられているため、存在感がなくすっきりしている。しかし、表示器10の点灯時は設定された文字や数字だけが浮かび上がるため非常に見やすい状態となる。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、食品を収納する加熱室と、食品を加熱室に出し入れするドアと、このドアの前部を覆うガラスと、このガラスの下端のドア部に左右方向に長い形状で設けられた食品の加熱開始等を操作する操作パネルと、前記ガラスの裏面に設けられ食品の加熱情報を表示する表示器を備えた加熱調理器において、メニュー選択ボタン群や調理開始ボタンなど操作するボタン類を前記操作パネル内の左右方向に一列に配置しり、表示器を操作パネルの近傍の上部中央部付近に設け、さらに、表示器にネガタイプの液晶表示を使用することによりデザインがすっきりし、戸惑うことなく操作することができる。また、表示器は操作パネルの近傍の上部中央付近に設けられているため、どの位置のメニュー選択ボタンを操作していても表示器が視野範囲内になるため、操作がしやすい。
【0031】
さらに、ネガタイプの液晶の表示器をしているため必要な文字のみが表示され、見やすく、確認間違が激減するなどの効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す加熱調理器の外観正面図である。
【図2】本発明の一実施例を示す加熱調理器の側面よりみた略構造図である。
【図3】本発明の一実施例を示す加熱調理器のドアを開いた状態の加熱室の正面図である。
【図4】本発明の一実施例を示す操作パネルの拡大図である。
【図5】本発明の一実施例を示す表示器の文字、数字などの非点灯時(a)と点灯時(b)、(c)の図である。
【図6】従来の加熱調理器の外観正面図である
【符号の説明】
1・・・食品
2・・・加熱室
3・・・ドア
5・・・ガラス
6・・・メニュー選択ボタン群
7・・・調理開始ボタン
8・・・取消ボタン
9・・・操作パネル
10・・・表示器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品(1)を収納する加熱室(2)と、食品(1)を加熱室(2)に出し入れするドア(3)と、このドア(3)の前部を覆うガラス(5)と、このガラス(5)の下端のドア(3)部に左右方向に長い形状で設けられた食品(1)の加熱開始等を操作する操作パネル(9)と、前記ガラス(5)の裏面に設けられ食品(1)の加熱情報を表示する表示器(10)を備えた加熱調理器において、メニュー選択ボタン群(6)や調理開始ボタン(7)、取消ボタン(8)などを操作パネル(9)内の左右方向に一列に配置したことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
表示器(10)を操作パネル(9)の近傍の上部中央付近に設けることを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
【請求項3】
表示器(10)にネガタイプの液晶表示を使用したことを特徴とする請求項1、2記載の加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2004−226013(P2004−226013A)
【公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−15487(P2003−15487)
【出願日】平成15年1月24日(2003.1.24)
【出願人】(000005131)株式会社日立ホームテック (10)
【Fターム(参考)】