説明

加飾膜層と金属膜層を備えた樹脂シートの製造方法

【課題】
表面に意匠面を構成することとなる加飾膜層と、アンテナや回路パターンを構成することとなる金属膜層の両方を設けた樹脂シートを、簡単な製造プロセスで製造する。
【解決手段】
樹脂シートに加飾印刷を施行する工程、当該樹脂シートに導電性高分子微粒子含有塗料を塗布する工程、当該樹脂シートを脱ドープ用前処理液に浸す工程、 当該樹脂シートをめっき触媒金属を含有する触媒液に浸す工程、当該樹脂シートを無電解めっき液に浸す工程により、樹脂シートを製造する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加飾膜層と金属膜層を備えた樹脂シートの製造方法を提供するものであり、更に詳細には、意匠面を構成することとなる加飾膜層と、アンテナや回路パターンを構成することとなる金属膜層の両方を備えた樹脂シートの製造方法を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の内装品や家電製品など、直接ユーザーの目に触れ、あるいはユーザーが直接手に触れる合成樹脂成形品においては、装飾性や触感を向上させるために、合成樹脂表面に平滑な面を持った意匠面を設けるようになってきている。
【0003】
このような意匠面を形成する方法として、樹脂シートに意匠面をなす加飾膜層を予め設けておき、インモールド成形法によりこの樹脂シートが成形品基材表面に配置されるようにして、基材樹脂を融着一体化させて合成樹脂成形品を製造する方法がある。
【0004】
あるいは、意匠面をなす加飾膜層を備えた樹脂シートを、加熱軟化させると共に、空気圧の差圧を利用して金型に沿わせるようにして賦形する真空成形法や圧空成形法によって合成樹脂成形品を製造する方法がある。
【0005】
一方、自動車の内装品や家電製品などは、多くの合成樹脂成形品で作られているが、このような意匠面を備えた合成樹脂成形品が使用される部位において、アンテナや、電子回路の構成要素としての回路パターンを設置することが必要になることも多い。 従って、意匠面を備えた合成樹脂成形品に、アンテナや回路パターンを一体的に設けることが望ましいが、以下に説明するような理由によって、意匠面を備えた合成樹脂成形品と、アンテナや回路パターンを設けた部材とは別部品として構成し、これらを組み立てて必要な機能を果たすようにしていたため、生産性を高め、コストを低減し、省スペース化を進める上での障害となっていた。
【0006】
従来、意匠面を備えた合成樹脂成形品に、アンテナや回路パターンを一体的に設けることが困難であった理由は以下の通りである。
意匠面を備えた合成樹脂部品にアンテナや回路パターンを一体的に設ける方法としては、アンテナパターンや回路パターンを金属膜層で構成するようにするために、無電解めっきによって合成樹脂部品に金属膜層を設ける方法がある。
従来、合成樹脂部品の表面に無電解めっきを施行する場合、樹脂基材とめっき膜の密着性を向上させるために、めっき処理前に樹脂基材の表面に微細孔を形成するためのエッチング処理を施すことが不可欠であった。
【0007】
このエッチング処理においては、クロム酸/硫酸混合液、有機溶剤/水混合液など、使用する合成樹脂部品の樹脂材料に応じて多種のエッチング処理液にて処理する必要があった。
意匠面として加飾膜層を設けた合成樹脂部品に対してこのようなエッチング処理を行うと、加飾膜層が破壊されてしまい、意匠面を構成し得なくなってしまう。 また、合成樹脂部品にエッチング処理を行った後に、加飾膜層を設けようとしても、合成樹脂部品の表面には、微細孔が存在しているためにきれいな加飾膜層を設けることが困難になってしまう。
【0008】
このような理由から、一般的には合成樹脂部品の表面に、意匠面としての加飾膜層と、無電解めっきによる金属膜層の両方を施行することは困難であると考えられていた。
また、エッチング処理を行った後に無電解めっきを施行する場合には、合成樹脂部品の樹脂材料としてエッチング処理可能な樹脂材料に限定されるという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008-163371
【特許文献2】特開2009-107303
【特許文献3】特開2008-173848
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来困難であると考えられていた、合成樹脂部品の表面に意匠面を構成することとなる加飾膜層と、アンテナや回路パターンを構成することとなる金属膜層の両方を設けることを、簡単な製造プロセスで実現できるようにすることを課題とするものである。 従って、本発明は、合成樹脂部品の製造に使用することができる前駆体としての樹脂シートであって、意匠面を構成することとなる加飾膜層と、アンテナや回路パターンを構成することとなる金属膜層の両方を備えた樹脂シートを、簡単な製造プロセスであって、かつ低コストで製造する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、第1の観点にかかる発明においては、
(1) 樹脂シートの片面または両面に加飾膜層を構成する加飾印刷を施行するステップと、
(2) 当該樹脂シートの片面または両面であって、加飾膜層のない領域あるいは加飾膜層の上の所定領域に、導電性高分子微粒子含有塗料を塗布するステップと、
(3) 当該樹脂シートに塗布された導電性高分子微粒子を脱ドープするために、当該樹脂シートを脱ドープ用前処理液に浸すステップと、
(4) 脱ドープ処理された導電性高分子微粒子含有塗料の塗布領域にめっき触媒金属を付着させるために、当該樹脂シートを触媒液に浸すステップと、
(5) めっき触媒金属を付着処理した導電性高分子微粒子含有塗料の塗布領域に無電解めっきによる金属膜層を形成するために、当該樹脂シートをめっき液に浸すステップと、
からなる加飾膜層と金属膜層を備えた樹脂シートの製造方法を採用した。
【0012】
また、第2の観点にかかる発明においては、
(1) 樹脂シートの片面または両面に加飾膜層を構成する加飾印刷を施行するステップと、
(2) 当該樹脂シートの片面または両面であって、加飾膜層のない領域あるいは加飾膜層の上の所定領域に、還元性高分子微粒子含有塗料を塗布するステップと、
(3) 還元性高分子微粒子含有塗料の塗布領域にめっき触媒金属を付着させるために、当該樹脂シートを触媒液に浸すステップと、
(4) めっき触媒金属を付着処理した還元性高分子微粒子含有塗料の塗布領域に無電解めっきによる金属膜層を形成するために、当該樹脂シートをめっき液に浸すステップと、
からなる加飾膜層と金属膜層を備えた樹脂シートの製造方法を採用した。
【0013】
更に、第3の観点に係る発明においては、第1の観点に係る発明の(2)と(3)のステップの間、あるいは(3)と(4)のステップの間、あるいは(4)と(5)のステップの間において、
樹脂シートに3次元的な立体形状を賦形するために、樹脂シートに絞り加工を施すステップを更に備えた加飾膜層と金属膜層を備えた樹脂シートの製造方法を採用した。
【0014】
また、第4の観点に係る発明においては、第2の観点に係る発明の(2)と(3)のステップの間、あるいは(3)と(4)のステップの間において、
樹脂シートに3次元的な立体形状を賦形するために、樹脂シートに絞り加工を施すステップを更に備えた加飾膜層と金属膜層を備えた樹脂シートの製造方法を採用した。
【0015】
更に、第5の観点に係る発明においては、第1又は第3の観点に係る発明の導電性高分子微粒子が導電性のポリピロールである、加飾膜層と金属膜層を備えた樹脂シートの製造方法を採用した。
【0016】
更に、第6の観点に係る発明においては、第2又は第4の観点に係る発明の還元性高分子微粒子が還元性のポリピロールである、加飾膜層と金属膜層を備えた樹脂シートの製造方法を採用した。
【発明の効果】
【0017】
樹脂シートに無電解めっきを施すに当たり、無電解めっきの下地処理として、エッチング処理を行う代わりに、導電性高分子微粒子含有塗料を塗布した後、導電性高分子微粒子を脱ドープするか、あるいは還元性高分子微粒子含有塗料を塗布することによって、樹脂シートの表面に意匠面を構成することとなる加飾膜層と、アンテナや回路パターンを構成することとなる金属膜層の両方を設けることを、簡単な製造プロセスで、かつ低コスト実現できるようになった。
なお、係る樹脂シートは、インモールド成形法、真空成形法、圧空成形法、ホットプレス成形法等に適用することができ(すなわち、合成樹脂部品の前駆体として利用すること)、表面に意匠面を構成することとなる加飾膜層と、アンテナや回路パターンを構成することとなる金属膜層の両方を備えた、多種多様な形状を有する合成樹脂部品を形成することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る樹脂シートの製造工程のフローを示したものである。
【図2】図2は、第2の実施形態に係る樹脂シートの製造工程のフローを示したものである。
【図3】図3は、第3の実施形態に係る樹脂シートの製造工程のフローを示したものである。
【図4】図4は、第4の実施形態に係る樹脂シートの製造工程のフローを示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る樹脂シートの製造工程を示したものである。 第1の実施形態に係る樹脂シート101の製造工程は、大きく分けて以下の5つの工程から成り立っている。
【0020】
(1) 樹脂シートに加飾印刷を施行する工程11
(2) 当該樹脂シートに導電性高分子微粒子含有塗料を塗布する工程12
(3) 当該樹脂シートを脱ドープ用前処理液に浸す工程13
(4) 当該樹脂シートをめっき触媒金属を含有する触媒液に浸す工程14
(5) 当該樹脂シートを無電解めっき液に浸す工程15
【0021】
本発明に使用される樹脂シート101の材料としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などを使用することができる。 樹脂シート101の板厚は、特に限定されるものではなく、樹脂シート101が最終的に利用される形態に依存するものである。 例えば、ここで製造された樹脂シート101をインモールド成形法における表皮層として利用するような場合には、0.1mm程度から2.0mm程度の板厚の樹脂シート101を使用することが望ましい。 また、ここで使用される樹脂シート101は、所定の幅、長さで切断されたものであっても良いし、ロール状の巻き取られた形態のものであっても良い。
【0022】
工程11においては、樹脂シート101に加飾膜層を形成するために加飾印刷が行われる。 この加飾膜層は、最終的な合成樹脂部品の意匠面を構成するものであって、絵柄や模様、文字などを印刷することにより形成される。 このとき、意匠面として機能を高めるために、色調にグラデーションを加えたり、ピアノブラック調のバックグランドを与えるための印刷を行ったり、バックライティングのための透光性に配慮した印刷等が行われる。
【0023】
加飾膜層を形成する印刷方法としては、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法など通常使用されている印刷手法を採用することができる。 また、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法等のコート法を採用することもできる。 いずれの手法を採用するかは、加飾膜層の厚さ、意匠面の質感、多色刷りか単色か、あるいはグラデーション等の特殊な技法を利用するか否か、などによって決定される。
【0024】
印刷に使用するインキとしては、ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂等の樹脂をベースとして、これに所要の顔料や染料を含有させたインキを使用することができる。
なお、加飾印刷は樹脂シート101の片面だけ、あるいは両面に施行することができる。
【0025】
工程12においては、加飾印刷が行われた樹脂シート101に、導電性高分子微粒子を含有した塗料を塗布する。
本実施形態において使用される導電性高分子微粒子は、有機溶媒と水とアニオン系界面活性剤とを混合撹拌してなるO/W型の乳化液中に、π−共役二重結合を有するモノマーを添加し、該モノマーを酸化重合することにより製造される。
【0026】
π−共役二重結合を有するモノマーとしては、導電性高分子を製造するために使用されるモノマーであれば特に限定されないが、例えば、ピロール、N−メチルピロール、N−エチルピロール、N−フェニルピロール、N−ナフチルピロール、N−メチル−3−メチルピロール、N−メチル−3−エチルピロール、N−フェニル−3−メチルピロール、N−フェニル−3−エチルピロール、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−n−ブチルピロール、3−メトキシピロール、3−エトキシピロール、3−n−プロポキシピロール、3−n−ブトキシピロール、3−フェニルピロール、3−トルイルピロール、3−ナフチルピロール、3−フェノキシピロール、3−メチルフェノキシピロール、3−アミノピロール、3−ジメチルアミノピロール、3−ジエチルアミノピロール、3−ジフェニルアミノピロール、3−メチルフェニルアミノピロール及び3−フェニルナフチルアミノピロール等のピロール誘導体、アニリン、o−クロロアニリン、m−クロロアニリン、p−クロロアニリン、o−メトキシアニリン、m−メトキシアニリン、p−メトキシアニリン、o−エトキシアニリン、m−エトキシアニリン、p−エトキシアニリン、o−メチルアニリン、m−メチルアニリン及びp−メチルアニリン等のアニリン誘導体、チオフェン、3−メチルチオフェン、3−n−ブチルチオフェン、3−n−ペンチルチオフェン、3−n−ヘキシルチオフェン、3−n−ヘプチルチオフェン、3−n−オクチルチオフェン、3−n−ノニルチオフェン、3−n−デシルチオフェン、3−n−ウンデシルチオフェン、3−n−ドデシルチオフェン、3−メトキシチオフェン、3−ナフトキシチオフェン及び3,4−エチレンジオキシチオフェン等のチオフェン誘導体が挙げられ、好ましくは、ピロール、アニリン、チオフェン及び3,4−エチレンジオキシチオフェン等が挙げられ、より好ましくはピロールが挙げられる。
【0027】
また前記製造に用いるアニオン系界面活性剤としては、種々のものが使用できるが、疎水性末端を複数有するもの(例えば、疎水基に分岐構造を有するものや、疎水基を複数有するもの)が好ましい。このような疎水性末端を複数有するアニオン系界面活性剤を使用することにより、安定したミセルを形成させることができ、重合後において水相と有機溶媒相との分離がスムーズであり、有機溶媒相に分散した導電性高分子微粒子が入手し易い。
疎水性末端を複数有するアニオン系界面活性剤の中でも、スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルナトリウム(疎水性末端4つ)、スルホコハク酸ジ−2−エチルオクチルナトリウム(疎水性末端4つ)および分岐鎖型アルキルベンゼンスルホン酸塩(疎水性末端2つ)が好適に使用できる。
【0028】
反応系中でのアニオン系界面活性剤の量は、π−共役二重結合を有するモノマー1molに対し0.2mol未満であることが好ましく、さらに好ましくは0.05mol〜0.15molである。0.05mol未満では収率や分散安定性が低下し、一方、0.2mol以上では得られた導電性高分子微粒子に導電性の湿度依存性が生じてしまう場合がある。
【0029】
前記製造において乳化液の有機相を形成する有機溶媒は疎水性であることが好ましい。なかでも、芳香族系の有機溶媒であるトルエンやキシレンは、O/W型エマルションの安定性およびモノマーとの親和性の観点から好ましい。両性溶媒でもπ−共役二重結合を有するモノマーの重合を行うことはできるが、生成した導電性高分子微粒子を回収する際の有機相と水相との分離が困難になる。
【0030】
乳化液における有機相と水相との割合は、水相が75体積%以上であることが好ましい。水相が20体積%以下ではπ−共役二重結合を有するモノマーの溶解量が少なくなり、生産効率が悪くなる。
【0031】
前記製造で使用する酸化剤としては、前記で例示したものと同様のものが挙げられるが、特に好ましい酸化剤は、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩である。
反応系中での酸化剤の量は、π−共役二重結合を有するモノマー1molに対して0.1mol以上、0.8mol以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.2〜0.6molである。0.1mol未満ではモノマーの重合度が低下し、導電性高分子微粒子を分液回収することが困難になり、一方、0.8mol以上では凝集して導電性高分子微粒子の粒径が大きくなり、分散安定性が悪化する。
【0032】
前記導電性高分子微粒子の製造方法は、例えば以下のような工程で行われる:
(a)アニオン系界面活性剤、有機溶媒および水を混合攪拌し乳化液を調製する工程、
(b)π−共役二重結合を有するモノマーを乳化液中に分散させる工程、
(c)モノマーを酸化重合しアニオン系界面活性剤にポリマー微粒子を接触吸着させる工程、
(d)有機相を分液し導電性高分子微粒子を回収する工程。
【0033】
前記各工程は、当業者に既知である手段を利用して行うことができる。例えば、乳化液の調製時に行う混合攪拌は、特に限定されないが、例えばマグネットスターラー、攪拌機、ホモジナイザー等を適宜選択して行うことができる。また重合温度は0〜25℃で、好ましくは20℃以下である。重合温度が25℃を越えると副反応が起こるので好ましくない。
【0034】
酸化重合反応が停止されると、反応系は有機相と水相の二相に分かれるが、この際に未反応のモノマー、酸化剤および塩は水相中に溶解して残存する。ここで有機相を分液回収し、イオン交換水で数回洗浄すると、有機溶媒に分散した導電性高分子微粒子を入手することができる。
【0035】
上記の製造法により得られる導電性高分子微粒子は、主としてπ−共役二重結合を有するモノマー誘導体よりなり、そしてアニオン系界面活性剤を含む微粒子である。そしてその特徴は、微細な粒径と、有機溶媒中で分散可能であることである。
ポリマー微粒子は球形の微粒子となるが、その平均粒径は、10〜100nmとするのが好ましい。
上記のように平均粒径の小さな微粒子にすることで、微粒子の表面積が極めて大きくなり、同一質量の微粒子でも、より多くの触媒金属を吸着できるようになり、それにより塗膜層の薄膜化が可能となる。
【0036】
こうして得られた有機溶媒に分散した導電性高分子微粒子は、そのままで、濃縮して、又は乾燥させて塗料の導電性高分子微粒子成分として使用することができる。
また、上記のようにして製造された導電性高分子微粒子でなくとも、例えば、市販で入手できる導電性高分子微粒子を塗料の成分として使用することもできる。
【0037】
また、導電性高分子微粒子を含有した塗料を塗布する領域は、樹脂シート101の加飾膜層を形成していない領域だけでなく、加飾膜層が形成された領域に重ねて塗布することもできる。
【0038】
本実施形態において使用される導電性高分子微粒子を含有した塗料は、樹脂フィルムとの密着性を向上させるためにバインダーを添加してもよい。
添加するバインダーとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。
バインダーを使用する場合の使用量は、好ましくは導電性高分子微粒子又は導電性高分子微粒子1質量部に対して0.1質量部ないし60質量部である。バインダーが60質量部を超えると金属めっきが析出せず、バインダーが0.1質量部未満であると、樹脂フィルムへの密着性が弱くなりやすい。
通常、バインダーを使用するのが好ましい。
【0039】
また、本発明に使用する塗料は有機溶媒を含有するのが好ましい。使用する有機溶媒は、微粒子に損傷を与えず、ポリマー微粒子を分散させうるものであれば特に限定はしないが、好ましくは、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。
更に、本発明に使用する塗料は用途や塗布対象物等の必要に応じて、分散安定剤、増粘剤、インキバインダ等の樹脂を加えることも可能である。
【0040】
樹脂シートに導電性高分子微粒子を含有した塗料を塗布する方法としては、加飾膜層を形成する印刷方法と同様に、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法など通常使用されている印刷手法を使用して塗布することができる。 また、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法等のコート法を採用して塗布することもできる。
導電性高分子微粒子を含有した塗料を塗布した領域には、後述するように無電解めっきによって金属膜層が形成される。 この金属膜層は、アンテナや回路パターンを構成することとなるため、導電性高分子微粒子を含有した塗料を塗布する領域は、アンテナや回路パターンとして必要な位置、パターン、寸法等に合わせて設定する必要がある。
【0041】
工程13においては、導電性高分子微粒子含有塗料を塗布した樹脂シート101の導電性高分子微粒子を脱ドープするために、当該樹脂シート101を前処理液に浸す。
これは、導電性高分子微粒子にはドーパントとして作用する物質が含まれており、その結果この微粒子は導電性を呈することになるため、これを用いて無電解めっきを行うためには脱ドープ処理が必要になるからである。
【0042】
脱ドープ処理のための前処理液は、還元により脱ドープするための還元剤、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム等の水素化ホウ素化合物、ジメチルアミンボラン、ジエチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン、トリエチルアミンボラン等のアルキルアミンボラン、及び、ヒドラジン等を含む溶液、又は、アルカリ性溶液が挙げられる。
操作性及び経済性の観点からアルカリ性溶液を使用するのが好ましい。
アルカリ性溶液としては、緩和なアルカリ条件、例えば、1M 水酸化ナトリウム水溶液や、pH9ないし10程度の溶液で処理することができる。
具体的な溶液としては、1M 水酸化ナトリウム水溶液、ATSコンディクリンCIW−2(奥野製薬工業(株)社製)−10質量%水溶液(pH9〜10)等が挙げられる。
処理温度は、20ないし70℃、好ましくは30ないし60℃であり、処理時間は、2ないし10分、好ましくは、3ないし7分である。
上記の脱ドープ処理により、塗膜層の表面上の触媒金属吸着量が0.1μg/cm2以上となるようにするのが好ましい。
上記吸着量が0.1μg/cm2未満であると、均一な金属めっき膜を得ることが困難であるか又は金属が析出しにくくめっき膜が形成されにくくなる。
【0043】
工程14においては、導電性高分子微粒子を脱ドープ処理した樹脂シート101をめっき触媒金属を含有する触媒液に浸す。
この触媒液は、無電解めっきに対する触媒活性を有する貴金属(触媒金属)を含む溶液であり、触媒金属としては、パラジウム、金、白金、ロジウム等が挙げられ、これら金属は単体でも化合物でもよく、触媒金属を含む溶液の安定性の点からパラジウム化合物が好ましく、その中でも塩化パラジウムが特に好ましい。
好ましい、具体的な触媒液としては、0.02%塩化パラジウム−0.01%塩酸水溶液(pH3)が挙げられる。
処理温度は、20ないし50℃、好ましくは30ないし40℃であり、処理時間は、0.1ないし10分、好ましくは、1ないし5分である。
【0044】
工程15においては、めっき触媒金属を含有する触媒液に浸した樹脂シート101を無電解めっき液に浸す。
この無電解めっき液は、通常、無電解めっきに使用されるめっき液であれば、特に限定されない。
即ち、無電解めっきに使用できる金属は、銅、金、銀、ニッケル、クロム等、全て適用することができるが、銅が好ましい。
無電解銅めっき浴の具体例としては、例えば、ATSアドカッパーIW浴(奥野製薬工業(株)社製)等が挙げられる。
処理温度は、20ないし50℃、好ましくは30ないし40℃であり、処理時間は、1ないし30分、好ましくは、5ないし15分である。
【0045】
無電解めっき液により処理された樹脂シート101は、無電解めっきによる金属膜層のみでもよいし、更には、無電解めっきによる金属膜層上に電解めっきを施して金属膜層を厚くすることもできる。なお、上記電解めっきに使用できる金属は、電解めっきにより析出するものであれば特に限定されないが、例えば銅、金、銀、ニッケル、クロム、亜鉛、錫、コバルト等、全て適用することができる。
以上説明したような工程を経ることにより、無電解めっき液により処理された樹脂シート101の導電性高分子微粒子を含有した塗料を塗布した領域には金属膜層が形成され、その結果、極めて簡単な工程で、かつ低コストで、加飾膜層と金属膜層を備えた樹脂シート101の製造が可能となる。
このようにして得られた樹脂シート101は、インモールド成形法、真空成形法、圧空成形法、ホットプレス成形法等によって製造される合成樹脂部品の表皮部分または全体を構成する前駆体として使用することができ、表面に意匠面を構成することとなる加飾膜層と、アンテナや回路パターンを構成することとなる金属膜層の両方を備えた、多種多様な形状を有する合成樹脂部品を形成することができる。
もちろん、ここで得られた樹脂シート101は、インモールド成形法、真空成形法、圧空成形法、ホットプレス成形法等の成形工程を経ることなく、樹脂シート101の状態のままで最終的な合成樹脂部品を構成することもできる。
【0046】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。 図2は、本発明の第2の実施形態に係る樹脂シートの製造工程を示したものである。 第2の実施形態に係る樹脂シート101の製造工程は、大きく分けて以下の4つの工程から成り立っている。
(1) 樹脂シートに加飾印刷を施行する工程21
(2) 当該樹脂シートに還元性高分子微粒子含有塗料を塗布する工程22
(3) 当該樹脂シートをめっき触媒金属を含有する触媒液に浸す工程24
(4) 当該樹脂シートを無電解めっき液に浸す工程25
【0047】
第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、工程22において導電性高分子微粒子含有塗料に替えて、還元性高分子微粒子含有塗料を使用している点にある。
本実施形態において使用される還元性高分子微粒子は、有機溶媒と水とアニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤とを混合撹拌してなるO/W型の乳化液中に、π−共役二重結合を有するモノマーを添加し、該モノマーを酸化重合することにより製造される。
【0048】
π−共役二重結合を有するモノマー及びアニオン系界面活性剤としては、導電性高分子微粒子の製造の際に例示したものと同様のものが挙げられるが、好ましくは、ピロール、アニリン、チオフェン及び3,4−エチレンジオキシチオフェン等が挙げられ、より好ましくはピロールが挙げられる。
【0049】
反応系中でのアニオン系界面活性剤の量は、π−共役二重結合を有するモノマー1molに対し0.05mol未満であることが好ましく、さらに好ましくは0.005mol〜0.03molである。0.05mol以上では添加したアニオン性界面活性剤がドーパントとして作用し、得られる微粒子は導電性を発現するため、これを用いて無電解めっきを行うためには脱ドープの工程が必要となる。
【0050】
ノニオン系界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル類、アルキルグルコシド類、グリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビダン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類が挙げられる。これらを一種類または複数混ぜて使用してもよい。特に安定的にO/W型エマルションを形成するものが好ましい。
【0051】
反応系中でのノニオン系界面活性剤の量は、π−共役二重結合を有するモノマー1molに対し、アニオン系界面活性剤と足して0.2mol以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.05〜0.15molである。0.05mol未満では収率や分散安定性が低下し、一方、0.2mol以上では重合後において、水相と有機溶媒相との分離が困難になり、有機溶媒相にある還元性高分子微粒子を得る事ができなくなる事から好ましくない。
【0052】
前記製造において乳化液の有機相を形成する有機溶媒は疎水性であることが好ましい。なかでも、芳香族系の有機溶媒であるトルエンやキシレンは、O/W型エマルションの安定性およびπ−共役二重結合を有するモノマーとの親和性の観点から好ましい。両性溶媒でもπ−共役二重結合を有するモノマーの重合を行うことはできるが、生成した還元性高分子微粒子を回収する際の有機相と水相との分離が困難になる。
【0053】
乳化液における有機相と水相との割合は、水相が75体積%以上であることが好ましい。水相が20体積%以下ではπ−共役二重結合を有するモノマーの溶解量が少なくなり、生産効率が悪くなる。
【0054】
前記製造で使用する酸化剤としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸およびクロロスルホン酸のような無機酸、アルキルベンゼンスルホン酸およびアルキルナフタレンスルホン酸のような有機酸、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムおよび過酸化水素のような過酸化物が使用できる。これらは単独で使用しても、二種類以上を併用してもよい。塩化第二鉄等のルイス酸でも重合できるが、生成した粒子が凝集し、微分散できない場合がある。特に好ましい酸化剤は、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩である。
【0055】
反応系中での酸化剤の量は、π−共役二重結合を有するモノマー1molに対して0.1mol以上、0.8mol以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.2〜0.6molである。0.1mol未満ではモノマーの重合度が低下し、ポリマー微粒子を分液回収することが困難になり、一方、0.8mol以上では凝集してポリマー微粒子の粒径が大きくなり、分散安定性が悪化する。
【0056】
前記ポリマー微粒子の製造方法は、例えば以下のような工程で行われる:
(a)アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、有機溶媒および水を混合攪拌し乳化液を調製する工程、
(b)π−共役二重結合を有するモノマーを乳化液中に分散させる工程、
(c)モノマーを酸化重合させる工程、
(d)有機相を分液しポリマー微粒子を回収する工程。
【0057】
前記各工程は、当業者に既知である手段を利用して行うことができる。例えば、乳化液の調製時に行う混合攪拌は、特に限定されないが、例えばマグネットスターラー、攪拌機、ホモジナイザー等を適宜選択して行うことができる。また重合温度は0〜25℃で、好ましくは20℃以下である。重合温度が25℃を越えると副反応が起こるので好ましくない。
【0058】
酸化重合反応が停止されると、反応系は有機相と水相の二相に分かれるが、この際に未反応のモノマー、酸化剤および塩は水相中に溶解して残存する。ここで有機相を分液回収し、イオン交換水で数回洗浄すると、有機溶媒に分散した還元性高分子微粒子を入手することができる。
【0059】
上記の製造法により得られるポリマー微粒子は、主としてπ−共役二重結合を有するモノマー誘導体のポリマーよりなり、そしてアニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤を含む微粒子である。そしてその特徴は、微細な粒径を有し、有機溶媒中で分散可能であることである。
ポリマー微粒子は球形の微粒子となるが、その平均粒径は、10〜100nmとするのが好ましい。
上記のように平均粒径の小さな微粒子にすることで、微粒子の表面積が極めて大きくなり、同一質量の微粒子でも、より多くのパラジウムを吸着できるようになり、それにより塗膜層の薄膜化が可能となる。
得られたポリマー微粒子の導電率は0.01S/cm未満であり、好ましくは、0.005S/cm以下である。
【0060】
こうして得られた有機溶媒に分散した還元性高分子微粒子は、そのままで、濃縮して、又は乾燥させて塗料の還元性高分子微粒子成分として使用することができる。
また、上記のようにして製造された還元性高分子微粒子でなくとも、例えば、市販で入手できる還元性高分子微粒子を塗料の成分として使用することもできる。
【0061】
また、本実施形態において使用される還元性高分子微粒子を含有した塗料は、第1の実施形態で説明した、導電性高分子微粒子を含有した塗料と同じ要領によって準備することができる。
第2の実施形態における工程21、工程24、工程25は、第1の実施形態における工程11、工程14、工程15とそれぞれ同じであるため、説明は省略する。
【0062】
第2の実施形態のように、導電性高分子微粒子含有塗料に替えて、還元性高分子微粒子含有塗料を使用することによって、樹脂シート101の製造工程において、樹脂シート101を脱ドープ用前処理液に浸す工程が必要なくなり、第1の実施形態に比べ第2の実施形態では、更に簡単な工程で、かつ低コストで、加飾膜層と金属膜層を備えた樹脂シート101の製造が可能となる。
【0063】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。 図3は、本発明の第3の実施形態に係る樹脂シートの製造工程を示したものである。 第3の実施形態に係る樹脂シート101の製造工程は、大きく分けて以下の6つの工程から成り立っている。
【0064】
(1) 樹脂シートに加飾印刷を施行する工程31
(2) 当該樹脂シートに導電性高分子微粒子含有塗料を塗布する工程32
(3) 当該樹脂シートを脱ドープ用前処理液に浸す工程33
(4) 当該樹脂シートをめっき触媒金属を含有する触媒液に浸す工程34
(5) 当該樹脂シートを無電解めっき液に浸す工程35
(6) (2)と(3)の工程の間、あるいは(3)と(4)の工程の間、あるいは(4)と(5)の工程の間において、前記樹脂シートに絞り加工を施す工程36
【0065】
第1の実施形態で得られた樹脂シート101を、インモールド成形法、真空成形法、圧空成形法、ホットプレス成形法等によって製造される合成樹脂部品の表皮部分または全体を構成する前駆体として使用する場合であって、これら成形法によって樹脂シート101が深絞りされるような場合、樹脂シート101の湾曲の程度や、引き伸ばしの程度が極端に大きくなり、めっき処理によって形成された樹脂シート101上の金属膜層が破断してしまう恐れがある。
第3の実施形態は、このような問題を解決するために考え出されたものであり、樹脂シート101上に無電解めっきによって金属膜層を形成する前、すなわち、前記(2)と(3)の工程の間、あるいは前記(3)と(4)の工程の間、あるいは前記(4)と(5)の工程の間において、インモールド成形法、真空成形法、圧空成形法、ホットプレス成形法等によって製造される最終的な合成樹脂部品の形状に合わせて、樹脂シート101を予め賦形しておくために、樹脂シート101に絞り加工を施すものである。
【0066】
このように、樹脂シート101を予め賦形しておくために、樹脂シート101に絞り加工を加える方法としては、熱板式真空圧空成形法や、ホットプレス成形法などがあるが、これらに限定されるものではない。
従って、第3の実施形態においては、樹脂シート101に所定の3次元的な形状を賦形した後に、無電解めっきによって金属膜層が形成されるようになっている。
【0067】
なお、第3の実施形態における工程31、工程32、工程33、工程34、工程35は、第1の実施形態における工程11、工程12、工程13、工程14、工程15とそれぞれ同じであるため、説明は省略する。
【0068】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。 図4は、本発明の第4の実施形態に係る樹脂シートの製造工程を示したものである。 第4の実施形態に係る樹脂シート101の製造工程は、大きく分けて以下の5つの工程から成り立っている。
【0069】
(1) 樹脂シートに加飾印刷を施行する工程41
(2) 当該樹脂シートに還元性高分子微粒子含有塗料を塗布する工程42
(3) 当該樹脂シートをめっき触媒金属を含有する触媒液に浸す工程44
(4) 当該樹脂シートを無電解めっき液に浸す工程45
(5) (2)と(3)の工程の間、あるいは(3)と(4)の工程の間において、前記樹脂シートに絞り加工を施す工程46
【0070】
第4の実施形態は、第2の実施形態で得られる樹脂シート101に対して、第3の実施形態において説明したものと同じ問題を解決するために考え出されたものである。
すなわち、樹脂シート101上に無電解めっきによって金属膜層を形成する前、すなわち、前記(2)と(3)の工程の間、あるいは前記(3)と(4)の工程の間において、インモールド成形法、真空成形法、圧空成形法、ホットプレス成形法等によって製造される最終的な合成樹脂部品の形状に合わせて、樹脂シート101を予め賦形しておくために、樹脂シート101に絞り加工を施すものである。
【0071】
樹脂シート101に絞り加工を加える方法は、第3の実施形態において説明したものと同じである。 従って、第4の実施形態においては、第3の実施形態と同様、樹脂シート101に所定の3次元的な形状を賦形した後に、無電解めっきによって金属膜層が形成されるようになっている。
【0072】
なお、第4の実施形態における工程41、工程42、工程44、工程45は、第2の実施形態における工程21、工程22、工程24、工程25とそれぞれ同じであるため、説明は省略する。
【符号の説明】
【0073】
11, 21, 31, 41 加飾印刷工程
12, 22, 32, 42 導電性、または還元性高分子微粒子含有塗料塗布工程
13, 33 脱ドープ処理工程
14, 24, 34, 44 触媒処理工程
15, 25, 35, 45 無電解めっき処理工程
36, 46 絞り加工工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加飾膜層と金属膜層を備えた樹脂シートの製造方法であって、
(1) 樹脂シートの片面または両面に加飾膜層を構成する加飾印刷を施行するステップと、
(2) 当該樹脂シートの片面または両面であって、加飾膜層のない領域あるいは加飾膜層の上の所定領域に、導電性高分子微粒子含有塗料を塗布するステップと、
(3) 当該樹脂シートに塗布された導電性高分子微粒子を脱ドープするために、当該樹脂シートを脱ドープ用前処理液に浸すステップと、
(4) 脱ドープ処理された導電性高分子微粒子含有塗料の塗布領域にめっき触媒金属を付着させるために、当該樹脂シートを触媒液に浸すステップと、
(5) めっき触媒金属を付着処理した導電性高分子微粒子含有塗料の塗布領域に無電解めっきによる金属膜層を形成するために、当該樹脂シートをめっき液に浸すステップと、
からなる樹脂シートの製造方法。
【請求項2】
加飾膜層と金属膜層を備えた樹脂シートの製造方法であって、
(1) 樹脂シートの片面または両面に加飾膜層を構成する加飾印刷を施行するステップと、
(2) 当該樹脂シートの片面または両面であって、加飾膜層のない領域あるいは加飾膜層の上の所定領域に、還元性高分子微粒子含有塗料を塗布するステップと、
(3) 還元性高分子微粒子含有塗料の塗布領域にめっき触媒金属を付着させるために、当該樹脂シートを触媒液に浸すステップと、
(4) めっき触媒金属を付着処理した還元性高分子微粒子含有塗料の塗布領域に無電解めっきによる金属膜層を形成するために、当該樹脂シートをめっき液に浸すステップと、
からなる樹脂シートの製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の加飾膜層と金属膜層を備えた樹脂シートの製造方法であって、
前記(2)と(3)のステップの間、あるいは前記(3)と(4)のステップの間、あるいは前記(4)と(5)のステップの間において、
前記樹脂シートに3次元的な立体形状を賦形するために、前記樹脂シートに絞り加工を施すステップを更に備えることを特徴とする樹脂シートの製造方法。
【請求項4】
請求項2に記載の加飾膜層と金属膜層を備えた樹脂シートの製造方法であって、
前記(2)と(3)のステップの間、あるいは前記(3)と(4)のステップの間において、
前記樹脂シートに3次元的な立体形状を賦形するために、前記樹脂シートに絞り加工を施すステップを更に備えることを特徴とする樹脂シートの製造方法。
【請求項5】
請求項1又は3に記載の加飾膜層と金属膜層を備えた樹脂シートの製造方法であって、前記導電性高分子微粒子が導電性のポリピロールであることを特徴とする樹脂シートの製造方法。
【請求項6】
請求項2又は4に記載の加飾膜層と金属膜層を備えた樹脂シートの製造方法であって、前記還元性高分子微粒子が還元性のポリピロールであることを特徴とする樹脂シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−45819(P2012−45819A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189873(P2010−189873)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(392010267)株式会社サカイヤ (24)
【出願人】(000000077)アキレス株式会社 (402)
【Fターム(参考)】